夏油
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「………っっっ!!!」
夢をみた。
哀しくて
切なくて
苦しくなるような
貴方の夢を。
カタカタと身体の震えが止まらない。
キミの絶望が、悲しみが、憎しみが、怒りが
胸のなかを渦巻き、どす黒い感情が
ドロドロと溜まっていく。
キミの歩く道は血で染まり
キミの歩いた後は屍が積み重なり
キミは親友の手によりこの世を去り
キミの身体がナニカの手にわたり
キミの親友の前でニタリと嗤う
何度否定しても
頭の中を廻る映像が消えない。
まるで、今起こったことのように
ぐるぐると頭の中を何度も再生される。
ポロポロとこぼれ落ちる涙を
止める方法を私は知らない。
眠るのが怖くなり
私はベッドの上で膝を抱えて
シーツにくるまり
朝日が上るのを待った。
「おはよ」
「うわっ、ブスッ!!」
「なしたのその顔」
「………名前?」
朝から酷い顔をしているのはわかっていたが
教室に行けば途端に悟から罵声が飛んできた。
いつもなら睨み返すものの
今はそんな気力も体力もなく
机にうつ伏せる。
硝子が心配そうに声をかけてきて
傑が驚いた様子で近くに来た。
「具合悪いのかい?」
「ちがう……」
「変なもんでも喰って腹壊した?」
「ちが……っ、ふぅっ」
「うわ、五条が泣かせた」
「悟……」
「睨むなよ!?俺のせいじゃなくね!!?」
傑の優しい声に涙が溢れてきて
また涙腺が壊れたように涙がこぼれる。
ぐしぐしと袖で涙を拭うが
まったく止まらない。
「そんなに擦ると腫れてしまうよ」
「もう手遅れだろ」
「五条、黙ってな」
「すぐ………すぐるっ傑、すぐっ」
手を捕まれて、擦るのをやめさせられたら
溢れる涙は頬をつたい
ボロボロと零れてしまう。
目の前にいる傑は
困った顔をしていて
止まらない涙に申し訳なくなる。
手を伸ばして抱き締めて。
傑のお腹に顔を押し付ければ
頭に手を置かれて
ぽんぽんと撫でられる。
「どうしたんだ?怖い夢でも見たかい?」
「傑……っ」
「困ったね。
私の彼女の瞳がこのまま溶けてしまいそうだ」
「オエッ」
「………どうしたら泣き止んでくれるかな?」
柔らかな優しい声も
大きな手のひらも
落ち着く匂いも
温かい体温も
全て私の腕の中にあるのに
脳内を廻る映像は
冷たくて
悲しくて
哀しくて
寂しくて
幸せなんてどこにも無くて
血と屍の世界。
「名前、怖いことなんて何もないよ。
名前の怖いこと全て
私が祓ってあげるから」
「………っ、すぐる」
「泣き止んでくれないか?
私は笑っている名前が好きなんだ」
顔を上げれば
傑が苦笑していた。
大きな手のひらは
私の目尻を撫でて涙を拭う。
「ウサギみたいだね」
「そんな可愛い生き物じゃないだろ。
目が腫れて化物じゃん」
「悟、黙ろうか」
「事実だろ」
「五条黙ってなよ。
名前、目冷やさなきゃ」
悟がいて
硝子がいて
傑がいない世界。
「傑……置いてかないでね」
「どんな悪い夢を見たんだい?」
「………傑がいなくなる夢」
「私が名前を置いていくわけないだろ」
「本当?」
「名前は弱いからね。
弱い名前を守るのは私の役目だろ?」
「うん」
「あーあ、目真っ赤。
冷やさないと明日も腫れるぞ」
「うー」
「パンパンで出目金みてーだぞ」
「五条くん嫌い」
「本当のこと教えてやってんだろ」
「悟、これ以上私の彼女を
虐めないでくれないか?」
「悪いの俺かよ」
不細工な腫れた目のまま
四人で笑いあった。
そんな日々が続くと思っていた。
そんな日々が続けばいいと願っていたのに
「傑が離反した」
夜蛾先生から聞かされた時
私は嘘だと叫び
先生に掴みかかった。
硝子に止められ
淡々と話す先生も辛そうで
コレが現実だと叩き付けられる。
「夏油、新宿にいるよ」
その後、硝子からの連絡に
学校を飛び出した。
人混みの中
必死に唯一の人を探す。
ぶつかって、謝って
周りを見て
泣くな、と必死に自分を叱る。
ボヤける視界を拭って
必死に走った。
そして見付けた姿に
両手を伸ばして抱き付いた。
「すぐ……すぐるっ」
「………見付かっちゃった」
「ばか……ばかぁっ」
「ごめん、名前」
くすり、と笑う傑。
髪を下ろして、真っ黒な私服姿。
なんで?
どうして?
沢山沸き上がる疑問。
けど
それら全てを飲み込んで
私は君に伝えたい。
「名前、離してくれないか?」
「やだ!!」
「君を連れて行けない」
「置いていかないって言ったじゃん!!」
「……言ったよ。
けど、名前を私の我が儘で
連れては行けない。
ごめん、君を不幸にして」
はっきりと拒絶され
抱き付いた手を離される。
涙で視界がボヤけるなか
寂しそうに笑う姿が見えた。
だから、決めていた。
持っていた呪具で髪の毛を切り落とし
高専の制服を脱ぎ捨てる。
「一人で勝手に決めるなばかぁっ!!」
「名前………」
「何でもわかった気にならないで!!
私が不幸だと思うなら
傑が幸せにしてよ!!
貴方がいない世界で
私が幸せになれると思ってんの!?」
「………ごめん」
「謝るな!!」
「名前」
「もしも……もしもの時が来るとしたらって
ずっと考えてた」
あの日
みんなの前で大泣きした日。
幾度となく悪夢は続き
最期に嗤うダレカ。
「私は傑と一緒に居たいんだよっ」
未成年の私の決断に
人々は皆馬鹿だと笑うだろう。
こんなことに一生をかけるなんて愚かだと。
それでも良かった。
「誰かの為に傷付くなら傑の為がいい!!
誰かの為に命を使うなら傑の為がいい!!
傑が誰かの為に命を使うなら
私が傑の為に、命を使わせてよ」
ウソツキな君は
誰かの為に傷付き
誰かの為に力を使い
誰かの為に命を捨てる。
「大好きだよ……傑」
どうか君の盾でいさせて。
身代わりにはなれなくても
使い捨てでもいい。
「私にも守らせてよ……
傑が笑える未来を」
「名前………馬鹿だねぇ」
「馬鹿なんだよ」
「私じゃなくても
いい男はいるはずだよ?」
「私が傑を幸せにしたいんだよ」
「………参ったね」
眉を下げて
困ったように笑う傑に
抱き付けば
今度は受け入れるように抱き締められた。
「嫌だと言っても離さないよ」
「言わないよ」
「………ごめん。ありがとう」
傑の言葉が少しだけ震えていたが
私は聞こえなかったふりをして
強く抱き付いた。
携帯も、制服も、髪も、友達も、親も
全て捨てて
たった一人の愛しい人を選んだ私を
ほとんどの人が指をさして
あり得ないと、愚かだと、馬鹿だと
罵るだろう。
制服を脱いで
傑の用意した女の子らしい服を着ている。
私服なんて、高専時代はほとんど着ていない。
遊びに行くときも
だいたいは真っ黒な制服だった。
最初は慣れなかったワンピースなども
今じゃ今日は何を着ようかと
毎日おしゃれを楽しんでいる。
それに比べ……
「どうかしたかい?」
一仕事を終えて
私の部屋に来た傑。
「傑さ……もっと他にあったでしょ?」
「今さらかい?」
「似合って……いや、ごめん。胡散臭い」
「酷いな」
クスクスと笑ってる傑は袈裟姿だ。
「妄信的な猿共には
効果的な姿だろう?」
「そーだろうけど……」
「名前はどんな姿がお気に召すのかな?」
私の座るソファーの隣に腰掛け
にまにまとしながら
こちらを見てくる傑。
「高専の時の制服姿好きだったな」
「そうかい?」
「あ、けど
お風呂上がりの傑が一番好きかも」
「………誘ってるのか?」
私を軽々と持ち上げて
膝の上に乗せる傑。
私は傑の首に腕を回し
縛っていた髪をほどく。
「髪を下ろした姿の傑って
とってもセクシーなんだよね」
「私はその誘いに乗った方がいいのかな?」
「お好きにどうぞ?」
「お言葉に甘えようか」
啄むようにキスをして
深く重なりあう私達。
「傑……幸せ?」
「幸せだよ」
微笑む君にキスをして
私で良ければ
私の出来る限りの力で
君を幸せにしたいんだ。
この世でたった一人。
君が嬉しいと
君が幸せだと笑ってくれるならば
たとえ地獄の道だろうと
私は共に。
あとがき
傑を幸せにしたい第1段。
この数年後に
乙骨にやられ、悟にやられ
あああああっなことになってますが
割愛
傑を幸せにしたいので
傑が幸せなところを書こう企画(笑)
なんかお題形式で
書いてみようか……
って考えたけど
現時点ではまだ未定です
夢をみた。
哀しくて
切なくて
苦しくなるような
貴方の夢を。
カタカタと身体の震えが止まらない。
キミの絶望が、悲しみが、憎しみが、怒りが
胸のなかを渦巻き、どす黒い感情が
ドロドロと溜まっていく。
キミの歩く道は血で染まり
キミの歩いた後は屍が積み重なり
キミは親友の手によりこの世を去り
キミの身体がナニカの手にわたり
キミの親友の前でニタリと嗤う
何度否定しても
頭の中を廻る映像が消えない。
まるで、今起こったことのように
ぐるぐると頭の中を何度も再生される。
ポロポロとこぼれ落ちる涙を
止める方法を私は知らない。
眠るのが怖くなり
私はベッドの上で膝を抱えて
シーツにくるまり
朝日が上るのを待った。
「おはよ」
「うわっ、ブスッ!!」
「なしたのその顔」
「………名前?」
朝から酷い顔をしているのはわかっていたが
教室に行けば途端に悟から罵声が飛んできた。
いつもなら睨み返すものの
今はそんな気力も体力もなく
机にうつ伏せる。
硝子が心配そうに声をかけてきて
傑が驚いた様子で近くに来た。
「具合悪いのかい?」
「ちがう……」
「変なもんでも喰って腹壊した?」
「ちが……っ、ふぅっ」
「うわ、五条が泣かせた」
「悟……」
「睨むなよ!?俺のせいじゃなくね!!?」
傑の優しい声に涙が溢れてきて
また涙腺が壊れたように涙がこぼれる。
ぐしぐしと袖で涙を拭うが
まったく止まらない。
「そんなに擦ると腫れてしまうよ」
「もう手遅れだろ」
「五条、黙ってな」
「すぐ………すぐるっ傑、すぐっ」
手を捕まれて、擦るのをやめさせられたら
溢れる涙は頬をつたい
ボロボロと零れてしまう。
目の前にいる傑は
困った顔をしていて
止まらない涙に申し訳なくなる。
手を伸ばして抱き締めて。
傑のお腹に顔を押し付ければ
頭に手を置かれて
ぽんぽんと撫でられる。
「どうしたんだ?怖い夢でも見たかい?」
「傑……っ」
「困ったね。
私の彼女の瞳がこのまま溶けてしまいそうだ」
「オエッ」
「………どうしたら泣き止んでくれるかな?」
柔らかな優しい声も
大きな手のひらも
落ち着く匂いも
温かい体温も
全て私の腕の中にあるのに
脳内を廻る映像は
冷たくて
悲しくて
哀しくて
寂しくて
幸せなんてどこにも無くて
血と屍の世界。
「名前、怖いことなんて何もないよ。
名前の怖いこと全て
私が祓ってあげるから」
「………っ、すぐる」
「泣き止んでくれないか?
私は笑っている名前が好きなんだ」
顔を上げれば
傑が苦笑していた。
大きな手のひらは
私の目尻を撫でて涙を拭う。
「ウサギみたいだね」
「そんな可愛い生き物じゃないだろ。
目が腫れて化物じゃん」
「悟、黙ろうか」
「事実だろ」
「五条黙ってなよ。
名前、目冷やさなきゃ」
悟がいて
硝子がいて
傑がいない世界。
「傑……置いてかないでね」
「どんな悪い夢を見たんだい?」
「………傑がいなくなる夢」
「私が名前を置いていくわけないだろ」
「本当?」
「名前は弱いからね。
弱い名前を守るのは私の役目だろ?」
「うん」
「あーあ、目真っ赤。
冷やさないと明日も腫れるぞ」
「うー」
「パンパンで出目金みてーだぞ」
「五条くん嫌い」
「本当のこと教えてやってんだろ」
「悟、これ以上私の彼女を
虐めないでくれないか?」
「悪いの俺かよ」
不細工な腫れた目のまま
四人で笑いあった。
そんな日々が続くと思っていた。
そんな日々が続けばいいと願っていたのに
「傑が離反した」
夜蛾先生から聞かされた時
私は嘘だと叫び
先生に掴みかかった。
硝子に止められ
淡々と話す先生も辛そうで
コレが現実だと叩き付けられる。
「夏油、新宿にいるよ」
その後、硝子からの連絡に
学校を飛び出した。
人混みの中
必死に唯一の人を探す。
ぶつかって、謝って
周りを見て
泣くな、と必死に自分を叱る。
ボヤける視界を拭って
必死に走った。
そして見付けた姿に
両手を伸ばして抱き付いた。
「すぐ……すぐるっ」
「………見付かっちゃった」
「ばか……ばかぁっ」
「ごめん、名前」
くすり、と笑う傑。
髪を下ろして、真っ黒な私服姿。
なんで?
どうして?
沢山沸き上がる疑問。
けど
それら全てを飲み込んで
私は君に伝えたい。
「名前、離してくれないか?」
「やだ!!」
「君を連れて行けない」
「置いていかないって言ったじゃん!!」
「……言ったよ。
けど、名前を私の我が儘で
連れては行けない。
ごめん、君を不幸にして」
はっきりと拒絶され
抱き付いた手を離される。
涙で視界がボヤけるなか
寂しそうに笑う姿が見えた。
だから、決めていた。
持っていた呪具で髪の毛を切り落とし
高専の制服を脱ぎ捨てる。
「一人で勝手に決めるなばかぁっ!!」
「名前………」
「何でもわかった気にならないで!!
私が不幸だと思うなら
傑が幸せにしてよ!!
貴方がいない世界で
私が幸せになれると思ってんの!?」
「………ごめん」
「謝るな!!」
「名前」
「もしも……もしもの時が来るとしたらって
ずっと考えてた」
あの日
みんなの前で大泣きした日。
幾度となく悪夢は続き
最期に嗤うダレカ。
「私は傑と一緒に居たいんだよっ」
未成年の私の決断に
人々は皆馬鹿だと笑うだろう。
こんなことに一生をかけるなんて愚かだと。
それでも良かった。
「誰かの為に傷付くなら傑の為がいい!!
誰かの為に命を使うなら傑の為がいい!!
傑が誰かの為に命を使うなら
私が傑の為に、命を使わせてよ」
ウソツキな君は
誰かの為に傷付き
誰かの為に力を使い
誰かの為に命を捨てる。
「大好きだよ……傑」
どうか君の盾でいさせて。
身代わりにはなれなくても
使い捨てでもいい。
「私にも守らせてよ……
傑が笑える未来を」
「名前………馬鹿だねぇ」
「馬鹿なんだよ」
「私じゃなくても
いい男はいるはずだよ?」
「私が傑を幸せにしたいんだよ」
「………参ったね」
眉を下げて
困ったように笑う傑に
抱き付けば
今度は受け入れるように抱き締められた。
「嫌だと言っても離さないよ」
「言わないよ」
「………ごめん。ありがとう」
傑の言葉が少しだけ震えていたが
私は聞こえなかったふりをして
強く抱き付いた。
携帯も、制服も、髪も、友達も、親も
全て捨てて
たった一人の愛しい人を選んだ私を
ほとんどの人が指をさして
あり得ないと、愚かだと、馬鹿だと
罵るだろう。
制服を脱いで
傑の用意した女の子らしい服を着ている。
私服なんて、高専時代はほとんど着ていない。
遊びに行くときも
だいたいは真っ黒な制服だった。
最初は慣れなかったワンピースなども
今じゃ今日は何を着ようかと
毎日おしゃれを楽しんでいる。
それに比べ……
「どうかしたかい?」
一仕事を終えて
私の部屋に来た傑。
「傑さ……もっと他にあったでしょ?」
「今さらかい?」
「似合って……いや、ごめん。胡散臭い」
「酷いな」
クスクスと笑ってる傑は袈裟姿だ。
「妄信的な猿共には
効果的な姿だろう?」
「そーだろうけど……」
「名前はどんな姿がお気に召すのかな?」
私の座るソファーの隣に腰掛け
にまにまとしながら
こちらを見てくる傑。
「高専の時の制服姿好きだったな」
「そうかい?」
「あ、けど
お風呂上がりの傑が一番好きかも」
「………誘ってるのか?」
私を軽々と持ち上げて
膝の上に乗せる傑。
私は傑の首に腕を回し
縛っていた髪をほどく。
「髪を下ろした姿の傑って
とってもセクシーなんだよね」
「私はその誘いに乗った方がいいのかな?」
「お好きにどうぞ?」
「お言葉に甘えようか」
啄むようにキスをして
深く重なりあう私達。
「傑……幸せ?」
「幸せだよ」
微笑む君にキスをして
私で良ければ
私の出来る限りの力で
君を幸せにしたいんだ。
この世でたった一人。
君が嬉しいと
君が幸せだと笑ってくれるならば
たとえ地獄の道だろうと
私は共に。
あとがき
傑を幸せにしたい第1段。
この数年後に
乙骨にやられ、悟にやられ
あああああっなことになってますが
割愛
傑を幸せにしたいので
傑が幸せなところを書こう企画(笑)
なんかお題形式で
書いてみようか……
って考えたけど
現時点ではまだ未定です