異世界人が行く
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「あれ?こんなとこに鏡なんかあったかな?」
「は?何言って……」
「名前!!」
幼馴染の焦った声が聞こえたがそれより早く私は鏡に触れてしまった。
とぷん、と飲み込まれた指先。
そして吸い込まれるように身体が鏡の中に沈んだ。
幼馴染達の驚いた顔を最後に
目の前が真っ暗になり意識を失った。
誰かの話し声が聞こえた。
「もし………」
意識がはっきりしてきて、閉じていた瞼を開く。
急な明るさに目が慣れず眉間にシワが寄る。
「もし…もし、大丈夫でしょうか?」
「………っ」
「気がつかれましたか?」
ぬっ、と飛び込んできた仮面。
声なき悲鳴を飲み込んで反射的に手が出た。
「ふぐぅっ!?」
顎目掛けて掌底打ち。
綺麗に入ってグラついたところに胸にも掌底打ちを入れて、身を屈んだ隙に腕を取り背負い投げからの腕を捻り上げて背中に乗る。
「どこの変質者だ」
「いたっ!!ちょぉおおおおっ!!!!
痛いです!!痛いですって!!!」
「誘拐犯?」
「ちがっ!!ちょ、いたたたたたたっ!!」
「いくら私が可愛くて華麗でか弱い乙女でも変態は許さん」
「話を!!聞いて!!ください!!!」
カラスみたいな羽マントをした仮面の怪しい男を押さえつける。
確実に変質者でしょ、これ。
「そんなフザケタ格好をしてる大人はだいたい変態だから無理」
「ふざっ!?」
「ヤられる前に殺るって基本だよね」
「字が!!ニュアンスが!!おかしくないですか!?」
ギリギリとカラスを締め上げていたが、ふと視線を感じてそちらを向けばポカンとした美形達が此方を見ていた。
しかも皆怪しい似たようなマントを羽織っているし、何より驚いたのは耳が頭から這えている人達がいた。
「………コスプレ?」
「違いますよ!!」
「は?ケモ耳?本物とかありえないよね?」
「あの!!本当に……少しでいいので!!
お話を!!聞いて!!ください!!」
落ち着いて周りを見渡すと似たようなマントを羽織っている人達がいて、目の前には鏡。
ここがおかしな場所だと気付いて頭を傾げる。
「誘拐犯じゃない?」
「違います!!違いますから腕を……あの、腕を!!」
「可愛らしいレディ。
どうかそのゴm……男を解放して話を聞いてくれないか?」
白と黒のちょっと目に優しくないけどめちゃくちゃ美形の人が現れた。
その隣には猫を抱いたナイスミドル。
「(この人ゴミって言いかけなかった?)
この人を解放して私に危険が無い保証は?」
「俺がレディを傷付けさせないと誓おう」
「そんな不審者な格好でも我が校の学園長だ」
「うっそ?こんな格好で?
そちらのおじ様が学園長じゃないんですか?」
「私は教員だ」
渋いナイスミドルが教員だと……!?
イケメンな白黒さんとナイスミドルの言葉を信じ、ひとまず不審な仮面を解放する。
「いたたた……ひ、酷いじゃないですか!!」
「目覚めて不審者がいたら妥当な判断かと?」
「私のどこが不審者ですか!?」
「全体的に胡散臭さと不審さが滲み出てますが?」
「まったく……鏡から出てきたところを手厚く看病していたというのになんという仕打ちでしょう」
「鏡から?」
ふと思い出したのは鏡に吸い込まれた記憶。
「そーいや鏡に吸い込まれた記憶あるわ」
「鏡に?」
「ここどこ?私帰りたいんだけど」
幼馴染もビックリな消え方したから今頃めちゃくちゃ心配かけているはず。
そうじゃなくてもやらかして毎回迷惑かけているというのに。
「そこの鏡に故郷を強く願えば帰れますよ」
「オタク文化万歳!!我が祖国日本へ帰したまえ!!」
シーン
「日本人なのに日本語難しいと国民に言われて、各地の方言や訛りでもはや日本語って何?って感じの文明の祖国へ!!」
シーン
「………割るか」
「待ちなさい!!そんな国聞いたこともありませんよ!?」
「嘘だろ?
忍者、侍、大和撫子、アニメ、ウェーイな国だよ?」
「どんな国ですか!?」
そーゆー国だよ(偏見)
日本ってそんな有名じゃない島国扱いか……?異世界でもあるまいし。
だいたい忍者、侍、大和撫子で伝わるっしょ。
なんだ?あと寿司?腹切り?ラーメン?
「困ったなぁ…」
"汝の名を告げよ"
「は?何言ってんのこの鏡」
"汝の名を告げよ"
「呪われんの?」
鏡が話し出した事に驚きつつ変な仮面浮き出てきて引いちゃった。
お化けかな?鏡のお化けかな?
「ここはナイトレイブンカレッジ。
世界中から選ばれた類稀なる才能を持つ魔法士の卵が集まるツイステッドワンダーランドきっての名門魔法士養成学校です」
「………魔法?」
「本来なら鏡に選ばれた者達が扉を通って来るのですが……貴方は鏡から突然現れた」
そりゃー鏡に吸い込まれたからな。
ちなみに来たくて来たわけじゃない。
「鏡よ鏡よ鏡さん、元の世界に帰しておくれ」
"汝の名を告げよ"
「さっきからそればっかじゃん。
名前だよ」
"名前。
汝の魂のかたちは……………わからぬ"
「なんですって」
"この者から魔力は感じる。
しかし色も、形も一切の無である。
よってどの寮にもふさわしくない!"
「ハリ○タみたいな寮分けだな。
で?私を帰しておくれよ鏡さん」
"どこにもない"
「あぁん?」
"この者のあるべき場所はこの世界のどこにもない"
「なんですって!!そんなこと有り得ない!!」
仮面の男が鏡に何度も問い掛けるが鏡はだんまり。
「よし、割ろう」
「何言ってるんですか!?駄目ですよ!!」
「人の事誘拐しておいて帰る場所無いとか舐めてるよね。叩いたら直るかな?」
「完全に叩き割る気じゃないですか!!」
「だいたい"帰る場所はこの世界のどこにもない"なんて馬鹿馬鹿しい…
まるで夢のようなトリップ物じゃん」
「トリップとは?」
「色々方法?はあるみたいだけど自分の世界から違う世界にいっちゃうやつだよ」
「なるほど!!まるで貴方みたいですね」
「はっはっはっ、異世界からきちゃって帰れませーんってか?
あっはっはっは………ふざけんな。叩き割るぞ」
「止めてください!!」
殺意を添えて鏡を叩き割ろうとしたら止められた。異世界とかトリップとかまじで笑えない。
「ひとまず落ち着いてください」
「私は落ち着いてるよ」
「鏡が選んだのなら我が校の生徒として受け入れて帰る方法を探すことは出来ますが……一つ問題があります」
「何言ってるんだこの大人。
問題しかないけど?」
「うち、男子校なんですよ」
「………は?」
「寮暮らしの男子校なんです」
「ハリ○タでも共学ですけど?」
「ハリ……?
共学の魔法士学校もありますが……異世界から来たとなると難しい問題ですね」
異世界から来た私には戸籍も無ければお金も無い。私という個人の情報がこの世界には一つも無いので身分を証明する物が何一つ無い。
共学の学校へ移るには事情を説明したところで受け入れてくれる可能性は低いとのこと。
「詰んでますね」
「若者の男子の中にうら若き女性を一人放り込むには些か問題があると……」
「だから問題しかないって」
「どの寮にもふさわしくないとなると……
あぁ!!学園内に使われていない寮がありますのでひとまずそちらをお貸ししましょう!!
雨風は凌げると思いますし、男の出入りも心配ありませんしね!!」
「本当に帰る手段無いんですか?」
「鏡から帰れないとなると……」
まさかの状態に頭を抱えてしまう。
「一先ず我が校に通い勉強しながら帰る方法を探しませんか?」
「頭大丈夫か?
男子校に女子1人放り込むとか」
「私確信しました。
ちょっとやそっとじゃ貴方なら大丈夫。
対応できると……。
私、出会い頭にあんな攻撃受けたの初めてです」
「オイ。それ褒めてないよね?」
「保護者のいない未成年を……まして女性を放り出すなんて紳士ではない可哀想なことしませんよ。
貴方の生活面は私が面倒を見ますのでご安心を。
私、優しいので」
「……ふむ」
現実的に考えると放り出されるより、それらしき情報を手に出来る場所に居られるし援助して貰えるのはありがたい話だ。
何かあったら話の通じない鏡を叩き割るのにも都合がいいし。
「学園長先生」
「はい、なんでしょう」
「帰る方法がわかるまで申し訳ありませんがお世話になります」
頭を下げてお願いをする。
この世界では私は誰かに頼らなければ生きて行けない。
常識がわからない。
知識が足りない。
右も左もわからない異世界に放り込まれ、相手がどんな人間かわからないが一先ず大きなスポンサーはありがたい。
ある程度の我慢をしつつ、この世界に適応しながら帰る方法を探さなきゃいけない先の見えない問題だらけだ。
なので、まずは目先の問題から片付けよう。
「こちらが今日から貴方が住むオンボロ寮です」
「………使われていないとは聞いたけど」
雨風が凌げるという寮に案内してもらうとあらビックリ!!
オンボロ過ぎてただの廃墟に呆然とした。
衛生面とか諸々気になるが……
「今日はお疲れでしょう?
一先ずゆっくり休んで明日また詳しくお話しましょう。
ではおやすみなさ」
「待て」
「ぐっ」
いなくなろうとした学園長のネクタイを引く。
首の締まった学園長が息を詰まらせたが引き寄せて頬をわし掴んだ。
「お世話になる身だから雨風凌げるだけそりゃあありがたいことですよ。
常識も、知識も、お金もないちっぽけな女1人をお世話してくれるお優しい学園長に拾われてそりゃー私、とっても幸運なんでしょうね」
「あ、あにょ……」
「屋根あるだけのボロボロな廃墟で雨漏りがあり、すきま風があり、虫湧き放題、埃とクモの巣のオンパレードの衛生面クソ食らえな水も電気も無い廃墟に放り込まれてさよーなら?
は?
お前の目は何を映している?
お前の目にはここが今すぐ人間が暮らせる居場所だとおっしゃるのか学園長先生ェ?」
「あ、あにょ……ほほ……頬への、力が……いたっ」
「鍵もついてない防犯スカスカのここに?
身一つで頑張れってどーゆー事だコラ」
ギリギリと手に力を込めて頬を潰す。
「しゅ、しゅみまへん……」
人が最低限住めるようになるまで、学園の休憩室を借りることになったのでした。
あとがき
短めですが始めちゃったツイステ夢☆
呪術の通行人設定でやってみたら楽しいかなーとやってしまった(笑)
落ち無く学園生活を謳歌したいwww
「は?何言って……」
「名前!!」
幼馴染の焦った声が聞こえたがそれより早く私は鏡に触れてしまった。
とぷん、と飲み込まれた指先。
そして吸い込まれるように身体が鏡の中に沈んだ。
幼馴染達の驚いた顔を最後に
目の前が真っ暗になり意識を失った。
誰かの話し声が聞こえた。
「もし………」
意識がはっきりしてきて、閉じていた瞼を開く。
急な明るさに目が慣れず眉間にシワが寄る。
「もし…もし、大丈夫でしょうか?」
「………っ」
「気がつかれましたか?」
ぬっ、と飛び込んできた仮面。
声なき悲鳴を飲み込んで反射的に手が出た。
「ふぐぅっ!?」
顎目掛けて掌底打ち。
綺麗に入ってグラついたところに胸にも掌底打ちを入れて、身を屈んだ隙に腕を取り背負い投げからの腕を捻り上げて背中に乗る。
「どこの変質者だ」
「いたっ!!ちょぉおおおおっ!!!!
痛いです!!痛いですって!!!」
「誘拐犯?」
「ちがっ!!ちょ、いたたたたたたっ!!」
「いくら私が可愛くて華麗でか弱い乙女でも変態は許さん」
「話を!!聞いて!!ください!!!」
カラスみたいな羽マントをした仮面の怪しい男を押さえつける。
確実に変質者でしょ、これ。
「そんなフザケタ格好をしてる大人はだいたい変態だから無理」
「ふざっ!?」
「ヤられる前に殺るって基本だよね」
「字が!!ニュアンスが!!おかしくないですか!?」
ギリギリとカラスを締め上げていたが、ふと視線を感じてそちらを向けばポカンとした美形達が此方を見ていた。
しかも皆怪しい似たようなマントを羽織っているし、何より驚いたのは耳が頭から這えている人達がいた。
「………コスプレ?」
「違いますよ!!」
「は?ケモ耳?本物とかありえないよね?」
「あの!!本当に……少しでいいので!!
お話を!!聞いて!!ください!!」
落ち着いて周りを見渡すと似たようなマントを羽織っている人達がいて、目の前には鏡。
ここがおかしな場所だと気付いて頭を傾げる。
「誘拐犯じゃない?」
「違います!!違いますから腕を……あの、腕を!!」
「可愛らしいレディ。
どうかそのゴm……男を解放して話を聞いてくれないか?」
白と黒のちょっと目に優しくないけどめちゃくちゃ美形の人が現れた。
その隣には猫を抱いたナイスミドル。
「(この人ゴミって言いかけなかった?)
この人を解放して私に危険が無い保証は?」
「俺がレディを傷付けさせないと誓おう」
「そんな不審者な格好でも我が校の学園長だ」
「うっそ?こんな格好で?
そちらのおじ様が学園長じゃないんですか?」
「私は教員だ」
渋いナイスミドルが教員だと……!?
イケメンな白黒さんとナイスミドルの言葉を信じ、ひとまず不審な仮面を解放する。
「いたたた……ひ、酷いじゃないですか!!」
「目覚めて不審者がいたら妥当な判断かと?」
「私のどこが不審者ですか!?」
「全体的に胡散臭さと不審さが滲み出てますが?」
「まったく……鏡から出てきたところを手厚く看病していたというのになんという仕打ちでしょう」
「鏡から?」
ふと思い出したのは鏡に吸い込まれた記憶。
「そーいや鏡に吸い込まれた記憶あるわ」
「鏡に?」
「ここどこ?私帰りたいんだけど」
幼馴染もビックリな消え方したから今頃めちゃくちゃ心配かけているはず。
そうじゃなくてもやらかして毎回迷惑かけているというのに。
「そこの鏡に故郷を強く願えば帰れますよ」
「オタク文化万歳!!我が祖国日本へ帰したまえ!!」
シーン
「日本人なのに日本語難しいと国民に言われて、各地の方言や訛りでもはや日本語って何?って感じの文明の祖国へ!!」
シーン
「………割るか」
「待ちなさい!!そんな国聞いたこともありませんよ!?」
「嘘だろ?
忍者、侍、大和撫子、アニメ、ウェーイな国だよ?」
「どんな国ですか!?」
そーゆー国だよ(偏見)
日本ってそんな有名じゃない島国扱いか……?異世界でもあるまいし。
だいたい忍者、侍、大和撫子で伝わるっしょ。
なんだ?あと寿司?腹切り?ラーメン?
「困ったなぁ…」
"汝の名を告げよ"
「は?何言ってんのこの鏡」
"汝の名を告げよ"
「呪われんの?」
鏡が話し出した事に驚きつつ変な仮面浮き出てきて引いちゃった。
お化けかな?鏡のお化けかな?
「ここはナイトレイブンカレッジ。
世界中から選ばれた類稀なる才能を持つ魔法士の卵が集まるツイステッドワンダーランドきっての名門魔法士養成学校です」
「………魔法?」
「本来なら鏡に選ばれた者達が扉を通って来るのですが……貴方は鏡から突然現れた」
そりゃー鏡に吸い込まれたからな。
ちなみに来たくて来たわけじゃない。
「鏡よ鏡よ鏡さん、元の世界に帰しておくれ」
"汝の名を告げよ"
「さっきからそればっかじゃん。
名前だよ」
"名前。
汝の魂のかたちは……………わからぬ"
「なんですって」
"この者から魔力は感じる。
しかし色も、形も一切の無である。
よってどの寮にもふさわしくない!"
「ハリ○タみたいな寮分けだな。
で?私を帰しておくれよ鏡さん」
"どこにもない"
「あぁん?」
"この者のあるべき場所はこの世界のどこにもない"
「なんですって!!そんなこと有り得ない!!」
仮面の男が鏡に何度も問い掛けるが鏡はだんまり。
「よし、割ろう」
「何言ってるんですか!?駄目ですよ!!」
「人の事誘拐しておいて帰る場所無いとか舐めてるよね。叩いたら直るかな?」
「完全に叩き割る気じゃないですか!!」
「だいたい"帰る場所はこの世界のどこにもない"なんて馬鹿馬鹿しい…
まるで夢のようなトリップ物じゃん」
「トリップとは?」
「色々方法?はあるみたいだけど自分の世界から違う世界にいっちゃうやつだよ」
「なるほど!!まるで貴方みたいですね」
「はっはっはっ、異世界からきちゃって帰れませーんってか?
あっはっはっは………ふざけんな。叩き割るぞ」
「止めてください!!」
殺意を添えて鏡を叩き割ろうとしたら止められた。異世界とかトリップとかまじで笑えない。
「ひとまず落ち着いてください」
「私は落ち着いてるよ」
「鏡が選んだのなら我が校の生徒として受け入れて帰る方法を探すことは出来ますが……一つ問題があります」
「何言ってるんだこの大人。
問題しかないけど?」
「うち、男子校なんですよ」
「………は?」
「寮暮らしの男子校なんです」
「ハリ○タでも共学ですけど?」
「ハリ……?
共学の魔法士学校もありますが……異世界から来たとなると難しい問題ですね」
異世界から来た私には戸籍も無ければお金も無い。私という個人の情報がこの世界には一つも無いので身分を証明する物が何一つ無い。
共学の学校へ移るには事情を説明したところで受け入れてくれる可能性は低いとのこと。
「詰んでますね」
「若者の男子の中にうら若き女性を一人放り込むには些か問題があると……」
「だから問題しかないって」
「どの寮にもふさわしくないとなると……
あぁ!!学園内に使われていない寮がありますのでひとまずそちらをお貸ししましょう!!
雨風は凌げると思いますし、男の出入りも心配ありませんしね!!」
「本当に帰る手段無いんですか?」
「鏡から帰れないとなると……」
まさかの状態に頭を抱えてしまう。
「一先ず我が校に通い勉強しながら帰る方法を探しませんか?」
「頭大丈夫か?
男子校に女子1人放り込むとか」
「私確信しました。
ちょっとやそっとじゃ貴方なら大丈夫。
対応できると……。
私、出会い頭にあんな攻撃受けたの初めてです」
「オイ。それ褒めてないよね?」
「保護者のいない未成年を……まして女性を放り出すなんて紳士ではない可哀想なことしませんよ。
貴方の生活面は私が面倒を見ますのでご安心を。
私、優しいので」
「……ふむ」
現実的に考えると放り出されるより、それらしき情報を手に出来る場所に居られるし援助して貰えるのはありがたい話だ。
何かあったら話の通じない鏡を叩き割るのにも都合がいいし。
「学園長先生」
「はい、なんでしょう」
「帰る方法がわかるまで申し訳ありませんがお世話になります」
頭を下げてお願いをする。
この世界では私は誰かに頼らなければ生きて行けない。
常識がわからない。
知識が足りない。
右も左もわからない異世界に放り込まれ、相手がどんな人間かわからないが一先ず大きなスポンサーはありがたい。
ある程度の我慢をしつつ、この世界に適応しながら帰る方法を探さなきゃいけない先の見えない問題だらけだ。
なので、まずは目先の問題から片付けよう。
「こちらが今日から貴方が住むオンボロ寮です」
「………使われていないとは聞いたけど」
雨風が凌げるという寮に案内してもらうとあらビックリ!!
オンボロ過ぎてただの廃墟に呆然とした。
衛生面とか諸々気になるが……
「今日はお疲れでしょう?
一先ずゆっくり休んで明日また詳しくお話しましょう。
ではおやすみなさ」
「待て」
「ぐっ」
いなくなろうとした学園長のネクタイを引く。
首の締まった学園長が息を詰まらせたが引き寄せて頬をわし掴んだ。
「お世話になる身だから雨風凌げるだけそりゃあありがたいことですよ。
常識も、知識も、お金もないちっぽけな女1人をお世話してくれるお優しい学園長に拾われてそりゃー私、とっても幸運なんでしょうね」
「あ、あにょ……」
「屋根あるだけのボロボロな廃墟で雨漏りがあり、すきま風があり、虫湧き放題、埃とクモの巣のオンパレードの衛生面クソ食らえな水も電気も無い廃墟に放り込まれてさよーなら?
は?
お前の目は何を映している?
お前の目にはここが今すぐ人間が暮らせる居場所だとおっしゃるのか学園長先生ェ?」
「あ、あにょ……ほほ……頬への、力が……いたっ」
「鍵もついてない防犯スカスカのここに?
身一つで頑張れってどーゆー事だコラ」
ギリギリと手に力を込めて頬を潰す。
「しゅ、しゅみまへん……」
人が最低限住めるようになるまで、学園の休憩室を借りることになったのでした。
あとがき
短めですが始めちゃったツイステ夢☆
呪術の通行人設定でやってみたら楽しいかなーとやってしまった(笑)
落ち無く学園生活を謳歌したいwww
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