「ちゃんと村にたどり着けてたんだ、
良かった良かった」

背後から声がして振り替えるとそこには
あさぎりゲンがいた。

「……何しに来たの？？」

「いやま、ちょっと伝達をね？？」

ゲンは実は俺科学王国側のスパイなのよ、付け足す。

「いや～～ほんと死んでるって思わせる為に色々小細工仕込んだから
ちょっと感謝してよ？」

「やっぱ死んでた事になってたんだ
……後、その、痛かった？？」

周りに思わせる為にわざと頬を引っ張ったけど……。

「え？あーー普通に痛かったかな……」

「ごめん、平手打ちする事なんてないから
力加減がわからなくて……」

申し訳なさそうにするあきらに対しゲンは気にしなくていいとフォローした。

「いいって、結果的に皆騙せたんだから
まぁ、ジーマーで痛かったけどね」

やはり根に持ってるじゃないか。

まぁ、冗談で言ってる可能性もなくはないんだけど。

「ああ、そうだ
村の様子観に来たんだった
何か騒がしいけど、何やってるの？」

村の中心に人が集まっているのを指差す。

「御前試合だって
村の長と……巫女の夫を決める為だとさ」

「へぇ……なるほど
そこで優勝しないと駄目なのね」

ふーんと返事をしたゲンは村の中へと進もうとするのを慌てて止めた。

「えっ、ちょ、勝手に入るなって！」

「え～～いいじゃん、あきらちゃんもそこからじゃ見えないでしょ？
人奧に集まってるからバレないって
行こうよ」

しかし、あきらは固くなに動こうとはしなかった。

しょうがないとゲンは一人村に入り一歩引いた所で様子を見る。

わらわらと群がる群衆を見てゲンは冷や汗をかいた。

「あっちゃ……
これちょっとバイヤーなんじゃないの？
クロムちゃ～～ん」