残念な先輩シリーズ
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その子を見つけたのは
たまたま出張で来た田舎。
温泉が有名らしいが
これといった観光地は無く
朝まで過ごせる娯楽地も無く
電車やバスも一時間に一本ほど。
さっさと呪霊を討伐して
帰ろうと思っていた。
一級レベルではあるが
特級に変化しても
不思議ではないからと
わざわざ派遣された。
そこは元々神社だったのか
山の奥に寂れた神社。
草木は伸び放題で人の手は入っていない。
しかし、誰かがよく通っているのか
雑草が踏み固められ
子供一人が通れるスペースが
出来ている。
任務内容としては
ありきたりな神隠しだった。
子供が帰って来ない、と
日に日に親が増え
今は10人程が行方不明だと騒がれていた。
帳を降ろしてもらい
古い神社への道を上がっていく。
少し前までは
神社として活用していたみたいだが
子供も人も少なくなり
寂れた神社は
子供の遊び場となっていたらしい。
帳を降ろしてもらってから
不思議なことに
呪霊が出てきていない。
山道を上まで上りきると
ボロボロの社が見えてきた。
人の気配は無く
呪霊の気配も無い。
「おっかしーなぁ」
はて?と小首を傾げる。
呪霊の気配も人の気配も無く
とりあえず社の中を覗いてみた。
そこにはガランと、寂れた社。
特におかしなところは無い。
ぐるり、と周りを見るが
やはりしんっ、と静まっている。
そんななか、ガサガサッと
茂みから何かが出てきた。
「おっ」
「………人?」
小さな……小学生くらいだろうか?
頭には葉や枝。
両脇には同じくらいの子供が一人づつ。
どこを走ってきたのか
身体のいたるところに切り傷が。
「君すごいね」
「!!
また、追ってきた…」
その子は何かから逃げてきたらしく
また子供二人を抱えて
逃げようとする。
細い腕に
可愛い顔に似合わず
どんだけ力があるんだと
ツッこみたくなったが
その子はそれどころでは無いらしく
走り出そうとしたが
茂みからガサガサと
また何かが現れた。
「あ、いた」
目的の呪霊は一級。
さっさと祓うと
ポカンと見つめる女の子。
「君とその子達以外の子は?」
「………もう、いない」
「君がずっと抱えて逃げてたの?」
「うん」
「そっか。頑張ったね」
一級レベルの呪霊から
たった一人で二人を抱えて
逃げ回った少女。
頭を撫でると
じわっと涙が溢れて泣き出したが
ぐっと、僕のズボンを握る。
「私もあなたみたいになれますか?」
きっ、と力強い目をして
こちらを見上げてくる少女。
「君が望むならなれるよ」
呪いが見えている。
呪力もある。
「教えてください。アレのこと」
「僕からの指導は高いよ」
「お金は…お小遣い少ないけど、渡します!!
足りない時は身体で!!」
「どこでそんなこと覚えてくるのさ」
「力仕事なら!!」
「あーうん、落ち着こうね」
「将来的には美人になります!!」
「あれ?この子面倒だぞ」
あれから月日が経ち……
あのときの少女は
この高専に通っている。
「せーんせっ!!」
「やあ、名前」
「暇です?」
「僕忙しい」
「こちら、都内にオープンしたばかりの
今話題のスイーツ、ハワイアンパンケーキの
優先チケットになります」
「なにソレ。
どーしたのさ」
「この間痴漢から助けたお姉さんが
店のオーナーだったらしく
感謝の印にって」
「えー、いいな」
「ごじょ先行きたいかなーと思って」
「行きたい」
ちょっと気になっていたお店だったから
食い付けば
にっこりと笑う名前。
「何が目的?」
「たまにはしごいてもらおうと思って」
「えー」
「断られたら
このチケットは野薔薇ちゃんと使います」
「酷くない?」
「ごじょ先を動かすなら
これくらいのメリット無いと
動いてくれないでしょ?」
「可愛い生徒のためなら
僕はいつだって動くだろ」
「じゃあ、このチケットは」
「貰うけど」
クスクス笑いながら
チケットをくれる名前。
ほーんと、可愛いく育ってしまって。
「名前さ、可愛いんだから
もうちょっと大人しくしてればいいのに」
「メリットあります?」
「棘がキュンとする」
「……………無理、かな」
「諦めが早いぞ」
「あの可愛い棘きゅんを目の前に
発狂を飲み込み
全神経の喜びを封じられて
私に何のメリットが?」
「静かで汚れない」
「せんせ、意地悪」
むーっと、口を尖らせる名前に
笑ってその口を摘まむ。
「仕方ないから
パンケーキのためにしごいてやるよ」
「やったね!!」
「僕の時間は高いよ?」
「パンケーキじゃ足りないなら
身体で払います?」
「うん、バンバン呪霊討伐させるね」
「あ、鬼畜だ」
「身体で払ってくれるんだろ?」
「せんせーが私を強く育ててくれるなら」
「それはお前次第かな」
強く、逞しく成長を続ける若人に
僕は笑う。
「名前、死ぬなよ」
「死にませんよ。
こんなんでも、ごじょ先生の弟子ですもん」
にっ、と笑う
小さいけれど逞しい少女。
可愛い可愛い
僕の小さな生徒。
あとがき
五条先生とは
わりとまともに会話してる先輩。
しかし
五条先生でも困ってしまう
暴走癖は小さい頃からだといいな(笑)
つまり
基本的に人の話を聞いてない(笑)(笑)
一直線な猪タイプ。
たまたま出張で来た田舎。
温泉が有名らしいが
これといった観光地は無く
朝まで過ごせる娯楽地も無く
電車やバスも一時間に一本ほど。
さっさと呪霊を討伐して
帰ろうと思っていた。
一級レベルではあるが
特級に変化しても
不思議ではないからと
わざわざ派遣された。
そこは元々神社だったのか
山の奥に寂れた神社。
草木は伸び放題で人の手は入っていない。
しかし、誰かがよく通っているのか
雑草が踏み固められ
子供一人が通れるスペースが
出来ている。
任務内容としては
ありきたりな神隠しだった。
子供が帰って来ない、と
日に日に親が増え
今は10人程が行方不明だと騒がれていた。
帳を降ろしてもらい
古い神社への道を上がっていく。
少し前までは
神社として活用していたみたいだが
子供も人も少なくなり
寂れた神社は
子供の遊び場となっていたらしい。
帳を降ろしてもらってから
不思議なことに
呪霊が出てきていない。
山道を上まで上りきると
ボロボロの社が見えてきた。
人の気配は無く
呪霊の気配も無い。
「おっかしーなぁ」
はて?と小首を傾げる。
呪霊の気配も人の気配も無く
とりあえず社の中を覗いてみた。
そこにはガランと、寂れた社。
特におかしなところは無い。
ぐるり、と周りを見るが
やはりしんっ、と静まっている。
そんななか、ガサガサッと
茂みから何かが出てきた。
「おっ」
「………人?」
小さな……小学生くらいだろうか?
頭には葉や枝。
両脇には同じくらいの子供が一人づつ。
どこを走ってきたのか
身体のいたるところに切り傷が。
「君すごいね」
「!!
また、追ってきた…」
その子は何かから逃げてきたらしく
また子供二人を抱えて
逃げようとする。
細い腕に
可愛い顔に似合わず
どんだけ力があるんだと
ツッこみたくなったが
その子はそれどころでは無いらしく
走り出そうとしたが
茂みからガサガサと
また何かが現れた。
「あ、いた」
目的の呪霊は一級。
さっさと祓うと
ポカンと見つめる女の子。
「君とその子達以外の子は?」
「………もう、いない」
「君がずっと抱えて逃げてたの?」
「うん」
「そっか。頑張ったね」
一級レベルの呪霊から
たった一人で二人を抱えて
逃げ回った少女。
頭を撫でると
じわっと涙が溢れて泣き出したが
ぐっと、僕のズボンを握る。
「私もあなたみたいになれますか?」
きっ、と力強い目をして
こちらを見上げてくる少女。
「君が望むならなれるよ」
呪いが見えている。
呪力もある。
「教えてください。アレのこと」
「僕からの指導は高いよ」
「お金は…お小遣い少ないけど、渡します!!
足りない時は身体で!!」
「どこでそんなこと覚えてくるのさ」
「力仕事なら!!」
「あーうん、落ち着こうね」
「将来的には美人になります!!」
「あれ?この子面倒だぞ」
あれから月日が経ち……
あのときの少女は
この高専に通っている。
「せーんせっ!!」
「やあ、名前」
「暇です?」
「僕忙しい」
「こちら、都内にオープンしたばかりの
今話題のスイーツ、ハワイアンパンケーキの
優先チケットになります」
「なにソレ。
どーしたのさ」
「この間痴漢から助けたお姉さんが
店のオーナーだったらしく
感謝の印にって」
「えー、いいな」
「ごじょ先行きたいかなーと思って」
「行きたい」
ちょっと気になっていたお店だったから
食い付けば
にっこりと笑う名前。
「何が目的?」
「たまにはしごいてもらおうと思って」
「えー」
「断られたら
このチケットは野薔薇ちゃんと使います」
「酷くない?」
「ごじょ先を動かすなら
これくらいのメリット無いと
動いてくれないでしょ?」
「可愛い生徒のためなら
僕はいつだって動くだろ」
「じゃあ、このチケットは」
「貰うけど」
クスクス笑いながら
チケットをくれる名前。
ほーんと、可愛いく育ってしまって。
「名前さ、可愛いんだから
もうちょっと大人しくしてればいいのに」
「メリットあります?」
「棘がキュンとする」
「……………無理、かな」
「諦めが早いぞ」
「あの可愛い棘きゅんを目の前に
発狂を飲み込み
全神経の喜びを封じられて
私に何のメリットが?」
「静かで汚れない」
「せんせ、意地悪」
むーっと、口を尖らせる名前に
笑ってその口を摘まむ。
「仕方ないから
パンケーキのためにしごいてやるよ」
「やったね!!」
「僕の時間は高いよ?」
「パンケーキじゃ足りないなら
身体で払います?」
「うん、バンバン呪霊討伐させるね」
「あ、鬼畜だ」
「身体で払ってくれるんだろ?」
「せんせーが私を強く育ててくれるなら」
「それはお前次第かな」
強く、逞しく成長を続ける若人に
僕は笑う。
「名前、死ぬなよ」
「死にませんよ。
こんなんでも、ごじょ先生の弟子ですもん」
にっ、と笑う
小さいけれど逞しい少女。
可愛い可愛い
僕の小さな生徒。
あとがき
五条先生とは
わりとまともに会話してる先輩。
しかし
五条先生でも困ってしまう
暴走癖は小さい頃からだといいな(笑)
つまり
基本的に人の話を聞いてない(笑)(笑)
一直線な猪タイプ。