「あきらちゃん、クロムちゃん勝ったから後は優勝者はクロムちゃんで決まったのも同然だよ」

村から出てきたゲンに訊いてあきらは安堵した。

「じゃあ、もう試合は終わったのも同然だね」

銀狼がわざと負けて、決勝でクロムに勝ちを譲ればいい。


と思われたが千空対銀狼戦が始まるな否や。

「じゃあ！！僕が勝ってもいいんだよねぇ！！！僕の時代来ちゃった！？！？」

棒を振り回し千空をひたすら追いかける銀……いやゲスがいた。

あまりのゲスさに王国民は引き金狼はサイテーすぎるぞ銀狼……と言った。

「あちゃーー
銀狼ちゃんって絶対マラソン大会で一緒に走ろうとか言っといて抜けがけするタイプだわ～～」

「銀狼……あいつ……」

ゲンはありゃりゃと言っているだけだが、
あきらは後でどうしてやろうかと呟いた。

「…………いや、悪気はないと思うよ……？」

「どこが……？」

ん～～とゲンは少し考えて答えた。

「果てしない欲望があるだけだって、
モテたいとかさ」

「ただのゲスじゃない？それさあ」

というか千空は勝てるのだろうか。

千空の戦闘力はない。

クロムは力を振り絞ってスイカの仮面を投げた。

「あ“ーーしゃあねぇな、もう……」

それを見て先ほどの試合を思い出した銀狼はさっきと同じ事をするのではないかと予想し攻撃をしようとする。

しかし、千空は仮面の上に棒を置いただけだ。

後は銀狼の距離に合わせるのみ。

千空はぐっと棒の先端に足を乗っけ自分の体重を乗せた。

「あふん！！！」

銀狼の急所に棒が当たり失神して倒れた。

「勝利！！！千空！！！」

聞こえてきた報にあきらメクルクルは今度こそ安堵した。

「これで……やっと……村が一つ、に、」

ギリギリで保っていた意識が急激に薄れていく。

千空はグリグリと棒でクロムの頭をつくが
クロムからの返答はなかった。

「クロム、気絶しちゃってるんだよ」

「ああ、めっぽう安心したからだろうな」

「ん？気絶？？」

千空が勝ち、クロムは気絶して試合に出れない。

そして、決勝戦はまもなく行われる。

ジャスパーは理解したものの、非常に困惑し結果を告げた。

「え～巫女の夫……かつ村の次期村長は……

優勝者、千空！！！」

「ん？？？？」

一方それを聞いたゲンとあきらだが。

「え、優勝、千空ちゃん……？って事は……」

「………………千空が結婚……？結婚…………」

あきらは急に意識が遠のき崩れ落ちた。

「ちょ、あきらちゃんしっかりしてーっ！！」