分不相応な恋
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その気持ちを言葉を発することが出来ないながらに何とかお伝えすると、木霊さんは教えてくれました。
白澤様の住まわれている天国の桃源郷には、私と同じ兎がたくさんいるのだそうです。
そして、生業にされている薬局では、兎の薬剤師がたくさん働いているのだと。
この瞬間ほど兎に生まれたことを心から幸せと感じた日は、他にありません。
私は天国へ行けるよう、努力をすると約束しました。
良い行いをたくさんして、あの方に救っていただいたこの命を大切にすると。
「良い心がけですね、頑張ってください」
木霊さんに見送られる私の心は、満天の星空を飲み込んでしまったようにキラキラしていました。
その気持ちを素直に表現するように飛び跳ねながら帰りたいところですが、また狐や狼に襲われてしまったら大変です。
せっかく助けていただいた命を無駄にしないよう、私は慎重に暗い森の中を進んでいきました。
そんなとき、私は出会ってしまったのです……
私を惑わせる、呪われた声に。
「あの世への近道を、教えてあげようか……?」
森の奥から響いてきたその声は、怪しく低く、私の耳の奥をなぞります。
とっても不気味で、私は思わずその場から飛び退いてしまいました。
けれど、不気味な声は私の頭に貼りついてしまったかのようについてきます。
「さあ、こっちへおいで……
沼に映った満月が、あの世への入り口だよ……?」
そんなの嘘に決まっています。
確かに沼に落ちれば、私は溺れ死んでしまうでしょう。
しかし白澤様は、天国にいらっしゃるのです。
動物に地獄行きが言い渡される事があるのかは分かりませんが、人間の自殺は罪だと聞きました。
ならば兎である私にだって、何かしらの罰はあるかもしれません。
頭ではそう分かっているのに、私の身体は何故か一歩、また一歩と怪しい沼の方へと近づいていました。
水際まで来てみると、水面に映った満月が私を誘うように揺れています。
白澤様の住まわれている天国の桃源郷には、私と同じ兎がたくさんいるのだそうです。
そして、生業にされている薬局では、兎の薬剤師がたくさん働いているのだと。
この瞬間ほど兎に生まれたことを心から幸せと感じた日は、他にありません。
私は天国へ行けるよう、努力をすると約束しました。
良い行いをたくさんして、あの方に救っていただいたこの命を大切にすると。
「良い心がけですね、頑張ってください」
木霊さんに見送られる私の心は、満天の星空を飲み込んでしまったようにキラキラしていました。
その気持ちを素直に表現するように飛び跳ねながら帰りたいところですが、また狐や狼に襲われてしまったら大変です。
せっかく助けていただいた命を無駄にしないよう、私は慎重に暗い森の中を進んでいきました。
そんなとき、私は出会ってしまったのです……
私を惑わせる、呪われた声に。
「あの世への近道を、教えてあげようか……?」
森の奥から響いてきたその声は、怪しく低く、私の耳の奥をなぞります。
とっても不気味で、私は思わずその場から飛び退いてしまいました。
けれど、不気味な声は私の頭に貼りついてしまったかのようについてきます。
「さあ、こっちへおいで……
沼に映った満月が、あの世への入り口だよ……?」
そんなの嘘に決まっています。
確かに沼に落ちれば、私は溺れ死んでしまうでしょう。
しかし白澤様は、天国にいらっしゃるのです。
動物に地獄行きが言い渡される事があるのかは分かりませんが、人間の自殺は罪だと聞きました。
ならば兎である私にだって、何かしらの罰はあるかもしれません。
頭ではそう分かっているのに、私の身体は何故か一歩、また一歩と怪しい沼の方へと近づいていました。
水際まで来てみると、水面に映った満月が私を誘うように揺れています。