十万企画
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「わぁ、久々だね真依」
「姉さん……どうしてこっちに?」
「「「「「姉さん!?」」」」」
呪術高専京都高にて声が揃った。
自分の発言にハッと気付いた真依は慌てたように此方をキッ、と睨み付ける。
「何しに来たのよ」
「真依がこっちに入学するって連絡くれたでしょう?」
「し、してないわよ!覚えてないわ」
「真依?」
「馴れ馴れしく呼ばないで」
真依のいつもと違う反応におや?と頭を傾げてしまう。
「真依ちゃん知り合い?」
「真依のお姉さんって双子って聞きましたが……?」
「あーもーアンタ達うるさいわね!
用が無いならもう私行くけどいいわよね?」
「真依……反抗期?」
「違うわよ!!」
昔から定期的に連絡をくれる真依が反抗期だとは思っていないが、多分学校の生徒の手前上手く甘えられないのかもしれない。
「久々に会ったのに真依ったら会いたくなかったのかー。残念だなぁ」
「うっ……」
「真依の入学と聞いてお祝いがしたくて駆け付けたんだけどなぁ」
「私じゃなくても、アンタのとこにはアイツが!!」
「あら?真希も真依も私にとっては可愛い妹よ?
お祝いに駆け付けるのは当たり前じゃない」
はいどうぞ、と真依の好きそうなものを集めたお祝い品を贈る。
顔を赤くして俯きながら小さな声でありがとう、と聞こえたのでその頭を撫でる。
「連絡は取り合っていたけど、実際に会うのは数年ぶりだね」
「……そうね」
「大きくなったね。真依。
私、抜かされちゃった」
少し高い真依の頭を撫でていれば恥ずかしそうにしていたものの……何かに気付いたように遠ざかる真依。
バッ、と京都高の仲間達を見て顔色を変える。
「真依……双子のお姉さん以外にお姉さんが居たんですね!」
「ち、違うわよ!!この人は別にっ」
「皆さん真依ったらツンツンして生意気で扱い大変かもしれませんが仲良くしてください」
「ちょっと止めてよ!?」
お菓子を渡せば照れる真依。
どうやら少し会わない間に反抗期に入ってしまったらしい。
「貴女は五条家に嫁入りされた方では?
なぜ真依と親しいのでしょうか?」
糸目の男の子……歌姫さんに見せてもらった名簿で見た。
「君、もしかして加茂の子かな?」
「そうですが」
「私、禪院の分家出身なの。
婚約者が嫌で、禪院が嫌いで五条家に嫁入りしたのよ」
「「「「は?」」」」
「入籍後に報告したら禪院当主とは殴り合いになったし、色々あったからいない者として外されたのかも」
ケラケラと笑いながら言えば、ポカーンとする京都高の子供達。
「本当、昔から貴女は無茶苦茶なのよ」
「真依……お姉さんって呼んでくれないの?」
「呼ばないわよ!あと、皆の前で姉ぶるの止めてくれる?不愉快だわ」
「あぁ、そっか。
ごめんね、真依。二人っきりの方が甘えられるもんね……真依ももう大人になってきたから照れてしまうのね」
「だ、か、ら!!!!」
顔を真っ赤にして叫ぶ真依。
まだまだ子供だと思っていたが、一人でもしっかり立てるよう真依なりに頑張ったのだろう。
「真依、会いたかったよ」
「………ズルいのよ、姉さんは」
真依を優しく抱き締めると大人しく腕の中にいてくれる。
服の裾を指先で握る癖はまだ治っていないらしい。
「真希は」
「真希も元気だよ。ビックリしちゃった。
東京の方に来るんだもの」
「勝手なのよアイツ」
「挨拶したらいきなり殴ってくるから驚いたわ。
真希も強くなったのね」
「野蛮ね」
「真依も強くなったね」
頭を撫でると裾を掴む指先に力が入る。
この姉妹は今回……真希が東京に来た事で溝が出来てしまっていた。
真希は気にしていない様子だったが、真依は真希との関わりを遠ざけ恨み憎んでいる。
臆病で気の弱い真依は呪術師になりたくないと言っていた。
だが、真希が見えなくても呪力が無くても一族を見返してやりたいと家を出てしまった為……真依は真希の分も頑張らなくてはいけなくなった。
二人で行っていた雑用も、まだ続く陰湿な嫌がらせすらも真依が一人で二人分。
私が当主に何を言おうと長年積もりに積もった考えは簡単に変わらない。
二人は話し合えばわかり合えたと思う。
真希は今も真依を大切にして可愛いと思っているし、真依も置いていかれたと思って真希が嫌いだと言っているが本当は大好きだ。
お互いがお互いを大切にしているのに、言葉が足りない素直じゃない者同士だからすれ違っているだけ。
真依がこうなってしまったのは少なからず私の影響ではないかと思う。
幼い真希と真依に中途半端に手を伸ばし、置いていったから真希は私を恨んだ。
そして今回、真希は真依を置いて出た。
だからこそ真希を憎んでいるのだろう。
「真希を嫌わないであげてね」
「知らないわよ、あんな奴」
「真希は私みたいに真依を置いていったわけじゃないよ」
「姉さんは違う!
姉さんはいつだって私達の為に動いてくれているじゃない!!
理不尽な暴力も理不尽な出来事も全て姉さんが引き受けてくれていた!!
不幸な人生を歩むより、姉さんが幸せになる事が悪いことだなんて思っていないわ」
「真依……」
「だけどアイツは自分の事しか考えていないからっ!!」
「真希は真依が大好きだよ」
「………嫌いよ。私は、大っ嫌い」
悔しそうに表情を歪める真依。
この問題は姉妹で腹を割って話し合った方が良さそうだ。
真依の頭を撫でると此方によりかかってくる。
「姉さんとアイツを一緒にしないで」
「……置いてってしまった身としては同じだよ」
「姉さんのばか」
「素直になれない真依は損だね」
「うるさい」
なんて、仲間の前でやってしまった手前、普段の真依とは違った一面に驚いていた京都の子達。
真依が落ち着いて周りが居たことに気付くと顔を真っ赤にして私に馬鹿と叫んでそっぽ向いてしまった。
「ふふふ。お騒がせしてごめんなさい」
「姉さん!!」
「改めて私は五条名前です」
「あ、あの!!」
「貴女は……」
「三輪と申します!
御三家の五条に嫁入りしたと言ってましたが……その」
「五条悟の妻か?」
「そうね」
女子だがパンツスーツのような学生服の三輪がチラチラこちらを見ながら口ごもる。
そこへ東堂が悟の名を出したので頷いた。
「あの最強の奥さん!?」
「本当の本当ですか!?」
「最強の五条の妻です」
キャーー!と騒ぐ女の子二人。
「オイ」
「何かな?東堂くん」
「どんな人がタイプだ?」
「ちょっと東堂先輩!?」
真衣が焦ったように東堂を見る。
しかし東堂は真依を押し退けて名前へと問う。
「男でも女でもいいぞ」
「好きなタイプって事?」
「そうだ。俺は尻とタッパのある女性が好きだ」
「そうだなぁ……黒髪、切れ長の目、筋肉があって強い人が好き」
「ほぉ」
「って昔なら言っていたよ」
懐かしいな、と思う。
学生時代何度か好みを聞かれる度そう答えていた。
「今は私の金蹴り受けても平気な人かな」
「……姉さん」
「私より弱い人には興味無いの」
今も、昔も。
「……そうか」
「君の興味は引けたかな?東堂くん」
「性癖がつまらん奴は中身もつまらん。
アンタはなかなか面白そうだ」
「それは光栄だよ」
満足そうな東堂くん。
真依はほっとした表情を見せるがすぐにキッと眉をつり上げて此方を睨み付ける。
「回答を間違えたら姉さん危なかったのよ」
「流石に女は殴らん。
高田ちゃんに俺が女を殴るような男だと思われたくないからな」
「紳士なのね、東堂くん」
東京の新入生も濃かったが、京都もなかなか濃いらしい。
そもそも呪術師で影の薄い人間などいないかもしれない。
「姉さんがいくら強くても東堂先輩みたいなゴリラ相手なんて……」
「勝つよ?」
「どこから来るのよその自信!」
「悟以外に負ける気は無いの」
「随分な自信だな」
「勿論。生徒に負ける腕前じゃ教職なんて出来ないからね」
「私も東堂も学生の中ではそれなりに強いですよ」
「二人相手でもいいよ?」
やろうか?と微笑みかけるとピリッとする加茂。
東堂は首を振っている。
残念、東堂くんは煽りに乗ってはくれないらしい。
「こーら!何煽ってんのよ」
「あ、歌姫さん」
「アンタまでクソなアイツに似るんじゃないわよ!!」
「やだなー。可愛い後輩達を育てる為の指導だよ?」
「アンタの場合トラウマ植え付けるの間違いよ」
「ふふふ」
残念、と笑えば歌姫さんに叩かれた。
楽しくなさそうな加茂。
東堂は何を考えているかわからないがじっと名前を見ている。
「見ればわかる。確かに今の俺では厳しそうだ」
「東堂くん素敵ね。君、強くなるよ」
「アンタ達もこの子の口車に乗るんじゃないわよ」
「そこまで実力があるようには見えませんが」
「現時点で名前に勝てる呪術師なんて片手レベルよ。
毎年名前の見た目から甘く見た生徒達をフルボッコにして笑って楽しむ鬼畜よ」
「そんな酷くないよ。
ちょっと実力を見てるだけ」
「尋問で心が折れるまでボコッて反転術式かけてボコることを優しいとは認めないわよ」
「躾は最初が肝心だよ?」
ケラケラ笑う名前に引く京都高。
加茂もやる気を無くして距離を取る。
「姉さん……」
「大丈夫大丈夫。
呪術師はわりと丈夫だから」
「気をつけなさいよ。可愛い顔して普通に骨折りにいく女よ」
「酷いなぁ。生徒には酷くしないって」
「あの馬鹿の悪い影響受けてんじゃないわよ」
歌姫さんに嫌な顔をされて笑ってしまう。
「真依ちゃんのお姉さん美人なのにヤバいね」
「昔はもっと頼りになる人だと……」
「真依はお姉さんが好きなんですね」
「そう……ちっ!!違く……ない、けど……っ
あの人は特別でっ!!好きとかじゃなくて!!」
「大好キッテコトカ」
「ロボが変なこと言ってんじゃないわよ!!」
「真依、私のこと大好きなのかー」
「そんなんじゃないって言ってんでしょ!?」
「私は真依が大好き」
「………っ!!!」
「真依は?」
「………き、よ。大好きよこの馬鹿っ!!」
真っ赤な顔で走って行ってしまった真依に笑ってしまう。
「遊バレテルナ」
「真依ったら素直じゃないけど
悪い子じゃないから……どうか皆さんよろしくね」
「「勿論!!」」
「ところでアンタ一人なの?」
「うん。任務だったし」
「いつ帰るのよ?ゆっくり出来るの?」
「そろそろ帰りの新幹線かな。
歌姫さん、次はゆっくりお茶しましょ」
「アイツがいないならね」
相変わらず歌姫さんは悟が嫌いだな、なんて笑ってしまう。
目的も達成したし、時間も迫っているので帰ろうとしたのだが
「姉さん」
「真依?」
出入口の門の所で待っていた真依。
「次は……もっとゆっくり、話す時間作って。
私だけの時間」
「勿論。私の可愛い真依のお願いなら必ず」
「あと」
「?」
「……写真、一緒に撮って欲しい」
さっきは逃げたのに、わざわざ帰り道の誰もいない所で待ち伏せていた真依に笑ってしまう。
写真を撮ると嬉しそうに微笑む真依を撫でる。
「またね、姉さん」
「またね、真依」
素直じゃない妹は私が東京に着くまで祝いのお礼や先程撮った写真を送ってきて、一緒に行きたい場所の話をしていた。
あとがき
リクエスト「真依との再会」
真依の先輩大好きムーブ。
高田ちゃんにハマる原因(笑)が先輩の影響だったらいいな、と。
姉に飢えてる真依。
お待たせしてしまい申し訳ありませんでした!
リクエストありがとうございます!
これからも明星をよろしくお願いいたします!
「姉さん……どうしてこっちに?」
「「「「「姉さん!?」」」」」
呪術高専京都高にて声が揃った。
自分の発言にハッと気付いた真依は慌てたように此方をキッ、と睨み付ける。
「何しに来たのよ」
「真依がこっちに入学するって連絡くれたでしょう?」
「し、してないわよ!覚えてないわ」
「真依?」
「馴れ馴れしく呼ばないで」
真依のいつもと違う反応におや?と頭を傾げてしまう。
「真依ちゃん知り合い?」
「真依のお姉さんって双子って聞きましたが……?」
「あーもーアンタ達うるさいわね!
用が無いならもう私行くけどいいわよね?」
「真依……反抗期?」
「違うわよ!!」
昔から定期的に連絡をくれる真依が反抗期だとは思っていないが、多分学校の生徒の手前上手く甘えられないのかもしれない。
「久々に会ったのに真依ったら会いたくなかったのかー。残念だなぁ」
「うっ……」
「真依の入学と聞いてお祝いがしたくて駆け付けたんだけどなぁ」
「私じゃなくても、アンタのとこにはアイツが!!」
「あら?真希も真依も私にとっては可愛い妹よ?
お祝いに駆け付けるのは当たり前じゃない」
はいどうぞ、と真依の好きそうなものを集めたお祝い品を贈る。
顔を赤くして俯きながら小さな声でありがとう、と聞こえたのでその頭を撫でる。
「連絡は取り合っていたけど、実際に会うのは数年ぶりだね」
「……そうね」
「大きくなったね。真依。
私、抜かされちゃった」
少し高い真依の頭を撫でていれば恥ずかしそうにしていたものの……何かに気付いたように遠ざかる真依。
バッ、と京都高の仲間達を見て顔色を変える。
「真依……双子のお姉さん以外にお姉さんが居たんですね!」
「ち、違うわよ!!この人は別にっ」
「皆さん真依ったらツンツンして生意気で扱い大変かもしれませんが仲良くしてください」
「ちょっと止めてよ!?」
お菓子を渡せば照れる真依。
どうやら少し会わない間に反抗期に入ってしまったらしい。
「貴女は五条家に嫁入りされた方では?
なぜ真依と親しいのでしょうか?」
糸目の男の子……歌姫さんに見せてもらった名簿で見た。
「君、もしかして加茂の子かな?」
「そうですが」
「私、禪院の分家出身なの。
婚約者が嫌で、禪院が嫌いで五条家に嫁入りしたのよ」
「「「「は?」」」」
「入籍後に報告したら禪院当主とは殴り合いになったし、色々あったからいない者として外されたのかも」
ケラケラと笑いながら言えば、ポカーンとする京都高の子供達。
「本当、昔から貴女は無茶苦茶なのよ」
「真依……お姉さんって呼んでくれないの?」
「呼ばないわよ!あと、皆の前で姉ぶるの止めてくれる?不愉快だわ」
「あぁ、そっか。
ごめんね、真依。二人っきりの方が甘えられるもんね……真依ももう大人になってきたから照れてしまうのね」
「だ、か、ら!!!!」
顔を真っ赤にして叫ぶ真依。
まだまだ子供だと思っていたが、一人でもしっかり立てるよう真依なりに頑張ったのだろう。
「真依、会いたかったよ」
「………ズルいのよ、姉さんは」
真依を優しく抱き締めると大人しく腕の中にいてくれる。
服の裾を指先で握る癖はまだ治っていないらしい。
「真希は」
「真希も元気だよ。ビックリしちゃった。
東京の方に来るんだもの」
「勝手なのよアイツ」
「挨拶したらいきなり殴ってくるから驚いたわ。
真希も強くなったのね」
「野蛮ね」
「真依も強くなったね」
頭を撫でると裾を掴む指先に力が入る。
この姉妹は今回……真希が東京に来た事で溝が出来てしまっていた。
真希は気にしていない様子だったが、真依は真希との関わりを遠ざけ恨み憎んでいる。
臆病で気の弱い真依は呪術師になりたくないと言っていた。
だが、真希が見えなくても呪力が無くても一族を見返してやりたいと家を出てしまった為……真依は真希の分も頑張らなくてはいけなくなった。
二人で行っていた雑用も、まだ続く陰湿な嫌がらせすらも真依が一人で二人分。
私が当主に何を言おうと長年積もりに積もった考えは簡単に変わらない。
二人は話し合えばわかり合えたと思う。
真希は今も真依を大切にして可愛いと思っているし、真依も置いていかれたと思って真希が嫌いだと言っているが本当は大好きだ。
お互いがお互いを大切にしているのに、言葉が足りない素直じゃない者同士だからすれ違っているだけ。
真依がこうなってしまったのは少なからず私の影響ではないかと思う。
幼い真希と真依に中途半端に手を伸ばし、置いていったから真希は私を恨んだ。
そして今回、真希は真依を置いて出た。
だからこそ真希を憎んでいるのだろう。
「真希を嫌わないであげてね」
「知らないわよ、あんな奴」
「真希は私みたいに真依を置いていったわけじゃないよ」
「姉さんは違う!
姉さんはいつだって私達の為に動いてくれているじゃない!!
理不尽な暴力も理不尽な出来事も全て姉さんが引き受けてくれていた!!
不幸な人生を歩むより、姉さんが幸せになる事が悪いことだなんて思っていないわ」
「真依……」
「だけどアイツは自分の事しか考えていないからっ!!」
「真希は真依が大好きだよ」
「………嫌いよ。私は、大っ嫌い」
悔しそうに表情を歪める真依。
この問題は姉妹で腹を割って話し合った方が良さそうだ。
真依の頭を撫でると此方によりかかってくる。
「姉さんとアイツを一緒にしないで」
「……置いてってしまった身としては同じだよ」
「姉さんのばか」
「素直になれない真依は損だね」
「うるさい」
なんて、仲間の前でやってしまった手前、普段の真依とは違った一面に驚いていた京都の子達。
真依が落ち着いて周りが居たことに気付くと顔を真っ赤にして私に馬鹿と叫んでそっぽ向いてしまった。
「ふふふ。お騒がせしてごめんなさい」
「姉さん!!」
「改めて私は五条名前です」
「あ、あの!!」
「貴女は……」
「三輪と申します!
御三家の五条に嫁入りしたと言ってましたが……その」
「五条悟の妻か?」
「そうね」
女子だがパンツスーツのような学生服の三輪がチラチラこちらを見ながら口ごもる。
そこへ東堂が悟の名を出したので頷いた。
「あの最強の奥さん!?」
「本当の本当ですか!?」
「最強の五条の妻です」
キャーー!と騒ぐ女の子二人。
「オイ」
「何かな?東堂くん」
「どんな人がタイプだ?」
「ちょっと東堂先輩!?」
真衣が焦ったように東堂を見る。
しかし東堂は真依を押し退けて名前へと問う。
「男でも女でもいいぞ」
「好きなタイプって事?」
「そうだ。俺は尻とタッパのある女性が好きだ」
「そうだなぁ……黒髪、切れ長の目、筋肉があって強い人が好き」
「ほぉ」
「って昔なら言っていたよ」
懐かしいな、と思う。
学生時代何度か好みを聞かれる度そう答えていた。
「今は私の金蹴り受けても平気な人かな」
「……姉さん」
「私より弱い人には興味無いの」
今も、昔も。
「……そうか」
「君の興味は引けたかな?東堂くん」
「性癖がつまらん奴は中身もつまらん。
アンタはなかなか面白そうだ」
「それは光栄だよ」
満足そうな東堂くん。
真依はほっとした表情を見せるがすぐにキッと眉をつり上げて此方を睨み付ける。
「回答を間違えたら姉さん危なかったのよ」
「流石に女は殴らん。
高田ちゃんに俺が女を殴るような男だと思われたくないからな」
「紳士なのね、東堂くん」
東京の新入生も濃かったが、京都もなかなか濃いらしい。
そもそも呪術師で影の薄い人間などいないかもしれない。
「姉さんがいくら強くても東堂先輩みたいなゴリラ相手なんて……」
「勝つよ?」
「どこから来るのよその自信!」
「悟以外に負ける気は無いの」
「随分な自信だな」
「勿論。生徒に負ける腕前じゃ教職なんて出来ないからね」
「私も東堂も学生の中ではそれなりに強いですよ」
「二人相手でもいいよ?」
やろうか?と微笑みかけるとピリッとする加茂。
東堂は首を振っている。
残念、東堂くんは煽りに乗ってはくれないらしい。
「こーら!何煽ってんのよ」
「あ、歌姫さん」
「アンタまでクソなアイツに似るんじゃないわよ!!」
「やだなー。可愛い後輩達を育てる為の指導だよ?」
「アンタの場合トラウマ植え付けるの間違いよ」
「ふふふ」
残念、と笑えば歌姫さんに叩かれた。
楽しくなさそうな加茂。
東堂は何を考えているかわからないがじっと名前を見ている。
「見ればわかる。確かに今の俺では厳しそうだ」
「東堂くん素敵ね。君、強くなるよ」
「アンタ達もこの子の口車に乗るんじゃないわよ」
「そこまで実力があるようには見えませんが」
「現時点で名前に勝てる呪術師なんて片手レベルよ。
毎年名前の見た目から甘く見た生徒達をフルボッコにして笑って楽しむ鬼畜よ」
「そんな酷くないよ。
ちょっと実力を見てるだけ」
「尋問で心が折れるまでボコッて反転術式かけてボコることを優しいとは認めないわよ」
「躾は最初が肝心だよ?」
ケラケラ笑う名前に引く京都高。
加茂もやる気を無くして距離を取る。
「姉さん……」
「大丈夫大丈夫。
呪術師はわりと丈夫だから」
「気をつけなさいよ。可愛い顔して普通に骨折りにいく女よ」
「酷いなぁ。生徒には酷くしないって」
「あの馬鹿の悪い影響受けてんじゃないわよ」
歌姫さんに嫌な顔をされて笑ってしまう。
「真依ちゃんのお姉さん美人なのにヤバいね」
「昔はもっと頼りになる人だと……」
「真依はお姉さんが好きなんですね」
「そう……ちっ!!違く……ない、けど……っ
あの人は特別でっ!!好きとかじゃなくて!!」
「大好キッテコトカ」
「ロボが変なこと言ってんじゃないわよ!!」
「真依、私のこと大好きなのかー」
「そんなんじゃないって言ってんでしょ!?」
「私は真依が大好き」
「………っ!!!」
「真依は?」
「………き、よ。大好きよこの馬鹿っ!!」
真っ赤な顔で走って行ってしまった真依に笑ってしまう。
「遊バレテルナ」
「真依ったら素直じゃないけど
悪い子じゃないから……どうか皆さんよろしくね」
「「勿論!!」」
「ところでアンタ一人なの?」
「うん。任務だったし」
「いつ帰るのよ?ゆっくり出来るの?」
「そろそろ帰りの新幹線かな。
歌姫さん、次はゆっくりお茶しましょ」
「アイツがいないならね」
相変わらず歌姫さんは悟が嫌いだな、なんて笑ってしまう。
目的も達成したし、時間も迫っているので帰ろうとしたのだが
「姉さん」
「真依?」
出入口の門の所で待っていた真依。
「次は……もっとゆっくり、話す時間作って。
私だけの時間」
「勿論。私の可愛い真依のお願いなら必ず」
「あと」
「?」
「……写真、一緒に撮って欲しい」
さっきは逃げたのに、わざわざ帰り道の誰もいない所で待ち伏せていた真依に笑ってしまう。
写真を撮ると嬉しそうに微笑む真依を撫でる。
「またね、姉さん」
「またね、真依」
素直じゃない妹は私が東京に着くまで祝いのお礼や先程撮った写真を送ってきて、一緒に行きたい場所の話をしていた。
あとがき
リクエスト「真依との再会」
真依の先輩大好きムーブ。
高田ちゃんにハマる原因(笑)が先輩の影響だったらいいな、と。
姉に飢えてる真依。
お待たせしてしまい申し訳ありませんでした!
リクエストありがとうございます!
これからも明星をよろしくお願いいたします!