先輩ifシリーズ
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※本誌ネタバレ
※先輩闇落ちの続き
ピンポーン
チャイムが鳴り
誰だろうとドアを開けば
何者かに抱き締められる。
「ただいま、名前」
「………なーんでわかったかな」
「愛の力かな?」
「死んだんじゃなかったの?」
「勝手に殺すなよ」
もぞもぞと抜け出し
見上げれば
以前と違うのは
額の縫い傷のようなもの
「まぁ、死んでも来世は遠いから
今世で会いに来たんだよ」
「………愛が重い」
「またしばらく、よろしく頼むよ」
「私の平穏どこ行った」
「私や悟に目をつけられた時点で
名前は巻き込まれる運命なんだよ」
ケラケラと笑う傑に
仕方ない、と絆されてしまっている私は
もはや、手遅れなのだろう。
しかし
「………名前?」
見た目も、温もりも、呪力も傑だ。
傑だが……
その腕の中にいられなかった。
距離を取り
見上げた先にあるのは傑なのに
私はそいつを知らない。
「単刀直入に聞くけど
あなたは誰かな?」
「可笑しな事を聞くね」
にっこりと笑う傑。
あぁ……やはり
見れば見るほど
触れれば触れるほど
傑と彼は綻びが生まれる。
「声も、温もりも、呪力も、姿も
確かに君は傑だよ」
「何が言いたいんだい?」
「けど、あなたは
私の知っている傑じゃない」
「………名前」
「君は傑の記憶もあるのかな?」
「どうしてわかった?」
「だって君、傑じゃないもの」
だから私は君の名前を呼ばなかった。
呼ぶ名前がわからないから
傑だと表現するしかないが
中身は別のナニカだ。
「残念。いけると思ったんだけどな」
「解るよ。傑を知る人なら」
「へぇ」
「悟も騙されてくれないよ」
「それは困った。
この姿は五条 悟への切り札だからね」
「どうして私の前に現れたの?」
「興味かな」
クックッと楽しそうに嗤う傑。
ずいっと、顔を近付けて来て
にたりと嗤う。
「五条悟からも愛され
夏油傑からも愛された
あんたなら面白いことが出来そうだ」
「趣味悪いね」
「私に協力しろ、名前」
「いいよ」
「は?」
「え?何その顔」
あっさりと頷けば
間抜けな顔でこちらを見る傑。
「って言っても、私役に立つことある?」
「色々あるさ」
「………傑」
頬に手を伸ばせば
触りやすいようにかがんでくれる癖も
そのまま首元に抱き着いたら
腰に腕を回して抱き締めてくれるのも
確かに傑なのに……
「泣いているのかい?」
「まさか」
「慰めようか?」
「やだよ」
私の知る傑は、もういない。
「名前ってさ、いつも傑と一緒だよね」
「私達は愛し合ってるからね、真人」
「コラ、どつくよ」
「傑の金魚の糞みたい」
「真人、名前を糞扱いしないでくれ」
「本当変なヤツ」
べーっと、舌を出す真人を見て
特に興味も持たずに
目の前に広がる海に
目を閉じる。
波の音が心地よくて
だんだんと眠くなってきた。
「眠いのかい?」
「少し…」
「ならお眠り」
「ん」
傑の肩を借りて寄りかかれば
そのまま夢の世界へ。
「そんな人間の何がいいわけ?」
「名前は特別だからね。
真人もしつこく
ちょっかいかけない方がいいよ」
「えー?
なら、ちょっと魂弄ってもいいかな?」
「駄目だよ」
「ちぇっ」
夢を見た。
私は悟と結婚したのかな?
二人で手を繋いで笑っていた。
そこに硝子と大和が現れて
ふざけだしたところに
呆れた顔をしながら
一緒の輪の中で
傑が笑っていたんだ。
星漿体がいて
おにーさんがいて
灰原くんがいて
七海くんがいて
みんなみんな、幸せに笑っている世界。
そんなの
もう、どこにも無いのに
花御が死んだ。
真人が連れてきた改造呪霊達。
人間達が死んでいくなか
悟は最善の手を考える。
無量空処からの
1000体の改造呪霊の破壊。
やはり悟は
誰よりも強くて、優しい。
「獄門疆、開門」
その優しさを踏みにじるコイツ。
呪霊達で麻雀をしながら
獄門疆の説明をする傑。
「獄門疆は生きた結界。
源信の成れの果て
獄門疆に封印できないモノはない」
「だが流石に
封印条件はあるのであろう?」
「1分だ」
「は?」
「獄門疆開門後
封印有効範囲、半径約4m以内に
1分間五条悟を留めなければならない」
「おい、焼き殺すぞ。
よもや、その、無理難題を押しつけるために
手を組んだのではあるまいな?
その条件下でアレの1分
蒙昧な人間共その一生を幾千積み重ねても
釣り合わんぞ」
「暑いよ漏瑚
大丈夫
1分と言ってもね」
獄門疆が開く。
「や、悟」
「は?」
「久しいね」
「五条悟の脳内時間1分だ」
傑の姿で悟の前に立つそいつに
悟は目を見開き固まる。
その瞬間を、コイツは狙っていた。
だからこそ
私はコイツに一泡吹かせる。
呆けた悟を思いっきり蹴り飛ばし
半径4mほどに結界を張る。
一瞬だけでいい。
この範囲に悟が来ないのなら
獄門疆が私の身体を捉え
傑は驚き、そして顔を歪める。
「名前、お前………っ!!」
「良かったよ、アンタが私を信用してくれて」
呪力が全く出ない。
だが、口が動くならいい。
「悟封印に力を注ぐアンタだから
獄門疆の使用方法や条件を
ペラペラ話してくれて助かった」
「そのためだけに?」
「私は後輩達にとって
尊敬できる先輩じゃなかったからね」
強くて、優しくて、寂しがり屋な
可愛い可愛い後輩達。
花御は話のわかる
優しい呪霊だった。
『名前はなぜ、ここに居るのですか?』
「頭痛っ……」
『夏油は貴女を高く評価していますが
私はそう思えません』
「だろうね」
『私に勝てるような強さも無く
貴女はなぜここにいて
なぜ夏油と一緒にいるんですか?』
「んー…やりたいことがあるから」
『それはここに居なきゃ
出来ないことですか?』
「うん。
君たちからしたら、私なんてちっぽけで
取るに足らない存在で
目障りなんだろうけど」
『………』
「私は花御も漏瑚も好きだよ。
呪霊だけど、人間よりはシンプルで気が楽だ」
『私は嫌いです』
「ははっ!!知ってる」
『………けど、貴女という人間と
気紛れに話すのは新しい発見が
あるかもしれませんね』
漏瑚は口煩く
すぐに怒る沸点の低い呪霊。
「おい、名前」
「なぁに?漏瑚」
「近くに寄るな。人臭い」
「どこのもののけ姫だよ」
「は?何を言っておる阿保が」
「………漏瑚は私を嫌悪はするけど
特に何も言わないよね」
「何が言いたい」
「真人のように嫌悪はするけど
何だかんだ私のこと
放っておいてくれるでしょ」
「真人のアレは嫌悪じゃなかろう」
「ん?」
「………儂はお前ら人間が嫌いだ」
「知ってる」
「だからお前も嫌いだが
煩く目障りじゃないなら
いつでも殺せる相手を相手にせん」
真人はうるさい。
うるさいけど、構って欲しいのか
よくちょっかいかけてきた。
「おい、糞」
「………」
「無視すんなよ糞。芋虫にしちゃうぞ」
「………」
「おーい。おいって!?
何すんだよ!!今術式使ったろ!?」
「うざい。読書中」
「あんまり可愛くないと、改造するよ」
「真人」
「………何」
「ここ、おいで」
「何で俺がお前の言うこと
聞かなきゃいけないのさ」
「髪、触らせてよ」
「やーだね!!」
「…………ん?
触らせてくれないんじゃ無かったの?」
「俺が触らせてやってんの!!」
敵対すべき関係だけど
この半年程、一緒にいて楽しかった。
だから
許せなかったんだ。
呪霊も、傑も、人間も
全て利用し
嘲笑うこのモノを!!
「私の目の前に現れたのが
アンタの失敗だよ。
傑の姿で
悟を傷付けるな!!!」
大好きな後輩達。
三人でふざけあって
二人で喧嘩して
三人で仲良く笑って
私と大和を巻き込んで
一緒に笑い合った3年間。
私の我が儘で壊した仲だったけど
変わらず側にいてくれた後輩。
私の人生で
おにーさんよりも
大切だと思えた子達だからこそ
「私の大切なものを踏みにじって
嗤うアンタを祓うのは
私じゃなくていい」
悟が育てた未来への種。
その種達は悟と共に
必ずコイツを祓ってくれる。
「私は、ここで終わっても
他の子達が必ずアンタを祓うよ」
「そのために裏切っていたと?」
「今までのことを正当化なんてしないよ。
ただ、アンタは私の大切な子を
私の一番嫌なやり方で目の前に現れた。
可愛い後輩達を苛めるのは
誰であろうと許さない!!」
「はっ!!封印されて何を」
「………悟」
姿は見えない。
けど、悟はきっと聞いている。
「例え悟の甘さが招いた結果でも
私だけは悟を責めないよ」
去年、傑を殺した悟。
そうせざるを得なかったのは、私だ。
親友を違う道に歩ませたのも
親友を手にかけさせたのも
その後を私が後始末しなかったのも
「全部私のせいだーーーごめんね」
だからこそ
今だけは先輩らしくいさせて。
君を守る
かっこ悪い先輩で……
「後は、頼んだよ」
憎らしく歪むヤツの顔に
私は嗤う。
「お前の思い通りになんかさせないよ」
ベッ、と舌を出したのを最期に
私の視界は真っ黒になる。
「先輩」
真っ暗な世界。
私は目を閉じて待つ。
「先輩、すいません」
「……謝るくらいなら
最初から着いてきちゃ駄目だよ」
「後悔はしてないよ」
ぎゅっと、抱き締める温もりはない。
けど
背中に感じる胸板も
お腹に回る腕も
首筋に頭を埋める仕草も
変わらず、覚えている。
「来世で待ってます」
「うん、待ってて」
「名前、愛してた」
涙が溢れる。
君 は もう いない。
あとがき
本誌えげつなさすぎて
もう………もうっ!!!!!
悟君の変わりに
夢主が封印されました。
呪霊達とはわりと良好な関係を
築けていたと思います。
兄者と水の呪霊は………
うん、誤魔化しとく(笑)(笑)
呪霊との話も書きたかったのに
本誌のえげつなさに
傑がいないことに
もうこれは書くしかないと……。
悟から見た話は
書けない……っっ
あの獄門疆がぐしゃっと元の匣に戻ると
考えたら……残された悟
もう、つらっっ!!考えるのつらっ!!
または、真人とかにぐしゃっされるのも
つっっっら!!!
なので、あえて書きません。
私が辛いです。
※先輩闇落ちの続き
ピンポーン
チャイムが鳴り
誰だろうとドアを開けば
何者かに抱き締められる。
「ただいま、名前」
「………なーんでわかったかな」
「愛の力かな?」
「死んだんじゃなかったの?」
「勝手に殺すなよ」
もぞもぞと抜け出し
見上げれば
以前と違うのは
額の縫い傷のようなもの
「まぁ、死んでも来世は遠いから
今世で会いに来たんだよ」
「………愛が重い」
「またしばらく、よろしく頼むよ」
「私の平穏どこ行った」
「私や悟に目をつけられた時点で
名前は巻き込まれる運命なんだよ」
ケラケラと笑う傑に
仕方ない、と絆されてしまっている私は
もはや、手遅れなのだろう。
しかし
「………名前?」
見た目も、温もりも、呪力も傑だ。
傑だが……
その腕の中にいられなかった。
距離を取り
見上げた先にあるのは傑なのに
私はそいつを知らない。
「単刀直入に聞くけど
あなたは誰かな?」
「可笑しな事を聞くね」
にっこりと笑う傑。
あぁ……やはり
見れば見るほど
触れれば触れるほど
傑と彼は綻びが生まれる。
「声も、温もりも、呪力も、姿も
確かに君は傑だよ」
「何が言いたいんだい?」
「けど、あなたは
私の知っている傑じゃない」
「………名前」
「君は傑の記憶もあるのかな?」
「どうしてわかった?」
「だって君、傑じゃないもの」
だから私は君の名前を呼ばなかった。
呼ぶ名前がわからないから
傑だと表現するしかないが
中身は別のナニカだ。
「残念。いけると思ったんだけどな」
「解るよ。傑を知る人なら」
「へぇ」
「悟も騙されてくれないよ」
「それは困った。
この姿は五条 悟への切り札だからね」
「どうして私の前に現れたの?」
「興味かな」
クックッと楽しそうに嗤う傑。
ずいっと、顔を近付けて来て
にたりと嗤う。
「五条悟からも愛され
夏油傑からも愛された
あんたなら面白いことが出来そうだ」
「趣味悪いね」
「私に協力しろ、名前」
「いいよ」
「は?」
「え?何その顔」
あっさりと頷けば
間抜けな顔でこちらを見る傑。
「って言っても、私役に立つことある?」
「色々あるさ」
「………傑」
頬に手を伸ばせば
触りやすいようにかがんでくれる癖も
そのまま首元に抱き着いたら
腰に腕を回して抱き締めてくれるのも
確かに傑なのに……
「泣いているのかい?」
「まさか」
「慰めようか?」
「やだよ」
私の知る傑は、もういない。
「名前ってさ、いつも傑と一緒だよね」
「私達は愛し合ってるからね、真人」
「コラ、どつくよ」
「傑の金魚の糞みたい」
「真人、名前を糞扱いしないでくれ」
「本当変なヤツ」
べーっと、舌を出す真人を見て
特に興味も持たずに
目の前に広がる海に
目を閉じる。
波の音が心地よくて
だんだんと眠くなってきた。
「眠いのかい?」
「少し…」
「ならお眠り」
「ん」
傑の肩を借りて寄りかかれば
そのまま夢の世界へ。
「そんな人間の何がいいわけ?」
「名前は特別だからね。
真人もしつこく
ちょっかいかけない方がいいよ」
「えー?
なら、ちょっと魂弄ってもいいかな?」
「駄目だよ」
「ちぇっ」
夢を見た。
私は悟と結婚したのかな?
二人で手を繋いで笑っていた。
そこに硝子と大和が現れて
ふざけだしたところに
呆れた顔をしながら
一緒の輪の中で
傑が笑っていたんだ。
星漿体がいて
おにーさんがいて
灰原くんがいて
七海くんがいて
みんなみんな、幸せに笑っている世界。
そんなの
もう、どこにも無いのに
花御が死んだ。
真人が連れてきた改造呪霊達。
人間達が死んでいくなか
悟は最善の手を考える。
無量空処からの
1000体の改造呪霊の破壊。
やはり悟は
誰よりも強くて、優しい。
「獄門疆、開門」
その優しさを踏みにじるコイツ。
呪霊達で麻雀をしながら
獄門疆の説明をする傑。
「獄門疆は生きた結界。
源信の成れの果て
獄門疆に封印できないモノはない」
「だが流石に
封印条件はあるのであろう?」
「1分だ」
「は?」
「獄門疆開門後
封印有効範囲、半径約4m以内に
1分間五条悟を留めなければならない」
「おい、焼き殺すぞ。
よもや、その、無理難題を押しつけるために
手を組んだのではあるまいな?
その条件下でアレの1分
蒙昧な人間共その一生を幾千積み重ねても
釣り合わんぞ」
「暑いよ漏瑚
大丈夫
1分と言ってもね」
獄門疆が開く。
「や、悟」
「は?」
「久しいね」
「五条悟の脳内時間1分だ」
傑の姿で悟の前に立つそいつに
悟は目を見開き固まる。
その瞬間を、コイツは狙っていた。
だからこそ
私はコイツに一泡吹かせる。
呆けた悟を思いっきり蹴り飛ばし
半径4mほどに結界を張る。
一瞬だけでいい。
この範囲に悟が来ないのなら
獄門疆が私の身体を捉え
傑は驚き、そして顔を歪める。
「名前、お前………っ!!」
「良かったよ、アンタが私を信用してくれて」
呪力が全く出ない。
だが、口が動くならいい。
「悟封印に力を注ぐアンタだから
獄門疆の使用方法や条件を
ペラペラ話してくれて助かった」
「そのためだけに?」
「私は後輩達にとって
尊敬できる先輩じゃなかったからね」
強くて、優しくて、寂しがり屋な
可愛い可愛い後輩達。
花御は話のわかる
優しい呪霊だった。
『名前はなぜ、ここに居るのですか?』
「頭痛っ……」
『夏油は貴女を高く評価していますが
私はそう思えません』
「だろうね」
『私に勝てるような強さも無く
貴女はなぜここにいて
なぜ夏油と一緒にいるんですか?』
「んー…やりたいことがあるから」
『それはここに居なきゃ
出来ないことですか?』
「うん。
君たちからしたら、私なんてちっぽけで
取るに足らない存在で
目障りなんだろうけど」
『………』
「私は花御も漏瑚も好きだよ。
呪霊だけど、人間よりはシンプルで気が楽だ」
『私は嫌いです』
「ははっ!!知ってる」
『………けど、貴女という人間と
気紛れに話すのは新しい発見が
あるかもしれませんね』
漏瑚は口煩く
すぐに怒る沸点の低い呪霊。
「おい、名前」
「なぁに?漏瑚」
「近くに寄るな。人臭い」
「どこのもののけ姫だよ」
「は?何を言っておる阿保が」
「………漏瑚は私を嫌悪はするけど
特に何も言わないよね」
「何が言いたい」
「真人のように嫌悪はするけど
何だかんだ私のこと
放っておいてくれるでしょ」
「真人のアレは嫌悪じゃなかろう」
「ん?」
「………儂はお前ら人間が嫌いだ」
「知ってる」
「だからお前も嫌いだが
煩く目障りじゃないなら
いつでも殺せる相手を相手にせん」
真人はうるさい。
うるさいけど、構って欲しいのか
よくちょっかいかけてきた。
「おい、糞」
「………」
「無視すんなよ糞。芋虫にしちゃうぞ」
「………」
「おーい。おいって!?
何すんだよ!!今術式使ったろ!?」
「うざい。読書中」
「あんまり可愛くないと、改造するよ」
「真人」
「………何」
「ここ、おいで」
「何で俺がお前の言うこと
聞かなきゃいけないのさ」
「髪、触らせてよ」
「やーだね!!」
「…………ん?
触らせてくれないんじゃ無かったの?」
「俺が触らせてやってんの!!」
敵対すべき関係だけど
この半年程、一緒にいて楽しかった。
だから
許せなかったんだ。
呪霊も、傑も、人間も
全て利用し
嘲笑うこのモノを!!
「私の目の前に現れたのが
アンタの失敗だよ。
傑の姿で
悟を傷付けるな!!!」
大好きな後輩達。
三人でふざけあって
二人で喧嘩して
三人で仲良く笑って
私と大和を巻き込んで
一緒に笑い合った3年間。
私の我が儘で壊した仲だったけど
変わらず側にいてくれた後輩。
私の人生で
おにーさんよりも
大切だと思えた子達だからこそ
「私の大切なものを踏みにじって
嗤うアンタを祓うのは
私じゃなくていい」
悟が育てた未来への種。
その種達は悟と共に
必ずコイツを祓ってくれる。
「私は、ここで終わっても
他の子達が必ずアンタを祓うよ」
「そのために裏切っていたと?」
「今までのことを正当化なんてしないよ。
ただ、アンタは私の大切な子を
私の一番嫌なやり方で目の前に現れた。
可愛い後輩達を苛めるのは
誰であろうと許さない!!」
「はっ!!封印されて何を」
「………悟」
姿は見えない。
けど、悟はきっと聞いている。
「例え悟の甘さが招いた結果でも
私だけは悟を責めないよ」
去年、傑を殺した悟。
そうせざるを得なかったのは、私だ。
親友を違う道に歩ませたのも
親友を手にかけさせたのも
その後を私が後始末しなかったのも
「全部私のせいだーーーごめんね」
だからこそ
今だけは先輩らしくいさせて。
君を守る
かっこ悪い先輩で……
「後は、頼んだよ」
憎らしく歪むヤツの顔に
私は嗤う。
「お前の思い通りになんかさせないよ」
ベッ、と舌を出したのを最期に
私の視界は真っ黒になる。
「先輩」
真っ暗な世界。
私は目を閉じて待つ。
「先輩、すいません」
「……謝るくらいなら
最初から着いてきちゃ駄目だよ」
「後悔はしてないよ」
ぎゅっと、抱き締める温もりはない。
けど
背中に感じる胸板も
お腹に回る腕も
首筋に頭を埋める仕草も
変わらず、覚えている。
「来世で待ってます」
「うん、待ってて」
「名前、愛してた」
涙が溢れる。
君 は もう いない。
あとがき
本誌えげつなさすぎて
もう………もうっ!!!!!
悟君の変わりに
夢主が封印されました。
呪霊達とはわりと良好な関係を
築けていたと思います。
兄者と水の呪霊は………
うん、誤魔化しとく(笑)(笑)
呪霊との話も書きたかったのに
本誌のえげつなさに
傑がいないことに
もうこれは書くしかないと……。
悟から見た話は
書けない……っっ
あの獄門疆がぐしゃっと元の匣に戻ると
考えたら……残された悟
もう、つらっっ!!考えるのつらっ!!
または、真人とかにぐしゃっされるのも
つっっっら!!!
なので、あえて書きません。
私が辛いです。