どうしてこうなった。


千空は優勝する気など更々なかったのだが運命のいたずらか、
優勝するはめになってしまった。

村長になるのは置いといてそれとセットで結婚相手が出来たのが問題だ。

(どうする……)

結婚しなければ、村は手に入らず司とも戦えなくなってしまう。

かと言って結婚すれば…………。

とある少女がどんな反応をしめすかなど分かりきっている。

(……………………っ)

「とにかく結婚すりゃ村が手に入るんだな？
んじゃ、するわ」

言っちまったと思ったが後ろ道が残されていない以上そうするしかない。

「ともかくだ、酒！酒持ってこい！！」

千空は目的の酒をよこせと言いカセキとコハクは悪い顔をした千空に若干引いている。

村の男たちが酒亀を運んでくるとルリがゴホゴホ咳き込む。

咳には血が混じっていてもう猶予がない事を指していた。

一夜を飲みあかすぞと言われた千空はほーんと返事をする。

「んじゃ、離婚」

結婚とは？と言いたくなるほどあっさり千空はきっぱり告げた。

千空は酒と科学王国民を引き連れて村を後にしてしまう。

もちろん、コクヨウは部外者が長になっただけでなく離婚した無礼者の
千空に対し怒りを露にする。

千空を引きずりだしてこいと怒鳴ったが金狼と銀狼が千空が何をしようとしているのかを村民に話し始めた。


村の外に出て川に移動して千空は何やら工作の出来具合を見て頷いた。

「やるじゃねぇか、じいさん」

千空の腕だとまともなものを作るのに時間がかかるが流石職人といったところか。


「でさー、千空ちゃん
あきらちゃんが放心してるんだけど……
そこら辺説明はないの？」

木の傍で膝を抱えたあきらがうずくまっていた。

「…………悪りぃが、今は悠長してる暇ねぇんだ」


俺は薬完成させなきゃいけないからなと言い千空はラボに向かってしまった。

ゲンも続こうとしたがカセキにとめられ仕方なく川の工作を見張る
ことになってしまった。

(あきらちゃんもうんともすんとも言わないし……)
ひたすら沈黙しているあきらをほっとくわけにもいかず
ゲンはため息をついた。


千空は失神したクロムをアンモニアの匂いで無理やり叩き起こして薬の制作にとりかかった。

ルリのタイムリミットが近づきつつある今余計な事をしている暇はない。

(あーあ、終わっちまったな)

千空は制作しながら愛想をつかれたと思った。

流石のあきらも自分の事を嫌いになったに違いない。

(…………すまねぇ、あきら)