五万企画
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人の人生は短い。
数億年の歴史の中、短い一時を精一杯生き、次の世代へとバトンを渡し続けていく。
様々な課題、試練を乗り越えて
今日も生きてる。
「ここどこかな、にゃんこ」
「知らん」
助けて、今日の試練は迷子です。
冒頭から迷子の迷子の子猫ちゃんな通行人名前です☆
もうねー、自分の不運なのか幸運なのかよくわからないのを呪うしかない。
また始まった急遽な出張で乗ったバスで居眠り、からの爆睡。
結果……よくわからないド田舎なう。
携帯で連絡を取ろうと電話したら繋がった瞬間電池切れ……チクショウ、ツイ○テやりまくってたせいや……!!
だって!!推しを!!育てたいじゃん!!!!(クソデカボイス)
さーて、どっかで充電……と思って鞄を漁ったら……なんということでしょう。
充電器は充電器でも……DSの充電器で思わず地面に崩れた。
アホや……アホ過ぎてヤバい……と自分を呪っていたら………
『に……にん、げん…』
「……………」
なんか明らかにヤバそうなのと目があった。
ボッサボサの長い髪。
その隙間から覗く鋭い歯と濁った目。
ボロボロの衣類を着ているが手足は枝のように細い。
気付いてないよーと思い出したフリをして鞄を漁ったら……
『………!!ギチギチギチギチッ』
耳元で歯軋りされた。
渾身の右ストレートをお見舞いし、その場から逃走。
ヤベェのと鬼ごっこ開始。
呪霊でもなく、別の……お化けとゆーより、妖。
対象方法なんて知らない私は目があってしまったら逃げるしかない。
野を駆け、山の中を駆け、しつこく追ってくるそいつに舌打ちをする。
「しっっつこいなぁ!?
しつこい男は嫌われるんだぞ!!ってゆーかストーカーだからね!!まじで嫌われるんだからね!!」
『ブルッピャァァアアアアア』
「やべ、なんかキレた」
そろそろ体力も限界です!!とか思っていたら、突然木の上から白い塊が落ちてきた。
「ふぐっ!!お、おも……」
「プリティーなワシのどこが重いだとぉ!?」
「うわ、猫喋った……」
「引いた顔ヤメロ!!」
「大福ちゃんまじ退けて?重いから身動き取れないし、今私ヤベェのが」
『つ か ま エ た』
oh………。
ニヤリと笑う化け物は大きな口を開いていた。
お前その口の開き方おかしくね?と思ってしまうほどだ。
「チッ、雑魚が」
大福がぺかーっと光ったかと思うと化け物は悲鳴をあげながらどこかへ逃げ去って行った。
「ありがとーーー大福!!!」
「ワシは大福ではない!!にゃんこ先生だ!!」
「ありがとう、にゃんこ先生!!」
「お礼は饅頭でいいぞ」
「何個でもよろこんで!!!
で、ここどこかな?にゃんこ」
「知らん」
冒頭へ。
「いや、にゃんこここ地元だろ?」
「ワシは酒を飲みに来ただけじゃ」
「こんなとこに酒があるとか嘘じゃん」
「馬鹿め。
妖の情報網では色々な時期に飲み頃の酒が湧く木や泉や池があるのじゃ!!」
「うわっ、うまそ……」
「美味に決まってる」
いわゆる妖の間にある妖命酒的なやつか。
「やばいなー、携帯も使えないし」
「アホだな人間」
「そーだよAHOだよ!!」
「にゃんこ先生?」
おい、色白の美少年……いや、美青年が着たぞ!!!
「夏目、いたかい?」
「名取さん、あの……」
うわっ、なんかイケメンも現れた!!!
なに?神なの?
この山の神めっちゃ擬人化されてんの?イケメンなの?やばない?
「私この山推すわ」
「「ん?」」
二人して小首傾げるとかやめて?
イケメン過ぎて目が眩しいから!!!!
神のごとき神々しい儚い系イケメンこと夏目くんと、芸能人らしい名取さん。
二人でいなくなったにゃんこ先生を捜索中に私もついでに出会ったんだとか。
「いやー、助かりました!!
携帯の充電器も忘れ、電池切れ。
荷物も逃げてる最中に放り投げ、行方不明。
にゃんこ先生と出会ったから救助されて幸運でした」
「荷物も見つかって良かったですね」
「中身の確認は大丈夫かい?」
「取られても困らない物ばかりなんで大丈夫です。
むしろ出張すっぽかして連絡出来ずにいたんでほんっと電話助かりました」
ぺこり、と目の前の命の恩人二人に頭を下げる。
近くの公衆電話で控えていた勤務先にバス間違えた結果田舎に到着し、近くの住民に話を聞こうとしたら山で迷ってしまったと連絡した。
うたた寝?言わないよそんなん。
似た路線のバスと間違えた結果だと言い張る。
ヨハネスブルグじゃないだけありがたいが、これはこれで辛い。
だってなにもない田舎なんだもんっっっ!!!
ちなみに私の代わりになっちゃん(未処理)が急遽出張に行ったので、私は有給扱いとなった。
すまん、なっちゃん(未処理)
いつかお礼するから。
「あの……」
「何かな?夏目くん」
「貴方は見えているんですよね……?」
「ん?あぁ、見えているよ」
普通には見えないものがね。
夏目くんに笑いかけると困った顔をする。
私の笑顔そんな困らせるもの?
ごめんよ美少年………美少年にはお見苦しい笑顔だった……?
「見えているのに、そういう対応なのかい?」
「勿論」
「……あの」
「んー?」
「すっごく気になるので追い払ってもいいですか?」
説明しよう!!!
現在古民家カフェ的なところでお茶をしている私達三人。
しかし!!私達が移動していくとなぜか一匹…二匹……とついてきた小物の妖。
ちっさなネズミやちっさなヒヨコやら……とにかく害の無さそうなちっさな奴らが私の肩や頭や服にしがみついてリラックスしておられるのを無視。
夏目くんはチラチラと移動中から見ていたが、私はそれよりも仕事場への連絡をするため無視していたのだ。
「ほっとけばそのうち気が済んでいなくなるよ」
「名前さんは妖に詳しいのかな?」
「んー……妖自体は詳しくないけど、霊的に関わることは多い、かな。
彼氏が祓い屋……と同じような職についてて」
「祓い屋と?」
「呪術師ってゆーのやってる」
「……呪術師か」
「名取さん知ってるんですか?」
「僕らとは違う種類の祓う専門だね」
彼らとは滅多に仕事が被ることはない、と話す名取さん。
「似て非なる職業だよ」
「そうなんですか?」
「呪術師といってもピンきりだからね。
僕らも呪術を扱っているけど別物だから」
祓い屋といっつも色んな種類があるんだな。
まぁ私祓えんけど。
「…………」
「ん?どうかした?なんかついてる?」
「いえっ!!あの……見えていることで苦労とか…」
「苦労ねぇ……」
見たところ夏目くんは学生だ。
見えて突然驚くなんてよくあることなのだろう。
そうしていくうちに友人は不審者扱いして離れていってしまったり……難しい年頃だよね。
「大丈夫、夏目くん」
「?」
「見えないフリしながらパラパラしたり
腕に包帯巻いて厨二病発病させたり
挙動不審誤魔化すために恥ずかしい行動していないなら君はまだ大丈夫だ」
「………は?」
「………え?」
「無視しようとしてもあいつら突然沸いて出てくるもんねー
反応するなって方が無理だけど反応見せたら余計やってくるからな」
「………やったんですか?恥ずかしい行動」
「学生時代は常に黒歴史ですが?」
あの時後悔していなくても、今後悔するよね。
あの頃の私何でそれが最善の方法だと思ったのか問いたいもの。
イイオモイデダナ……
夏目くんと名取さんの苦笑が辛い。
すいませんね、いい感じにアドバイス出来なくて。
「まぁ、沢山の友人なんかより
夏目くんを理解して側に居てくれる人はいるでしょ?
話せない事は心苦しいかもしれない。
嫌な思い出も沢山あったのかもしれない。
けど、今の夏目くんを見てくれる友人は少なくとも名取さんがいる。
どんなに苦労しても必ず笑える日はくるよ」
見える事を怖がらないで
見える事で距離を取らないで
「私と夏目くんが出会ったのも何かの縁だ。
君が嫌じゃないならいつでも相談でも愚痴でも話してよ」
「……ありがとう、ございます」
「おや?じゃあ私とも仲良くしてくれるのかな?」
「名取さん愚痴りたい事なんてあるの?」
「口説きおとしたり?」
「間に合ってまーす」
キラキラ、と効果音が出そうなくらいにこやかな名取さん。
私知ってる。
こーゆー人は胡散臭いって。
「名取さん」
「なにかな?」
「袈裟着て変な宗教作らないでくださいね」
「しないよ」
「………やりそう」
「夏目、君までそんなこと言わないでくれ」
まったりと妖あるあるや呪霊あるあるを談笑していたが、私は気付かなかった。
「そろそろいい時間だね。
僕は行くけど夏目や名前さんは?」
「俺もそろそろ帰らなきゃ」
「私も………あ」
「「ん?」」
和やかに談笑して忘れてたよ。
「この近くで東京行きのバスや電車って…」
「ないね」
「ないですね」
「嘘でしょ」
「朝一じゃないと」
「宿は……ちょっと離れてますが多分あるかと」
帰る時刻表見るの忘れていたし、そもそも宿もない。
「夏目くん」
「はい?」
「この近くのコンビニってどこ?」
まずは充電器!!!
夏目くんに道案内されながらバス時刻の確認とコンビニで充電器の確保。
そしてお願いしたら快く宿を借りられた。
荷物を置いて、夏目くんを家まで送る。
「あの、やっぱり……」
「未成年連れ回しちゃったんだからしっかり親御さんに謝らなきゃ。
私は夏目くんのお陰で助かったんだし」
「でも、名前さん女性で夜道を歩かせるには…」
「大丈夫大丈夫。
いざ襲われてもなぎ倒せる自信はある」
「嘘でしょ」
「相手が筋肉ゴリゴリゴリマッチョじゃなければ」
東堂くんとか、真希ちゃんとか、悠仁くんとか、悟とか
細マッチョでも東堂くん以外はほぼゴリッてるもんな。
「ここです」
「よし、第一印象が大切だ」
「何の挨拶する気ですか」
ただいま帰りましたと控え目な夏目くん。
パタパタと小走りで玄関に来た女性。
「あら、そちらの方は?」
「夜分遅くまですいません。
私が道を間違え困っていたところ夏目くんが親切に色々手助けしてくれて……
夏目くんに甘えて未成年のお子さんをこんな時間まで連れ回して申し訳ありませんでした」
「そうだったの!!」
「夏目くんには助けていただき本当に感謝しています」
「貴志くんが……」
「こちらもどうぞ。
夏目くん、本当にありがとう」
「い、いえ……」
驚いた表情の夏目くん。
うんうん、私がまともに見えるんだろ?
よく仲間にも言われるから……うん、慣れたよその驚き。
夏目くんを送って宿まで帰る。
田舎は街灯も少なくて虫の声が響き星がよく見える。
妖達も活動を始めてチラホラ見えるが無視。
「無用心だな」
「おや、にゃんこ」
「夏目が心配していたから仕方なく……仕方なく!!宿まで見送ってやる」
「優しいね」
足元をてちてち歩くにゃんこ先生。
どうやら心配で夏目くんに頼まれたらしい。
「ここは静かだね」
「まぁな」
「私の知る呪霊とは違って、ここには妖が沢山いるんだね」
思い思いに、気ままに楽しく過ごす妖達。
妬み、嫉み、僻み、負の感情から現れる呪霊とは違い、喜怒哀楽がある。
「おばーちゃんになったらこんなところに住みたい」
「人間の一生などあっという間だからな」
「そうだね」
「あと数年もしたらお前もヨボヨボのばばぁとなるぞ」
「はっはっはっ、長生きする妖からしたら人間なんてそんなもんか」
「弱い生き物だからな、人間は」
しみじみと遠くを見つめながら呟いたにゃんこ先生。
夏目くん以外の親しい人間でもいたのだろうか?
妖でも人間と仲良くしたい者がいて
妖より短命な人間は妖を置いていく。
考え方や生き方が違っていたとしても仲良くなった相手に、心を許した相手に置いていかれるのは辛いもの。
妖にとっては人の一生などあっという間に終わり、消えていくもの。
「にゃんこは優しいね」
「ワシは懐が広いからな」
宿に着いたら優しくにゃんこ先生を撫でる。
ゴロゴロと猫のように鳴くにゃんこ先生に笑ってしまうが不細工な見た目に癒される。
「お前も奇妙な人間だな」
「変なのにはよく好かれるわ」
「旨そうな匂いがしているが夏目が怒るから見逃してやろう」
「飼い主に忠実だね、にゃんこなのに」
「飼い主ではない!!ワシが主だ!!」
「はいはい」
人は常に壁にぶち当たる。
誰かは神様が与えた成長の為の壁だと言った。
誰かは君は前世の悪行のせいだと言った。
誰かは生きていくための試練だと言った。
誰かは君が不幸だと考えているだけで他人からしたら幸福だと言った。
必ずしも乗り越えられる壁じゃない。
地道に飛び越える人。
才能で飛び越える人。
たまたま飛び越える人。
挫折してしまう時もある。
遠回りしてしまう時もある。
諦めず立ち向かう時もある。
休憩したい時もある。
そうして短い一生を過ごし、精一杯生きた中
枝分かれした道が残り、自分の人生の跡として残る。
「にゃんこ、夏目くんと仲良くね」
「夏目はワシがいないと駄目だからな」
「にゃんこからしたら夏目くんは赤ちゃんみたいなものだもんね」
「あんな乱暴な赤子どこにいる」
「夏目くんにとってにゃんこみたいな存在は大切だよ」
「お前にもいるのか」
「いるよ。
強くて、かっこよくて、可愛い理解者が」
妖ではなく人間だけど。
私が嫌いな世界を少しだけ色付かせ、好きにさせてくれる人達。
どんなに辛くても理解し、共に乗り越えてくれる子達。
置いていかれたくないなら追いついて来いと無茶振りする人達。
"お前まじで馬鹿だろ。ばーかばーか"
「申し訳ない……」
やっと回復した携帯の電源を入れると鬼電だった。
わぁーと、現実逃避していたらまた電話。
皆さんおわかりですね?
過保護の悟くんです。
説明したら低い声で怒られた。
今度から移動のゲームは控えようと心に決めた。
"明日には帰ってくんの?"
「うん。仕事にならないし」
"ばーか"
「おっしゃる通りです」
出会った儚い系美人の少年のこと
不細工な猫のこと
胡散臭いイケメンのことを話した。
「何もないけどのんびり過ごすには素敵な場所だよ」
"無理。暇すぎ"
「悟ってわりと現代っ子だよね」
"田舎でのんびりのびのびとか無理"
「縁側とか似合わない……」
白髪(長髪でゆるっと一つ縛り)
着物
縁側
「………いや、似合いすぎて逆に無理」
どこの当主様だろ……あ、五条の当主でしたっけ?
「忘れていたけどあんたいいとこの坊っちゃんだったもんね」
"突然一人で妄想して完結やめて。
僕ついていけないじゃん"
いつか、の未来も共に君と。
あとがき
夏目むっっっず!!!!!!
あの儚い雰囲気をぶち壊し通行人ワールドはちょっと……。
数億年の歴史の中、短い一時を精一杯生き、次の世代へとバトンを渡し続けていく。
様々な課題、試練を乗り越えて
今日も生きてる。
「ここどこかな、にゃんこ」
「知らん」
助けて、今日の試練は迷子です。
冒頭から迷子の迷子の子猫ちゃんな通行人名前です☆
もうねー、自分の不運なのか幸運なのかよくわからないのを呪うしかない。
また始まった急遽な出張で乗ったバスで居眠り、からの爆睡。
結果……よくわからないド田舎なう。
携帯で連絡を取ろうと電話したら繋がった瞬間電池切れ……チクショウ、ツイ○テやりまくってたせいや……!!
だって!!推しを!!育てたいじゃん!!!!(クソデカボイス)
さーて、どっかで充電……と思って鞄を漁ったら……なんということでしょう。
充電器は充電器でも……DSの充電器で思わず地面に崩れた。
アホや……アホ過ぎてヤバい……と自分を呪っていたら………
『に……にん、げん…』
「……………」
なんか明らかにヤバそうなのと目があった。
ボッサボサの長い髪。
その隙間から覗く鋭い歯と濁った目。
ボロボロの衣類を着ているが手足は枝のように細い。
気付いてないよーと思い出したフリをして鞄を漁ったら……
『………!!ギチギチギチギチッ』
耳元で歯軋りされた。
渾身の右ストレートをお見舞いし、その場から逃走。
ヤベェのと鬼ごっこ開始。
呪霊でもなく、別の……お化けとゆーより、妖。
対象方法なんて知らない私は目があってしまったら逃げるしかない。
野を駆け、山の中を駆け、しつこく追ってくるそいつに舌打ちをする。
「しっっつこいなぁ!?
しつこい男は嫌われるんだぞ!!ってゆーかストーカーだからね!!まじで嫌われるんだからね!!」
『ブルッピャァァアアアアア』
「やべ、なんかキレた」
そろそろ体力も限界です!!とか思っていたら、突然木の上から白い塊が落ちてきた。
「ふぐっ!!お、おも……」
「プリティーなワシのどこが重いだとぉ!?」
「うわ、猫喋った……」
「引いた顔ヤメロ!!」
「大福ちゃんまじ退けて?重いから身動き取れないし、今私ヤベェのが」
『つ か ま エ た』
oh………。
ニヤリと笑う化け物は大きな口を開いていた。
お前その口の開き方おかしくね?と思ってしまうほどだ。
「チッ、雑魚が」
大福がぺかーっと光ったかと思うと化け物は悲鳴をあげながらどこかへ逃げ去って行った。
「ありがとーーー大福!!!」
「ワシは大福ではない!!にゃんこ先生だ!!」
「ありがとう、にゃんこ先生!!」
「お礼は饅頭でいいぞ」
「何個でもよろこんで!!!
で、ここどこかな?にゃんこ」
「知らん」
冒頭へ。
「いや、にゃんこここ地元だろ?」
「ワシは酒を飲みに来ただけじゃ」
「こんなとこに酒があるとか嘘じゃん」
「馬鹿め。
妖の情報網では色々な時期に飲み頃の酒が湧く木や泉や池があるのじゃ!!」
「うわっ、うまそ……」
「美味に決まってる」
いわゆる妖の間にある妖命酒的なやつか。
「やばいなー、携帯も使えないし」
「アホだな人間」
「そーだよAHOだよ!!」
「にゃんこ先生?」
おい、色白の美少年……いや、美青年が着たぞ!!!
「夏目、いたかい?」
「名取さん、あの……」
うわっ、なんかイケメンも現れた!!!
なに?神なの?
この山の神めっちゃ擬人化されてんの?イケメンなの?やばない?
「私この山推すわ」
「「ん?」」
二人して小首傾げるとかやめて?
イケメン過ぎて目が眩しいから!!!!
神のごとき神々しい儚い系イケメンこと夏目くんと、芸能人らしい名取さん。
二人でいなくなったにゃんこ先生を捜索中に私もついでに出会ったんだとか。
「いやー、助かりました!!
携帯の充電器も忘れ、電池切れ。
荷物も逃げてる最中に放り投げ、行方不明。
にゃんこ先生と出会ったから救助されて幸運でした」
「荷物も見つかって良かったですね」
「中身の確認は大丈夫かい?」
「取られても困らない物ばかりなんで大丈夫です。
むしろ出張すっぽかして連絡出来ずにいたんでほんっと電話助かりました」
ぺこり、と目の前の命の恩人二人に頭を下げる。
近くの公衆電話で控えていた勤務先にバス間違えた結果田舎に到着し、近くの住民に話を聞こうとしたら山で迷ってしまったと連絡した。
うたた寝?言わないよそんなん。
似た路線のバスと間違えた結果だと言い張る。
ヨハネスブルグじゃないだけありがたいが、これはこれで辛い。
だってなにもない田舎なんだもんっっっ!!!
ちなみに私の代わりになっちゃん(未処理)が急遽出張に行ったので、私は有給扱いとなった。
すまん、なっちゃん(未処理)
いつかお礼するから。
「あの……」
「何かな?夏目くん」
「貴方は見えているんですよね……?」
「ん?あぁ、見えているよ」
普通には見えないものがね。
夏目くんに笑いかけると困った顔をする。
私の笑顔そんな困らせるもの?
ごめんよ美少年………美少年にはお見苦しい笑顔だった……?
「見えているのに、そういう対応なのかい?」
「勿論」
「……あの」
「んー?」
「すっごく気になるので追い払ってもいいですか?」
説明しよう!!!
現在古民家カフェ的なところでお茶をしている私達三人。
しかし!!私達が移動していくとなぜか一匹…二匹……とついてきた小物の妖。
ちっさなネズミやちっさなヒヨコやら……とにかく害の無さそうなちっさな奴らが私の肩や頭や服にしがみついてリラックスしておられるのを無視。
夏目くんはチラチラと移動中から見ていたが、私はそれよりも仕事場への連絡をするため無視していたのだ。
「ほっとけばそのうち気が済んでいなくなるよ」
「名前さんは妖に詳しいのかな?」
「んー……妖自体は詳しくないけど、霊的に関わることは多い、かな。
彼氏が祓い屋……と同じような職についてて」
「祓い屋と?」
「呪術師ってゆーのやってる」
「……呪術師か」
「名取さん知ってるんですか?」
「僕らとは違う種類の祓う専門だね」
彼らとは滅多に仕事が被ることはない、と話す名取さん。
「似て非なる職業だよ」
「そうなんですか?」
「呪術師といってもピンきりだからね。
僕らも呪術を扱っているけど別物だから」
祓い屋といっつも色んな種類があるんだな。
まぁ私祓えんけど。
「…………」
「ん?どうかした?なんかついてる?」
「いえっ!!あの……見えていることで苦労とか…」
「苦労ねぇ……」
見たところ夏目くんは学生だ。
見えて突然驚くなんてよくあることなのだろう。
そうしていくうちに友人は不審者扱いして離れていってしまったり……難しい年頃だよね。
「大丈夫、夏目くん」
「?」
「見えないフリしながらパラパラしたり
腕に包帯巻いて厨二病発病させたり
挙動不審誤魔化すために恥ずかしい行動していないなら君はまだ大丈夫だ」
「………は?」
「………え?」
「無視しようとしてもあいつら突然沸いて出てくるもんねー
反応するなって方が無理だけど反応見せたら余計やってくるからな」
「………やったんですか?恥ずかしい行動」
「学生時代は常に黒歴史ですが?」
あの時後悔していなくても、今後悔するよね。
あの頃の私何でそれが最善の方法だと思ったのか問いたいもの。
イイオモイデダナ……
夏目くんと名取さんの苦笑が辛い。
すいませんね、いい感じにアドバイス出来なくて。
「まぁ、沢山の友人なんかより
夏目くんを理解して側に居てくれる人はいるでしょ?
話せない事は心苦しいかもしれない。
嫌な思い出も沢山あったのかもしれない。
けど、今の夏目くんを見てくれる友人は少なくとも名取さんがいる。
どんなに苦労しても必ず笑える日はくるよ」
見える事を怖がらないで
見える事で距離を取らないで
「私と夏目くんが出会ったのも何かの縁だ。
君が嫌じゃないならいつでも相談でも愚痴でも話してよ」
「……ありがとう、ございます」
「おや?じゃあ私とも仲良くしてくれるのかな?」
「名取さん愚痴りたい事なんてあるの?」
「口説きおとしたり?」
「間に合ってまーす」
キラキラ、と効果音が出そうなくらいにこやかな名取さん。
私知ってる。
こーゆー人は胡散臭いって。
「名取さん」
「なにかな?」
「袈裟着て変な宗教作らないでくださいね」
「しないよ」
「………やりそう」
「夏目、君までそんなこと言わないでくれ」
まったりと妖あるあるや呪霊あるあるを談笑していたが、私は気付かなかった。
「そろそろいい時間だね。
僕は行くけど夏目や名前さんは?」
「俺もそろそろ帰らなきゃ」
「私も………あ」
「「ん?」」
和やかに談笑して忘れてたよ。
「この近くで東京行きのバスや電車って…」
「ないね」
「ないですね」
「嘘でしょ」
「朝一じゃないと」
「宿は……ちょっと離れてますが多分あるかと」
帰る時刻表見るの忘れていたし、そもそも宿もない。
「夏目くん」
「はい?」
「この近くのコンビニってどこ?」
まずは充電器!!!
夏目くんに道案内されながらバス時刻の確認とコンビニで充電器の確保。
そしてお願いしたら快く宿を借りられた。
荷物を置いて、夏目くんを家まで送る。
「あの、やっぱり……」
「未成年連れ回しちゃったんだからしっかり親御さんに謝らなきゃ。
私は夏目くんのお陰で助かったんだし」
「でも、名前さん女性で夜道を歩かせるには…」
「大丈夫大丈夫。
いざ襲われてもなぎ倒せる自信はある」
「嘘でしょ」
「相手が筋肉ゴリゴリゴリマッチョじゃなければ」
東堂くんとか、真希ちゃんとか、悠仁くんとか、悟とか
細マッチョでも東堂くん以外はほぼゴリッてるもんな。
「ここです」
「よし、第一印象が大切だ」
「何の挨拶する気ですか」
ただいま帰りましたと控え目な夏目くん。
パタパタと小走りで玄関に来た女性。
「あら、そちらの方は?」
「夜分遅くまですいません。
私が道を間違え困っていたところ夏目くんが親切に色々手助けしてくれて……
夏目くんに甘えて未成年のお子さんをこんな時間まで連れ回して申し訳ありませんでした」
「そうだったの!!」
「夏目くんには助けていただき本当に感謝しています」
「貴志くんが……」
「こちらもどうぞ。
夏目くん、本当にありがとう」
「い、いえ……」
驚いた表情の夏目くん。
うんうん、私がまともに見えるんだろ?
よく仲間にも言われるから……うん、慣れたよその驚き。
夏目くんを送って宿まで帰る。
田舎は街灯も少なくて虫の声が響き星がよく見える。
妖達も活動を始めてチラホラ見えるが無視。
「無用心だな」
「おや、にゃんこ」
「夏目が心配していたから仕方なく……仕方なく!!宿まで見送ってやる」
「優しいね」
足元をてちてち歩くにゃんこ先生。
どうやら心配で夏目くんに頼まれたらしい。
「ここは静かだね」
「まぁな」
「私の知る呪霊とは違って、ここには妖が沢山いるんだね」
思い思いに、気ままに楽しく過ごす妖達。
妬み、嫉み、僻み、負の感情から現れる呪霊とは違い、喜怒哀楽がある。
「おばーちゃんになったらこんなところに住みたい」
「人間の一生などあっという間だからな」
「そうだね」
「あと数年もしたらお前もヨボヨボのばばぁとなるぞ」
「はっはっはっ、長生きする妖からしたら人間なんてそんなもんか」
「弱い生き物だからな、人間は」
しみじみと遠くを見つめながら呟いたにゃんこ先生。
夏目くん以外の親しい人間でもいたのだろうか?
妖でも人間と仲良くしたい者がいて
妖より短命な人間は妖を置いていく。
考え方や生き方が違っていたとしても仲良くなった相手に、心を許した相手に置いていかれるのは辛いもの。
妖にとっては人の一生などあっという間に終わり、消えていくもの。
「にゃんこは優しいね」
「ワシは懐が広いからな」
宿に着いたら優しくにゃんこ先生を撫でる。
ゴロゴロと猫のように鳴くにゃんこ先生に笑ってしまうが不細工な見た目に癒される。
「お前も奇妙な人間だな」
「変なのにはよく好かれるわ」
「旨そうな匂いがしているが夏目が怒るから見逃してやろう」
「飼い主に忠実だね、にゃんこなのに」
「飼い主ではない!!ワシが主だ!!」
「はいはい」
人は常に壁にぶち当たる。
誰かは神様が与えた成長の為の壁だと言った。
誰かは君は前世の悪行のせいだと言った。
誰かは生きていくための試練だと言った。
誰かは君が不幸だと考えているだけで他人からしたら幸福だと言った。
必ずしも乗り越えられる壁じゃない。
地道に飛び越える人。
才能で飛び越える人。
たまたま飛び越える人。
挫折してしまう時もある。
遠回りしてしまう時もある。
諦めず立ち向かう時もある。
休憩したい時もある。
そうして短い一生を過ごし、精一杯生きた中
枝分かれした道が残り、自分の人生の跡として残る。
「にゃんこ、夏目くんと仲良くね」
「夏目はワシがいないと駄目だからな」
「にゃんこからしたら夏目くんは赤ちゃんみたいなものだもんね」
「あんな乱暴な赤子どこにいる」
「夏目くんにとってにゃんこみたいな存在は大切だよ」
「お前にもいるのか」
「いるよ。
強くて、かっこよくて、可愛い理解者が」
妖ではなく人間だけど。
私が嫌いな世界を少しだけ色付かせ、好きにさせてくれる人達。
どんなに辛くても理解し、共に乗り越えてくれる子達。
置いていかれたくないなら追いついて来いと無茶振りする人達。
"お前まじで馬鹿だろ。ばーかばーか"
「申し訳ない……」
やっと回復した携帯の電源を入れると鬼電だった。
わぁーと、現実逃避していたらまた電話。
皆さんおわかりですね?
過保護の悟くんです。
説明したら低い声で怒られた。
今度から移動のゲームは控えようと心に決めた。
"明日には帰ってくんの?"
「うん。仕事にならないし」
"ばーか"
「おっしゃる通りです」
出会った儚い系美人の少年のこと
不細工な猫のこと
胡散臭いイケメンのことを話した。
「何もないけどのんびり過ごすには素敵な場所だよ」
"無理。暇すぎ"
「悟ってわりと現代っ子だよね」
"田舎でのんびりのびのびとか無理"
「縁側とか似合わない……」
白髪(長髪でゆるっと一つ縛り)
着物
縁側
「………いや、似合いすぎて逆に無理」
どこの当主様だろ……あ、五条の当主でしたっけ?
「忘れていたけどあんたいいとこの坊っちゃんだったもんね」
"突然一人で妄想して完結やめて。
僕ついていけないじゃん"
いつか、の未来も共に君と。
あとがき
夏目むっっっず!!!!!!
あの儚い雰囲気をぶち壊し通行人ワールドはちょっと……。