先輩ifシリーズ
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注意
パパ黒が目の前で亡くなったことにより
闇落ちしちゃったver
OKな方のみ、どうぞ
私を見て、笑ったお兄さん。
ずっとずっと待っていたのに
お兄さんは私の手の届かない所へ。
「………お兄さん」
冷たくなっていく身体。
呼んでも動かない身体。
涙は出なかった。
補助監督の人がお兄さんを連れていく。
同じように、悟が連れてきた動かない星漿体も
どこかへ連れて行かれてしまった。
帰りの車には乗らなかった。
お兄さんを殺した悟を
憎みきれず
でも、許せもしなかった。
お兄さんに執着している。
私には、お兄さんしかいなかったから。
そのお兄さんに置いていかれ
いつか伸ばされる手に期待していた。
伸ばされたなら、私は
呪術師なんて止めて
お兄さんと一緒の仕事をしても良かったんだ。
私の世界はお兄さんが作ってくれたのだから。
お兄さんのいないこの世界で
私は、何のために呪術師なんだろう?
非術師を守るため?
ーーー私は非術師なんてどーでもいい。
術師を守るため?
ーーーお兄さんを殺したのは術師なのに?
誰のために?
ーーーマモリタイモノのタメニ
守りたいもの?
ーーーモウ、イナイ
お兄さんのいない世界は色を無くし
私は心を殺した。
あれから一年
四年になった私だが
いまだに特級になることはない。
代わりに、悟と傑が特級となり
後輩達は忙しい毎日を過ごしている。
結婚の話をされたが
特に反応もせずに
つまらない毎日を過ごしている。
呪霊を祓って、祓って、祓って。
肉の塊を見て
報告書を書いて
討伐に向かって
ストレスのせいなのか
最初は味がしなくなり
次に痛みの感覚さえ無くなってきて
最終的には、世界の色が無くなった。
全てがモノクロに見える。
私の世界は酷く
つまらないものへなってしまった。
何のために?誰のために?
私は呪術師になりたくなかった。
呪術師になったのは……
自販機の前で考え事をしていたら
スリッパのペタペタとした足音。
「先輩……?」
「久しぶりだね、傑」
「……久しぶり、ですね」
笑おうとしているのか
何とも言えない顔をしている傑がいた。
珍しく髪を下ろしていて
部屋着姿だ。
「今日はもう任務も無いの?」
「はい」
「初めて見たな……傑の下ろしてる姿」
「そうでしたか?」
「顔色悪くない?」
「先輩もですよ」
飲み物は買わずにベンチに座ると
傑も隣に腰かけた。
「買わなくて良かったんですか?」
「いいよ、別に。
何飲んでも味がしないし」
「………?」
「味覚が無くなっちゃったんだ」
べ、と舌を出せば
傑が驚いていた。
「呪霊の?」
「去年からかな?少しずつ味が失くなって
気付いたときにはもう手遅れ
一種のストレスみたいだけど仕方ないね」
「………悟は知ってるんですか?」
「悟とは話してないよ
ほとんど任務ですれ違ってるし
こんなこと、悟が知る必要もないよ」
あれから、私は悟と話していない。
話したら、あの日を思い出す。
話したら、許せていたものが許せなくなる。
私は悟を憎みたいわけじゃない。
「傑……私、疲れた」
何も考えないように、任務をこなすのも
助かりもしない、肉を見るのも
結婚も
生きる意味も
「何で私、呪術師やってんだろ」
適した能力だったから?
才能があったから?
「そもそも、人が呪を生まなければ
術師なんて必要ない?」
「……先輩」
「無理だってわかってる。
心が砂漠のように荒んでるんだよ」
「………先輩は、非術師をどう思いますか?」
「どーでもいいかな」
「……呪術師は?」
「んー…嫌い、かな」
くすり、と笑って言うが
傑は笑いもせずにこちらを見ている。
「正確に言うと
呪術師の自分が嫌いかな」
「自分が?」
「呪術師じゃなければ
私は普通に親から愛されていたかもしれない
禪院家で肩身の狭い思いはしたかもしれない
けど、本家と関わらなかったかもしれない
怖い思いも、痛い思いも、命のやりとりのない
力の無い、普通に暮らす女の子で
いられたかもしれない……」
「………」
術師じゃなければ
私は普通の生活出来ていたのか……
たらればの予想など、意味はない。
「呪術師だから
人よりも死に近い場所に行かされ
人の汚い部分を見せられ
人の醜い最期を見届ける」
狂っていなければ、耐えられない。
「私は……呪術師に、なりたくなかった」
呪力の無いおにーさんが羨ましかった。
あの家と関わらない理由が
できるのが羨ましかった。
見えなければ
才能が無ければ
あの家に産まれなければ
「……なーんて、言ってても
結局はたらればの可能性を言ったとこで
今は呪術師やるしか道が無いんだけどね」
「………先輩」
「ん?」
「先輩にとって呪術師として譲れない
一番大切なのは何ですか?」
譲れない……大切なもの
傑に言われ色々浮かぶ。
仲間、命、力、権力…
けど、一番ではなくただ、大切なもの。
私の本当の願いは一つだけ。
「んー…無くなったかな」
おにーさんがくれた力
おにーさんが望んだ呪力
おにーさんが欲しかった術式
おにーさんが呪術師殺しをしているなら
いつか、私を殺しに来てくれるか
私を迎えに来てくれるのかと思っていたから
だから、呪術師をしていた。
「私が呪術師としての理由、無くなったな」
会いたかった。
会って、話をして
出来るなら、側にいさせて欲しかった。
「愛ほど歪んだ呪いは無い……ってね」
「………先輩が悟を受け入れない根本は
好きな人がいたからですか?」
「好きと言っても、家族のような好きだよ
抱き締めたり、頭撫でたりして欲しいけど
肉体関係になりたいわけじゃない」
「………歪んでますね」
「知ってる。
ずーっと、溜め込んできた歪みが
今は行き場を無くしてる感じ」
せめて、私の知らぬところで
生きているかも、死んでいるかも
わからなければ良かった。
「悟のことは、一人の男として愛してるよ」
けど、それよりも
おにーさんには特別な執着心がある。
「ごめんね、傑」
「………?」
「私は傑の考えに同意をしてあげられないし
傑の悩みを解決してあげられない」
私は非術師が憎いわけじゃない。
むしろ、呪術師の方に嫌悪感がある。
「………慰めてはくれないんですね」
「無理だよー
むしろ、私が慰めて欲しいわ」
「悟がいるじゃないですか」
「はははっ
今悟に慰められたら……
悟を許せなくなる」
愛は時に歪に歪み憎悪となる。
「………傑もきちんと休みなよ」
ポンポン、と傑の頭を撫でる。
二人して情けない顔をしている。
「頼りない先輩で悪いね」
「本当ですね」
「傑」
偽り続けるのは、苦しいよ。
へらり、と笑ったが
上手く笑えていたかはわからない。
私はもう
疲れてしまった。
高専の霊安室
そこに、今、2体の遺体が並んでいる。
傑の目の前には灰原が
私の目の前には大和が
目に包帯が巻かれ
疲労している七海が
椅子に座わったまま、壁に寄りかかっている。
「なんてことはない二級呪霊の
討伐任務のハズだったのに…!!
クソッ…!!
産土神信仰…
アレは土地神でした…
1級案件だ…!!」
2人とも、顔中傷だらけで
灰原は下半身がなく
大和は右半身が無かった。
「今はとにかく休め、七海
任務は悟が引き継いだ」
「……もうあの人1人で良くないですか?」
そっと、灰原と大和のシーツを顔まで覆う。
大切だと思っているものが
どんどんとこぼれていく。
このまま呪術師をやっていく先に
いったいいくつの屍が積み上がり
私の傍から消えていくのだろう……??
あとがき
長くなりそうなので分けます。
病みまっしぐら。
そして、変換がない……だと!!
闇落ちなので
とことん落ちてもらおうと
大和くんもいなくなります。
病み落ち……
闇落ちルートだと傑になると思うので
よろしくお願いいたします。
……いや、本当に病み落ちだ。
パパ黒が目の前で亡くなったことにより
闇落ちしちゃったver
OKな方のみ、どうぞ
私を見て、笑ったお兄さん。
ずっとずっと待っていたのに
お兄さんは私の手の届かない所へ。
「………お兄さん」
冷たくなっていく身体。
呼んでも動かない身体。
涙は出なかった。
補助監督の人がお兄さんを連れていく。
同じように、悟が連れてきた動かない星漿体も
どこかへ連れて行かれてしまった。
帰りの車には乗らなかった。
お兄さんを殺した悟を
憎みきれず
でも、許せもしなかった。
お兄さんに執着している。
私には、お兄さんしかいなかったから。
そのお兄さんに置いていかれ
いつか伸ばされる手に期待していた。
伸ばされたなら、私は
呪術師なんて止めて
お兄さんと一緒の仕事をしても良かったんだ。
私の世界はお兄さんが作ってくれたのだから。
お兄さんのいないこの世界で
私は、何のために呪術師なんだろう?
非術師を守るため?
ーーー私は非術師なんてどーでもいい。
術師を守るため?
ーーーお兄さんを殺したのは術師なのに?
誰のために?
ーーーマモリタイモノのタメニ
守りたいもの?
ーーーモウ、イナイ
お兄さんのいない世界は色を無くし
私は心を殺した。
あれから一年
四年になった私だが
いまだに特級になることはない。
代わりに、悟と傑が特級となり
後輩達は忙しい毎日を過ごしている。
結婚の話をされたが
特に反応もせずに
つまらない毎日を過ごしている。
呪霊を祓って、祓って、祓って。
肉の塊を見て
報告書を書いて
討伐に向かって
ストレスのせいなのか
最初は味がしなくなり
次に痛みの感覚さえ無くなってきて
最終的には、世界の色が無くなった。
全てがモノクロに見える。
私の世界は酷く
つまらないものへなってしまった。
何のために?誰のために?
私は呪術師になりたくなかった。
呪術師になったのは……
自販機の前で考え事をしていたら
スリッパのペタペタとした足音。
「先輩……?」
「久しぶりだね、傑」
「……久しぶり、ですね」
笑おうとしているのか
何とも言えない顔をしている傑がいた。
珍しく髪を下ろしていて
部屋着姿だ。
「今日はもう任務も無いの?」
「はい」
「初めて見たな……傑の下ろしてる姿」
「そうでしたか?」
「顔色悪くない?」
「先輩もですよ」
飲み物は買わずにベンチに座ると
傑も隣に腰かけた。
「買わなくて良かったんですか?」
「いいよ、別に。
何飲んでも味がしないし」
「………?」
「味覚が無くなっちゃったんだ」
べ、と舌を出せば
傑が驚いていた。
「呪霊の?」
「去年からかな?少しずつ味が失くなって
気付いたときにはもう手遅れ
一種のストレスみたいだけど仕方ないね」
「………悟は知ってるんですか?」
「悟とは話してないよ
ほとんど任務ですれ違ってるし
こんなこと、悟が知る必要もないよ」
あれから、私は悟と話していない。
話したら、あの日を思い出す。
話したら、許せていたものが許せなくなる。
私は悟を憎みたいわけじゃない。
「傑……私、疲れた」
何も考えないように、任務をこなすのも
助かりもしない、肉を見るのも
結婚も
生きる意味も
「何で私、呪術師やってんだろ」
適した能力だったから?
才能があったから?
「そもそも、人が呪を生まなければ
術師なんて必要ない?」
「……先輩」
「無理だってわかってる。
心が砂漠のように荒んでるんだよ」
「………先輩は、非術師をどう思いますか?」
「どーでもいいかな」
「……呪術師は?」
「んー…嫌い、かな」
くすり、と笑って言うが
傑は笑いもせずにこちらを見ている。
「正確に言うと
呪術師の自分が嫌いかな」
「自分が?」
「呪術師じゃなければ
私は普通に親から愛されていたかもしれない
禪院家で肩身の狭い思いはしたかもしれない
けど、本家と関わらなかったかもしれない
怖い思いも、痛い思いも、命のやりとりのない
力の無い、普通に暮らす女の子で
いられたかもしれない……」
「………」
術師じゃなければ
私は普通の生活出来ていたのか……
たらればの予想など、意味はない。
「呪術師だから
人よりも死に近い場所に行かされ
人の汚い部分を見せられ
人の醜い最期を見届ける」
狂っていなければ、耐えられない。
「私は……呪術師に、なりたくなかった」
呪力の無いおにーさんが羨ましかった。
あの家と関わらない理由が
できるのが羨ましかった。
見えなければ
才能が無ければ
あの家に産まれなければ
「……なーんて、言ってても
結局はたらればの可能性を言ったとこで
今は呪術師やるしか道が無いんだけどね」
「………先輩」
「ん?」
「先輩にとって呪術師として譲れない
一番大切なのは何ですか?」
譲れない……大切なもの
傑に言われ色々浮かぶ。
仲間、命、力、権力…
けど、一番ではなくただ、大切なもの。
私の本当の願いは一つだけ。
「んー…無くなったかな」
おにーさんがくれた力
おにーさんが望んだ呪力
おにーさんが欲しかった術式
おにーさんが呪術師殺しをしているなら
いつか、私を殺しに来てくれるか
私を迎えに来てくれるのかと思っていたから
だから、呪術師をしていた。
「私が呪術師としての理由、無くなったな」
会いたかった。
会って、話をして
出来るなら、側にいさせて欲しかった。
「愛ほど歪んだ呪いは無い……ってね」
「………先輩が悟を受け入れない根本は
好きな人がいたからですか?」
「好きと言っても、家族のような好きだよ
抱き締めたり、頭撫でたりして欲しいけど
肉体関係になりたいわけじゃない」
「………歪んでますね」
「知ってる。
ずーっと、溜め込んできた歪みが
今は行き場を無くしてる感じ」
せめて、私の知らぬところで
生きているかも、死んでいるかも
わからなければ良かった。
「悟のことは、一人の男として愛してるよ」
けど、それよりも
おにーさんには特別な執着心がある。
「ごめんね、傑」
「………?」
「私は傑の考えに同意をしてあげられないし
傑の悩みを解決してあげられない」
私は非術師が憎いわけじゃない。
むしろ、呪術師の方に嫌悪感がある。
「………慰めてはくれないんですね」
「無理だよー
むしろ、私が慰めて欲しいわ」
「悟がいるじゃないですか」
「はははっ
今悟に慰められたら……
悟を許せなくなる」
愛は時に歪に歪み憎悪となる。
「………傑もきちんと休みなよ」
ポンポン、と傑の頭を撫でる。
二人して情けない顔をしている。
「頼りない先輩で悪いね」
「本当ですね」
「傑」
偽り続けるのは、苦しいよ。
へらり、と笑ったが
上手く笑えていたかはわからない。
私はもう
疲れてしまった。
高専の霊安室
そこに、今、2体の遺体が並んでいる。
傑の目の前には灰原が
私の目の前には大和が
目に包帯が巻かれ
疲労している七海が
椅子に座わったまま、壁に寄りかかっている。
「なんてことはない二級呪霊の
討伐任務のハズだったのに…!!
クソッ…!!
産土神信仰…
アレは土地神でした…
1級案件だ…!!」
2人とも、顔中傷だらけで
灰原は下半身がなく
大和は右半身が無かった。
「今はとにかく休め、七海
任務は悟が引き継いだ」
「……もうあの人1人で良くないですか?」
そっと、灰原と大和のシーツを顔まで覆う。
大切だと思っているものが
どんどんとこぼれていく。
このまま呪術師をやっていく先に
いったいいくつの屍が積み上がり
私の傍から消えていくのだろう……??
あとがき
長くなりそうなので分けます。
病みまっしぐら。
そして、変換がない……だと!!
闇落ちなので
とことん落ちてもらおうと
大和くんもいなくなります。
病み落ち……
闇落ちルートだと傑になると思うので
よろしくお願いいたします。
……いや、本当に病み落ちだ。