短編
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輝くような銀髪。
暗さを含んだ菖蒲色の瞳。
鮮やかな赤を身に纏い
ふわりと着地した羽があるかのような身のこなし。
「死ね」
冷たさの含まれた低い声に
私は恋におちた。
「何でだよ」
とても距離の感じる声音で告げられた一言。
彼は口元をヒクつかせ、ないわー、と告げながら距離を取る。
ちなみに彼の兄弟は笑いすぎて地に身体を横たえ、ピクピクしている。
「好きだなと思いまして」
「どこで?」
「今しがた伝えたかと?」
「腕折られてんのに?」
うわぁ、と再び異物でも見るかのような視線を投げつけてくる竜胆にはて?と頭を傾げる。
「合法的に接触出来るチャンスかと」
「お前はポジティブで出来てんの?」
「同情を誘い、絆されてくだされば簡単なのですが」
「大将には無理だっつーの」
「簡単そうではないので精神的にとことん追いつめて落とそうかと」
「そーゆーとこ兄貴そっくりだよ」
「褒めても何も出ませんよ?」
「照れるわ竜胆」
うふふ、と笑い上戸から復活した蘭と手のひらを片手だけ合わせる。
似てるって。
似てるんだと。
褒めてねーんだわ、なんて声をスルーし本日のお茶会のメインに迫る。
「で、どうしたら落とせますかね?」
「手っ取り早く既成事実は?」
「認知しないで終わりだわ」
「「だな」」
「それで落ちるなら既に1発や2発正確に当てて囲ってます」
「怖っ」
「彼の人が家族愛に飢えながらも他人を拒絶する気難しい生理前の女子のような孤高の王様だから情をかければチョロ甘の即堕ち2コマだと思ったの」
「なんて?」
「まさか甘やかし過ぎて近付いただけで蹴られるなんて思わないじゃない?」
ふぅ、と溜め息をつき珈琲に目を落とす。
黒い液体には私の憂いた表情が写っている。
学校の女子達がこぞって恋に落ちたと騒いでいるのを聞き耳を立て、あなた達の一目惚れ安くね?小物に文房具に人形に人間?
一目惚れって使えばあたかも初めての感覚!というように乙女となり、現実はパンツを丸見えにしながらがに股で座り花から煙を吐き出すような男を食って漁る雌なのに。
そんな雌と同じ気持ちを味わう事なんて無いと思っていたけれど……この気持ちは確かに初めましての感情でした。
「あの人を想うと腕が張り裂けそうに痛むの」
「だろうな」
「あの人を想うと心臓の鼓動が止まらないの」
「だろーなぁ」
はぁ、と重い溜め息が零れる。
「恋って……切ないものね」
「「うわぁ…」」
同じ顔をしながら心底意味がわからないって顔をされてしまう。
失礼ね!
「何かいい方法は無いかしら?」
「無い」
「蘭、もっと頭から知恵を絞り出して」
「物理なら得意だけど?」
「……頭を強く打てば記憶飛んでいい具合に囲めって事?」
「こーーっわ!!」
「無難に普通に攻めれば?」
「普通?」
竜胆の提案に普通……と思い浮かべる。
「手足の腱を切ってしまうと、あの人の身軽な魅力が下がってしまうわ?」
「何をする気だよ」
「せめて彼専用の篭の中で囲うぐらいしか」
「名前の普通は異常だと気付けぇ?」
「もう!私、本当に困っているのよ!!」
怒って2人を見ても2人の興味はどこかへうつっている。
「とりあえずさぁ」
蘭の言葉に私はにっこりと笑った。
「………」
片や、ニコニコ。
片や、ブリザード。
地獄のような光景に天竺の幹部達は視線を逸らした。
「何のつもりだ」
「あら?乙女を怪我させておいて責任逃れなさるつもり?」
「知るか」
「私、毎日毎時間貴方に折られた腕が痛むのよ」
「ぶっ殺すぞ」
「通りすがりにたまたま貴方に声をかけた仕打ちがコレなんて……酷いわ」
「意識も刈り取ってやろうか?」
「………」
「………」
どちらも引かず、お互いの主張をぶつけ合っている。
「蘭、どうしましょう。メンチ切っても効かないわ」
「俺を巻き込むなぁ?」
「蘭、テメーか。この凪どうにかしろ」
「大将ごめんって。殺気向けないで」
目の前の光景を楽しむのはありだが、巻き込まれたくはない。
楽しそうだと言う理由で天竺のアジトに連れてきたが楽しむどころか地獄の幕開けだった。
「そもそも名前、何でそんな大将に嫌われてんの?」
「それな」
彼女の話だと、助けてもらったところを一目惚れ。そして話しかけようとしたところ腕を折られた事しか聞いていない。
まさか良かれと思って、楽しそうだしと思って連れて来たものの一目視界に入った瞬間から彼の王は野生動物のごとく臨戦体勢となり威嚇を開始。
彼女が話かけるたび額の青筋がメキメキと増えていく。
「……お前らの差し金か?」
「待って。待って待って大将マジ待って」
「オマエ何した!?大将にナニした!!!」
「失礼しちゃうわ」
ぷんすこと怒る彼女。
「話したでしょう?私が夜道で暴漢に襲われた所を助けてくれて一目惚れしたって」
「うん。聞いたわ」
「その御礼に彼を調べて」
「ん?」
「お近づきになりたくて既成事実を作ってみたり」
「んんー?」
「愛を囁いたんだけど、駄目だったって」
「今不穏な言葉聞こえたんだけど」
「蘭ちゃん達聞いてねーぞ?」
いや、聞いたかもしれない。
けどアレはタラレバの話では?
「……灰谷達の知り合いだったんだな」
「鶴蝶どーゆーこと?」
「この数ヶ月の話なんだが……最初はまぁ、イザナも隣に居ることを許していたんだが」
曰く、笑顔で何処にでも現れ
曰く、気付いたら隣に居り
曰く、話していない事や自身すら気付かぬ事を当たり前のように話す
「ストーカーより怖い」
「「………」」
「未来の旦那様の事をいつでも完璧にサポート出来なくては」
「怖い怖い怖い!!!」
「やっちまったなぁ」
「正攻法じゃ落とせないのは明確ですもの」
「ストーカーは正攻法じゃねぇっっ!!!」
「結果、イザナに蹴られても殴られても片腕の骨折だけで済んでるんだ」
「名前、お前武術やってたっけ?」
「恋に落ちてから徹底的に護身術だけ極めてみたの。あまりの可愛さに反応が遅れて腕を駄目にしてしまっただけよ」
「名前、落ち着いて真面目に話そ?」
不良の真ん中にちょこんと正座させられる。
端から見たらヤバい図だ。
その目の前には竜胆と蘭が不良座りをしながら目線を合わせている。
「大将に何した?」
「愛を囁いたわ」
「どうやって?」
「彼の出生を調べて彼の好きなものや嫌いなものを研究し私の愛が伝わるよう身も心も捧げたの」
「具体的に」
「毎食色々な料理を作って食べさせて好きなものと苦手なものを見分けたり、頭痛持ちみたいだから安眠出来るよう寝室を改造したり、そこらの雌で欲を吐き出させたくないから私が処理を……」
「OK、わかった」
「「有罪」」
「どうして!?」
「流石にキモい」
「キモいし怖いしうざい」
引いた顔をして距離を取ろうとする兄弟。
心外だ。
「監禁してないからセーフよ?」
「そもそもストーカーはアウトなぁ」
「アピールの仕方に恐怖しかない」
「だって……好き、なんだもの。
将来を考えたら早い方が」
「「重い」」
ビシリと言われてしまった言葉にジワジワと涙が出てくる。
「じゃあ、手足の腱を切って全身のお世話をさせて貰えるようお願いしたら良かった?」
「じゃあの使い方と思考回路どうなってんだ」
「大丈夫。どんな貴方も愛してるわ」
「殺す」
「もとはといえば蘭と竜胆のせいなのよ!」
「「はぁ?」」
まさかここで自分達のせいになるなんて思わず顔をしかめる。
「上手くやっていたのに、蘭が秘め事の最中に電話なんかしてきて留守電に『今夜も家来ていつものよろしくなぁ』って言うからっ!!
私が二股して彼を弄ぶ低俗な雌じゃないかって疑問を持った時に竜胆からきたメールで『この間めっちゃ盛り上がったからまた今夜も待ってる』なんて明らかに浮気の始まりみたいな定型文送ってくるから!!」
「「ドンマイ」」
「それで喧嘩になって私の愛が軽視されたからいっぱいいっぱい甘やかして可愛がったのにっ!!」
「オイ」
途端に焦りだした王が今まで近寄らなかったのに彼女に向かい出す。
だがそれよりも彼女の口の方が早かった。
「あらゆる部分を舐めて吸って齧って撫でて雌イキさせるぐらい足腰立たなくなるくらい犯してもう2度と私以外じゃ快感拾えないように閉じ込めて開発していたのに蘭と竜胆がどうしても来いって脅すから家から出たら逃げられていて、また囲おうとしたら可愛い真っ赤な顔で暴れだした彼に魅入って怪我した私の気持ちなんてわからないでしょう!?」
「「わかんねーわ」」
「ざっけんな!!!」
顔を真っ赤にした王が暴れだす。
鶴蝶が一生懸命羽交い締めしているのをいいことにうるうるとした瞳で近付いていく彼女。
「ねぇ、イザナ……私、貴方が狂おしいほど好きよ」
「うるせぇ!!!」
「愛が欲しいなら私が沢山あげる。
家族が欲しいなら私がなりたい」
「黙れっ!!」
「貴方が好きよ。愛してる」
「うるせぇうるせぇウルセェ!!」
瞳孔全開の額に青筋が浮かびまくりのバチバチにキレたイザナは簡単に鶴蝶を振りほどき彼女へと手を伸ばす。
胸ぐらを捕まれ今にも殴りかかりそうなイザナ。
そんなイザナを目の前にとろりと目を緩やかに下げ、頬を赤くする彼女。
「イザナ」
何かを口にする前に彼女はイザナの唇を奪い、舌を捩じ込む。
暴れるイザナをものともせず、淡々と舌を動かしていればどんどんと動きの鈍くなるイザナ。
唇を離す頃にはお互いの唾液が混ざりあい、糸として繋がっていた。
「あまり拗ねてちゃ嫌だわ」
「拗ねっ!?」
「怒った顔も素敵だし、ヤキモチは嬉しいけど……拒絶されると悲しいから既成事実、作っちゃうわよ?」
「認めるかっ」
「家族になるならお互いの同意があって欲しいけど……無くても作ればいいし、出せば家族になるわ」
「待て。早まるな名前」
「流石に大将が可哀想」
「証拠は抜かり無く揃っているのよ?」
「は?」
「ドロドロになった可愛いイザナが約束してくれたから、いつでも大丈夫なのよ」
ニッコリと綺麗に笑う彼女に周りは青ざめる。
「蘭と竜胆も意中の子が出来たら使う手でしょ?」
「やるかもしんねーけど大将相手には止めろよ!!」
「大丈夫。今はまだ完全に堕ちなくても長い目でいけば」
「クソも大丈夫じゃないからな?止めとけぇ」
「最期に幸せならいいでしょ?」
「「まじで止めろ」」
竜胆が抑え、蘭が彼女の携帯を奪い何かを消していく。
「家に行ってまずはメインのパソコンぶっ壊してバックアップも消してくるか」
「叔父さんに言ってセーフティーハウスいくつか出入り多いとこ解約させようぜ。
多分そっちにもバックアップとってるから消して……やること多すぎ」
「クッソ面倒」
「大将の部屋のカメラの回収もか」
「あー、あと……」
ポンポンと不穏な会話をしながら指を止めない灰谷兄弟。
「酷いわ、2人共」
「オマエがやり過ぎなんだよバーカ」
「やるならバレんなよ」
「だから言ったでしょ!2人のせいって!!」
「違うやつなら笑って許すけど俺らの大将だからな」
「せめて落としてからにしろぉ」
「………蘭、竜胆」
「何だよ鶴蝶」
「んー?」
「彼女の……どういった、知り合いだ?」
青い顔をした鶴蝶が恐る恐る聞く。
三人が揃うとなぜだろう……。
「「「従兄弟」」」
にこり、と笑ったそれぞれの表情は違うはずなのに……納得するほど似ていた。
あとがき
初tkrv夢がサイコパスなものに。
灰谷の血筋は狙った獲物は逃す気がないといいな。
灰谷兄弟がツボ。
りんちゃんの方が好きだけど、なぜかイザナ夢に。
tkrv好きになったけど、口調が難しくてなかなか手を出せないです。
本当は色々書きたいけれど途中から妄想しきれず不発になって文字起こし出来ずにいます。
暗さを含んだ菖蒲色の瞳。
鮮やかな赤を身に纏い
ふわりと着地した羽があるかのような身のこなし。
「死ね」
冷たさの含まれた低い声に
私は恋におちた。
「何でだよ」
とても距離の感じる声音で告げられた一言。
彼は口元をヒクつかせ、ないわー、と告げながら距離を取る。
ちなみに彼の兄弟は笑いすぎて地に身体を横たえ、ピクピクしている。
「好きだなと思いまして」
「どこで?」
「今しがた伝えたかと?」
「腕折られてんのに?」
うわぁ、と再び異物でも見るかのような視線を投げつけてくる竜胆にはて?と頭を傾げる。
「合法的に接触出来るチャンスかと」
「お前はポジティブで出来てんの?」
「同情を誘い、絆されてくだされば簡単なのですが」
「大将には無理だっつーの」
「簡単そうではないので精神的にとことん追いつめて落とそうかと」
「そーゆーとこ兄貴そっくりだよ」
「褒めても何も出ませんよ?」
「照れるわ竜胆」
うふふ、と笑い上戸から復活した蘭と手のひらを片手だけ合わせる。
似てるって。
似てるんだと。
褒めてねーんだわ、なんて声をスルーし本日のお茶会のメインに迫る。
「で、どうしたら落とせますかね?」
「手っ取り早く既成事実は?」
「認知しないで終わりだわ」
「「だな」」
「それで落ちるなら既に1発や2発正確に当てて囲ってます」
「怖っ」
「彼の人が家族愛に飢えながらも他人を拒絶する気難しい生理前の女子のような孤高の王様だから情をかければチョロ甘の即堕ち2コマだと思ったの」
「なんて?」
「まさか甘やかし過ぎて近付いただけで蹴られるなんて思わないじゃない?」
ふぅ、と溜め息をつき珈琲に目を落とす。
黒い液体には私の憂いた表情が写っている。
学校の女子達がこぞって恋に落ちたと騒いでいるのを聞き耳を立て、あなた達の一目惚れ安くね?小物に文房具に人形に人間?
一目惚れって使えばあたかも初めての感覚!というように乙女となり、現実はパンツを丸見えにしながらがに股で座り花から煙を吐き出すような男を食って漁る雌なのに。
そんな雌と同じ気持ちを味わう事なんて無いと思っていたけれど……この気持ちは確かに初めましての感情でした。
「あの人を想うと腕が張り裂けそうに痛むの」
「だろうな」
「あの人を想うと心臓の鼓動が止まらないの」
「だろーなぁ」
はぁ、と重い溜め息が零れる。
「恋って……切ないものね」
「「うわぁ…」」
同じ顔をしながら心底意味がわからないって顔をされてしまう。
失礼ね!
「何かいい方法は無いかしら?」
「無い」
「蘭、もっと頭から知恵を絞り出して」
「物理なら得意だけど?」
「……頭を強く打てば記憶飛んでいい具合に囲めって事?」
「こーーっわ!!」
「無難に普通に攻めれば?」
「普通?」
竜胆の提案に普通……と思い浮かべる。
「手足の腱を切ってしまうと、あの人の身軽な魅力が下がってしまうわ?」
「何をする気だよ」
「せめて彼専用の篭の中で囲うぐらいしか」
「名前の普通は異常だと気付けぇ?」
「もう!私、本当に困っているのよ!!」
怒って2人を見ても2人の興味はどこかへうつっている。
「とりあえずさぁ」
蘭の言葉に私はにっこりと笑った。
「………」
片や、ニコニコ。
片や、ブリザード。
地獄のような光景に天竺の幹部達は視線を逸らした。
「何のつもりだ」
「あら?乙女を怪我させておいて責任逃れなさるつもり?」
「知るか」
「私、毎日毎時間貴方に折られた腕が痛むのよ」
「ぶっ殺すぞ」
「通りすがりにたまたま貴方に声をかけた仕打ちがコレなんて……酷いわ」
「意識も刈り取ってやろうか?」
「………」
「………」
どちらも引かず、お互いの主張をぶつけ合っている。
「蘭、どうしましょう。メンチ切っても効かないわ」
「俺を巻き込むなぁ?」
「蘭、テメーか。この凪どうにかしろ」
「大将ごめんって。殺気向けないで」
目の前の光景を楽しむのはありだが、巻き込まれたくはない。
楽しそうだと言う理由で天竺のアジトに連れてきたが楽しむどころか地獄の幕開けだった。
「そもそも名前、何でそんな大将に嫌われてんの?」
「それな」
彼女の話だと、助けてもらったところを一目惚れ。そして話しかけようとしたところ腕を折られた事しか聞いていない。
まさか良かれと思って、楽しそうだしと思って連れて来たものの一目視界に入った瞬間から彼の王は野生動物のごとく臨戦体勢となり威嚇を開始。
彼女が話かけるたび額の青筋がメキメキと増えていく。
「……お前らの差し金か?」
「待って。待って待って大将マジ待って」
「オマエ何した!?大将にナニした!!!」
「失礼しちゃうわ」
ぷんすこと怒る彼女。
「話したでしょう?私が夜道で暴漢に襲われた所を助けてくれて一目惚れしたって」
「うん。聞いたわ」
「その御礼に彼を調べて」
「ん?」
「お近づきになりたくて既成事実を作ってみたり」
「んんー?」
「愛を囁いたんだけど、駄目だったって」
「今不穏な言葉聞こえたんだけど」
「蘭ちゃん達聞いてねーぞ?」
いや、聞いたかもしれない。
けどアレはタラレバの話では?
「……灰谷達の知り合いだったんだな」
「鶴蝶どーゆーこと?」
「この数ヶ月の話なんだが……最初はまぁ、イザナも隣に居ることを許していたんだが」
曰く、笑顔で何処にでも現れ
曰く、気付いたら隣に居り
曰く、話していない事や自身すら気付かぬ事を当たり前のように話す
「ストーカーより怖い」
「「………」」
「未来の旦那様の事をいつでも完璧にサポート出来なくては」
「怖い怖い怖い!!!」
「やっちまったなぁ」
「正攻法じゃ落とせないのは明確ですもの」
「ストーカーは正攻法じゃねぇっっ!!!」
「結果、イザナに蹴られても殴られても片腕の骨折だけで済んでるんだ」
「名前、お前武術やってたっけ?」
「恋に落ちてから徹底的に護身術だけ極めてみたの。あまりの可愛さに反応が遅れて腕を駄目にしてしまっただけよ」
「名前、落ち着いて真面目に話そ?」
不良の真ん中にちょこんと正座させられる。
端から見たらヤバい図だ。
その目の前には竜胆と蘭が不良座りをしながら目線を合わせている。
「大将に何した?」
「愛を囁いたわ」
「どうやって?」
「彼の出生を調べて彼の好きなものや嫌いなものを研究し私の愛が伝わるよう身も心も捧げたの」
「具体的に」
「毎食色々な料理を作って食べさせて好きなものと苦手なものを見分けたり、頭痛持ちみたいだから安眠出来るよう寝室を改造したり、そこらの雌で欲を吐き出させたくないから私が処理を……」
「OK、わかった」
「「有罪」」
「どうして!?」
「流石にキモい」
「キモいし怖いしうざい」
引いた顔をして距離を取ろうとする兄弟。
心外だ。
「監禁してないからセーフよ?」
「そもそもストーカーはアウトなぁ」
「アピールの仕方に恐怖しかない」
「だって……好き、なんだもの。
将来を考えたら早い方が」
「「重い」」
ビシリと言われてしまった言葉にジワジワと涙が出てくる。
「じゃあ、手足の腱を切って全身のお世話をさせて貰えるようお願いしたら良かった?」
「じゃあの使い方と思考回路どうなってんだ」
「大丈夫。どんな貴方も愛してるわ」
「殺す」
「もとはといえば蘭と竜胆のせいなのよ!」
「「はぁ?」」
まさかここで自分達のせいになるなんて思わず顔をしかめる。
「上手くやっていたのに、蘭が秘め事の最中に電話なんかしてきて留守電に『今夜も家来ていつものよろしくなぁ』って言うからっ!!
私が二股して彼を弄ぶ低俗な雌じゃないかって疑問を持った時に竜胆からきたメールで『この間めっちゃ盛り上がったからまた今夜も待ってる』なんて明らかに浮気の始まりみたいな定型文送ってくるから!!」
「「ドンマイ」」
「それで喧嘩になって私の愛が軽視されたからいっぱいいっぱい甘やかして可愛がったのにっ!!」
「オイ」
途端に焦りだした王が今まで近寄らなかったのに彼女に向かい出す。
だがそれよりも彼女の口の方が早かった。
「あらゆる部分を舐めて吸って齧って撫でて雌イキさせるぐらい足腰立たなくなるくらい犯してもう2度と私以外じゃ快感拾えないように閉じ込めて開発していたのに蘭と竜胆がどうしても来いって脅すから家から出たら逃げられていて、また囲おうとしたら可愛い真っ赤な顔で暴れだした彼に魅入って怪我した私の気持ちなんてわからないでしょう!?」
「「わかんねーわ」」
「ざっけんな!!!」
顔を真っ赤にした王が暴れだす。
鶴蝶が一生懸命羽交い締めしているのをいいことにうるうるとした瞳で近付いていく彼女。
「ねぇ、イザナ……私、貴方が狂おしいほど好きよ」
「うるせぇ!!!」
「愛が欲しいなら私が沢山あげる。
家族が欲しいなら私がなりたい」
「黙れっ!!」
「貴方が好きよ。愛してる」
「うるせぇうるせぇウルセェ!!」
瞳孔全開の額に青筋が浮かびまくりのバチバチにキレたイザナは簡単に鶴蝶を振りほどき彼女へと手を伸ばす。
胸ぐらを捕まれ今にも殴りかかりそうなイザナ。
そんなイザナを目の前にとろりと目を緩やかに下げ、頬を赤くする彼女。
「イザナ」
何かを口にする前に彼女はイザナの唇を奪い、舌を捩じ込む。
暴れるイザナをものともせず、淡々と舌を動かしていればどんどんと動きの鈍くなるイザナ。
唇を離す頃にはお互いの唾液が混ざりあい、糸として繋がっていた。
「あまり拗ねてちゃ嫌だわ」
「拗ねっ!?」
「怒った顔も素敵だし、ヤキモチは嬉しいけど……拒絶されると悲しいから既成事実、作っちゃうわよ?」
「認めるかっ」
「家族になるならお互いの同意があって欲しいけど……無くても作ればいいし、出せば家族になるわ」
「待て。早まるな名前」
「流石に大将が可哀想」
「証拠は抜かり無く揃っているのよ?」
「は?」
「ドロドロになった可愛いイザナが約束してくれたから、いつでも大丈夫なのよ」
ニッコリと綺麗に笑う彼女に周りは青ざめる。
「蘭と竜胆も意中の子が出来たら使う手でしょ?」
「やるかもしんねーけど大将相手には止めろよ!!」
「大丈夫。今はまだ完全に堕ちなくても長い目でいけば」
「クソも大丈夫じゃないからな?止めとけぇ」
「最期に幸せならいいでしょ?」
「「まじで止めろ」」
竜胆が抑え、蘭が彼女の携帯を奪い何かを消していく。
「家に行ってまずはメインのパソコンぶっ壊してバックアップも消してくるか」
「叔父さんに言ってセーフティーハウスいくつか出入り多いとこ解約させようぜ。
多分そっちにもバックアップとってるから消して……やること多すぎ」
「クッソ面倒」
「大将の部屋のカメラの回収もか」
「あー、あと……」
ポンポンと不穏な会話をしながら指を止めない灰谷兄弟。
「酷いわ、2人共」
「オマエがやり過ぎなんだよバーカ」
「やるならバレんなよ」
「だから言ったでしょ!2人のせいって!!」
「違うやつなら笑って許すけど俺らの大将だからな」
「せめて落としてからにしろぉ」
「………蘭、竜胆」
「何だよ鶴蝶」
「んー?」
「彼女の……どういった、知り合いだ?」
青い顔をした鶴蝶が恐る恐る聞く。
三人が揃うとなぜだろう……。
「「「従兄弟」」」
にこり、と笑ったそれぞれの表情は違うはずなのに……納得するほど似ていた。
あとがき
初tkrv夢がサイコパスなものに。
灰谷の血筋は狙った獲物は逃す気がないといいな。
灰谷兄弟がツボ。
りんちゃんの方が好きだけど、なぜかイザナ夢に。
tkrv好きになったけど、口調が難しくてなかなか手を出せないです。
本当は色々書きたいけれど途中から妄想しきれず不発になって文字起こし出来ずにいます。
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