桃源郷での再会
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頭上を流れていく桃の実を数えるのにも飽きてしまった頃、不意に頭上から桃の木がなくなったかと思うと、遠くに一軒だけぽつりと建物が見えます。
最初はとても小さい建物なのかと思いましたが、建物が小さいのではなく、天国という場所が広大すぎて小さく見えていただけのようです。
私の目にした建物は、近くまで行くと『極楽満月』という看板の掲げられた薬局のようでした。
「白澤様ー、ただいま戻りましたー」
「お帰り桃タロー君。
収穫ご苦労様」
中から聞こえてきたその声に、思わず胸の鼓動が早くなります。
それはあの晩、私を助けてくれた優しい声と一緒でした。
やがて建物の中から姿を見せたその人は、間違いなく、恋い焦がれた白澤様で……
あの晩は暗くてはっきりとは見えなかった端整な顔立ちまで、今ははっきりと分かりました。
その美しさに、私は更に深く恋に堕ちてしまいそうです。
「ん? その子は?」
思わず見惚れていたら、白澤様の興味は『桃タロー』と呼ばれたその人の腕の中の私に集中しました。
緊張で尻尾の先にまで力が入ってしまいます。
「敷地の外で見つけたんです。
俺にはうちの従業員かどうか判断つかなかったんで、連れてきちゃいました」
「その子は、うちの従業員じゃないよ。
微かにだけど現世のにおいがするし、まだ天国 に来たばっかりなんじゃないかな?
ただ……どっかで見た顔のような気がするけど」
「顔って、どれも一緒じゃないっスか?」
「たぶんそれ、見慣れない人種の外国人の顔がどれも一緒に見えちゃうのと同じ現象だね。
そのうち君も見分けがつくようになってくると思うよ」
これだけたくさんの兎に囲まれて暮らしていれば、と白澤様は足元を見下ろされます。
私もその視線を追いかけてみると、そこにはたくさんの仲間達がせっせと草を食べていました。
さすがは天国に生える草、とても美味しそうです。
その味や香りが気になって気になって、鼻先がふごふごしてしまいました。
最初はとても小さい建物なのかと思いましたが、建物が小さいのではなく、天国という場所が広大すぎて小さく見えていただけのようです。
私の目にした建物は、近くまで行くと『極楽満月』という看板の掲げられた薬局のようでした。
「白澤様ー、ただいま戻りましたー」
「お帰り桃タロー君。
収穫ご苦労様」
中から聞こえてきたその声に、思わず胸の鼓動が早くなります。
それはあの晩、私を助けてくれた優しい声と一緒でした。
やがて建物の中から姿を見せたその人は、間違いなく、恋い焦がれた白澤様で……
あの晩は暗くてはっきりとは見えなかった端整な顔立ちまで、今ははっきりと分かりました。
その美しさに、私は更に深く恋に堕ちてしまいそうです。
「ん? その子は?」
思わず見惚れていたら、白澤様の興味は『桃タロー』と呼ばれたその人の腕の中の私に集中しました。
緊張で尻尾の先にまで力が入ってしまいます。
「敷地の外で見つけたんです。
俺にはうちの従業員かどうか判断つかなかったんで、連れてきちゃいました」
「その子は、うちの従業員じゃないよ。
微かにだけど現世のにおいがするし、まだ
ただ……どっかで見た顔のような気がするけど」
「顔って、どれも一緒じゃないっスか?」
「たぶんそれ、見慣れない人種の外国人の顔がどれも一緒に見えちゃうのと同じ現象だね。
そのうち君も見分けがつくようになってくると思うよ」
これだけたくさんの兎に囲まれて暮らしていれば、と白澤様は足元を見下ろされます。
私もその視線を追いかけてみると、そこにはたくさんの仲間達がせっせと草を食べていました。
さすがは天国に生える草、とても美味しそうです。
その味や香りが気になって気になって、鼻先がふごふごしてしまいました。