十万企画
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※思ってた以上に何だか五条が暴走してる
※こんなの五条じゃない!って方はすぐに戻ろう!
※狂気に感じる人もいるかもしれませんが、出来るだけポップに明るく書いてるから狂気が苦手な方はバックバックバック!!!!
それでも大丈夫な方 自己責任でどうぞ
私には物凄い格好いい彼氏がいる。
強くて、国宝級のイケメンで、お金持っていて
それはそれは見る人から見たら羨ましいと言われるレベル。
「おかえり」
「ただいま、名前」
帰って来て抱き締めて、顔中にキスの嵐。
そしてすりすりと匂いをつけるような行動。
そんな彼氏の気の済むまで好きにさせて満足するとじっと此方を見て来るのて、私も彼氏の頬にキスを送るとやっと解放される。
「なぁに?」
「格好いいし綺麗だなぁ、と思って」
「ありがと」
にっこり笑う姿も絵になる。
お風呂と着替えに行く悟を見送りテレビを見て待っていれば、カラスの行水のごとく早く出てきた悟が隣に座る。
「髪乾かさなかったの?」
「やって」
「甘え上手だな」
悟のふわふわサラサラの髪の毛を乾かす。
テレビでは告知に来た有名人がドラマの話題を振られて話していたので思わず手が止まる。
「終わった?」
「あぁ、ごめんね。気になるドラマだったから」
「ふーん。名前ってコイツ出てるのよく見るよね」
「物語も面白いのが多いからかな?
役にハマっていて見ちゃうんだよね」
へー、と興味なさそうな悟。
「僕とコイツどっちが好き?僕だよね?」
「勿論悟に決まってるよ」
「だよね」
乾いた頭をすり寄せてくる悟。
私もふわふわな悟の髪の毛に指を通して悟な頭を撫でる。
「あ、悟。そういえばプリン貰ったけど食べる?」
「食べるー」
「なんか美味しいって有名なところのプリンなんだって。今出してくるね」
悟の頭にキスを落とし、冷蔵庫へ。
ーーーやっべ。危なかった!!!!
ドキドキと心臓が今になって速くなる。
もしも有名人の話題で格好いいとか好きなんだよね、なんて溢していたら明日は間違いなく動けない。
身体的にも精神的にも危うくてどこに地雷があるかわからない。
私の彼氏、五条悟は……見た目、強さ、財力、知力、身体能力全て完璧だが……天は彼に性格の悪さと間違った愛情を与えてしまっていた。
普段はデロッデロに甘く優しい彼だが、男の話題になるとどこに地雷があるかわからない。
下手すりゃ女にすら妬く。
過去何度も地雷を踏み抜くたび、ハイライトの消えた大きな瞳でじっと見つめ呪詛を吐き出す悟に何度も呪われてきた。
愛ほど歪んだ呪いは無い、と言うがまさにその通りだ。
下手すりゃ言葉巧みに縛りを行うのでペナルティーを受けるこちらとしてはたまったもんじゃない。
「名前?」
「あ、ごめん」
自分の世界に入りすぎていたらしく、ひょっこり顔を出す悟。
ポテポテと近寄ってきた悟にプリンを渡す。
「考え事?」
「ボーッとしてた」
「大丈夫?具合悪い?
こないだ生理終わったはずだからまだ排卵日じゃないし」
「ちょっと」
「熱って感じでは無さそうだし」
「本当にボーッとしてただけ。特に何も無いよ」
「僕の事でも考えてた?
例えば……今の有名人の事で妬いた僕、とか」
「……………」
ヤダナー、アタッテルヨー。
いつの間にやら冷蔵庫と悟に挟まれている。
おかしいな…いつの間に?
「ちなみにこのプリン誰から?」
「七海くんからだよ」
「七海?何で」
「出張ついでにお土産いる?って連絡来たからお願いして買って来て貰ったの。
悟、甘いの好きでしょ?」
「は?アイツ僕には土産なんか無いって言ってたのに」
「この間七海くんに悪戯したからじゃないの?」
「お茶目じゃん」
ほら、向こうで食べようって悟の胸を押す。
拗ねた顔をしながら背を向ける悟にホッとしたのも束の間
「僕の知らないとこで七海と連絡取り合う仲だったなんて知らなかったよ」
おーーーっと!!!!
悟のハイライトが消えていく瞳に私の心臓はドッキリ。だが慣れている私は笑顔を絶やさない。
「悟妬いちゃった?」
「妬いちゃうかな」
「内容見てもいいけど」
「何?」
「9割悟の愚痴だよ?」
残り1割はお土産の話。
「………」
「見る?」
「見ない」
事実、七海くんからは愚痴を一方的に送られ、その結果お土産をどうぞって感じだ。
七海くんからのプリンは本当に美味しかった。
固すぎず柔すぎずほどよいクリームの甘さに卵の味。
美味しくて夢中になっているとじっと此方を見つめてくる悟がいた。
「美味しくない?」
「ウマイよ」
「どうかしたの?」
「幸せそうに食べてるなーと思って」
可愛い、と微笑む悟に私の心はキュンとする。
そんな君が可愛いです。
そのあと悟とまったりくつろぎ一緒に就寝。
朝起きた時に国宝級の寝顔を拝みつつ、今日も頑張ろうと思う。
さて、今さらだが私の事について語らせてもらおう。
私は悟と同じ年。そして五条家に遣える一族の娘として産まれた。
必然的に悟とは姉弟のように育ちつつ、悟に危害が無いよう徹底的に幼き頃から教育され、毒味や体術や勉強やら……まぁ、とにかく徹底的にしごかれた。
そして何事も悟より優秀であることは許されない、とキツく言われたものの……悟は従者である私よりも幼い頃から色々ずば抜けていた。ならば与えられた仕事と言えば悟の盾となること。
うん百年ぶりの六眼と無下限呪術を持つ悟の命をその身を犠牲にしても守れ、と。
幼い悟と初めて出会った6歳の日にはそれはそれは驚いた。
この人は一体何を持っていないの?と。
女の私が着飾っても霞む程の美しさ。
この国宝級の美少年を守って死ねるなら本望だと、幼いながらに恋をした。
一目惚れだった。
なので、大人の前では従者のように控え目な態度。大人がいなくなれば此方に引き込んだら勝ちだと悟をめちゃくちゃ溺愛した。
最初はうざがられていたが、私の諦めない不屈の精神でとにかく悟を溺愛した。
口が悪い、態度が悪い、性格がそもそも悪いとか関係なく……あの頃の私、どれだけフィルターが掛かっていたのか……それとも生存本能的なものだったのか、私の母性(笑)が強すぎたのか……悟はすっかり私に懐いてくれた。
やったね!美少年のズッ友ゲット!!
これは皆に自慢できるぜ!!とか思っていたあの頃の私に忠告したい。
お前の母性はヤンデレを生み出したぞ、と。
悟のヤンデレにん?と思ったのは12歳のとある日。
悟のお膳を当たり前のように毒味して毒で倒れた私。
いくら毒に慣れていても強烈なヤツはあるものだし、体内で中和されるまで時間がかかる。
それも即効性の強いものなら毒に慣れている人間だろうと倒れる。
一週間ほど寝込み、所々意識が朧気だったのだが悟が焦って家の者達に怒鳴り叫んでいた気がした。
目が覚めると悟がいた。
それはいい。
それはとても良い目覚めだった。
トロリどころかドロリとした瞳で私の頬に震える手で触れ、頬を撫でながら首を触り……喉を親指で押された。
グッ、と詰まる息。
起きてすぐに何事だと悟を見れば笑っていた。
「もう2度と毒味なんかすんな」
yes or はい。
それ以外は認めない。
それ以外言ってみろ、この喉潰すぞと目が言っていた。
勿論はい。しかし、私は悟の従者。
悟に何かあったら私の家も私も悟に遣えている意味が無いし、一族全員打ち首だ。第一、悟に何かある方が悟に申し訳ないと必死に説明した。
「毒味役は他の奴にやらせる。
名前は黙って俺の側にいろ」
納得は出来ないが、私の寝込んでいる一週間に何かあったらしく家族はお前は黙って悟様に遣えろ!なるべく危険なことするな!お願いだから生きろ!と真逆の説得をされた。
五条家当主からもお願いだから死なないでと頭を下げられた。
同じ従者仲間からはお前悟様に何やった?どうやって唆した?と聞かれたが……甘やかして甘やかしてとにかく悟を甘やかした記憶しかない。
だが誤解の無いよう言っておくが……悟を甘やかしたが、性的なものは一切無い!!!
つまり、下心(イケメンな幼馴染とズッ友)はあっても、下心(あはーん、にゃんにゃん)な事は一切ない!!!
従者だから必要以上に悟に触れる事なんか許されないし、私からは絶対に触れない。
悟の許可が降りてから触れる。
まぁ、悟からはベタベタ触るが……ほら、主だし。
一目惚れはしたが、あんな綺麗な子いたらそりゃ下心で友達になりたくなるだろ。自慢できるし。
事実、小学校はそれはそれは鼻が高かった。
顔面偏差値ぶっちぎりの悟の隣に居られる優越感。
見ろよこの悟のご尊顔。
性格が最悪?それはまぁ、若気の至り。マセた子供の反抗期だよ!
おや?と思ってから暫くして
中学に入るとニョキニョキ伸びた悟の身長。
そして来るべきモテ期。
隣にいる平凡な私は勿論処罰対象。
その結果
漫画やドラマのごとく呼び出しからのリンチ。
まぁ、腐っていても従者の英才教育を受けている私には心配ご無用!!
ふむふむ、皆悟が大好きなんだね!!わかる、わかるよー!!けどね、私は恋仲ではなくズッ友なの。わかる?恋に破れさよーならーなんてなってみろ。ギッスギスな従者関係どころか首だよ首。物理的に飛ぶ。
だから恋愛はご自由に!!むしろ私は黒子的なアレだと思ってね!!なーんて言ったら意味わかんねー事言ってんじゃねーよとビンタが飛んでくる。
まぁ、一般人相手には手を出さないけどねー。避ける事はさせてもらうよー。と、避けようとしたが
「何してんの」
悟が居た。
ビックリして避け損なったら……相手の爪で頬が切れた。
あ、やべ。
注意力足りないからまた怒られちゃう〜なんて思っておりました。
「………は?オマエ何やったかわかってんのか?」
悟がマジギレした。
止める間もなく叩いた女の髪を引っ張り、引きずっていく。
痛いと泣いても髪を掴んだまま引きずり……臭くて汚い学校に一つはあるだろう謎の池に落とした。
ポカンとする女子一同。
勿論私もポカン。
しかし、荒ぶる国宝級の男は止まらない。
池に落とされた女子が何か喚きながら立ち上がろうとする中、にっこり笑って……女子の頭を足で靴で踏んだ。
何やってんの!?と慌てて止めたが悟は止まらない。
「俺の名前に勝手に手を出したってことは何されてもいいってことだろ?
大丈夫、殺しはしねーよ。けど今まで名前がされてきた数々の嫌がらせをオマエに俺はしてもいいよな?だってオマエは俺のモノに手を出したんだから。
オマエなんかの気持ち?どーでもいいわ。
問題はオマエなんかが名前の肌を傷付けたって事なんだよ。俺ですら傷付けていないのに何でオマエが?誰の許可を得て触ってんだよ」
わー、拗らせてるぅ。
「テメーら全員顔覚えたからな」
女子達が泣こうが謝ろうがブチギレた悟を止めて宥めるまで大変だった……。
後日、私は女子の一部から避けられる事に。
まぁ、女子のお友達が減ってもわかってくれる人はいるからいいもん!と思ってはいたが、噂は噂だと突っかかってくる女子達がいるたび、私以上に私の噂を把握し、行動を把握している悟によって見知らぬ女子達は悟によって笑顔で池ポチャされることに。
それが続くと誰もが手出ししなくなった。
「名前も危機感持て」
「一般人相手だよ?」
「俺以外から傷付けられたり、俺以外の奴に着いていくなよ」
「悟は気にしすぎだよ」
「名前は俺のだろ」
「勿論!悟が私をいらないと言う日まで、ずっと悟の盾となり側に居させてもらうよ」
「だーかーら!弱いんだから盾になんかなるな」
「従者だもん。悟の為に生きるよ」
「なら絶対死ぬな。盾になんかならなくても側に居ろ」
って言われたのに拉致られ怪我したのは私です。
悟の暗殺に役立つと狙われたらしいが、数十人も相手にしていたらいつもの注意力の無さが裏目に出て捕まった。
五条家の従者失格だなぁ、と自害してやろうかと思っていたら………
壁ぶっ壊して助けに来てくれた悟。
「テメーら覚悟は出来ているよな?」
マジギレのマジギレバージョン。
あっという間に犯人達……まぁ呪詛師なのだが、彼らは五条家の付き人達に消された。
「捕まってんじゃねーよ」
「ごめんね、悟」
「オマエを傷付けていいのも、オマエを泣かせていいのも、全部俺だけなの。
オマエの髪の毛一本も他の奴らになんかやらない。触らせたくない。
やっぱ苦しめて苦しめて後悔させれば良かった。オマエに触れた指を一本づつ爪を剥がしてゆっくり折って、泣き叫ぶ口に爪を詰め込んでから切り落とせば良かったかな……」
「………悟くーん?」
「オマエは俺のだろ?」
「……ハイ」
この時点で私は理解した。
あ、この子ヤバいと。
しかし遅かった。
普段は甘えただし、ちょっとオラオラと不良ぶるが天真爛漫で笑顔を浮かべているのに、私に告白した奴や、危害を加えそうな奴らには容赦という容赦がない。
おっかしいなぁぁぁああああああ!?
どこで何を間違えた?と考えてももう遅い。
これ従者への対応じゃないよな……と、家族に相談したら諦めた顔で
「「強く生きろ」」
そう言われた。
あの、私毒食べた後まじで何があった?
そして何かある度悟とのソーシャルディスタンスが減っていき、高校……つまり高専。呪術師の学校へ行った時にはほぼ引っ付き虫状態。
「何背負ってんの?」
「主です」
「距離感おかしくないかい?」
「普通だろ」
普通ではありません。
おかしいなー、と思って硝子ちゃんや夏油くんに今までの事を話すと
「「オマエが悪い」」
「甘やかし過ぎたかなぁ?」
「「危機感仕事しろ」」
二人に心配された。
そんな二人の心配も大丈夫大丈夫、まだ……と安易に考えていた私はもう危機感ゼロ過ぎた。
なんやかんやあって2年の悟と夏油くんに与えられた特別任務の最中……私はまた生死を彷徨った。
星奬体護衛任務で何故か沖縄行って戻ってきた悟と夏油くんを入り口で待つ。
不眠不休で戻ってきた悟に何かあったらと来たのだが……思わぬ襲撃者が悟を襲う。
無下限呪術を悟が切った瞬間に来たソイツ。
幼い頃より訓練されてきた習慣で私は悟を突き飛ばして守るように盾となった。
深く突き刺さる刀。
急所は避けたとはいえ痛いし熱い。
地面に倒れた私に襲撃者は残念そうに呟く。
「勘が鈍ったか」
おまっ、刺しといて!!!
あと鈍って無かったら即死だったのかな!?
鈍っててくれてありがとう勘!!!と考えつつ痛みと戦っていたら悟に抱き上げられた。
「傑、名前を頼む」
「しかしっ」
「平気。絶対アイツ殺す」
あ、駄目だ。
過去一番のブチギレた悟にゾッとしたが止める間も無く私の意識はフェードアウト。
「いっ!!」
最低限の硝子ちゃんの治療を受けたとは言え、刺されて痛いし血液が足りない。
起き上がって今どうなってんのかと誰かに会って聞かなきゃ……とベッドから降りた途端に悟が入って来た。
「さと、る」
「まだ寝てなきゃ駄目だろ?オマエ出血量多かったんだから」
「どうなって……」
「終わったよ」
悟の様子がおかしい。
笑っているのに、どこか雰囲気が……。
「終わったから名前は何の心配もしなくていい」
「……何があったの?」
「任務失敗。けど襲撃者は殺したよ」
多分、その言葉が全て。
だが、悟の変化した雰囲気も今の何を考えているのかわからない悟の説明がつかない。
何かを話そうと口を開いた瞬間……悟の唇と重なった。
驚く間も無く舌が入って来て好き勝手口内を荒らす悟。
ファーストキスだし、彼氏も居たことないし、息継ぎの仕方なんてわからないから悟のご尊顔に私の鼻息を掛けてはいけないと謎の使命感が沸き上がり息を止めていれば、悟が離れてくれた。
痛いし苦しいしどうやって呼吸するんだっけ?と過呼吸になりかける。
混乱する頭と驚く身体。
「ちゃんと鼻で呼吸しろ」
落ち着いてほら、ちゃんと息吐いてと優しい悟の言葉。
落ち着いて呼吸に集中する。
やっと普通に呼吸が出来れば今のは夢?と悟を見れば………ハイライト消えてました。
「弱いくせに何やってんだよ」
「えっと……」
「俺言ったよな?
名前は俺のだし俺の側に居ろって。
弱い奴に守られるほど弱くねーし」
「けど、私は悟の従者で」
「盾になんかなるなって言ったろ」
「そんな事言わないでよ。
私があの家に産まれ落ちた時からずっと決まっている事だよ。
"五条"の為に私はこの身を捧げる。
そこに"私"の意思など無い」
五条の為にこの命を使う。
そうやってウチは代々五条に遣えてきた。
中にはそんな宿命などと言った者もいただろう。理不尽な運命を呪った者もいただろう。
だけど私は誇らしい。
「悟を守って死ねる事が悪いことだと思っていないんだ。悟を一人残して逝くのは心残りがあるが……私の代わりはいつでも補充できる」
「やめろ」
「五条ではなく、私は"悟"を守りたい。
私の初めての友であり、幼馴染であり、私の唯一の主」
綺麗で、強くて、頭も良くて、身長もあって、運動が出来……駄目な所は性格の悟。
甘えたで、煽り上手で、楽しいことが好きで、拗ねると口を尖らせ、笑うときは大口を開けて笑い、無邪気で自由な悟。
「大好きな悟を守れる事、私は誇りに思っているんだ」
「それがオマエの自己満足で俺がどんな気かも知らないで!!!」
「悟。私達は幼い頃からずっと一緒だ。
だからこそ執着心が強いのだろうけど……いつか私は壊れてしまう使い捨ての駒だよ。
その駒に悟が心を砕く必要なんてない。
勿論私は悟のモノだが……悟は私のではない。
悟が主である限り、私はこの身を悟の為に何度だって盾に使うよ」
一目見たあの瞬間から、私は悟の為に生きる決意をした。
その決意を嘘にしたくない。
「じゃあ、オマエ俺が主じゃなければいいのか?」
「んー、そうなると五条家から首通達って事かな?五条の名の元秘密事項を話さぬ縛りをして……そうだなぁ、誰も知らない土地でのんびりするのもいいかもな」
「は?」
「勿論裏切るつもりなんかないよ。
悟と離れるのは寂しいけど、私が使えないなら仕方ないね」
この時誰かこの場にいたら、危機感仕事しろと言っていたと思う。
私は悟にキレられた。
「いい加減にしろよ」
え?なんで?
よくわからないまま首に噛み付かれ、そのままベッドに押し倒された。
「ちょっとさと」
「俺がオマエに何度言ったら伝わる?
オマエは俺のだろ?何で勝手に居なくなろうとしてんだよ。誰も許可してねーよ。それにオマエには何度も盾になるなと言ったよな?俺以外に傷付けられるのも、俺以外に殺されるのも、俺以外の手で死ぬのも許されるわけないだろ?オマエは俺のだって何回言えば伝わるんだよ鈍感。弱いオマエを俺が側に置く理由なんて一つしかねーっつの。何年側に置いて引っ付いて虫除けまでしてると思ってんの?そこまでくると鈍感どころか俺ってそーゆー目で見られないって拒絶?は?俺を拒むとか許されると思ってる?許されるわけないだろ」
「………ハィ」
「主だから?ならその主従関係じゃなくなればオマエは盾にもならないし、俺を受け入れて側に居るんだな?」
「主従関係無くなったら私悟と居られないよ?」
「居るだろ。結婚するよな?」
「んん?」
おかしいな?
なぜ結婚?
従者である下位の私が悟と結婚?
そんな話認められるわけ無いと悟も知っているはずだが?
「悟と結婚しないよ?
私は私で五条家を守って支えるための子供を産むんだから」
「は?オマエまじで言ってんの?」
「勿論」
大真面目ですが?
と、言ったらめちゃくちゃ噛まれた。
私一応怪我人!!歯形どころかうっすら血が滲むレベルって普通に痛いよ!!!拷問はいつだって慣れないんだよ!?
なんとかいつもの悟の雰囲気に戻っていく。
最初のピリついたような、悟が違う人に見えてしまった事など錯覚……であればいいのだが、明らかに呪力の流れが変わっているし、以前よりも研ぎ澄まされているように思える。
疲れた、寝ると狭い保健室のベッドに入って来て私を抱えながら眠ろうとする悟。
私も痛いし疲れたので寝た。
その次の日
様子を見に来た校医と硝子ちゃんに悟は叩き起こされた。
「いてーよ硝子」
「怪我人を襲うな」
「襲ってねーよ。まだ」
「怪我を増やすな」
「硝子、その噛み跡消したらまたつけるから」
「………オマエも災難なヤツに好かれたな」
「んー?私は悟が主で嬉しいよ」
「………虫除けし過ぎたんじゃないのか?」
「既成事実作れば勝ちだろ」
それからの悟は本当凄かった。
特級に上がると任務で飛び回るのは仕方無いが、五条家で当主の座をもぎ取り……私の意思など関係無く主従関係を終わらせ、婚約者へ。
元当主に有無も言わせなかったとか……。
私がこのことを知ったのは全て事後報告。
「そーゆー事で、俺も名前もお互い両思いだし行く行くは妻となってもらうけどやっぱ恋人期間は欲しいから入籍するまで恋人でいいよね」
「え?あの……悟?」
「じゃあ行ってくる。帰って来たらよろしく」
そして再び任務へ行ってしまった悟にポカンと口を開いたまま立ち尽くしてしまった。
「………硝子ちゃん」
「諦めろ」
「夏油くん……」
「忠告はしたよ」
なんと言うことだろう。
気付いたらもう手遅れだった。
悟のデカすぎる感情に私は危機感ゼロ。
その結果、引き返せない事に。
この後夏油くんの離反に悟が精神的に不安定になり、めちゃくちゃ地雷踏みまくった。
その結果危機感を最大値まで上げて悟の地雷を探るのが癖になってしまった。
じゃないとうっかり危機感ゼロにした瞬間ハイライトの消えた悟によりガブガブ噛まれながら足腰が立てなくなることを身体に教え込まれた。
初めは主の感覚が抜けきらず、何度か悟を守るような……それこそ習慣付いてしまった毒味や盾の動きをした瞬間、悟による恋人講座という名のお仕置きが始まった。
勿論主としてだけではなく、悟本人が好きだ。
しかし恋人も居なかった私に恋人的なあまーい雰囲気といっても……悟が甘えるのも、私が甘やかす事も昔から変わらないのにどうしたらいい?と聞くと確かに、と納得された。
だが、お仕置きはされた。
とにかく恋人とは甘えて甘やかして悟だけが特別でそれ以外の男、ついでに女も甘やかすな。笑うな。引っ付くな。それを破れば浮気と見なすと無理難題を言われたので……せめて笑うことは許してもらった。
私は初めて悟に出会った時から一目惚れだ。
幼い恋心と己の宿命。
天秤に掛けて重要なのは恋人にならなくても、従者だから隣に居られること。
奥さんになれなくても、従者だから隣に居られること。
どんな時も悟の為にこの身を使えること。
私は悟の従者であることを誇りに思っていたのでその場しのぎの恋心など奥底へ。
それが今じゃ従者から婚約者で恋心を自覚しても許される立場なのだから……それはそれは悟を出来る限り甘やかした。
従者として距離を保ち、友人として一線を引き、幼馴染として割り切っていた部分を全て関係ねぇ!!と悟にやりたい放題構った。
結果、ヤンデレが悪化した。
なぜだ!?恋人だからやってもいいと許可が出たからやったのに!と思ったが、硝子ちゃんに自業自得だと言われた。
「名前?」
「あれ?悟、お疲れ様。もう終わったの?」
「いや、これから恵のとこ行かなきゃ」
「伏黒くん?今、任務に行って……?」
「そう。特級呪物の回収頼んだけど無くなっててさー、流石にヤバいって事で僕も行かなきゃいけなくなったの」
「あらまぁ」
「お土産何がいい?」
「えっと、喜久福!」
「わかった。いい子で待っててね」
「悟も気を付けて」
顔中にキスの嵐。
そしてハグ。
そろそろ新幹線の時間が……と伊地知くんがオロオロしている。
全然離れないので、悟の鼻先にキスをしていってらっしゃいと言ったのに
「やっぱ行くのやめる」
「五条さん!?」
「名前も着いて来ない?」
「学長がお許しになるなら」
「ちょっと頼みに」
「五条さん!!本当に遅れちゃいますよ!」
「チッ、覚えとけよ伊地知」
「ヒェッ」
大人しく行った悟。
「伊地知くん、グッドラック」
「伊地知の心配したらまた妬かれるぞ」
「だから心の中でそっと謝っておく」
戻ってきた悟が新しい一年生を引き連れていて、伏黒くんが怪我人でそちらに構ってしまい……悟にめちゃくちゃ噛まれたのはまた別の話で。
「名前」
「なぁに?悟」
「好きだよ」
「私も大好き」
本日も私の彼氏は国宝級のヤンデレなイケメンです。
あとがき
リクエスト「ヤンデレ五条とその彼女」
ヤンデレって難しいな……!!
普通にヤンデレ目的で書いていたはずなのですが……狂気的になってしまった気が……!!!
ヤンデレとは?と自問自答しつつ、明るくポップに書いて誤魔化し……あれ?誤魔化せていないような……。
お待たせしておいてこんな感じで申し訳ない!
リクエストありがとうございました!
※こんなの五条じゃない!って方はすぐに戻ろう!
※狂気に感じる人もいるかもしれませんが、出来るだけポップに明るく書いてるから狂気が苦手な方はバックバックバック!!!!
それでも大丈夫な方 自己責任でどうぞ
私には物凄い格好いい彼氏がいる。
強くて、国宝級のイケメンで、お金持っていて
それはそれは見る人から見たら羨ましいと言われるレベル。
「おかえり」
「ただいま、名前」
帰って来て抱き締めて、顔中にキスの嵐。
そしてすりすりと匂いをつけるような行動。
そんな彼氏の気の済むまで好きにさせて満足するとじっと此方を見て来るのて、私も彼氏の頬にキスを送るとやっと解放される。
「なぁに?」
「格好いいし綺麗だなぁ、と思って」
「ありがと」
にっこり笑う姿も絵になる。
お風呂と着替えに行く悟を見送りテレビを見て待っていれば、カラスの行水のごとく早く出てきた悟が隣に座る。
「髪乾かさなかったの?」
「やって」
「甘え上手だな」
悟のふわふわサラサラの髪の毛を乾かす。
テレビでは告知に来た有名人がドラマの話題を振られて話していたので思わず手が止まる。
「終わった?」
「あぁ、ごめんね。気になるドラマだったから」
「ふーん。名前ってコイツ出てるのよく見るよね」
「物語も面白いのが多いからかな?
役にハマっていて見ちゃうんだよね」
へー、と興味なさそうな悟。
「僕とコイツどっちが好き?僕だよね?」
「勿論悟に決まってるよ」
「だよね」
乾いた頭をすり寄せてくる悟。
私もふわふわな悟の髪の毛に指を通して悟な頭を撫でる。
「あ、悟。そういえばプリン貰ったけど食べる?」
「食べるー」
「なんか美味しいって有名なところのプリンなんだって。今出してくるね」
悟の頭にキスを落とし、冷蔵庫へ。
ーーーやっべ。危なかった!!!!
ドキドキと心臓が今になって速くなる。
もしも有名人の話題で格好いいとか好きなんだよね、なんて溢していたら明日は間違いなく動けない。
身体的にも精神的にも危うくてどこに地雷があるかわからない。
私の彼氏、五条悟は……見た目、強さ、財力、知力、身体能力全て完璧だが……天は彼に性格の悪さと間違った愛情を与えてしまっていた。
普段はデロッデロに甘く優しい彼だが、男の話題になるとどこに地雷があるかわからない。
下手すりゃ女にすら妬く。
過去何度も地雷を踏み抜くたび、ハイライトの消えた大きな瞳でじっと見つめ呪詛を吐き出す悟に何度も呪われてきた。
愛ほど歪んだ呪いは無い、と言うがまさにその通りだ。
下手すりゃ言葉巧みに縛りを行うのでペナルティーを受けるこちらとしてはたまったもんじゃない。
「名前?」
「あ、ごめん」
自分の世界に入りすぎていたらしく、ひょっこり顔を出す悟。
ポテポテと近寄ってきた悟にプリンを渡す。
「考え事?」
「ボーッとしてた」
「大丈夫?具合悪い?
こないだ生理終わったはずだからまだ排卵日じゃないし」
「ちょっと」
「熱って感じでは無さそうだし」
「本当にボーッとしてただけ。特に何も無いよ」
「僕の事でも考えてた?
例えば……今の有名人の事で妬いた僕、とか」
「……………」
ヤダナー、アタッテルヨー。
いつの間にやら冷蔵庫と悟に挟まれている。
おかしいな…いつの間に?
「ちなみにこのプリン誰から?」
「七海くんからだよ」
「七海?何で」
「出張ついでにお土産いる?って連絡来たからお願いして買って来て貰ったの。
悟、甘いの好きでしょ?」
「は?アイツ僕には土産なんか無いって言ってたのに」
「この間七海くんに悪戯したからじゃないの?」
「お茶目じゃん」
ほら、向こうで食べようって悟の胸を押す。
拗ねた顔をしながら背を向ける悟にホッとしたのも束の間
「僕の知らないとこで七海と連絡取り合う仲だったなんて知らなかったよ」
おーーーっと!!!!
悟のハイライトが消えていく瞳に私の心臓はドッキリ。だが慣れている私は笑顔を絶やさない。
「悟妬いちゃった?」
「妬いちゃうかな」
「内容見てもいいけど」
「何?」
「9割悟の愚痴だよ?」
残り1割はお土産の話。
「………」
「見る?」
「見ない」
事実、七海くんからは愚痴を一方的に送られ、その結果お土産をどうぞって感じだ。
七海くんからのプリンは本当に美味しかった。
固すぎず柔すぎずほどよいクリームの甘さに卵の味。
美味しくて夢中になっているとじっと此方を見つめてくる悟がいた。
「美味しくない?」
「ウマイよ」
「どうかしたの?」
「幸せそうに食べてるなーと思って」
可愛い、と微笑む悟に私の心はキュンとする。
そんな君が可愛いです。
そのあと悟とまったりくつろぎ一緒に就寝。
朝起きた時に国宝級の寝顔を拝みつつ、今日も頑張ろうと思う。
さて、今さらだが私の事について語らせてもらおう。
私は悟と同じ年。そして五条家に遣える一族の娘として産まれた。
必然的に悟とは姉弟のように育ちつつ、悟に危害が無いよう徹底的に幼き頃から教育され、毒味や体術や勉強やら……まぁ、とにかく徹底的にしごかれた。
そして何事も悟より優秀であることは許されない、とキツく言われたものの……悟は従者である私よりも幼い頃から色々ずば抜けていた。ならば与えられた仕事と言えば悟の盾となること。
うん百年ぶりの六眼と無下限呪術を持つ悟の命をその身を犠牲にしても守れ、と。
幼い悟と初めて出会った6歳の日にはそれはそれは驚いた。
この人は一体何を持っていないの?と。
女の私が着飾っても霞む程の美しさ。
この国宝級の美少年を守って死ねるなら本望だと、幼いながらに恋をした。
一目惚れだった。
なので、大人の前では従者のように控え目な態度。大人がいなくなれば此方に引き込んだら勝ちだと悟をめちゃくちゃ溺愛した。
最初はうざがられていたが、私の諦めない不屈の精神でとにかく悟を溺愛した。
口が悪い、態度が悪い、性格がそもそも悪いとか関係なく……あの頃の私、どれだけフィルターが掛かっていたのか……それとも生存本能的なものだったのか、私の母性(笑)が強すぎたのか……悟はすっかり私に懐いてくれた。
やったね!美少年のズッ友ゲット!!
これは皆に自慢できるぜ!!とか思っていたあの頃の私に忠告したい。
お前の母性はヤンデレを生み出したぞ、と。
悟のヤンデレにん?と思ったのは12歳のとある日。
悟のお膳を当たり前のように毒味して毒で倒れた私。
いくら毒に慣れていても強烈なヤツはあるものだし、体内で中和されるまで時間がかかる。
それも即効性の強いものなら毒に慣れている人間だろうと倒れる。
一週間ほど寝込み、所々意識が朧気だったのだが悟が焦って家の者達に怒鳴り叫んでいた気がした。
目が覚めると悟がいた。
それはいい。
それはとても良い目覚めだった。
トロリどころかドロリとした瞳で私の頬に震える手で触れ、頬を撫でながら首を触り……喉を親指で押された。
グッ、と詰まる息。
起きてすぐに何事だと悟を見れば笑っていた。
「もう2度と毒味なんかすんな」
yes or はい。
それ以外は認めない。
それ以外言ってみろ、この喉潰すぞと目が言っていた。
勿論はい。しかし、私は悟の従者。
悟に何かあったら私の家も私も悟に遣えている意味が無いし、一族全員打ち首だ。第一、悟に何かある方が悟に申し訳ないと必死に説明した。
「毒味役は他の奴にやらせる。
名前は黙って俺の側にいろ」
納得は出来ないが、私の寝込んでいる一週間に何かあったらしく家族はお前は黙って悟様に遣えろ!なるべく危険なことするな!お願いだから生きろ!と真逆の説得をされた。
五条家当主からもお願いだから死なないでと頭を下げられた。
同じ従者仲間からはお前悟様に何やった?どうやって唆した?と聞かれたが……甘やかして甘やかしてとにかく悟を甘やかした記憶しかない。
だが誤解の無いよう言っておくが……悟を甘やかしたが、性的なものは一切無い!!!
つまり、下心(イケメンな幼馴染とズッ友)はあっても、下心(あはーん、にゃんにゃん)な事は一切ない!!!
従者だから必要以上に悟に触れる事なんか許されないし、私からは絶対に触れない。
悟の許可が降りてから触れる。
まぁ、悟からはベタベタ触るが……ほら、主だし。
一目惚れはしたが、あんな綺麗な子いたらそりゃ下心で友達になりたくなるだろ。自慢できるし。
事実、小学校はそれはそれは鼻が高かった。
顔面偏差値ぶっちぎりの悟の隣に居られる優越感。
見ろよこの悟のご尊顔。
性格が最悪?それはまぁ、若気の至り。マセた子供の反抗期だよ!
おや?と思ってから暫くして
中学に入るとニョキニョキ伸びた悟の身長。
そして来るべきモテ期。
隣にいる平凡な私は勿論処罰対象。
その結果
漫画やドラマのごとく呼び出しからのリンチ。
まぁ、腐っていても従者の英才教育を受けている私には心配ご無用!!
ふむふむ、皆悟が大好きなんだね!!わかる、わかるよー!!けどね、私は恋仲ではなくズッ友なの。わかる?恋に破れさよーならーなんてなってみろ。ギッスギスな従者関係どころか首だよ首。物理的に飛ぶ。
だから恋愛はご自由に!!むしろ私は黒子的なアレだと思ってね!!なーんて言ったら意味わかんねー事言ってんじゃねーよとビンタが飛んでくる。
まぁ、一般人相手には手を出さないけどねー。避ける事はさせてもらうよー。と、避けようとしたが
「何してんの」
悟が居た。
ビックリして避け損なったら……相手の爪で頬が切れた。
あ、やべ。
注意力足りないからまた怒られちゃう〜なんて思っておりました。
「………は?オマエ何やったかわかってんのか?」
悟がマジギレした。
止める間もなく叩いた女の髪を引っ張り、引きずっていく。
痛いと泣いても髪を掴んだまま引きずり……臭くて汚い学校に一つはあるだろう謎の池に落とした。
ポカンとする女子一同。
勿論私もポカン。
しかし、荒ぶる国宝級の男は止まらない。
池に落とされた女子が何か喚きながら立ち上がろうとする中、にっこり笑って……女子の頭を足で靴で踏んだ。
何やってんの!?と慌てて止めたが悟は止まらない。
「俺の名前に勝手に手を出したってことは何されてもいいってことだろ?
大丈夫、殺しはしねーよ。けど今まで名前がされてきた数々の嫌がらせをオマエに俺はしてもいいよな?だってオマエは俺のモノに手を出したんだから。
オマエなんかの気持ち?どーでもいいわ。
問題はオマエなんかが名前の肌を傷付けたって事なんだよ。俺ですら傷付けていないのに何でオマエが?誰の許可を得て触ってんだよ」
わー、拗らせてるぅ。
「テメーら全員顔覚えたからな」
女子達が泣こうが謝ろうがブチギレた悟を止めて宥めるまで大変だった……。
後日、私は女子の一部から避けられる事に。
まぁ、女子のお友達が減ってもわかってくれる人はいるからいいもん!と思ってはいたが、噂は噂だと突っかかってくる女子達がいるたび、私以上に私の噂を把握し、行動を把握している悟によって見知らぬ女子達は悟によって笑顔で池ポチャされることに。
それが続くと誰もが手出ししなくなった。
「名前も危機感持て」
「一般人相手だよ?」
「俺以外から傷付けられたり、俺以外の奴に着いていくなよ」
「悟は気にしすぎだよ」
「名前は俺のだろ」
「勿論!悟が私をいらないと言う日まで、ずっと悟の盾となり側に居させてもらうよ」
「だーかーら!弱いんだから盾になんかなるな」
「従者だもん。悟の為に生きるよ」
「なら絶対死ぬな。盾になんかならなくても側に居ろ」
って言われたのに拉致られ怪我したのは私です。
悟の暗殺に役立つと狙われたらしいが、数十人も相手にしていたらいつもの注意力の無さが裏目に出て捕まった。
五条家の従者失格だなぁ、と自害してやろうかと思っていたら………
壁ぶっ壊して助けに来てくれた悟。
「テメーら覚悟は出来ているよな?」
マジギレのマジギレバージョン。
あっという間に犯人達……まぁ呪詛師なのだが、彼らは五条家の付き人達に消された。
「捕まってんじゃねーよ」
「ごめんね、悟」
「オマエを傷付けていいのも、オマエを泣かせていいのも、全部俺だけなの。
オマエの髪の毛一本も他の奴らになんかやらない。触らせたくない。
やっぱ苦しめて苦しめて後悔させれば良かった。オマエに触れた指を一本づつ爪を剥がしてゆっくり折って、泣き叫ぶ口に爪を詰め込んでから切り落とせば良かったかな……」
「………悟くーん?」
「オマエは俺のだろ?」
「……ハイ」
この時点で私は理解した。
あ、この子ヤバいと。
しかし遅かった。
普段は甘えただし、ちょっとオラオラと不良ぶるが天真爛漫で笑顔を浮かべているのに、私に告白した奴や、危害を加えそうな奴らには容赦という容赦がない。
おっかしいなぁぁぁああああああ!?
どこで何を間違えた?と考えてももう遅い。
これ従者への対応じゃないよな……と、家族に相談したら諦めた顔で
「「強く生きろ」」
そう言われた。
あの、私毒食べた後まじで何があった?
そして何かある度悟とのソーシャルディスタンスが減っていき、高校……つまり高専。呪術師の学校へ行った時にはほぼ引っ付き虫状態。
「何背負ってんの?」
「主です」
「距離感おかしくないかい?」
「普通だろ」
普通ではありません。
おかしいなー、と思って硝子ちゃんや夏油くんに今までの事を話すと
「「オマエが悪い」」
「甘やかし過ぎたかなぁ?」
「「危機感仕事しろ」」
二人に心配された。
そんな二人の心配も大丈夫大丈夫、まだ……と安易に考えていた私はもう危機感ゼロ過ぎた。
なんやかんやあって2年の悟と夏油くんに与えられた特別任務の最中……私はまた生死を彷徨った。
星奬体護衛任務で何故か沖縄行って戻ってきた悟と夏油くんを入り口で待つ。
不眠不休で戻ってきた悟に何かあったらと来たのだが……思わぬ襲撃者が悟を襲う。
無下限呪術を悟が切った瞬間に来たソイツ。
幼い頃より訓練されてきた習慣で私は悟を突き飛ばして守るように盾となった。
深く突き刺さる刀。
急所は避けたとはいえ痛いし熱い。
地面に倒れた私に襲撃者は残念そうに呟く。
「勘が鈍ったか」
おまっ、刺しといて!!!
あと鈍って無かったら即死だったのかな!?
鈍っててくれてありがとう勘!!!と考えつつ痛みと戦っていたら悟に抱き上げられた。
「傑、名前を頼む」
「しかしっ」
「平気。絶対アイツ殺す」
あ、駄目だ。
過去一番のブチギレた悟にゾッとしたが止める間も無く私の意識はフェードアウト。
「いっ!!」
最低限の硝子ちゃんの治療を受けたとは言え、刺されて痛いし血液が足りない。
起き上がって今どうなってんのかと誰かに会って聞かなきゃ……とベッドから降りた途端に悟が入って来た。
「さと、る」
「まだ寝てなきゃ駄目だろ?オマエ出血量多かったんだから」
「どうなって……」
「終わったよ」
悟の様子がおかしい。
笑っているのに、どこか雰囲気が……。
「終わったから名前は何の心配もしなくていい」
「……何があったの?」
「任務失敗。けど襲撃者は殺したよ」
多分、その言葉が全て。
だが、悟の変化した雰囲気も今の何を考えているのかわからない悟の説明がつかない。
何かを話そうと口を開いた瞬間……悟の唇と重なった。
驚く間も無く舌が入って来て好き勝手口内を荒らす悟。
ファーストキスだし、彼氏も居たことないし、息継ぎの仕方なんてわからないから悟のご尊顔に私の鼻息を掛けてはいけないと謎の使命感が沸き上がり息を止めていれば、悟が離れてくれた。
痛いし苦しいしどうやって呼吸するんだっけ?と過呼吸になりかける。
混乱する頭と驚く身体。
「ちゃんと鼻で呼吸しろ」
落ち着いてほら、ちゃんと息吐いてと優しい悟の言葉。
落ち着いて呼吸に集中する。
やっと普通に呼吸が出来れば今のは夢?と悟を見れば………ハイライト消えてました。
「弱いくせに何やってんだよ」
「えっと……」
「俺言ったよな?
名前は俺のだし俺の側に居ろって。
弱い奴に守られるほど弱くねーし」
「けど、私は悟の従者で」
「盾になんかなるなって言ったろ」
「そんな事言わないでよ。
私があの家に産まれ落ちた時からずっと決まっている事だよ。
"五条"の為に私はこの身を捧げる。
そこに"私"の意思など無い」
五条の為にこの命を使う。
そうやってウチは代々五条に遣えてきた。
中にはそんな宿命などと言った者もいただろう。理不尽な運命を呪った者もいただろう。
だけど私は誇らしい。
「悟を守って死ねる事が悪いことだと思っていないんだ。悟を一人残して逝くのは心残りがあるが……私の代わりはいつでも補充できる」
「やめろ」
「五条ではなく、私は"悟"を守りたい。
私の初めての友であり、幼馴染であり、私の唯一の主」
綺麗で、強くて、頭も良くて、身長もあって、運動が出来……駄目な所は性格の悟。
甘えたで、煽り上手で、楽しいことが好きで、拗ねると口を尖らせ、笑うときは大口を開けて笑い、無邪気で自由な悟。
「大好きな悟を守れる事、私は誇りに思っているんだ」
「それがオマエの自己満足で俺がどんな気かも知らないで!!!」
「悟。私達は幼い頃からずっと一緒だ。
だからこそ執着心が強いのだろうけど……いつか私は壊れてしまう使い捨ての駒だよ。
その駒に悟が心を砕く必要なんてない。
勿論私は悟のモノだが……悟は私のではない。
悟が主である限り、私はこの身を悟の為に何度だって盾に使うよ」
一目見たあの瞬間から、私は悟の為に生きる決意をした。
その決意を嘘にしたくない。
「じゃあ、オマエ俺が主じゃなければいいのか?」
「んー、そうなると五条家から首通達って事かな?五条の名の元秘密事項を話さぬ縛りをして……そうだなぁ、誰も知らない土地でのんびりするのもいいかもな」
「は?」
「勿論裏切るつもりなんかないよ。
悟と離れるのは寂しいけど、私が使えないなら仕方ないね」
この時誰かこの場にいたら、危機感仕事しろと言っていたと思う。
私は悟にキレられた。
「いい加減にしろよ」
え?なんで?
よくわからないまま首に噛み付かれ、そのままベッドに押し倒された。
「ちょっとさと」
「俺がオマエに何度言ったら伝わる?
オマエは俺のだろ?何で勝手に居なくなろうとしてんだよ。誰も許可してねーよ。それにオマエには何度も盾になるなと言ったよな?俺以外に傷付けられるのも、俺以外に殺されるのも、俺以外の手で死ぬのも許されるわけないだろ?オマエは俺のだって何回言えば伝わるんだよ鈍感。弱いオマエを俺が側に置く理由なんて一つしかねーっつの。何年側に置いて引っ付いて虫除けまでしてると思ってんの?そこまでくると鈍感どころか俺ってそーゆー目で見られないって拒絶?は?俺を拒むとか許されると思ってる?許されるわけないだろ」
「………ハィ」
「主だから?ならその主従関係じゃなくなればオマエは盾にもならないし、俺を受け入れて側に居るんだな?」
「主従関係無くなったら私悟と居られないよ?」
「居るだろ。結婚するよな?」
「んん?」
おかしいな?
なぜ結婚?
従者である下位の私が悟と結婚?
そんな話認められるわけ無いと悟も知っているはずだが?
「悟と結婚しないよ?
私は私で五条家を守って支えるための子供を産むんだから」
「は?オマエまじで言ってんの?」
「勿論」
大真面目ですが?
と、言ったらめちゃくちゃ噛まれた。
私一応怪我人!!歯形どころかうっすら血が滲むレベルって普通に痛いよ!!!拷問はいつだって慣れないんだよ!?
なんとかいつもの悟の雰囲気に戻っていく。
最初のピリついたような、悟が違う人に見えてしまった事など錯覚……であればいいのだが、明らかに呪力の流れが変わっているし、以前よりも研ぎ澄まされているように思える。
疲れた、寝ると狭い保健室のベッドに入って来て私を抱えながら眠ろうとする悟。
私も痛いし疲れたので寝た。
その次の日
様子を見に来た校医と硝子ちゃんに悟は叩き起こされた。
「いてーよ硝子」
「怪我人を襲うな」
「襲ってねーよ。まだ」
「怪我を増やすな」
「硝子、その噛み跡消したらまたつけるから」
「………オマエも災難なヤツに好かれたな」
「んー?私は悟が主で嬉しいよ」
「………虫除けし過ぎたんじゃないのか?」
「既成事実作れば勝ちだろ」
それからの悟は本当凄かった。
特級に上がると任務で飛び回るのは仕方無いが、五条家で当主の座をもぎ取り……私の意思など関係無く主従関係を終わらせ、婚約者へ。
元当主に有無も言わせなかったとか……。
私がこのことを知ったのは全て事後報告。
「そーゆー事で、俺も名前もお互い両思いだし行く行くは妻となってもらうけどやっぱ恋人期間は欲しいから入籍するまで恋人でいいよね」
「え?あの……悟?」
「じゃあ行ってくる。帰って来たらよろしく」
そして再び任務へ行ってしまった悟にポカンと口を開いたまま立ち尽くしてしまった。
「………硝子ちゃん」
「諦めろ」
「夏油くん……」
「忠告はしたよ」
なんと言うことだろう。
気付いたらもう手遅れだった。
悟のデカすぎる感情に私は危機感ゼロ。
その結果、引き返せない事に。
この後夏油くんの離反に悟が精神的に不安定になり、めちゃくちゃ地雷踏みまくった。
その結果危機感を最大値まで上げて悟の地雷を探るのが癖になってしまった。
じゃないとうっかり危機感ゼロにした瞬間ハイライトの消えた悟によりガブガブ噛まれながら足腰が立てなくなることを身体に教え込まれた。
初めは主の感覚が抜けきらず、何度か悟を守るような……それこそ習慣付いてしまった毒味や盾の動きをした瞬間、悟による恋人講座という名のお仕置きが始まった。
勿論主としてだけではなく、悟本人が好きだ。
しかし恋人も居なかった私に恋人的なあまーい雰囲気といっても……悟が甘えるのも、私が甘やかす事も昔から変わらないのにどうしたらいい?と聞くと確かに、と納得された。
だが、お仕置きはされた。
とにかく恋人とは甘えて甘やかして悟だけが特別でそれ以外の男、ついでに女も甘やかすな。笑うな。引っ付くな。それを破れば浮気と見なすと無理難題を言われたので……せめて笑うことは許してもらった。
私は初めて悟に出会った時から一目惚れだ。
幼い恋心と己の宿命。
天秤に掛けて重要なのは恋人にならなくても、従者だから隣に居られること。
奥さんになれなくても、従者だから隣に居られること。
どんな時も悟の為にこの身を使えること。
私は悟の従者であることを誇りに思っていたのでその場しのぎの恋心など奥底へ。
それが今じゃ従者から婚約者で恋心を自覚しても許される立場なのだから……それはそれは悟を出来る限り甘やかした。
従者として距離を保ち、友人として一線を引き、幼馴染として割り切っていた部分を全て関係ねぇ!!と悟にやりたい放題構った。
結果、ヤンデレが悪化した。
なぜだ!?恋人だからやってもいいと許可が出たからやったのに!と思ったが、硝子ちゃんに自業自得だと言われた。
「名前?」
「あれ?悟、お疲れ様。もう終わったの?」
「いや、これから恵のとこ行かなきゃ」
「伏黒くん?今、任務に行って……?」
「そう。特級呪物の回収頼んだけど無くなっててさー、流石にヤバいって事で僕も行かなきゃいけなくなったの」
「あらまぁ」
「お土産何がいい?」
「えっと、喜久福!」
「わかった。いい子で待っててね」
「悟も気を付けて」
顔中にキスの嵐。
そしてハグ。
そろそろ新幹線の時間が……と伊地知くんがオロオロしている。
全然離れないので、悟の鼻先にキスをしていってらっしゃいと言ったのに
「やっぱ行くのやめる」
「五条さん!?」
「名前も着いて来ない?」
「学長がお許しになるなら」
「ちょっと頼みに」
「五条さん!!本当に遅れちゃいますよ!」
「チッ、覚えとけよ伊地知」
「ヒェッ」
大人しく行った悟。
「伊地知くん、グッドラック」
「伊地知の心配したらまた妬かれるぞ」
「だから心の中でそっと謝っておく」
戻ってきた悟が新しい一年生を引き連れていて、伏黒くんが怪我人でそちらに構ってしまい……悟にめちゃくちゃ噛まれたのはまた別の話で。
「名前」
「なぁに?悟」
「好きだよ」
「私も大好き」
本日も私の彼氏は国宝級のヤンデレなイケメンです。
あとがき
リクエスト「ヤンデレ五条とその彼女」
ヤンデレって難しいな……!!
普通にヤンデレ目的で書いていたはずなのですが……狂気的になってしまった気が……!!!
ヤンデレとは?と自問自答しつつ、明るくポップに書いて誤魔化し……あれ?誤魔化せていないような……。
お待たせしておいてこんな感じで申し訳ない!
リクエストありがとうございました!