満月の夜に
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「ッ……!!」
まず私を襲ったのは、全身が焼けるような痛みでした。
驚き突っ張った後ろ足が地面を滅茶苦茶な形で蹴り、私はなだらかな草の丘の途中で倒れ込んでしまいます。
草の影から見上げた月は赤く、燃えているようでした。
天国の穏やかな夜空とは思えません。
地獄の月のようでした。
「いた……い……」
必死に藻掻いていると、やがてその思いは言葉になります。
月へ向かって伸ばした私の前足は、もはや私のものではありませんでした。
本来なら白い毛に覆われていなければならないはずのそれは、いつか見た色白の人間の手のひらの形をしています。
――まさか……
激しい痛みの中で、私は変わっていく自分自身を感じました。
既に手だけではなく、身体も人間のそれへと変わっています。
シュルシュルと胸元に垂れ下がってきた緩やかな人間の髪の根元には、長かったはずの私の耳ではなく、人間の小さな耳の感触があるのです。
気がつくと痛みは止まっていました。
私は慌てて身体を起こすと、丘の上までなんとか這い上がります。
そこには満月を綺麗に反射する美しい泉がありました。
私が落ちた沼とは違い、澄んだ水はあの沼以上にはっきりと、まるで鏡のように私のことを映し出します。
「やっぱり……」
そこに映ったのは、あの晩、私を陥れた何者かが見せた幻想と同じ、色白な人間の女性でした。
「これが……私……?」
思わず手を伸ばしかけた時、また引きずり込まれるのではという恐怖が襲ってきます。
私は慌てて泉から遠退きました。
そのとき、自分の見た景色に私は驚きます。
人間の身体で立ち上がっただけで、世界は全く別物に見えました。
高いところから見るだけで、こんなにも開けて見えるのだと嬉しくなって、私はその場を駆け回ります。
普段は4足歩行で移動する私ですが、今は2本足で器用に舞い踊れるのです。
くるりと身体を回せば、白いワンピースの裾がふわりと揺れます。
チャイナドレス風のそれは白澤様と並んでも違和感がなさそうで、とても嬉しくなりました。
調子に乗ってくるくると周り、跳ね……そんなことを繰り返していたときです。
「你好。君、見ない顔だけどどこの女神?」
「!!」
まず私を襲ったのは、全身が焼けるような痛みでした。
驚き突っ張った後ろ足が地面を滅茶苦茶な形で蹴り、私はなだらかな草の丘の途中で倒れ込んでしまいます。
草の影から見上げた月は赤く、燃えているようでした。
天国の穏やかな夜空とは思えません。
地獄の月のようでした。
「いた……い……」
必死に藻掻いていると、やがてその思いは言葉になります。
月へ向かって伸ばした私の前足は、もはや私のものではありませんでした。
本来なら白い毛に覆われていなければならないはずのそれは、いつか見た色白の人間の手のひらの形をしています。
――まさか……
激しい痛みの中で、私は変わっていく自分自身を感じました。
既に手だけではなく、身体も人間のそれへと変わっています。
シュルシュルと胸元に垂れ下がってきた緩やかな人間の髪の根元には、長かったはずの私の耳ではなく、人間の小さな耳の感触があるのです。
気がつくと痛みは止まっていました。
私は慌てて身体を起こすと、丘の上までなんとか這い上がります。
そこには満月を綺麗に反射する美しい泉がありました。
私が落ちた沼とは違い、澄んだ水はあの沼以上にはっきりと、まるで鏡のように私のことを映し出します。
「やっぱり……」
そこに映ったのは、あの晩、私を陥れた何者かが見せた幻想と同じ、色白な人間の女性でした。
「これが……私……?」
思わず手を伸ばしかけた時、また引きずり込まれるのではという恐怖が襲ってきます。
私は慌てて泉から遠退きました。
そのとき、自分の見た景色に私は驚きます。
人間の身体で立ち上がっただけで、世界は全く別物に見えました。
高いところから見るだけで、こんなにも開けて見えるのだと嬉しくなって、私はその場を駆け回ります。
普段は4足歩行で移動する私ですが、今は2本足で器用に舞い踊れるのです。
くるりと身体を回せば、白いワンピースの裾がふわりと揺れます。
チャイナドレス風のそれは白澤様と並んでも違和感がなさそうで、とても嬉しくなりました。
調子に乗ってくるくると周り、跳ね……そんなことを繰り返していたときです。
「你好。君、見ない顔だけどどこの女神?」
「!!」