幼馴染は生き残りたい
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朝起きると傑の寝顔が目の前にあった。
濃い目の隈をそっと撫でる。
触っても起きない程ぐっすりと寝入っている傑の腕から抜け出して下へ。
おばぁちゃんとおじぃちゃんに挨拶して、今日の学校は休ませて貰う。
「どこか具合が悪いの?」
「傑が来てるんだ。ごめんね、夜中に勝手に上げちゃって」
「………大丈夫なのか?」
おじぃちゃんは眉間にシワを寄せながらも心配そうに此方を見ている。
おばぁちゃんも何かあるのかと言いたそうだが私は曖昧に笑う。
「大丈夫ではなさそうだから……今は傑の側に居させて」
「学校には連絡しておくわね」
「ありがとう、二人とも」
何も聞かずに居てくれる二人。
私はそのまままた上に戻ると傑がボーッとしながらベッドに座っていた。
「おはよ。起きてたの?」
「……名前が、居なくなったから」
「ごめん。おじぃちゃんとおばぁちゃんに今日休む話してきたの」
「………」
「傑は?学校どーするの?」
「………」
「竈門さんに連絡しておく。
五条さんや家入さんよりは竈門さんの方が融通きかせてくれると思う」
「すまない…」
華ちゃんに連絡するとすぐに心得たぁ!!って返事が来た。
ボーッとしている傑の手を取る。
「まずはお風呂入っちゃいな」
「臭う?」
「何も考えず名前さんに任せなさい!」
「それはそれで怖いなぁ」
クスクス笑いながらも大人しくついてくる。
まずは風呂場に傑を突っ込む。
そして傑用のスウェットや下着を持って来ておき、制服は洗濯機へ。
そのまま私は腕捲ってズボンは脱いで下着姿で入ればギョッとした傑が。
「名前!?」
「頭流しまーす」
まだ濡れていなかった傑に問答無用でシャワーをかける。
そのまま長い髪を濡らして私のシャンプーで洗っていく。
「痒いところは?」
「もうちょっと右……そこ。あと左側はもう少し全体的に 」
「ガッツリ言うじゃん」
「聞いたのは名前だろ」
満足するまで頭をマッサージして流し、コンディショナーもつけて流し、流さないトリートメントをつけておく。
泡立てまくった泡をつけて背中を洗っていく。
「前は?」
「やっていいの?」
「……いや、我慢出来なくなりそうだからいい」
ささっと洗い流す傑。
先程部屋に戻る前に追い焚きしておいた風呂はいい感じに暖かい。
縁にタオルを敷いて座り足だけ浸かる。
傑がじっと見てるので入れと告げれば大人しく入って私の太腿の間に身体を割り込ませてきた。
「傑、頭」
「濡れるよ?」
「着替えるから平気」
此方を向く傑の目元に濡らして温かなタオルを乗せる。
そのまま頭や目元、肩や首を素人だが揉みほぐす。
「あ"ぁ"……」
「気持ちいい?」
「うん……気持ちいい」
「寝ちゃ駄目だよ」
「うん……」
「おや、やばいなコレ。ほら、上がるよ」
お湯から足を抜こうとするがガッチリ捕まれている。
太腿をもちもち触っていたと思ったら吸い付いてきた。目元を温めていたタオルを取ってこちらを見上げる姿は控えめに言ってもエロい。
16歳が出していい色気じゃないだろ。
「今興奮してるだろ」
「してません」
「嘘。此処、エッチな匂いしてる」
「っ!!」
体勢を変えて太腿を開くように押さえられ、下着に鼻を擦り付け始めた。
じゅわり、と濡れてしまう下着を何度も鼻を押し付けわざとスーハーと音を聞かせるように吸い込む。
「やめなさいって」
「勃った」
「二人いるっつの」
「先っぽだけ」
「それ絶対信用しちゃいけないやつじゃん」
鼻先で器用にクリを擦ったり押し潰す傑の目は完全に獣みたいだ。
待てをしているのはどちらかわからない。
少しずつ高まっていく体温と性欲。
「少しだけだよ」
「傑……」
「こんな姿で一緒に入ってくるから」
「待って」
「ねぇ、お願い。少しだけ」
目を細め、唇で下着越しにクリを食む。
刺激とエロさに……ボタボタッと傑の顔に落ちた赤。
「「…………」」
スンッ、と表情を無くす傑。
鼻を押さえる私。
「ごめん」
「上がろ」
シャワーで血を流す傑を置き去りに私はティッシュを取りに部屋へ行く。
ズボンだけを履いてタオルで頭を拭いている傑が戻ってきたので、半裸の裸体をじっとりと見つめる。
「変態」
「逆上せたの」
詰め物をする間抜けな顔を見せたくはないので圧迫しながら待てば止まってくれた。
ポタリポタリと滴が落ちる傑の髪。
肩や胸や背中を濡らし、つぅ……と流れ落ちる。
呼吸するたびにポタポタ落ちる滴を見ていると……こう…
「舐め回したいな」
「は?」
「………ごめん。ナンデモナイ」
やばい。欲望が飛び出た。
いけないいけない、と思考を呼び戻す。
濡れた下着を替えるべく新しい服を出そうとタンスの中を覗いた時、ピチャリと感じた生暖かなぬめりと動く何かが太腿から上へ上がっていく。。
尻をわし掴まれ、親指は濡れた下着をズラしている。
後ろを振り返る前に再びピチャリ、と今度はゆっくり秘部へと感じる生暖かなもの。
「傑っ!?」
「うん?」
「な、に……んんっ、し、てっ」
離れようとしても後ろから押さえられて動けない。その間にもピチャピチャと子猫がミルクでも飲んでいるかのように無言で陰核を舐めている。
「や、めッッッ」
ビクンッ、と軽く達してしまった。
腰が抜けて座りこんでしまう。
達した余韻に浸っていれば真後ろから覆い被さってくる傑によって押し潰されるように抱き締められる。
「はぁぁあああ……ヤりたい」
「ぶっちゃけすぎじゃん」
「今すぐ穴に突っ込んであんあん言わせながらおっぱいわし掴んで奥の奥に突っ込んでグリグリしながらイきたい」
「やめて。お尻に当てないで」
「先っぽだけは?」
「ふざけんな」
呼吸を整えて傑の前髪を引っ張る。
二人で起き上がり、今度こそ下着を取り替える。
朝から何故こんなにも疲れなければならないんだと思いながら傑を連れて下へ。
ほかほかの温かなご飯が並べられていて傑を座らせて自分と傑の分の箸などの準備をする。
おじぃちゃんもおばぁちゃんも何も言わずいつもと変わらない。
穏やかなご飯が終わり、傑と庭でボーッとする。
「……暇だ」
「暇だねぇ」
2人でボーッと庭を眺めるだけ。
そりゃ暇だ。
ゴロンと私の膝に寝転ぶ傑に猿のように枝毛を探し初めてみた。
「ねぇ、名前 」
「んー?」
「私の事好き?」
「おう、大好きだ」
「……そっか」
「傑は?」
「……愛おしいよ」
「ありがと」
思っていたより枝毛がない。
よしよしと大型動物を撫でる気持ちで頭を撫でる。
「名前」
「なーにー?」
「もし、私が……名前を殺そうとしたら?」
「呆気なく死ぬね」
「名前が恐れていたように、私が名前を殺してしまったら……キミは、どうする?」
不安です、と顔いっぱいに書かれた表情で私を見上げる傑。
「名前が好きだ。
昔から私は名前しか見えていなかったし、今も閉じ込めて依存させて逃げ出さないように囲いたい。この気持ちに嘘は無い」
「うん」
「最近はちゃんと私を選んでくれて嬉しい。
けど……ごめん」
怪しい雰囲気にドキドキしてしまう。冷静になるんだ、私。
「猿に見えた」
どこで貰ってきたんだそのフラグ!!!!!
甚爾さんいなかったのになんで????
「水瀬……前に会った後輩がいたろ?」
「うん」
「あの子は私だ」
何をやらかしたんだ後輩!!!!
「私は唯一を決めている。
決めていたはずなのに……揺らいだんだ。ごめん」
「……うん」
「非呪術師はどうでもいいが……名前までどうでも良くなりそうなのが怖い。
私は……キミを……」
ちらつくコロコロ√。
覚悟を決めたとはいえ……ぶっちゃけると怖い。
「………ごめん。好きだよ。離れないで」
「もう呪術師辞めたら?」
「……それ、は」
「そもそも何で呪術師やってんの?」
「名前を、守りたくて…」
「ならもう良くない?」
「だが、」
「私は傑が好きだから一緒に居たい。
が、正直殺されたくは無い。
けど傑になら殺されても仕方ないって受け入れるが死にたいわけじゃない」
難しい顔をしながら表情を歪ませて困っている傑の髪を撫でる。
……伸びたなぁ、とサラサラ流れる髪をすく。
「私の為に呪術師やってるなら辞めていいじゃん。
傑は十分強いし、嫌なこと無理矢理命令されて疲れるくらいならしなくていいよ。
むしろ私の為を思うなら私の隣に居てよ」
「けど、そんな簡単には……」
「16歳の子供がやらなきゃ駄目な世界ならもっと前に滅んでるっつの」
「……私、は」
「……って軽々しく辞めて来いって言えれば傑もここまで悩まないよね」
よーしよし、と撫でる。
簡単に事を起こせるのは覚悟を決めた奴の特権だ。
「なんとなくだけどわかるよ。
どんなに力があってもそっちの世界にはそっちの掟があるんでしょ?
軽々しく抜けられるなんて思って無い」
「……名前」
「だからこれは私の一人言」
傑と話さないからすれ違う。
わかった気でいたって私は傑じゃないし、傑は私じゃない。
言葉にしてぶつかって、それでも納得出来なかったら私らは拳で語り合うような仲だったはずだ。
「……そっちの世界で大切な理解者や同期や後輩や先輩らが出来たのは良いことだよ。
私が理解出来ない部分を共有出来て、傑は一人じゃなくなり世界が広がって……凄いムカつく」
「え…?」
「傑にも、そっちの世界の人々にも」
傑と対等でいたかったのに。
私達は違う生き物のように分けられる。
「そのせいで傑が壊れていくなら私は見逃したくない。
そいつらを大切にするのは良いことだよ。でも、そのせいで振り回されて傑が私を見なくなるなら……傑と居させて貰えなくなるのは好きじゃない」
私は多分嫉妬していたんだ。
ずっとずっと。
幼かった時から。
現実は見えない。
そんな世界があること。
そんな裏側があること。
そんな地獄があること。
私の知らない世界を傑だけが知ってる事に嫉妬した。
何時だって対等に並びたかったのに、傑だけが進んでいくもどかしさが嫌になっていった。
生き残りたいが……それ以上に私は。
傑と居られない事に
傑と対等じゃない事に
傑より劣ってしまう事に嫉妬している。
「私が猿に見えるなら私が傑と対等で居る努力を辞めてしまったからだ。
ごめん……謝るのは私の方」
嫉妬しているくせに諦め、努力を辞めた私は傑を責められる資格などどこにも無い。
「ごめんね、傑。
私が弱すぎたから悩ませた」
「……名前」
「だからと言って殺されたくは無いんだが、どう頑張っても戦力に差がありすぎる」
「言い方」
「負けてはいるが、気持ちと態度は対等でいたい乙女心」
「……乙女心か?それ」
ふはっ、と笑う傑。
ぐにぐにと眉間のシワを指先で伸ばす。
「傑は私のなのに私以外を優先させようとするなんて腹が立つじゃん。
これって立派な乙女心でしょ?」
「………」
「世界の為に、仲間の為に、なんて戦わないでよ。
傑は弱いんだから私に守られて側に居て。
そして強い傑が私を守ってて欲しい。
私の全てをあげたのに、傑の全てが私のじゃないなんて不公平じゃん」
傑にも見せたことがない、私の闇。
「まぁ、そんな事言っても結局は私の実力不足だからね。
煮るなり焼くなり好きにしなさいな」
「………」
「言ったでしょ?私は選んだって」
「名前」
「惚れた男のやることに口出せないよ」
最後の足掻きに本音を愚痴るくらい許して欲しい。
「口出せないから、呪わせて」
呪術師でもなく、非呪術師でもなく。
ただの男と女として
「傑の心に住み着く女は私だけにして」
この先、貴方が道を違えても。
貴方に家族が出来ても。
貴方を慕う者達が集っても。
「私以外に目を向けないで。
私以外の女を心に住まわせないで。
私以外の女と将来を誓わないでっ!!」
ぽたり、ぽたり。
傑の顔に落ちていく雫。
傑が目を見開いている。
「傑が変わってしまうなら私の知る傑を持って逝くから。
私の、大好きな傑の手で終わらせて」
この恋心と共に
貴方の心を持って逝くから
貴方の手で終わらせて。
……なんて、自己中心的で最低な奴。
落ちる涙を傑は何度も拭ってくれた。
後頭部を引き寄せ、腹筋だけで楽々と起き私の唇に重ねる。
「……ごめん」
「何の謝罪?」
「勃った」
「なぜ?」
「そんな告白されて……嬉しくない奴いないだろ」
ふにゃり、と顔を緩ませて笑う傑。
何度も何度も唇を押し当ててくる。
「私、傑の嫌いな猿だよ」
「……よく考えたら私、元から名前以外の奴ら家畜か猿にしか見えてなかった」
「え?」
「家族も、友達も、先生も……みんな私を嘘つきで異端な扱いをしていたから」
よっこいせ、なんてジジクサイ掛け声で起き上がった傑は私の隣に座り込む。
手を握ってボーッと庭を見つめる。
「名前だけ居ればいいって思って居たのに……いつの間にか、こっちの世界に染まって大切なものが増えていたんだ。
ごめんね……」
申し訳なさそうに眉を下げている。
そもそも傑に呪術の世界に行けと背中を押したのは私だ。
呪術の世界で傑は必要だと思っている。
私の、だと言いながらも傑は呪術界の方が息をしやすいのだとわかっている。
が、それは私の一方的な考えだ。
「名前と同じ世界で歩むには私は汚れすぎた。
私はどんなに普通を装っても呪術師であることを誇りに思うし、辞めたいと思えない」
「うん」
「呪術師にもクソは多いが、それ以上に非呪術師のクソさを受け入れたくはない」
「うん」
「そんなクソ共に名前を渡すなんて絶対に嫌だ。
だから何度も何度もどうにかして名前を引き込めないかと考えた事もあって試したけど……」
「んん"?」
今不穏な言葉が聞こえたよ?
試したっつった?
「名前は全く素質がないとわかった」
「そ、そっかぁ…」
「それでも、手離したくなかったんだよ。
名前が私の唯一無二だから。
なのに……私は馬鹿だね。
名前よりも呪術師を優先しようとした」
コテン、と身体が痛くなりそうなのに私の頭に頭を乗せてくる。
「私の唯一が揺らぐ程、優先する事じゃないのに……ごめん。余裕が無かった」
落ち込んでいる傑に寄りかかる。
昨日のように触れられなかったり、拒否されることはない事に少なからず安心した。
「傑」
「ん?」
「私はさ、何年経っても傑とこうして並んでいたい」
おじぃちゃんとおばぁちゃんみたいに……
何年も一緒に連れ添いたい。
「傑と言い合って、笑って、怒って、呆れながら……傑の一番は私で、私の一番は傑がいい。
誰かの為に傑を犠牲にしないでよ」
「………うん」
「傑は?どうしたい?」
「名前と、居たい」
「じゃあ居ようよ。離れないで」
傑は私を抱き寄せて何度も謝った。
またボロボロと涙が出てきた。
傑も同じように涙を流して……2人で泣いた。
泣き止む頃には2人とも鼻の頭が赤くなっており、お互いの顔を見て笑った。
「名前、出掛けようか」
「この顔で?」
「学生らしくお揃いの服着てプリクラ撮ってご飯食べよう」
「傑服学ランじゃん」
「買えばいい。ダッサイ格好で2人で歩こう」
「ダサい服に出すお金無い」
「私が出すよ。金はそこらの奴らよりあるからね」
「ヒューっ、金持ち!」
おばぁちゃんとおじぃちゃんに言って2人で手を繋いでスウェットで出掛ける。
途中スポーツショップで2人分の新作のadi○asのジャージを購入し、その近くで白い大きめのTシャツを買った。
そのまま楽しくなってゲーセンに入り、プリクラを撮った。
モデルのポーズを真似して、最後はチュープリ。
2人でそれぞれ書き込みバカップルよろしくスタンプとハートだらけ。
お互いの携帯の裏に貼り付けた。
「名前、そこ入ろう」
「めちゃくちゃブランド店じゃん」
「しっかりした物の方がいいだろ?」
GU○CIの指輪を見始めた傑にギョッとし、傑が一番高いものを勝手に選ぼうとするのでお互いにアレがいい、これがいいと希望を話してお揃いの指輪を購入。
しっかり指を絡ませればお互いの指に光る指輪。
「これ、一生他の人には買って貰えない気がする」
「他の奴から貰う気かい?」
「さぁ?」
「駄目。どの指も私のだから」
夕食は焼き肉。
二人で色々話した。
甚爾さんの事、バイトの事、学校の事……。
傑も呟くように自分の事を話した。
お腹がいっぱいになる頃にはお互い話せてなかった事が思っていた以上にあったんだと思った。
再び手を握ってお店を出る頃には日が落ちている。
「名前、梅さん達に今夜は遅くなるって連絡しておいて」
「いいけど……泊まり?」
「うん」
おばぁちゃんに話せばゆっくりしておいで、と言われた。それでいいのか……と思ったものの、帰ったら2人ともおじぃちゃんからお説教だと笑いながら言われた。
「どこ行くの?」
「良いところ」
人混みの多い満員電車に乗って、傑が周りから潰されないようにと囲ってくれる。
私はニヤニヤしながら傑の腕にキスをしたりすり寄ればクスクス笑いながらうなじにキスをする傑。
イチャイチャしていれば周りからジト目で見られたが気にするものか。
降りたのはまさかのみなとみらい。
「おぉ、カップル達の楽園じゃん」
「ベタかもしれないが好きだろう?」
「好き!!」
傑と何をするわけでもなく歩く。
「そろそろ行く?」
「?」
「ホテル」
「……は?」
「さっき電話で予約したんだ」
くすり、と笑って手を引かれる。
そのまま傑についていけば……大きなホテルが。
ポカンとしてあちこち見ながら受付を済ませた傑と案内役の人が来て最上階へ。
豪華な夜景に大きなダブルベッド。
「………」
「あれ?嬉しくない?」
「豪華過ぎて学生のデートじゃなくない?」
「まぁ、普通じゃない金額稼いでいるからね」
おぉ、と夜景を眺めていれば後ろから抱き絞められる。
「ごめん。私は呪術師を辞められない」
「……わかってる」
ぎゅっ、と強まった傑の腕に触れる。
「耐えられなくなる時もあると思う」
「うん」
「……カッコ悪くても、いいかい? 」
「傑のダサいとこも含めて好きだよ」
ありがとう、なんて言いながらすり寄る傑。
もぞもぞと腕の中で動き身体を反転すれば傑の顔が見えた。
「傑が逃げたくなったら私が連れ出して一緒に逃げるよ」
「それは……心強いな」
重なった唇。
互いに見つめれば……あとはもう…。
雑に脱ぎ捨て散らばった衣類。
クチュクチュと濡れた穴を出入りする陰茎。
月明かりに照らされた光は思いの外明るい。
下を見下ろせば人工的な光がチカチカと輝いていて綺麗だ。なのに、そんなものより私が今夢中になっているのは己の奥を犯す陰茎に声が止まらない。
「アッ、ンンッ、す、ぐるっ!ィ……クッ」
「名前っ」
ドクドクと流れてくる温かさと、奥へ擦り付けるように小刻みに動く腰。
ズルリ、と抜かれれば身体がブルリと震えてしまう。
ガクガクと震える足は使い物にならず腰が落ちるが傑によって片腕で腰を抱えられているので床に膝をつくことはない。
白濁した精液入りのゴムを取り外し、近くのゴミ箱に捨てればボーッとした私を抱き抱えてベッドへ運んでくれる。
近くなった顔に顔中キスをすればくすぐったいと笑って唇を食む。
そのまま傑も寝転んできたので首に腕を回してより深く唇を押し付け舌を入れる。
お互いの舌を絡ませ、唾液を混ぜ、飲み込むといつの間にかゴムを着けた傑が私の足を開いて穴へと陰茎を埋めていく。
「んっ、気持ち、いいっ」
「私も、だよっ」
お互いの隙間を埋めていくように。
「あっ、あっ、ああっ!!す、ぐるっ傑っ」
「ここ、好きだよね。
カリが奥に引っ掛かったのをこうして……んっ」
「アアアアッ!!」
グリッと奥を抉るように。
子宮の入り口の管への穴を広げるかのようにグリグリとしては前壁にゴリゴリ押し付けられる。激しい動きじゃないから余計に感じられて何度もイかされる。
こちらは涙やお互いの涎や汗で汚い顔をしているというのに傑は頬を赤らめながらうっとりと目を細ませ舌舐めずりをしている。
その表情だけでギュッと中を締め付ければますます嬉しそうにしながら体重をかけて抱き付いてくる。
「本当……私のこと、大好きだよ、ねっ」
「あっ、しゅきっ。すぐるっ、しゅきぃっ」
私が気持ち良くなればなるほど傑も気持ちいいらしく、締め付ける度苦しそうな顔をしているが余裕を見せようとしてくる。
その余裕が嫌でわざと耳を口に含んで……傑のピアスを舌で引き抜く。
拡張されたピアスを口から出し、開いたピアスホールに舌を入れて耳元で音を立てながら舐めたり甘噛みしたりする。
「んっ、す、ぐる……もっと」
はぁ、と耳に吐息と共に呟けば中のモノがぐぐっと大きくなってピュッ、ピュッと温かなものが広がっていく感覚。
「……名前」
「ふふっ、傑……耳、弱いよねぇ」
ジロリと見てきても怖くはない。
優位になんてさせるものかと傑のまだ萎えていないのに出してしまったゴムを抜きながら外す。
新しいゴムを手に、傑と位置を逆転する。
下に仰向けになる傑の勃った陰茎にゴムを被せて跨ぎ、傑に見せ付けるように挿入していく。
「傑が私の弱いとこ知ってるように」
「んっ、まって……名前ッ、あっ」
「ぁっ、んんっ、わ、たしも……傑の弱いとこ、知ってるの」
奥の奥。
気持ち良さに身体が震えれば傑も耐えるように歯を食い縛っている。
先程中途半端に射精したから快感に弱いのだろう。
グリグリと先が奥を刺激すれば……私も傑もお互いに感じ合う。
「ふふっ、気持ち、いーね?」
ペロッと唇を舐めればそれだけで中の陰茎が大きくなる。
「いっぱい、食べて?」
「勿論」
私達は求めあって貪りあった。
気付けば朝日によって眩しさに目を覚まし、身体のダルさと眠気で目が開かない。
隣で眠る温かさにすり寄ってもう一眠りしようとしたが傑も起きたのか頭を撫でてくるので目を開ける。
「おはよ」
「……ぉはよ」
優しい顔をして笑う傑。
私は手を伸ばして傑の頬を撫でる。
その手に頬を擦り、大きな手で私の手を押さえながら手のひらに口付ける姿はどこぞの俳優かと聞きたくなる。
「傑」
「なに?」
にこにこと笑っている。
この傑が大好きで……私のモノであって欲しい。
「結婚しよ」
「……は?」
「え?待って、私何言った?」
ポロリと出た言葉に口を押さえるが傑はポカンと口を開けて見ている。
自分でも驚いてしまうくらいそんな気は無かった。
イケメンだなぁ、くらいの気持ちだったのに……どうした私の口!!!
「待って。なし。チェンジ」
「誰と」
「は?結婚?はぁ!?」
「言ったの名前だよ」
「ないわ」
「普通に傷付くんだが」
ムスッとしながら私の頬をつねる傑。
離れようとするがガッチリ腰を捕まれて動けない。
「貰ってくれるの?私を?」
「えー」
「引き取ってよ。もう名前無しじゃ生きられない」
「傑まだあと2年あるじゃん」
「うん。だからあと2年……まずは一緒に居てよ」
私の両手を持ち、左指の薬指にキスをする。
「私が18になったら、また言って?」
頭を傾げて上目遣い。
この男……自分の魅せ方がわかっていやがる。
「……普通逆じゃない?」
「今まで私が追い掛けたんだから今度は名前が追い掛けてくれてもいいだろ?」
「う"っ…」
ニヤニヤと笑う傑はタチが悪い。
だが……認めてしまったので仕方ない。
「愛してるよ、名前」
抱き付いて、何度もキスをしてくる傑。
私からも傑の唇に唇をくっつけて笑う。
「私も傑を愛してる」
あとがき
長らくお待たせしてしまいました!
あまーーーーいって話を書きたかった。
エロは未熟のまま。
ほのぼのと何年経っても一緒に居られる関係を目指したい。
もう少しお付き合い下さい。
濃い目の隈をそっと撫でる。
触っても起きない程ぐっすりと寝入っている傑の腕から抜け出して下へ。
おばぁちゃんとおじぃちゃんに挨拶して、今日の学校は休ませて貰う。
「どこか具合が悪いの?」
「傑が来てるんだ。ごめんね、夜中に勝手に上げちゃって」
「………大丈夫なのか?」
おじぃちゃんは眉間にシワを寄せながらも心配そうに此方を見ている。
おばぁちゃんも何かあるのかと言いたそうだが私は曖昧に笑う。
「大丈夫ではなさそうだから……今は傑の側に居させて」
「学校には連絡しておくわね」
「ありがとう、二人とも」
何も聞かずに居てくれる二人。
私はそのまままた上に戻ると傑がボーッとしながらベッドに座っていた。
「おはよ。起きてたの?」
「……名前が、居なくなったから」
「ごめん。おじぃちゃんとおばぁちゃんに今日休む話してきたの」
「………」
「傑は?学校どーするの?」
「………」
「竈門さんに連絡しておく。
五条さんや家入さんよりは竈門さんの方が融通きかせてくれると思う」
「すまない…」
華ちゃんに連絡するとすぐに心得たぁ!!って返事が来た。
ボーッとしている傑の手を取る。
「まずはお風呂入っちゃいな」
「臭う?」
「何も考えず名前さんに任せなさい!」
「それはそれで怖いなぁ」
クスクス笑いながらも大人しくついてくる。
まずは風呂場に傑を突っ込む。
そして傑用のスウェットや下着を持って来ておき、制服は洗濯機へ。
そのまま私は腕捲ってズボンは脱いで下着姿で入ればギョッとした傑が。
「名前!?」
「頭流しまーす」
まだ濡れていなかった傑に問答無用でシャワーをかける。
そのまま長い髪を濡らして私のシャンプーで洗っていく。
「痒いところは?」
「もうちょっと右……そこ。あと左側はもう少し全体的に 」
「ガッツリ言うじゃん」
「聞いたのは名前だろ」
満足するまで頭をマッサージして流し、コンディショナーもつけて流し、流さないトリートメントをつけておく。
泡立てまくった泡をつけて背中を洗っていく。
「前は?」
「やっていいの?」
「……いや、我慢出来なくなりそうだからいい」
ささっと洗い流す傑。
先程部屋に戻る前に追い焚きしておいた風呂はいい感じに暖かい。
縁にタオルを敷いて座り足だけ浸かる。
傑がじっと見てるので入れと告げれば大人しく入って私の太腿の間に身体を割り込ませてきた。
「傑、頭」
「濡れるよ?」
「着替えるから平気」
此方を向く傑の目元に濡らして温かなタオルを乗せる。
そのまま頭や目元、肩や首を素人だが揉みほぐす。
「あ"ぁ"……」
「気持ちいい?」
「うん……気持ちいい」
「寝ちゃ駄目だよ」
「うん……」
「おや、やばいなコレ。ほら、上がるよ」
お湯から足を抜こうとするがガッチリ捕まれている。
太腿をもちもち触っていたと思ったら吸い付いてきた。目元を温めていたタオルを取ってこちらを見上げる姿は控えめに言ってもエロい。
16歳が出していい色気じゃないだろ。
「今興奮してるだろ」
「してません」
「嘘。此処、エッチな匂いしてる」
「っ!!」
体勢を変えて太腿を開くように押さえられ、下着に鼻を擦り付け始めた。
じゅわり、と濡れてしまう下着を何度も鼻を押し付けわざとスーハーと音を聞かせるように吸い込む。
「やめなさいって」
「勃った」
「二人いるっつの」
「先っぽだけ」
「それ絶対信用しちゃいけないやつじゃん」
鼻先で器用にクリを擦ったり押し潰す傑の目は完全に獣みたいだ。
待てをしているのはどちらかわからない。
少しずつ高まっていく体温と性欲。
「少しだけだよ」
「傑……」
「こんな姿で一緒に入ってくるから」
「待って」
「ねぇ、お願い。少しだけ」
目を細め、唇で下着越しにクリを食む。
刺激とエロさに……ボタボタッと傑の顔に落ちた赤。
「「…………」」
スンッ、と表情を無くす傑。
鼻を押さえる私。
「ごめん」
「上がろ」
シャワーで血を流す傑を置き去りに私はティッシュを取りに部屋へ行く。
ズボンだけを履いてタオルで頭を拭いている傑が戻ってきたので、半裸の裸体をじっとりと見つめる。
「変態」
「逆上せたの」
詰め物をする間抜けな顔を見せたくはないので圧迫しながら待てば止まってくれた。
ポタリポタリと滴が落ちる傑の髪。
肩や胸や背中を濡らし、つぅ……と流れ落ちる。
呼吸するたびにポタポタ落ちる滴を見ていると……こう…
「舐め回したいな」
「は?」
「………ごめん。ナンデモナイ」
やばい。欲望が飛び出た。
いけないいけない、と思考を呼び戻す。
濡れた下着を替えるべく新しい服を出そうとタンスの中を覗いた時、ピチャリと感じた生暖かなぬめりと動く何かが太腿から上へ上がっていく。。
尻をわし掴まれ、親指は濡れた下着をズラしている。
後ろを振り返る前に再びピチャリ、と今度はゆっくり秘部へと感じる生暖かなもの。
「傑っ!?」
「うん?」
「な、に……んんっ、し、てっ」
離れようとしても後ろから押さえられて動けない。その間にもピチャピチャと子猫がミルクでも飲んでいるかのように無言で陰核を舐めている。
「や、めッッッ」
ビクンッ、と軽く達してしまった。
腰が抜けて座りこんでしまう。
達した余韻に浸っていれば真後ろから覆い被さってくる傑によって押し潰されるように抱き締められる。
「はぁぁあああ……ヤりたい」
「ぶっちゃけすぎじゃん」
「今すぐ穴に突っ込んであんあん言わせながらおっぱいわし掴んで奥の奥に突っ込んでグリグリしながらイきたい」
「やめて。お尻に当てないで」
「先っぽだけは?」
「ふざけんな」
呼吸を整えて傑の前髪を引っ張る。
二人で起き上がり、今度こそ下着を取り替える。
朝から何故こんなにも疲れなければならないんだと思いながら傑を連れて下へ。
ほかほかの温かなご飯が並べられていて傑を座らせて自分と傑の分の箸などの準備をする。
おじぃちゃんもおばぁちゃんも何も言わずいつもと変わらない。
穏やかなご飯が終わり、傑と庭でボーッとする。
「……暇だ」
「暇だねぇ」
2人でボーッと庭を眺めるだけ。
そりゃ暇だ。
ゴロンと私の膝に寝転ぶ傑に猿のように枝毛を探し初めてみた。
「ねぇ、名前 」
「んー?」
「私の事好き?」
「おう、大好きだ」
「……そっか」
「傑は?」
「……愛おしいよ」
「ありがと」
思っていたより枝毛がない。
よしよしと大型動物を撫でる気持ちで頭を撫でる。
「名前」
「なーにー?」
「もし、私が……名前を殺そうとしたら?」
「呆気なく死ぬね」
「名前が恐れていたように、私が名前を殺してしまったら……キミは、どうする?」
不安です、と顔いっぱいに書かれた表情で私を見上げる傑。
「名前が好きだ。
昔から私は名前しか見えていなかったし、今も閉じ込めて依存させて逃げ出さないように囲いたい。この気持ちに嘘は無い」
「うん」
「最近はちゃんと私を選んでくれて嬉しい。
けど……ごめん」
怪しい雰囲気にドキドキしてしまう。冷静になるんだ、私。
「猿に見えた」
どこで貰ってきたんだそのフラグ!!!!!
甚爾さんいなかったのになんで????
「水瀬……前に会った後輩がいたろ?」
「うん」
「あの子は私だ」
何をやらかしたんだ後輩!!!!
「私は唯一を決めている。
決めていたはずなのに……揺らいだんだ。ごめん」
「……うん」
「非呪術師はどうでもいいが……名前までどうでも良くなりそうなのが怖い。
私は……キミを……」
ちらつくコロコロ√。
覚悟を決めたとはいえ……ぶっちゃけると怖い。
「………ごめん。好きだよ。離れないで」
「もう呪術師辞めたら?」
「……それ、は」
「そもそも何で呪術師やってんの?」
「名前を、守りたくて…」
「ならもう良くない?」
「だが、」
「私は傑が好きだから一緒に居たい。
が、正直殺されたくは無い。
けど傑になら殺されても仕方ないって受け入れるが死にたいわけじゃない」
難しい顔をしながら表情を歪ませて困っている傑の髪を撫でる。
……伸びたなぁ、とサラサラ流れる髪をすく。
「私の為に呪術師やってるなら辞めていいじゃん。
傑は十分強いし、嫌なこと無理矢理命令されて疲れるくらいならしなくていいよ。
むしろ私の為を思うなら私の隣に居てよ」
「けど、そんな簡単には……」
「16歳の子供がやらなきゃ駄目な世界ならもっと前に滅んでるっつの」
「……私、は」
「……って軽々しく辞めて来いって言えれば傑もここまで悩まないよね」
よーしよし、と撫でる。
簡単に事を起こせるのは覚悟を決めた奴の特権だ。
「なんとなくだけどわかるよ。
どんなに力があってもそっちの世界にはそっちの掟があるんでしょ?
軽々しく抜けられるなんて思って無い」
「……名前」
「だからこれは私の一人言」
傑と話さないからすれ違う。
わかった気でいたって私は傑じゃないし、傑は私じゃない。
言葉にしてぶつかって、それでも納得出来なかったら私らは拳で語り合うような仲だったはずだ。
「……そっちの世界で大切な理解者や同期や後輩や先輩らが出来たのは良いことだよ。
私が理解出来ない部分を共有出来て、傑は一人じゃなくなり世界が広がって……凄いムカつく」
「え…?」
「傑にも、そっちの世界の人々にも」
傑と対等でいたかったのに。
私達は違う生き物のように分けられる。
「そのせいで傑が壊れていくなら私は見逃したくない。
そいつらを大切にするのは良いことだよ。でも、そのせいで振り回されて傑が私を見なくなるなら……傑と居させて貰えなくなるのは好きじゃない」
私は多分嫉妬していたんだ。
ずっとずっと。
幼かった時から。
現実は見えない。
そんな世界があること。
そんな裏側があること。
そんな地獄があること。
私の知らない世界を傑だけが知ってる事に嫉妬した。
何時だって対等に並びたかったのに、傑だけが進んでいくもどかしさが嫌になっていった。
生き残りたいが……それ以上に私は。
傑と居られない事に
傑と対等じゃない事に
傑より劣ってしまう事に嫉妬している。
「私が猿に見えるなら私が傑と対等で居る努力を辞めてしまったからだ。
ごめん……謝るのは私の方」
嫉妬しているくせに諦め、努力を辞めた私は傑を責められる資格などどこにも無い。
「ごめんね、傑。
私が弱すぎたから悩ませた」
「……名前」
「だからと言って殺されたくは無いんだが、どう頑張っても戦力に差がありすぎる」
「言い方」
「負けてはいるが、気持ちと態度は対等でいたい乙女心」
「……乙女心か?それ」
ふはっ、と笑う傑。
ぐにぐにと眉間のシワを指先で伸ばす。
「傑は私のなのに私以外を優先させようとするなんて腹が立つじゃん。
これって立派な乙女心でしょ?」
「………」
「世界の為に、仲間の為に、なんて戦わないでよ。
傑は弱いんだから私に守られて側に居て。
そして強い傑が私を守ってて欲しい。
私の全てをあげたのに、傑の全てが私のじゃないなんて不公平じゃん」
傑にも見せたことがない、私の闇。
「まぁ、そんな事言っても結局は私の実力不足だからね。
煮るなり焼くなり好きにしなさいな」
「………」
「言ったでしょ?私は選んだって」
「名前」
「惚れた男のやることに口出せないよ」
最後の足掻きに本音を愚痴るくらい許して欲しい。
「口出せないから、呪わせて」
呪術師でもなく、非呪術師でもなく。
ただの男と女として
「傑の心に住み着く女は私だけにして」
この先、貴方が道を違えても。
貴方に家族が出来ても。
貴方を慕う者達が集っても。
「私以外に目を向けないで。
私以外の女を心に住まわせないで。
私以外の女と将来を誓わないでっ!!」
ぽたり、ぽたり。
傑の顔に落ちていく雫。
傑が目を見開いている。
「傑が変わってしまうなら私の知る傑を持って逝くから。
私の、大好きな傑の手で終わらせて」
この恋心と共に
貴方の心を持って逝くから
貴方の手で終わらせて。
……なんて、自己中心的で最低な奴。
落ちる涙を傑は何度も拭ってくれた。
後頭部を引き寄せ、腹筋だけで楽々と起き私の唇に重ねる。
「……ごめん」
「何の謝罪?」
「勃った」
「なぜ?」
「そんな告白されて……嬉しくない奴いないだろ」
ふにゃり、と顔を緩ませて笑う傑。
何度も何度も唇を押し当ててくる。
「私、傑の嫌いな猿だよ」
「……よく考えたら私、元から名前以外の奴ら家畜か猿にしか見えてなかった」
「え?」
「家族も、友達も、先生も……みんな私を嘘つきで異端な扱いをしていたから」
よっこいせ、なんてジジクサイ掛け声で起き上がった傑は私の隣に座り込む。
手を握ってボーッと庭を見つめる。
「名前だけ居ればいいって思って居たのに……いつの間にか、こっちの世界に染まって大切なものが増えていたんだ。
ごめんね……」
申し訳なさそうに眉を下げている。
そもそも傑に呪術の世界に行けと背中を押したのは私だ。
呪術の世界で傑は必要だと思っている。
私の、だと言いながらも傑は呪術界の方が息をしやすいのだとわかっている。
が、それは私の一方的な考えだ。
「名前と同じ世界で歩むには私は汚れすぎた。
私はどんなに普通を装っても呪術師であることを誇りに思うし、辞めたいと思えない」
「うん」
「呪術師にもクソは多いが、それ以上に非呪術師のクソさを受け入れたくはない」
「うん」
「そんなクソ共に名前を渡すなんて絶対に嫌だ。
だから何度も何度もどうにかして名前を引き込めないかと考えた事もあって試したけど……」
「んん"?」
今不穏な言葉が聞こえたよ?
試したっつった?
「名前は全く素質がないとわかった」
「そ、そっかぁ…」
「それでも、手離したくなかったんだよ。
名前が私の唯一無二だから。
なのに……私は馬鹿だね。
名前よりも呪術師を優先しようとした」
コテン、と身体が痛くなりそうなのに私の頭に頭を乗せてくる。
「私の唯一が揺らぐ程、優先する事じゃないのに……ごめん。余裕が無かった」
落ち込んでいる傑に寄りかかる。
昨日のように触れられなかったり、拒否されることはない事に少なからず安心した。
「傑」
「ん?」
「私はさ、何年経っても傑とこうして並んでいたい」
おじぃちゃんとおばぁちゃんみたいに……
何年も一緒に連れ添いたい。
「傑と言い合って、笑って、怒って、呆れながら……傑の一番は私で、私の一番は傑がいい。
誰かの為に傑を犠牲にしないでよ」
「………うん」
「傑は?どうしたい?」
「名前と、居たい」
「じゃあ居ようよ。離れないで」
傑は私を抱き寄せて何度も謝った。
またボロボロと涙が出てきた。
傑も同じように涙を流して……2人で泣いた。
泣き止む頃には2人とも鼻の頭が赤くなっており、お互いの顔を見て笑った。
「名前、出掛けようか」
「この顔で?」
「学生らしくお揃いの服着てプリクラ撮ってご飯食べよう」
「傑服学ランじゃん」
「買えばいい。ダッサイ格好で2人で歩こう」
「ダサい服に出すお金無い」
「私が出すよ。金はそこらの奴らよりあるからね」
「ヒューっ、金持ち!」
おばぁちゃんとおじぃちゃんに言って2人で手を繋いでスウェットで出掛ける。
途中スポーツショップで2人分の新作のadi○asのジャージを購入し、その近くで白い大きめのTシャツを買った。
そのまま楽しくなってゲーセンに入り、プリクラを撮った。
モデルのポーズを真似して、最後はチュープリ。
2人でそれぞれ書き込みバカップルよろしくスタンプとハートだらけ。
お互いの携帯の裏に貼り付けた。
「名前、そこ入ろう」
「めちゃくちゃブランド店じゃん」
「しっかりした物の方がいいだろ?」
GU○CIの指輪を見始めた傑にギョッとし、傑が一番高いものを勝手に選ぼうとするのでお互いにアレがいい、これがいいと希望を話してお揃いの指輪を購入。
しっかり指を絡ませればお互いの指に光る指輪。
「これ、一生他の人には買って貰えない気がする」
「他の奴から貰う気かい?」
「さぁ?」
「駄目。どの指も私のだから」
夕食は焼き肉。
二人で色々話した。
甚爾さんの事、バイトの事、学校の事……。
傑も呟くように自分の事を話した。
お腹がいっぱいになる頃にはお互い話せてなかった事が思っていた以上にあったんだと思った。
再び手を握ってお店を出る頃には日が落ちている。
「名前、梅さん達に今夜は遅くなるって連絡しておいて」
「いいけど……泊まり?」
「うん」
おばぁちゃんに話せばゆっくりしておいで、と言われた。それでいいのか……と思ったものの、帰ったら2人ともおじぃちゃんからお説教だと笑いながら言われた。
「どこ行くの?」
「良いところ」
人混みの多い満員電車に乗って、傑が周りから潰されないようにと囲ってくれる。
私はニヤニヤしながら傑の腕にキスをしたりすり寄ればクスクス笑いながらうなじにキスをする傑。
イチャイチャしていれば周りからジト目で見られたが気にするものか。
降りたのはまさかのみなとみらい。
「おぉ、カップル達の楽園じゃん」
「ベタかもしれないが好きだろう?」
「好き!!」
傑と何をするわけでもなく歩く。
「そろそろ行く?」
「?」
「ホテル」
「……は?」
「さっき電話で予約したんだ」
くすり、と笑って手を引かれる。
そのまま傑についていけば……大きなホテルが。
ポカンとしてあちこち見ながら受付を済ませた傑と案内役の人が来て最上階へ。
豪華な夜景に大きなダブルベッド。
「………」
「あれ?嬉しくない?」
「豪華過ぎて学生のデートじゃなくない?」
「まぁ、普通じゃない金額稼いでいるからね」
おぉ、と夜景を眺めていれば後ろから抱き絞められる。
「ごめん。私は呪術師を辞められない」
「……わかってる」
ぎゅっ、と強まった傑の腕に触れる。
「耐えられなくなる時もあると思う」
「うん」
「……カッコ悪くても、いいかい? 」
「傑のダサいとこも含めて好きだよ」
ありがとう、なんて言いながらすり寄る傑。
もぞもぞと腕の中で動き身体を反転すれば傑の顔が見えた。
「傑が逃げたくなったら私が連れ出して一緒に逃げるよ」
「それは……心強いな」
重なった唇。
互いに見つめれば……あとはもう…。
雑に脱ぎ捨て散らばった衣類。
クチュクチュと濡れた穴を出入りする陰茎。
月明かりに照らされた光は思いの外明るい。
下を見下ろせば人工的な光がチカチカと輝いていて綺麗だ。なのに、そんなものより私が今夢中になっているのは己の奥を犯す陰茎に声が止まらない。
「アッ、ンンッ、す、ぐるっ!ィ……クッ」
「名前っ」
ドクドクと流れてくる温かさと、奥へ擦り付けるように小刻みに動く腰。
ズルリ、と抜かれれば身体がブルリと震えてしまう。
ガクガクと震える足は使い物にならず腰が落ちるが傑によって片腕で腰を抱えられているので床に膝をつくことはない。
白濁した精液入りのゴムを取り外し、近くのゴミ箱に捨てればボーッとした私を抱き抱えてベッドへ運んでくれる。
近くなった顔に顔中キスをすればくすぐったいと笑って唇を食む。
そのまま傑も寝転んできたので首に腕を回してより深く唇を押し付け舌を入れる。
お互いの舌を絡ませ、唾液を混ぜ、飲み込むといつの間にかゴムを着けた傑が私の足を開いて穴へと陰茎を埋めていく。
「んっ、気持ち、いいっ」
「私も、だよっ」
お互いの隙間を埋めていくように。
「あっ、あっ、ああっ!!す、ぐるっ傑っ」
「ここ、好きだよね。
カリが奥に引っ掛かったのをこうして……んっ」
「アアアアッ!!」
グリッと奥を抉るように。
子宮の入り口の管への穴を広げるかのようにグリグリとしては前壁にゴリゴリ押し付けられる。激しい動きじゃないから余計に感じられて何度もイかされる。
こちらは涙やお互いの涎や汗で汚い顔をしているというのに傑は頬を赤らめながらうっとりと目を細ませ舌舐めずりをしている。
その表情だけでギュッと中を締め付ければますます嬉しそうにしながら体重をかけて抱き付いてくる。
「本当……私のこと、大好きだよ、ねっ」
「あっ、しゅきっ。すぐるっ、しゅきぃっ」
私が気持ち良くなればなるほど傑も気持ちいいらしく、締め付ける度苦しそうな顔をしているが余裕を見せようとしてくる。
その余裕が嫌でわざと耳を口に含んで……傑のピアスを舌で引き抜く。
拡張されたピアスを口から出し、開いたピアスホールに舌を入れて耳元で音を立てながら舐めたり甘噛みしたりする。
「んっ、す、ぐる……もっと」
はぁ、と耳に吐息と共に呟けば中のモノがぐぐっと大きくなってピュッ、ピュッと温かなものが広がっていく感覚。
「……名前」
「ふふっ、傑……耳、弱いよねぇ」
ジロリと見てきても怖くはない。
優位になんてさせるものかと傑のまだ萎えていないのに出してしまったゴムを抜きながら外す。
新しいゴムを手に、傑と位置を逆転する。
下に仰向けになる傑の勃った陰茎にゴムを被せて跨ぎ、傑に見せ付けるように挿入していく。
「傑が私の弱いとこ知ってるように」
「んっ、まって……名前ッ、あっ」
「ぁっ、んんっ、わ、たしも……傑の弱いとこ、知ってるの」
奥の奥。
気持ち良さに身体が震えれば傑も耐えるように歯を食い縛っている。
先程中途半端に射精したから快感に弱いのだろう。
グリグリと先が奥を刺激すれば……私も傑もお互いに感じ合う。
「ふふっ、気持ち、いーね?」
ペロッと唇を舐めればそれだけで中の陰茎が大きくなる。
「いっぱい、食べて?」
「勿論」
私達は求めあって貪りあった。
気付けば朝日によって眩しさに目を覚まし、身体のダルさと眠気で目が開かない。
隣で眠る温かさにすり寄ってもう一眠りしようとしたが傑も起きたのか頭を撫でてくるので目を開ける。
「おはよ」
「……ぉはよ」
優しい顔をして笑う傑。
私は手を伸ばして傑の頬を撫でる。
その手に頬を擦り、大きな手で私の手を押さえながら手のひらに口付ける姿はどこぞの俳優かと聞きたくなる。
「傑」
「なに?」
にこにこと笑っている。
この傑が大好きで……私のモノであって欲しい。
「結婚しよ」
「……は?」
「え?待って、私何言った?」
ポロリと出た言葉に口を押さえるが傑はポカンと口を開けて見ている。
自分でも驚いてしまうくらいそんな気は無かった。
イケメンだなぁ、くらいの気持ちだったのに……どうした私の口!!!
「待って。なし。チェンジ」
「誰と」
「は?結婚?はぁ!?」
「言ったの名前だよ」
「ないわ」
「普通に傷付くんだが」
ムスッとしながら私の頬をつねる傑。
離れようとするがガッチリ腰を捕まれて動けない。
「貰ってくれるの?私を?」
「えー」
「引き取ってよ。もう名前無しじゃ生きられない」
「傑まだあと2年あるじゃん」
「うん。だからあと2年……まずは一緒に居てよ」
私の両手を持ち、左指の薬指にキスをする。
「私が18になったら、また言って?」
頭を傾げて上目遣い。
この男……自分の魅せ方がわかっていやがる。
「……普通逆じゃない?」
「今まで私が追い掛けたんだから今度は名前が追い掛けてくれてもいいだろ?」
「う"っ…」
ニヤニヤと笑う傑はタチが悪い。
だが……認めてしまったので仕方ない。
「愛してるよ、名前」
抱き付いて、何度もキスをしてくる傑。
私からも傑の唇に唇をくっつけて笑う。
「私も傑を愛してる」
あとがき
長らくお待たせしてしまいました!
あまーーーーいって話を書きたかった。
エロは未熟のまま。
ほのぼのと何年経っても一緒に居られる関係を目指したい。
もう少しお付き合い下さい。