先輩ifシリーズ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ねぇ、名前」
「何かな?悟くん」
「………俺たち、そろそろいいと思わない?」
「うん?何のお話かな?」
「結婚しよう」
「自分の年齢数え直してから出直しな」
ぶーぶーと口を尖らせて文句を言う悟。
よしよし、と頭を撫でても
不服そうにこちらを見上げてくる。
イケメンか……イケメンだったわ。
「硝子、傑。
これのお世話よろしくね」
「………これって言うなし」
「先輩の何だから
きちんとお世話してくださいよ」
「おい、傑」
「名前先輩、育児放棄は駄目ですよ」
「揃いも揃ってなんだよ」
「じゃ、ちょっと任務と実家行ってきまーす」
「名前ーー!!!」
珍しく文句の多い悟を置いてったのだが
これが後に面倒なことになるとは
今は思いもしなかった………。
毎回使命される京都の任務も無事に終わり
冥さんや歌姫先輩と楽しくご飯を食べ
実家に行ったのだが……
婚約者殿や親達が
物凄く盛り上がりだして
当初の約束なんてそっちのけで
色々進みだしている。
「………」
「さて、後戻り出来なくなってきたね」
「………はぁ」
「今日も美しいね、僕の名前」
「……触らないでくれます?」
婚約者殿もノリノリで
距離を詰めてきている。
本当、面倒だと思いつつ
盛り上がってる両親を止める。
「当初の約束と違うんですが?」
「特級の見込みなんて無いなら
今のうちから話は進めておくべきだろ」
「そうよ。
お着物もいいけれどやっぱりドレスかしら…」
「名前さんならどちらも似合いそうね」
「どちらも着ればいいよ。
僕は名前の綺麗な姿を沢山見れるからね」
「彰文さんったら」
きゃっきゃと盛り上がる馬鹿共。
溜め息しか出てこない。
そんななか、電話が鳴り
見れば硝子から。
「名前、電話くらい切っておきなさい」
「高専からの電話切れるわけないでしょ」
「………仕事か」
「さあ?電話出てきます」
親の視線などお構い無しに
硝子からの電話に出る。
「もしもし?」
"名前先輩、ごめん"
「ん?」
"私らも悪のりしたから、先に謝っておきます"
"先輩、すいません"
「………君ら、何したの?
いや、これから何かするってことか…」
"すいません"
傑のくつくつ笑う声が聞こえる。
硝子は気まずそうだ。
そして、声の聞こえない悟の存在に
嫌な予感しかしない。
"私達、今京都の任務なんですよ"
「は?特級2人で?」
"私はノリで"
"私もノリで"
「何やってんの、君ら」
思わず素で聞いてしまった。
遊び心溢れる問題児三人は
楽しいことには悪のりするところがある。
"ってゆーわけで
あとは先輩に任せます"
"頑張って下さい"
「こら!!」
切られた電話に
頭を抱える。
悟が何かやらかす。
これは、確実だ。
「………失礼します」
悟が何かする前に
ここから出て、悟を捕獲しなければならない。
まずはこのくだらない雑談の場から
脱出しなければ……と中に入る。
「何だったの?」
「重要な用事が出来ましたので
私は席を外させていただきます」
「仕事か」
「仕事よりも重要なんです」
「名前、いつもいつも
彰文さんやご両親に失礼よ。
仕事じゃないなら後にしなさい」
「後に出来ない急ぎの用事なの」
「名前、我が儘言うんじゃない」
「ごめんなさい、彰文さん。
毎度毎度、うちの子が…」
謝っている両親に苛つきながら
さっさといなくなろうと
背を向けた瞬間、扉が開いた。
きょとん、として
開いた先を見れば、黒い壁。
「あ、いた」
ぎゅーーーっと、抱きついてきた何か。
「………悟くん、ナゼココニ…」
「五条の名を出したらすぐだよ」
「まじか…」
「もっと早くにこうすれば良かったわ」
にやり、と笑いながら
こちらを見下ろす悟。
がたりっ、と後ろで何人かが
立つ音がした。
「君は……五条家の…」
「あ、名前の両親と婚約者の両親?」
「なぜ、五条家の六眼持ちがここに…」
「名前の婚約破棄してよ」
「それは君と関係あることかな?」
「あるある。めっちゃある」
「悟……」
「だって、名前は俺のだから」
悪い顔をしている悟に
もはや彼を止めることは出来ないと
早々に諦める。
「特級だったら名前の
好きにしていいって条件だったよね?
なら、恋人の俺が特級でも問題無いでしょ?」
「何を言って…!!」
「いい家に嫁がせないなら
無下限の術式がある
六眼持ちの五条家の俺は合格でしょ?」
「いきなり出て来て何を勝手なことを!!」
「勝手なのはそっちだろ?
名前の気持ちも考えずに
勝手に話進めて
俺から名前を奪おうってゆーなら
俺も俺の勝手に動くっつーの」
両家の親相手に
堂々と言い返す悟。
「ってゆーかさ
お前ら俺と対等に話せる立場にいんの?」
ぎろり、と睨み付け
殺気混じりに威嚇する悟。
ビクリ、と縮こまる両親や婚約者殿。
流石にこれ以上はまずいと
悟の頭にチョップを入れる。
「悟、やりすぎ」
「だぁーーってさぁー」
「私のために動いてくれてありがとう」
「………当たり前だろ」
「ここまでされたら
もう悟と逃避行しなきゃね」
「名前、好き」
「はいはい、ありがとう」
大きな猛獣をよしよし撫でる。
くるり、と振り返れば
ポカンとした面々。
「ってことなので
婚約破棄の方向でお願いします」
「……名前、何を言って!!」
「家柄、術式でまったく問題のない相手で
恋愛結婚に憧れていたから」
「ふざけないで!!」
「ふざけてないよ。
何なら、禪院と縁を切っても構わないし
勘当されても構わないよ」
「そんな我が儘、通じると思っているのか!?」
「そうだよ。我が儘だ」
今回も綺麗に飾られた着物を脱ぎ
髪飾りも外していく。
「小さな頃から、私
一回も我が儘言わなかったよ。
貴女達の言うことを聞いてきた」
後ろで悟が口笛を吹いている。
一番薄い、肌着姿になり
まとめていた髪を降ろす。
「もう貴女達の人形ではいたくないし
私だって成人間近だ。
貴女達に頼む最初で最後の我が儘だよ」
「………名前、お前」
「私は私の道を歩む。
その妨げとなるのなら
貴女達と離縁していいと思っている」
「どうして……そんなっ」
「知ってた?
私、綺麗な着物も値の張る髪飾りも
素晴らしい術式を持った殿方との出会いも
何もいらなかったよ。
ただ、貴女達に私を見て欲しかっただけ」
くすり、と笑う。
悟が制服の上を脱いで、羽織らせてくれた。
その制服に腕を通して
両親を見つめる。
「くだらない術式を持って産まれて
貴女達の言うことを聞かない人形で
ごめんね?」
ショックを受けたような表情の両親に背を向けて、部屋から出る。
後のことはもう知らない。
着替えた部屋に行き
自分の制服に着替えている間
悟は黙っていた。
着替え終えて悟の制服を返せば
こちらを覗き込んでくる。
「俺、やりすぎた?」
「やってしまった後に何言ってるの」
「名前、泣きそうだから」
悟が腕を広げるので
大人しくその腕の中に入る。
「悲しませたいわけじゃ
無かったんだけど」
「結局あの人達とは
わかり合えないのかな?って思うと………ね」
「………そっか」
「………帰ろう、悟」
私達の高専に。
そうすれば、また
元の私に戻るから……と笑えば
悟は不服そうにしていた。
玄関を出て
駅の方へ行こうとすれば
バタバタと後ろから走ってくる音。
「名前!!」
母親の声にピタリと足を止めたが
振り返らず歩く。
悟が立ち止まったままだったが
気にせず歩いた。
「ごめんなさい……っ!!
今さら、あなたの言葉で気付くなんて…」
「すまない、名前……」
「………………」
「子供にあんなこと言わせる親で……
何も見ていない親で
本当にごめんなさい!!」
「お前のためだと思っていたことが
間違いだった……
全部、自分達の為だった」
「婚約も破棄したわ。
……今更だけど
都合のいい親だと言われても仕方ないけど
あなたはあなたの好きなように生きて」
「五条さん……すいません
どうか、娘をよろしくお願いいたします」
遠く離れた位置で
頭を下げている両親。
悟が隣に戻ってきて
こちらを覗き込む。
「よろしくってさ」
「……都合のいい人達」
「けど、今回の件で面倒なことから
解放されたじゃん」
「うん…」
「これで俺達の障害がまた一つ減ったね」
「悟……ははっ、ありがと」
悟の手を繋ぎ
腕を絡めてすり寄る。
「甘えてるの?」
「うん、甘えてる」
「かーわいい」
「悟」
「んー?」
「ありがとう」
「何が?」
「漫画みたいに婚約ぶち壊してくれて?」
「ははっ!!
だって名前は俺のでしょ?」
「…独占欲強いなぁ」
仲良く高専に帰れば
大和、傑、硝子が寄ってきた。
「どーだった?」
「勿論成功」
「馬鹿だね、五条」
「硝子も傑もノリノリで行ったろ」
「え、こいつら何したの?」
「お馬鹿三トリオが
悪ふざけで私の婚約ぶち壊した」
「え………何してんの?お前ら」
大和がドン引いた目で見つめる。
「たまたま前の日に見ていたドラマの再放送が
婚約者のいる彼女を彼氏が奪い去るやつで」
「そこに丁度、京都の任務があって」
「名前も禪院に行ってるから……
ということで
俺が奪いに行ってみました」
「アホだ」
「ね……硝子から連絡来たときは呆れたよ」
「すいません、名前先輩」
「ノリとテンションが
ちょっとおかしくなってました」
「まぁ、そのお陰で
面倒な婚約も無くなったんだけどね」
「なら、大成功じゃないか」
「傑くん、一歩間違えたら大変なことに」
「悟がいるからどーにかなりますよ」
「五条だからね」
ケラケラと呑気に笑う2年達。
「………名前、こいつらの手綱
ちゃんと持ってないと」
「こちらの猛獣達、大人しく出来ないから」
「頑張れよ、猛獣使い」
「飼育員さんも頑張ってよ」
「飼育員は猛獣を扱えません」
真顔で返してくる大和に
苦笑してしまう。
「まぁ、これで俺達の障害は
無くなったということで名前」
「………何かな?」
「結婚しよ」
にーっこり笑って
お決まりの台詞を言う悟。
「自分の年齢いくつかな?悟くん」
「ピチピチの17歳」
「はい、アウト」
「俺、名前は真っ白なドレス希望」
「その心は?」
「汚したい」
「お前達キモいぞ」
「けど、絶対白似合うでしょ」
「白無垢は?」
「面白くないからやだ」
「式場はチャペルか?」
「沖縄行こーよ沖縄」
「悟と先輩なら、海で映えそうだな」
「傑、友人代表な」
「私カメラやる」
「………盛り上がってるぞ、2年」
「盛り上がってるねぇ」
楽しそうに、まだ先のことを
話し合う三人。
「名前、聞いてる?」
「聞いてるよ」
「新婚旅行はどこがいい?」
「悟と一緒なら、どこでもいいさ」
「………キュンときた」
「悟は先輩に弱いからな」
「名前好き。愛してる」
「ありがと」
願わくば
この幸せが永遠と
続きますように
あとがき
今更ですが禪院京都なのかな?(笑)
真衣ちゃんが京都高だから
てっきり本家も京都だと思ってるwww
間違えていたときは
直します
ファンブックはよwww
さくさく書けたが
途中から迷走してました(笑)
気力があれば
続くかもしれない……多分、多分(笑)
「何かな?悟くん」
「………俺たち、そろそろいいと思わない?」
「うん?何のお話かな?」
「結婚しよう」
「自分の年齢数え直してから出直しな」
ぶーぶーと口を尖らせて文句を言う悟。
よしよし、と頭を撫でても
不服そうにこちらを見上げてくる。
イケメンか……イケメンだったわ。
「硝子、傑。
これのお世話よろしくね」
「………これって言うなし」
「先輩の何だから
きちんとお世話してくださいよ」
「おい、傑」
「名前先輩、育児放棄は駄目ですよ」
「揃いも揃ってなんだよ」
「じゃ、ちょっと任務と実家行ってきまーす」
「名前ーー!!!」
珍しく文句の多い悟を置いてったのだが
これが後に面倒なことになるとは
今は思いもしなかった………。
毎回使命される京都の任務も無事に終わり
冥さんや歌姫先輩と楽しくご飯を食べ
実家に行ったのだが……
婚約者殿や親達が
物凄く盛り上がりだして
当初の約束なんてそっちのけで
色々進みだしている。
「………」
「さて、後戻り出来なくなってきたね」
「………はぁ」
「今日も美しいね、僕の名前」
「……触らないでくれます?」
婚約者殿もノリノリで
距離を詰めてきている。
本当、面倒だと思いつつ
盛り上がってる両親を止める。
「当初の約束と違うんですが?」
「特級の見込みなんて無いなら
今のうちから話は進めておくべきだろ」
「そうよ。
お着物もいいけれどやっぱりドレスかしら…」
「名前さんならどちらも似合いそうね」
「どちらも着ればいいよ。
僕は名前の綺麗な姿を沢山見れるからね」
「彰文さんったら」
きゃっきゃと盛り上がる馬鹿共。
溜め息しか出てこない。
そんななか、電話が鳴り
見れば硝子から。
「名前、電話くらい切っておきなさい」
「高専からの電話切れるわけないでしょ」
「………仕事か」
「さあ?電話出てきます」
親の視線などお構い無しに
硝子からの電話に出る。
「もしもし?」
"名前先輩、ごめん"
「ん?」
"私らも悪のりしたから、先に謝っておきます"
"先輩、すいません"
「………君ら、何したの?
いや、これから何かするってことか…」
"すいません"
傑のくつくつ笑う声が聞こえる。
硝子は気まずそうだ。
そして、声の聞こえない悟の存在に
嫌な予感しかしない。
"私達、今京都の任務なんですよ"
「は?特級2人で?」
"私はノリで"
"私もノリで"
「何やってんの、君ら」
思わず素で聞いてしまった。
遊び心溢れる問題児三人は
楽しいことには悪のりするところがある。
"ってゆーわけで
あとは先輩に任せます"
"頑張って下さい"
「こら!!」
切られた電話に
頭を抱える。
悟が何かやらかす。
これは、確実だ。
「………失礼します」
悟が何かする前に
ここから出て、悟を捕獲しなければならない。
まずはこのくだらない雑談の場から
脱出しなければ……と中に入る。
「何だったの?」
「重要な用事が出来ましたので
私は席を外させていただきます」
「仕事か」
「仕事よりも重要なんです」
「名前、いつもいつも
彰文さんやご両親に失礼よ。
仕事じゃないなら後にしなさい」
「後に出来ない急ぎの用事なの」
「名前、我が儘言うんじゃない」
「ごめんなさい、彰文さん。
毎度毎度、うちの子が…」
謝っている両親に苛つきながら
さっさといなくなろうと
背を向けた瞬間、扉が開いた。
きょとん、として
開いた先を見れば、黒い壁。
「あ、いた」
ぎゅーーーっと、抱きついてきた何か。
「………悟くん、ナゼココニ…」
「五条の名を出したらすぐだよ」
「まじか…」
「もっと早くにこうすれば良かったわ」
にやり、と笑いながら
こちらを見下ろす悟。
がたりっ、と後ろで何人かが
立つ音がした。
「君は……五条家の…」
「あ、名前の両親と婚約者の両親?」
「なぜ、五条家の六眼持ちがここに…」
「名前の婚約破棄してよ」
「それは君と関係あることかな?」
「あるある。めっちゃある」
「悟……」
「だって、名前は俺のだから」
悪い顔をしている悟に
もはや彼を止めることは出来ないと
早々に諦める。
「特級だったら名前の
好きにしていいって条件だったよね?
なら、恋人の俺が特級でも問題無いでしょ?」
「何を言って…!!」
「いい家に嫁がせないなら
無下限の術式がある
六眼持ちの五条家の俺は合格でしょ?」
「いきなり出て来て何を勝手なことを!!」
「勝手なのはそっちだろ?
名前の気持ちも考えずに
勝手に話進めて
俺から名前を奪おうってゆーなら
俺も俺の勝手に動くっつーの」
両家の親相手に
堂々と言い返す悟。
「ってゆーかさ
お前ら俺と対等に話せる立場にいんの?」
ぎろり、と睨み付け
殺気混じりに威嚇する悟。
ビクリ、と縮こまる両親や婚約者殿。
流石にこれ以上はまずいと
悟の頭にチョップを入れる。
「悟、やりすぎ」
「だぁーーってさぁー」
「私のために動いてくれてありがとう」
「………当たり前だろ」
「ここまでされたら
もう悟と逃避行しなきゃね」
「名前、好き」
「はいはい、ありがとう」
大きな猛獣をよしよし撫でる。
くるり、と振り返れば
ポカンとした面々。
「ってことなので
婚約破棄の方向でお願いします」
「……名前、何を言って!!」
「家柄、術式でまったく問題のない相手で
恋愛結婚に憧れていたから」
「ふざけないで!!」
「ふざけてないよ。
何なら、禪院と縁を切っても構わないし
勘当されても構わないよ」
「そんな我が儘、通じると思っているのか!?」
「そうだよ。我が儘だ」
今回も綺麗に飾られた着物を脱ぎ
髪飾りも外していく。
「小さな頃から、私
一回も我が儘言わなかったよ。
貴女達の言うことを聞いてきた」
後ろで悟が口笛を吹いている。
一番薄い、肌着姿になり
まとめていた髪を降ろす。
「もう貴女達の人形ではいたくないし
私だって成人間近だ。
貴女達に頼む最初で最後の我が儘だよ」
「………名前、お前」
「私は私の道を歩む。
その妨げとなるのなら
貴女達と離縁していいと思っている」
「どうして……そんなっ」
「知ってた?
私、綺麗な着物も値の張る髪飾りも
素晴らしい術式を持った殿方との出会いも
何もいらなかったよ。
ただ、貴女達に私を見て欲しかっただけ」
くすり、と笑う。
悟が制服の上を脱いで、羽織らせてくれた。
その制服に腕を通して
両親を見つめる。
「くだらない術式を持って産まれて
貴女達の言うことを聞かない人形で
ごめんね?」
ショックを受けたような表情の両親に背を向けて、部屋から出る。
後のことはもう知らない。
着替えた部屋に行き
自分の制服に着替えている間
悟は黙っていた。
着替え終えて悟の制服を返せば
こちらを覗き込んでくる。
「俺、やりすぎた?」
「やってしまった後に何言ってるの」
「名前、泣きそうだから」
悟が腕を広げるので
大人しくその腕の中に入る。
「悲しませたいわけじゃ
無かったんだけど」
「結局あの人達とは
わかり合えないのかな?って思うと………ね」
「………そっか」
「………帰ろう、悟」
私達の高専に。
そうすれば、また
元の私に戻るから……と笑えば
悟は不服そうにしていた。
玄関を出て
駅の方へ行こうとすれば
バタバタと後ろから走ってくる音。
「名前!!」
母親の声にピタリと足を止めたが
振り返らず歩く。
悟が立ち止まったままだったが
気にせず歩いた。
「ごめんなさい……っ!!
今さら、あなたの言葉で気付くなんて…」
「すまない、名前……」
「………………」
「子供にあんなこと言わせる親で……
何も見ていない親で
本当にごめんなさい!!」
「お前のためだと思っていたことが
間違いだった……
全部、自分達の為だった」
「婚約も破棄したわ。
……今更だけど
都合のいい親だと言われても仕方ないけど
あなたはあなたの好きなように生きて」
「五条さん……すいません
どうか、娘をよろしくお願いいたします」
遠く離れた位置で
頭を下げている両親。
悟が隣に戻ってきて
こちらを覗き込む。
「よろしくってさ」
「……都合のいい人達」
「けど、今回の件で面倒なことから
解放されたじゃん」
「うん…」
「これで俺達の障害がまた一つ減ったね」
「悟……ははっ、ありがと」
悟の手を繋ぎ
腕を絡めてすり寄る。
「甘えてるの?」
「うん、甘えてる」
「かーわいい」
「悟」
「んー?」
「ありがとう」
「何が?」
「漫画みたいに婚約ぶち壊してくれて?」
「ははっ!!
だって名前は俺のでしょ?」
「…独占欲強いなぁ」
仲良く高専に帰れば
大和、傑、硝子が寄ってきた。
「どーだった?」
「勿論成功」
「馬鹿だね、五条」
「硝子も傑もノリノリで行ったろ」
「え、こいつら何したの?」
「お馬鹿三トリオが
悪ふざけで私の婚約ぶち壊した」
「え………何してんの?お前ら」
大和がドン引いた目で見つめる。
「たまたま前の日に見ていたドラマの再放送が
婚約者のいる彼女を彼氏が奪い去るやつで」
「そこに丁度、京都の任務があって」
「名前も禪院に行ってるから……
ということで
俺が奪いに行ってみました」
「アホだ」
「ね……硝子から連絡来たときは呆れたよ」
「すいません、名前先輩」
「ノリとテンションが
ちょっとおかしくなってました」
「まぁ、そのお陰で
面倒な婚約も無くなったんだけどね」
「なら、大成功じゃないか」
「傑くん、一歩間違えたら大変なことに」
「悟がいるからどーにかなりますよ」
「五条だからね」
ケラケラと呑気に笑う2年達。
「………名前、こいつらの手綱
ちゃんと持ってないと」
「こちらの猛獣達、大人しく出来ないから」
「頑張れよ、猛獣使い」
「飼育員さんも頑張ってよ」
「飼育員は猛獣を扱えません」
真顔で返してくる大和に
苦笑してしまう。
「まぁ、これで俺達の障害は
無くなったということで名前」
「………何かな?」
「結婚しよ」
にーっこり笑って
お決まりの台詞を言う悟。
「自分の年齢いくつかな?悟くん」
「ピチピチの17歳」
「はい、アウト」
「俺、名前は真っ白なドレス希望」
「その心は?」
「汚したい」
「お前達キモいぞ」
「けど、絶対白似合うでしょ」
「白無垢は?」
「面白くないからやだ」
「式場はチャペルか?」
「沖縄行こーよ沖縄」
「悟と先輩なら、海で映えそうだな」
「傑、友人代表な」
「私カメラやる」
「………盛り上がってるぞ、2年」
「盛り上がってるねぇ」
楽しそうに、まだ先のことを
話し合う三人。
「名前、聞いてる?」
「聞いてるよ」
「新婚旅行はどこがいい?」
「悟と一緒なら、どこでもいいさ」
「………キュンときた」
「悟は先輩に弱いからな」
「名前好き。愛してる」
「ありがと」
願わくば
この幸せが永遠と
続きますように
あとがき
今更ですが禪院京都なのかな?(笑)
真衣ちゃんが京都高だから
てっきり本家も京都だと思ってるwww
間違えていたときは
直します
ファンブックはよwww
さくさく書けたが
途中から迷走してました(笑)
気力があれば
続くかもしれない……多分、多分(笑)