残念な先輩シリーズ
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「交流会、名前さん出ないんすか?
あの人三年でしょ?」
「誰よそれ」
真希から今年の三年が交流会に出ないと聞き
伏黒がふと、思い当たる先輩の名前を出す。
途端に、真希とパンダは遠い目をして
大きな大きな溜め息をついた。
「あの馬鹿は駄目だ……」
「アレはなー……うん……」
「しゃけ」
「あの人、そこそこゴリラですよね?」
「ゴリラだが駄目だ」
「うん、ゴリラだが駄目だ」
「すじこ」
「どんなゴリラよ、それ」
釘崎の頭にますます疑問が浮かぶ。
「今年の三年の話、さっきしたろ?」
「出れないから私達にきたのよね?」
「もう一人、女子の先輩がいるんだよ」
「ゴリラね」
「ゴリラだけど、普段はまともな先輩」
「そーだな。普段はまともだ」
「しゃけしゃけ」
「その先輩が名前先輩って言うんだが……」
伏黒が真希とパンダを見ると
二人は大きな溜め息をついた。
「あいつ、出ないって言ったんだよ」
「許されたんですか?」
「悟に直談判したらしいぞ」
「"今年は他が出ないなら
自分が出るよりも次世代に経験させて
あげた方がいい"って言ってな」
「………その真相は?」
「棘を見ていたいから断る!!と」
「アホですか」
「馬鹿でアホなんだよ」
はぁぁ、と大きな溜め息をつく真希。
「あの人……本当、自由ですね」
「ただの馬鹿なんだよ」
「よくわからないけど、わかったわ
京都の奴らをボコボコにすれば
いいってことよね?」
「そーゆーことだ」
「お前らを鍛えることには
参加するらしいから
会う機会はあるだろ」
ケラケラ笑うパンダに
伏黒は不安を覚えたが
気付かないふりをした。
数日後
2年の中に見慣れない人物を見た釘崎だったが
何やら様子がおかしい。
「どうしたのかしら?」
「あれは……」
「なによ」
「釘崎、先に言っておく」
「だからなによ」
「今のうちに慣れておけ」
伏黒の言葉に頭を傾げるが
二人は2年の元へ。
近寄れば近寄るほど、その異様さに
釘崎は顔が引きつる。
狗巻の足元に崩れ落ちる1人の女子生徒。
そして、その女子生徒を
ゴミを見るように見る真希と
ケラケラ笑っているパンダ。
狗巻本人はいつも通りの冷めた顔だ。
「………近付きたくないわ」
「慣れろ」
近くまでくると
真希とパンダが気付き、手を上げる。
「おっせーぞ、恵、野薔薇」
「すいません」
「………真希さん
その地面と同化してるのは何ですか?」
「これはゴミだ」
「真希ちゃん酷い!!」
「仕方ないだろ、名前。
事実、土まみれでゴミみたいだぞ」
「しゃけ」
「おら、さっさと立て馬鹿」
「後輩が酷いよぉー」
ゆっくりと、地面から起き上がり
土埃を払う。
まともに立ち上がり、こちらを見た女生徒は
伏黒を見るとにこっ、と笑った。
「めーぐみん!!久々だねぇ」
「やめてください。近寄らないでください」
「もー!!めぐみんまで私に冷たくするの!!?」
「名前先輩、ウザいです」
「そのクールさが好きっっ!!」
わーい、と抱き付き
伏黒の胸元に頭をぐりぐりする女生徒。
「名前先輩」
「なぁに?」
「隣にいるのが一年の釘崎です」
「となり?」
伏黒の胸元から顔を上げると
釘崎を見る女生徒。
ウルフカットされた肩より少し長めの黒髪。
パッチリと大きな瞳。
制服の上着の裾が
前が短く後ろが長めのイレヘムとなっており
下はショートパンツに中に
トレンカを穿いてる。
可愛い。
この一言に限る。
自身を可愛いと語呂している釘崎ですら
可愛いと思える容姿をしていた。
そんな先輩がキラキラとした表情のまま
こちらに駆け寄り
両手を握られて詰め寄ってくる。
「初めましてだねぇ!!
私は三年の名前だよ!!」
「釘崎 野薔薇よ」
「よろしくねぇ、野薔薇ちゃん」
「えぇ………」
初対面に地面に転がっていなければ
とても可愛らしい先輩だと思えただろうが
初見が地面で土埃にまみれていた女だ。
その強さは払拭できない。
「クールなめぐみんも
可愛い野薔薇ちゃんも素敵……
今年の一年も最高ね!!」
「はいはい」
「素っ気ない真希ちゃんも好きよん」
「俺は俺は?」
「ふわふわもこもこのパンダも好きよ!!」
「そーかそーか」
「だ、け、ど!!
一番最高で最強に可愛いのは棘きゅんだから!!
その隠れたエッチぃ口元も
涼しげな眼差しも
サラサラの伸びた髪も
真希ちゃんよりも低い背丈も
意外とノリが良いところも
おにぎりの具しか話せなくてもっ
全て!!全てが神が授けた神秘の塊!!」
「始まった……面倒臭ぇ」
「棘きゅーーーん!!!!ラァァアアアブッッ」
狗巻に抱き付きに行き
軽々と避けられ
地面にスライディングして
土まみれとなっている名前。
なるほど、と伏黒と釘崎は納得した。
先ほど地面に転がっていたのは
コレか……と再び地面に転がっている先輩に
冷めた視線を向けてしまう。
「アレに慣れなきゃいけないのね」
「狗巻先輩が関わらなきゃ
まともな先輩なんだけどな」
「残念なのね」
「あぁ」
避けたのに、最終的には
手を差し出している狗巻に
抱きついてハートを撒き散らしている名前
に狗巻は手慣れたように埃を払ってやっていた。
交流会へ備えての扱きだと
パンダや棘に投げられ追われ
全力で逃げる釘崎。
伏黒は真希と名前が
接近戦の扱きを。
ボールのように
あっちへ、こっちへと放り投げられ
逃げれば追いかけられ
息を切らして倒れ込む釘崎は
息を整えながら伏黒を見る。
呪具を使用している真希や伏黒に対して
名前は素手だ。
「………あの先輩
あんな顔してゴリゴリの接近タイプなのね」
「名前はゴリゴリの接近タイプだぞ」
「しゃけ」
「しかも素手……」
「ゴリラだからな」
「あんな細腕で?」
「しゃけしゃけ」
伏黒に呪具を使わせる気がないのか
体術だけで伸している。
「おーい、名前」
「なぁに?パンダ」
「野薔薇がお前がゴリラだって
信じられないみたいだぞ」
「もー!!変なこと言わないの、パンダ!!
私はゴリラじゃないって」
「リンゴジュースの作り方は?」
「手で握りつぶして作るよ?」
「おかか」
「え?だって棘きゅん、100%だよ?」
「おかか」
「道具使うより握った方が早いよ?」
「明太子」
「ってことだ、野薔薇」
「理解した」
きょとん、としながら
凄いことを言っている名前。
可愛いのに残念な先輩だ……
野薔薇の中で第一印象が決まった瞬間だった。
交流会当日
野薔薇が京都 で 交流会をすると思っていたらしく、一人叫んでいた。
「勝ってんじゃねーよ!!!」
「俺らは去年出てねーよ」
「勝ってごめん……野薔薇ちゃん」
「去年は人数合わせで憂太が参加したんだ」
「"里香"の解呪前だったからな」
「うんうん、めちゃすごかった」
「圧勝だったらしいぞ」
「許さんぞ乙骨憂太ー!!!」
野薔薇が地面に膝をつくなか
到着した京都の生徒。
出会ってすぐに喧嘩越しだ。
五条が遅れてやって来て
京都の子達にお土産を配り
死んだはずの虎杖が生きていて
微妙な空気になった。
正座で遺影の額を持たされ
個性的な先輩らに突っ込みを入れていたが
虎杖からすれば
どうしても聞きたいことがあった。
「あのー」
「どうしたのよ」
「あれは突っ込むべきなの?
それともみんなで無視なの?」
虎杖の指差す先には
狗巻が胡座をかく横で
顔を両手で覆い、震えている名前の姿。
「ほっとけ」
「いつものことだ」
「しゃけ」
「えぇーー」
「ってゆーか名前さん
こんなところにいていいの?」
「ちょっとみんなを応援しに来たのに
棘きゅんのトレンカえっちぃよぉぉおおお」
「慣れろ、虎杖」
「察した」
虎杖の理解力は早かった。
「棘、面倒だから大人しくさせろ」
「おかか」
「面倒臭がるなって、ほら棘」
「………高菜」
「えっ」
しぶしぶ、といった感じに
狗巻が転がっている名前に声をかける。
すぐに起き上がった名前は
狗巻を真っ直ぐ見つめた。
「明太子」
「うん、頑張って!!」
「………ツナ」
「任せて!!全力で応援するっ!!
もしも京都の奴らが棘きゅんに何かしたら
フルボッコにするから!!」
「おかか」
「だめ?じゃあ、腹パンにしておく」
「しゃけ、明太子」
「棘くんが無事に戻って来ることを祈ってる」
ちゅ、と狗巻のおでこにキスを落とす名前。
さっきまで転がっていた人とは
同一人物とは思えないくらい
さわやかに去っていった。
「……伏黒、どーゆーこと?」
「頑張る。だから応援して。
あとはおまじないよろしく」
「何でわかんの!?」
「良かったなー、棘」
「名前のおまじないは効くからなー、棘」
「明太子!!」
「いーじゃん。可愛い女の子からの激励だぞ
………中身ゴリラだけど」
「そうよ、見た目だけは可愛いじゃない
……中身ゴリラだけど」
「ゴリラからの激励は効くからな」
「え?あの人可愛い皮被ったゴリラなの?」
「見た目と中身が変人なゴリラだ」
どんなゴリラ!?と叫ぶ虎杖。
耳の真っ赤な狗巻はぷいっと横を向いた。
「きゃーーっ
うちの後輩達が……尊いっっ!」
「ちょっと、何で三年がここに残ってんのよ」
「今回名前は出ないからねー」
「ねー?
ちょっとせんせ、私の後輩本当に可愛いっ
一眼レフで撮ってきていいかな?
望遠レンズ付けるから駄目かな?」
「はいはい、良い子だから
名前は黙って応援しよーね」
「はーい」
五条が京都校を煽りまくっている。
そんななか、一気に札が赤く燃え
団体戦が終わった。
不測の事態に先生方に緊張が走る。
「せんせっ、私先に行くよー」
「任せたよ」
「こら、名前!!一人で……早っ」
「あんなんでも、僕の生徒だからね
名前なら一人で行かせても平気だよ」
帳が降りてきたが
気にせず中に入れば
ピリピリと嫌な気配。
できる限りのスピードで走って向かえば
吐血して崩れ落ちる狗巻の姿に
伏黒が呪霊と対峙している。
「テメェ、木の分際でうちの子に何してんだ!!」
バシャッと、派手な音と共に
ぶっ飛んだ呪霊。
吹き飛んだ先には真希の姿があり
伏黒もそちらに向かったため
名前は加茂と狗巻を抱えて離脱する。
「名前!!どーなってんの、これ!!」
「桃ちゃん!!
呪霊…特級の襲撃!!
先生らも今来てるけど携帯通じる?」
「え?あ、うん」
「取れるなら連絡して、上から様子見ながら
京都の子らとも連絡取って!!
私はまずこの二人連れて離脱する!!」
「わ、わかった!!」
「無事に戻ってね!!」
帳を抜けて、医務室に二人を届ければ
家入先生に驚いた顔をされたが
すぐに引き返した。
パンダが伏黒と真希を医務室に届けたことを聞き、あとは……と怪我人はいないが
眠って放置されていた三輪を回収している間に
五条先生が派手に後始末をして
特級襲撃騒動は終わった。
呪術師の中から死者が数名出たと
聞かされたが
1日挟んで交流会は続けられた。
「んんんんんんんっ!!!
棘きゅん……棘きゅんのユニ尊いっっ!!」
「「何してんだ、あんた」」
「可愛い後輩の応☆援」
「野球の応援って言ったらチアだよね」
「ねー?」
きょるん☆とミニスカ姿で
ポンポンをフリフリしながら
騒ぐ名前に、釘崎と伏黒は
大きな溜め息をつく。
しかし、五条に可愛いと撫でられながら
きゃっきゃとしてる名前は
全く気付かない。
毎年団体戦と個人戦だったのが
五条先生のおちゃめにより
野球で勝敗を決めることに。
何だかんだ楽しく交流会をしている。
「ああああああああっ
棘きゅん足早い、可愛い可愛い可愛いっっ
棘きゅーーーんっ
ピースもかわゆいよぉぉおおおお」
「特級ぶん殴ってぶっ飛ばした人とは
思えませんね」
「え?だってうちの可愛い後輩に
怪我させるとか許せないじゃん?」
「その理由でいったら
虎杖殺されかけてましたけど」
「そーなんだよね……
もしもの時は京都どーしてやろうかと
思ったけど……」
「暴れるなよ、ゴリラ」
「大人しくしとけよ、ゴリラ」
「パンダも真希ちゃんもゴリラゴリラって
ひっどいよ!!おこだよ!!」
ぷんぷん、と怒っている名前だが
虎杖のホームランに喜ぶ。
「普通にしてたら可愛いのにな」
「普通だったらな」
「本当、名前先輩って残念な人ですよね」
「本当にな」
戻って来た狗巻に抱き付き
頬擦りをして、引き剥がされている。
同じく戻って来た虎杖に抱き付き
可愛がっている名前を見て
後輩達は呆れたように溜め息をつくのだった。
あとがき
棘君のトレンカえっちぃよねって
言いたかっただけ(笑)(笑)
棘君落ちにしたかったが
暴走した先輩を
止める手段が見つからなかった………。
パワーゴリラの後輩大好きな
可愛い残念な先輩を
書きたかったのに(笑)(笑)
あ、このゴリ可愛い先輩シリーズ書きたい。
過去の先輩シリーズに引き続き
現代の先輩シリーズ。
よし、時間あるとき進めよう(笑)
お付き合いいただき
ありがとうございました