先輩シリーズ (五条)
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※先輩シリーズ
※性転換あり
高専時代
「はい、今日は何の日でしょーか!!」
「キッコーマン創業」
「教育者
ヨハン・ハインリヒ・ペスタロッチが
孤児院を開設した日」
「伊能忠敬が日本地図の作成を開始した日」
「お前らナメテンノ?」
額に青筋を浮かべる悟。
硝子、傑、大和があきれた顔をしている。
「はいはい、誕生日だろ?オメデトウ」
「大人になるんだ、悟」
「あ、誕生日なのか。おめでとう」
「適当すぎかよ」
「祝って欲しいのは名前先輩に、だろ」
「私達に押し付けられても
悟の虚しさが増すだけだと思うが?」
「名前いないもんなー
数日前からあんなにアピッてたのに」
「「「どんまい」」」
「すっげー腹立つな、おい」
名前は急遽入った任務に
昨日からいない。
「ちぇー」
「ほら、悟
元気だしておくれ」
すっ、と傑が悟に何かを差し出す。
大人しく受け取った悟は
手のひらに置かれたものを見る。
「ミルキーはママの味だよ」
「ふっっっざけんなよ、傑」
「ママ(名前)がいなくて寂しいんだろ?」
「表出ろ、変な前髪」
「嫌だ。寒いだろ」
「五条、これで大人しくしてろ」
ぽいっ、と硝子から投げられたのは
プリン味のチュッパチャプス
「大和からもらったやつだけど」
「硝子酷くない?」
「私、甘いの、嫌い」
「俺が悪かった………すいません」
「硝子が甘いの
苦手なの知らなかったのかい?」
「こないだUFOキャッチャーしたら
めちゃくちゃ取れたから、つい」
「ねぇ、お前ら俺の扱い雑すぎね?」
ぶーぶーと文句を言い始める悟。
そんななか、バタバタと走る音が聞こえ
全員がそちらに目を向ける。
「ただいまー!!お土産買ってきたぞー」
「「「「…………誰」」」」
「言われると思った」
ケラケラと笑いだす
黒髪の男。
高専にはいないはずの人間が
親しそうに話しかけてくる。
が、ふと硝子が首を傾げて
そして近寄っていく。
「名前先輩?」
「よーしよし、正解の硝子には
この特別なお煎餅をあげよう」
「え?まじで?」
「……先輩、いつから男になったんですか?」
「呪詛師とバトッていたら
謎なこと言って呪われた」
「そんな平然と……大丈夫ですか?」
「数時間後には解けるみたいだけど
なんか……
"性転換とはすなわち!!
神が授けてくれた美!!
ってことで私は私の好みを作り出す!!"
って叫ばれて、謎な光に包まれたら
こーなってた」
少し長めの長髪をゆるく一つでくくり
長い前髪はサイドに流す。
切れ長の紫の瞳に
傑や悟ほどではないが
180近くありそうな身長。
「その女呪詛師は?」
「鼻血噴き出して倒れたから
縛り上げて引き渡してきた」
「………その人、何がしたかったんですか?」
「さあ?
元々任務内容も謎でさ
黒髪美人の女が対応してくれ、とか」
「性転換のためか?」
「非術師も黒髪の女の人ばかり
狙われてたからね」
「迷惑な奴だな」
「本当にね」
硝子と談話室のソファーに座る。
「……先輩、つかぬことをお聞きしますが」
「なに?」
「今男なら、トイレは?」
「普通に男子トイレの洋式に入ったよ?」
「…………先輩」
「夏油君、受け入れるしかないことも
世の中あるんだよ」
「………すいません」
「いいのさ、葛藤は捨てたよ」
遠い目をする名前に
それ以上聞くことはやめた。
「………俺、部屋戻る」
「五条君?お菓子あるよ」
「いらない」
無言でいなくなってしまった悟。
それを目で追うが
後を追いかけはしなかった。
「あーあ」
「拗ねたな」
「しかし、これは仕方ないだろう」
「何?」
「今日、五条の誕生日だったんだって」
「お祝いしてほしくて
数日前から悟にアピールされて
いましたよね?」
「………あぁ!謎の問いかけか」
数日前から
悟が必要以上に距離が近く
7日は何があると思う?と聞いてきていた。
「それにしても先輩……」
「何?夏油君」
「なかなか整ってますね」
「私、今の名前先輩になら
抱かれてもいい」
「ありがとう、硝子」
お土産を置いて
立ち上がる。
「どこ行くの?」
「部屋に戻るよ」
「悟を襲わないでくださいね」
にやにやする傑のおでこを叩き
部屋へと戻る。
この姿で女子用の制服は
通報ものなので
任務後に男物に着替えてはいるが
落ち着かない。
部屋着で使っていた
お兄さんのお古の上のスウェットを着直して
男子寮へと行く。
「ごーじょーくーーん」
コンコン、とドアを叩くが
反応がない。
「………んー…あ、やっば」
ドクン、と心臓が強く脈打ち
痛みと苦しさに悟のドアに勢いよくぶつかる。
凄い音がなったが
それどころではなく
その場にしゃがみこむ。
「ちょっと、人の部屋のドア………名前?」
悟がドアを開いてくれたが
苦しさでそれどころじゃない。
悟が慌てているが
呼吸もまともにできず
胸を抑える。
「おい、名前?大丈夫かっ?」
視界がブレ、苦しさがピークに達したと
思った瞬間、意識を手放した。
〜悟視点〜
目の前で名前が気絶した瞬間
みるみる身体が縮んでいき
元の大きさに戻る。
つまり、男物……
それも、俺らと似た身長だったから
それに合わせたものを着ていたため
それら全てがブカブカになり
ズルリと落ちる。
「は?」
ブカブカの服から見える
豊満な谷間。
そして、上のスウェットから伸びる生足。
チラリ、とズボンの方を見れば
ご丁寧に男物の下着も脱げていて……
再びチラリと胸元を見て
背中あたりを触るが
何も身に付けている様子はない。
いや、男だったのに
女物の下着を着けているのも
大問題なのだが……
「………まじかよぉ」
これ、なんて拷問?
目を覚ました時
見覚えのあるような部屋にいた。
薄暗いが、悟の部屋だ。
起き上がってみると
自分の身体のサイズが戻っていることに
気がつく。
お兄さんのスウェットだけしか着ておらず
いつも部屋で寝ているスタイルだ。
「あぁ、戻ったから男物脱げたのか」
一人納得し
そういや下着……と中を覗くと
上はつけていないが
下は穿いていることに気付いた。
「………?」
はて?
悟が?
と疑問を浮かべていたが
この部屋の主がいないことに気付く。
「五条君、どこ行った?」
主のいない部屋から出ようと
ドアノブを開いたとたん
廊下に悟、硝子、傑、大和がいた。
「あ、起きた」
「先輩……その格好…」
「元に戻った」
「聞きました。
ちなみに名前先輩の下着は
私が穿かせたので」
「ありがと、硝子」
ゴキゴキと
身体の節々から変な音が鳴る。
成長するよりも
戻る方が苦痛だとは思わなかった。
「硝子……せめて下も何か持ってこいよ」
「仕方ないだろ。
お前が何か下着穿かせろって
騒いでいたんだから」
「あーもう……とりあえず
名前は一回部屋戻って」
「ん?あぁ、着替えてくるよ」
「違う!!俺の部屋!!」
悟に言われ、この格好はなーと
着替えに戻ろうとしたが
逆に怒られて、再び悟の部屋の中へ
押し込まれる。
「名前、一応ここ男子寮だからな?
その格好は男共にはエロい」
「?
下穿いてるのに問題が?」
「上着けてないだろ」
「谷間くらいでピーピーわめくなよ」
「男前過ぎんだよ、お前は」
「水着だと思え」
「着古しすぎて
だるんだるんのそのスウェットが
目の毒になっているんですよ!!
気付けよ馬鹿か!!」
「大和はオカンか」
大和が謎の説教をしてくるが
右から左へ聞き流す。
「今、名前先輩の部屋行って
何か服選んでくるんで」
「わざわざごめんよー、硝子」
「いーえ
………名前先輩にイタズラしてみろ
切り落とすから」
硝子の真顔に
男達は全員どこか遠い目をしていた。
傑は硝子の付き添いだと
女子寮へ送りに。
大和はやることがないからと
部屋に戻ったらしく
扉一枚越しに、悟が立っている。
「五条くーん」
「何?」
「誕生日おめでとう」
「………どーも」
「記憶に残る誕生日になったねぇ」
「名前のおかげでね」
「………怒ってんの?」
「別に」
そっけない悟の反応。
ふと、悟に持ってきた手土産はどこだと
部屋の中を見たら
男物の服と一緒に、紙袋が一つ。
その中身を取り出し
悟のベッドの枕元に置いて置く。
ちょっとした、イタズラを添えて。
硝子が服を持ってきてくれたので
それに着替えて、部屋の外に出ると
ムスッとした悟の表情に
にっこりと笑っておいた
「五条君」
「何」
「プレゼント、部屋に置いといたから」
「あっそ」
「特別なプレゼントも追加しておいたよ」
「ふーん」
「16歳、おめでとう」
硝子と女子寮へ戻って行く。
硝子に何をあげたのかと聞かれたが
秘密、と言っておいた。
〜悟視点〜
部屋に入り、大きな溜め息を一つ。
それを見て、傑がクツクツと笑っている。
「まじありえねぇ」
「よく耐えたな、悟」
「食ったら硝子に切り落とされる」
「あの目は本気だったねぇ」
「もーーーっ!!
誕生日だっつーのにいないし!!
帰って来たのに男になってっし!!
しかも目の前で戻るとか漫画かっ」
「頑張った頑張った」
ケラケラと、他人事だからと
笑う傑をじと目で睨み付ける。
視界の端に、名前が着ていた
男物のズボンが落ちていて
あれがプレゼントじゃないよな……と
変に勘ぐってしまう。
「傑、あれいる?」
「いらないよ。悟が着ればいいだろ」
「足の長さ合わねーし」
大和にやるか……と思った瞬間
傑が噴き出した。
「きっったねーな!!俺の部屋だぞ!!」
「………悟」
「なんだよ」
「それ、今まであったか?」
それ、と言われ
見たらベッドにデジタルフォトフレームがあり
傑や硝子との写真やら
大和と名前の写真やらが自動で流れている。
「………これか、プレゼントって」
「悟、良かったじゃないか」
「何だよ」
「先輩は確かに
"特別"なプレゼントを置いてったみたいだよ」
クスクス笑う傑に
表情を歪める。
これのどこが特別なんだと
フォトフレームを見る。
「よーくソレ見ておきなよ」
部屋から出ていく前に
傑が「ご馳走様」とにやついた顔で
言い残して去っていった。
何の事だと
じっとフォトフレームを見ていれば
噴き出した。
俺のベッドに座って
にっ、と笑ったまま
名前の谷間が見えた自撮りの写真。
しかもご丁寧に
小さな紙には
happy birthdayの文字。
傑が先にコレを見たのだと思ったが
色々な破壊力に
名前に文句を言えばいいのか
感謝すればいいのかわからなくなる。
「………名前のばぁーか」
ありがとうございましたと名前に
メールしておいた。
「あ、先生それ何?」
悠仁が映画鑑賞をしながら
僕が持っている物に興味を示す。
「んー?これ?」
「時計?」
「デジタルフォトフレームだよ」
「ってことは……写真?」
「まぁ、時計としても役立つけどね」
「ふーん」
呪骸を抱いたままでも
映画は見れるようになってきて
成長スピードの早さに笑う。
「悠仁にだけは特別に見せてあげる」
「なになに?」
「これ、僕の奥さんからの
誕生日プレゼントだったんだけどさー」
「へー名前さんだよね?」
「そう。
学生の頃にくれたんだけどさ」
「うんうん」
「誕生日なのにいないし
帰って来たら男になってるし
もう祝って貰いたい気持ち萎えちゃってさ」
「待って、男になってるってどんな状況!?」
「部屋着たかと思ったら
いきなり倒れて女に戻るし」
「ねぇ、先生!?聞いてる!!?」
「ノーパン、ノーブラで
スウェット一枚とか男のロマンたっぷりで
気絶されたらさー
もう色々やばいよね」
「うん、ヤバい」
「手出したら同級生に狩られるから
我慢してたのにさー
目覚めて、僕の部屋にコレ設置しながら
鬼畜なイタズラ残していくんだよ」
「狩られ………」
「ほら、こんなん」
「え?はっ!?ぶはっっ!!!」
見事に呪骸にアッパーされた悠仁に
ケラケラ笑う。
「悠仁、ちゃんとコントロールしなきゃ」
「ソレはズルい!!!!!」
「ズルいよねぇ………そこも好きだけど」
「惚気ゴチになります!!
………けど先生、それ俺が見て良かったの?」
「貰ったのは僕だからね」
「先生、青春してんね」
「名前のお陰でね」
クスクス笑うフォトフレームの中には
笑顔を見せてくれている名前の姿。
「先生、俺次名前さんに会うとき
どんな顔すればいーの?」
「普通にしなよ
名前はコレくらいじゃ照れないし
むしろにやつきながら意地悪されるよ」
「え」
「あの人、人からかうの割りと好きだから」
「あー……
初対面の時も伏黒の母ですって
ノリノリだったもんな」
「そーそー
だから、気にしなくていーよ」
フォトフレームを見れば
この10年の記録が浮かんでは消えていく。
「先生」
「ん?」
「今度、俺達の写真もそこに加えてね」
「悠仁が復帰した後にね」
「うん!!」
にかっ、と笑う悠仁に
ことり、とフォトフレームを置く。
「さて、体術始めようか」
「よろしくお願いします!!」
また一つ
このフレームに記録が残される。
悠仁、恵、野薔薇
棘、パンダ、真希、僕、名前
交流戦後に増えた一枚は
過去の写真と共に流れ続ける。
「まだ使ってたんだ?それ」
「まぁね」
「懐かし」
「名前のサプライズ写真も残ってるよ」
「あぁ、アレね」
「本当、忘れられない誕生日だよ」
「18の誕生日には入籍だしね」
「今年はどんなプレゼントかな?」
「どんなモノがいいかな?」
小首を傾げている名前を抱き締めて
顔中にキスをする。
「名前が居てくれるなら
僕にはそれだけで嬉しいことだけどね」
「ははっ、ありがと」
「名前の手作りケーキ作ってね」
「わかったよ」
あの頃から
変わらぬ愛を、永久に
あとがき
五条さぁあああんっっ
ハピバ!!
産まれてくれてありがとう。
げげ先生、生んでくれてありがとう。
動くアニメの五条さんも楽しみですし
来月は一気に過去の単行本出ますし
ありがとう。ありがとう!!!
君に恋した夢女として
全力で祝います。
おーめーでーとーぉぉおおおおおお!!!!
と、いうわけで
ハピバ夢でした(笑)
ほぼ過去の誕生日祝ってますが
我が家の先輩は
五条さんに甘々ですから。
ネタをぶっこみつつ
五条さんを幸せにしたい。
傑は美味しいとこつまんで
逃げていきます。
そして、あとから喧嘩なる。
17歳だと、悟覚醒後なので
こんなほのぼのしてないと思ったから
16歳にしました。
そして悠仁は修行中(笑)
いまいちパッとしないかもしれないが
ただたんに
男になった先輩をぶっこみたかった(笑)
お読みいただき
お付き合いいただき
ありがとうございました!!
※性転換あり
高専時代
「はい、今日は何の日でしょーか!!」
「キッコーマン創業」
「教育者
ヨハン・ハインリヒ・ペスタロッチが
孤児院を開設した日」
「伊能忠敬が日本地図の作成を開始した日」
「お前らナメテンノ?」
額に青筋を浮かべる悟。
硝子、傑、大和があきれた顔をしている。
「はいはい、誕生日だろ?オメデトウ」
「大人になるんだ、悟」
「あ、誕生日なのか。おめでとう」
「適当すぎかよ」
「祝って欲しいのは名前先輩に、だろ」
「私達に押し付けられても
悟の虚しさが増すだけだと思うが?」
「名前いないもんなー
数日前からあんなにアピッてたのに」
「「「どんまい」」」
「すっげー腹立つな、おい」
名前は急遽入った任務に
昨日からいない。
「ちぇー」
「ほら、悟
元気だしておくれ」
すっ、と傑が悟に何かを差し出す。
大人しく受け取った悟は
手のひらに置かれたものを見る。
「ミルキーはママの味だよ」
「ふっっっざけんなよ、傑」
「ママ(名前)がいなくて寂しいんだろ?」
「表出ろ、変な前髪」
「嫌だ。寒いだろ」
「五条、これで大人しくしてろ」
ぽいっ、と硝子から投げられたのは
プリン味のチュッパチャプス
「大和からもらったやつだけど」
「硝子酷くない?」
「私、甘いの、嫌い」
「俺が悪かった………すいません」
「硝子が甘いの
苦手なの知らなかったのかい?」
「こないだUFOキャッチャーしたら
めちゃくちゃ取れたから、つい」
「ねぇ、お前ら俺の扱い雑すぎね?」
ぶーぶーと文句を言い始める悟。
そんななか、バタバタと走る音が聞こえ
全員がそちらに目を向ける。
「ただいまー!!お土産買ってきたぞー」
「「「「…………誰」」」」
「言われると思った」
ケラケラと笑いだす
黒髪の男。
高専にはいないはずの人間が
親しそうに話しかけてくる。
が、ふと硝子が首を傾げて
そして近寄っていく。
「名前先輩?」
「よーしよし、正解の硝子には
この特別なお煎餅をあげよう」
「え?まじで?」
「……先輩、いつから男になったんですか?」
「呪詛師とバトッていたら
謎なこと言って呪われた」
「そんな平然と……大丈夫ですか?」
「数時間後には解けるみたいだけど
なんか……
"性転換とはすなわち!!
神が授けてくれた美!!
ってことで私は私の好みを作り出す!!"
って叫ばれて、謎な光に包まれたら
こーなってた」
少し長めの長髪をゆるく一つでくくり
長い前髪はサイドに流す。
切れ長の紫の瞳に
傑や悟ほどではないが
180近くありそうな身長。
「その女呪詛師は?」
「鼻血噴き出して倒れたから
縛り上げて引き渡してきた」
「………その人、何がしたかったんですか?」
「さあ?
元々任務内容も謎でさ
黒髪美人の女が対応してくれ、とか」
「性転換のためか?」
「非術師も黒髪の女の人ばかり
狙われてたからね」
「迷惑な奴だな」
「本当にね」
硝子と談話室のソファーに座る。
「……先輩、つかぬことをお聞きしますが」
「なに?」
「今男なら、トイレは?」
「普通に男子トイレの洋式に入ったよ?」
「…………先輩」
「夏油君、受け入れるしかないことも
世の中あるんだよ」
「………すいません」
「いいのさ、葛藤は捨てたよ」
遠い目をする名前に
それ以上聞くことはやめた。
「………俺、部屋戻る」
「五条君?お菓子あるよ」
「いらない」
無言でいなくなってしまった悟。
それを目で追うが
後を追いかけはしなかった。
「あーあ」
「拗ねたな」
「しかし、これは仕方ないだろう」
「何?」
「今日、五条の誕生日だったんだって」
「お祝いしてほしくて
数日前から悟にアピールされて
いましたよね?」
「………あぁ!謎の問いかけか」
数日前から
悟が必要以上に距離が近く
7日は何があると思う?と聞いてきていた。
「それにしても先輩……」
「何?夏油君」
「なかなか整ってますね」
「私、今の名前先輩になら
抱かれてもいい」
「ありがとう、硝子」
お土産を置いて
立ち上がる。
「どこ行くの?」
「部屋に戻るよ」
「悟を襲わないでくださいね」
にやにやする傑のおでこを叩き
部屋へと戻る。
この姿で女子用の制服は
通報ものなので
任務後に男物に着替えてはいるが
落ち着かない。
部屋着で使っていた
お兄さんのお古の上のスウェットを着直して
男子寮へと行く。
「ごーじょーくーーん」
コンコン、とドアを叩くが
反応がない。
「………んー…あ、やっば」
ドクン、と心臓が強く脈打ち
痛みと苦しさに悟のドアに勢いよくぶつかる。
凄い音がなったが
それどころではなく
その場にしゃがみこむ。
「ちょっと、人の部屋のドア………名前?」
悟がドアを開いてくれたが
苦しさでそれどころじゃない。
悟が慌てているが
呼吸もまともにできず
胸を抑える。
「おい、名前?大丈夫かっ?」
視界がブレ、苦しさがピークに達したと
思った瞬間、意識を手放した。
〜悟視点〜
目の前で名前が気絶した瞬間
みるみる身体が縮んでいき
元の大きさに戻る。
つまり、男物……
それも、俺らと似た身長だったから
それに合わせたものを着ていたため
それら全てがブカブカになり
ズルリと落ちる。
「は?」
ブカブカの服から見える
豊満な谷間。
そして、上のスウェットから伸びる生足。
チラリ、とズボンの方を見れば
ご丁寧に男物の下着も脱げていて……
再びチラリと胸元を見て
背中あたりを触るが
何も身に付けている様子はない。
いや、男だったのに
女物の下着を着けているのも
大問題なのだが……
「………まじかよぉ」
これ、なんて拷問?
目を覚ました時
見覚えのあるような部屋にいた。
薄暗いが、悟の部屋だ。
起き上がってみると
自分の身体のサイズが戻っていることに
気がつく。
お兄さんのスウェットだけしか着ておらず
いつも部屋で寝ているスタイルだ。
「あぁ、戻ったから男物脱げたのか」
一人納得し
そういや下着……と中を覗くと
上はつけていないが
下は穿いていることに気付いた。
「………?」
はて?
悟が?
と疑問を浮かべていたが
この部屋の主がいないことに気付く。
「五条君、どこ行った?」
主のいない部屋から出ようと
ドアノブを開いたとたん
廊下に悟、硝子、傑、大和がいた。
「あ、起きた」
「先輩……その格好…」
「元に戻った」
「聞きました。
ちなみに名前先輩の下着は
私が穿かせたので」
「ありがと、硝子」
ゴキゴキと
身体の節々から変な音が鳴る。
成長するよりも
戻る方が苦痛だとは思わなかった。
「硝子……せめて下も何か持ってこいよ」
「仕方ないだろ。
お前が何か下着穿かせろって
騒いでいたんだから」
「あーもう……とりあえず
名前は一回部屋戻って」
「ん?あぁ、着替えてくるよ」
「違う!!俺の部屋!!」
悟に言われ、この格好はなーと
着替えに戻ろうとしたが
逆に怒られて、再び悟の部屋の中へ
押し込まれる。
「名前、一応ここ男子寮だからな?
その格好は男共にはエロい」
「?
下穿いてるのに問題が?」
「上着けてないだろ」
「谷間くらいでピーピーわめくなよ」
「男前過ぎんだよ、お前は」
「水着だと思え」
「着古しすぎて
だるんだるんのそのスウェットが
目の毒になっているんですよ!!
気付けよ馬鹿か!!」
「大和はオカンか」
大和が謎の説教をしてくるが
右から左へ聞き流す。
「今、名前先輩の部屋行って
何か服選んでくるんで」
「わざわざごめんよー、硝子」
「いーえ
………名前先輩にイタズラしてみろ
切り落とすから」
硝子の真顔に
男達は全員どこか遠い目をしていた。
傑は硝子の付き添いだと
女子寮へ送りに。
大和はやることがないからと
部屋に戻ったらしく
扉一枚越しに、悟が立っている。
「五条くーん」
「何?」
「誕生日おめでとう」
「………どーも」
「記憶に残る誕生日になったねぇ」
「名前のおかげでね」
「………怒ってんの?」
「別に」
そっけない悟の反応。
ふと、悟に持ってきた手土産はどこだと
部屋の中を見たら
男物の服と一緒に、紙袋が一つ。
その中身を取り出し
悟のベッドの枕元に置いて置く。
ちょっとした、イタズラを添えて。
硝子が服を持ってきてくれたので
それに着替えて、部屋の外に出ると
ムスッとした悟の表情に
にっこりと笑っておいた
「五条君」
「何」
「プレゼント、部屋に置いといたから」
「あっそ」
「特別なプレゼントも追加しておいたよ」
「ふーん」
「16歳、おめでとう」
硝子と女子寮へ戻って行く。
硝子に何をあげたのかと聞かれたが
秘密、と言っておいた。
〜悟視点〜
部屋に入り、大きな溜め息を一つ。
それを見て、傑がクツクツと笑っている。
「まじありえねぇ」
「よく耐えたな、悟」
「食ったら硝子に切り落とされる」
「あの目は本気だったねぇ」
「もーーーっ!!
誕生日だっつーのにいないし!!
帰って来たのに男になってっし!!
しかも目の前で戻るとか漫画かっ」
「頑張った頑張った」
ケラケラと、他人事だからと
笑う傑をじと目で睨み付ける。
視界の端に、名前が着ていた
男物のズボンが落ちていて
あれがプレゼントじゃないよな……と
変に勘ぐってしまう。
「傑、あれいる?」
「いらないよ。悟が着ればいいだろ」
「足の長さ合わねーし」
大和にやるか……と思った瞬間
傑が噴き出した。
「きっったねーな!!俺の部屋だぞ!!」
「………悟」
「なんだよ」
「それ、今まであったか?」
それ、と言われ
見たらベッドにデジタルフォトフレームがあり
傑や硝子との写真やら
大和と名前の写真やらが自動で流れている。
「………これか、プレゼントって」
「悟、良かったじゃないか」
「何だよ」
「先輩は確かに
"特別"なプレゼントを置いてったみたいだよ」
クスクス笑う傑に
表情を歪める。
これのどこが特別なんだと
フォトフレームを見る。
「よーくソレ見ておきなよ」
部屋から出ていく前に
傑が「ご馳走様」とにやついた顔で
言い残して去っていった。
何の事だと
じっとフォトフレームを見ていれば
噴き出した。
俺のベッドに座って
にっ、と笑ったまま
名前の谷間が見えた自撮りの写真。
しかもご丁寧に
小さな紙には
happy birthdayの文字。
傑が先にコレを見たのだと思ったが
色々な破壊力に
名前に文句を言えばいいのか
感謝すればいいのかわからなくなる。
「………名前のばぁーか」
ありがとうございましたと名前に
メールしておいた。
「あ、先生それ何?」
悠仁が映画鑑賞をしながら
僕が持っている物に興味を示す。
「んー?これ?」
「時計?」
「デジタルフォトフレームだよ」
「ってことは……写真?」
「まぁ、時計としても役立つけどね」
「ふーん」
呪骸を抱いたままでも
映画は見れるようになってきて
成長スピードの早さに笑う。
「悠仁にだけは特別に見せてあげる」
「なになに?」
「これ、僕の奥さんからの
誕生日プレゼントだったんだけどさー」
「へー名前さんだよね?」
「そう。
学生の頃にくれたんだけどさ」
「うんうん」
「誕生日なのにいないし
帰って来たら男になってるし
もう祝って貰いたい気持ち萎えちゃってさ」
「待って、男になってるってどんな状況!?」
「部屋着たかと思ったら
いきなり倒れて女に戻るし」
「ねぇ、先生!?聞いてる!!?」
「ノーパン、ノーブラで
スウェット一枚とか男のロマンたっぷりで
気絶されたらさー
もう色々やばいよね」
「うん、ヤバい」
「手出したら同級生に狩られるから
我慢してたのにさー
目覚めて、僕の部屋にコレ設置しながら
鬼畜なイタズラ残していくんだよ」
「狩られ………」
「ほら、こんなん」
「え?はっ!?ぶはっっ!!!」
見事に呪骸にアッパーされた悠仁に
ケラケラ笑う。
「悠仁、ちゃんとコントロールしなきゃ」
「ソレはズルい!!!!!」
「ズルいよねぇ………そこも好きだけど」
「惚気ゴチになります!!
………けど先生、それ俺が見て良かったの?」
「貰ったのは僕だからね」
「先生、青春してんね」
「名前のお陰でね」
クスクス笑うフォトフレームの中には
笑顔を見せてくれている名前の姿。
「先生、俺次名前さんに会うとき
どんな顔すればいーの?」
「普通にしなよ
名前はコレくらいじゃ照れないし
むしろにやつきながら意地悪されるよ」
「え」
「あの人、人からかうの割りと好きだから」
「あー……
初対面の時も伏黒の母ですって
ノリノリだったもんな」
「そーそー
だから、気にしなくていーよ」
フォトフレームを見れば
この10年の記録が浮かんでは消えていく。
「先生」
「ん?」
「今度、俺達の写真もそこに加えてね」
「悠仁が復帰した後にね」
「うん!!」
にかっ、と笑う悠仁に
ことり、とフォトフレームを置く。
「さて、体術始めようか」
「よろしくお願いします!!」
また一つ
このフレームに記録が残される。
悠仁、恵、野薔薇
棘、パンダ、真希、僕、名前
交流戦後に増えた一枚は
過去の写真と共に流れ続ける。
「まだ使ってたんだ?それ」
「まぁね」
「懐かし」
「名前のサプライズ写真も残ってるよ」
「あぁ、アレね」
「本当、忘れられない誕生日だよ」
「18の誕生日には入籍だしね」
「今年はどんなプレゼントかな?」
「どんなモノがいいかな?」
小首を傾げている名前を抱き締めて
顔中にキスをする。
「名前が居てくれるなら
僕にはそれだけで嬉しいことだけどね」
「ははっ、ありがと」
「名前の手作りケーキ作ってね」
「わかったよ」
あの頃から
変わらぬ愛を、永久に
あとがき
五条さぁあああんっっ
ハピバ!!
産まれてくれてありがとう。
げげ先生、生んでくれてありがとう。
動くアニメの五条さんも楽しみですし
来月は一気に過去の単行本出ますし
ありがとう。ありがとう!!!
君に恋した夢女として
全力で祝います。
おーめーでーとーぉぉおおおおおお!!!!
と、いうわけで
ハピバ夢でした(笑)
ほぼ過去の誕生日祝ってますが
我が家の先輩は
五条さんに甘々ですから。
ネタをぶっこみつつ
五条さんを幸せにしたい。
傑は美味しいとこつまんで
逃げていきます。
そして、あとから喧嘩なる。
17歳だと、悟覚醒後なので
こんなほのぼのしてないと思ったから
16歳にしました。
そして悠仁は修行中(笑)
いまいちパッとしないかもしれないが
ただたんに
男になった先輩をぶっこみたかった(笑)
お読みいただき
お付き合いいただき
ありがとうございました!!