満月の夜に
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それから私は、毎日せっせと彼のために雑草を食べ、薬学を学びました。
木霊さんに伺っていたとおり、白澤様は異性の方との交友が絶えない方でしたが、ただの兎の私は特別妬ましいなどという感情は抱きませんでした。
それよりも、オスメス関係なく自分以外の兎が白澤様に褒められ、撫でられている姿を見る方が胸がチリチリします。
きっと、嫉妬というのは自分の手の届く範囲の物事にしか抱きようのない感情なのでしょう。
「今日もお疲れ様。
また明日、よろしくね」
夜になると、従業員の兎たちは白澤様に見送られてそれぞれの巣穴に戻っていきます。
極楽満月に勤め始めて早いもので約ひと月が過ぎ、先輩兎の皆さんとも今ではとっても仲良しです。
けれど、私たちには習性というものが根強く残っていますので、群れを作らないタイプのニホンノウサギ系の兎さん達は、アフターファイブの過ごし方も基本的に個人行動でした。
実は仲が悪いとかではなく、こればっかりは習性なのでどうにもならないのです。
たぶん、無理して団体行動をしたところで、ストレスで具合が悪くなります。(天国だからたぶん、死ぬことはないのでしょうけど)
――天国はいつだって天気がいいから、きっと今宵の満月は綺麗でしょう
私が命を落としたのは、満月の夜でした。
それからひと月ほどが過ぎた今日、月は再び満ちます。
苦い思い出がつきまといますが、その前日の間もなく満ちる月の晩、私は白澤様に恋をしました。
だから、満月を思うと苦しさと同時に愛おしさがこみ上げます。
どうせなら、思い出は幸せ一色の方が良い。
私はこの天国でもう一度満月を好きになり、悪い思い出を上書きしてしまおうと思いました。
月が特によく見える丘の場所は、先輩兎さんから聞いています。
後は月が昇る時間までに、そこへ向かって全力で駆け上がるだけでした。
でも……
その途中で、私の身体を異変が襲います。
木霊さんに伺っていたとおり、白澤様は異性の方との交友が絶えない方でしたが、ただの兎の私は特別妬ましいなどという感情は抱きませんでした。
それよりも、オスメス関係なく自分以外の兎が白澤様に褒められ、撫でられている姿を見る方が胸がチリチリします。
きっと、嫉妬というのは自分の手の届く範囲の物事にしか抱きようのない感情なのでしょう。
「今日もお疲れ様。
また明日、よろしくね」
夜になると、従業員の兎たちは白澤様に見送られてそれぞれの巣穴に戻っていきます。
極楽満月に勤め始めて早いもので約ひと月が過ぎ、先輩兎の皆さんとも今ではとっても仲良しです。
けれど、私たちには習性というものが根強く残っていますので、群れを作らないタイプのニホンノウサギ系の兎さん達は、アフターファイブの過ごし方も基本的に個人行動でした。
実は仲が悪いとかではなく、こればっかりは習性なのでどうにもならないのです。
たぶん、無理して団体行動をしたところで、ストレスで具合が悪くなります。(天国だからたぶん、死ぬことはないのでしょうけど)
――天国はいつだって天気がいいから、きっと今宵の満月は綺麗でしょう
私が命を落としたのは、満月の夜でした。
それからひと月ほどが過ぎた今日、月は再び満ちます。
苦い思い出がつきまといますが、その前日の間もなく満ちる月の晩、私は白澤様に恋をしました。
だから、満月を思うと苦しさと同時に愛おしさがこみ上げます。
どうせなら、思い出は幸せ一色の方が良い。
私はこの天国でもう一度満月を好きになり、悪い思い出を上書きしてしまおうと思いました。
月が特によく見える丘の場所は、先輩兎さんから聞いています。
後は月が昇る時間までに、そこへ向かって全力で駆け上がるだけでした。
でも……
その途中で、私の身体を異変が襲います。