異世界人が行く
通行人
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あー、フグちゃんだあ」
「出たな、巨人」
アズくんに勉強を教わっているときにやってきた我が宿敵。
ヤツは私を見下ろしてニタリと笑う。
「相変わらずアズールに教わってんのぉ?
なのに馬鹿とかやべーじゃん。時間の無駄じゃん」
「お前らの常識押し付けられて勉強してんだからスタート地点が違うことに気付けよ魚類。
あぁ、脳ミソ小さいからそんなこともわからないのか……アズくんは一生懸命勉強して理解力もあるのに」
「は?」
「陸一年目ならもっと頑張って陸の常識勉強しなよ。
あと飛行術」
バチバチと背後で稲妻が走る。
そっと席を外すアズくんと、にっこり笑顔で距離を置く片割れ。
「なぁに?その反抗的な目」
「その首狩ってやる」
「捻り潰す」
カーンッ
クラスの誰かがコングを鳴らした。
これより第9回、フロイドVS名前の果てしなき戦いが始まった。
やぁやぁ、皆さんこんにちは、こんばんは、おっはよぉぉおおおおおございまぁっす!!
私、オンボロ寮所属の異世界人名前と申します。
ただいま私、巨人の首を狩るべく、足を狙ってそぎ落としている最中でございまぁす。
「ちょこまかちょこまかうぜー!!」
「デカイ図体で大振りな攻撃なんか当たらぬわ!!」
「はぁ?ざけんな」
「落ちろ、這いつくばれ」
バキッ、ドカッと拳一つで語り合う私達の出会いはそう……アズくんと仲良くなってから。
アズくんに勉強を教わっていた私だったが、なんということでしょう!!
その巨人共は私とアズくんの平和を壊しにやってきたのです!!
〜回想〜
「おや、アズールこの方は?」
「だぁれー?」
「でかっ」
「ジェイド、フロイド」
初めて見た巨人。
しかも顔そっくり。
双子だ、双子だ、と心が踊る。
「同じクラスの名前さんですよ。
オンボロ寮に行くことになった例の」
「へー」
「こちらの常識や勉強が遅れているので復習がてら一緒に勉強していただけですよ」
「優しいですね、アズール」
「はー?こんなのミドルスクールで習うことじゃん。
今さらアズールが勉強する意味なくね?」
なんか一匹態度悪くね?と思ったが
アズくんのお友達だ。
お友達のお友達は私のお友達とはならないが、何やら機嫌が悪いみたいなので離れようと勉強道具を片付ける。
「アズくん、お友達来たなら私自分で頑張るよ」
「ですが」
「わからないとこはまた後日教えてね」
「こんな簡単なこともアズール頼んなきゃわかんねーとか脳ミソ詰まってんの?」
「あー、すいませんね。
何分こちらと自分の常識が全く違うんで」
「だっせ」
カチン、ときた。
え?お前に関係ある?
お前に勉強教わってるわけじゃないし、そもそもアズくんはお前のなの?デキてんの?だからアズくん独占した私にキレてんの?焼きもち?焼きもちかよ?八つ当たりかよ?はぁぁあああああ(クソデカ感情)
脳内一秒の脳内会議の結果
「ごめんなさいね、君のアズくんの時間を取ってしまって。
今後は気を付けるよ」
彼氏持ちと関わるのはやめようと思った。
アズくんが男とデキていても私は友達だよ……距離置かないと彼女(笑)が癇癪起こすなら無理だけど。
「その慈愛に満ちた表情ろくなこと考えていませんね?
私とフロイドはただの同郷の幼馴染です。
変な勘違いやめてください」
「アズくん、大丈夫。
私達は友達だよ……彼女の癇癪酷そうだから距離を置かせていただきますが」
「違います。フロイドは男です」
「双子に手を出すなんて……アズくんも好き者だね」
「止めてください。違います」
「え、キモッ。何考えてんのコイツ」
「おやおや?僕達はアズールの彼女だったんですか?」
「違います。ジェイドも悪のりはヤメロ」
勉強にならないので勉強道具を持って寮に戻ろうとしたのだが、なぜか垂れ目の巨人が退いてくれない。
わざわざズレても邪魔される。
「なにか?」
「なんかお前うざ」
「は?」
「目の前チョロチョロうざい」
「………あ"?」
「絞めてもいい?」
ブチッと何かがキレた。
「図体ばかりデカイだけで頭すっからかんの脳足りんは今すぐ私の目の前から退けろよ、木偶の坊」
「………は?」
「さっきから何の八つ当たりだよ。
ただ勉強してるだけなのにお前に口出しされて貶されるほどお前に迷惑かけた?かけてないよね?
意味わからん八つ当たりされる身にもなれよ。お前こそ常識学び直した方がいいんじゃないの?」
「あ"?なにコイツ」
アズくんが止めようと必死になっているが、勉強道具を預けて後ろに下がるよう指示しておく。
にこにこ顔の双子の片割れもアズくんと一緒に下がっていた。
「無駄な身長そぎ落として地面に這いつくばれ」
「絞める」
カーンッ、と誰かがコングを鳴らした。
それが私達の第1回だった。
魔法禁止
素手のみの殴りあい
審判アズールとジェイドの元、ほどほどに怪我する程度で勝敗が決まる。
ちなみに2勝2敗4引き分け。
負けた時は女の子の日で不調だった。
「あのさあ!!足狙うのやめてくんね!?
まじやりづらい!!」
「デカイヤツは足から攻め落とす。これ基本」
「このクソチビッ」
「お足が長いのは大変でございますなぁ」
「フグちゃんと違って長くてごめんねー?」
「あっはっはっは」
「はっはっはっは」
「「潰す」」
「今回もなかなかですね」
「アレは本当に女性なんですかね?」
「性別的には女性ですよ」
「陸にはお強い方もいらっしゃるんですね」
「アレは特殊かと」
「アズくーん!!聞こえてッからな!!」
「お強い女性も素敵だと話しているんですよ」
「当たり前だ。
女子だからと馬鹿にされ弱く見られ食い物にされるなんざ言語道断!!
輝く未来は己の手で切り開き手にするもの!!
つまり!!
このクソデカ幼児なんて恐るるに足らず!!」
「はぁ?俺稚魚じゃねーし」
アズくんは後で絞めるとして、目の前の巨人に集中する。
足を狙うが最近は軽々と避けるので舌打ち。
掴もうとする手を避け、顔面狙いの突き。
体を後ろに反らされるとリーチの差で避けられる。リーチなだけにリーチが長いとかうざい。
「ださっ」
「うるさい」
こちら夢と魔法の世界なはずなのになぜか拳の世界となってしまっているが、一度火の付いた二人を止めるのは困難だ。
お互い顔面狙いで拳を振るおうとしたのだが、その瞬間ザバッと頭から水を掛けられ制止。
「なーにやってんスか」
「ラギー、覚悟はよろしいか」
「俺に当たるの止めてくださーい」
びちょびちょになった制服。
ピッタリ張り付いて気持ちが悪い。
なのでブレザーを脱げばギョッとする周りの目と、ゲスにヒューヒュー口笛を鳴らす輩。
「今回も引き分けか」
「コバンザメくんうざー。制服濡れたんだけど」
「仕方ないじゃないっスか。
俺も出来るなら見学していたかったけど名前くんの呼び出し係を任命されたんで」
「誰?」
「クルーウェル先生」
「あ、やば。
そういや魔法薬の話する約束だった」
そーいやハリポタの魔法薬出来るのかと思って相談したら、面白そうだと作ることになったのだった。
まぁ、私ハリポタ詳しくないが面白そうなとこは暗記してたから。
「ちょっ!?
その格好で今から行く気っスか?」
「流石にクルーウェル先生のとこ行く前に乾かすよ」
「ここ!!男子校!!」
「見られて困る貧相な身体はしてない」
「気にするとこはそこじゃないっス!!!」
「思春期の野郎共、私をおかずに想像しやがれ。
手を出してきた奴はもれなく玉潰すけど」
笑顔で何かを潰す動作をしたら、股関を抑えて震える者達がいた。
「あーもう!!そーゆー煽り方良くないって何回も言ってるじゃないっスか!!
ほら!!俺のブレザー貸すから、さっさと乾かしに行くっスよ!!」
バサッと頭から被せられたブレザー。
クルーウェル先生をお待たせしているのでさっさと乾かしに行こうかと勉強道具を持つ。
「次は泣かす」
「出来ないくせに」
「ほんっと腹立つ」
「こっちの台詞だし」
「はいはいはいはい、行くっスよー」
「フロイドも着替えた方が良さそうですね」
「まじだりー萎えた」
ラギーで大きいんだから、私なんてブカブカなブレザー。
全身ずぶ濡れなので一度寮に戻るしかないか、と寮へと歩く。
「あのフロイドくんに喧嘩売れるのアンタくらいっスよ」
「だって腹立つじゃん」
「怖くないんスか?」
「怖いよ。デカイし威圧的だしどこにキレスイッチあるかわかんないし」
「じゃあ避ければいいじゃないっスか」
「絡まれた喧嘩は買う」
「どこのヤンキーっスかアンタ」
とにかく気に入らない。
完全に馬鹿にして、下に見られているのも
努力など無駄だと言われるのも
絶対勝てないんだと圧をかけられるのも
「私はこの世界を理解したいし、せっかく魔法を使えるんだから楽しみたい。
そのための努力を無駄だと、馬鹿馬鹿しいって雑に扱われたら私に勉強を教えるのに時間を割いてくれてる人達も馬鹿にされてる感じが嫌だ」
「なるほどねー」
「あと普通に存在が腹立つ」
「理由ほぼそっちじゃないっスか?」
下着を交換している間にラギーが制服を魔法で乾かしてくれた。
「流石世話役」
「嬉しくないっス」
「ほら、ジャーキーやるから」
「噛むっスよ」
クルーウェル先生に遅れた事を注意されたが、髪が濡れているのに気付くと魔法でさっと乾かしてくれた。
流石クルーウェル先生、ほんとしゅき。
大人の余裕に痺れるぅ、憧れるぅ。
「やるか、仔犬」
「イエス、マイロード」
たらたった たたた
たらたった たたた
たらたった たった たたたたた
たらたったった
たらたったった
たっ
たっ
たったらたたたん
ちーん できましたー
「………これは」
「まずそ」
本日の大人の全力の遊びわぁ……
みんなの憧れ!!
おできを治す薬!!
ちなみに変身薬はこちらの世界では禁止だとか?
まじかよ。
「おできなんか出来てる生徒います?」
「そもそもこれは効果があるのか?」
「さあ?世界線が違うので」
「飲みたくはないな」
「私もです」
材料を知ったら卒倒するよね。
クルーウェル先生が実験して効果が立証出来るか今後の課題となった。
「ちなみに先生」
「なんだ」
「金作れますよね?」
「やろうと思えば出来る」
「水35ℓ、炭素20㎏、アンモニア4ℓ、石灰1.5㎏、リン800g、塩分250g、硝石100gイオウ80g、フッ素7.5g、鉄5g、ケイ素3g、その他少量の15の元素……で出来るものは?」
「どこでそれを?」
「我が国です」
「お前の国は犯罪都市か?」
「錬金術師だとやっぱり常識なんですねー」
「絶対するなよ」
「しませんよ。
奪われるだけで得るものはない。
与えられた大量の知識でさえ人を作り上げることは出来ないんですから」
「よくわかっているじゃないか」
錬金術の兄弟は我が国に衝撃と尊さを教えてくれたからな。
それでも人は求めてしまう。
興味で、感情で。
「魔法も錬金術も万能ではない。
だけど人は願ってしまう。可能性に掛けてしまう愚かな生き物なんですよね」
「………そうだな」
しんみりしてしまったが、別に大切な人無くしたとかじゃないから。
ちょっと興味で聞いたけど、思いの他空気重くなっちまった。
「先生、次媚薬作りましょ」
「断る」
「なんで!?」
「それよりこないだの課題は?」
「ナントコトカナ?」
「仔犬」
「はい、今やります!!」
「この世界は楽しいか」
あれ?なんか気使われてる?
ちょっと先生、大丈夫ですよぉー!!!
私、元気!!
「楽しいですよ」
だってゲームの魔法使えるとかやべーじゃん。
レベルアップしたらあれかな?
ファイヤーボールとかできるかな?
せめてヒールとファイヤーボールとダイダルウェーブくらい使えるようになりたいじゃん!!
あと、生活魔法。
「リタたんを目指したい」
「?」
大丈夫か、仔犬……と心配されたが、私の野望は必ず達成させる!!
あとがき
フロイドと仲悪そう。
ちょっとしたきっかけでめちゃくちゃ仲良くなれそうだけど、基本仲悪そう(笑)
ちなみに異世界人
魔法も魔導師もごちゃまぜ(笑)
錬金術師は鋼の兄弟しか出てこない。
「出たな、巨人」
アズくんに勉強を教わっているときにやってきた我が宿敵。
ヤツは私を見下ろしてニタリと笑う。
「相変わらずアズールに教わってんのぉ?
なのに馬鹿とかやべーじゃん。時間の無駄じゃん」
「お前らの常識押し付けられて勉強してんだからスタート地点が違うことに気付けよ魚類。
あぁ、脳ミソ小さいからそんなこともわからないのか……アズくんは一生懸命勉強して理解力もあるのに」
「は?」
「陸一年目ならもっと頑張って陸の常識勉強しなよ。
あと飛行術」
バチバチと背後で稲妻が走る。
そっと席を外すアズくんと、にっこり笑顔で距離を置く片割れ。
「なぁに?その反抗的な目」
「その首狩ってやる」
「捻り潰す」
カーンッ
クラスの誰かがコングを鳴らした。
これより第9回、フロイドVS名前の果てしなき戦いが始まった。
やぁやぁ、皆さんこんにちは、こんばんは、おっはよぉぉおおおおおございまぁっす!!
私、オンボロ寮所属の異世界人名前と申します。
ただいま私、巨人の首を狩るべく、足を狙ってそぎ落としている最中でございまぁす。
「ちょこまかちょこまかうぜー!!」
「デカイ図体で大振りな攻撃なんか当たらぬわ!!」
「はぁ?ざけんな」
「落ちろ、這いつくばれ」
バキッ、ドカッと拳一つで語り合う私達の出会いはそう……アズくんと仲良くなってから。
アズくんに勉強を教わっていた私だったが、なんということでしょう!!
その巨人共は私とアズくんの平和を壊しにやってきたのです!!
〜回想〜
「おや、アズールこの方は?」
「だぁれー?」
「でかっ」
「ジェイド、フロイド」
初めて見た巨人。
しかも顔そっくり。
双子だ、双子だ、と心が踊る。
「同じクラスの名前さんですよ。
オンボロ寮に行くことになった例の」
「へー」
「こちらの常識や勉強が遅れているので復習がてら一緒に勉強していただけですよ」
「優しいですね、アズール」
「はー?こんなのミドルスクールで習うことじゃん。
今さらアズールが勉強する意味なくね?」
なんか一匹態度悪くね?と思ったが
アズくんのお友達だ。
お友達のお友達は私のお友達とはならないが、何やら機嫌が悪いみたいなので離れようと勉強道具を片付ける。
「アズくん、お友達来たなら私自分で頑張るよ」
「ですが」
「わからないとこはまた後日教えてね」
「こんな簡単なこともアズール頼んなきゃわかんねーとか脳ミソ詰まってんの?」
「あー、すいませんね。
何分こちらと自分の常識が全く違うんで」
「だっせ」
カチン、ときた。
え?お前に関係ある?
お前に勉強教わってるわけじゃないし、そもそもアズくんはお前のなの?デキてんの?だからアズくん独占した私にキレてんの?焼きもち?焼きもちかよ?八つ当たりかよ?はぁぁあああああ(クソデカ感情)
脳内一秒の脳内会議の結果
「ごめんなさいね、君のアズくんの時間を取ってしまって。
今後は気を付けるよ」
彼氏持ちと関わるのはやめようと思った。
アズくんが男とデキていても私は友達だよ……距離置かないと彼女(笑)が癇癪起こすなら無理だけど。
「その慈愛に満ちた表情ろくなこと考えていませんね?
私とフロイドはただの同郷の幼馴染です。
変な勘違いやめてください」
「アズくん、大丈夫。
私達は友達だよ……彼女の癇癪酷そうだから距離を置かせていただきますが」
「違います。フロイドは男です」
「双子に手を出すなんて……アズくんも好き者だね」
「止めてください。違います」
「え、キモッ。何考えてんのコイツ」
「おやおや?僕達はアズールの彼女だったんですか?」
「違います。ジェイドも悪のりはヤメロ」
勉強にならないので勉強道具を持って寮に戻ろうとしたのだが、なぜか垂れ目の巨人が退いてくれない。
わざわざズレても邪魔される。
「なにか?」
「なんかお前うざ」
「は?」
「目の前チョロチョロうざい」
「………あ"?」
「絞めてもいい?」
ブチッと何かがキレた。
「図体ばかりデカイだけで頭すっからかんの脳足りんは今すぐ私の目の前から退けろよ、木偶の坊」
「………は?」
「さっきから何の八つ当たりだよ。
ただ勉強してるだけなのにお前に口出しされて貶されるほどお前に迷惑かけた?かけてないよね?
意味わからん八つ当たりされる身にもなれよ。お前こそ常識学び直した方がいいんじゃないの?」
「あ"?なにコイツ」
アズくんが止めようと必死になっているが、勉強道具を預けて後ろに下がるよう指示しておく。
にこにこ顔の双子の片割れもアズくんと一緒に下がっていた。
「無駄な身長そぎ落として地面に這いつくばれ」
「絞める」
カーンッ、と誰かがコングを鳴らした。
それが私達の第1回だった。
魔法禁止
素手のみの殴りあい
審判アズールとジェイドの元、ほどほどに怪我する程度で勝敗が決まる。
ちなみに2勝2敗4引き分け。
負けた時は女の子の日で不調だった。
「あのさあ!!足狙うのやめてくんね!?
まじやりづらい!!」
「デカイヤツは足から攻め落とす。これ基本」
「このクソチビッ」
「お足が長いのは大変でございますなぁ」
「フグちゃんと違って長くてごめんねー?」
「あっはっはっは」
「はっはっはっは」
「「潰す」」
「今回もなかなかですね」
「アレは本当に女性なんですかね?」
「性別的には女性ですよ」
「陸にはお強い方もいらっしゃるんですね」
「アレは特殊かと」
「アズくーん!!聞こえてッからな!!」
「お強い女性も素敵だと話しているんですよ」
「当たり前だ。
女子だからと馬鹿にされ弱く見られ食い物にされるなんざ言語道断!!
輝く未来は己の手で切り開き手にするもの!!
つまり!!
このクソデカ幼児なんて恐るるに足らず!!」
「はぁ?俺稚魚じゃねーし」
アズくんは後で絞めるとして、目の前の巨人に集中する。
足を狙うが最近は軽々と避けるので舌打ち。
掴もうとする手を避け、顔面狙いの突き。
体を後ろに反らされるとリーチの差で避けられる。リーチなだけにリーチが長いとかうざい。
「ださっ」
「うるさい」
こちら夢と魔法の世界なはずなのになぜか拳の世界となってしまっているが、一度火の付いた二人を止めるのは困難だ。
お互い顔面狙いで拳を振るおうとしたのだが、その瞬間ザバッと頭から水を掛けられ制止。
「なーにやってんスか」
「ラギー、覚悟はよろしいか」
「俺に当たるの止めてくださーい」
びちょびちょになった制服。
ピッタリ張り付いて気持ちが悪い。
なのでブレザーを脱げばギョッとする周りの目と、ゲスにヒューヒュー口笛を鳴らす輩。
「今回も引き分けか」
「コバンザメくんうざー。制服濡れたんだけど」
「仕方ないじゃないっスか。
俺も出来るなら見学していたかったけど名前くんの呼び出し係を任命されたんで」
「誰?」
「クルーウェル先生」
「あ、やば。
そういや魔法薬の話する約束だった」
そーいやハリポタの魔法薬出来るのかと思って相談したら、面白そうだと作ることになったのだった。
まぁ、私ハリポタ詳しくないが面白そうなとこは暗記してたから。
「ちょっ!?
その格好で今から行く気っスか?」
「流石にクルーウェル先生のとこ行く前に乾かすよ」
「ここ!!男子校!!」
「見られて困る貧相な身体はしてない」
「気にするとこはそこじゃないっス!!!」
「思春期の野郎共、私をおかずに想像しやがれ。
手を出してきた奴はもれなく玉潰すけど」
笑顔で何かを潰す動作をしたら、股関を抑えて震える者達がいた。
「あーもう!!そーゆー煽り方良くないって何回も言ってるじゃないっスか!!
ほら!!俺のブレザー貸すから、さっさと乾かしに行くっスよ!!」
バサッと頭から被せられたブレザー。
クルーウェル先生をお待たせしているのでさっさと乾かしに行こうかと勉強道具を持つ。
「次は泣かす」
「出来ないくせに」
「ほんっと腹立つ」
「こっちの台詞だし」
「はいはいはいはい、行くっスよー」
「フロイドも着替えた方が良さそうですね」
「まじだりー萎えた」
ラギーで大きいんだから、私なんてブカブカなブレザー。
全身ずぶ濡れなので一度寮に戻るしかないか、と寮へと歩く。
「あのフロイドくんに喧嘩売れるのアンタくらいっスよ」
「だって腹立つじゃん」
「怖くないんスか?」
「怖いよ。デカイし威圧的だしどこにキレスイッチあるかわかんないし」
「じゃあ避ければいいじゃないっスか」
「絡まれた喧嘩は買う」
「どこのヤンキーっスかアンタ」
とにかく気に入らない。
完全に馬鹿にして、下に見られているのも
努力など無駄だと言われるのも
絶対勝てないんだと圧をかけられるのも
「私はこの世界を理解したいし、せっかく魔法を使えるんだから楽しみたい。
そのための努力を無駄だと、馬鹿馬鹿しいって雑に扱われたら私に勉強を教えるのに時間を割いてくれてる人達も馬鹿にされてる感じが嫌だ」
「なるほどねー」
「あと普通に存在が腹立つ」
「理由ほぼそっちじゃないっスか?」
下着を交換している間にラギーが制服を魔法で乾かしてくれた。
「流石世話役」
「嬉しくないっス」
「ほら、ジャーキーやるから」
「噛むっスよ」
クルーウェル先生に遅れた事を注意されたが、髪が濡れているのに気付くと魔法でさっと乾かしてくれた。
流石クルーウェル先生、ほんとしゅき。
大人の余裕に痺れるぅ、憧れるぅ。
「やるか、仔犬」
「イエス、マイロード」
たらたった たたた
たらたった たたた
たらたった たった たたたたた
たらたったった
たらたったった
たっ
たっ
たったらたたたん
ちーん できましたー
「………これは」
「まずそ」
本日の大人の全力の遊びわぁ……
みんなの憧れ!!
おできを治す薬!!
ちなみに変身薬はこちらの世界では禁止だとか?
まじかよ。
「おできなんか出来てる生徒います?」
「そもそもこれは効果があるのか?」
「さあ?世界線が違うので」
「飲みたくはないな」
「私もです」
材料を知ったら卒倒するよね。
クルーウェル先生が実験して効果が立証出来るか今後の課題となった。
「ちなみに先生」
「なんだ」
「金作れますよね?」
「やろうと思えば出来る」
「水35ℓ、炭素20㎏、アンモニア4ℓ、石灰1.5㎏、リン800g、塩分250g、硝石100gイオウ80g、フッ素7.5g、鉄5g、ケイ素3g、その他少量の15の元素……で出来るものは?」
「どこでそれを?」
「我が国です」
「お前の国は犯罪都市か?」
「錬金術師だとやっぱり常識なんですねー」
「絶対するなよ」
「しませんよ。
奪われるだけで得るものはない。
与えられた大量の知識でさえ人を作り上げることは出来ないんですから」
「よくわかっているじゃないか」
錬金術の兄弟は我が国に衝撃と尊さを教えてくれたからな。
それでも人は求めてしまう。
興味で、感情で。
「魔法も錬金術も万能ではない。
だけど人は願ってしまう。可能性に掛けてしまう愚かな生き物なんですよね」
「………そうだな」
しんみりしてしまったが、別に大切な人無くしたとかじゃないから。
ちょっと興味で聞いたけど、思いの他空気重くなっちまった。
「先生、次媚薬作りましょ」
「断る」
「なんで!?」
「それよりこないだの課題は?」
「ナントコトカナ?」
「仔犬」
「はい、今やります!!」
「この世界は楽しいか」
あれ?なんか気使われてる?
ちょっと先生、大丈夫ですよぉー!!!
私、元気!!
「楽しいですよ」
だってゲームの魔法使えるとかやべーじゃん。
レベルアップしたらあれかな?
ファイヤーボールとかできるかな?
せめてヒールとファイヤーボールとダイダルウェーブくらい使えるようになりたいじゃん!!
あと、生活魔法。
「リタたんを目指したい」
「?」
大丈夫か、仔犬……と心配されたが、私の野望は必ず達成させる!!
あとがき
フロイドと仲悪そう。
ちょっとしたきっかけでめちゃくちゃ仲良くなれそうだけど、基本仲悪そう(笑)
ちなみに異世界人
魔法も魔導師もごちゃまぜ(笑)
錬金術師は鋼の兄弟しか出てこない。