十万企画
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久しぶりの硝子ちゃんとのご飯に何を食べようかとお品書きを見る。
「流石硝子ちゃんが選ぶ店。めちゃくちゃ美味しい」
「だろ」
「日本酒によく合う」
「こっちもウマイぞ」
「幸せ」
お酒も美味しいし料理も美味しくて表情筋がゆるっゆるの通行人名前です。
これはウマイ。たまーに食べる居酒屋料理って何でこんな美味しくて幸せになるんだろ?と思ってしまう。
まったりと硝子ちゃんと料理もお酒も楽しんでいたらわいわいガヤガヤと賑やかな御一行がお隣に。
あれがいい!!これがいい!!と言っていたと思ったら乾杯の声。
多分男同士の飲み会なのだろう。
ノリが若干学生っぽさがあるものの、久しぶりの再会を楽しんでいるようだ。
「うるさくしてすいません」
「いいえ、おかまいなく」
「………あれ?」
「?」
ひょっこりと顔を出した猫っぽい短髪の男の人。
なぜか私の顔を見てじーっと見つめたと思えば顔を引っ込めた。
「知り合いか?」
「んー?どうだろ?」
硝子ちゃんのペースで呑んでいたから少し酔いが回るのが早い。
弱くはないが、ポワポワと気持ちいい酔いが回っているので思考が鈍い。
再び隣の小上がりから顔を覗かせた顔に少し酔いが覚めた。
「クロ?」
「名前だ」
「あ、思い出した。研磨とクロの部活仲間のリベロのやっくん」
「そうそう」
「友達と飲みに来てたのか」
「そーでーっす」
美人だろ?とドヤ顔をすれば真顔で頷かれた。
硝子ちゃんは気にせずぐいぐい呑んでいる。
「研磨、名前いるぞ」
「うわ……酔ってんじゃん」
「酔ってないまだ。ポワポワしてるだけ」
「それを酔ってると言うんだよ、酔っぱらい」
「オマエそんな弱かった?」
「黒尾、見ろアレ」
私と硝子ちゃんで開けた酒の瓶と器。
その多さに軽く引くリベロの人とクロ。
「まだまだ序の口だよね?」
「そうだな。次注文するぞ」
「よろー」
「「「は?」」」
硝子ちゃんがオススメを楽しそうに頼む。
今日はとにかく呑みたい硝子ちゃんに付き合うため、ウコンを呑んで準備は万端だ。
硝子ちゃんほど呑めはしないが、硝子ちゃんがウマイと言う物に外れはない。
なので一瓶全部飲みきれなくても一杯2杯は付き合いつつ、次の酒に備えるのだ。
「そんな飲んで平気なのか?悟くんに怒られるぞ」
「悟は仕事なので問題なし」
「五条がいるとゆっくり呑めないからな」
「悟下戸だし、喧しいもんね」
「早々に潰してもいいが後々面倒だからな」
「悟いたら硝子ちゃんの気が済むまで呑めないし」
「口煩いから面倒だ」
「ちなみに悟はこのこと知ってるの?」
「「…………」」
研磨の質問に硝子ちゃんとお互い顔を見合わせてにっこりと笑う。
言うわけがない。
「研磨さん、黒尾さん、夜久さん何してんですかー??ナンパですか?」
ひょっこりと顔を出した背のデカイ男の子。
白い髪に思わずお酒の器を落としかけた。
「うわっ!美人さんだ!!」
「………悟かと思った」
「髪色だけだろ」
「身長も似たり寄ったりだと見る」
「最近測ってないけど学生の頃は194ありました!」
「ほら!ほら!」
ちゃっかり此方のスペースに入って来た銀髪の子を撫で回す。
その子もその子で嬉しそうにすり寄るもんだから猫みたいだ。
「かっわいー」
「こらこら。うちの後輩を勝手に甘やかさないでくださーい」
「リエーフ、ハウス」
「黒尾さんも研磨さんも夜久さんもズルいですよ!!俺だって綺麗なお姉さんと話したいです!!」
「今度にしなよ。あと、この酔っ払いは駄目」
「酔っ払いじゃないってー」
「悟に言うよ」
「んー、ダメダメ」
「研磨さんが女性と普通に話してる……!?」
「名前、少し酔い覚ますのにそっちで話せ」
「あー、ごめんよ硝子ちゃん。
あ、オススメ呑みきる前に絶対一口私にも残してよ!!」
「まだ呑むの?」
「そろそろ止めとけって」
「今日は呑むと決めた日だから」
喧しいからちょっと出ていけと硝子ちゃんにオブラートに包まれて言われたので、酔いを覚ますためにクロと研磨の小上がりへ。
「あー、あっつ」
「酔っ払い」
「まだ平気だって」
「お前男いる場所でそんな寛ぐなよ。
コイツらの目の毒」
「クロと研磨いるから問題無いって」
クロと研磨が慣れたように私の両側を固める。
お酒で火照るのは仕方がない。
酔いが回っているが、まだまだ思考ははっきりしている。少し鈍いだけだ。
「すいません。騒がしくして」
「いいえ。此方こそ楽しい部活仲間の集会だったのに来てしまってすいません」
菩薩のような人が微笑んでいる。
学生の頃にクロとよく一緒に居た人だな、と思い出す。
「………女子」
「あ、研磨によく絡んでたモヒカンくんだ」
「ピャッ」
「話しかけないであげて」
話し掛けただけで飛び上がる元モヒカンくん。
研磨が可哀想なものを見る目を向けている。
「水飲む?」
「貰うー」
「ほら、酔っ払い」
「まだまだ大丈夫だって研磨もクロも知ってるじゃん」
「悟くん居ないから心配してんだよ」
「硝子ちゃんとこ泊まる予定だよ」
ワクレベルの硝子ちゃんに安心して身を任せられるというのに……
と思っていたらクロは笑顔を増すし、研磨も微妙な顔をしている。
「名前って昔から危機感というか、学習能力足りないよね」
「突然のディスりやめてよ」
「服パタパタやめなさい。ちゃんと座りなさい」
「クロのオカンがでたー」
「名前が悪い」
「片方が酒に強いとはいえ、美人な女二人が呑んで酔っていたら男は狼になるんです。
普段なら大概の男なんてバッサリと片付けれるかもしれないけど、思考が鈍ってるお前があの美人と自分の身を守れますか?」
「………」
「クロ、名前絶対聞いてないよ。ポテト食べたいとか別な事に気を取られてる」
「流石研磨!わかってるー!」
「研磨、甘やかすなよ。ポテトやるな。
こーゆー時はビシッとだな」
「………黒尾」
「何?やっくん。今ちょっと忙しいから」
「お前何やってんの?」
「雑炊食わせてる」
「説教してる奴の対応じゃねーよ」
そう、やっくんの言うとおりクロはあーだこーだと説教しながら甲斐甲斐しく雑炊を冷ましつつ口に運んでくれている。
研磨はその合間にポテトくれてる。
「飲みすぎだからちゃんと飯腹に入れろ」
「そこじゃねーだろ」
「研磨さんと黒尾さんの知り合いですか?」
「リエーフ知らない?
ほら、伝説の校長とのもののけ姫事件」
「あー、何か全校集会で校長とやりあったアレですよね?」
「その本人だよ」
菩薩の人とやっくんから指さされる。
ってことはこの子一個下か。
「本当ですか!?
グランドに落書きしたり、掲示板に画鋲で謎の作品作り上げたり、教室爆破したり、廊下をバイクで走り抜けたり、流し素麺三階から流して遊んだり、トイレで魔物呼び出したあの伝説の人ですか!?」
「わー、何かあらぬ誤解と事実があべこべに」
「あの頭のおかしい伝説の人が黒尾さんと研磨さんの幼馴染だったんですね!!
俺、二人の幼馴染は強烈だって噂しか知らなかったのでこんな美人で驚いてます!!」
「この子悪魔かな?どうして笑顔で心を抉るんだろ?」
無邪気な顔で何て事を言うんだ。
確かに若い頃はやらかしましたが……。
「酔い覚めたわ」
「俺なんかやっちゃいました?」
「今回は良くやったリエーフ」
「ところであの人大丈夫?さっきから壁と友達なんだが」
「ほっといてあげて。虎は女子と関わると発作起きるから」
「研磨だって同じくせに!!!なぜ美人とそこまで話せる!!」
「名前は美人でも中身がとてつもなく残念だから」
「………それもそうだな!」
納得するな、と言いたかったが自分でも納得してしまう学生時代のあれこれに何も言えなくなった。
「そーいや山本や福永とは同い年なのにお前絡んで無いよな」
「いや、福くんとはよく話していたよ」
「「「「は?」」」」
「学生時代に私のやらかしによくサムズアップしてくれていたし」
今もグッ、と親指を立ててくれているので私も頷いて親を立てる。
「それにモヒカンくんだって絡んでたよ。一方的に」
「嘘だ!?」
「ドキドキ!山虎チャレンジって
いかにピャッって言われず触れることが出きるか」
「………ハッ!!ま、まさか…ニ年の一時期女子達が凄いボディータッチしてきたのはモテ期だったのではなく…」
「それそれ。結果的に友達がやりすぎて鼻血出して倒れたから終了したの」
「モテ期じゃなかった!!」
床を叩くモヒカンくん。
研磨やクロややっくんなどなどが可哀想なものを見る目を向けてくる。
ちなみに福くんは知ってたから無表情に見えるがニヤニヤしている。
「お前何やってんの?」
「一応バレー部にはなんやかんやしてたよ」
「吐け」
「やっくんには匿名で家庭科で作ったロリータ衣装を送ったし」
「あれお前だったのかよ!?めちゃくちゃ気合い入ってサイズぴったりで引いたんだが!!」
「あー、学祭の時にやっくん呼び込みで使ったあれか」
「最高傑作だってクラスの一部の女子がやりきったやつ」
「研磨知ってたなら言えよ!!」
「俺も知ったの完成してから。先生も不思議がっていたけど5〜6人で完成したの見たら評価上げてたし。
送り先が夜久くんだったと知ったのも渡した後だったから」
学祭の時に着ていた時はうちら泣いたね。
夢が叶った!!と。
ちなみに家庭科の授業で本来作るものはエプロンでした。
ロリータは完全なる個人のやつ。
エプロン早めに完成させ、布持ち込みでやりきった。
「菩薩さんには」
「海くんのこと菩薩呼びやめて」
「毎日和菓子を届けていたし」
「あれ凄い美味しかったよ。毎日違うバリエーションで」
「研磨にはことあるごとに絡んでいたし」
「そうだね。何度幼馴染止めようと思ったか」
「ごめんって」
バレー部の被害者だというならきっと研磨だろう。
クラスが同じだったからこそ毎日酷かったし。
「クロは………」
「俺?俺何かされたか?」
「何もしない事が悪戯だった」
「やれよ!!
そこはやれよ!!」
「クロに何かしたら喜ぶじゃん」
「「「あー」」」
「納得すんなよ!! 」
ちなみに一年生に何かしたらパワハラになりそうだったからやめた。
後輩は可愛がらなきゃ。
「今さらになってカミングアウトすんなよ」
「学生時代はお手伝いはしたけど、選手と関わらないよういかにこっそり動くかだったからな」
「そこだよ。なんで黒尾と研磨の幼馴染で学校でも有名だったのに部活の時は関わらなかったんだ?」
「普段も黒尾が絡みに行かなきゃ3年の所には顔出さなかったし」
「幼馴染の特権使うと何も無くても女子って陰湿な嫌がらせするんだよね。
ほら、クロ性格はアレだけど身長と顔はいいから 」
「「あー」」
「私の個人事情もあるが……
中学の時にめちゃくちゃ面倒事に巻き込み巻き込まれ、高校は絶対平和に生きたいと思った」
「「………お疲れ」」
菩薩さんとやっくんに哀れみの視線を向けられた。
「あと普通にクロが勝手に彼女避けとして彼氏面してくるのも腹立つ」
「善意だろ」
「クロより研磨の彼女扱いのがいい」
「そーゆー差別良くないと思います!!」
「頼りになるけど爪が甘いから後処理全て私任せだし」
「最低だな黒尾」
「やっくんまでひっでー」
「俺も最低だと思うよ?」
「ゴメンナサイ」
菩薩さんの前ではクロも頭が上がらないらしい。
さて、酔いも覚めたしトイレ行って戻ろうと立ち上がる。
「トイレ?」
「うん。そのあと戻る」
「ふーん。頑張って」
「トイレだよ?」
意味深に言う研磨。
トイレでスッキリして戻る。
「硝子ちゃーん、ごめんねー」
「ゆっくり話せたか」
「うん。ついでに酔いも覚めた」
「へー、それは良かったね」
「…………硝子ちゃんごめーん。何だか酔ってきたのか幻聴が」
「酔ってるんだ?」
にっこりと笑う悟。
硝子ちゃんは知らないフリをしながらぐいぐい呑んでいる。
そっと小上がりから離れ、隣の小上がりへ。
「うぉい研磨ぁ!!!」
「あ、気付いた」
「どーゆーことだ!?」
「見たまんまだよ」
「なぜだ!?」
「お土産にアップルパイ買ったって言ったから居場所教えただけ」
「買収されてる!?」
「何?研磨悟くんに連絡したの?」
「向こうから連絡来たんだよ」
「今日は帰って来なかったはずなのに!!」
「連絡したのに携帯も見ず呑んで酔って男まみれの飲み会場所に居るってどーゆー事か僕に理解出来るよう説明できるよな?」
「ピャッ!!」
真後ろからの重みと耳元の声に飛び上がる。
なんてこった!!
「お疲れ悟」
「はい、研磨お土産」
「どーも」
「名前のことあんま虐めんなよ悟くーん」
「鉄朗と研磨と居たから許すけど、僕の彼女残念な美人だから心配でさ」
「過保護だな」
「硝子と呑んだら同じペースになって普段の倍呑みながら自覚無いから後々大変なんだよね」
「確かに酒の瓶凄かったな」
「だと思って悟に写真送ったんだよ」
「やだ、私幼馴染に愛されてる」
「はいはい」
「この愛を研磨に!!」
研磨に投げキッスをしたら呆れられた。
研磨にハグしようとしたが悟によって顎を掴まれる。
「僕も愛してるから仕事早めに終わらせて来たんだけど?」
「しゃとりゅもしゅき」
「あぁ、そうだ。悟、今度名前貸して。
ソロだときついところあるから名前とゲームしたい」
「わかったよ。日付決まったら連絡して」
「よろしく」
「待って。そこは私と予定確認しようよ研磨!」
「保護者の同意は必要でしょ」
にやりと笑う研磨。
ちくしょーっ!!可愛い顔だ!!
「じゃあお騒がせしましたー」
「研磨、クロまたね」
「悟くんに迷惑かけんなよ」
「悟、それよろしく」
「うん。まったねー」
悟に引かれて硝子ちゃんの元へ。
「ただいま」
「名前、キミの保護者はしっかりしてるな」
「愛されてるの」
「そうだな」
「硝子もさー、僕のいない隙に呑ますのやめてよ」
「仕方ないだろ。酔った名前は面白いからな」
くすり、と笑う硝子ちゃん。
お酒に手を伸ばせば悟に後ろから抱えられて止められる。
「お酒」
「だーめ。飲み過ぎ」
「悟居るからいいじゃん」
「酔うと誰にでも絡みに行くから断る」
「ほどほどにするから」
「ほら、今日は私に付き合う日だろ?呑め」
「硝子」
「後から来たのはオマエだろ?
私はきちんとオマエに許可を取ったからな」
「ほどほどにって言ったじゃん」
「ちゃんと休憩もさせたろ」
硝子ちゃんと話している間にそっとお酒を口に運ぶ。
やっぱり硝子ちゃんが選んだものは間違いない。
「美味しい」
「ったく……」
「オマエがいるからいいだろ」
結局この後硝子ちゃんオススメに付き合っていたら潰された。
気付いたら悟によって家に連れて帰ってもらっていた。
あとがき
リクエスト「幼馴染とわちゃわちゃ」
久々のハイキュー絡み……わちゃわちゃできてるかな?
音駒と一度は絡ませたかったのでこの場をお借りしましたが、一年はリエーフだけですいません。
幼馴染の過保護は健在です。
お待たせしてしまい申し訳ありませんでした!
そしてリクエストありがとうございました!
「流石硝子ちゃんが選ぶ店。めちゃくちゃ美味しい」
「だろ」
「日本酒によく合う」
「こっちもウマイぞ」
「幸せ」
お酒も美味しいし料理も美味しくて表情筋がゆるっゆるの通行人名前です。
これはウマイ。たまーに食べる居酒屋料理って何でこんな美味しくて幸せになるんだろ?と思ってしまう。
まったりと硝子ちゃんと料理もお酒も楽しんでいたらわいわいガヤガヤと賑やかな御一行がお隣に。
あれがいい!!これがいい!!と言っていたと思ったら乾杯の声。
多分男同士の飲み会なのだろう。
ノリが若干学生っぽさがあるものの、久しぶりの再会を楽しんでいるようだ。
「うるさくしてすいません」
「いいえ、おかまいなく」
「………あれ?」
「?」
ひょっこりと顔を出した猫っぽい短髪の男の人。
なぜか私の顔を見てじーっと見つめたと思えば顔を引っ込めた。
「知り合いか?」
「んー?どうだろ?」
硝子ちゃんのペースで呑んでいたから少し酔いが回るのが早い。
弱くはないが、ポワポワと気持ちいい酔いが回っているので思考が鈍い。
再び隣の小上がりから顔を覗かせた顔に少し酔いが覚めた。
「クロ?」
「名前だ」
「あ、思い出した。研磨とクロの部活仲間のリベロのやっくん」
「そうそう」
「友達と飲みに来てたのか」
「そーでーっす」
美人だろ?とドヤ顔をすれば真顔で頷かれた。
硝子ちゃんは気にせずぐいぐい呑んでいる。
「研磨、名前いるぞ」
「うわ……酔ってんじゃん」
「酔ってないまだ。ポワポワしてるだけ」
「それを酔ってると言うんだよ、酔っぱらい」
「オマエそんな弱かった?」
「黒尾、見ろアレ」
私と硝子ちゃんで開けた酒の瓶と器。
その多さに軽く引くリベロの人とクロ。
「まだまだ序の口だよね?」
「そうだな。次注文するぞ」
「よろー」
「「「は?」」」
硝子ちゃんがオススメを楽しそうに頼む。
今日はとにかく呑みたい硝子ちゃんに付き合うため、ウコンを呑んで準備は万端だ。
硝子ちゃんほど呑めはしないが、硝子ちゃんがウマイと言う物に外れはない。
なので一瓶全部飲みきれなくても一杯2杯は付き合いつつ、次の酒に備えるのだ。
「そんな飲んで平気なのか?悟くんに怒られるぞ」
「悟は仕事なので問題なし」
「五条がいるとゆっくり呑めないからな」
「悟下戸だし、喧しいもんね」
「早々に潰してもいいが後々面倒だからな」
「悟いたら硝子ちゃんの気が済むまで呑めないし」
「口煩いから面倒だ」
「ちなみに悟はこのこと知ってるの?」
「「…………」」
研磨の質問に硝子ちゃんとお互い顔を見合わせてにっこりと笑う。
言うわけがない。
「研磨さん、黒尾さん、夜久さん何してんですかー??ナンパですか?」
ひょっこりと顔を出した背のデカイ男の子。
白い髪に思わずお酒の器を落としかけた。
「うわっ!美人さんだ!!」
「………悟かと思った」
「髪色だけだろ」
「身長も似たり寄ったりだと見る」
「最近測ってないけど学生の頃は194ありました!」
「ほら!ほら!」
ちゃっかり此方のスペースに入って来た銀髪の子を撫で回す。
その子もその子で嬉しそうにすり寄るもんだから猫みたいだ。
「かっわいー」
「こらこら。うちの後輩を勝手に甘やかさないでくださーい」
「リエーフ、ハウス」
「黒尾さんも研磨さんも夜久さんもズルいですよ!!俺だって綺麗なお姉さんと話したいです!!」
「今度にしなよ。あと、この酔っ払いは駄目」
「酔っ払いじゃないってー」
「悟に言うよ」
「んー、ダメダメ」
「研磨さんが女性と普通に話してる……!?」
「名前、少し酔い覚ますのにそっちで話せ」
「あー、ごめんよ硝子ちゃん。
あ、オススメ呑みきる前に絶対一口私にも残してよ!!」
「まだ呑むの?」
「そろそろ止めとけって」
「今日は呑むと決めた日だから」
喧しいからちょっと出ていけと硝子ちゃんにオブラートに包まれて言われたので、酔いを覚ますためにクロと研磨の小上がりへ。
「あー、あっつ」
「酔っ払い」
「まだ平気だって」
「お前男いる場所でそんな寛ぐなよ。
コイツらの目の毒」
「クロと研磨いるから問題無いって」
クロと研磨が慣れたように私の両側を固める。
お酒で火照るのは仕方がない。
酔いが回っているが、まだまだ思考ははっきりしている。少し鈍いだけだ。
「すいません。騒がしくして」
「いいえ。此方こそ楽しい部活仲間の集会だったのに来てしまってすいません」
菩薩のような人が微笑んでいる。
学生の頃にクロとよく一緒に居た人だな、と思い出す。
「………女子」
「あ、研磨によく絡んでたモヒカンくんだ」
「ピャッ」
「話しかけないであげて」
話し掛けただけで飛び上がる元モヒカンくん。
研磨が可哀想なものを見る目を向けている。
「水飲む?」
「貰うー」
「ほら、酔っ払い」
「まだまだ大丈夫だって研磨もクロも知ってるじゃん」
「悟くん居ないから心配してんだよ」
「硝子ちゃんとこ泊まる予定だよ」
ワクレベルの硝子ちゃんに安心して身を任せられるというのに……
と思っていたらクロは笑顔を増すし、研磨も微妙な顔をしている。
「名前って昔から危機感というか、学習能力足りないよね」
「突然のディスりやめてよ」
「服パタパタやめなさい。ちゃんと座りなさい」
「クロのオカンがでたー」
「名前が悪い」
「片方が酒に強いとはいえ、美人な女二人が呑んで酔っていたら男は狼になるんです。
普段なら大概の男なんてバッサリと片付けれるかもしれないけど、思考が鈍ってるお前があの美人と自分の身を守れますか?」
「………」
「クロ、名前絶対聞いてないよ。ポテト食べたいとか別な事に気を取られてる」
「流石研磨!わかってるー!」
「研磨、甘やかすなよ。ポテトやるな。
こーゆー時はビシッとだな」
「………黒尾」
「何?やっくん。今ちょっと忙しいから」
「お前何やってんの?」
「雑炊食わせてる」
「説教してる奴の対応じゃねーよ」
そう、やっくんの言うとおりクロはあーだこーだと説教しながら甲斐甲斐しく雑炊を冷ましつつ口に運んでくれている。
研磨はその合間にポテトくれてる。
「飲みすぎだからちゃんと飯腹に入れろ」
「そこじゃねーだろ」
「研磨さんと黒尾さんの知り合いですか?」
「リエーフ知らない?
ほら、伝説の校長とのもののけ姫事件」
「あー、何か全校集会で校長とやりあったアレですよね?」
「その本人だよ」
菩薩の人とやっくんから指さされる。
ってことはこの子一個下か。
「本当ですか!?
グランドに落書きしたり、掲示板に画鋲で謎の作品作り上げたり、教室爆破したり、廊下をバイクで走り抜けたり、流し素麺三階から流して遊んだり、トイレで魔物呼び出したあの伝説の人ですか!?」
「わー、何かあらぬ誤解と事実があべこべに」
「あの頭のおかしい伝説の人が黒尾さんと研磨さんの幼馴染だったんですね!!
俺、二人の幼馴染は強烈だって噂しか知らなかったのでこんな美人で驚いてます!!」
「この子悪魔かな?どうして笑顔で心を抉るんだろ?」
無邪気な顔で何て事を言うんだ。
確かに若い頃はやらかしましたが……。
「酔い覚めたわ」
「俺なんかやっちゃいました?」
「今回は良くやったリエーフ」
「ところであの人大丈夫?さっきから壁と友達なんだが」
「ほっといてあげて。虎は女子と関わると発作起きるから」
「研磨だって同じくせに!!!なぜ美人とそこまで話せる!!」
「名前は美人でも中身がとてつもなく残念だから」
「………それもそうだな!」
納得するな、と言いたかったが自分でも納得してしまう学生時代のあれこれに何も言えなくなった。
「そーいや山本や福永とは同い年なのにお前絡んで無いよな」
「いや、福くんとはよく話していたよ」
「「「「は?」」」」
「学生時代に私のやらかしによくサムズアップしてくれていたし」
今もグッ、と親指を立ててくれているので私も頷いて親を立てる。
「それにモヒカンくんだって絡んでたよ。一方的に」
「嘘だ!?」
「ドキドキ!山虎チャレンジって
いかにピャッって言われず触れることが出きるか」
「………ハッ!!ま、まさか…ニ年の一時期女子達が凄いボディータッチしてきたのはモテ期だったのではなく…」
「それそれ。結果的に友達がやりすぎて鼻血出して倒れたから終了したの」
「モテ期じゃなかった!!」
床を叩くモヒカンくん。
研磨やクロややっくんなどなどが可哀想なものを見る目を向けてくる。
ちなみに福くんは知ってたから無表情に見えるがニヤニヤしている。
「お前何やってんの?」
「一応バレー部にはなんやかんやしてたよ」
「吐け」
「やっくんには匿名で家庭科で作ったロリータ衣装を送ったし」
「あれお前だったのかよ!?めちゃくちゃ気合い入ってサイズぴったりで引いたんだが!!」
「あー、学祭の時にやっくん呼び込みで使ったあれか」
「最高傑作だってクラスの一部の女子がやりきったやつ」
「研磨知ってたなら言えよ!!」
「俺も知ったの完成してから。先生も不思議がっていたけど5〜6人で完成したの見たら評価上げてたし。
送り先が夜久くんだったと知ったのも渡した後だったから」
学祭の時に着ていた時はうちら泣いたね。
夢が叶った!!と。
ちなみに家庭科の授業で本来作るものはエプロンでした。
ロリータは完全なる個人のやつ。
エプロン早めに完成させ、布持ち込みでやりきった。
「菩薩さんには」
「海くんのこと菩薩呼びやめて」
「毎日和菓子を届けていたし」
「あれ凄い美味しかったよ。毎日違うバリエーションで」
「研磨にはことあるごとに絡んでいたし」
「そうだね。何度幼馴染止めようと思ったか」
「ごめんって」
バレー部の被害者だというならきっと研磨だろう。
クラスが同じだったからこそ毎日酷かったし。
「クロは………」
「俺?俺何かされたか?」
「何もしない事が悪戯だった」
「やれよ!!
そこはやれよ!!」
「クロに何かしたら喜ぶじゃん」
「「「あー」」」
「納得すんなよ!! 」
ちなみに一年生に何かしたらパワハラになりそうだったからやめた。
後輩は可愛がらなきゃ。
「今さらになってカミングアウトすんなよ」
「学生時代はお手伝いはしたけど、選手と関わらないよういかにこっそり動くかだったからな」
「そこだよ。なんで黒尾と研磨の幼馴染で学校でも有名だったのに部活の時は関わらなかったんだ?」
「普段も黒尾が絡みに行かなきゃ3年の所には顔出さなかったし」
「幼馴染の特権使うと何も無くても女子って陰湿な嫌がらせするんだよね。
ほら、クロ性格はアレだけど身長と顔はいいから 」
「「あー」」
「私の個人事情もあるが……
中学の時にめちゃくちゃ面倒事に巻き込み巻き込まれ、高校は絶対平和に生きたいと思った」
「「………お疲れ」」
菩薩さんとやっくんに哀れみの視線を向けられた。
「あと普通にクロが勝手に彼女避けとして彼氏面してくるのも腹立つ」
「善意だろ」
「クロより研磨の彼女扱いのがいい」
「そーゆー差別良くないと思います!!」
「頼りになるけど爪が甘いから後処理全て私任せだし」
「最低だな黒尾」
「やっくんまでひっでー」
「俺も最低だと思うよ?」
「ゴメンナサイ」
菩薩さんの前ではクロも頭が上がらないらしい。
さて、酔いも覚めたしトイレ行って戻ろうと立ち上がる。
「トイレ?」
「うん。そのあと戻る」
「ふーん。頑張って」
「トイレだよ?」
意味深に言う研磨。
トイレでスッキリして戻る。
「硝子ちゃーん、ごめんねー」
「ゆっくり話せたか」
「うん。ついでに酔いも覚めた」
「へー、それは良かったね」
「…………硝子ちゃんごめーん。何だか酔ってきたのか幻聴が」
「酔ってるんだ?」
にっこりと笑う悟。
硝子ちゃんは知らないフリをしながらぐいぐい呑んでいる。
そっと小上がりから離れ、隣の小上がりへ。
「うぉい研磨ぁ!!!」
「あ、気付いた」
「どーゆーことだ!?」
「見たまんまだよ」
「なぜだ!?」
「お土産にアップルパイ買ったって言ったから居場所教えただけ」
「買収されてる!?」
「何?研磨悟くんに連絡したの?」
「向こうから連絡来たんだよ」
「今日は帰って来なかったはずなのに!!」
「連絡したのに携帯も見ず呑んで酔って男まみれの飲み会場所に居るってどーゆー事か僕に理解出来るよう説明できるよな?」
「ピャッ!!」
真後ろからの重みと耳元の声に飛び上がる。
なんてこった!!
「お疲れ悟」
「はい、研磨お土産」
「どーも」
「名前のことあんま虐めんなよ悟くーん」
「鉄朗と研磨と居たから許すけど、僕の彼女残念な美人だから心配でさ」
「過保護だな」
「硝子と呑んだら同じペースになって普段の倍呑みながら自覚無いから後々大変なんだよね」
「確かに酒の瓶凄かったな」
「だと思って悟に写真送ったんだよ」
「やだ、私幼馴染に愛されてる」
「はいはい」
「この愛を研磨に!!」
研磨に投げキッスをしたら呆れられた。
研磨にハグしようとしたが悟によって顎を掴まれる。
「僕も愛してるから仕事早めに終わらせて来たんだけど?」
「しゃとりゅもしゅき」
「あぁ、そうだ。悟、今度名前貸して。
ソロだときついところあるから名前とゲームしたい」
「わかったよ。日付決まったら連絡して」
「よろしく」
「待って。そこは私と予定確認しようよ研磨!」
「保護者の同意は必要でしょ」
にやりと笑う研磨。
ちくしょーっ!!可愛い顔だ!!
「じゃあお騒がせしましたー」
「研磨、クロまたね」
「悟くんに迷惑かけんなよ」
「悟、それよろしく」
「うん。まったねー」
悟に引かれて硝子ちゃんの元へ。
「ただいま」
「名前、キミの保護者はしっかりしてるな」
「愛されてるの」
「そうだな」
「硝子もさー、僕のいない隙に呑ますのやめてよ」
「仕方ないだろ。酔った名前は面白いからな」
くすり、と笑う硝子ちゃん。
お酒に手を伸ばせば悟に後ろから抱えられて止められる。
「お酒」
「だーめ。飲み過ぎ」
「悟居るからいいじゃん」
「酔うと誰にでも絡みに行くから断る」
「ほどほどにするから」
「ほら、今日は私に付き合う日だろ?呑め」
「硝子」
「後から来たのはオマエだろ?
私はきちんとオマエに許可を取ったからな」
「ほどほどにって言ったじゃん」
「ちゃんと休憩もさせたろ」
硝子ちゃんと話している間にそっとお酒を口に運ぶ。
やっぱり硝子ちゃんが選んだものは間違いない。
「美味しい」
「ったく……」
「オマエがいるからいいだろ」
結局この後硝子ちゃんオススメに付き合っていたら潰された。
気付いたら悟によって家に連れて帰ってもらっていた。
あとがき
リクエスト「幼馴染とわちゃわちゃ」
久々のハイキュー絡み……わちゃわちゃできてるかな?
音駒と一度は絡ませたかったのでこの場をお借りしましたが、一年はリエーフだけですいません。
幼馴染の過保護は健在です。
お待たせしてしまい申し訳ありませんでした!
そしてリクエストありがとうございました!