五条
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「…………」
「名前、そんなに見られると
いくら私でも照れてしまうよ」
「…………」
「名前?」
「生きてるか?こいつ」
「変わってるのは今さらだろ」
じっと、傑の耳を見つめる。
拡張された耳にはまるピアス。
「名前、ピアス開けたいの?」
「うん」
「俺が開けてやろーか?」
「ヤダ。悟耳吹き飛ばしそう」
「術式なんか使うかよ、バーカ」
ふにふにと自分の耳を触り
思ってすぐに行動に移した。
数日後
ピアッサー片手に傑に突き付けた。
傑は意味がわからない、と
ピアッサーと私を交互に見る。
「名前?」
「開けて」
「私が?」
「だって、ピアス開けてるの傑だけだもん」
「だからって私じゃなくてもいいだろ?」
「傑がいい」
譲る気のない私に
傑は溜め息をつきながらピアッサーを受け取ってくれた。
傑は膝の上をぽんぽんと叩くので
大人しく傑の膝の上に座った。
「髪押さえてておくれよ」
「あ、右は二個開けるから」
「………右だけ、ではないよな?」
「左は一個」
再び溜め息が聞こえ
いくよ、の声と同時に
ガチャン、と僅かな痛み。
容赦なく反対、と傑は左右さを見ながら
左もガチャン、と開ける。
そして、右にもう一回ガチャン、と
ものの数分で終わった作業の後は
両耳に違和感。
ちょいちょいと触ってみれば
きちんと耳にある樹脂ピアス。
「どうして私だったんだい?」
「んー?」
「硝子でもいいだろ?」
「傑が良かったんだよ」
「悟も喜んでやっただろうし」
「傷をつけられるなら、傑が良かった」
くすり、と笑えば
傑はきょとんと驚いた顔。
大きなため息をつきながら
片手で顔を覆う傑。
髪を下ろせばピアスに気付く人はいないだろう。
使用後のピアッサーを袋に入れて
呆ける傑を置いて教室から出た。
その言葉に特に意味は無かったが
傑にやってほしかったのは本当だ。
「あれ?
名前、ピアス開いてたっけ?」
「開けてもらった」
暑くて髪をアップにすると
硝子がふと耳を見て気付く。
「自分でやったの?」
「傑に」
「何で夏油?」
「悟なら左右気にしないで
適当に開けそうだし
硝子は面倒臭がるでしょ?」
「夏油なら器用だもんな」
「うん。
傑に頼んで正解だった」
そろそろ1ヶ月たつので
可愛いピアスを付けてもいいかな?と
思って硝子の腕を組む。
「硝子、ピアス選び手伝って」
「えー名前と趣味合わないだろ」
「硝子の選んだのがいーんだよ」
「そのうちね」
「もー」
「暑いから引っ付くな」
硝子とイチャついていたら
どこかに行ってた傑と悟が戻ってくる。
「あ、名前髪上げてる」
「暑いの。悟、飲み物ちょーだい」
「やだよ。自分で買いに行け」
「えーだるっ」
「名前、これでも飲むかい?」
「………珈琲じゃ喉は潤わないよ」
「嘘だよ。ほら、硝子のも」
傑がお茶を2本くれたので
お礼と一緒に受けとる。
「あれ?名前、お前ピアスなんて
いつ開けたんだよ?」
「1ヶ月くらい前」
「ふーん」
「そうだ、名前」
「なぁに?傑」
ポケットから小さな紙袋を取り出し
ほら、と渡される。
開けていいか聞くと
頷いたので中身を取り出すと
小さな赤色の石のピアス。
「可愛い……」
「そろそろ1ヶ月経つから
樹脂じゃないやつでも平気だろ」
「ピアス買いに行こうって
硝子を誘ってたんだ」
「そうだったのか
じゃあ、それは不要だったかな?」
「嬉しい。ありがと、傑」
にへら、と笑って
すぐに左右のピアスを赤い石に変える。
右のもう一個は樹脂のままだが
傑に耳を見せるようにすると
くすくす笑いながら
似合っていると言われた。
「おいおいおいおい、どーゆーことだよ」
「傑にピアスもらった」
「それは見てた!!
は?傑に開けてもらったのかよ!?」
「うん。
傑が一番器用に開けてくれそうだし」
「あっそ!!」
なぜか不貞腐れた悟に
頭を傾げたが
気にしなかった。
あれから10年
ふと、耳に触れれば
あのときの赤いピアスは
今も輝いて耳にはまっている。
ピアスをくれた人物は
もう遠くに行ってしまったけれど。
「まだしてたんだ、それ」
「………悟」
ひょっこりと現れ
かきあげた髪の間から
ピアスを見る悟。
「ねぇ」
「ん?」
「何であいつだったの?」
「何が?」
「穴開けるのも、ピアス付けっぱなしなのも」
付き合ってたわけじゃないのに、と
どこか刺々しく言い
ピアスに触れる悟。
3つある穴のうち
2つは傑からもらった赤い石。
もう一つは、あの頃は最初の樹脂だったものが
小さな黒いリングピアスに変わってる。
「特に理由は無いんだけどな」
「なら外せよ」
「嫉妬?」
「だとしたら悪い?」
「悟も可愛いとこあるんだね」
くすり、と笑う私に対し
悟はにこりともせずにじっと
ピアスを見つめる。
「コレを外したとこで
お前を傷付けたのがあいつなことに
変わりはないから……本当、腹立つ」
「そんな気にすること?」
「そりゃーね」
「よくわからないなぁ……」
男心も複雑なのね、と軽口を叩く私に
悟はやはり不服そうだ。
「名前」
「なに?」
「お前はあっちに行くなよ」
「行かないよ」
「あとそれ、外せよ」
「外したら代わりを悟がくれる?」
「用意しておく」
女心は複雑だと言うが
女からしても男心は複雑だと思う。
「さーとる」
「なに」
「悟が大事だよ」
「………あっそ」
「ピアス、悟の瞳の色がいいな」
「わかったよ」
「悟だって私を傷物にしたのになー」
「それとこれとは別」
数日後
私の耳は透き通った青空の色が
輝いていた。
あとがき
傑にピアス開けてほしい話。
そして、悟に嫉妬されたい話
「名前、そんなに見られると
いくら私でも照れてしまうよ」
「…………」
「名前?」
「生きてるか?こいつ」
「変わってるのは今さらだろ」
じっと、傑の耳を見つめる。
拡張された耳にはまるピアス。
「名前、ピアス開けたいの?」
「うん」
「俺が開けてやろーか?」
「ヤダ。悟耳吹き飛ばしそう」
「術式なんか使うかよ、バーカ」
ふにふにと自分の耳を触り
思ってすぐに行動に移した。
数日後
ピアッサー片手に傑に突き付けた。
傑は意味がわからない、と
ピアッサーと私を交互に見る。
「名前?」
「開けて」
「私が?」
「だって、ピアス開けてるの傑だけだもん」
「だからって私じゃなくてもいいだろ?」
「傑がいい」
譲る気のない私に
傑は溜め息をつきながらピアッサーを受け取ってくれた。
傑は膝の上をぽんぽんと叩くので
大人しく傑の膝の上に座った。
「髪押さえてておくれよ」
「あ、右は二個開けるから」
「………右だけ、ではないよな?」
「左は一個」
再び溜め息が聞こえ
いくよ、の声と同時に
ガチャン、と僅かな痛み。
容赦なく反対、と傑は左右さを見ながら
左もガチャン、と開ける。
そして、右にもう一回ガチャン、と
ものの数分で終わった作業の後は
両耳に違和感。
ちょいちょいと触ってみれば
きちんと耳にある樹脂ピアス。
「どうして私だったんだい?」
「んー?」
「硝子でもいいだろ?」
「傑が良かったんだよ」
「悟も喜んでやっただろうし」
「傷をつけられるなら、傑が良かった」
くすり、と笑えば
傑はきょとんと驚いた顔。
大きなため息をつきながら
片手で顔を覆う傑。
髪を下ろせばピアスに気付く人はいないだろう。
使用後のピアッサーを袋に入れて
呆ける傑を置いて教室から出た。
その言葉に特に意味は無かったが
傑にやってほしかったのは本当だ。
「あれ?
名前、ピアス開いてたっけ?」
「開けてもらった」
暑くて髪をアップにすると
硝子がふと耳を見て気付く。
「自分でやったの?」
「傑に」
「何で夏油?」
「悟なら左右気にしないで
適当に開けそうだし
硝子は面倒臭がるでしょ?」
「夏油なら器用だもんな」
「うん。
傑に頼んで正解だった」
そろそろ1ヶ月たつので
可愛いピアスを付けてもいいかな?と
思って硝子の腕を組む。
「硝子、ピアス選び手伝って」
「えー名前と趣味合わないだろ」
「硝子の選んだのがいーんだよ」
「そのうちね」
「もー」
「暑いから引っ付くな」
硝子とイチャついていたら
どこかに行ってた傑と悟が戻ってくる。
「あ、名前髪上げてる」
「暑いの。悟、飲み物ちょーだい」
「やだよ。自分で買いに行け」
「えーだるっ」
「名前、これでも飲むかい?」
「………珈琲じゃ喉は潤わないよ」
「嘘だよ。ほら、硝子のも」
傑がお茶を2本くれたので
お礼と一緒に受けとる。
「あれ?名前、お前ピアスなんて
いつ開けたんだよ?」
「1ヶ月くらい前」
「ふーん」
「そうだ、名前」
「なぁに?傑」
ポケットから小さな紙袋を取り出し
ほら、と渡される。
開けていいか聞くと
頷いたので中身を取り出すと
小さな赤色の石のピアス。
「可愛い……」
「そろそろ1ヶ月経つから
樹脂じゃないやつでも平気だろ」
「ピアス買いに行こうって
硝子を誘ってたんだ」
「そうだったのか
じゃあ、それは不要だったかな?」
「嬉しい。ありがと、傑」
にへら、と笑って
すぐに左右のピアスを赤い石に変える。
右のもう一個は樹脂のままだが
傑に耳を見せるようにすると
くすくす笑いながら
似合っていると言われた。
「おいおいおいおい、どーゆーことだよ」
「傑にピアスもらった」
「それは見てた!!
は?傑に開けてもらったのかよ!?」
「うん。
傑が一番器用に開けてくれそうだし」
「あっそ!!」
なぜか不貞腐れた悟に
頭を傾げたが
気にしなかった。
あれから10年
ふと、耳に触れれば
あのときの赤いピアスは
今も輝いて耳にはまっている。
ピアスをくれた人物は
もう遠くに行ってしまったけれど。
「まだしてたんだ、それ」
「………悟」
ひょっこりと現れ
かきあげた髪の間から
ピアスを見る悟。
「ねぇ」
「ん?」
「何であいつだったの?」
「何が?」
「穴開けるのも、ピアス付けっぱなしなのも」
付き合ってたわけじゃないのに、と
どこか刺々しく言い
ピアスに触れる悟。
3つある穴のうち
2つは傑からもらった赤い石。
もう一つは、あの頃は最初の樹脂だったものが
小さな黒いリングピアスに変わってる。
「特に理由は無いんだけどな」
「なら外せよ」
「嫉妬?」
「だとしたら悪い?」
「悟も可愛いとこあるんだね」
くすり、と笑う私に対し
悟はにこりともせずにじっと
ピアスを見つめる。
「コレを外したとこで
お前を傷付けたのがあいつなことに
変わりはないから……本当、腹立つ」
「そんな気にすること?」
「そりゃーね」
「よくわからないなぁ……」
男心も複雑なのね、と軽口を叩く私に
悟はやはり不服そうだ。
「名前」
「なに?」
「お前はあっちに行くなよ」
「行かないよ」
「あとそれ、外せよ」
「外したら代わりを悟がくれる?」
「用意しておく」
女心は複雑だと言うが
女からしても男心は複雑だと思う。
「さーとる」
「なに」
「悟が大事だよ」
「………あっそ」
「ピアス、悟の瞳の色がいいな」
「わかったよ」
「悟だって私を傷物にしたのになー」
「それとこれとは別」
数日後
私の耳は透き通った青空の色が
輝いていた。
あとがき
傑にピアス開けてほしい話。
そして、悟に嫉妬されたい話