五万企画
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「あれ?名前から電話だ」
「名前姉?」
「あの人仕事で何日か留守なんじゃ?」
「サボって彼氏と電話かよ」
「もしもーし?どうか」
"さ、悟っ!!た、助けっ……あっ!!"
ガタガタッ ガッ ツーツーツー
焦った名前の声。
そして携帯を落としたのか、何かが落ちた物音と切れてしまった電話。
「「「え………」」」
掛け直すが名前が電話に出ることは無かった………。
「…………」
「せ、先生?」
「名前さんに何かあったんすか?」
「物騒ね……」
何も言わずに携帯を見つめる五条に一年達も不安気にオロオロとしてしまう。
そんな中、追い討ちをかけるように息を切らせて走って来た2年がいた。
「悟!!」
「オイ!!あの馬鹿……名前から連絡あったか!?」
「真希さん?そんな慌ててどうしました?」
「昆布!!」
「今オレらもテレビ見て知ったんだが……
名前が仕事で泊まりに行った場所…」
今、爆弾魔が人質と立て込もってるって…
パンダの言葉に一年達はギョッとする。
「真希さんったらそんな冗談嫌ですよ……」
「嘘じゃねぇよ。
あの馬鹿、凄いいわくつきって写真送ってきたやつと同じ所だった」
「まだ犯人は立てこもり中とかで……何か連絡来たりしてねぇカ?」
「それが……」
一年達が先ほどの不穏な電話の内容を話す。
すると2年達の顔色が変わった。
「真希」
「なんだ」
「そのホテルどこ?」
「確か東都にある米花ってとこの……」
「うわぁ……よりによってそこかぁ」
「え?まじ?嘘でしょ?」
米花、と聞いただけで五条と虎杖が反応する。
「なによ。アンタ行ったことあんの?」
「………ある、けどあそこ…は、なぁ…」
「五条さん!!すいませんがちょっと…!!」
伊地知が駆け足で来て、五条は伊地知の元へ。
何か必死に話す伊地知に対し、五条はにやりと笑う。
「集合!!
2年はここに残って何かニュース入ったら連絡してくれる?
……1年は特別実習始めようか」
にこり、と五条は笑った。
ちなみにこれは…………ギャグである。
はい、視点が変わりまして
どーも!!どーもどーも!!
通行人名前でございまぁーす!!
私が今、どこにいるかというと………
「あれれ〜?
お姉さん前に会ったことあるよね!!」
oh My god
この日、私は神様から見放されたと確信した。
仕事の都合で急遽決まった出張。
突然言い渡され、指名された私とイルカ担当の話し方がまったりと独特ななっちゃん(独身・31歳)は仕事着から家に帰って最低限の必要物品をキャリーに詰め込み新幹線に乗ったのだった。
そして行き先も知らぬまま着いた先は………
「どーなってんですかぁー?上司さんよぉ」
「やめて。本当に悪かったって」
「悪いで済むなら警察なんかいらないよ。殺人も強盗も怪盗もFBIも生暖かい目で犯人のこと許してくれるけどここじゃ許してくれないのにどーしてくれんの?」
「だってだって!!ここ出張先なら絶対誰も来ないじゃん!!!みんな嫌がるじゃん!!!けど仕事だから急遽なら断らないだろ!!」
「「ふざけんな」」
なっちゃんと上司の肩オラオラ揺すって騒ぐが……もう、新幹線は行ってしまった。
東都 米花町
私の出張先は事件に……
「あれれ〜??
お姉さん前に会ったことあるよね!!」
ジーザス!!
神々は私をお見捨てなすったご様子だ。
駅から徒歩一歩でまさかの見慣れた少年とご対面に私は地面に崩れ落ちた。
「お、お姉さん……大丈夫?」
「神々よ……私に何の恨みがあってこの仕打ち……」
「お姉さん……?」
少年からコイツヤベェ……って視線を向けられているが、私からしたらお前がヤベェんだよ。
が、しかし!!!!
過去の計算の元、私は学んだ……!!
立ち上がり眼鏡は無いが、眼鏡をクイッとするポーズで少年と向き合う。
「少年」
「(ビクッ)な、なぁに?」
「今日から……いや、明日から水族館に行く予定は?」
「ないよ?」
「じゃあホテルに泊まったり行く予定は?」
「ないかなぁ」
「ありがとう、少年。健やかに育ちたまへ」
アデューと指二本揃えておでこから放す。
気分がいいのでウィンクもしたらドン引かれた。
ここで少年の予定を聞いておけば今後の活動に差し支えなく、穏便に移動出来る可能性を最大限に上げるための報告連絡相談だ。
「よし、まずはホテルにチェックインだな」
「ちなみにどこのホテルですかぁー?」
「ホテルニュー米花だ」
「ハハハ、まじっすか」
「数々の事件起きている名所じゃーないですかぁ………舐めとんのか?あ"?」
「なっちゃん、素が出てるよ」
「やだぁー!!いっけなぁーい☆」
なっちゃん(独身・31歳・女)は素がでるとちょっとやんちゃな血が騒ぐらしい。
今ではゆるふわな森ガールが似合っている色白な美人さんなのだが、学生時代の相棒はマスクと金属バッドだったらしい。
「なっちゃんや」
「なぁに?名前ちゃん」
「これはどーゆー事だろう?」
「私が説明してほしーなぁ」
ホテルに着いた私達。
チェックインしてさあ部屋へ!!
視察する水族館(過去に殺人事件あり)は明日行くことが決定しているので今日はゆっくり休もうぜ!!夜は豪華にホテル飯堪能しようぜ!!と部屋の中に入ってまったりしていた。
いわくつきホテルだぜ☆と真希ちゃんに写真送り付けていたのだが、お土産要求されたのでなっちゃんを置いてお土産買ってくるーと部屋から出たら
「うっぷ」
「………」
「兄貴!!お前兄貴にぶつかって一言も無しか?あぁ!?」
「イチャモン早すぎね?
ごめんなさいの一言すら言わせてくんねーのかよ」
黒い服のサラサラ銀色ロングヘアーの怪しい人にぶつかった。
舎弟らしきサングラスの男がむっちゃイチャモンつけてくんだけど。
「ウォッカ」
「ヘイ、兄貴すいやせん!!」
「………随分と躾の出来た犬ですね」
「あぁ?」
「俺は犬じゃねぇ!!」
やべ、声に出ちゃってた。
「ぶつかってごめんなさい。思いっきりリップ……ついちゃってますね。すいません。
クリーニング代……」
「気にするな」
「兄貴!!」
「古典的なキスマーク付いちゃったんでほんと申し訳無いのでクリーニング代受け取って下さい」
古典的なキスマークと書いて、不細工なキスマークと読む。
ほんっと不細工過ぎて申し訳ないのでクリーニング代……わからないので諭吉を二枚ほど出す。
「綺麗なお姉さんなら許せたかもしれないキスマークも私のようなポンコツが不細工なモノ残してしまったお詫びとして……ほんっと申し訳無いので…」
しかも相手イケメンな。
悟と違った目付き悪いタイプのイケメンな。
服装のセンス無さそ……独特だけど。
「いらねぇ」
「兄貴の特注のコートがそんなはした金ごときでクリーニング代がまかなえると思うな」
「ほんっと申し訳……」
「テメーら手ぇ上げろぉ!!」
は?嘘だろ。
エレベーターから降りてきてすぐに拳銃向けてくる馬鹿いる?
「そこにいる奴ら全員今から食堂に来やがれ!!今すぐにだ!!」
少年いないじゃん!!
なぜこのような仕打ちが!?
「早くしねーと俺の相棒が火を吹くぜ!」
なんかアホじゃね?コイツ。
愉快班かよ。
「兄貴、殺りますか」
「チッ、面倒臭ぇ」
オーイオイオイオイィィイイイイっ!!!!
然り気無くスーツの内側に手いれないでぇ!?
目の前のアホより此方のがヤベェ気がしてきたよぉぉおおおお!!!!!
目の前のアホより、隣の二人組のが百戦錬磨のプロかよ!!!!
「早く動きやがれ!!!」
「せぇっい!!!」
「ぐふっ!!」
拳銃向けながら歩いてきたアホに対し、私はなぜだかヤらなきゃヤベェと判断し、男の脇腹目掛けて力の限り足を振り抜いた。
ボゴッて音がして、見事に決まったので男はそのまま頭を壁に打って気絶した。
拳銃をサッカーボールよろしく蹴り飛ばし、気絶した男の頬を叩く。
「………よしっ!!」
「良くねぇよ!!!何してんだお前!!!」
「やらなきゃ殺られそうだったから」
犯人がな。
「だからって普通単身で蹴り入れねぇよ!!馬鹿か!!!」
「沈めた者勝ちかな、と」
犯人をな。
「お前頭オカシイだろ」
「良く言われます」
「クックックッ!!面白い女だな」
良かったな、犯人。
お前私のおかげで命拾いしたぞ。
「名前ちゃん、何か騒がしいけど何してるのぉ?」
「ちょっとはしゃいじゃった悪い大人の見本の躾……かな?」
「わぁー伸びてるねぇ」
「何か縛るものないかな」
「縛るものはないけどぉ……あ!!そーだぁ!!」
なっちゃんが自分のキャリーからゴソゴソと持ってきたもの………それは
「コレならあるよぉ!!」
「………なぜそれを持ってきた」
「名前ちゃんで使うかなぁと思ってぇ」
気絶している男の腕を後ろに回し、カチチチ……と手錠をはめるなっちゃん(独身・31歳・現在女)
ご丁寧に足にもはめている。
「プレイ用の縄もあるから縛っちゃう?」
「じょぉぉおおおおおし!!!!!
部屋チェンジ!!いや、誰かコイツ縛って!?
私今夜安眠できねぇ!!!」
「楽しい夜をフィーバーしよ☆」
「さ、悟っ!!た、助けっ」
思わず電話しちまったよ。
身の危険が!!!!
と、なっちゃん(独身・31歳・現在女・元男)を警戒していたのだが、ぐいっと銀髪ロングヘアーの人に肩を引かれる。
「……あっ!!」
携帯を落としたのだが……
その落とした携帯をチュイーン、と何かに撃ち抜かれる。
ご臨終した携帯。
静まる空気。
「お前ら、そいつに何をした!!」
お仲間登場☆
「チッ」
「兄貴、どーしやすか」
「……外にサツも集まってきやがったな」
「応援を呼びやすか?」
「バレねぇうちにさっさとズラかる」
不穏な会話だな。
とりあえず……
「助けていただきありがとうございました」
「次はねぇ」
イケメンがいる。
ここにイケメンがいるぞ……!!!!
服装の趣味が悪いけど、イケメンがいる!!
「アイツも仕留められるか」
「隙が出来れば」
「やれ」
命を救っていただいたイケメンからの指示なので、全力で答えましょう!!
コクリ、と頷くと何故か懐から銃を取り出したイケメン。
構え方がもう様になってるね!!
「な、なんだお前!!そんな脅しにはノらねーぞ!!」
「なっちゃん、すまん」
「え?」
なっちゃん(独身・31歳・元男・上の手術済み)のシフォンのゆるふわロングスカートをバッサーとまくる。
犯人はなっちゃんの下半身に視線が釘付けだ。
だって、中の下着がボクサーでもっこりしてると思わないだろ?
動揺した犯人の腹を蹴り飛ばす。
「私のスマホ弁償しろゴラァア!!!!」
怒りの一撃で犯人は沈んだ。
「よくやった」
「ありがたきお言葉」
なっちゃんの私物で手足を捕縛。
二人分の芋虫が完成したぜ。
イケメンとその犬は先を急ぐといなくなってしまった。
その場に残った私となっちゃん。
「ちょっとちょっとー。さっきからわいわいガヤガヤ騒がしいけど何してるの?
学生じゃないんだからマナーくらい守って………え?何してるの?」
ひょっこり顔を出した上司。
「今このホテル事件ですよ」
「まじか」
「あの転がってるのがぁ、こわぁーい犯人さんの一味ですぅ」
「まじかよ」
「あ、部屋変わって下さい」
「今する話!?
僕の首飛んじゃうから無理!!」
「奥さんこわぁーいですもんねぇー」
「なっちゃん(未処理)とは泊まれません」
「え?こないだ夏生手術受けたって言ってたじゃん」
「名前で呼ぶんじゃねぇ」
「未処理(なっちゃん)素が出てるよ」
「あそこも出して、まさに素の姿ってか」
「上手くないから。上司、部屋チェンジね」
「そうだね」
荷物をまとめて上司と部屋交換。
事件が起こっているとなっちゃん(独身・31歳・未処理・心は女・どっちもイケる)がテレビニュースでやっているのに気付き、三人で部屋に引きこもる。
「爆弾だってぇ」
「まじかよ」
「ここ何階でしたっけ?」
「三階」
「閉じ籠ってたら終わらないかな?」
「爆破されたら人生終わりますね」
「やだぁ、名前ちゃんうまーい」
「「「ないわー」」」
三人で頭を抱える。
「名前ちゃん、犯人ボコれたんならぁ……どうにかできないのぉ?」
「無理無理。拳銃相手に素手とかどんな孫悟空だよ」
「出来てたじゃん」
「犯人アホなだけだよ。流石になっちゃんの未処理ネタで全員ボコれない」
「オイ、ネタに使うなよ」
「んーーー助けを待って、引きこもるか…」
「三階なら頑張れば骨折で済みますよ」
「………は?いやいやいや!!!
恐ろしいこと言わないでくれない!?」
「いざとなったら……ですかねぇ」
「君ら2人の覚悟なに!?」
「「ここ(米花)では覚悟の無い奴から消えますよ」」
「ドラマの見すぎ!!」
その瞬間ズゥゥウウウウンッ、と建物が揺れた。
テレビでは一階から煙が出ている。
「「「…………」」」
私達三人は頭を抱えた。
「飛ぶ?もう飛ぶ?」
「骨折かぁ……全治何ヵ月かなぁ」
「諦めないで下さいよ。希望を持っていたら」
"わた、わたしぃ……の、ゆび…ゆびわぁ"
ベッドの下から髪の長い女がひょっこり出てきたとか見間違いだと思いたい。
"ゆび……ユビワ…ユビユビユビ"
「「「…………」」」
"ユビ…"
スゥ……と消えていった女の髪の毛。
三人に沈黙が流れる。
「………見た?」
「「………見えた」」
念のため聞いてみたら、二人とも真顔で頷いた。
三人で腕を組んで眼鏡かけていないのにクイクイと眼鏡を上げる仕草をする。
「苗字さん、除霊とか出来ちゃう?」
「名前ちゃんハイスペックなら惚れる」
「無理です。ただ見えるだけです」
「このベッドの下にいるとか?」
「もしかしたら以前下に隠されたのかもしれませんね」
「やべぇ、覗きたいけど今の見た後で覗く勇気が出ない」
「臭くないんできっと住み着いちゃったやつかな」
「嘘でしょ?ねぇ、嘘でしょ?
この部屋いわくつきってこと?嘘でしょ!?
………だから安かった?」
「「おおぃ上司ぃ!!」」
完全にいわくつきじゃねーか!!!!
「プロに相談……はっ!!」
「どーした?」
「なにかありましたぁ?」
「携帯……撃ち抜かれた」
悟と連絡取れないじゃん。
むしろ、さっきの電話意味ありげでヤバくない?
"ユビ……ユビ、ドコ…"
「「「…………」」」
"ユビワ……わた、ワタシのユビ"
「「「…………」」」
"ユビワスルタメノ、ユビチョーダイ"
ベッドの下から此方を見てニタリ、と笑う女。
その瞬間、三人でダッシュをキメた。
「ヤバいヤバいヤバいヤバい!!」
「アレ完全にヤバいやつぅぅううう!!」
「やばいですねぇ」
「言ってたじゃん!!ヤバいって言ってんじゃん!!」
「初めて見たぁ!!!あんなん本怖じゃん!!恐怖体験のやつじゃん!!」
「あーゆーのって目ェ付けられると逃げ切れないんですよね………はぁ、ヤダ」
「「そーゆー事言うな!!!!」」
「なっちゃん素だよ」
「うるせぇ!!こんなときにキャラ作ってられっか!!!」
「無理無理無理無理!!!呪われる呪われる呪われる!!」
「アンタはもう奥さんに呪われるから大丈夫だ!!」
「それ何のフォローにもなってないよ夏生!!」
「2人とも仲良しですねー」
「「なんで冷静なの!?」」
「残念なことに……閉じ込められちゃったみたいです」
さっきから走っても走っても同じ道。
廊下に転がしていたはずの犯人の仲間はいない。
そして……
"ユビ……ユビッ"
"ご飯に…毒ガァ…"
"オレハ…オレハ、ワルクナイ……"
呪霊フィーバー☆
「「いやぁぁああああ」」
「圧倒的女子的悲鳴」
「「もっと驚け!!」」
「冷静じゃない人見ると冷静なりますよね」
なっちゃん、なかなかご立派な太腿見えてるよ?
走るのにすごい太腿あげてんじゃん。モモ神かよ。
逆に上司、なんで膝曲げなくても速いの?競歩じゃん。ヒザ神じゃん。
「モモ神とヒザ神がここに」
「「余裕ぶっこき過ぎじゃん!!」」
「大丈夫大丈夫
私、運だけはいいから」
ボゴッって謎の音と共に壁が破壊された。
「あ、名前姉いた」
「名前さん怪我無いですか?」
「アンタ厄介事に巻き込まれ過ぎ!!ヒロインか」
「悠仁くん、めぐみん、野薔薇ちゃん!!」
「!!
下がって下さい」
「アレ殺ればいい?」
「取りこぼすんじゃないわよ」
瞬殺で終わらせた一年生達を一人ずつハグする。
交流会以降レベルアップしまくりじゃん。
まじで強いじゃん。
やだ、かっこよすぎてこの子らに惚れる。
「「………」」
「そーいや君らどうやってここまで来たの?
下警察いっぱいじゃん」
「虎杖が」
「壁登って」
「紐垂らして2人を引き上げた!!」
「悠仁くんって忍者かゴリラだった?」
人間は、壁を、登りません。
しかも紐っておま……ビニール紐かよ!!!
「………帳は?」
「「「あ」」」
この壁、どーする?
なんやかんやあって警察に保護された私達。
部屋で引きこもっていたので何も知らないとシラをきる。
ちなみに悠仁くんらは早々に退出した。
忍者かよ。
「お姉さん!!大丈夫だった!?」
「わぁ、少年も来てたの?」
「うん!!蘭姉ちゃんのお友達からご飯に誘われて」
おまっ、お前のせいじゃねーかこのバーロー!!!
「お姉さんの階、犯人の仲間が2人縛られていて壁に穴が開いてたみたいだけど……」
「へー。そーいや廊下騒がしかったなぁ」
「どうして出なかったの?」
「普通爆弾魔いるのに野次馬しないよね?爆破してたし」
「お姉さん、さっき警察の人に連絡先聞かれて携帯駄目になったって言ってたけどどうして?」
「壊れちゃったからね」
「銃で撃たれて?」
ジロッと見られた少年に、ヒュッと息が詰まったよ!!
あれれ〜?呪霊はまったく怖くなかったけど……この少年、こっっっわ!!!!
「落として壊れたんだよ」
「コレお姉さんの携帯だよね?何かで撃ち抜かれて壊れた跡だよ」
「少年は何が言いたいのかな?」
「縛られた犯人倒したのお姉さんでしょ?
一緒に居た人達はずっと震えて怯えてたから演技でも出来ないと思う」
そりゃあ恐怖体験してしまったからな。
爆弾魔より怖かっただろうよ。
「もしそうだったら?」
「お姉さん何者」
ジロリ、と睨まれたんだけど。
普通の一般人じゃボゲェ!!
「少年は探偵さんかな?」
どっちかと言えば尋問官だと思う。
「江戸川コナン。………探偵さ」
「小さな探偵さん」
少年の目の前にしゃがみこみ
くしゃり、と頭を撫でる。
「君の知りたがりは大切な人を危険に追い込むよ」
「!!」
だってそんな事件に首突っ込んでいたら絶対ご家族巻き込まれるじゃん。
ってゆーか、普通は君みたいな少年現場に入れる時点で警察の対応としてどうなの?
「君はまだ年若いんだから人生大切に生きるべきだ」
いやほんとマジで。
そんな年若い頃から事件に首突っ込みすぎたら将来鬱なるぞ。いや、もしかしたらそーゆー趣味に目覚めてしまう……?
死体とか爆発とか強盗とかの刺激求めてしまうヤベェ大人になっちまうぞ。
そっから自分で完全犯罪すれば!!とか思考がおかしくなっちまうぞ。
「未来を生きたければ手を引くこともオススメするよ」
お姉さんは君が真っ当に生きられるよう願うから……親御さんのためにも大人しくお家でゲームとかしてなさい。
「お姉さんは僕の敵?」
「さあ?」
敵でも味方でもなく他人です。
「組織と繋がってるの?」
「まぁね」
「!!!」
黒の組織(呪術師)と繋がってますが何か?
「誰の命令で僕の事嗅ぎ回ってるの」
「少年の事は注目してるだけだよ。
私は組織と繋がりはあるけど下の立場だ」
事件の中心にいる少年をチェックしないと巻き込まれるじゃん。
それに窓だからねー。あと家庭教師(笑)みたいな。
組織内なら下っぱどころか一般人じゃ。
「お姉さん……悪い人?」
「少年、ここまでだ」
お前絶対幽霊とか信じないだろ?
私知ってる。
理屈じゃない!!って理解しようとしないタイプだろ。そんな奴と真っ向からお話したくない。私が精神的に正論でぶちのめされそう。
悪い人……うん、まぁ……壁に穴開けたうちの可愛い子らの仕業隠すのにしらばっくれますけど何か?
「私の事を少年に教えるわけにはいかない」
馬鹿がバレるからな。
「A secret makes a woman woman.」
「!?」
英語かっこいーよね。
昔どっかの女優が言ってた。
「名前」
「来てたの?」
「物騒な電話で切れたから」
一年達を引き連れて来た悟。
引率ご苦労様でーす。そして電話……うん、物騒でごめん。
「待て!!話はまだっ!!」
「なに?この子供」
「破局の原因」
「あー……あったね、そんなん」
人妻寝とり子持ち事件な。
「無事?」
「平気。電話駄目になっちゃったけど」
「穴開いてんじゃん」
「素敵なお兄様に助けてもらわなかったらヤバかった」
「誰?」
「銀色の髪を靡かせ、黒きコートに身を包み、鋭い眼光の兄貴」
「!!
待って!!何でソイツと!?」
え?えらい食いついてきた。
けどね、少年。
私は君ともういたくないんだ……事件と再びエンカウントする前に…!!!
「私の恩人だよ」
「!?」
「じゃあね、少年」
今度こそさよならグッバイ!!!!!
「あのガキ何?」
「事件ホイホイ」
「何言ってんすか。頭打ちました?」
「釘崎、伏黒……まじであの子供ヤバいんだって」
「ただのガキじゃない」
「あの子供と10分いたら殺人か強盗か爆発起きるよ」
「まさか」
まったく信じてないな。
体験した人にしかわからない恐怖体験だわ。
ちなみに出張は無しになった。
泊まるところ変えて明日の視察に挑める気力が無かったらしい。
まぁ、そーだよな。
本怖体験して次の日も事件あったら嫌だもんね。
ちなみに私は上司となっちゃんから本怖製造機と呼ばれるようになった………解せぬ。
あれから数日後……
「名前、ちょっとデートしよ」
「珍しいね」
「何も言わず僕に着いてきてくれる?」
「行き先は秘密ってか」
「その方がサプライズ感あるでしょ?」
ウィンク似合うなチキショー。
そんな悟に騙された……いや、悟に甘い私がいけなかった。
「おまっっ!!!!」
「駄目」
「ふっざけんな!!」
「呪霊ある程度討伐終わるまで付き合ってよ」
「デートじゃなくて任務じゃん」
「デートしながらさっと祓うから」
「片手間か」
「メインはデート」
ちゅう、とおでこに唇をくっ付けて私のご機嫌取ろうとしてる。
悪いがそんなんでは……
「スイーツ巡りしよ」
「喜んでー!!」
悟くんによるスイーツマップ(手作り)を見せられたら行くしかないじゃん!!体重?そんなん明日から気にするわ!!
一件目
とあるホテルに現れる呪霊が従業員を襲い出した。
「はい、雑魚」
「瞬殺」
二件目
とあるアパートで夜な夜な叫び声と(以下略)
「はいおしまい」
「移動のが時間かからない?」
十五件目
とあるテーマパークの(以下略)
「いっそこの街吹き飛ばす?」
「その方が綺麗になる気がしてきた」
って感じに任務終了。
ちなみに一級〜の任務ばかりだったらしいけど、圧倒的悟の悟による悟無双を見るどころか一撃終了。閉店ガラガラでした。
「じゃあデートしよっか」
「グロの後のスイーツはさぞや格別だろうな」
私も悟も気にしませんが何か?
「あ、これ美味しー」
「一口頂戴」
「そっちも一口」
歩きながらクレープ片手に食べさせあいっこなう。
悟くんスイーツマップで何軒か梯子し、間食にクレープ。
太るぞ……と読者は言うだろうが案ずることなかれ。
ほとんどのスイーツは悟が食べ、私はそのおこぼれを一口もらう程度だ。
なので、まともなスイーツはこのクレープしか食べてない。
「悟に付き合ってたら糖尿なる」
「その前に気にすべきは体重じゃない?」
「言うな」
「運動なら付き合うけど?」
にやりとサングラス越しににやけている悟の目には怪しい熱が見え隠れしている。
「それなら真希ちゃんに頼むわ」
「そこは僕でしょ」
そんな話を笑いながらして次の目的地へと地図を見ながらやってきたのだが
「悟」
「もっと下調べしとけば良かった」
「悟くーん」
「すまないと思ったり思わなかったり」
目の前の看板にはポアロの文字。
そして色黒金髪イケメンが爽やかに笑っている。
「確かに美味しかった。認める!!認めるがここはだめだ」
「名前、すでにロックオンされてる」
「スルーしようぜ」
「いらっしゃいませ!!以前も来てくださったカップルですよね?」
はいしゅーりょー。
ラブラブデートはこれより、ドキドキデートとなりまーす。
「わぁ!!久しぶりだね、お姉さん!!」
はい、詰んだーーー!!!!
なぜ小学生が喫茶店常連なんだよ。
どこのセレブだよ。
「………店員さん、今日のオススメスイーツとアイスコーヒーを」
「かしこまりました」
「ねーねーお姉さん!!僕のこと無視しないでよぉ」
「悟、一口だ。おわかりだね?」
「必死すぎて笑うんだけど。笑っていい?」
ぷくくくっ、と目の前で笑いを堪えきれていない悟。
私が少年をフルシカトしてるのが面白いらしい。
しかし、こんなんでめげる少年ではなかった。
「お姉さんいいの?僕泣いちゃうよ?」
「いたいけな小学生泣かせちゃ駄目だよ」
「おや?子供はお嫌いでしたか?」
なにこのチームプレー?
悟まで楽しむのはよしたまえ。
「お姉さん……僕のこと嫌い?」
うるうるとする少年。
チラリ、と少年を見て………フッ、と鼻で笑う。
「恥ずかしくない?」
「な、なんのことかなぁ?」
「無理は良くないよ少年」
さっきから口元ひきつってんぞ。
店員さんが運んでくれたアイスコーヒーを飲む。うん、美味しい。
「……単刀直入に聞くよ。お姉さん何者?」
突然始まりましたー小さな名探偵による、尋問。
「一般人」
苗字 名前……一般人さ。(ドヤァ)
「組織と関わりがあるんでしょ?」
「世の中小学生にはわからない様々な組織があるからね」
むしろ社会に出ると組織しかないんだよ?
「ジンとどうやって知り合ったの」
「バーに行けば会えるさ」
お酒と知り合うってどんな質問?
今時の小学生よくワカラナイ。
「ジンとどんな知り合い?」
「奪い奪い合う仲かな」
意識と理性をな。
お酒は意識を保ち、ほどほどな摂取を心掛け、楽しく飲むことをオススメしますが未成年、飲酒、ダメ。
「女の秘密を名推理出来たかな?少年」
ちなみに答えはほぼ最初っから答えてるよ。
A.一般人
「………」
「まだまだだね」
暴く秘密も無いんだけどな。
だって一般人だもん。
「ふっ……くくっ。コナンくんでもお手上げですか?」
「今考えてるとこなの!!」
「そうでしたか」
にこにことしている店員さん。
楽しそうだな、おい。
そんなに小学生が悩んでるとこ楽しいって……
「ロリコンかな」
「え?」
「ぶふっ!!」
「失礼」
店員さんは笑顔で固まり、悟は震えている。
少年は目を大きく見開いて驚いている。
「名前、馬鹿がバレるよ」
「なんで?」
「何を疑われるようなことしたのかわからないけどコイツは僕のモノで、ただの馬鹿な一般人だよ」
「ねぇ、何で私やらかしたこと前提?」
「君が難しく考えるよりコイツは単純だよ」
にやにやと笑う悟。
何が楽しいんだよ。
私はこの尋問官に何を疑われていて、何を答えるのが正解なの?
「………ねぇ、お姉さん」
「なに」
「お姉さんは銀髪の黒いコートを着た男をどう思ってるの」
「この時期にコートって変態?」
まだ暑さの残る季節でございますよ?
なのに黒いコート?馬鹿じゃん。
しかも頭銀髪?何をどうしてそんな奇抜な頭なんだ。
「そう考えると悟もなかなかの変態か」
「突然の巻き込み」
「悟の仕事着も黒だし……あれ暑そう」
「ちゃんと夏仕様だよ」
少年はパチクリ、と目をまあるく見開いている。
なに?この街では残暑で黒コート決めるの流行りなの?伝統なの?やばくね?
「そーいや爆発の時に会ったお兄さんも黒コートだったな」
「!? その話詳しく聞かせて!!」
「ん?なんで?」
「僕も聞きたいですね。時期外れの黒コートの話」
なに?米花では黒コートの男って怪談でもあんの?
私会っちゃいけない怪談に出会ってたの?
「詳しくもなんもないよ。
部屋から出たらたまたまいた黒コートにキスマーク付けちゃってクリーニング代出そうとしたらお付きの犬に吠えられたんだ」
「ジンにキスマーク?……ぶふっ」
「嘘でしょお姉さん」
「アホだね、名前は」
「そしたら爆弾魔のお仲間が馬鹿っぽく現れたから気絶させて縛って」
「……お姉さん武術の達人?」
「何か体術の心得が?」
「ただの一般人ですが?
で、同僚が未処理だった事で騒いでたら兄貴が引っ張ってくれてその拍子に携帯落ちたら撃ち抜かれて」
「「は?」」
「ムカついたから未処理見せ付けた隙にお仲間気絶させたら褒められた。で、いなくなった」
「「え?」」
店員と少年どうした?
悟は不穏な電話してしまった経緯を話してるのでにやにやしながら聞いている。
「ね?面白い話じゃないでしょ」
「………お姉さんが変な人だっていうのはわかった」
「よく生きてましたね」
「なに?私会った兄貴は米花で語り継がれる都市伝説的なやつなの?」
そりゃー変なの寄ってくるので否定できない。
都市伝説的なやつだったのかよ……兄貴!!
「銀髪に黒身に纏ってる奴はロクな奴がいないな」
「僕喧嘩売られてる?買うよ?」
「sorryダーリン。君は特別さ」
「ははは、後で覚えてなよ?」
目が笑ってないわよダーリン?
「………お姉さんは変人で馬鹿なんだね」
「失礼な少年だ。電気アンマすっぞ」
「セクハラですよ」
「じゃああれだ……えーっと…小学生って何怖がるんだ?」
小学生って一番最強な気がするよ?
「そろそろ子供のお相手はおしまい。
次のとこ行こう」
「もう食べたの?」
「うん」
会計をしてお店から出ようとしたら
「お姉さん!!」
「んー?」
「また会ったらお話してね」
「またのご来店をお待ちしています」
ちりんちりーん、と鳴りながら閉まったドア。
「悟」
「ん?」
「呪霊よりもあの少年のが怖いんだが」
「生きてる人間から生まれるんだから元を辿れば人間が一番タチ悪いよ」
「なるほど」
悟と手を繋いでデートを再開した。
あとがき
通行人とコナンのリクエスト意外と多くてwww
リクエストくださった皆様ありがとうございましたー!!!!
匿名さんから6件ほどコナンとクロスオーバーで絡んで、とwww
皆様コナン好きすぎでしょ(笑)(笑)
なかにジンと絡んで〜とあったのですが
兄貴と絡むには通行人がいつ兄貴に米神ぶっぱなされるかわからないので(笑)
ちなみに東都は東京だから新幹線って……ってツッコミは無しで(笑)
隣街的な感じで新幹線で時空を越えているので(笑)
皆様リクエストありがとうございました!!!
「名前姉?」
「あの人仕事で何日か留守なんじゃ?」
「サボって彼氏と電話かよ」
「もしもーし?どうか」
"さ、悟っ!!た、助けっ……あっ!!"
ガタガタッ ガッ ツーツーツー
焦った名前の声。
そして携帯を落としたのか、何かが落ちた物音と切れてしまった電話。
「「「え………」」」
掛け直すが名前が電話に出ることは無かった………。
「…………」
「せ、先生?」
「名前さんに何かあったんすか?」
「物騒ね……」
何も言わずに携帯を見つめる五条に一年達も不安気にオロオロとしてしまう。
そんな中、追い討ちをかけるように息を切らせて走って来た2年がいた。
「悟!!」
「オイ!!あの馬鹿……名前から連絡あったか!?」
「真希さん?そんな慌ててどうしました?」
「昆布!!」
「今オレらもテレビ見て知ったんだが……
名前が仕事で泊まりに行った場所…」
今、爆弾魔が人質と立て込もってるって…
パンダの言葉に一年達はギョッとする。
「真希さんったらそんな冗談嫌ですよ……」
「嘘じゃねぇよ。
あの馬鹿、凄いいわくつきって写真送ってきたやつと同じ所だった」
「まだ犯人は立てこもり中とかで……何か連絡来たりしてねぇカ?」
「それが……」
一年達が先ほどの不穏な電話の内容を話す。
すると2年達の顔色が変わった。
「真希」
「なんだ」
「そのホテルどこ?」
「確か東都にある米花ってとこの……」
「うわぁ……よりによってそこかぁ」
「え?まじ?嘘でしょ?」
米花、と聞いただけで五条と虎杖が反応する。
「なによ。アンタ行ったことあんの?」
「………ある、けどあそこ…は、なぁ…」
「五条さん!!すいませんがちょっと…!!」
伊地知が駆け足で来て、五条は伊地知の元へ。
何か必死に話す伊地知に対し、五条はにやりと笑う。
「集合!!
2年はここに残って何かニュース入ったら連絡してくれる?
……1年は特別実習始めようか」
にこり、と五条は笑った。
ちなみにこれは…………ギャグである。
はい、視点が変わりまして
どーも!!どーもどーも!!
通行人名前でございまぁーす!!
私が今、どこにいるかというと………
「あれれ〜?
お姉さん前に会ったことあるよね!!」
oh My god
この日、私は神様から見放されたと確信した。
仕事の都合で急遽決まった出張。
突然言い渡され、指名された私とイルカ担当の話し方がまったりと独特ななっちゃん(独身・31歳)は仕事着から家に帰って最低限の必要物品をキャリーに詰め込み新幹線に乗ったのだった。
そして行き先も知らぬまま着いた先は………
「どーなってんですかぁー?上司さんよぉ」
「やめて。本当に悪かったって」
「悪いで済むなら警察なんかいらないよ。殺人も強盗も怪盗もFBIも生暖かい目で犯人のこと許してくれるけどここじゃ許してくれないのにどーしてくれんの?」
「だってだって!!ここ出張先なら絶対誰も来ないじゃん!!!みんな嫌がるじゃん!!!けど仕事だから急遽なら断らないだろ!!」
「「ふざけんな」」
なっちゃんと上司の肩オラオラ揺すって騒ぐが……もう、新幹線は行ってしまった。
東都 米花町
私の出張先は事件に……
「あれれ〜??
お姉さん前に会ったことあるよね!!」
ジーザス!!
神々は私をお見捨てなすったご様子だ。
駅から徒歩一歩でまさかの見慣れた少年とご対面に私は地面に崩れ落ちた。
「お、お姉さん……大丈夫?」
「神々よ……私に何の恨みがあってこの仕打ち……」
「お姉さん……?」
少年からコイツヤベェ……って視線を向けられているが、私からしたらお前がヤベェんだよ。
が、しかし!!!!
過去の計算の元、私は学んだ……!!
立ち上がり眼鏡は無いが、眼鏡をクイッとするポーズで少年と向き合う。
「少年」
「(ビクッ)な、なぁに?」
「今日から……いや、明日から水族館に行く予定は?」
「ないよ?」
「じゃあホテルに泊まったり行く予定は?」
「ないかなぁ」
「ありがとう、少年。健やかに育ちたまへ」
アデューと指二本揃えておでこから放す。
気分がいいのでウィンクもしたらドン引かれた。
ここで少年の予定を聞いておけば今後の活動に差し支えなく、穏便に移動出来る可能性を最大限に上げるための報告連絡相談だ。
「よし、まずはホテルにチェックインだな」
「ちなみにどこのホテルですかぁー?」
「ホテルニュー米花だ」
「ハハハ、まじっすか」
「数々の事件起きている名所じゃーないですかぁ………舐めとんのか?あ"?」
「なっちゃん、素が出てるよ」
「やだぁー!!いっけなぁーい☆」
なっちゃん(独身・31歳・女)は素がでるとちょっとやんちゃな血が騒ぐらしい。
今ではゆるふわな森ガールが似合っている色白な美人さんなのだが、学生時代の相棒はマスクと金属バッドだったらしい。
「なっちゃんや」
「なぁに?名前ちゃん」
「これはどーゆー事だろう?」
「私が説明してほしーなぁ」
ホテルに着いた私達。
チェックインしてさあ部屋へ!!
視察する水族館(過去に殺人事件あり)は明日行くことが決定しているので今日はゆっくり休もうぜ!!夜は豪華にホテル飯堪能しようぜ!!と部屋の中に入ってまったりしていた。
いわくつきホテルだぜ☆と真希ちゃんに写真送り付けていたのだが、お土産要求されたのでなっちゃんを置いてお土産買ってくるーと部屋から出たら
「うっぷ」
「………」
「兄貴!!お前兄貴にぶつかって一言も無しか?あぁ!?」
「イチャモン早すぎね?
ごめんなさいの一言すら言わせてくんねーのかよ」
黒い服のサラサラ銀色ロングヘアーの怪しい人にぶつかった。
舎弟らしきサングラスの男がむっちゃイチャモンつけてくんだけど。
「ウォッカ」
「ヘイ、兄貴すいやせん!!」
「………随分と躾の出来た犬ですね」
「あぁ?」
「俺は犬じゃねぇ!!」
やべ、声に出ちゃってた。
「ぶつかってごめんなさい。思いっきりリップ……ついちゃってますね。すいません。
クリーニング代……」
「気にするな」
「兄貴!!」
「古典的なキスマーク付いちゃったんでほんと申し訳無いのでクリーニング代受け取って下さい」
古典的なキスマークと書いて、不細工なキスマークと読む。
ほんっと不細工過ぎて申し訳ないのでクリーニング代……わからないので諭吉を二枚ほど出す。
「綺麗なお姉さんなら許せたかもしれないキスマークも私のようなポンコツが不細工なモノ残してしまったお詫びとして……ほんっと申し訳無いので…」
しかも相手イケメンな。
悟と違った目付き悪いタイプのイケメンな。
服装のセンス無さそ……独特だけど。
「いらねぇ」
「兄貴の特注のコートがそんなはした金ごときでクリーニング代がまかなえると思うな」
「ほんっと申し訳……」
「テメーら手ぇ上げろぉ!!」
は?嘘だろ。
エレベーターから降りてきてすぐに拳銃向けてくる馬鹿いる?
「そこにいる奴ら全員今から食堂に来やがれ!!今すぐにだ!!」
少年いないじゃん!!
なぜこのような仕打ちが!?
「早くしねーと俺の相棒が火を吹くぜ!」
なんかアホじゃね?コイツ。
愉快班かよ。
「兄貴、殺りますか」
「チッ、面倒臭ぇ」
オーイオイオイオイィィイイイイっ!!!!
然り気無くスーツの内側に手いれないでぇ!?
目の前のアホより此方のがヤベェ気がしてきたよぉぉおおおお!!!!!
目の前のアホより、隣の二人組のが百戦錬磨のプロかよ!!!!
「早く動きやがれ!!!」
「せぇっい!!!」
「ぐふっ!!」
拳銃向けながら歩いてきたアホに対し、私はなぜだかヤらなきゃヤベェと判断し、男の脇腹目掛けて力の限り足を振り抜いた。
ボゴッて音がして、見事に決まったので男はそのまま頭を壁に打って気絶した。
拳銃をサッカーボールよろしく蹴り飛ばし、気絶した男の頬を叩く。
「………よしっ!!」
「良くねぇよ!!!何してんだお前!!!」
「やらなきゃ殺られそうだったから」
犯人がな。
「だからって普通単身で蹴り入れねぇよ!!馬鹿か!!!」
「沈めた者勝ちかな、と」
犯人をな。
「お前頭オカシイだろ」
「良く言われます」
「クックックッ!!面白い女だな」
良かったな、犯人。
お前私のおかげで命拾いしたぞ。
「名前ちゃん、何か騒がしいけど何してるのぉ?」
「ちょっとはしゃいじゃった悪い大人の見本の躾……かな?」
「わぁー伸びてるねぇ」
「何か縛るものないかな」
「縛るものはないけどぉ……あ!!そーだぁ!!」
なっちゃんが自分のキャリーからゴソゴソと持ってきたもの………それは
「コレならあるよぉ!!」
「………なぜそれを持ってきた」
「名前ちゃんで使うかなぁと思ってぇ」
気絶している男の腕を後ろに回し、カチチチ……と手錠をはめるなっちゃん(独身・31歳・現在女)
ご丁寧に足にもはめている。
「プレイ用の縄もあるから縛っちゃう?」
「じょぉぉおおおおおし!!!!!
部屋チェンジ!!いや、誰かコイツ縛って!?
私今夜安眠できねぇ!!!」
「楽しい夜をフィーバーしよ☆」
「さ、悟っ!!た、助けっ」
思わず電話しちまったよ。
身の危険が!!!!
と、なっちゃん(独身・31歳・現在女・元男)を警戒していたのだが、ぐいっと銀髪ロングヘアーの人に肩を引かれる。
「……あっ!!」
携帯を落としたのだが……
その落とした携帯をチュイーン、と何かに撃ち抜かれる。
ご臨終した携帯。
静まる空気。
「お前ら、そいつに何をした!!」
お仲間登場☆
「チッ」
「兄貴、どーしやすか」
「……外にサツも集まってきやがったな」
「応援を呼びやすか?」
「バレねぇうちにさっさとズラかる」
不穏な会話だな。
とりあえず……
「助けていただきありがとうございました」
「次はねぇ」
イケメンがいる。
ここにイケメンがいるぞ……!!!!
服装の趣味が悪いけど、イケメンがいる!!
「アイツも仕留められるか」
「隙が出来れば」
「やれ」
命を救っていただいたイケメンからの指示なので、全力で答えましょう!!
コクリ、と頷くと何故か懐から銃を取り出したイケメン。
構え方がもう様になってるね!!
「な、なんだお前!!そんな脅しにはノらねーぞ!!」
「なっちゃん、すまん」
「え?」
なっちゃん(独身・31歳・元男・上の手術済み)のシフォンのゆるふわロングスカートをバッサーとまくる。
犯人はなっちゃんの下半身に視線が釘付けだ。
だって、中の下着がボクサーでもっこりしてると思わないだろ?
動揺した犯人の腹を蹴り飛ばす。
「私のスマホ弁償しろゴラァア!!!!」
怒りの一撃で犯人は沈んだ。
「よくやった」
「ありがたきお言葉」
なっちゃんの私物で手足を捕縛。
二人分の芋虫が完成したぜ。
イケメンとその犬は先を急ぐといなくなってしまった。
その場に残った私となっちゃん。
「ちょっとちょっとー。さっきからわいわいガヤガヤ騒がしいけど何してるの?
学生じゃないんだからマナーくらい守って………え?何してるの?」
ひょっこり顔を出した上司。
「今このホテル事件ですよ」
「まじか」
「あの転がってるのがぁ、こわぁーい犯人さんの一味ですぅ」
「まじかよ」
「あ、部屋変わって下さい」
「今する話!?
僕の首飛んじゃうから無理!!」
「奥さんこわぁーいですもんねぇー」
「なっちゃん(未処理)とは泊まれません」
「え?こないだ夏生手術受けたって言ってたじゃん」
「名前で呼ぶんじゃねぇ」
「未処理(なっちゃん)素が出てるよ」
「あそこも出して、まさに素の姿ってか」
「上手くないから。上司、部屋チェンジね」
「そうだね」
荷物をまとめて上司と部屋交換。
事件が起こっているとなっちゃん(独身・31歳・未処理・心は女・どっちもイケる)がテレビニュースでやっているのに気付き、三人で部屋に引きこもる。
「爆弾だってぇ」
「まじかよ」
「ここ何階でしたっけ?」
「三階」
「閉じ籠ってたら終わらないかな?」
「爆破されたら人生終わりますね」
「やだぁ、名前ちゃんうまーい」
「「「ないわー」」」
三人で頭を抱える。
「名前ちゃん、犯人ボコれたんならぁ……どうにかできないのぉ?」
「無理無理。拳銃相手に素手とかどんな孫悟空だよ」
「出来てたじゃん」
「犯人アホなだけだよ。流石になっちゃんの未処理ネタで全員ボコれない」
「オイ、ネタに使うなよ」
「んーーー助けを待って、引きこもるか…」
「三階なら頑張れば骨折で済みますよ」
「………は?いやいやいや!!!
恐ろしいこと言わないでくれない!?」
「いざとなったら……ですかねぇ」
「君ら2人の覚悟なに!?」
「「ここ(米花)では覚悟の無い奴から消えますよ」」
「ドラマの見すぎ!!」
その瞬間ズゥゥウウウウンッ、と建物が揺れた。
テレビでは一階から煙が出ている。
「「「…………」」」
私達三人は頭を抱えた。
「飛ぶ?もう飛ぶ?」
「骨折かぁ……全治何ヵ月かなぁ」
「諦めないで下さいよ。希望を持っていたら」
"わた、わたしぃ……の、ゆび…ゆびわぁ"
ベッドの下から髪の長い女がひょっこり出てきたとか見間違いだと思いたい。
"ゆび……ユビワ…ユビユビユビ"
「「「…………」」」
"ユビ…"
スゥ……と消えていった女の髪の毛。
三人に沈黙が流れる。
「………見た?」
「「………見えた」」
念のため聞いてみたら、二人とも真顔で頷いた。
三人で腕を組んで眼鏡かけていないのにクイクイと眼鏡を上げる仕草をする。
「苗字さん、除霊とか出来ちゃう?」
「名前ちゃんハイスペックなら惚れる」
「無理です。ただ見えるだけです」
「このベッドの下にいるとか?」
「もしかしたら以前下に隠されたのかもしれませんね」
「やべぇ、覗きたいけど今の見た後で覗く勇気が出ない」
「臭くないんできっと住み着いちゃったやつかな」
「嘘でしょ?ねぇ、嘘でしょ?
この部屋いわくつきってこと?嘘でしょ!?
………だから安かった?」
「「おおぃ上司ぃ!!」」
完全にいわくつきじゃねーか!!!!
「プロに相談……はっ!!」
「どーした?」
「なにかありましたぁ?」
「携帯……撃ち抜かれた」
悟と連絡取れないじゃん。
むしろ、さっきの電話意味ありげでヤバくない?
"ユビ……ユビ、ドコ…"
「「「…………」」」
"ユビワ……わた、ワタシのユビ"
「「「…………」」」
"ユビワスルタメノ、ユビチョーダイ"
ベッドの下から此方を見てニタリ、と笑う女。
その瞬間、三人でダッシュをキメた。
「ヤバいヤバいヤバいヤバい!!」
「アレ完全にヤバいやつぅぅううう!!」
「やばいですねぇ」
「言ってたじゃん!!ヤバいって言ってんじゃん!!」
「初めて見たぁ!!!あんなん本怖じゃん!!恐怖体験のやつじゃん!!」
「あーゆーのって目ェ付けられると逃げ切れないんですよね………はぁ、ヤダ」
「「そーゆー事言うな!!!!」」
「なっちゃん素だよ」
「うるせぇ!!こんなときにキャラ作ってられっか!!!」
「無理無理無理無理!!!呪われる呪われる呪われる!!」
「アンタはもう奥さんに呪われるから大丈夫だ!!」
「それ何のフォローにもなってないよ夏生!!」
「2人とも仲良しですねー」
「「なんで冷静なの!?」」
「残念なことに……閉じ込められちゃったみたいです」
さっきから走っても走っても同じ道。
廊下に転がしていたはずの犯人の仲間はいない。
そして……
"ユビ……ユビッ"
"ご飯に…毒ガァ…"
"オレハ…オレハ、ワルクナイ……"
呪霊フィーバー☆
「「いやぁぁああああ」」
「圧倒的女子的悲鳴」
「「もっと驚け!!」」
「冷静じゃない人見ると冷静なりますよね」
なっちゃん、なかなかご立派な太腿見えてるよ?
走るのにすごい太腿あげてんじゃん。モモ神かよ。
逆に上司、なんで膝曲げなくても速いの?競歩じゃん。ヒザ神じゃん。
「モモ神とヒザ神がここに」
「「余裕ぶっこき過ぎじゃん!!」」
「大丈夫大丈夫
私、運だけはいいから」
ボゴッって謎の音と共に壁が破壊された。
「あ、名前姉いた」
「名前さん怪我無いですか?」
「アンタ厄介事に巻き込まれ過ぎ!!ヒロインか」
「悠仁くん、めぐみん、野薔薇ちゃん!!」
「!!
下がって下さい」
「アレ殺ればいい?」
「取りこぼすんじゃないわよ」
瞬殺で終わらせた一年生達を一人ずつハグする。
交流会以降レベルアップしまくりじゃん。
まじで強いじゃん。
やだ、かっこよすぎてこの子らに惚れる。
「「………」」
「そーいや君らどうやってここまで来たの?
下警察いっぱいじゃん」
「虎杖が」
「壁登って」
「紐垂らして2人を引き上げた!!」
「悠仁くんって忍者かゴリラだった?」
人間は、壁を、登りません。
しかも紐っておま……ビニール紐かよ!!!
「………帳は?」
「「「あ」」」
この壁、どーする?
なんやかんやあって警察に保護された私達。
部屋で引きこもっていたので何も知らないとシラをきる。
ちなみに悠仁くんらは早々に退出した。
忍者かよ。
「お姉さん!!大丈夫だった!?」
「わぁ、少年も来てたの?」
「うん!!蘭姉ちゃんのお友達からご飯に誘われて」
おまっ、お前のせいじゃねーかこのバーロー!!!
「お姉さんの階、犯人の仲間が2人縛られていて壁に穴が開いてたみたいだけど……」
「へー。そーいや廊下騒がしかったなぁ」
「どうして出なかったの?」
「普通爆弾魔いるのに野次馬しないよね?爆破してたし」
「お姉さん、さっき警察の人に連絡先聞かれて携帯駄目になったって言ってたけどどうして?」
「壊れちゃったからね」
「銃で撃たれて?」
ジロッと見られた少年に、ヒュッと息が詰まったよ!!
あれれ〜?呪霊はまったく怖くなかったけど……この少年、こっっっわ!!!!
「落として壊れたんだよ」
「コレお姉さんの携帯だよね?何かで撃ち抜かれて壊れた跡だよ」
「少年は何が言いたいのかな?」
「縛られた犯人倒したのお姉さんでしょ?
一緒に居た人達はずっと震えて怯えてたから演技でも出来ないと思う」
そりゃあ恐怖体験してしまったからな。
爆弾魔より怖かっただろうよ。
「もしそうだったら?」
「お姉さん何者」
ジロリ、と睨まれたんだけど。
普通の一般人じゃボゲェ!!
「少年は探偵さんかな?」
どっちかと言えば尋問官だと思う。
「江戸川コナン。………探偵さ」
「小さな探偵さん」
少年の目の前にしゃがみこみ
くしゃり、と頭を撫でる。
「君の知りたがりは大切な人を危険に追い込むよ」
「!!」
だってそんな事件に首突っ込んでいたら絶対ご家族巻き込まれるじゃん。
ってゆーか、普通は君みたいな少年現場に入れる時点で警察の対応としてどうなの?
「君はまだ年若いんだから人生大切に生きるべきだ」
いやほんとマジで。
そんな年若い頃から事件に首突っ込みすぎたら将来鬱なるぞ。いや、もしかしたらそーゆー趣味に目覚めてしまう……?
死体とか爆発とか強盗とかの刺激求めてしまうヤベェ大人になっちまうぞ。
そっから自分で完全犯罪すれば!!とか思考がおかしくなっちまうぞ。
「未来を生きたければ手を引くこともオススメするよ」
お姉さんは君が真っ当に生きられるよう願うから……親御さんのためにも大人しくお家でゲームとかしてなさい。
「お姉さんは僕の敵?」
「さあ?」
敵でも味方でもなく他人です。
「組織と繋がってるの?」
「まぁね」
「!!!」
黒の組織(呪術師)と繋がってますが何か?
「誰の命令で僕の事嗅ぎ回ってるの」
「少年の事は注目してるだけだよ。
私は組織と繋がりはあるけど下の立場だ」
事件の中心にいる少年をチェックしないと巻き込まれるじゃん。
それに窓だからねー。あと家庭教師(笑)みたいな。
組織内なら下っぱどころか一般人じゃ。
「お姉さん……悪い人?」
「少年、ここまでだ」
お前絶対幽霊とか信じないだろ?
私知ってる。
理屈じゃない!!って理解しようとしないタイプだろ。そんな奴と真っ向からお話したくない。私が精神的に正論でぶちのめされそう。
悪い人……うん、まぁ……壁に穴開けたうちの可愛い子らの仕業隠すのにしらばっくれますけど何か?
「私の事を少年に教えるわけにはいかない」
馬鹿がバレるからな。
「A secret makes a woman woman.」
「!?」
英語かっこいーよね。
昔どっかの女優が言ってた。
「名前」
「来てたの?」
「物騒な電話で切れたから」
一年達を引き連れて来た悟。
引率ご苦労様でーす。そして電話……うん、物騒でごめん。
「待て!!話はまだっ!!」
「なに?この子供」
「破局の原因」
「あー……あったね、そんなん」
人妻寝とり子持ち事件な。
「無事?」
「平気。電話駄目になっちゃったけど」
「穴開いてんじゃん」
「素敵なお兄様に助けてもらわなかったらヤバかった」
「誰?」
「銀色の髪を靡かせ、黒きコートに身を包み、鋭い眼光の兄貴」
「!!
待って!!何でソイツと!?」
え?えらい食いついてきた。
けどね、少年。
私は君ともういたくないんだ……事件と再びエンカウントする前に…!!!
「私の恩人だよ」
「!?」
「じゃあね、少年」
今度こそさよならグッバイ!!!!!
「あのガキ何?」
「事件ホイホイ」
「何言ってんすか。頭打ちました?」
「釘崎、伏黒……まじであの子供ヤバいんだって」
「ただのガキじゃない」
「あの子供と10分いたら殺人か強盗か爆発起きるよ」
「まさか」
まったく信じてないな。
体験した人にしかわからない恐怖体験だわ。
ちなみに出張は無しになった。
泊まるところ変えて明日の視察に挑める気力が無かったらしい。
まぁ、そーだよな。
本怖体験して次の日も事件あったら嫌だもんね。
ちなみに私は上司となっちゃんから本怖製造機と呼ばれるようになった………解せぬ。
あれから数日後……
「名前、ちょっとデートしよ」
「珍しいね」
「何も言わず僕に着いてきてくれる?」
「行き先は秘密ってか」
「その方がサプライズ感あるでしょ?」
ウィンク似合うなチキショー。
そんな悟に騙された……いや、悟に甘い私がいけなかった。
「おまっっ!!!!」
「駄目」
「ふっざけんな!!」
「呪霊ある程度討伐終わるまで付き合ってよ」
「デートじゃなくて任務じゃん」
「デートしながらさっと祓うから」
「片手間か」
「メインはデート」
ちゅう、とおでこに唇をくっ付けて私のご機嫌取ろうとしてる。
悪いがそんなんでは……
「スイーツ巡りしよ」
「喜んでー!!」
悟くんによるスイーツマップ(手作り)を見せられたら行くしかないじゃん!!体重?そんなん明日から気にするわ!!
一件目
とあるホテルに現れる呪霊が従業員を襲い出した。
「はい、雑魚」
「瞬殺」
二件目
とあるアパートで夜な夜な叫び声と(以下略)
「はいおしまい」
「移動のが時間かからない?」
十五件目
とあるテーマパークの(以下略)
「いっそこの街吹き飛ばす?」
「その方が綺麗になる気がしてきた」
って感じに任務終了。
ちなみに一級〜の任務ばかりだったらしいけど、圧倒的悟の悟による悟無双を見るどころか一撃終了。閉店ガラガラでした。
「じゃあデートしよっか」
「グロの後のスイーツはさぞや格別だろうな」
私も悟も気にしませんが何か?
「あ、これ美味しー」
「一口頂戴」
「そっちも一口」
歩きながらクレープ片手に食べさせあいっこなう。
悟くんスイーツマップで何軒か梯子し、間食にクレープ。
太るぞ……と読者は言うだろうが案ずることなかれ。
ほとんどのスイーツは悟が食べ、私はそのおこぼれを一口もらう程度だ。
なので、まともなスイーツはこのクレープしか食べてない。
「悟に付き合ってたら糖尿なる」
「その前に気にすべきは体重じゃない?」
「言うな」
「運動なら付き合うけど?」
にやりとサングラス越しににやけている悟の目には怪しい熱が見え隠れしている。
「それなら真希ちゃんに頼むわ」
「そこは僕でしょ」
そんな話を笑いながらして次の目的地へと地図を見ながらやってきたのだが
「悟」
「もっと下調べしとけば良かった」
「悟くーん」
「すまないと思ったり思わなかったり」
目の前の看板にはポアロの文字。
そして色黒金髪イケメンが爽やかに笑っている。
「確かに美味しかった。認める!!認めるがここはだめだ」
「名前、すでにロックオンされてる」
「スルーしようぜ」
「いらっしゃいませ!!以前も来てくださったカップルですよね?」
はいしゅーりょー。
ラブラブデートはこれより、ドキドキデートとなりまーす。
「わぁ!!久しぶりだね、お姉さん!!」
はい、詰んだーーー!!!!
なぜ小学生が喫茶店常連なんだよ。
どこのセレブだよ。
「………店員さん、今日のオススメスイーツとアイスコーヒーを」
「かしこまりました」
「ねーねーお姉さん!!僕のこと無視しないでよぉ」
「悟、一口だ。おわかりだね?」
「必死すぎて笑うんだけど。笑っていい?」
ぷくくくっ、と目の前で笑いを堪えきれていない悟。
私が少年をフルシカトしてるのが面白いらしい。
しかし、こんなんでめげる少年ではなかった。
「お姉さんいいの?僕泣いちゃうよ?」
「いたいけな小学生泣かせちゃ駄目だよ」
「おや?子供はお嫌いでしたか?」
なにこのチームプレー?
悟まで楽しむのはよしたまえ。
「お姉さん……僕のこと嫌い?」
うるうるとする少年。
チラリ、と少年を見て………フッ、と鼻で笑う。
「恥ずかしくない?」
「な、なんのことかなぁ?」
「無理は良くないよ少年」
さっきから口元ひきつってんぞ。
店員さんが運んでくれたアイスコーヒーを飲む。うん、美味しい。
「……単刀直入に聞くよ。お姉さん何者?」
突然始まりましたー小さな名探偵による、尋問。
「一般人」
苗字 名前……一般人さ。(ドヤァ)
「組織と関わりがあるんでしょ?」
「世の中小学生にはわからない様々な組織があるからね」
むしろ社会に出ると組織しかないんだよ?
「ジンとどうやって知り合ったの」
「バーに行けば会えるさ」
お酒と知り合うってどんな質問?
今時の小学生よくワカラナイ。
「ジンとどんな知り合い?」
「奪い奪い合う仲かな」
意識と理性をな。
お酒は意識を保ち、ほどほどな摂取を心掛け、楽しく飲むことをオススメしますが未成年、飲酒、ダメ。
「女の秘密を名推理出来たかな?少年」
ちなみに答えはほぼ最初っから答えてるよ。
A.一般人
「………」
「まだまだだね」
暴く秘密も無いんだけどな。
だって一般人だもん。
「ふっ……くくっ。コナンくんでもお手上げですか?」
「今考えてるとこなの!!」
「そうでしたか」
にこにことしている店員さん。
楽しそうだな、おい。
そんなに小学生が悩んでるとこ楽しいって……
「ロリコンかな」
「え?」
「ぶふっ!!」
「失礼」
店員さんは笑顔で固まり、悟は震えている。
少年は目を大きく見開いて驚いている。
「名前、馬鹿がバレるよ」
「なんで?」
「何を疑われるようなことしたのかわからないけどコイツは僕のモノで、ただの馬鹿な一般人だよ」
「ねぇ、何で私やらかしたこと前提?」
「君が難しく考えるよりコイツは単純だよ」
にやにやと笑う悟。
何が楽しいんだよ。
私はこの尋問官に何を疑われていて、何を答えるのが正解なの?
「………ねぇ、お姉さん」
「なに」
「お姉さんは銀髪の黒いコートを着た男をどう思ってるの」
「この時期にコートって変態?」
まだ暑さの残る季節でございますよ?
なのに黒いコート?馬鹿じゃん。
しかも頭銀髪?何をどうしてそんな奇抜な頭なんだ。
「そう考えると悟もなかなかの変態か」
「突然の巻き込み」
「悟の仕事着も黒だし……あれ暑そう」
「ちゃんと夏仕様だよ」
少年はパチクリ、と目をまあるく見開いている。
なに?この街では残暑で黒コート決めるの流行りなの?伝統なの?やばくね?
「そーいや爆発の時に会ったお兄さんも黒コートだったな」
「!? その話詳しく聞かせて!!」
「ん?なんで?」
「僕も聞きたいですね。時期外れの黒コートの話」
なに?米花では黒コートの男って怪談でもあんの?
私会っちゃいけない怪談に出会ってたの?
「詳しくもなんもないよ。
部屋から出たらたまたまいた黒コートにキスマーク付けちゃってクリーニング代出そうとしたらお付きの犬に吠えられたんだ」
「ジンにキスマーク?……ぶふっ」
「嘘でしょお姉さん」
「アホだね、名前は」
「そしたら爆弾魔のお仲間が馬鹿っぽく現れたから気絶させて縛って」
「……お姉さん武術の達人?」
「何か体術の心得が?」
「ただの一般人ですが?
で、同僚が未処理だった事で騒いでたら兄貴が引っ張ってくれてその拍子に携帯落ちたら撃ち抜かれて」
「「は?」」
「ムカついたから未処理見せ付けた隙にお仲間気絶させたら褒められた。で、いなくなった」
「「え?」」
店員と少年どうした?
悟は不穏な電話してしまった経緯を話してるのでにやにやしながら聞いている。
「ね?面白い話じゃないでしょ」
「………お姉さんが変な人だっていうのはわかった」
「よく生きてましたね」
「なに?私会った兄貴は米花で語り継がれる都市伝説的なやつなの?」
そりゃー変なの寄ってくるので否定できない。
都市伝説的なやつだったのかよ……兄貴!!
「銀髪に黒身に纏ってる奴はロクな奴がいないな」
「僕喧嘩売られてる?買うよ?」
「sorryダーリン。君は特別さ」
「ははは、後で覚えてなよ?」
目が笑ってないわよダーリン?
「………お姉さんは変人で馬鹿なんだね」
「失礼な少年だ。電気アンマすっぞ」
「セクハラですよ」
「じゃああれだ……えーっと…小学生って何怖がるんだ?」
小学生って一番最強な気がするよ?
「そろそろ子供のお相手はおしまい。
次のとこ行こう」
「もう食べたの?」
「うん」
会計をしてお店から出ようとしたら
「お姉さん!!」
「んー?」
「また会ったらお話してね」
「またのご来店をお待ちしています」
ちりんちりーん、と鳴りながら閉まったドア。
「悟」
「ん?」
「呪霊よりもあの少年のが怖いんだが」
「生きてる人間から生まれるんだから元を辿れば人間が一番タチ悪いよ」
「なるほど」
悟と手を繋いでデートを再開した。
あとがき
通行人とコナンのリクエスト意外と多くてwww
リクエストくださった皆様ありがとうございましたー!!!!
匿名さんから6件ほどコナンとクロスオーバーで絡んで、とwww
皆様コナン好きすぎでしょ(笑)(笑)
なかにジンと絡んで〜とあったのですが
兄貴と絡むには通行人がいつ兄貴に米神ぶっぱなされるかわからないので(笑)
ちなみに東都は東京だから新幹線って……ってツッコミは無しで(笑)
隣街的な感じで新幹線で時空を越えているので(笑)
皆様リクエストありがとうございました!!!