通行人の異世界交流
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「おはようございます、マダム」
「おう、おはよイケメン」
「貴方が噂のマダムですね」
「何の噂か知らないが、噂ならそーかもね」
「突然現れる大人の女性の不審者がいると」
「不審者扱い絶対ハーツラビュルだろ」
「そこで貴方にお願いがあるのですが」
よろしいですよね?と
にっこり笑う口元にエロ黒子があるイケメンの誘いを断る奴いれる?
年下の口元のエロ黒子の頼みだぞ?
断るわけ無い通行人名前です。
「…………とまぁ、そんなこんなで我がモストロ・ラウンジは大打撃でして」
「なるほど。自業自得だね!!」
「………ズバッと言いますね」
「催しとかすれば?」
「催し……?」
「素っ裸で股関だけお盆で隠して、お盆ひっくり返すのとか」
「我がモストロ・ラウンジはそんな下品な行いはしません」
「客来なくて困ってるくせに贅沢言うなよ」
「全く使い物になりませんね」
「眼鏡叩き割るぞ」
はーやれやれ、と大袈裟な身振りをする眼鏡。
口元エロ黒子でも許さんぞ。
「アズール、お客様ですか?」
「だーれー?」
「ジェイド、フロイド」
巨人の双子が現れた。
えっ、でかっ。
悟レベルとか久々に見たわ。
「例の方ですよ」
「不審者の?」
「ギュッとして絞めとくぅ?」
「よし、来い」
「まじでー?いいのぉ?」
「………不審者ですね」
「フロイド相手に両手広げる人初めて見ましたよ」
イケメンがハグを所望してんだぞ。
断るわけねーだろっ!!
事案?いや……いやいや、ここ私の世界じゃないからさ……ね?
魔法の世界だから。
法律?ほら、魔法の世界だから!!!!
「んー。悟のが身長高そう」
「それってサバナクローのチンアナゴちゃん?」
「は?」
「フロイドは海の生き物のあだ名をつけたがるので」
「なるほど」
悟ってチンアナゴだったのか。
細くて長いから?
「…………」
「なぁに?メンダコちゃん?」
「メンダコ?可愛いじゃん」
「ちっちゃくてぇ、ふわふわしてるからメンダコちゃん」
「やったね!!可愛いから嬉しい」
「いつまで抱き合ってるんですか」
ベリッと眼鏡に引き剥がされた。
「エロ眼鏡くん」
「誰がエロ眼鏡ですか」
「間違った。エロ黒子眼鏡くん」
「アズールです」
「下品じゃなければいいんだよね?」
「えぇ」
「このイケメン二人貸してよ」
「僕らですか?」
「俺〜?」
「やってみたかったんだよね」
ニヤリと笑う私。
この二人見たらやるっしょ。
今夜のモストロ・ラウンジは一味違うとの噂にいつもよりも少しだけ客足が増えていた。
「あれ?ラギー先輩にレオナさん?
珍しいっスね」
「俺もレオナさんもアズールに呼ばれたんスよ」
「俺もっス」
特別枠での招待とのことで、アズール達から招待状を受け取ったレオナ、ラギー、ジャック。
周りを見れば、他の寮もチラホラ。
「タダ飯食えるにしても魚臭いとこで食いたくねーよな」
「悟、聞こえてしまうだろ」
「聞こえるように言ってんだよ」
「お前な……」
悟の態度にジャックも傑も呆れている。
「確かにこんなとこ来るだけ無駄かもしれねぇな」
「気が合うじゃん王様」
「帰りたかったらお前は帰ればいーだろ?」
「は?」
「……ラギー先輩、レオナさん随分機嫌良くないっスか?」コソッ
「招待状見てからこの調子なんスよ」コソッ
レオナの挑発に舌打ちしながら黙って座る悟。
二人の機嫌は正反対だ。
「お待たせしました!!
本日はこのモストロ・ラウンジにお越しいただきありがとうございます。
今夜は特別なステージがございますので、まずはそちらをご覧になりながらゆっくりとお過ごし下さい」
アズールが立つステージが一度暗くなる。
そこに立つ三人の人影。
そして、スポットライトが当たる。
「ジェイドくん、ありがとう
フロイドくん、ありがとう」
何か紙の束を受けとる白いシャツにタイトスカートの誰か。
「みんな、ありがとう。
あー、女に生まれて良かった」
名前がいた。
ズズチャ、ズズチャ、という謎の音楽と共に三人が歩きだし、謎の決めポーズを取る。
そしてジェイドとフロイドだけがはけた。
「どうも、効率的な仕事ぶり、充実した私生活。
キャリアウーマンです!
独り身で寂しい働きウーマンのみんな?自分から「狩り」に出ないと、男できないと思ってない?
ふっ…じゃあ質問です!花は自分からミツバチを探しに行きますか?
……探さない、待つの」
紙の束を撒き散らす名前。
そして再び出てきたジェイドとフロイドが拾っている。
「撒いてごらん!自然と男は寄ってくるから!」
三人が集まり、振り向く。
「…キャリア」キリッ
「…ウーマン」髪ファサッ
謎にリズムに合わせて動き、再びまたあの謎の決めポーズ。
「アズールちゃん、仕事、仕事!
え?オバフロの事が忘れられなくて、仕事に集中できない?
はっ…ダメウーマン!いい?オバフロの事が忘れられない?
じゃあ、質問です!アズールちゃんは、味のしなくなったガムをいつまでも、いつまでも、噛み続けますか?」
胸ポケットから、新しいガムを取り出す名前。
「新しいガム、食べたくない?」
ジェイドとフロイドが後ろからネクタイを取りながら出てくる。
名前を後ろから抱き締めるも冷たく突き放されたり、
名前の噛んだガムをティッシュで回収してあげている。
「恥はガムと一緒!
味がしなくなったら、また新しいガムを食べればいい!
だって!この学園でオバフロしたのは何人いると思っているの?」
再び三人で背中を向けて音楽に合わせて歩きだす。
「4人」くるっキリッ
「その他可能性あり」髪ファサッ
音楽に合わせてジャケットを脱ぐジェイドとフロイド。
格好よく振り返ると、背中には「4」「人」の貼り紙。
双子が片足を立ててひざまずき、その上に優雅に座る名前。
いつもと違って化粧もしているらしく、どこかの女王のようだ。
「たかがオバフロ。お仕事をしなさい」
「貴方に任せた僕が馬鹿でした」
「なによ。私に任せたじゃない」
「聞いてませんよこんな内容!!」
「客受けはいいわよ」
テーブルのあちこちから笑いが起こっている。
「メンダコちゃん、すっごいねぇ」
「なかなか面白い余興でした」
「あなた達までっ!!」
「これが日本のお笑いマジック!!」
「黙って下さい。本当に……っ!!」
顔を両手で覆いながら顔を真っ赤にしているアズールくん。
後半ちょっとこっちの世界のネタでやったけど笑いは万国共通か。
「よし、働くか」
「わぁー切り替え早いねぇ、メンダコちゃん」
「今夜稼ぐ事が目的でしょ?
いい金蔓からガッポリ取るわ」
「その調子で結果を出して欲しいですね」
「ジェイドくん可愛いくない」
「俺は〜?」
「フロイドくんは可愛いよ。よーしよし」
「誉められちゃったぁ」
ってことで、サバナクローのとこへ。
「やぁ、レオナくんと愉快な仲間達」
「まとめないで欲しいッス!!」
「どうだった?私のステージ」
「内容はアレだが……いい見せ物だったな」
腰を掴んでくるレオナくん。
レオナくんとラギーくんの間に座ってジェイドくんを呼ぶ。
「レオナくん何飲む?」
「酒は?」
「ジェイドくん、一番いいやつだって」
「かしこまりました」
「ラギーくんはー?」
「………あんた、金巻き上げようとしてないッスか?」
「それがお仕事だから」
「うわっ、清々し」
「俺に金使わせようって魂胆か?」
「だから招待状にお願いしたでしょ?」
レオナくんの招待状だけ私がコメントを書いといた。
お金いーっぱい持っておいで、と。
あからさま?いいえ、計画犯です。
「ラギーくんはほら、いつもレオナくんのお世話してるんだから今日くらいレオナくん持ちでいいと思う」
「おい」
「何か文句がおありかい?」
「ハーツラビュルの寮長の真似ッスか?」
「それともレオナくんは手下を養えないほど、懐の狭い男なのかしら?」
にやり、と笑えば楽しそうに笑いだすレオナくん。
「いいぜ。ラギーの分もジャックの分も払ってやるよ」
「よしきた。ラギーくんや、好きなものをお食べ」
「やりぃ!!俺一番高いこの肉で!!」
「フロイドくーん!!高い肉2つ!!」
「はぁい」
「ジャックくんは……この前ハーツラビュルで会ったけどあんまりお話しなかったね」
「あの……あんたは」
「今夜はオクタヴィネルのお姉さんだよ」
手を伸ばしてジャックくんの顎に指を滑らせたらビクッとして離れてしまった。
残念。
モフモフしたかったが、腕の長さが……!!
「ってことで、ジャックくんは何がいい?」
「レオナさんのお金でなんて……!!」
「いい子か」
「ジャックはクソ真面目ッスからね」
「馬鹿真面目だからな」
「天使か。アズールくん、この天使に良いものを差し上げておくれ」
「解りました。が、しっかりやって下さいよ」
「勿論」
お仕事ですからねー。
飼育員(本職)の血が騒ぐ……あ、いっけね。
完全にペット扱いしてたわ、ごめんね☆
「おいこら」
「なんだい?悟(仮)」
「何でそこ座ってんだよ」
「そりゃー一番お金持ってそうなのがレオナくんだからね」
「あんたレオナさんのこと何だと思ってんだ」
「王様」
「………間違いではないッス」
「清々しいくらいの金蔓扱いだね」
「ハッ!!気にしねーよ」
「流石王様。懐が広い。
お姉さんサービスしちゃう」
寄せて上げてご自慢のお胸さまです。
この白シャツに合うように増し増しで寄せて上げてます。
「ここはそーゆーお店じゃありませんよ」
「あ、ジェイドくんどーも」
「なぁに〜?メンダコちゃんエッチなサービスしようとしてんのぉ〜?」
「いや。まさか」
「違ぇのかよ」
「モフモフマッサージはするよ?膝枕付き」
「買った」
「スペシャルマッサージ入りまーす」
唸れ!!私の黄金の指先!!
悶えろ!!動物のツボマッサージ!!
ってことで、レオナくん秒殺で寝落ちしましたぁ。
「やべ。金蔓潰した」
「何やってるんですか貴方」
「つい」
「あーぁ、どーすんのメンダコちゃん?」
「じゃあ膝枕代として適当にぶん取っておこう」
「悪徳商法ッスね」
「何てやつだ……!!」
「って言いながらラギーくんや、ちゃっかり追加頼んでるじゃん」
「それはそれ、これはこれッス」キリッ
「私君のそーゆーとこ好き」
「シシシッ」
ラギーくん可愛い。
やってること可愛くないけど。
「ってことで悟(仮)と前髪は?何食べる?」
「こっち来いよ」
「特別料金発生しますよ」
「それでもいーっつの」
「悟、必死だね」
「笑うなよ傑」
「30分1000マドモアゼルになりまーす」
「何だよその通貨」
「マドルのことじゃないか?」
「どっちも一緒じゃん」
マドモアゼルもマドルもマダムも変わんないよ。
レオナくんの頭にクッションを詰めて悟(仮)の所へ。
「膝に乗ってくんねーの?」
「そーゆーお店じゃありませーん」
「いいじゃん」
「なるほど。倍の料金嵩ましプラス
もれなくフロイドくん召還してギュッもついてきますがよろしくて?」
「なにぃ〜?呼んだぁ?」
「悟(仮)が首をギュッとしてもいいってさ」
「言ってねーし呼んでねーよ」
「ふぅ〜ん。メンダコちゃんに何かしたら……絞めるよ」
フロイドくんこわっ!!!
えっ?表情どこ抜け落ちた?
あのふわふわ〜としたのどこいった?
確実に誰か殺ってるじゃん。
私の癒し系が……なんてこった。
「ヤンデレ系だった……」
「フロイド先輩は気紛れで有名だらね」
「スイーツ全種類持ってこいよ」
「あんたお金あんの?」
「あるに決まってんだろ」
「こんなんでも悟もお坊ちゃんだからね」
「アズールくーん。スイーツ全種類だって」
年下に容赦無いって?
だってお仕事だもん。
君達は学生相手に全て半額にするかい?
しないだろ?
だって、お仕事、だもん!!!
「こっちの悟(仮)も血統書付きなのね」
「オマエその(仮)って辞めろよ」
「悟は私の彼氏。悟(仮)はペットだからね」
「………ペットじゃねーし」
「悟、ゴロゴロしながら言っても説得力無いよ」
喉をカリカリしてやれば、ゴロゴロしている。
どう頑張ってもペットだよ、悟(仮)。
「で、さっきのステージなに?」
「ん?私の国で流行ってたやつ」
「あれが?」
「元ネタはオバフロじゃなくて男で、決め言葉も35億なんだけどね」
「へぇ」
「いい女をアピールするコントだよ」
「恥ずかし気もなくよくやれましたね」
「そりゃーやるっしょ。
あの双子見たらやるしかないっしょ。
膝に座るしかないっしょ」
「女帝みたいだったわ」
「悪の女帝だね」
「やったね」
あの双子見た瞬間からやろうって決めました。
「名前さん、次の席へ」
「は!?まだ30分も経ってねーよ!!」
「彼女に指名入ってるんですよ。
指名料別料金ですが」
「聞いてねーし!!」
「んじゃ、また後で指名してね悟(仮)」
暴れだしそうなので、おでこにキスを一つ。
なんやかんや私悟に弱いかも。
あちこちの席へ行き、見知らぬ生徒達と話す。
噂を聞き付けてやってきてる客も急増し、モストロ・ラウンジは大盛況。
「おや?リドるん達も来てくれたの?」
「本当に居る……」
「前回とは趣が違っているな」
「かっこいー!!出来る女って感じじゃん?」
「ありがとー」
「おっぱいすごくね?」
「ハートの少年、おさわりはもれなく」
「もれなく?」
「俺がぁギュッとして、ついでに働いてもらうよぉ」
「!!」
「今人手足んねーから超忙しいんだよねぇ」
「マジカメでバズッてたもん」
マジカメ?ってまじ亀じゃないよね?
バズッってたってことは……SNSか?
「ほら」
「あ、コイツ勝手に人のおっぱい載せてる」
「許可無く盗撮するなんて躾がなってないね」
「大丈夫なのか?」
「あぁ、大丈夫大丈夫。
モストロ・ラウンジ入る前に何か書いたでしょ?」
「あぁ、何か紙を全員書かされたな」
「あれなに?」
「女がいるってわかったらアホなことする奴出てくるから、無許可で触ったり写真撮ったりなどなどしたら」
「「したら?」」
「いたっいたたたたたっ」
「はい、ようこそ私のイソギンチャクさん。
契約違反者はこちらのお仕事をお願いしますね」
「あーなります」
「俺ギュッってしてくるねぇ〜」
「よろしく、フロイドくん」
そう。
一応アズールくん達と事前に決めていたのだ。
お店に入る前に必ず書いてもらって、忙しくなることはわかっていたからこそ、強制労働の刑となる。
「………そんなこと、一言も書いてなくね?」
「書いてあったぞ」
「嘘!?トレイ先輩どこに!!?」
「どこに書いてありました!?」
「君達裏面を見なかったのかい?」
「「裏……」」
「おさわり、盗撮、その他諸々……私に関することをマドルも払わずやらかしたら強制労働の刑です」
「まじで!?」
まじです。
なので、勝手に盗撮したり載せた奴はフロイドくんからの制裁とジェイドくんからのメンタル攻撃を受けながら、強制労働の刑となる。
「酷くね?」
「契約書にサインするときはきちんとよく読まないとね」
ってことで、ハーツラビュルさん。
「お姉さんはいかが?
一人30分1000マドルですが」
「「「「「お断りします」」」」」
「はははっ。じゃあこっちの安いメニュー頼みなよ。そんでお話しよー」
「………マドルは」
「取らんって」
ハートの少年とヤンキー少年は契約書に何か恨みでもあんの?
びくびくし過ぎじゃん。
「あー、手が滑った」
「「うわぁぁああああっ!!!」」
「あーはっはっはっは!!」
「い、イソギンチャク!?イソギンチャク這えたか!!?」
「労働は嫌だ!!労働は嫌だ!!」
「私から触る分には契約違反にはならないよ」
「おまっ!!」
「笑えない悪戯はやめてくれ!!」
「リドるん、この子らアズールくんと何かあったの?」
苦笑する三人。
きっと何かやらかしたんだろうな、とわかった。
「名前さん、お次へ」
「りょーかい」
「忙しいね」
「そーなんだよ。アズールくんの人使いの荒らさ」
「文句言ってないで働いて下さい」
「めっちゃ働いてると思ってる」
「自己評価だけでは足りませんよ。ほら、次」
「アズにゃんまじ人使い鬼畜」
「誰がアズにゃんですか」
ハーツラビュルと別れて他へ。
めっちゃ働いた。
めっちゃ働いた結果、めっちゃ稼いだらしい。
「素晴らしい!!」
「あー疲れたぁ」
「今夜は少々疲れましたね」
「お疲れ〜」
ホックホクなアズールくんに比べ、くったくたな私と双子。
まぁ、アズールくんのお願いが叶えられたから良しとしよう。
「ありがとうございます。
最初は役に立たないと思いましたが大盛況でした!!」
「眼鏡叩き割るぞ」
「心ばかりのお礼ですが此方を」
ジェイドくんが差し出してきたのはケーキと紅茶。
「マドルは貴方に必要が無いでしょう?」
「気が利くね」
にっこりと笑うアズールくん。
知ってる。
金は渡さないけど食い物くらいなら恵んでやるよって事でしょ?
「そーいや今更だけどさ」
「はい?」
「オクタヴィネルってどんな寮?」
「………はい?」
「サバナクローはケモ耳、ハーツラビュルはハートの国でしょ?」
「あながち間違えてはいませんが、頭の悪そうな言い回しですね」
「ジェイドくんお口チャック。
君の笑顔で心を抉るの良くない」
「メンダコちゃん、わかんないってお馬鹿なのぉ?」
「オクタヴィネル性格悪い奴しかいないのか」
「は?締めるよ」
「ごめんなさい」
いきなり表情失くすのやーめーてっ!!!
怖い……怖すぎるわっ!!
やめてよ。
「我々オクタヴィネル寮は人魚の者達が多いですよ」
「………人魚、だと!!」
「……何ですか」
「皮膚がベタベタヌメヌメしない…!!」
「当たり前です。何のために人間になる魔法薬飲んでると思ってるんですか」
人魚ってほら、空想だからさ。
居たとしても半魚人かなーと。
「ってことはみんな人魚になったら下半身鯉のぼり的なあれになるの?」
「………」
「なんだよその顔。馬鹿にしてんの?」
みんなもやったよね?
鯉のぼりの口から入って人魚!!みたいなこと。
……え?やったことない?
弟とかお兄ちゃんいた人はあるよね!?
………ない、だと!!!!
「人間ってお馬鹿さんが多いんだねぇ」
「この方が特別なのかと」
「………僕もそう思います」
「おい、ヤメロ。傷を抉るな」
オクタヴィネル怖い。
なんかメンタル的なものがゴリゴリ削られて怖い。
「………あ、そろそろか」
「帰るんですか?」
「っぽい」
くらっと眠くなるような、意識が飛ぶような感覚。
ケーキも紅茶も美味しくいただいたので、さーて帰ろう……と立ち上がれば何やら外がうるさい。
「騒がしいですね」
「魚野郎!!俺の嫁返せ!!」
「………悟(仮)」
バァンッと扉蹴破って入って来た悟(仮)。
そーいや忙しくてあれから会ってなかったな。
「おまっ、透けて!?」
「………人魚姫は最後泡となって消える運命だから」
「ふざけんなっ!!」
「つっても私、王子に振られてないのでただたんに帰るわ」
「毎回毎回勝手に消えてんじゃねーよっ」
「はははっ。
あっちの世界で私の王子様が待ってるから。
またね、悟(仮)」
ほっぺたにキスを一つ。
そのまま意識が無くなった。
「………ふっ、王子様」
自分で言っておいてアレだけど
なんだか笑いが込み上げてくる。
隣で眠る悟は寝顔も綺麗だなーなんて思いながら時計を見れば、まだ一眠りできそうだ。
もぞもぞと悟にくっつくようにすり寄れば
悟も寝ぼけながら抱き込んでくれる。
「………あさ?」
「まだ」
「ん………っ」
「おやすみ」
私の王子様。
あとがき
ねぇ、絶対フロイド兄弟見たときに
このネタ思い浮かんだ人いない?
私は一目見たときからブルゾンだろって思ってました。
オバフロが4人なのは
公式で今のところ4人なので。
これからオバフロ二人出る寮もあるかもしれないので……
ひとまず4人ってことで。
まだオクタヴィネル終わってないので
カリムの寮はおいおい……。
「おう、おはよイケメン」
「貴方が噂のマダムですね」
「何の噂か知らないが、噂ならそーかもね」
「突然現れる大人の女性の不審者がいると」
「不審者扱い絶対ハーツラビュルだろ」
「そこで貴方にお願いがあるのですが」
よろしいですよね?と
にっこり笑う口元にエロ黒子があるイケメンの誘いを断る奴いれる?
年下の口元のエロ黒子の頼みだぞ?
断るわけ無い通行人名前です。
「…………とまぁ、そんなこんなで我がモストロ・ラウンジは大打撃でして」
「なるほど。自業自得だね!!」
「………ズバッと言いますね」
「催しとかすれば?」
「催し……?」
「素っ裸で股関だけお盆で隠して、お盆ひっくり返すのとか」
「我がモストロ・ラウンジはそんな下品な行いはしません」
「客来なくて困ってるくせに贅沢言うなよ」
「全く使い物になりませんね」
「眼鏡叩き割るぞ」
はーやれやれ、と大袈裟な身振りをする眼鏡。
口元エロ黒子でも許さんぞ。
「アズール、お客様ですか?」
「だーれー?」
「ジェイド、フロイド」
巨人の双子が現れた。
えっ、でかっ。
悟レベルとか久々に見たわ。
「例の方ですよ」
「不審者の?」
「ギュッとして絞めとくぅ?」
「よし、来い」
「まじでー?いいのぉ?」
「………不審者ですね」
「フロイド相手に両手広げる人初めて見ましたよ」
イケメンがハグを所望してんだぞ。
断るわけねーだろっ!!
事案?いや……いやいや、ここ私の世界じゃないからさ……ね?
魔法の世界だから。
法律?ほら、魔法の世界だから!!!!
「んー。悟のが身長高そう」
「それってサバナクローのチンアナゴちゃん?」
「は?」
「フロイドは海の生き物のあだ名をつけたがるので」
「なるほど」
悟ってチンアナゴだったのか。
細くて長いから?
「…………」
「なぁに?メンダコちゃん?」
「メンダコ?可愛いじゃん」
「ちっちゃくてぇ、ふわふわしてるからメンダコちゃん」
「やったね!!可愛いから嬉しい」
「いつまで抱き合ってるんですか」
ベリッと眼鏡に引き剥がされた。
「エロ眼鏡くん」
「誰がエロ眼鏡ですか」
「間違った。エロ黒子眼鏡くん」
「アズールです」
「下品じゃなければいいんだよね?」
「えぇ」
「このイケメン二人貸してよ」
「僕らですか?」
「俺〜?」
「やってみたかったんだよね」
ニヤリと笑う私。
この二人見たらやるっしょ。
今夜のモストロ・ラウンジは一味違うとの噂にいつもよりも少しだけ客足が増えていた。
「あれ?ラギー先輩にレオナさん?
珍しいっスね」
「俺もレオナさんもアズールに呼ばれたんスよ」
「俺もっス」
特別枠での招待とのことで、アズール達から招待状を受け取ったレオナ、ラギー、ジャック。
周りを見れば、他の寮もチラホラ。
「タダ飯食えるにしても魚臭いとこで食いたくねーよな」
「悟、聞こえてしまうだろ」
「聞こえるように言ってんだよ」
「お前な……」
悟の態度にジャックも傑も呆れている。
「確かにこんなとこ来るだけ無駄かもしれねぇな」
「気が合うじゃん王様」
「帰りたかったらお前は帰ればいーだろ?」
「は?」
「……ラギー先輩、レオナさん随分機嫌良くないっスか?」コソッ
「招待状見てからこの調子なんスよ」コソッ
レオナの挑発に舌打ちしながら黙って座る悟。
二人の機嫌は正反対だ。
「お待たせしました!!
本日はこのモストロ・ラウンジにお越しいただきありがとうございます。
今夜は特別なステージがございますので、まずはそちらをご覧になりながらゆっくりとお過ごし下さい」
アズールが立つステージが一度暗くなる。
そこに立つ三人の人影。
そして、スポットライトが当たる。
「ジェイドくん、ありがとう
フロイドくん、ありがとう」
何か紙の束を受けとる白いシャツにタイトスカートの誰か。
「みんな、ありがとう。
あー、女に生まれて良かった」
名前がいた。
ズズチャ、ズズチャ、という謎の音楽と共に三人が歩きだし、謎の決めポーズを取る。
そしてジェイドとフロイドだけがはけた。
「どうも、効率的な仕事ぶり、充実した私生活。
キャリアウーマンです!
独り身で寂しい働きウーマンのみんな?自分から「狩り」に出ないと、男できないと思ってない?
ふっ…じゃあ質問です!花は自分からミツバチを探しに行きますか?
……探さない、待つの」
紙の束を撒き散らす名前。
そして再び出てきたジェイドとフロイドが拾っている。
「撒いてごらん!自然と男は寄ってくるから!」
三人が集まり、振り向く。
「…キャリア」キリッ
「…ウーマン」髪ファサッ
謎にリズムに合わせて動き、再びまたあの謎の決めポーズ。
「アズールちゃん、仕事、仕事!
え?オバフロの事が忘れられなくて、仕事に集中できない?
はっ…ダメウーマン!いい?オバフロの事が忘れられない?
じゃあ、質問です!アズールちゃんは、味のしなくなったガムをいつまでも、いつまでも、噛み続けますか?」
胸ポケットから、新しいガムを取り出す名前。
「新しいガム、食べたくない?」
ジェイドとフロイドが後ろからネクタイを取りながら出てくる。
名前を後ろから抱き締めるも冷たく突き放されたり、
名前の噛んだガムをティッシュで回収してあげている。
「恥はガムと一緒!
味がしなくなったら、また新しいガムを食べればいい!
だって!この学園でオバフロしたのは何人いると思っているの?」
再び三人で背中を向けて音楽に合わせて歩きだす。
「4人」くるっキリッ
「その他可能性あり」髪ファサッ
音楽に合わせてジャケットを脱ぐジェイドとフロイド。
格好よく振り返ると、背中には「4」「人」の貼り紙。
双子が片足を立ててひざまずき、その上に優雅に座る名前。
いつもと違って化粧もしているらしく、どこかの女王のようだ。
「たかがオバフロ。お仕事をしなさい」
「貴方に任せた僕が馬鹿でした」
「なによ。私に任せたじゃない」
「聞いてませんよこんな内容!!」
「客受けはいいわよ」
テーブルのあちこちから笑いが起こっている。
「メンダコちゃん、すっごいねぇ」
「なかなか面白い余興でした」
「あなた達までっ!!」
「これが日本のお笑いマジック!!」
「黙って下さい。本当に……っ!!」
顔を両手で覆いながら顔を真っ赤にしているアズールくん。
後半ちょっとこっちの世界のネタでやったけど笑いは万国共通か。
「よし、働くか」
「わぁー切り替え早いねぇ、メンダコちゃん」
「今夜稼ぐ事が目的でしょ?
いい金蔓からガッポリ取るわ」
「その調子で結果を出して欲しいですね」
「ジェイドくん可愛いくない」
「俺は〜?」
「フロイドくんは可愛いよ。よーしよし」
「誉められちゃったぁ」
ってことで、サバナクローのとこへ。
「やぁ、レオナくんと愉快な仲間達」
「まとめないで欲しいッス!!」
「どうだった?私のステージ」
「内容はアレだが……いい見せ物だったな」
腰を掴んでくるレオナくん。
レオナくんとラギーくんの間に座ってジェイドくんを呼ぶ。
「レオナくん何飲む?」
「酒は?」
「ジェイドくん、一番いいやつだって」
「かしこまりました」
「ラギーくんはー?」
「………あんた、金巻き上げようとしてないッスか?」
「それがお仕事だから」
「うわっ、清々し」
「俺に金使わせようって魂胆か?」
「だから招待状にお願いしたでしょ?」
レオナくんの招待状だけ私がコメントを書いといた。
お金いーっぱい持っておいで、と。
あからさま?いいえ、計画犯です。
「ラギーくんはほら、いつもレオナくんのお世話してるんだから今日くらいレオナくん持ちでいいと思う」
「おい」
「何か文句がおありかい?」
「ハーツラビュルの寮長の真似ッスか?」
「それともレオナくんは手下を養えないほど、懐の狭い男なのかしら?」
にやり、と笑えば楽しそうに笑いだすレオナくん。
「いいぜ。ラギーの分もジャックの分も払ってやるよ」
「よしきた。ラギーくんや、好きなものをお食べ」
「やりぃ!!俺一番高いこの肉で!!」
「フロイドくーん!!高い肉2つ!!」
「はぁい」
「ジャックくんは……この前ハーツラビュルで会ったけどあんまりお話しなかったね」
「あの……あんたは」
「今夜はオクタヴィネルのお姉さんだよ」
手を伸ばしてジャックくんの顎に指を滑らせたらビクッとして離れてしまった。
残念。
モフモフしたかったが、腕の長さが……!!
「ってことで、ジャックくんは何がいい?」
「レオナさんのお金でなんて……!!」
「いい子か」
「ジャックはクソ真面目ッスからね」
「馬鹿真面目だからな」
「天使か。アズールくん、この天使に良いものを差し上げておくれ」
「解りました。が、しっかりやって下さいよ」
「勿論」
お仕事ですからねー。
飼育員(本職)の血が騒ぐ……あ、いっけね。
完全にペット扱いしてたわ、ごめんね☆
「おいこら」
「なんだい?悟(仮)」
「何でそこ座ってんだよ」
「そりゃー一番お金持ってそうなのがレオナくんだからね」
「あんたレオナさんのこと何だと思ってんだ」
「王様」
「………間違いではないッス」
「清々しいくらいの金蔓扱いだね」
「ハッ!!気にしねーよ」
「流石王様。懐が広い。
お姉さんサービスしちゃう」
寄せて上げてご自慢のお胸さまです。
この白シャツに合うように増し増しで寄せて上げてます。
「ここはそーゆーお店じゃありませんよ」
「あ、ジェイドくんどーも」
「なぁに〜?メンダコちゃんエッチなサービスしようとしてんのぉ〜?」
「いや。まさか」
「違ぇのかよ」
「モフモフマッサージはするよ?膝枕付き」
「買った」
「スペシャルマッサージ入りまーす」
唸れ!!私の黄金の指先!!
悶えろ!!動物のツボマッサージ!!
ってことで、レオナくん秒殺で寝落ちしましたぁ。
「やべ。金蔓潰した」
「何やってるんですか貴方」
「つい」
「あーぁ、どーすんのメンダコちゃん?」
「じゃあ膝枕代として適当にぶん取っておこう」
「悪徳商法ッスね」
「何てやつだ……!!」
「って言いながらラギーくんや、ちゃっかり追加頼んでるじゃん」
「それはそれ、これはこれッス」キリッ
「私君のそーゆーとこ好き」
「シシシッ」
ラギーくん可愛い。
やってること可愛くないけど。
「ってことで悟(仮)と前髪は?何食べる?」
「こっち来いよ」
「特別料金発生しますよ」
「それでもいーっつの」
「悟、必死だね」
「笑うなよ傑」
「30分1000マドモアゼルになりまーす」
「何だよその通貨」
「マドルのことじゃないか?」
「どっちも一緒じゃん」
マドモアゼルもマドルもマダムも変わんないよ。
レオナくんの頭にクッションを詰めて悟(仮)の所へ。
「膝に乗ってくんねーの?」
「そーゆーお店じゃありませーん」
「いいじゃん」
「なるほど。倍の料金嵩ましプラス
もれなくフロイドくん召還してギュッもついてきますがよろしくて?」
「なにぃ〜?呼んだぁ?」
「悟(仮)が首をギュッとしてもいいってさ」
「言ってねーし呼んでねーよ」
「ふぅ〜ん。メンダコちゃんに何かしたら……絞めるよ」
フロイドくんこわっ!!!
えっ?表情どこ抜け落ちた?
あのふわふわ〜としたのどこいった?
確実に誰か殺ってるじゃん。
私の癒し系が……なんてこった。
「ヤンデレ系だった……」
「フロイド先輩は気紛れで有名だらね」
「スイーツ全種類持ってこいよ」
「あんたお金あんの?」
「あるに決まってんだろ」
「こんなんでも悟もお坊ちゃんだからね」
「アズールくーん。スイーツ全種類だって」
年下に容赦無いって?
だってお仕事だもん。
君達は学生相手に全て半額にするかい?
しないだろ?
だって、お仕事、だもん!!!
「こっちの悟(仮)も血統書付きなのね」
「オマエその(仮)って辞めろよ」
「悟は私の彼氏。悟(仮)はペットだからね」
「………ペットじゃねーし」
「悟、ゴロゴロしながら言っても説得力無いよ」
喉をカリカリしてやれば、ゴロゴロしている。
どう頑張ってもペットだよ、悟(仮)。
「で、さっきのステージなに?」
「ん?私の国で流行ってたやつ」
「あれが?」
「元ネタはオバフロじゃなくて男で、決め言葉も35億なんだけどね」
「へぇ」
「いい女をアピールするコントだよ」
「恥ずかし気もなくよくやれましたね」
「そりゃーやるっしょ。
あの双子見たらやるしかないっしょ。
膝に座るしかないっしょ」
「女帝みたいだったわ」
「悪の女帝だね」
「やったね」
あの双子見た瞬間からやろうって決めました。
「名前さん、次の席へ」
「は!?まだ30分も経ってねーよ!!」
「彼女に指名入ってるんですよ。
指名料別料金ですが」
「聞いてねーし!!」
「んじゃ、また後で指名してね悟(仮)」
暴れだしそうなので、おでこにキスを一つ。
なんやかんや私悟に弱いかも。
あちこちの席へ行き、見知らぬ生徒達と話す。
噂を聞き付けてやってきてる客も急増し、モストロ・ラウンジは大盛況。
「おや?リドるん達も来てくれたの?」
「本当に居る……」
「前回とは趣が違っているな」
「かっこいー!!出来る女って感じじゃん?」
「ありがとー」
「おっぱいすごくね?」
「ハートの少年、おさわりはもれなく」
「もれなく?」
「俺がぁギュッとして、ついでに働いてもらうよぉ」
「!!」
「今人手足んねーから超忙しいんだよねぇ」
「マジカメでバズッてたもん」
マジカメ?ってまじ亀じゃないよね?
バズッってたってことは……SNSか?
「ほら」
「あ、コイツ勝手に人のおっぱい載せてる」
「許可無く盗撮するなんて躾がなってないね」
「大丈夫なのか?」
「あぁ、大丈夫大丈夫。
モストロ・ラウンジ入る前に何か書いたでしょ?」
「あぁ、何か紙を全員書かされたな」
「あれなに?」
「女がいるってわかったらアホなことする奴出てくるから、無許可で触ったり写真撮ったりなどなどしたら」
「「したら?」」
「いたっいたたたたたっ」
「はい、ようこそ私のイソギンチャクさん。
契約違反者はこちらのお仕事をお願いしますね」
「あーなります」
「俺ギュッってしてくるねぇ〜」
「よろしく、フロイドくん」
そう。
一応アズールくん達と事前に決めていたのだ。
お店に入る前に必ず書いてもらって、忙しくなることはわかっていたからこそ、強制労働の刑となる。
「………そんなこと、一言も書いてなくね?」
「書いてあったぞ」
「嘘!?トレイ先輩どこに!!?」
「どこに書いてありました!?」
「君達裏面を見なかったのかい?」
「「裏……」」
「おさわり、盗撮、その他諸々……私に関することをマドルも払わずやらかしたら強制労働の刑です」
「まじで!?」
まじです。
なので、勝手に盗撮したり載せた奴はフロイドくんからの制裁とジェイドくんからのメンタル攻撃を受けながら、強制労働の刑となる。
「酷くね?」
「契約書にサインするときはきちんとよく読まないとね」
ってことで、ハーツラビュルさん。
「お姉さんはいかが?
一人30分1000マドルですが」
「「「「「お断りします」」」」」
「はははっ。じゃあこっちの安いメニュー頼みなよ。そんでお話しよー」
「………マドルは」
「取らんって」
ハートの少年とヤンキー少年は契約書に何か恨みでもあんの?
びくびくし過ぎじゃん。
「あー、手が滑った」
「「うわぁぁああああっ!!!」」
「あーはっはっはっは!!」
「い、イソギンチャク!?イソギンチャク這えたか!!?」
「労働は嫌だ!!労働は嫌だ!!」
「私から触る分には契約違反にはならないよ」
「おまっ!!」
「笑えない悪戯はやめてくれ!!」
「リドるん、この子らアズールくんと何かあったの?」
苦笑する三人。
きっと何かやらかしたんだろうな、とわかった。
「名前さん、お次へ」
「りょーかい」
「忙しいね」
「そーなんだよ。アズールくんの人使いの荒らさ」
「文句言ってないで働いて下さい」
「めっちゃ働いてると思ってる」
「自己評価だけでは足りませんよ。ほら、次」
「アズにゃんまじ人使い鬼畜」
「誰がアズにゃんですか」
ハーツラビュルと別れて他へ。
めっちゃ働いた。
めっちゃ働いた結果、めっちゃ稼いだらしい。
「素晴らしい!!」
「あー疲れたぁ」
「今夜は少々疲れましたね」
「お疲れ〜」
ホックホクなアズールくんに比べ、くったくたな私と双子。
まぁ、アズールくんのお願いが叶えられたから良しとしよう。
「ありがとうございます。
最初は役に立たないと思いましたが大盛況でした!!」
「眼鏡叩き割るぞ」
「心ばかりのお礼ですが此方を」
ジェイドくんが差し出してきたのはケーキと紅茶。
「マドルは貴方に必要が無いでしょう?」
「気が利くね」
にっこりと笑うアズールくん。
知ってる。
金は渡さないけど食い物くらいなら恵んでやるよって事でしょ?
「そーいや今更だけどさ」
「はい?」
「オクタヴィネルってどんな寮?」
「………はい?」
「サバナクローはケモ耳、ハーツラビュルはハートの国でしょ?」
「あながち間違えてはいませんが、頭の悪そうな言い回しですね」
「ジェイドくんお口チャック。
君の笑顔で心を抉るの良くない」
「メンダコちゃん、わかんないってお馬鹿なのぉ?」
「オクタヴィネル性格悪い奴しかいないのか」
「は?締めるよ」
「ごめんなさい」
いきなり表情失くすのやーめーてっ!!!
怖い……怖すぎるわっ!!
やめてよ。
「我々オクタヴィネル寮は人魚の者達が多いですよ」
「………人魚、だと!!」
「……何ですか」
「皮膚がベタベタヌメヌメしない…!!」
「当たり前です。何のために人間になる魔法薬飲んでると思ってるんですか」
人魚ってほら、空想だからさ。
居たとしても半魚人かなーと。
「ってことはみんな人魚になったら下半身鯉のぼり的なあれになるの?」
「………」
「なんだよその顔。馬鹿にしてんの?」
みんなもやったよね?
鯉のぼりの口から入って人魚!!みたいなこと。
……え?やったことない?
弟とかお兄ちゃんいた人はあるよね!?
………ない、だと!!!!
「人間ってお馬鹿さんが多いんだねぇ」
「この方が特別なのかと」
「………僕もそう思います」
「おい、ヤメロ。傷を抉るな」
オクタヴィネル怖い。
なんかメンタル的なものがゴリゴリ削られて怖い。
「………あ、そろそろか」
「帰るんですか?」
「っぽい」
くらっと眠くなるような、意識が飛ぶような感覚。
ケーキも紅茶も美味しくいただいたので、さーて帰ろう……と立ち上がれば何やら外がうるさい。
「騒がしいですね」
「魚野郎!!俺の嫁返せ!!」
「………悟(仮)」
バァンッと扉蹴破って入って来た悟(仮)。
そーいや忙しくてあれから会ってなかったな。
「おまっ、透けて!?」
「………人魚姫は最後泡となって消える運命だから」
「ふざけんなっ!!」
「つっても私、王子に振られてないのでただたんに帰るわ」
「毎回毎回勝手に消えてんじゃねーよっ」
「はははっ。
あっちの世界で私の王子様が待ってるから。
またね、悟(仮)」
ほっぺたにキスを一つ。
そのまま意識が無くなった。
「………ふっ、王子様」
自分で言っておいてアレだけど
なんだか笑いが込み上げてくる。
隣で眠る悟は寝顔も綺麗だなーなんて思いながら時計を見れば、まだ一眠りできそうだ。
もぞもぞと悟にくっつくようにすり寄れば
悟も寝ぼけながら抱き込んでくれる。
「………あさ?」
「まだ」
「ん………っ」
「おやすみ」
私の王子様。
あとがき
ねぇ、絶対フロイド兄弟見たときに
このネタ思い浮かんだ人いない?
私は一目見たときからブルゾンだろって思ってました。
オバフロが4人なのは
公式で今のところ4人なので。
これからオバフロ二人出る寮もあるかもしれないので……
ひとまず4人ってことで。
まだオクタヴィネル終わってないので
カリムの寮はおいおい……。
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