通行人の異世界交流
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「君は……」
「え、誰?」
やあい、通行人名前たんだぉ。
目が覚めるとリンゴみたいな髪型の可愛い男……男だよね?うん、男の子がおりました。
「この僕の部屋に不法侵入とは覚悟はおありかい?」
「え?今時そんな話し方の男の子いる?
坊っちゃんかよ」
「………随分と失礼な方だね。教育がなっていないんじゃないかい?」
「すまん、私は一般育ちの由緒正しき一般市民だから」
「そうか。それなら仕方がないね」
「納得されちゃったよ」
嫌にファンシーなお部屋だけど、まじで男の子………だよね?いや、まさかツルペタの可能性も……。
「で、君はどこから来たんだ?」
「さあ?」
「は?ふざけるのも大概にしてくれないか」
「目が覚めたらよくわからない場所にいた私の気持ちがおわかりか?」
「それは!!……すまない」
「えーっと……ごめんね、君がそこまでガチヘコミするとは思って無かった」
「帰れないのは……辛いことだろう?」
「うわ、冗談通じないタイプ」
「まずは落ち着くところから始めよう。
お茶の準備をするよ」
「なにこの子、完璧か」
「ハーツラビュル寮の寮長たる僕が皆のお手本にならなくちゃいけないからね」
「人間の鏡かよ」
若いのにしっかりしておられる……!!
服装変だけど。
いやいや、服装なんて中身がしっかりしていればどんな格好でも素晴らしさが滲み出るんだよ。
「僕はお母様の言うことが正しいと思って生きてきてね……今すぐに変わることは出来ないけど、友がいるから……」
「ぐすっ……うううっ」
若いのにしっかりしておられる!!!!
なぜかこの子……リドルくんの身の上話になり、彼の壮絶な教育者ママゴン話をされ、最後に友がいるって……!!
「うちの子におなりよ!!リドルくんっ!!
ママゴンなんかじゃなくうちの子になったらいっぱい楽しいことやオヤツやら好きにしてもいいからぁぁああああああ」
「ちょっ!?」
「ああああああっ!!娘でもいいっ!!」
「僕は男だ!!」
ぎゅーーーってハグしたら顔を真っ赤にしてますますリンゴみたい。可愛い。
そんなこんなしていたら、部屋に鳴り響くノックの音。
「リドル、なんか叫び声が聞こえたが……」
「リドルくーん、何かあった?」
「トレイ、ケイト!!た、助けてくれ!!」
リドルくんの声にドアが開けられる。
そこにはチャラ系の男の子としっかりお兄さんタイプの男の子。
「え?女子?」
「リドルから離れろ!!」
「嫌よ!!リドるんはうちの子になるの!!」
「ならないと言っているだろうが!!
人の話をお聞きよ!!」
「………あのリドルくんを困らせている」
「ケイト、不審者だ」
「待って待って。トレイくん目がマジだよ?」
「リドルが襲われている!!」
「いや、あれじゃれついて…」
「リドルから離れろ不審者!!」
「はっ!!リドるんを返して欲しくばとっっても美味しいケーキをリドるんに用意しな!!」
「わかった!!今すぐ作って来る!!そこを動くなよ、不審者!!」
ノリノリで悪役みたいなことしたら、まじでケーキ作りにいったよあの真面目そうなお兄さん。
ここの子達いい子か。
「えーっと、お姉さんはどなた?」
「迷子の通行人名前さんとは私のことだよ」
「えっ?迷子?
ナイトレイブンカレッジで?」
「大マジ」
「マジ?超やばいじゃーん」
「JKかよ」
「??」
とりあえず、リドるんを解放し、ケーキが来るまでお茶しながら話すことに。
「そーいや前も似たようなことあったな」
「前もっていつー?」
「さあ?けど目覚めたら猫がいて……グリムだったかな」
「「グリム?」」
「あー、あとラギーくんやレオナくんをモフモフしたわ」
「ラギーとレオナを!?」
「お姉さんめっちゃ勇者じゃん」
「悟と前髪にそっくりなケモ耳も出てきてね」
「悟って……もしやサバナクローの?」
「えっ!?じゃあ、前髪って傑くん?
………はははっ!!」
「可愛かったな……ラギーくん」
「ラギーくんなの!?」
「………ってことは、彼らが話していた突然消えた女って…」
あー、紅茶うま。
きちんと入れた紅茶ってうまいんだね。
ティーパックのやつとかしか飲んだことない庶民には、何の茶葉かわかんないけどうまっ。
「ケーキが出来たぞ!!リドルを返せ!!」
「トレイ先輩、俺にも一口!!」
「エース、今はリドルが優先なんだ!!」
「トレイ先輩そんな慌てて何が」
「君達騒がしいよ。静かに入って来れないのかい?」
「そーだそーだ」
「あまりにうるさいと首を跳ねてしまうよ」
「物騒だな、リドるん」
「仲良しかっっ!!!」
「トレイくんナイスツッコミー。
けどケーキ落とさないとかまじプロっしょ」
ダンッと床を叩く眼鏡のお兄さん。
カシャーと、写真を撮るケイトくん………面白がり過ぎじゃ?
「えっ?女?」
「なぜ女性がここに…!?」
「………目がチカチカするな」
赤、緑、金髪、オレンジ、青っぽい黒……
そして白と赤の薔薇やらトランプ柄やら……
「ケモ耳が恋しい……」
「なっ!?
僕の居るハーツラビュル寮よりもサバナクローがいいと言うのかい!?」
「モフモフが恋しい」
「何でこの人こんな寮長と和んでんの?」
「さあ?リドルくんが面白いからほっとこ」
「あの、その人どこから来たんですか?
もしや、侵入者じゃ…!!」
「デュース空気読もうぜ」
ケイトくん、さっきから写真撮りすぎね。
カシャーカシャーうっさいんだけど。
「ほらリドるん、この素晴らしいホールケーキの一口目を君に差し上げよう。
あーんしながらお食べ?」
「ひ、一人で食べれる!!
だから口元に………んっ」
「可愛すぎて女として諸々負けた気がする」
リドるんのお口にあーんしたら(無理矢理)なんか予想以上に可愛いし厭らしい。
おかしいな……ケーキ食べただけなのに。
「リドるん、ほらもう一口お食べ」
「作ったのは俺だぞ」
「お兄さん素晴らしい腕をお持ちだよ。なにこれ?どこをどうしたらこうなんの?」
「実家がケーキ屋なんだ」
「なるほど。それにしても凄いわ」
「トレイのケーキはいつも美味しくて素晴らしい物なんだ。
あなたも食べてみればわかるよ」
「まじか。食べる」
「仕方がない。ほら」
お兄さんがガチのお兄さんなんだけど。
さっきからリドるんのお世話焼きたいらしいし。
「うっっま!!なにこれ!?神か!!」
「うまいか。口にあって良かったよ」
「リドるんとセットでうち来ない?」
「「行かない」」
断られた。
けど、ケーキ本当にうまうま。
「あれはツッコミ待ちなの?
それともツッコんだら負けなの?
俺らは何を見せつけられてんの?」
「トレイくんまで陥落してる〜」
「学長に相談すべきか……」
「デュース、まだそんなこと言ってたのかよ」
さっきから通報したい子いるね。
そんなに私不審者か。
「ケーキの匂い!!」
バァンッと扉が開く。
そこには白いケモ耳。
「悟、勝手に入るのは良くないよ」
「そうだ。きちんとノックするのが先だ」
「ジャック、そこじゃないよ。
そもそも他寮に気軽に入るものじゃない」
「あ!!何でオマエもいんの?」
悟(仮)に見つかった。
「お前達はサバナクローの…」
「なぁなぁ何でこの前いきなり消えたんだよ」
「さあ?」
「っつーか、居るなら何で俺のとこ来ないわけ?」
「お前は私の何なんだ」
「番」
「ははは、寝言は寝て言え」
何ちゃっかり隣にいるんだ。
椅子の手すりに座るんじゃない。
近い近い近い。
「僕の寮に来て随分と好き勝手にしているね、サバナクローの問題児は」
「は?何このチビ」
「悟、ハーツラビュル寮の寮長だよ」
「謝れ馬鹿!!すいませんっ」
「躾のなっていない獣には首輪をしなきゃいけないようだね」
「やる気?」
不穏な気配が漂い始めた……ので
「若いって素晴らしいね」
「!!おまっ、やめ……っ」
「はいはい、ほら」
「そんな、簡単に……っ」
「はーい、よーしよし」
「ゴロゴロゴロ」
「………悟」
フッ、チョロいぜ。
前髪が残念なものを見るように悟(仮)を見ている。
若干重いけど暴れられるよりマシ。
足の間に身体を滑り込ませ、頭だけ私の膝の上に乗せてる悟(仮)
喉元をくすぐったり、頭を撫でたり、耳を擽れば気持ち良さそうにしている。
「猛獣使いかよ」
「まぁね」
「凄い……あの問題児を!!」
「!!もしや、この間レオナさんやラギー先輩を骨抜きにしたのも…!!」
「フッ」
あたいだよ!!
「ってゆーか本当あんた誰?」
「通りすがりのお姉さんでーす」
「いや、無理あるだろ」
「大マジ。けど、気紛れに来て気紛れに帰る」
「自由かよっ」
「君なかなかツッコむね」
「お姉さんが適当過ぎ。大人のくせに」
「大人だから適当なんだよ」
クソ真面目に生きるとかもう社畜じゃん。
私にそこまでの社畜根性はないっ!!
「学生でもない大人が出入りするなんて……」
「その言い方やめてよ。不審者じゃん」
「不審者だろ」
「不審者ですよ」
「不審者だね」
「不審者じゃん」
「ハーツラビュル酷くない?
確かに端から見たら不審者だけど」
男子寮に侵入する大人の女………。
そして年頃の男の子を愛でる大人の女……。
「ヤバい。完全に事案じゃん」
「今更ですね」
「だな」
「だね」
「ハーツラビュル組の正論パンチが心に痛い」
「そもそもお姉さんどうやって来たわけ?」
「目覚めたらリドるんと寝てた」
「誤解しそうな言い方は止めてくれ。
僕の部屋に寝ていたのは否定しないけど
彼女がいつ現れたのか僕にもわからないんだ」
「どーゆーことだ?」
「僕が起きた時には彼女は居なくて、身嗜みを整えた後には居たんだ」
「いきなり現れたってことっスか?」
「そういうことになるね」
「まぁ、魔法の国ならそんなこともあるんだよ」
「はいでた適当〜」
「大人になったらね、手を抜くことを覚えなきゃ人生社畜道まっしぐらよ」
そうして日本の人々は癒しにキャラクターやジャニーズを求めてオタクが増えてどっぷりはまっていくのです。
社畜は推しの為に人生を捧げるの。
「魔法の国なんだから不思議なことは不思議だね、で終わらないと」
「どんな理論だよそれ」
「非現実的な現象の代表使っててちまちまちっせぇ事気にすんなハートの少年」
「ハートの少年ってなに?俺エースだけど」
「ちっせぇ事気にしてたらでかい男にはなれんぞ」
「なるほど!!」
「なるほど、じゃないからデュース」
「男は黙ってどっしり構えていなきゃ駄目だよな」
「なにこの子。この子が言うと暴走族っぽい」
「そいつヤンキーだから」
「や、ヤンキーじゃない!!……ちょっと素行が悪かっただけだ」
「それほぼヤンキーな」
魔法の国にもガチンコタイプいるんだね。
魔法使えよ。拳に魔力込めんの?それどこのハンターの主人公?あれは念だけど。
「帰れないわけじゃないし。
夢オチと思って楽しくDKとお話出来るなんてやったね!!と思いながら生きれば良いさ」
「もう少し本音隠せよ」
「大丈夫。手は出さない」
「モフってる時点でアウトかと」
「ペットを愛でるのに理由がおありかい?」
「おい」
サバナクロー全般はあれペット枠でしょ?
え?違うの?
「人の頭撫でながらペット扱いしてんじゃねーよ」
「はいはい、ステイ」
「おい」
「完全な犬扱いだね悟」
「猫なのにな」
ペット扱いは不服らしい。
「余裕ぶってムカつく」
「ん?なに?」
「喰うよ」
獣特有の視線を向けながら顔が近い悟(仮)。
うん、うちの悟も興奮するとこうなるなー、と思っているが学生相手に2度も奪われてたまるか。
ふにっ、と悟(仮)の唇に指を押し付ける。
「駄目だよ。
ペットでもここはもう先約がいるので」
「ペットじゃねーし」
「はいはい。
リドるん、そろそろ私帰るっぽい」
「わかるのかい?」
「多分ね」
なんとなーく意識が引っ張られる感覚は眠りにつく時に似ている。
前回もそうだったな。
「んじゃ、お邪魔しましたー」
「え?ドアから帰んの?」
「それっぽく帰りたいじゃん」
「あの人ただの馬鹿じゃね?」
「リドるん、後輩の躾なってないよ」
「すまない。後で首を跳ねておくよ」
「嘘だろ!?」
扉に手をかけ、不服そうな悟(仮)を見る。
そういや学生の頃、一度だけ奴に仕掛けた事あったなーと思い出しながら、先ほど悟(仮)の唇に押し付けた指を唇に当てる。
「またね、悟(仮)」
チュッ、と投げキッスをしてやれば
目を見開いていた。
「それでは皆様、ごきげんよう」
扉を閉めたら意識が無くなった。
「おはよ」
「………おはよ、悟」
目が覚めたら綺麗な顔面が真上にありました。
もれなくもぞもぞと服の中を動く手を叩く。
「何してんの」
「徹夜で帰って来て寝顔見てたらちょっと盛り上がってきた」
「下ネタかよ」
「駄目?」
「今何時?」
時計を見ればまだ明け方。
夢のせいで寝た気がしないのだが。
「私仕事」
「大丈夫。間に合わせるから」
「あ、ヤるのは決定事項ですか」
「勿論」
「困った人だね」
そう言いながら悟の首に腕を回す私も大概だけど。
また、彼らとは会いそうだと思いながら
現実の悟との時間を楽しんだ。
あとがき
ハーツラビュル寮でした。
リドるん可愛いよ、リドるん。
過去が重たすぎて泣いた。
そんな子は甘やかして愛でるしかないって。
帰れない〜の同情は監督生のことがあるからだと思って欲しい。
時間軸どこ?と聞かれたら謎、としか言えない(笑)
デュースがいまいち生きない。
ジャックもほぼ話してない。
すまん。
「え、誰?」
やあい、通行人名前たんだぉ。
目が覚めるとリンゴみたいな髪型の可愛い男……男だよね?うん、男の子がおりました。
「この僕の部屋に不法侵入とは覚悟はおありかい?」
「え?今時そんな話し方の男の子いる?
坊っちゃんかよ」
「………随分と失礼な方だね。教育がなっていないんじゃないかい?」
「すまん、私は一般育ちの由緒正しき一般市民だから」
「そうか。それなら仕方がないね」
「納得されちゃったよ」
嫌にファンシーなお部屋だけど、まじで男の子………だよね?いや、まさかツルペタの可能性も……。
「で、君はどこから来たんだ?」
「さあ?」
「は?ふざけるのも大概にしてくれないか」
「目が覚めたらよくわからない場所にいた私の気持ちがおわかりか?」
「それは!!……すまない」
「えーっと……ごめんね、君がそこまでガチヘコミするとは思って無かった」
「帰れないのは……辛いことだろう?」
「うわ、冗談通じないタイプ」
「まずは落ち着くところから始めよう。
お茶の準備をするよ」
「なにこの子、完璧か」
「ハーツラビュル寮の寮長たる僕が皆のお手本にならなくちゃいけないからね」
「人間の鏡かよ」
若いのにしっかりしておられる……!!
服装変だけど。
いやいや、服装なんて中身がしっかりしていればどんな格好でも素晴らしさが滲み出るんだよ。
「僕はお母様の言うことが正しいと思って生きてきてね……今すぐに変わることは出来ないけど、友がいるから……」
「ぐすっ……うううっ」
若いのにしっかりしておられる!!!!
なぜかこの子……リドルくんの身の上話になり、彼の壮絶な教育者ママゴン話をされ、最後に友がいるって……!!
「うちの子におなりよ!!リドルくんっ!!
ママゴンなんかじゃなくうちの子になったらいっぱい楽しいことやオヤツやら好きにしてもいいからぁぁああああああ」
「ちょっ!?」
「ああああああっ!!娘でもいいっ!!」
「僕は男だ!!」
ぎゅーーーってハグしたら顔を真っ赤にしてますますリンゴみたい。可愛い。
そんなこんなしていたら、部屋に鳴り響くノックの音。
「リドル、なんか叫び声が聞こえたが……」
「リドルくーん、何かあった?」
「トレイ、ケイト!!た、助けてくれ!!」
リドルくんの声にドアが開けられる。
そこにはチャラ系の男の子としっかりお兄さんタイプの男の子。
「え?女子?」
「リドルから離れろ!!」
「嫌よ!!リドるんはうちの子になるの!!」
「ならないと言っているだろうが!!
人の話をお聞きよ!!」
「………あのリドルくんを困らせている」
「ケイト、不審者だ」
「待って待って。トレイくん目がマジだよ?」
「リドルが襲われている!!」
「いや、あれじゃれついて…」
「リドルから離れろ不審者!!」
「はっ!!リドるんを返して欲しくばとっっても美味しいケーキをリドるんに用意しな!!」
「わかった!!今すぐ作って来る!!そこを動くなよ、不審者!!」
ノリノリで悪役みたいなことしたら、まじでケーキ作りにいったよあの真面目そうなお兄さん。
ここの子達いい子か。
「えーっと、お姉さんはどなた?」
「迷子の通行人名前さんとは私のことだよ」
「えっ?迷子?
ナイトレイブンカレッジで?」
「大マジ」
「マジ?超やばいじゃーん」
「JKかよ」
「??」
とりあえず、リドるんを解放し、ケーキが来るまでお茶しながら話すことに。
「そーいや前も似たようなことあったな」
「前もっていつー?」
「さあ?けど目覚めたら猫がいて……グリムだったかな」
「「グリム?」」
「あー、あとラギーくんやレオナくんをモフモフしたわ」
「ラギーとレオナを!?」
「お姉さんめっちゃ勇者じゃん」
「悟と前髪にそっくりなケモ耳も出てきてね」
「悟って……もしやサバナクローの?」
「えっ!?じゃあ、前髪って傑くん?
………はははっ!!」
「可愛かったな……ラギーくん」
「ラギーくんなの!?」
「………ってことは、彼らが話していた突然消えた女って…」
あー、紅茶うま。
きちんと入れた紅茶ってうまいんだね。
ティーパックのやつとかしか飲んだことない庶民には、何の茶葉かわかんないけどうまっ。
「ケーキが出来たぞ!!リドルを返せ!!」
「トレイ先輩、俺にも一口!!」
「エース、今はリドルが優先なんだ!!」
「トレイ先輩そんな慌てて何が」
「君達騒がしいよ。静かに入って来れないのかい?」
「そーだそーだ」
「あまりにうるさいと首を跳ねてしまうよ」
「物騒だな、リドるん」
「仲良しかっっ!!!」
「トレイくんナイスツッコミー。
けどケーキ落とさないとかまじプロっしょ」
ダンッと床を叩く眼鏡のお兄さん。
カシャーと、写真を撮るケイトくん………面白がり過ぎじゃ?
「えっ?女?」
「なぜ女性がここに…!?」
「………目がチカチカするな」
赤、緑、金髪、オレンジ、青っぽい黒……
そして白と赤の薔薇やらトランプ柄やら……
「ケモ耳が恋しい……」
「なっ!?
僕の居るハーツラビュル寮よりもサバナクローがいいと言うのかい!?」
「モフモフが恋しい」
「何でこの人こんな寮長と和んでんの?」
「さあ?リドルくんが面白いからほっとこ」
「あの、その人どこから来たんですか?
もしや、侵入者じゃ…!!」
「デュース空気読もうぜ」
ケイトくん、さっきから写真撮りすぎね。
カシャーカシャーうっさいんだけど。
「ほらリドるん、この素晴らしいホールケーキの一口目を君に差し上げよう。
あーんしながらお食べ?」
「ひ、一人で食べれる!!
だから口元に………んっ」
「可愛すぎて女として諸々負けた気がする」
リドるんのお口にあーんしたら(無理矢理)なんか予想以上に可愛いし厭らしい。
おかしいな……ケーキ食べただけなのに。
「リドるん、ほらもう一口お食べ」
「作ったのは俺だぞ」
「お兄さん素晴らしい腕をお持ちだよ。なにこれ?どこをどうしたらこうなんの?」
「実家がケーキ屋なんだ」
「なるほど。それにしても凄いわ」
「トレイのケーキはいつも美味しくて素晴らしい物なんだ。
あなたも食べてみればわかるよ」
「まじか。食べる」
「仕方がない。ほら」
お兄さんがガチのお兄さんなんだけど。
さっきからリドるんのお世話焼きたいらしいし。
「うっっま!!なにこれ!?神か!!」
「うまいか。口にあって良かったよ」
「リドるんとセットでうち来ない?」
「「行かない」」
断られた。
けど、ケーキ本当にうまうま。
「あれはツッコミ待ちなの?
それともツッコんだら負けなの?
俺らは何を見せつけられてんの?」
「トレイくんまで陥落してる〜」
「学長に相談すべきか……」
「デュース、まだそんなこと言ってたのかよ」
さっきから通報したい子いるね。
そんなに私不審者か。
「ケーキの匂い!!」
バァンッと扉が開く。
そこには白いケモ耳。
「悟、勝手に入るのは良くないよ」
「そうだ。きちんとノックするのが先だ」
「ジャック、そこじゃないよ。
そもそも他寮に気軽に入るものじゃない」
「あ!!何でオマエもいんの?」
悟(仮)に見つかった。
「お前達はサバナクローの…」
「なぁなぁ何でこの前いきなり消えたんだよ」
「さあ?」
「っつーか、居るなら何で俺のとこ来ないわけ?」
「お前は私の何なんだ」
「番」
「ははは、寝言は寝て言え」
何ちゃっかり隣にいるんだ。
椅子の手すりに座るんじゃない。
近い近い近い。
「僕の寮に来て随分と好き勝手にしているね、サバナクローの問題児は」
「は?何このチビ」
「悟、ハーツラビュル寮の寮長だよ」
「謝れ馬鹿!!すいませんっ」
「躾のなっていない獣には首輪をしなきゃいけないようだね」
「やる気?」
不穏な気配が漂い始めた……ので
「若いって素晴らしいね」
「!!おまっ、やめ……っ」
「はいはい、ほら」
「そんな、簡単に……っ」
「はーい、よーしよし」
「ゴロゴロゴロ」
「………悟」
フッ、チョロいぜ。
前髪が残念なものを見るように悟(仮)を見ている。
若干重いけど暴れられるよりマシ。
足の間に身体を滑り込ませ、頭だけ私の膝の上に乗せてる悟(仮)
喉元をくすぐったり、頭を撫でたり、耳を擽れば気持ち良さそうにしている。
「猛獣使いかよ」
「まぁね」
「凄い……あの問題児を!!」
「!!もしや、この間レオナさんやラギー先輩を骨抜きにしたのも…!!」
「フッ」
あたいだよ!!
「ってゆーか本当あんた誰?」
「通りすがりのお姉さんでーす」
「いや、無理あるだろ」
「大マジ。けど、気紛れに来て気紛れに帰る」
「自由かよっ」
「君なかなかツッコむね」
「お姉さんが適当過ぎ。大人のくせに」
「大人だから適当なんだよ」
クソ真面目に生きるとかもう社畜じゃん。
私にそこまでの社畜根性はないっ!!
「学生でもない大人が出入りするなんて……」
「その言い方やめてよ。不審者じゃん」
「不審者だろ」
「不審者ですよ」
「不審者だね」
「不審者じゃん」
「ハーツラビュル酷くない?
確かに端から見たら不審者だけど」
男子寮に侵入する大人の女………。
そして年頃の男の子を愛でる大人の女……。
「ヤバい。完全に事案じゃん」
「今更ですね」
「だな」
「だね」
「ハーツラビュル組の正論パンチが心に痛い」
「そもそもお姉さんどうやって来たわけ?」
「目覚めたらリドるんと寝てた」
「誤解しそうな言い方は止めてくれ。
僕の部屋に寝ていたのは否定しないけど
彼女がいつ現れたのか僕にもわからないんだ」
「どーゆーことだ?」
「僕が起きた時には彼女は居なくて、身嗜みを整えた後には居たんだ」
「いきなり現れたってことっスか?」
「そういうことになるね」
「まぁ、魔法の国ならそんなこともあるんだよ」
「はいでた適当〜」
「大人になったらね、手を抜くことを覚えなきゃ人生社畜道まっしぐらよ」
そうして日本の人々は癒しにキャラクターやジャニーズを求めてオタクが増えてどっぷりはまっていくのです。
社畜は推しの為に人生を捧げるの。
「魔法の国なんだから不思議なことは不思議だね、で終わらないと」
「どんな理論だよそれ」
「非現実的な現象の代表使っててちまちまちっせぇ事気にすんなハートの少年」
「ハートの少年ってなに?俺エースだけど」
「ちっせぇ事気にしてたらでかい男にはなれんぞ」
「なるほど!!」
「なるほど、じゃないからデュース」
「男は黙ってどっしり構えていなきゃ駄目だよな」
「なにこの子。この子が言うと暴走族っぽい」
「そいつヤンキーだから」
「や、ヤンキーじゃない!!……ちょっと素行が悪かっただけだ」
「それほぼヤンキーな」
魔法の国にもガチンコタイプいるんだね。
魔法使えよ。拳に魔力込めんの?それどこのハンターの主人公?あれは念だけど。
「帰れないわけじゃないし。
夢オチと思って楽しくDKとお話出来るなんてやったね!!と思いながら生きれば良いさ」
「もう少し本音隠せよ」
「大丈夫。手は出さない」
「モフってる時点でアウトかと」
「ペットを愛でるのに理由がおありかい?」
「おい」
サバナクロー全般はあれペット枠でしょ?
え?違うの?
「人の頭撫でながらペット扱いしてんじゃねーよ」
「はいはい、ステイ」
「おい」
「完全な犬扱いだね悟」
「猫なのにな」
ペット扱いは不服らしい。
「余裕ぶってムカつく」
「ん?なに?」
「喰うよ」
獣特有の視線を向けながら顔が近い悟(仮)。
うん、うちの悟も興奮するとこうなるなー、と思っているが学生相手に2度も奪われてたまるか。
ふにっ、と悟(仮)の唇に指を押し付ける。
「駄目だよ。
ペットでもここはもう先約がいるので」
「ペットじゃねーし」
「はいはい。
リドるん、そろそろ私帰るっぽい」
「わかるのかい?」
「多分ね」
なんとなーく意識が引っ張られる感覚は眠りにつく時に似ている。
前回もそうだったな。
「んじゃ、お邪魔しましたー」
「え?ドアから帰んの?」
「それっぽく帰りたいじゃん」
「あの人ただの馬鹿じゃね?」
「リドるん、後輩の躾なってないよ」
「すまない。後で首を跳ねておくよ」
「嘘だろ!?」
扉に手をかけ、不服そうな悟(仮)を見る。
そういや学生の頃、一度だけ奴に仕掛けた事あったなーと思い出しながら、先ほど悟(仮)の唇に押し付けた指を唇に当てる。
「またね、悟(仮)」
チュッ、と投げキッスをしてやれば
目を見開いていた。
「それでは皆様、ごきげんよう」
扉を閉めたら意識が無くなった。
「おはよ」
「………おはよ、悟」
目が覚めたら綺麗な顔面が真上にありました。
もれなくもぞもぞと服の中を動く手を叩く。
「何してんの」
「徹夜で帰って来て寝顔見てたらちょっと盛り上がってきた」
「下ネタかよ」
「駄目?」
「今何時?」
時計を見ればまだ明け方。
夢のせいで寝た気がしないのだが。
「私仕事」
「大丈夫。間に合わせるから」
「あ、ヤるのは決定事項ですか」
「勿論」
「困った人だね」
そう言いながら悟の首に腕を回す私も大概だけど。
また、彼らとは会いそうだと思いながら
現実の悟との時間を楽しんだ。
あとがき
ハーツラビュル寮でした。
リドるん可愛いよ、リドるん。
過去が重たすぎて泣いた。
そんな子は甘やかして愛でるしかないって。
帰れない〜の同情は監督生のことがあるからだと思って欲しい。
時間軸どこ?と聞かれたら謎、としか言えない(笑)
デュースがいまいち生きない。
ジャックもほぼ話してない。
すまん。