幼馴染は生き残りたい
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珍しく早起きをしてしまい……朝の一服をしていれば、朝帰りでニコニコとスッキリした顔の夏油。
「おはよう、硝子」
「はよ」
「私の彼女が世話になったみたいだね」
「仲直りしたのか?」
「あぁ」
にっこりにこにこ。
ご機嫌な夏油にこれはこれでウザいな、と顔を歪めてしまう。
「お盛んだな」
「シてないよ。今回は。仲直りしただけ」
「……あの子でいいのか?」
「名前だからいいんだよ」
珍しくポケットから煙草を取り出した夏油。
口に咥えた煙草を何を考えているのか顔を寄せてきた。
煙草同士をくっ付けると夏油の煙草にも火がつき、口から煙を吐き出す。
当たり前のようにシガレットキスを行う目の前の男に呆れてしまう。
「ライター使えよ」
「こっちのが早い」
「後輩見てんぞ」
「見せつけてるんだよ」
朝のランニングか飲み物を買いに出たのだろうか?朝早くに夏油を見付け、嬉しそうな顔で駆け寄って来ていたのに。
近付いて此方に気付いた途端顔を歪める。
今年入った可愛い顔をした後輩の一人。
元気で明るく人懐っこい子なのに……男の趣味は悪かった。
夏油に恋をし、彼女がいると知って早々に諦めようとしていたが……タイミングがいいのか悪いのか、夏油と幼馴染の彼女が喧嘩をした。
面白がって煽った部分はあるものの……後輩は本気で夏油とどうにかなろうと必死になった。
私達との飲み会を理由に酔って夏油に色目を使ったり、夜這いするくらいには見境が無くなっていった。
夏油は後輩に背を向けたまま。
私と目があっているのに歩みを止めている。
澄みきった清々しい朝だというのに……わざとらしく後輩に聞こえる声量で話す。
「私にとって名前以外の女はどうでもいいよ。
……あぁ、硝子と華は別だ。
女の子、っていうより仲間だからね」
「クズが」
「水瀬は可愛いと思うよ。後輩としてならね。
女としては必要無いな」
私が顔を歪めても、ご機嫌な夏油は何も感じないらしい。
水瀬がショックを受けながら悲しい顔で後退りしていく。
「可哀想に」
「硝子こそあの子を庇わないのかい?」
「女出して私や華にまで敵意向けてくるとな」
悔しそうに顔を歪めて何処かへ行く水瀬。
可哀想だとは思うが、逆恨みは間違いだろ。
「キミ達が面白がって煽るから」
「私らのせいにするな。元はと言えばオマエが彼女に妬いて欲しくて馬鹿な事したからだろ」
「私が縋る形となったのは不本意だが……堕ちて来てくれたから結果的には良かったよ」
にこり、と笑う夏油。
距離を置いたり逃げ出そうとする彼女を捕まえたくて、彼女が大変だったであろう学校での出来事を利用し、怒ったフリをした糞野郎。
連絡をあえて無視したり、冷たく返してみたものの……本当に連絡が来なくなり全員で指差して笑った。
最初は面白がっていたものの、それが続くと此方に八つ当たりを始めたクズ野郎。
面白さが半減していき、華と共に彼女に話を聞きに行ったら………思っていた以上にクソな彼女だった。
以前、五条と共に会いに行った時はまともそうだと思い、皆で会いに行った時は抜けてる子だと思っていたが……よく話すとただのイカれた女だった。
夏油の重たい感情から引き離した方がいいと思っていたが、彼女も彼女でサイコパスな考えの持ち主だったので放っておくのが一番だと思った。
あの華が気に入っているんだ。
そしてこのクズの彼女だ。
なぜ私も五条もあの彼女が普通だと思い違いしてしまったのか。
「一線引いていた理由が人殺しになるかもしれないから怖かった、だなんてね」
「聞いたのか」
「うん。私と距離を置こうとした理由が犯罪者になってしまうことを恐れて、それによって変わってしまう私が怖かったみたい。
それでも私が手離さない限り、私が大好きだから離れないだなんて……困っちゃうよね」
「全く困った顔してないだろ」
「硝子や華に迷惑かけてしまって怒られたと凄く反省していたよ」
「ほぉ…」
「馬鹿で可愛いよね」
「そこで惚気られるオマエは凄いな」
イカれてんな、と思って聞き流す。
普通は怒ってもいいところだ。
「何であの子がいいんだ?
幼馴染とはいえそこまでのめり込む魅力があると思わない」
顔は可愛いと思う。
男に媚びるタイプでもないし、サッパリしている。
話し始めは少しぎこちないが、話しているとどこにでもいる、話しやすいタイプだ。
体つきはエロいが夏油が必死になる程の人物か、と聞かれると……
「オマエなら都合のいいヤらせてくれる女の一人として扱うタイプの相手だろ。
むしろ、オマエみたいなクズが大事にするのは水瀬みたいなタイプだと思うんだが」
頑張り屋で、素直で、人懐っこく、少しドジで、一途。
恋愛漫画なら水瀬はヒロインだ。
幼馴染の彼女より夏油を想い、大切にし、幸せになれそうだ。
「んー……まぁ、確かに幼馴染じゃなければ名前より水瀬の方が恋人としてはいいかも」
「だろ?」
「けど、水瀬と居ても私は幸せになれないだろうね」
「?」
「あの子は私に正しさを求めるだろ?
正しくて、優しくて、少し意地悪な……火遊びしたくて悪い男に引っかかる純粋な子だ。
悪い事に憧れてしまう典型的ないい子だよ」
「確かに」
「普通ならあの子の素直さに悪い男も心を入れ変えれるんだろうね」
王道の恋愛漫画ならきっとそうなるのだろう。
今回は相手が悪かった。
王道に当てはまらない……手の施し様もないクズが相手だったのだから。
「名前は私に正しさを求めていない。
むしろ、悪いことするならわからないようにやれってタイプだし。
悪い事をしても、仕方ないなって受け入れてしまうんだよ」
「甘過ぎだろ」
「馬鹿だよね。
……何をしても、受け入れて否定しない」
クスクスと笑いながら、短くなってしまった煙草を地面に押し付けて火を消す。吸殻はポケット灰皿へ。
「対等で居ようとしてくれるんだ。
明らかに弱いのに、私の事を守ろうとする。
……それに何度も救われてきた」
「………」
「幼馴染じゃなければ……
見た目だけの頭が足りない女なら都合のいい女の一人だったろうね」
「オマエに捕まらなければ普通に生きられたって事か」
何をどうしてこの可愛げの欠片も無い男を甘やかすのか……。
理解出来ないし、理解したくもないが。
お人好しな甘やかし上手と
甘えたがりな構ってちゃん
偶然にも理解してしまった幼馴染が夏油によって囲われ、捕らわれた。
逃げ出そうとしてももう遅かった……ってところかな。
「水瀬もお人好しだが、正義感に溢れてる。
正しくあれ、正しくあるべきだと押し付けられるだけの一方的な正義は私には荷が重すぎる」
「クズ根性が少し改善されるかもしれないだろ」
「正しさだけじゃ救えないし、救われないよ。
現に、私のような一般家庭で育つ呪術師は周りから理解されないし、出会いがなければ一生迫害される」
「まぁな」
「力の使い方1つで善にも悪にもなるからね。
……名前が犯罪に賛成しているわけじゃないよ?
人を殺すのはいけないこと、とハッキリしているのに……」
理解する事と許す事は似ているようで違う。
水瀬は悪を許せない。
幼馴染は悪を理解した上で受け入れる。
「オマエが犯罪者になるのは怖いけど、なったらなったで受け入れるとでも?」
「多分ね。
万が一私が名前を殺す事になっても悪あがきせず名前は受け入れると思うよ。
最後の最期まで私にダメ出ししながら……地獄で待ってるとか言いそう」
「……それはタチが悪いな」
「ふふっ。だから私は名前が好きだよ。
絶対に私の味方でいてくれる、唯一だから。
名前がいなければ……私は水瀬と同じ考えだっただろうから」
呪術師は非呪術師を守らなければならない。
弱きを助け、強さを挫く。
「勿論水瀬の正しさを否定するつもりはないよ。むしろ、私も賛同してる。
けど、いつかは自分に限界がくる。
……悟ほど極端で自由過ぎても周りが納得しないけど」
「アレは論外だろ」
「一般論の正しさは持ち合わせているが、私も人間だからね。
全てを救おうとか、全て救えると過信しているわけじゃないし、救える者の中でも厳選する。
嫌なものを救おうとするほど優しく正しくはないだけ」
「嫌なら救える者であろうと救わないって事か」
「嫌だなぁ、硝子。
救うつもりでも優先順位を迷っている間に救えないってだけさ」
それ、結果的には救う気が無いって事だろ。
厭らしいクズ具合に呆れてしまう。
モノは言いようだ。
五条より幾らか真面目な方である夏油だが、ぶっ壊れているのは夏油の方だ。
五条は呪術界で育ち、呪術界の規定をよく理解した上で反抗をしているが、規定内。反則ギリギリか、少しアウトだけど上手くやれる許容範囲。
だが夏油は規定を理解した上でしっかり守る。が、規定を破るならガッツリ破る。
同じアウトでも夏油の方が手に終えない。
「名前は馬鹿だからね。
内に入れた人間には甘過ぎるんだ」
「それを良いように利用して甘えてるのか」
「それが許されるから心地良いんだよ。
無理しなくてもいいと思えるから。
無理すれば逆に怒られるんだ」
「お暑いな」
「ふふっ。ラブラブだからね」
一般的には水瀬の方がいいと思う。
同じ世界が見える理解者でありながら、共に同じ苦しみを、罪を背負っていける。
言い方は悪いが傷の舐め合いに適している。
理解はしても絶対に関われない……本当の意味で理解など絶対に出来ない非術師の幼馴染よりはお勧め出来る。
だが、逆を言えば……
同じ立場だからこそ、同じ志で居ろと。
同じ世界が見えるから普通には戻れないと。
逃げられない。逃がさない。
陽の光りなど当たらない闇の世界で歩めと言われている気もする。
どちらも正しく、どちらがいいか……なんてわからない。
「私の世界を作り上げたのは名前だから。
今さら正しくあれ、なんて面倒でね。
やっと懐いた手のかかる猫に夢中だから遊びも、余所見もしている暇なんか無いのさ」
「イカれたカップルで似合いだよ」
「ありがとう。
硝子も馬鹿な名前を嫌いじゃ無いだろ?」
「まぁね」
数回しか関わっていないが……独特の雰囲気がある。
弱く、頼りないかと思えば大胆で。
まともかと思えばイカれていて。
もしも見えていたなら……いい仲間になれただろう。
「良くも悪くも居心地が良すぎるのは良くないな」
「だろ?」
イカれてるし、時々イラッとはしたが……嫌いじゃない。
夏油の言う、内に入れた人間にでもなれば幼馴染は私でも、華でも、五条でも……恋愛抜きで甘やかすのだろう。
何をしても、注意はされるが怒ることは無い。
良いことも悪いことも最終的には仕方ないと受け止めて貰えるのなら……自分の味方でいてくれる存在が苦になるわけがない。
怖がっても離れず、打ち明けて対等でいてくれる。
「今度1日貸せよ。華とねっちょり絡んでハマってやる」
「嫌だよ。硝子に堕ちたら勝てないだろ?」
「女子もありなのか?」
「あり。けどスケベだから満足しないで浮気するかもね」
「負けると思って無いだろ。
私に取られても結局はオマエに唆されて取られそうだ」
「わかってるじゃないか」
一度その甘さを体験してみたいところだが、逆にのまれそうだ。
それはそれで面白く無い……が、そもそも目の前の男が許すとは思わないが。
それならば、ほどよい今のような距離感で2人をからかうネタ探しをした方が楽しいだろう。
こんな重たい感情を持つ男を敵に回してまで、敵意を向けられる当事者になるのはごめんだ。
「さて……一度着替えてくるかな」
「また行くのか?」
「うん。久しぶりに朝送ってやれるから」
「あっそ」
大きな欠伸をしながら寮へ戻る夏油。
「馬鹿だな」
逃げるなら、本気で逃げれば良かったのに。
中途半端に絆され受け止めるから後悔する時にはもう遅い。
「しっかり囲われた後で逃げようとする方が無理に決まってる」
まだ、朝は早い。
もう一本吸ってからゆっくり準備しよう。
新しい煙草に火をつけて、肺まで吸い込んだ。
朝早くに傑は出ていき、登校時間になると家の前に居た。
「おはよ」
「おはよう、傑」
久しぶりに手を繋いで一緒に歩く。
昨日は2人で引っ付いて寝ただけなので、最近あったどうでもいい事を話す。
学校で不良の彼女だと噂が立っている事。
バックにデカイ組織があると噂されている事。
駅前に新しくクレープ屋が出来たこと。
パンケーキを食べてみたいことなど……
傑は楽しそうに相槌を打ってくれた。
あっという間に駅までついてしまい……まだまだ話したり無いが、行かなきゃいけない。
「名前?」
「……あのさ、傑」
「何だい?」
「今日は……任務とか、大事な用事ある?」
「んー…学校行かなきゃわからないけどどうかした?」
よく考えたら……こうして私から誘うことは無かった。
なので、どうしたら良いかわからないが……。
傑の大きな手を触ってあー、とかうー、とか変な呻き声を出してしまう。
キョトンとした顔で小首を傾げる傑に胸がキュンッとする。
「あの、ね」
「うん」
「大事な用事があるなら、そっちを優先して欲しいの。
だけど、その……急ぎの用事が無いのなら……傑が、嫌じゃなければの話なんだけどね…」
「何だい?」
「放課後……傑の時間を、私に頂戴?」
「…………」
ポカンと、気の抜けた表情にやってしまった!?と焦る。
繋いだ手を握り、慌ててしまう。
はしたない?欲張りすぎ?攻めすぎ?
いつも、傑からだから………その、最終目的は欲の発散だが、昨日の添い寝だけの睡眠だけでは満たされない欲望がね……。
チラリ、と傑を見たら真顔だった。
じっと此方を見下ろしているのはいいが何か反応してくれよ。怖いって。
「つ、疲れているならいいの!」
「行く。何を言われても優先する」
「あ、うん……その、任務は大事にしてね?」
「問題無いよ。その為の悟だから」
「五条さんに押し付けちゃ駄目だって」
「大丈夫。悟は最強だから任務の1つや2つで文句言わないさ」
真顔から変わりキラキラした輝かしい笑顔だな、おい。
ごめんよ、五条。
今度喜久福お取り寄せしておくから…!!
流石にそろそろ駅の中へ行かなければ、と傑から手を離そうとしたものの、ガッチリ捕まれた手。
傑を見れば……嬉しそうに笑っていた。
「気をつけて行ってらっしゃい」
「傑も気をつけてね」
「帰り迎えに行くから」
ちゅっ、ちゅっ、と額や頬に唇を寄せる傑。
少し背伸びして傑の唇に自分の唇を合わせれば驚いた顔をしている。
「いってきます」
「覚悟しておきなよ(いってらっしゃい)」
不穏な言葉が聞こえたが、スルーだ。
学校では普通通りを心掛けていたが……楽しみで早く放課後にならないか待ち遠しかった。
放課後、宣言通り傑は校門で待っていてくれたので恥じを捨てて抱き付く。
仲良く腕を組みながら、デート………は後日ですね。
私達は真っ直ぐにラブホへ向かった。
「んっ、んんっ」
「はぁ……すごっ。気持ちいいね」
部屋を決めて早足で部屋に入るなり……靴も脱がずに扉に押し付けられながら唇を重ねた。
傑の首に腕を回し、舌を絡めて溢れる唾液を交換しながら飲み込む。
キスだけで気持ちよく、気分が高まっている。
「紐?こんなエッチな下着で学校行ってたの?」
「だって……傑に、触って…欲しくてっ」
「興奮する。凄いね……キスだけでぐちゃぐちゃ。んっ……もう、入りそう」
「だ、めっ!制服……汚れ、ちゃっ」
「一度ヤッてみたかったんだ」
「す、ぐるっ」
下着を紐解いて外され、傑の指が2本……いや、3本入っていたのが抜けると寂しくなった秘部がキュンッと締まる。
カチャカチャとベルトを外して陰茎を取り出した傑はポケットから取り出したゴムの袋を歯で破り、手早く着けた。
「挿れるよ」
「ふぁっ!!あっ、んっ、大き……っ、ァッ、ンンッ、ァッ、アッ、〜〜ァアッ」
「息して。キツっ」
軽くしか解していない中は傑を受け入れるには足りなかったらしい。
何度も何度も腰を打ち付けて少しずつ広がっていく中に侵入していく陰茎。
久しぶりで無理矢理入ってくる痛みはあるが……愛液はダラダラと溢れていてどんどん奥からも溢れてくるから簡単に傑の陰茎をのみ込んでいく。
傑の亀頭とカリがゴリゴリと何度もいいところを擦るので喘ぎ声が止まらない。
片足を抱えられ、片足はつま先立ち。背中には壁が当たって痛いし、傑の首に腕を回しているだけの格好は正直辛い。
体格差があるので私の片足は地面に着くか着かないかの微妙なふわふわとした心許なさは心臓に悪いのに……今はその不安定さも快感に繋がってしまう。
「名前、しっかり首に腕回して」
「ぅ?ァっ、ッッ、わ、かっ、た」
「抱えるよ」
「ぁああアアアアッッッッ!!!」
両足を持たれれば駅弁って言うんだっけ?
傑に両足を抱えられたので自身の体重がかかり深く深く中に挿入った。
「す、ぐるっ」
「制服でヤるって……んっ、興奮するねっ」
「するっ。する、けど……汚れっちゃ、う"っンン"ッ!!」
「名前の……厭らしい汁で、べちゃべちゃになっちゃうもんね」
「〜〜う"んっ。……だからっ」
「悪いね。私も余裕無い……っ」
「やぁっっ!!」
お尻の肉を持たれ、傑の好きに揺さぶられる。
痛みは無いものの、暫くシていなかったせいか傑を受け入れるには狭い。力み過ぎた身体は傑が奥に挿入ようとするのを拒否している。腰を振る度傑の詰まるような息遣いに背中が電気を走るかのようにゾクゾクする。
必死に、私の身体を貪る獣の姿に……私で、興奮する余裕の無い傑にどこか優越感を感じると共に………愛おしさを感じてしまう。
落ちるかもしれない恐怖、普段しない体勢で容赦無く当たるいいところに意識しなくてもずっと中がキュンキュンしてしまい、締め付けが強くなっている。
快楽を求めて止まらない腰の動きにお互い快楽を優先してしまい、制服がシワになるとか、汚れてしまうとか頭から抜けて今はただ、与えられる快感に頭を空にしながら必死にしがみつく。
「んっ……はっ、名前っ」
「すぐっ、すぐるっ」
高まりあい、唇を寄せて舌を絡めて。
奥深い子宮をグリグリと押し潰される動きに呆気なく達してしまえば、傑もゴム越しに熱い欲を吐き出す。
擦り付けるような腰の動き。
何度も何度もキスをして、少し上がった息を整える。
お互いに蕩けた顔で見つめ合う。
余裕も無く、前座もほとんど無く、なのにお互いの準備が出来上がった状態で貪り早々に達してしまうだなんて………何だか間抜けな姿に笑ってしまう。
「傑さんや」
「何」
「一回抜いてくれない?」
「えー」
「溢れてこぼれるのは避けたい。
傑の制服黒だから目立つよ?」
「アイスか生クリームって言い張るからいいよ」
「盛大に股関回りにこぼすなんて恥ずかしいでしょ」
クスクス笑いながらもう一度唇を重ね合わせる。
一度下ろしてもらい、靴を脱いで、制服を脱いで、広いベッドに横になれば上から覆い被さってくる傑。
「これで汚れなんて気にならないね」
「あらやだ。もう元気じゃないですか」
「まだまだ若いから」
「傑はいつまでも元気で絶倫そう」
「そしたら名前はどんどんスケベになるね。女性の方が年取ったら性欲強くなるって言うし」
「ふふっ。傑と別れたら大変だなぁ」
「別れないから安心しなよ」
顔中にキスをし合って、熱の籠った瞳で見つめ合う。
抱き着いて体温を感じながら傑の匂いを嗅ぐ。香水なのか、柔軟剤なのかわからないが……お香のような香りと汗の匂い。
匂いを嗅ぎすぎると恥ずかしいから、と傑によって止められる。
悪戯にお互いの脇腹をつついたかと思えば、厭らしさを感じさせるように胸元から腹を優しく撫でる。
胸元に顔を埋めて深呼吸する傑に笑ってしまい、傑の大きな雄っぱいを両手で揉めば傑が笑う。
「今日は?吾朗さんと梅さんには?」
「晩御飯はいらないって言ってある」
「私とデートする気満々だったのか」
「断られたら予定無くなったって帰ればいいや、と思ってたから」
「そっか」
傑のキッチリ束ねた髪の毛をほどけば目を細めて楽しそうに笑っている。
腕を伸ばして頬に手を添え、頭を少し上げれば傑が首と頭を支えるようにして持ってくれる。
ちょっとした気遣いが嬉しくて何度も軽く唇を啄むようにキスをすれば口が開いて舐められる。
舌を入れて、傑の分厚い舌を舐めってみたりゆっくりと擦り付けてみたり。
同じように絡ませて答えてくれる傑の舌を唾液ごと吸って飲み込む。
ほどけた髪の毛を手に取り、傑を見ながら口付ける。
ごくり、と鳴る傑の喉に笑ってしまう。
頬を撫で、髪を撫で、再び首に腕を回して傑を見つめる。
「傑……シよ?」
戯れてイチャイチャしながら笑うのも好き。
自分とは違う体温を布一枚取り払い、ピッタリと隙間なく抱きつくだけで気持ちがいいから。
けど、今はそれだけじゃ足りない。
前までなら我慢出来たのに……傑が欲しくてたまらない。
戯れていたスイッチから、欲を見せれば、傑も同じようにスイッチが入る。
「ドスケベ」
ニッ、と笑う傑の瞳は欲を含んでいる。
が……まだまだノり気では無いらしい。
ニコニコと此方を伺っているので、軽く肩を押して転がろうとすれば、意図に気付いて簡単に転がってくれる。
傑の腹筋に座り小さな乳首を指先で転がすとくすぐったさからか、クスクス笑っている。
引っ掻いて、摘まんで、少しつねって。
男でも興奮してきたら立って固くなる乳首を指の腹で優しく撫でる。
「ふっ……ふふっ。くすぐったいよ」
「お客様、此処とってもこってますね」
「エッチな施術のせいだね」
「おやおやー?コチラも、こってきました?」
お尻に当たる硬い棒。
膝立ちになり、股の間から傑の陰茎を触ればしっかりと芯を持っている。
「困ったね」
「解さなきゃいけませんねぇ」
「解してくれるのかい?」
「了解しました」
「任せました」
何度か擦ればより硬くなる陰茎。
触り辛いので少し下がって傑の足の間に座る。
ちゅっちゅっ、とまずは亀頭の先に優しくキスをする。ゴムと精液の混じった臭いは頂けないが……舌で優しく舐めながらカリの部分を優しく唇で挟むように優しく唇を動かす。
そのまま傑を見ながら陰茎に舌を這わせれば、傑はうっすら顔を赤らめながら見てくる。
睾丸を手で温めるように包みながらやわやわとやさしく触り陰茎から睾丸へ。
口の中に含めば傑の身体が震え出す。
飴を舐めるよう玉を転がし、時々強めに吸う。
再び陰茎、カリ、亀頭まで舐めると少しだけ滲み出ている先走りを舐めとり、鈴口を口に含んで吸い込む。
「んっ、はぁ……っ」
傑の厭らしい声にドキドキする。
再び傑を跨ぎながら立ち膝で腰を降ろす。
クリと亀頭を擦り合わせるように腰を動かせば私も気持ちがいい。
「勝手に……私を、使って…オナニーかい?」
「マッサージ、だよ?」
ビチャビチャになっていく傑の陰茎。
滑りがよくなり間違って中に挿入ってしまいそうになるが、そこは気をつける。
「んっ、ンンッ、はぁ……ど、うか…な…?」
「ーーーッ、最高」
「ふふっ、間違って…挿入っちゃ、いそ」
「挿れてもいいよ?」
余裕そうな傑。
そんな余裕を崩してやりたいし、私ばかりが求めているのも悔しい。
近くにあったゴムを手に取り、咥える。
包装を破くのかと期待する傑の瞳。
胸を傑の胸元に押し付け、太い首に腕を回し、傑の唇にゴムの包装を押し付ける。
「いっぱい、気持ちよくなろ?」
「……キミって、奴はっっ!!」
乱暴に包装を切ってゴムを取り出せば早々と装着する。
お尻を持ちながら一気に挿入されて目の前がチカチカした。先程一度受け入れたとはいえ……苦しいものは苦しい。
息を詰まらせ、身体を震わせる私の耳を舐めながら低い声で呟く。
「エッチな施術師さんだね」
「……ノリノリだったくせに」
傑が起き上がれば私はベッドに。
両足を広げられ、膝裏をしっかり持ちながらゆっくり出し入れされる度、全部が刺激されて気持ちいい。
「や、ばっ」
「あっ、そこ擦っちゃだめっ」
「気持ちいい?」
「気持ち、いいっ」
ゆっくりゆっくり。
気持ちいいところばかり擦られゾクゾクと快感が止まらない。
決定的な強い刺激ではないので、もどかしくなってしまう。
「す、ぐるっ。すぐるっ、すぐるっ」
「名前……っ」
「お、願い…」
「ん?な、に?」
「いっぱい。いっぱい、欲しいのっ。
傑が、足りないの…っ」
「どう、してほしい?どうしたい?」
「すぐ……お願いっ。いっぱい、気持ちよくなりたいっ」
気持ちいいのに、足りなくて。
決定的な刺激が欲しくて腰を揺らせばわざと外され。
イキたくても足りない。
辛かったせいか涙が溢れてくる。
傑はその涙を楽しそうに舐めとる。
お願い、と言えばギラギラと獣のような瞳が私を射ぬく。
「……私も、気持ち良くなりたい」
「うんっ、うんっ」
「嫌だって言っても止めないよ」
「止めないで…っ」
ガツガツと腰を動かし始めた傑に声が詰まる。
待ち望んでいたはずなのに、いざ与えられ過ぎると逃げ出しそうになる身体を傑は抱え込んで押さえつける。
逃げられない私は傑の首に必死にしがみつくだけ。
キュンキュンする中が傑の陰茎を締め付ける。
締め付けているのに肉を掻き分けて挿入ってくる肉棒は奥ばかりをコンコン叩き付ける。
子宮が壊れてしまうんじゃないかと思ってしまうが、痛いよりも気持ち良さが勝っている。
激しく叩き付けられるのは苦しいが、息を止めて耐えれば傑はグリグリと押し付ける動き方に変更する。
そうされると子宮が亀頭に吸いつき、中は締め付ける動きを強くする。
傑の陰茎を締め付ければ傑も気持ち良いし、私も気持ちがいい。
傑が目を細めて息を詰まらせる度、途切れ途切れに漏らす吐息が可愛くてキスをせがむように顔を上げれば舌を出してくれる。
舌先だけを擦り合わせ、絡め、唇をくっ付ければそれだけで興奮して中が軽くイきながら陰茎を締め付けるのが自分でもわかる。
イキそうな身体に力が入り、傑の身体を太腿で挟もうとするが大きく広げられた足は傑によって固定されていて閉じれない。
後から股関節痛くなりそう……と思いながらもそれどころじゃない快感に思わず目の前の傑の首に噛み付く。
「痛っ……。
悪い子、だねっ!!」
「アアアアッ!!!〜〜〜〜〜ッッッ!!」
バチュンッ、と入ってしまった奥深くに絶頂が止まらない。
イキそうでイけなかった快感が一気に押し寄せてきて震える身体は最早痙攣となっていて、口から溢れた涎を垂らしたままビクッビクッと跳ねる。
傑も同じように達したのか……小刻みに擦りつけるような腰の動きの度、ピュッ、ピュッとゴム越しではあるが暖かいモノを感じてしまう。
まだまだ痙攣が収まらない中を小刻みに動かれて、締め付ける中の動きが止まらないから快感が続いて辛い。
出しきったのか、疲れたのか……私の上に覆い被さってきた傑を受け止めれば大きな溜め息。
「いきなりは駄目だって」
「股関節、痛い…」
「私は首が痛いよ」
同じように首や肩をカジカジと噛み付く傑。
痛くはないが、くすぐったいし……達したばかりの身体は甘噛みすら快感に繋がる。
「んっ、あっ」
「ふふっ、可愛い声。中凄い反応してる」
「す、ぐる…」
君も反応してる、と言いたかったが傑の唇に食べられてしまった。
長いキスをしながら陰茎を抜く傑。
ゴミ箱に縛ったゴムを投げ捨てると再び甘えるようにすり寄ってくる。
傑の頭を撫でればふにゃりと笑いかけてくるので……胸がキュンッとした。
「なるほど……これが、恋」
「ん?」
「格好いいのに可愛いって犯罪だよ」
「悟のこと?」
「なぜ?」
今何で五条が出た?
しかも自分で言ってジェラシーやめて?
肩に歯を立てないで?
「返答によって噛む」
「傑の事しか話してないけど?」
「私?」
「傑が格好いいのに可愛いさもあるからズルいって思ったの」
ガタイのいい、パッと見ムキムキな塩顔。
どこを見ても可愛さは無いのにこの男……自分がイケてるとわかっているから自分の顔や仕草の使い方が上手い。
しかもそれを無意識にやるのだから。
「惚れた方が負けって意味……なんとなくわかったかも」
改めて思うのは私、よくこの人をゲット出来たな……なんて惚気である。
都合がいい?ほっといてくれ。
「痛っっっっった!?」
「ふふっ、ふふふふふっ」
「何で噛んだの!?」
ガッツリ噛み痕が残るどころかちょっと血が出てない!?
ヒリヒリする肩に涙目になって睨み付ければ……幸悦とした表情の傑がいた。
それと同時に……秘部に感じる違和感。
くちゅくちゅと入り口を出入りする先っぽ。
「す、傑さん……?」
「惚れたんだ?私に?」
「え?あ、はい……」
「いいね。最っ高にいいよ」
「何のテンション!?バカ、挿れ、ちゃ〜〜っ」
「嬉しいんだよ」
顔中にキスをして、微笑む傑。
半分程埋まった陰茎はどんどん硬くなっていく。
「私ばかりじゃなく……やっと、名前も私と同じスターラインを越えてくれたから」
「スタート…?」
「私ばかり名前を想って、名前に嫉妬していたけど……
これからは名前と共有出来る」
「〜〜そ、こっ!……ぃっ、ぁん"ッ」
楽しそうに笑って、腕に、肩に、首に、胸元に、脇腹にどんどんキスマークを増やしていく。
「堕ちておいで。もっと」
ペロリ、と舌を出す色気ムンムンな傑に、胸もあそこもキュンッとしてしまった私はもう駄目だ。
………こうして
私と傑は仲直りし、晴れて本当に恋人同士になり、今までより親密に、距離も近付いた。
毎日が楽しくて楽しくて……
私は忘れていた。
懐いた黒猫が姿を消している事に……。
あとがき
これにて仲違い一件落着!!!
硝子ちゃん視点で一本書けるかな?と思ったが……途中で硝子ちゃんらしさが混乱していくし、傑がクズ野郎全開でおかしな方向に向かってしまいそうだったので止めました。
「おはよう、硝子」
「はよ」
「私の彼女が世話になったみたいだね」
「仲直りしたのか?」
「あぁ」
にっこりにこにこ。
ご機嫌な夏油にこれはこれでウザいな、と顔を歪めてしまう。
「お盛んだな」
「シてないよ。今回は。仲直りしただけ」
「……あの子でいいのか?」
「名前だからいいんだよ」
珍しくポケットから煙草を取り出した夏油。
口に咥えた煙草を何を考えているのか顔を寄せてきた。
煙草同士をくっ付けると夏油の煙草にも火がつき、口から煙を吐き出す。
当たり前のようにシガレットキスを行う目の前の男に呆れてしまう。
「ライター使えよ」
「こっちのが早い」
「後輩見てんぞ」
「見せつけてるんだよ」
朝のランニングか飲み物を買いに出たのだろうか?朝早くに夏油を見付け、嬉しそうな顔で駆け寄って来ていたのに。
近付いて此方に気付いた途端顔を歪める。
今年入った可愛い顔をした後輩の一人。
元気で明るく人懐っこい子なのに……男の趣味は悪かった。
夏油に恋をし、彼女がいると知って早々に諦めようとしていたが……タイミングがいいのか悪いのか、夏油と幼馴染の彼女が喧嘩をした。
面白がって煽った部分はあるものの……後輩は本気で夏油とどうにかなろうと必死になった。
私達との飲み会を理由に酔って夏油に色目を使ったり、夜這いするくらいには見境が無くなっていった。
夏油は後輩に背を向けたまま。
私と目があっているのに歩みを止めている。
澄みきった清々しい朝だというのに……わざとらしく後輩に聞こえる声量で話す。
「私にとって名前以外の女はどうでもいいよ。
……あぁ、硝子と華は別だ。
女の子、っていうより仲間だからね」
「クズが」
「水瀬は可愛いと思うよ。後輩としてならね。
女としては必要無いな」
私が顔を歪めても、ご機嫌な夏油は何も感じないらしい。
水瀬がショックを受けながら悲しい顔で後退りしていく。
「可哀想に」
「硝子こそあの子を庇わないのかい?」
「女出して私や華にまで敵意向けてくるとな」
悔しそうに顔を歪めて何処かへ行く水瀬。
可哀想だとは思うが、逆恨みは間違いだろ。
「キミ達が面白がって煽るから」
「私らのせいにするな。元はと言えばオマエが彼女に妬いて欲しくて馬鹿な事したからだろ」
「私が縋る形となったのは不本意だが……堕ちて来てくれたから結果的には良かったよ」
にこり、と笑う夏油。
距離を置いたり逃げ出そうとする彼女を捕まえたくて、彼女が大変だったであろう学校での出来事を利用し、怒ったフリをした糞野郎。
連絡をあえて無視したり、冷たく返してみたものの……本当に連絡が来なくなり全員で指差して笑った。
最初は面白がっていたものの、それが続くと此方に八つ当たりを始めたクズ野郎。
面白さが半減していき、華と共に彼女に話を聞きに行ったら………思っていた以上にクソな彼女だった。
以前、五条と共に会いに行った時はまともそうだと思い、皆で会いに行った時は抜けてる子だと思っていたが……よく話すとただのイカれた女だった。
夏油の重たい感情から引き離した方がいいと思っていたが、彼女も彼女でサイコパスな考えの持ち主だったので放っておくのが一番だと思った。
あの華が気に入っているんだ。
そしてこのクズの彼女だ。
なぜ私も五条もあの彼女が普通だと思い違いしてしまったのか。
「一線引いていた理由が人殺しになるかもしれないから怖かった、だなんてね」
「聞いたのか」
「うん。私と距離を置こうとした理由が犯罪者になってしまうことを恐れて、それによって変わってしまう私が怖かったみたい。
それでも私が手離さない限り、私が大好きだから離れないだなんて……困っちゃうよね」
「全く困った顔してないだろ」
「硝子や華に迷惑かけてしまって怒られたと凄く反省していたよ」
「ほぉ…」
「馬鹿で可愛いよね」
「そこで惚気られるオマエは凄いな」
イカれてんな、と思って聞き流す。
普通は怒ってもいいところだ。
「何であの子がいいんだ?
幼馴染とはいえそこまでのめり込む魅力があると思わない」
顔は可愛いと思う。
男に媚びるタイプでもないし、サッパリしている。
話し始めは少しぎこちないが、話しているとどこにでもいる、話しやすいタイプだ。
体つきはエロいが夏油が必死になる程の人物か、と聞かれると……
「オマエなら都合のいいヤらせてくれる女の一人として扱うタイプの相手だろ。
むしろ、オマエみたいなクズが大事にするのは水瀬みたいなタイプだと思うんだが」
頑張り屋で、素直で、人懐っこく、少しドジで、一途。
恋愛漫画なら水瀬はヒロインだ。
幼馴染の彼女より夏油を想い、大切にし、幸せになれそうだ。
「んー……まぁ、確かに幼馴染じゃなければ名前より水瀬の方が恋人としてはいいかも」
「だろ?」
「けど、水瀬と居ても私は幸せになれないだろうね」
「?」
「あの子は私に正しさを求めるだろ?
正しくて、優しくて、少し意地悪な……火遊びしたくて悪い男に引っかかる純粋な子だ。
悪い事に憧れてしまう典型的ないい子だよ」
「確かに」
「普通ならあの子の素直さに悪い男も心を入れ変えれるんだろうね」
王道の恋愛漫画ならきっとそうなるのだろう。
今回は相手が悪かった。
王道に当てはまらない……手の施し様もないクズが相手だったのだから。
「名前は私に正しさを求めていない。
むしろ、悪いことするならわからないようにやれってタイプだし。
悪い事をしても、仕方ないなって受け入れてしまうんだよ」
「甘過ぎだろ」
「馬鹿だよね。
……何をしても、受け入れて否定しない」
クスクスと笑いながら、短くなってしまった煙草を地面に押し付けて火を消す。吸殻はポケット灰皿へ。
「対等で居ようとしてくれるんだ。
明らかに弱いのに、私の事を守ろうとする。
……それに何度も救われてきた」
「………」
「幼馴染じゃなければ……
見た目だけの頭が足りない女なら都合のいい女の一人だったろうね」
「オマエに捕まらなければ普通に生きられたって事か」
何をどうしてこの可愛げの欠片も無い男を甘やかすのか……。
理解出来ないし、理解したくもないが。
お人好しな甘やかし上手と
甘えたがりな構ってちゃん
偶然にも理解してしまった幼馴染が夏油によって囲われ、捕らわれた。
逃げ出そうとしてももう遅かった……ってところかな。
「水瀬もお人好しだが、正義感に溢れてる。
正しくあれ、正しくあるべきだと押し付けられるだけの一方的な正義は私には荷が重すぎる」
「クズ根性が少し改善されるかもしれないだろ」
「正しさだけじゃ救えないし、救われないよ。
現に、私のような一般家庭で育つ呪術師は周りから理解されないし、出会いがなければ一生迫害される」
「まぁな」
「力の使い方1つで善にも悪にもなるからね。
……名前が犯罪に賛成しているわけじゃないよ?
人を殺すのはいけないこと、とハッキリしているのに……」
理解する事と許す事は似ているようで違う。
水瀬は悪を許せない。
幼馴染は悪を理解した上で受け入れる。
「オマエが犯罪者になるのは怖いけど、なったらなったで受け入れるとでも?」
「多分ね。
万が一私が名前を殺す事になっても悪あがきせず名前は受け入れると思うよ。
最後の最期まで私にダメ出ししながら……地獄で待ってるとか言いそう」
「……それはタチが悪いな」
「ふふっ。だから私は名前が好きだよ。
絶対に私の味方でいてくれる、唯一だから。
名前がいなければ……私は水瀬と同じ考えだっただろうから」
呪術師は非呪術師を守らなければならない。
弱きを助け、強さを挫く。
「勿論水瀬の正しさを否定するつもりはないよ。むしろ、私も賛同してる。
けど、いつかは自分に限界がくる。
……悟ほど極端で自由過ぎても周りが納得しないけど」
「アレは論外だろ」
「一般論の正しさは持ち合わせているが、私も人間だからね。
全てを救おうとか、全て救えると過信しているわけじゃないし、救える者の中でも厳選する。
嫌なものを救おうとするほど優しく正しくはないだけ」
「嫌なら救える者であろうと救わないって事か」
「嫌だなぁ、硝子。
救うつもりでも優先順位を迷っている間に救えないってだけさ」
それ、結果的には救う気が無いって事だろ。
厭らしいクズ具合に呆れてしまう。
モノは言いようだ。
五条より幾らか真面目な方である夏油だが、ぶっ壊れているのは夏油の方だ。
五条は呪術界で育ち、呪術界の規定をよく理解した上で反抗をしているが、規定内。反則ギリギリか、少しアウトだけど上手くやれる許容範囲。
だが夏油は規定を理解した上でしっかり守る。が、規定を破るならガッツリ破る。
同じアウトでも夏油の方が手に終えない。
「名前は馬鹿だからね。
内に入れた人間には甘過ぎるんだ」
「それを良いように利用して甘えてるのか」
「それが許されるから心地良いんだよ。
無理しなくてもいいと思えるから。
無理すれば逆に怒られるんだ」
「お暑いな」
「ふふっ。ラブラブだからね」
一般的には水瀬の方がいいと思う。
同じ世界が見える理解者でありながら、共に同じ苦しみを、罪を背負っていける。
言い方は悪いが傷の舐め合いに適している。
理解はしても絶対に関われない……本当の意味で理解など絶対に出来ない非術師の幼馴染よりはお勧め出来る。
だが、逆を言えば……
同じ立場だからこそ、同じ志で居ろと。
同じ世界が見えるから普通には戻れないと。
逃げられない。逃がさない。
陽の光りなど当たらない闇の世界で歩めと言われている気もする。
どちらも正しく、どちらがいいか……なんてわからない。
「私の世界を作り上げたのは名前だから。
今さら正しくあれ、なんて面倒でね。
やっと懐いた手のかかる猫に夢中だから遊びも、余所見もしている暇なんか無いのさ」
「イカれたカップルで似合いだよ」
「ありがとう。
硝子も馬鹿な名前を嫌いじゃ無いだろ?」
「まぁね」
数回しか関わっていないが……独特の雰囲気がある。
弱く、頼りないかと思えば大胆で。
まともかと思えばイカれていて。
もしも見えていたなら……いい仲間になれただろう。
「良くも悪くも居心地が良すぎるのは良くないな」
「だろ?」
イカれてるし、時々イラッとはしたが……嫌いじゃない。
夏油の言う、内に入れた人間にでもなれば幼馴染は私でも、華でも、五条でも……恋愛抜きで甘やかすのだろう。
何をしても、注意はされるが怒ることは無い。
良いことも悪いことも最終的には仕方ないと受け止めて貰えるのなら……自分の味方でいてくれる存在が苦になるわけがない。
怖がっても離れず、打ち明けて対等でいてくれる。
「今度1日貸せよ。華とねっちょり絡んでハマってやる」
「嫌だよ。硝子に堕ちたら勝てないだろ?」
「女子もありなのか?」
「あり。けどスケベだから満足しないで浮気するかもね」
「負けると思って無いだろ。
私に取られても結局はオマエに唆されて取られそうだ」
「わかってるじゃないか」
一度その甘さを体験してみたいところだが、逆にのまれそうだ。
それはそれで面白く無い……が、そもそも目の前の男が許すとは思わないが。
それならば、ほどよい今のような距離感で2人をからかうネタ探しをした方が楽しいだろう。
こんな重たい感情を持つ男を敵に回してまで、敵意を向けられる当事者になるのはごめんだ。
「さて……一度着替えてくるかな」
「また行くのか?」
「うん。久しぶりに朝送ってやれるから」
「あっそ」
大きな欠伸をしながら寮へ戻る夏油。
「馬鹿だな」
逃げるなら、本気で逃げれば良かったのに。
中途半端に絆され受け止めるから後悔する時にはもう遅い。
「しっかり囲われた後で逃げようとする方が無理に決まってる」
まだ、朝は早い。
もう一本吸ってからゆっくり準備しよう。
新しい煙草に火をつけて、肺まで吸い込んだ。
朝早くに傑は出ていき、登校時間になると家の前に居た。
「おはよ」
「おはよう、傑」
久しぶりに手を繋いで一緒に歩く。
昨日は2人で引っ付いて寝ただけなので、最近あったどうでもいい事を話す。
学校で不良の彼女だと噂が立っている事。
バックにデカイ組織があると噂されている事。
駅前に新しくクレープ屋が出来たこと。
パンケーキを食べてみたいことなど……
傑は楽しそうに相槌を打ってくれた。
あっという間に駅までついてしまい……まだまだ話したり無いが、行かなきゃいけない。
「名前?」
「……あのさ、傑」
「何だい?」
「今日は……任務とか、大事な用事ある?」
「んー…学校行かなきゃわからないけどどうかした?」
よく考えたら……こうして私から誘うことは無かった。
なので、どうしたら良いかわからないが……。
傑の大きな手を触ってあー、とかうー、とか変な呻き声を出してしまう。
キョトンとした顔で小首を傾げる傑に胸がキュンッとする。
「あの、ね」
「うん」
「大事な用事があるなら、そっちを優先して欲しいの。
だけど、その……急ぎの用事が無いのなら……傑が、嫌じゃなければの話なんだけどね…」
「何だい?」
「放課後……傑の時間を、私に頂戴?」
「…………」
ポカンと、気の抜けた表情にやってしまった!?と焦る。
繋いだ手を握り、慌ててしまう。
はしたない?欲張りすぎ?攻めすぎ?
いつも、傑からだから………その、最終目的は欲の発散だが、昨日の添い寝だけの睡眠だけでは満たされない欲望がね……。
チラリ、と傑を見たら真顔だった。
じっと此方を見下ろしているのはいいが何か反応してくれよ。怖いって。
「つ、疲れているならいいの!」
「行く。何を言われても優先する」
「あ、うん……その、任務は大事にしてね?」
「問題無いよ。その為の悟だから」
「五条さんに押し付けちゃ駄目だって」
「大丈夫。悟は最強だから任務の1つや2つで文句言わないさ」
真顔から変わりキラキラした輝かしい笑顔だな、おい。
ごめんよ、五条。
今度喜久福お取り寄せしておくから…!!
流石にそろそろ駅の中へ行かなければ、と傑から手を離そうとしたものの、ガッチリ捕まれた手。
傑を見れば……嬉しそうに笑っていた。
「気をつけて行ってらっしゃい」
「傑も気をつけてね」
「帰り迎えに行くから」
ちゅっ、ちゅっ、と額や頬に唇を寄せる傑。
少し背伸びして傑の唇に自分の唇を合わせれば驚いた顔をしている。
「いってきます」
「覚悟しておきなよ(いってらっしゃい)」
不穏な言葉が聞こえたが、スルーだ。
学校では普通通りを心掛けていたが……楽しみで早く放課後にならないか待ち遠しかった。
放課後、宣言通り傑は校門で待っていてくれたので恥じを捨てて抱き付く。
仲良く腕を組みながら、デート………は後日ですね。
私達は真っ直ぐにラブホへ向かった。
「んっ、んんっ」
「はぁ……すごっ。気持ちいいね」
部屋を決めて早足で部屋に入るなり……靴も脱がずに扉に押し付けられながら唇を重ねた。
傑の首に腕を回し、舌を絡めて溢れる唾液を交換しながら飲み込む。
キスだけで気持ちよく、気分が高まっている。
「紐?こんなエッチな下着で学校行ってたの?」
「だって……傑に、触って…欲しくてっ」
「興奮する。凄いね……キスだけでぐちゃぐちゃ。んっ……もう、入りそう」
「だ、めっ!制服……汚れ、ちゃっ」
「一度ヤッてみたかったんだ」
「す、ぐるっ」
下着を紐解いて外され、傑の指が2本……いや、3本入っていたのが抜けると寂しくなった秘部がキュンッと締まる。
カチャカチャとベルトを外して陰茎を取り出した傑はポケットから取り出したゴムの袋を歯で破り、手早く着けた。
「挿れるよ」
「ふぁっ!!あっ、んっ、大き……っ、ァッ、ンンッ、ァッ、アッ、〜〜ァアッ」
「息して。キツっ」
軽くしか解していない中は傑を受け入れるには足りなかったらしい。
何度も何度も腰を打ち付けて少しずつ広がっていく中に侵入していく陰茎。
久しぶりで無理矢理入ってくる痛みはあるが……愛液はダラダラと溢れていてどんどん奥からも溢れてくるから簡単に傑の陰茎をのみ込んでいく。
傑の亀頭とカリがゴリゴリと何度もいいところを擦るので喘ぎ声が止まらない。
片足を抱えられ、片足はつま先立ち。背中には壁が当たって痛いし、傑の首に腕を回しているだけの格好は正直辛い。
体格差があるので私の片足は地面に着くか着かないかの微妙なふわふわとした心許なさは心臓に悪いのに……今はその不安定さも快感に繋がってしまう。
「名前、しっかり首に腕回して」
「ぅ?ァっ、ッッ、わ、かっ、た」
「抱えるよ」
「ぁああアアアアッッッッ!!!」
両足を持たれれば駅弁って言うんだっけ?
傑に両足を抱えられたので自身の体重がかかり深く深く中に挿入った。
「す、ぐるっ」
「制服でヤるって……んっ、興奮するねっ」
「するっ。する、けど……汚れっちゃ、う"っンン"ッ!!」
「名前の……厭らしい汁で、べちゃべちゃになっちゃうもんね」
「〜〜う"んっ。……だからっ」
「悪いね。私も余裕無い……っ」
「やぁっっ!!」
お尻の肉を持たれ、傑の好きに揺さぶられる。
痛みは無いものの、暫くシていなかったせいか傑を受け入れるには狭い。力み過ぎた身体は傑が奥に挿入ようとするのを拒否している。腰を振る度傑の詰まるような息遣いに背中が電気を走るかのようにゾクゾクする。
必死に、私の身体を貪る獣の姿に……私で、興奮する余裕の無い傑にどこか優越感を感じると共に………愛おしさを感じてしまう。
落ちるかもしれない恐怖、普段しない体勢で容赦無く当たるいいところに意識しなくてもずっと中がキュンキュンしてしまい、締め付けが強くなっている。
快楽を求めて止まらない腰の動きにお互い快楽を優先してしまい、制服がシワになるとか、汚れてしまうとか頭から抜けて今はただ、与えられる快感に頭を空にしながら必死にしがみつく。
「んっ……はっ、名前っ」
「すぐっ、すぐるっ」
高まりあい、唇を寄せて舌を絡めて。
奥深い子宮をグリグリと押し潰される動きに呆気なく達してしまえば、傑もゴム越しに熱い欲を吐き出す。
擦り付けるような腰の動き。
何度も何度もキスをして、少し上がった息を整える。
お互いに蕩けた顔で見つめ合う。
余裕も無く、前座もほとんど無く、なのにお互いの準備が出来上がった状態で貪り早々に達してしまうだなんて………何だか間抜けな姿に笑ってしまう。
「傑さんや」
「何」
「一回抜いてくれない?」
「えー」
「溢れてこぼれるのは避けたい。
傑の制服黒だから目立つよ?」
「アイスか生クリームって言い張るからいいよ」
「盛大に股関回りにこぼすなんて恥ずかしいでしょ」
クスクス笑いながらもう一度唇を重ね合わせる。
一度下ろしてもらい、靴を脱いで、制服を脱いで、広いベッドに横になれば上から覆い被さってくる傑。
「これで汚れなんて気にならないね」
「あらやだ。もう元気じゃないですか」
「まだまだ若いから」
「傑はいつまでも元気で絶倫そう」
「そしたら名前はどんどんスケベになるね。女性の方が年取ったら性欲強くなるって言うし」
「ふふっ。傑と別れたら大変だなぁ」
「別れないから安心しなよ」
顔中にキスをし合って、熱の籠った瞳で見つめ合う。
抱き着いて体温を感じながら傑の匂いを嗅ぐ。香水なのか、柔軟剤なのかわからないが……お香のような香りと汗の匂い。
匂いを嗅ぎすぎると恥ずかしいから、と傑によって止められる。
悪戯にお互いの脇腹をつついたかと思えば、厭らしさを感じさせるように胸元から腹を優しく撫でる。
胸元に顔を埋めて深呼吸する傑に笑ってしまい、傑の大きな雄っぱいを両手で揉めば傑が笑う。
「今日は?吾朗さんと梅さんには?」
「晩御飯はいらないって言ってある」
「私とデートする気満々だったのか」
「断られたら予定無くなったって帰ればいいや、と思ってたから」
「そっか」
傑のキッチリ束ねた髪の毛をほどけば目を細めて楽しそうに笑っている。
腕を伸ばして頬に手を添え、頭を少し上げれば傑が首と頭を支えるようにして持ってくれる。
ちょっとした気遣いが嬉しくて何度も軽く唇を啄むようにキスをすれば口が開いて舐められる。
舌を入れて、傑の分厚い舌を舐めってみたりゆっくりと擦り付けてみたり。
同じように絡ませて答えてくれる傑の舌を唾液ごと吸って飲み込む。
ほどけた髪の毛を手に取り、傑を見ながら口付ける。
ごくり、と鳴る傑の喉に笑ってしまう。
頬を撫で、髪を撫で、再び首に腕を回して傑を見つめる。
「傑……シよ?」
戯れてイチャイチャしながら笑うのも好き。
自分とは違う体温を布一枚取り払い、ピッタリと隙間なく抱きつくだけで気持ちがいいから。
けど、今はそれだけじゃ足りない。
前までなら我慢出来たのに……傑が欲しくてたまらない。
戯れていたスイッチから、欲を見せれば、傑も同じようにスイッチが入る。
「ドスケベ」
ニッ、と笑う傑の瞳は欲を含んでいる。
が……まだまだノり気では無いらしい。
ニコニコと此方を伺っているので、軽く肩を押して転がろうとすれば、意図に気付いて簡単に転がってくれる。
傑の腹筋に座り小さな乳首を指先で転がすとくすぐったさからか、クスクス笑っている。
引っ掻いて、摘まんで、少しつねって。
男でも興奮してきたら立って固くなる乳首を指の腹で優しく撫でる。
「ふっ……ふふっ。くすぐったいよ」
「お客様、此処とってもこってますね」
「エッチな施術のせいだね」
「おやおやー?コチラも、こってきました?」
お尻に当たる硬い棒。
膝立ちになり、股の間から傑の陰茎を触ればしっかりと芯を持っている。
「困ったね」
「解さなきゃいけませんねぇ」
「解してくれるのかい?」
「了解しました」
「任せました」
何度か擦ればより硬くなる陰茎。
触り辛いので少し下がって傑の足の間に座る。
ちゅっちゅっ、とまずは亀頭の先に優しくキスをする。ゴムと精液の混じった臭いは頂けないが……舌で優しく舐めながらカリの部分を優しく唇で挟むように優しく唇を動かす。
そのまま傑を見ながら陰茎に舌を這わせれば、傑はうっすら顔を赤らめながら見てくる。
睾丸を手で温めるように包みながらやわやわとやさしく触り陰茎から睾丸へ。
口の中に含めば傑の身体が震え出す。
飴を舐めるよう玉を転がし、時々強めに吸う。
再び陰茎、カリ、亀頭まで舐めると少しだけ滲み出ている先走りを舐めとり、鈴口を口に含んで吸い込む。
「んっ、はぁ……っ」
傑の厭らしい声にドキドキする。
再び傑を跨ぎながら立ち膝で腰を降ろす。
クリと亀頭を擦り合わせるように腰を動かせば私も気持ちがいい。
「勝手に……私を、使って…オナニーかい?」
「マッサージ、だよ?」
ビチャビチャになっていく傑の陰茎。
滑りがよくなり間違って中に挿入ってしまいそうになるが、そこは気をつける。
「んっ、ンンッ、はぁ……ど、うか…な…?」
「ーーーッ、最高」
「ふふっ、間違って…挿入っちゃ、いそ」
「挿れてもいいよ?」
余裕そうな傑。
そんな余裕を崩してやりたいし、私ばかりが求めているのも悔しい。
近くにあったゴムを手に取り、咥える。
包装を破くのかと期待する傑の瞳。
胸を傑の胸元に押し付け、太い首に腕を回し、傑の唇にゴムの包装を押し付ける。
「いっぱい、気持ちよくなろ?」
「……キミって、奴はっっ!!」
乱暴に包装を切ってゴムを取り出せば早々と装着する。
お尻を持ちながら一気に挿入されて目の前がチカチカした。先程一度受け入れたとはいえ……苦しいものは苦しい。
息を詰まらせ、身体を震わせる私の耳を舐めながら低い声で呟く。
「エッチな施術師さんだね」
「……ノリノリだったくせに」
傑が起き上がれば私はベッドに。
両足を広げられ、膝裏をしっかり持ちながらゆっくり出し入れされる度、全部が刺激されて気持ちいい。
「や、ばっ」
「あっ、そこ擦っちゃだめっ」
「気持ちいい?」
「気持ち、いいっ」
ゆっくりゆっくり。
気持ちいいところばかり擦られゾクゾクと快感が止まらない。
決定的な強い刺激ではないので、もどかしくなってしまう。
「す、ぐるっ。すぐるっ、すぐるっ」
「名前……っ」
「お、願い…」
「ん?な、に?」
「いっぱい。いっぱい、欲しいのっ。
傑が、足りないの…っ」
「どう、してほしい?どうしたい?」
「すぐ……お願いっ。いっぱい、気持ちよくなりたいっ」
気持ちいいのに、足りなくて。
決定的な刺激が欲しくて腰を揺らせばわざと外され。
イキたくても足りない。
辛かったせいか涙が溢れてくる。
傑はその涙を楽しそうに舐めとる。
お願い、と言えばギラギラと獣のような瞳が私を射ぬく。
「……私も、気持ち良くなりたい」
「うんっ、うんっ」
「嫌だって言っても止めないよ」
「止めないで…っ」
ガツガツと腰を動かし始めた傑に声が詰まる。
待ち望んでいたはずなのに、いざ与えられ過ぎると逃げ出しそうになる身体を傑は抱え込んで押さえつける。
逃げられない私は傑の首に必死にしがみつくだけ。
キュンキュンする中が傑の陰茎を締め付ける。
締め付けているのに肉を掻き分けて挿入ってくる肉棒は奥ばかりをコンコン叩き付ける。
子宮が壊れてしまうんじゃないかと思ってしまうが、痛いよりも気持ち良さが勝っている。
激しく叩き付けられるのは苦しいが、息を止めて耐えれば傑はグリグリと押し付ける動き方に変更する。
そうされると子宮が亀頭に吸いつき、中は締め付ける動きを強くする。
傑の陰茎を締め付ければ傑も気持ち良いし、私も気持ちがいい。
傑が目を細めて息を詰まらせる度、途切れ途切れに漏らす吐息が可愛くてキスをせがむように顔を上げれば舌を出してくれる。
舌先だけを擦り合わせ、絡め、唇をくっ付ければそれだけで興奮して中が軽くイきながら陰茎を締め付けるのが自分でもわかる。
イキそうな身体に力が入り、傑の身体を太腿で挟もうとするが大きく広げられた足は傑によって固定されていて閉じれない。
後から股関節痛くなりそう……と思いながらもそれどころじゃない快感に思わず目の前の傑の首に噛み付く。
「痛っ……。
悪い子、だねっ!!」
「アアアアッ!!!〜〜〜〜〜ッッッ!!」
バチュンッ、と入ってしまった奥深くに絶頂が止まらない。
イキそうでイけなかった快感が一気に押し寄せてきて震える身体は最早痙攣となっていて、口から溢れた涎を垂らしたままビクッビクッと跳ねる。
傑も同じように達したのか……小刻みに擦りつけるような腰の動きの度、ピュッ、ピュッとゴム越しではあるが暖かいモノを感じてしまう。
まだまだ痙攣が収まらない中を小刻みに動かれて、締め付ける中の動きが止まらないから快感が続いて辛い。
出しきったのか、疲れたのか……私の上に覆い被さってきた傑を受け止めれば大きな溜め息。
「いきなりは駄目だって」
「股関節、痛い…」
「私は首が痛いよ」
同じように首や肩をカジカジと噛み付く傑。
痛くはないが、くすぐったいし……達したばかりの身体は甘噛みすら快感に繋がる。
「んっ、あっ」
「ふふっ、可愛い声。中凄い反応してる」
「す、ぐる…」
君も反応してる、と言いたかったが傑の唇に食べられてしまった。
長いキスをしながら陰茎を抜く傑。
ゴミ箱に縛ったゴムを投げ捨てると再び甘えるようにすり寄ってくる。
傑の頭を撫でればふにゃりと笑いかけてくるので……胸がキュンッとした。
「なるほど……これが、恋」
「ん?」
「格好いいのに可愛いって犯罪だよ」
「悟のこと?」
「なぜ?」
今何で五条が出た?
しかも自分で言ってジェラシーやめて?
肩に歯を立てないで?
「返答によって噛む」
「傑の事しか話してないけど?」
「私?」
「傑が格好いいのに可愛いさもあるからズルいって思ったの」
ガタイのいい、パッと見ムキムキな塩顔。
どこを見ても可愛さは無いのにこの男……自分がイケてるとわかっているから自分の顔や仕草の使い方が上手い。
しかもそれを無意識にやるのだから。
「惚れた方が負けって意味……なんとなくわかったかも」
改めて思うのは私、よくこの人をゲット出来たな……なんて惚気である。
都合がいい?ほっといてくれ。
「痛っっっっった!?」
「ふふっ、ふふふふふっ」
「何で噛んだの!?」
ガッツリ噛み痕が残るどころかちょっと血が出てない!?
ヒリヒリする肩に涙目になって睨み付ければ……幸悦とした表情の傑がいた。
それと同時に……秘部に感じる違和感。
くちゅくちゅと入り口を出入りする先っぽ。
「す、傑さん……?」
「惚れたんだ?私に?」
「え?あ、はい……」
「いいね。最っ高にいいよ」
「何のテンション!?バカ、挿れ、ちゃ〜〜っ」
「嬉しいんだよ」
顔中にキスをして、微笑む傑。
半分程埋まった陰茎はどんどん硬くなっていく。
「私ばかりじゃなく……やっと、名前も私と同じスターラインを越えてくれたから」
「スタート…?」
「私ばかり名前を想って、名前に嫉妬していたけど……
これからは名前と共有出来る」
「〜〜そ、こっ!……ぃっ、ぁん"ッ」
楽しそうに笑って、腕に、肩に、首に、胸元に、脇腹にどんどんキスマークを増やしていく。
「堕ちておいで。もっと」
ペロリ、と舌を出す色気ムンムンな傑に、胸もあそこもキュンッとしてしまった私はもう駄目だ。
………こうして
私と傑は仲直りし、晴れて本当に恋人同士になり、今までより親密に、距離も近付いた。
毎日が楽しくて楽しくて……
私は忘れていた。
懐いた黒猫が姿を消している事に……。
あとがき
これにて仲違い一件落着!!!
硝子ちゃん視点で一本書けるかな?と思ったが……途中で硝子ちゃんらしさが混乱していくし、傑がクズ野郎全開でおかしな方向に向かってしまいそうだったので止めました。