幼馴染は生き残りたい
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「理不尽な世の中なぞ壊れてしまえ」
「突然の厨二」
教室の窓からお空綺麗、と眺める。
ちなみに外は土砂降りだ。
「りっちゃん」
「何」
「聞いて」
「ネタは」
「生き残りたい女の話」
「ボツ」
「世界の中心で愛を叫ぶ」
「聞こうか」
真面目な顔をしたりっちゃん。
私も真面目な顔をする。
「あるところに白と黒という特別な力を持った少年達がいました。性格が真逆な黒と白は反発し合いながらも親友になりました」
「いいね」
「二人で最強だと肩を並べて歩く白と黒」
「尊い」
「二人の最強はある日、神様となる人の子と出会います」
「ファンタジー系?」
「神の子は人の手で殺されました」
「おい、省くな」
「白は一人で最強に。黒は人間を疑うようになりました」
「中間の情報!!」
「人間に疑問を持つようになる中、黒はモヤモヤを飲み込んで人助けをします」
「もういいよ……で?」
「黒の可愛がっていた後輩が呪いで死にました」
「何だその地獄!!」
「黒の先輩が来て黒に言いました」
「待て、待ってくれ。まだ何か……」
「人間は悪意で呪いを生むが、特別な力のある我々は呪いを生まない。
神様の代わりはいるから安心しろ、と」
「うわぁぁああああっ」
「黒が生き方に悩む中……」
「やめろ、やめてくれ……もうやめて……」
「特別な力を持った幼子が人間達に虐げられている光景を目にしました」
「いやぁぁああああっ!!」
「黒は人間に見切りをつけ、自分の親を殺し人間を皆殺しにしようと思いました」
「思いっきりすぎだろ!!!」
「特別な力を持ち、人間に虐げられる人々を助ける黒。
特別な力で人間を守り、力を使って人間を虐げる者を裁く白。
二人は道を別ちました」
「コロセ……コロセよぉ……」
「白と黒は戦い……黒は死にました」
「これのどこが世界の中心で愛を叫んでるんだよ」
「黒は見知らぬ脳ミソに身体を乗っ取られ再び白と対峙」
「なんっっっだその地獄!!」
「白は封印され、世界は暗闇に飲み込まれました」
りっちゃんは泣き崩れた。
わかる、わかるよ……。
地獄な。
「白と黒は道を違えてもお互いが最後まで"親友"だと言い合える仲だったんだ」
「全世界の私が泣いた」
「そこで、だ。りっちゃん」
「まだ地獄あんの?」
「黒に人間の彼女がいた場合……どうしたらいいと思う?」
「どうもこうも白との関係の邪魔だから退場してくれ」
「人間嫌いの黒に人間の彼女だぞ。
彼女の運命なんか察せられるじゃん?」
「察した」
「コロコロ√しかない彼女のコロコロされない運命を捜しだしてくれたまえ」
「無理ゲー」
即答かよ。
「白と黒が幸せになるための物語じゃないの?」
「幸せを願いながら彼女のコロコロ脱出√捜しの話」
「待って。まじで待って。情報が完結しない」
「うーんと……マンキンに例えると」
「突然のマンキン」
「白が過激な葉くんで、黒がハオサマ」
「OK」
「で、ハオサマが霊も見えない夢女子から「人間殺さず共に生きる道を探そう」と言う物語」
「ハオサマに真実の愛を伝える夢女子か。
……拗らせてるから葉じゃなきゃ無理じゃん?またはアンナさんレベル」
「やっぱ白じゃなきゃ駄目かー」
「夢女子にアンナ様レベルのチート能力があるならまだワンチャン……」
「夢女子には何の能力も無しね」
「夢女子いる意味ある?チート無しが相手でハオサマが真実の愛に目覚めるなら1000年も患ってねーわ」
「それな」
やっぱ華ちゃんか……。
または今後現れる夢女子か……。
硝子ちゃんは……ワンチャンあり?
現時点では五条が頑張ってくれ。
「一般人がハオサマに真実の愛を語るなら余程の純粋さが無いと無理じゃない?」
「オパチョ的な?」
「母性あるオパチョ的な。
人間ブッ殺√一択の考え破壊するなら、凝り固まった頭解しつつ愛を与えないと。
死を恐れるな、愛を貫け」
「無理だよ。ハオサマ恐怖政治。実力主義」
「だからハオサマ拗らせていくんだよ。
相手怖がったまま恋愛なんか成り立たん」
「つまり?」
「子育て√だな」
「子育て……√?」
今までにない√だと!?
「愛情足りずバブってるなら愛を与えるしかない」
「シャーマンファイト参加してないがいけるかな?」
「バカ野郎。バブちゃんの側にいないで子育てなんか出来るわけ無いだろ!
バブちゃんが良いこと悪いこと分からず勝手に成長するから壊滅的になるんだ」
「な、なるほど!!」
シャーマンファイト(高専)にお母さんがいれば解決する!?
五条の善悪は傑が管理しているので、五条のお母さんは傑だ。
しかし傑の善悪を管理するお母さんはいない。
「バブちゃん(傑)にはお母さんが必要だった!?」
「当たり前の事だわ」
「ありがとう、りっちゃん!!」
お母さん……お母さん候補。
傑を怖がらず、包み込む包容力のある人……。
冥さん?……普通に似合う。お金貢ぎたくなる。
硝子ちゃんは……あの状態で母性生まれる?
歌姫さん……は、なんやかんや面倒見てくれそうだが何やらかしたのかぶちギレ案件だからな。
あとは……霞ちゃんは年齢的にな。
同じく桃ちゃん、真依ちゃん、野薔薇ちゃんはアウト。
真希ちゃん?傑の地雷ですね。
あーとーは……理子ちゃん?津美紀ちゃん?あの子達こそ傑の心を射止めることも出来るのでは?
しかし年下の女の子に幼馴染を押し付けつつ愛情たっぷり可愛がってね!なんて……ちょっとな。
傑を叱って、愛情を真っ直ぐに向け、闇落ちさせない人……。
七海はうん。違う。
灰原はあり。ありだけど傑に丸め込まれそうだから少し弱い。
五条はバブちゃんだからお互いバブってる。
悠仁くんも理想的だけど年齢がなー。
恵は姫。
加茂は脳ミソと繋がりありそうだし……。
ロボは霞ちゃん一択。
東堂……は高田ちゃん。いや、まて。タッパも尻も良い感じの傑は高田ちゃんになれるのでは!?東堂……ありだな。
しかし学生との恋愛は色々大変だし、今は小学生……。事案。
子育て経験があり、母性のある大人………。
「!!」
何ということでしょう。
いるじゃないか……一人!!
あの人こそ呪術界のアンナさん!!
早速傑宛に手形を書く事にして、可愛い便箋を買いに行こうと放課後の予定は決まった。
〜突然のお手紙失礼いたします。
私は傑の幼馴染の名前と申します。
この度お手紙を書かせて頂いたのは傑の事についてです。
傑は表面だけは優等生で聞き分けが良いと思いますが、中身は最低のクズです。
人を笑顔で煽り、自分のポテンシャルの高さを理解し、やれば出来てしまうのでとても手が掛かると思います。きっと普段も笑顔で毒を吐き、やることはやるけれど余計な一言二言だけじゃ飽き足らずプラス一言を告げて胡散臭い笑顔を浮かべているのでしょう。
とても大変だと思ってます。胃薬を一緒にお送りいたします。
そんな傑でお困りでしょうが、根は真面目な良い子です。幼少期は泣きながら私の後を着いてきた可愛らしい一面もあります。少し私が幼少期に無茶な事を強いてしまったが為に性格がねじ曲がってしまった可能性がありますので本当申し訳なく思っておりますが……とても真面目で心優しい子なんです。
他人の為に心を痛め、心を砕き、辛さを飲み込み必死に大人ぶろうとする子供なんです。
強がって虚勢で己を奮い立たせているどこにでもいる子供と同じなんです。
心優しい子なので男の子特有の強がりと何でも出来てしまうポテンシャルの高さから……最強などと格好つけておりますが、内に溜め込みやすく、発散が出来ない不器用な所があります。溜め込みすぎると良からぬ方向に思いきってしまうのでよく見ててあげてください。
そちらに通うようになり、五条さんの子守り……いえ、一般教養の足りなさに苦労が絶えないみたいです。傑は面倒見が良いのできっと五条さんを立派に育ててくれると思います。一般家庭の私では理解出来ない優秀な家の出らしいのでお口の達者な大きな子供の子育ては大変でしょうが、傑も子供を通して育つ部分もあると思うので温かく見守り、そして足りない部分は先生のサポートをお願い申し上げたいです。
長々と一方的に書いてしまいましたが……
貴方様にしか頼めない事だったので、失礼を承知で書かせて頂きました。
どうか傑を大人として扱わず、クソガキとして扱ってください。とても手が掛かるし胃の負担もあるでしょうが……先生の大きな愛情と懐の広い器で傑の事をよろしくお願いいたします。
名前より〜
「ギャハハハハハハハハッ!!!!!」
「ヒーーーッ!!ヒッヒッ、ヒィーーッ!!」
「やばい。駄目だって!!ヤバいヤバいヤバい」
「夏油くんの彼女クッソイカれてんだけどぉ!!」
お腹を抱えながら笑う硝子と華。
可愛らしい便箋を手に目頭を押さえる担任。
表情の抜け落ちた私と悟。
これは一体何の拷問だ?
何の恨みがあって名前は担任に手紙を送った?
珍しく私宛に届いた名前からの荷物。
可愛いらしい便箋付きの小包。
小包の中身には私宛のお菓子と中身のわからない箱。
担任の先生に日頃の感謝の気持ちだから渡してと書かれていたので、親が名前に頼んだのかもしれないと、中身を確認せずに箱のまま担任へ。
担任は悪いな……と言いながら箱を大切に持ったが悟が中身何?お菓子?と勝手に開けた。悟は殴られていた。そして出てきたのは胃薬と可愛らしい便箋。
何だ何だと担任が便箋を手に取り目を滑らせると目頭を押さえ始めた。
硝子と華がどうしたんだと覗き、華が朗読を始めた。
そして始まった公開処刑。
名前はなぜこんな嫌がらせを?
私の事が嫌いになったのか?
「傑……」
「やめてください」
「傑……幼馴染は良い子だな」
「今だけはぶん殴りたくて仕方がないです」
「すまない……オマエは悟より手が掛からないから信頼していたが、オマエだけに悟を任せるのは良くなかったな」
「やめてください」
「オマエも充分クソガキだが、どうやら俺はオマエを大人扱いして困らせていたんだな。
……すまない、苦労をかけて」
「やめてくれっ!!」
両手で顔を覆った。
もう担任の顔なんて見れなかった。
「悟、オマエも傑に甘え過ぎだ」
「うわっ、俺にも来た。やめて、俺もわりと手紙の内容にダメージ受けてるからやめて」
「傑はオマエの母親じゃないぞ」
「やめてっ!!」
悟も両手で顔を覆った。
硝子と華の笑い声が響いている。
「……傑、無理はするな。もう少し実家に帰る日数が増やせるよう此方も調整するから」
「それは嬉しいですがそろそろその哀れんだ顔をやめてください」
「俺ももっとオマエ達の負担を減らせるよう努力しよう」
「優しさに心を抉られるんだけど」
いい幼馴染を持ったな。大事にしろと胃薬を大切に持って教室からいなくなった担任に頭を抱えて溜め息をつく。
「いやー、笑ったわ」
「名前ちゃんめちゃウケんだけどぉ」
まだプルプル震えて笑ってる硝子と華。
怒る気にもなれない。
「先生に傑の子守り頼むなんて何考えてんだよ」
「その前に五条くんは夏油くんに子守りされてんねぇ」
「うっせーよ!!」
「夏油ママ、子供がご乱心だぞ」
「硝子……やめてくれ」
本当昔から突拍子もない事をやらかすが、まさかここまでとは…。
今度は一体何の影響を受けたんだ。
はぁ、と溜め息と共に頭を抱えた。
それからと言うもの……
「傑、きちんとご飯食べたか」
「はい」
「傑、何か悩みはないか。悟の事はなるべく私も協力する」
「ははっ、今のところは大丈夫ですよ」
「傑、よくやった。
皆でご飯に行くぞ」
「ありがとうございます」
筋肉髭ダルマがうっっっっっざい!!!!
なぜか筋肉髭ダルマが名前宛に御礼の品物を送ってからというもの、二人で手紙のやり取りをしているらしい!!
名前からのメールも
"傑、疲れていてもご飯はきちんと食べるんだよ"
"傑、あまり先生を困らせないように。けどたまには我が儘も大事だからね"
"傑、いつも頑張って偉いね!お疲れ様!"
などなどと……
オマエは私の親か!!!とツッコんだのも記憶に新しい。
とにかく筋肉髭ダルマが鬱陶しい。
とにかく面倒臭い。
「私は幼子か心を閉ざした少年なのか?」
「追い詰められてんじゃん」
「笑うな。ボディー決めるぞ」
「ガチオコだな」
「そろそろ私はキレていいかな」
イライラしてきた。
そして出会った担任の手には猫のような人形。
「傑か。ちょうどよかった」
「……何ですか?」
「コレを」
そっと手渡された可愛らしい猫ちゃん。
これを抱いて寝ろと言われたら私は今すぐこの人形を引きちぎる。
「いつもの礼としてどうだろうか」
「私を子供扱いする礼ですか?歯を食いしばれ」
「どぅどぅ!!傑がキレた!!」
「レッドカードレッドカード」
「総員待避!!猛獣が暴れだした!!」
好き勝手言い出す同級生達。
オマエらも覚えてろ。
「? 何を勘違いしている。
オマエの幼馴染へ、だ?」
キョトンとするな髭ゴリ。
ふーーー、と重々しい溜め息と共に落ち着く。
そうだ、落ち着くんだ私。
「わざわざ作ったんですか?」
「あぁ。猫が好きだと言っていたからな」
「何?傑の彼女に呪骸?」
「ただの人形だ」
「そーいや傑、彼女に何か買うって言ってなかったっけ?」
「あぁ、虫除けに首輪……いや、ネックレスにしようと思っているがまだ買ってはいないんだ」
「ふーん。じゃあ今から買いに行こうぜ」
「今から?悟も?」
「面白そうだから」
「じゃあ僕も行くー!名前ちゃんに選ぶ!!」
「私も面白そうだから何か選ぼうかな」
コイツら楽しんで……と思ったが良いことを思い付いた。
「先生、ありがとうございます。
責任を持って此方を届けますがお願いがあります」
「!! あぁ。出来る限りの事は聞こう」
覚えてろ、名前。
傑から荷物が届いた。
何やらデカイ。
「あ、夜蛾先生からだ!!」
宅配便は夜蛾先生からの名前で来ていた。箱を開けると絶妙にぶさ……いや、個性的な猫ちゃん人形が。
ふわふわで手触りがいい。
"胃薬感謝している"の手紙に頬が緩む。
人形だけにしては大きい箱だな……と見て見れば……奥底から出てきたのは【初めてでも安心!ピストン機能付き】と書かれた箱。中身はおちんちんだった。
可愛らしいメモ帳には殴り書きで"傑いない時用"と書かれていた。五条コノヤロウ。
次は何だと出てきたのは薄めの高級感ある箱。
中身を開ければ!…わーぉ。女性の大事な部分がパックリ開いた下着。そして上はスケスケヒラヒラのキャミソール。色は黒だった。
"これで夏油くんもイ・チ・コ・ロ"華ちゃんだな。可愛いが際どい。そして最後に硝子ちゃんからは……箱?何箱もあってまとめて袋に入っているが先にメモを見れば"ちゃんと身体は大事にしろ"と。硝子ちゃん……!!と感動したのもつかの間。
【イボ付き】【香り付き】【めちゃ薄】【極厚】
うぉぉぉおおおおおいっ!!!!!ゴム何箱あんのこれ!?まともだけどまともじゃねぇ!!!
他には……と思ったが傑からの荷物がない。
箱を片付け四人分のプレゼントを並べるが……酷い。
五条と硝子ちゃんからのプレゼントは使わないが、華ちゃんのは興味がある。
誰もいないし……と思って鼻歌混じりに着替えてみる。
おぉ、凄い着心地がいいんだが。
可愛いなーと思って胸寄せながらポージングしてみた。可愛いぞ。
美少女に生まれ変わったらこんなのも似合うんだな……と思っていたら再びピンポーンと鳴る。
慌てて上にパーカーを羽織り、短いショートパンツを履いて外へ。
「はーい!!すいません、お待たせしました!」
扉を開けると私服姿の傑がいた。
「やぁ」
「傑?どうかしたの?」
「休み貰って来たんだ」
傑から渡されたのは何か高級そうな小さな紙袋。
中身を見ると……見るからに高級そうだ。
「わっ、可愛い。けど何かあった?」
「ただの虫除けだよ」
「虫除け?」
「喜んで貰えて良かった」
「着けていい?」
「私がつけるよ」
玄関では落ち着かないだろうと中へ招く。
家族は休日でも朝から仕事で今はいない。
私の部屋を開けて……扉を閉めた。
「名前?」
「待って。5分……いや、3分待ってて」
「どうかしたの?」
「部屋が汚れてて!!」
「気にしないよ。何年の付き合いだと思ってるんだ?」
「ほんっっと汚いから!!!」
「二人で吐いて汚した部屋なんだ。汚物や吐瀉物まみれでも引かないさ」
「汚いものなんか無いし!!」
ヤバい。
ヤバいヤバいヤバい!!!
今部屋にはアダルトグッズに、上下脱がされたら……ヤバい。
冷や汗ダラダラで傑を入れまいと扉の前に立つが……傑はにこり、と笑って何を思ったのかパーカーをめくり上げた。
「エッロ」
「な、な、な、なにして!?」
「華からのプレゼント?下は?」
「うひゃっ!?手!!手を入れっ」
「あ、穴ある。凄いね、触り放題だ」
クニクニとズボンに手を入れて、パックリ開いた下着のまま秘部を触られ反応してしまう身体。
「ヌルヌルしてきた」
「す、ぐるっ」
「部屋入れて。それとも此処がいい?」
耳元で囁きながら舌を入れる傑。
中に指が入ってきてゆっくり出し入れされる。
「……っ、部屋が、いい」
「わかったよ」
抜かれた指が名残惜しい。
傑を中へ入れると目につくのはベッドに並べたバイブとコンドームの箱に頭を抱えた。
「硝子と悟か」
「……傑の同級生達は何を考えてんのさ」
「面白さ、かな」
ベッドに座ってバイブとコンドームを机に置く。傑の目の前に立たされ、さっと脱がされたパーカーとズボン。
「可愛い。綺麗だね」
「可愛いのは認めるけど傑と使う気は無かったのに」
「名前なら着ると思ったんだ。スケベだからね」
「本当タイミング……」
ぎゅっ、と抱き締められたので傑の髪ゴムを外す。傑の膝に跨ぐように乗って首に腕を回す。
「プレゼント、くれないの?」
「大胆なおねだりだね」
「待て。違う!ネックレスつけてくれるって言ったじゃん」
「あぁ」
雑に箱から出して正面からつけてくれる傑。
猫の形となっているシンプルな作りが可愛らしい。しっぽのリボンが石で出来ていてキラキラしている。
「可愛い」
「猫好きだろ?」
「ありがと、傑」
「うん。大事に毎日つけてね」
「可愛いからつける!高級そうな箱だったからめちゃくちゃお高い品物出てくると思ってた」
「オーダーメイドだけど大したことない玩具みたいなものだよ」
傑がネックレスの猫に唇を寄せる。
チュッ、と音を立ててネックレスにキスをする姿は厭らしい。
「………よく帰ってこれたね」
「担任が最近我が儘を言えというから甘えただけさ」
「へー」
「だから、名前」
ドサリ、とベッドに押し倒される。
私の上に馬乗りに乗る傑はにっこり、と笑う。
……あれ?なんだか怒ってる?
「す、傑さーん?」
「沢山心配かけてしまっていたみたいだからね。心配性の名前に私の疲れを癒して貰おうと思って」
「待って。うちこれから親帰ってくるからっ!!」
「まずは一回で済ますよ。
名前の親には名前と久しぶりに恋人らしく過ごしたいからって連絡してるから安心してくれ」
「嘘だろ!?いつの間に!?」
「名前。覚悟しな」
ギラギラとした傑の瞳に逃げ出せない状況。
………りっちゃん、私は何を間違えた?
母性のある担任に傑を頼んだだけなのに
傑に抱き潰されました。
あとがき
夜蛾先生の母性は凄いと思う。
きっと出来る限り守ろうとしてくれたんだろうけど……悟も傑も強すぎたから大丈夫だと根拠のない自信を持ってしまっていたんだろうな、と思う。
高専のカウンセリング担当いないのかよ。
常駐しとくべきかと。
「突然の厨二」
教室の窓からお空綺麗、と眺める。
ちなみに外は土砂降りだ。
「りっちゃん」
「何」
「聞いて」
「ネタは」
「生き残りたい女の話」
「ボツ」
「世界の中心で愛を叫ぶ」
「聞こうか」
真面目な顔をしたりっちゃん。
私も真面目な顔をする。
「あるところに白と黒という特別な力を持った少年達がいました。性格が真逆な黒と白は反発し合いながらも親友になりました」
「いいね」
「二人で最強だと肩を並べて歩く白と黒」
「尊い」
「二人の最強はある日、神様となる人の子と出会います」
「ファンタジー系?」
「神の子は人の手で殺されました」
「おい、省くな」
「白は一人で最強に。黒は人間を疑うようになりました」
「中間の情報!!」
「人間に疑問を持つようになる中、黒はモヤモヤを飲み込んで人助けをします」
「もういいよ……で?」
「黒の可愛がっていた後輩が呪いで死にました」
「何だその地獄!!」
「黒の先輩が来て黒に言いました」
「待て、待ってくれ。まだ何か……」
「人間は悪意で呪いを生むが、特別な力のある我々は呪いを生まない。
神様の代わりはいるから安心しろ、と」
「うわぁぁああああっ」
「黒が生き方に悩む中……」
「やめろ、やめてくれ……もうやめて……」
「特別な力を持った幼子が人間達に虐げられている光景を目にしました」
「いやぁぁああああっ!!」
「黒は人間に見切りをつけ、自分の親を殺し人間を皆殺しにしようと思いました」
「思いっきりすぎだろ!!!」
「特別な力を持ち、人間に虐げられる人々を助ける黒。
特別な力で人間を守り、力を使って人間を虐げる者を裁く白。
二人は道を別ちました」
「コロセ……コロセよぉ……」
「白と黒は戦い……黒は死にました」
「これのどこが世界の中心で愛を叫んでるんだよ」
「黒は見知らぬ脳ミソに身体を乗っ取られ再び白と対峙」
「なんっっっだその地獄!!」
「白は封印され、世界は暗闇に飲み込まれました」
りっちゃんは泣き崩れた。
わかる、わかるよ……。
地獄な。
「白と黒は道を違えてもお互いが最後まで"親友"だと言い合える仲だったんだ」
「全世界の私が泣いた」
「そこで、だ。りっちゃん」
「まだ地獄あんの?」
「黒に人間の彼女がいた場合……どうしたらいいと思う?」
「どうもこうも白との関係の邪魔だから退場してくれ」
「人間嫌いの黒に人間の彼女だぞ。
彼女の運命なんか察せられるじゃん?」
「察した」
「コロコロ√しかない彼女のコロコロされない運命を捜しだしてくれたまえ」
「無理ゲー」
即答かよ。
「白と黒が幸せになるための物語じゃないの?」
「幸せを願いながら彼女のコロコロ脱出√捜しの話」
「待って。まじで待って。情報が完結しない」
「うーんと……マンキンに例えると」
「突然のマンキン」
「白が過激な葉くんで、黒がハオサマ」
「OK」
「で、ハオサマが霊も見えない夢女子から「人間殺さず共に生きる道を探そう」と言う物語」
「ハオサマに真実の愛を伝える夢女子か。
……拗らせてるから葉じゃなきゃ無理じゃん?またはアンナさんレベル」
「やっぱ白じゃなきゃ駄目かー」
「夢女子にアンナ様レベルのチート能力があるならまだワンチャン……」
「夢女子には何の能力も無しね」
「夢女子いる意味ある?チート無しが相手でハオサマが真実の愛に目覚めるなら1000年も患ってねーわ」
「それな」
やっぱ華ちゃんか……。
または今後現れる夢女子か……。
硝子ちゃんは……ワンチャンあり?
現時点では五条が頑張ってくれ。
「一般人がハオサマに真実の愛を語るなら余程の純粋さが無いと無理じゃない?」
「オパチョ的な?」
「母性あるオパチョ的な。
人間ブッ殺√一択の考え破壊するなら、凝り固まった頭解しつつ愛を与えないと。
死を恐れるな、愛を貫け」
「無理だよ。ハオサマ恐怖政治。実力主義」
「だからハオサマ拗らせていくんだよ。
相手怖がったまま恋愛なんか成り立たん」
「つまり?」
「子育て√だな」
「子育て……√?」
今までにない√だと!?
「愛情足りずバブってるなら愛を与えるしかない」
「シャーマンファイト参加してないがいけるかな?」
「バカ野郎。バブちゃんの側にいないで子育てなんか出来るわけ無いだろ!
バブちゃんが良いこと悪いこと分からず勝手に成長するから壊滅的になるんだ」
「な、なるほど!!」
シャーマンファイト(高専)にお母さんがいれば解決する!?
五条の善悪は傑が管理しているので、五条のお母さんは傑だ。
しかし傑の善悪を管理するお母さんはいない。
「バブちゃん(傑)にはお母さんが必要だった!?」
「当たり前の事だわ」
「ありがとう、りっちゃん!!」
お母さん……お母さん候補。
傑を怖がらず、包み込む包容力のある人……。
冥さん?……普通に似合う。お金貢ぎたくなる。
硝子ちゃんは……あの状態で母性生まれる?
歌姫さん……は、なんやかんや面倒見てくれそうだが何やらかしたのかぶちギレ案件だからな。
あとは……霞ちゃんは年齢的にな。
同じく桃ちゃん、真依ちゃん、野薔薇ちゃんはアウト。
真希ちゃん?傑の地雷ですね。
あーとーは……理子ちゃん?津美紀ちゃん?あの子達こそ傑の心を射止めることも出来るのでは?
しかし年下の女の子に幼馴染を押し付けつつ愛情たっぷり可愛がってね!なんて……ちょっとな。
傑を叱って、愛情を真っ直ぐに向け、闇落ちさせない人……。
七海はうん。違う。
灰原はあり。ありだけど傑に丸め込まれそうだから少し弱い。
五条はバブちゃんだからお互いバブってる。
悠仁くんも理想的だけど年齢がなー。
恵は姫。
加茂は脳ミソと繋がりありそうだし……。
ロボは霞ちゃん一択。
東堂……は高田ちゃん。いや、まて。タッパも尻も良い感じの傑は高田ちゃんになれるのでは!?東堂……ありだな。
しかし学生との恋愛は色々大変だし、今は小学生……。事案。
子育て経験があり、母性のある大人………。
「!!」
何ということでしょう。
いるじゃないか……一人!!
あの人こそ呪術界のアンナさん!!
早速傑宛に手形を書く事にして、可愛い便箋を買いに行こうと放課後の予定は決まった。
〜突然のお手紙失礼いたします。
私は傑の幼馴染の名前と申します。
この度お手紙を書かせて頂いたのは傑の事についてです。
傑は表面だけは優等生で聞き分けが良いと思いますが、中身は最低のクズです。
人を笑顔で煽り、自分のポテンシャルの高さを理解し、やれば出来てしまうのでとても手が掛かると思います。きっと普段も笑顔で毒を吐き、やることはやるけれど余計な一言二言だけじゃ飽き足らずプラス一言を告げて胡散臭い笑顔を浮かべているのでしょう。
とても大変だと思ってます。胃薬を一緒にお送りいたします。
そんな傑でお困りでしょうが、根は真面目な良い子です。幼少期は泣きながら私の後を着いてきた可愛らしい一面もあります。少し私が幼少期に無茶な事を強いてしまったが為に性格がねじ曲がってしまった可能性がありますので本当申し訳なく思っておりますが……とても真面目で心優しい子なんです。
他人の為に心を痛め、心を砕き、辛さを飲み込み必死に大人ぶろうとする子供なんです。
強がって虚勢で己を奮い立たせているどこにでもいる子供と同じなんです。
心優しい子なので男の子特有の強がりと何でも出来てしまうポテンシャルの高さから……最強などと格好つけておりますが、内に溜め込みやすく、発散が出来ない不器用な所があります。溜め込みすぎると良からぬ方向に思いきってしまうのでよく見ててあげてください。
そちらに通うようになり、五条さんの子守り……いえ、一般教養の足りなさに苦労が絶えないみたいです。傑は面倒見が良いのできっと五条さんを立派に育ててくれると思います。一般家庭の私では理解出来ない優秀な家の出らしいのでお口の達者な大きな子供の子育ては大変でしょうが、傑も子供を通して育つ部分もあると思うので温かく見守り、そして足りない部分は先生のサポートをお願い申し上げたいです。
長々と一方的に書いてしまいましたが……
貴方様にしか頼めない事だったので、失礼を承知で書かせて頂きました。
どうか傑を大人として扱わず、クソガキとして扱ってください。とても手が掛かるし胃の負担もあるでしょうが……先生の大きな愛情と懐の広い器で傑の事をよろしくお願いいたします。
名前より〜
「ギャハハハハハハハハッ!!!!!」
「ヒーーーッ!!ヒッヒッ、ヒィーーッ!!」
「やばい。駄目だって!!ヤバいヤバいヤバい」
「夏油くんの彼女クッソイカれてんだけどぉ!!」
お腹を抱えながら笑う硝子と華。
可愛らしい便箋を手に目頭を押さえる担任。
表情の抜け落ちた私と悟。
これは一体何の拷問だ?
何の恨みがあって名前は担任に手紙を送った?
珍しく私宛に届いた名前からの荷物。
可愛いらしい便箋付きの小包。
小包の中身には私宛のお菓子と中身のわからない箱。
担任の先生に日頃の感謝の気持ちだから渡してと書かれていたので、親が名前に頼んだのかもしれないと、中身を確認せずに箱のまま担任へ。
担任は悪いな……と言いながら箱を大切に持ったが悟が中身何?お菓子?と勝手に開けた。悟は殴られていた。そして出てきたのは胃薬と可愛らしい便箋。
何だ何だと担任が便箋を手に取り目を滑らせると目頭を押さえ始めた。
硝子と華がどうしたんだと覗き、華が朗読を始めた。
そして始まった公開処刑。
名前はなぜこんな嫌がらせを?
私の事が嫌いになったのか?
「傑……」
「やめてください」
「傑……幼馴染は良い子だな」
「今だけはぶん殴りたくて仕方がないです」
「すまない……オマエは悟より手が掛からないから信頼していたが、オマエだけに悟を任せるのは良くなかったな」
「やめてください」
「オマエも充分クソガキだが、どうやら俺はオマエを大人扱いして困らせていたんだな。
……すまない、苦労をかけて」
「やめてくれっ!!」
両手で顔を覆った。
もう担任の顔なんて見れなかった。
「悟、オマエも傑に甘え過ぎだ」
「うわっ、俺にも来た。やめて、俺もわりと手紙の内容にダメージ受けてるからやめて」
「傑はオマエの母親じゃないぞ」
「やめてっ!!」
悟も両手で顔を覆った。
硝子と華の笑い声が響いている。
「……傑、無理はするな。もう少し実家に帰る日数が増やせるよう此方も調整するから」
「それは嬉しいですがそろそろその哀れんだ顔をやめてください」
「俺ももっとオマエ達の負担を減らせるよう努力しよう」
「優しさに心を抉られるんだけど」
いい幼馴染を持ったな。大事にしろと胃薬を大切に持って教室からいなくなった担任に頭を抱えて溜め息をつく。
「いやー、笑ったわ」
「名前ちゃんめちゃウケんだけどぉ」
まだプルプル震えて笑ってる硝子と華。
怒る気にもなれない。
「先生に傑の子守り頼むなんて何考えてんだよ」
「その前に五条くんは夏油くんに子守りされてんねぇ」
「うっせーよ!!」
「夏油ママ、子供がご乱心だぞ」
「硝子……やめてくれ」
本当昔から突拍子もない事をやらかすが、まさかここまでとは…。
今度は一体何の影響を受けたんだ。
はぁ、と溜め息と共に頭を抱えた。
それからと言うもの……
「傑、きちんとご飯食べたか」
「はい」
「傑、何か悩みはないか。悟の事はなるべく私も協力する」
「ははっ、今のところは大丈夫ですよ」
「傑、よくやった。
皆でご飯に行くぞ」
「ありがとうございます」
筋肉髭ダルマがうっっっっっざい!!!!
なぜか筋肉髭ダルマが名前宛に御礼の品物を送ってからというもの、二人で手紙のやり取りをしているらしい!!
名前からのメールも
"傑、疲れていてもご飯はきちんと食べるんだよ"
"傑、あまり先生を困らせないように。けどたまには我が儘も大事だからね"
"傑、いつも頑張って偉いね!お疲れ様!"
などなどと……
オマエは私の親か!!!とツッコんだのも記憶に新しい。
とにかく筋肉髭ダルマが鬱陶しい。
とにかく面倒臭い。
「私は幼子か心を閉ざした少年なのか?」
「追い詰められてんじゃん」
「笑うな。ボディー決めるぞ」
「ガチオコだな」
「そろそろ私はキレていいかな」
イライラしてきた。
そして出会った担任の手には猫のような人形。
「傑か。ちょうどよかった」
「……何ですか?」
「コレを」
そっと手渡された可愛らしい猫ちゃん。
これを抱いて寝ろと言われたら私は今すぐこの人形を引きちぎる。
「いつもの礼としてどうだろうか」
「私を子供扱いする礼ですか?歯を食いしばれ」
「どぅどぅ!!傑がキレた!!」
「レッドカードレッドカード」
「総員待避!!猛獣が暴れだした!!」
好き勝手言い出す同級生達。
オマエらも覚えてろ。
「? 何を勘違いしている。
オマエの幼馴染へ、だ?」
キョトンとするな髭ゴリ。
ふーーー、と重々しい溜め息と共に落ち着く。
そうだ、落ち着くんだ私。
「わざわざ作ったんですか?」
「あぁ。猫が好きだと言っていたからな」
「何?傑の彼女に呪骸?」
「ただの人形だ」
「そーいや傑、彼女に何か買うって言ってなかったっけ?」
「あぁ、虫除けに首輪……いや、ネックレスにしようと思っているがまだ買ってはいないんだ」
「ふーん。じゃあ今から買いに行こうぜ」
「今から?悟も?」
「面白そうだから」
「じゃあ僕も行くー!名前ちゃんに選ぶ!!」
「私も面白そうだから何か選ぼうかな」
コイツら楽しんで……と思ったが良いことを思い付いた。
「先生、ありがとうございます。
責任を持って此方を届けますがお願いがあります」
「!! あぁ。出来る限りの事は聞こう」
覚えてろ、名前。
傑から荷物が届いた。
何やらデカイ。
「あ、夜蛾先生からだ!!」
宅配便は夜蛾先生からの名前で来ていた。箱を開けると絶妙にぶさ……いや、個性的な猫ちゃん人形が。
ふわふわで手触りがいい。
"胃薬感謝している"の手紙に頬が緩む。
人形だけにしては大きい箱だな……と見て見れば……奥底から出てきたのは【初めてでも安心!ピストン機能付き】と書かれた箱。中身はおちんちんだった。
可愛らしいメモ帳には殴り書きで"傑いない時用"と書かれていた。五条コノヤロウ。
次は何だと出てきたのは薄めの高級感ある箱。
中身を開ければ!…わーぉ。女性の大事な部分がパックリ開いた下着。そして上はスケスケヒラヒラのキャミソール。色は黒だった。
"これで夏油くんもイ・チ・コ・ロ"華ちゃんだな。可愛いが際どい。そして最後に硝子ちゃんからは……箱?何箱もあってまとめて袋に入っているが先にメモを見れば"ちゃんと身体は大事にしろ"と。硝子ちゃん……!!と感動したのもつかの間。
【イボ付き】【香り付き】【めちゃ薄】【極厚】
うぉぉぉおおおおおいっ!!!!!ゴム何箱あんのこれ!?まともだけどまともじゃねぇ!!!
他には……と思ったが傑からの荷物がない。
箱を片付け四人分のプレゼントを並べるが……酷い。
五条と硝子ちゃんからのプレゼントは使わないが、華ちゃんのは興味がある。
誰もいないし……と思って鼻歌混じりに着替えてみる。
おぉ、凄い着心地がいいんだが。
可愛いなーと思って胸寄せながらポージングしてみた。可愛いぞ。
美少女に生まれ変わったらこんなのも似合うんだな……と思っていたら再びピンポーンと鳴る。
慌てて上にパーカーを羽織り、短いショートパンツを履いて外へ。
「はーい!!すいません、お待たせしました!」
扉を開けると私服姿の傑がいた。
「やぁ」
「傑?どうかしたの?」
「休み貰って来たんだ」
傑から渡されたのは何か高級そうな小さな紙袋。
中身を見ると……見るからに高級そうだ。
「わっ、可愛い。けど何かあった?」
「ただの虫除けだよ」
「虫除け?」
「喜んで貰えて良かった」
「着けていい?」
「私がつけるよ」
玄関では落ち着かないだろうと中へ招く。
家族は休日でも朝から仕事で今はいない。
私の部屋を開けて……扉を閉めた。
「名前?」
「待って。5分……いや、3分待ってて」
「どうかしたの?」
「部屋が汚れてて!!」
「気にしないよ。何年の付き合いだと思ってるんだ?」
「ほんっっと汚いから!!!」
「二人で吐いて汚した部屋なんだ。汚物や吐瀉物まみれでも引かないさ」
「汚いものなんか無いし!!」
ヤバい。
ヤバいヤバいヤバい!!!
今部屋にはアダルトグッズに、上下脱がされたら……ヤバい。
冷や汗ダラダラで傑を入れまいと扉の前に立つが……傑はにこり、と笑って何を思ったのかパーカーをめくり上げた。
「エッロ」
「な、な、な、なにして!?」
「華からのプレゼント?下は?」
「うひゃっ!?手!!手を入れっ」
「あ、穴ある。凄いね、触り放題だ」
クニクニとズボンに手を入れて、パックリ開いた下着のまま秘部を触られ反応してしまう身体。
「ヌルヌルしてきた」
「す、ぐるっ」
「部屋入れて。それとも此処がいい?」
耳元で囁きながら舌を入れる傑。
中に指が入ってきてゆっくり出し入れされる。
「……っ、部屋が、いい」
「わかったよ」
抜かれた指が名残惜しい。
傑を中へ入れると目につくのはベッドに並べたバイブとコンドームの箱に頭を抱えた。
「硝子と悟か」
「……傑の同級生達は何を考えてんのさ」
「面白さ、かな」
ベッドに座ってバイブとコンドームを机に置く。傑の目の前に立たされ、さっと脱がされたパーカーとズボン。
「可愛い。綺麗だね」
「可愛いのは認めるけど傑と使う気は無かったのに」
「名前なら着ると思ったんだ。スケベだからね」
「本当タイミング……」
ぎゅっ、と抱き締められたので傑の髪ゴムを外す。傑の膝に跨ぐように乗って首に腕を回す。
「プレゼント、くれないの?」
「大胆なおねだりだね」
「待て。違う!ネックレスつけてくれるって言ったじゃん」
「あぁ」
雑に箱から出して正面からつけてくれる傑。
猫の形となっているシンプルな作りが可愛らしい。しっぽのリボンが石で出来ていてキラキラしている。
「可愛い」
「猫好きだろ?」
「ありがと、傑」
「うん。大事に毎日つけてね」
「可愛いからつける!高級そうな箱だったからめちゃくちゃお高い品物出てくると思ってた」
「オーダーメイドだけど大したことない玩具みたいなものだよ」
傑がネックレスの猫に唇を寄せる。
チュッ、と音を立ててネックレスにキスをする姿は厭らしい。
「………よく帰ってこれたね」
「担任が最近我が儘を言えというから甘えただけさ」
「へー」
「だから、名前」
ドサリ、とベッドに押し倒される。
私の上に馬乗りに乗る傑はにっこり、と笑う。
……あれ?なんだか怒ってる?
「す、傑さーん?」
「沢山心配かけてしまっていたみたいだからね。心配性の名前に私の疲れを癒して貰おうと思って」
「待って。うちこれから親帰ってくるからっ!!」
「まずは一回で済ますよ。
名前の親には名前と久しぶりに恋人らしく過ごしたいからって連絡してるから安心してくれ」
「嘘だろ!?いつの間に!?」
「名前。覚悟しな」
ギラギラとした傑の瞳に逃げ出せない状況。
………りっちゃん、私は何を間違えた?
母性のある担任に傑を頼んだだけなのに
傑に抱き潰されました。
あとがき
夜蛾先生の母性は凄いと思う。
きっと出来る限り守ろうとしてくれたんだろうけど……悟も傑も強すぎたから大丈夫だと根拠のない自信を持ってしまっていたんだろうな、と思う。
高専のカウンセリング担当いないのかよ。
常駐しとくべきかと。