呪縛
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恋とは何か
愛とは何か
「恋?愛?
んなもん夢物語だろ」
ベー、と舌を出しながら笑う友人。
「そうだなぁ……
名前が欲しいと思ったその人への思いが強ければ恋にも愛にもなると思うよ」
にこり、と笑いながら頭を撫でた友人。
「男だけとは限んないよ。
世の中には同姓同士、恋に落ちる事もあるから」
くすり、と笑いながら紫煙を吐き出す友人。
私にはまだまだよくわからない感情だった。
「そうね〜……
恋や愛は頭で感じるものじゃないのよ。
心……そう、心なの!!
運命の相手は心をまさに弾丸で撃ち抜かれてしまう衝撃なのよ!!
その感覚を知ってしまうとその人の事が知りたいしその人の事しか見えなくなってしまうの!!!」
鼻息荒く話す母に大袈裟だなぁ、と思い笑っていた。
あの日、直哉様と婚約破棄をしてから私は少しだけ変わった。
世界が狭かった。
視野が狭かった。
踏み出した一歩はとても広くて困惑したが……自分で選ぶ道はどれもこれも自由ばかりなんだと思うと、何でも出来る気がした。
「名前変わったな」
「え?本当?」
「前より明るくなった」
「嬉しいです」
「小動物みてーだったのに」
うりうりと、頭を雑に撫でる悟くん。
髪の毛がぐしゃぐしゃになるからと、その手を止める。
「人間らしくなっていーじゃん」
「元々人間ですよ」
悟くんや傑くんのお陰で今じゃ一級相当の呪霊とも戦える。
もうすぐ二級昇格の審査をお願いするつもりでいる。
「昇格試験誰担当だろうな」
「知り合いだと甘えてしまいそうなので、あまり顔見知りではない方だと嬉しいのですが」
「まぁ、名前なら平気だろ」
悟くんからのお墨付きを貰えるのはとても嬉しい。
強い自慢の同級生から認められているのは私の自信に繋がる。
「昇給した時には悟くんからのお祝いお待ちしております」
「俺に集ろうなんざ生意気になったな」
「今度動物園でハダカデバネズミ見に行きたいです」
「連れてってやるからちゃんと合格してこいよ」
「はい!」
悟くんから応援を受けて、それから間も無くして私は二級昇格任務を受けた。
「やぁ、初めまして。
キミが噂のお姫様かな?」
光を受けて煌めく艶やかな一纏めにされ動くたびに揺れる銀色の髪。
真っ白な雪の肌。
「私は冥冥。
今回キミの昇格任務を監査する担当になったんだ」
「………」
「おや?聞いているかな?」
「は、はいっ」
「いい返事だね。緊張しているのかい?」
「あ、えっと……苗字 名前です!!
その、あのっ」
「ふふっ、落ち着いて?」
さらり、と細長く綺麗な指先が頬に触れる。
心臓が飛び出してしまいそうな程、ドキドキしている。
近すぎて心臓の音が聞こえていないか落ち着かない。
何これ?
何これ何これ何これ。
冥冥さんを見た瞬間……心臓が大きく高鳴った。
側に居るだけで苦しい。
だけど、離れるのはもっと苦しい。
触れられている手が気持ちいい。
ほんのりと香るのは香水だろうか?冥さん自身の香りだろうか?とてもいい匂いがする。
つい癖で冥さんの手にすり寄るように頬を擦り付けた。
「おや?可愛らしい事をしてくれるね」
「………っ!!
ご、ごめんなさいっ!!つい、癖でっ」
「いやいいよ。可愛い」
くすり、と笑われて頬が暑くなる。
駄目だ、と思う自分ともっと、と思う自分。
「まずは任務を終わらせてしまおうか」
「は、はい!」
結果として言えば、任務は無事に終わった。
緊張はしたものの、任務となればこの感情は別。
何事もなく任務を終えて一息つくと思っていたより緊張をしていたのか肩の力が抜けていく。
あ、ヤバイ。
そう思った時には足に力が入らずガクンと体が落ちていく感覚。
これは膝が痛そうだ、と頭の隅で思いながら痛みに身構えた。
「大丈夫かい?」
「ひゃあっ!?」
耳元で聞こえた声。
どこにそんな力があるのかと言いたくなる程になぜか抱えられた体。
どういう事だと自分の状況を理解しようとしているのに、抱き抱えられたまま歩きだされたらますますわからない。
「あ、あのっ!!」
「気にしなくて大丈夫だよ。
本当ならお金を取るところだが今回は取らないでおくよ」
「え?」
お金を取る?
なんの事だと頭を傾げればクスクスと静かに笑う冥さん。
そんな横顔も綺麗で見惚れてしまう、というのはこういう事かな?と思う。
「私はお金が大好きでね。お金を支払って貰えるならその分働くのさ」
「……えーっと?」
「今回は可愛い後輩へのサービスだよ」
「支払えば、何でもしてくれるんですか?」
興味本位で聞いてしまった。
冥さんが何を目的として、お金さえ支払えばどんなことをしてくれるのか純粋な興味だった。
こんなこと、傑くんがいたら「何興味を持つ事は良いことだけど、何でも聞くのは辞めようね」なんて言われてしまうかもしれない。
けど、私は冥さんに聞いてしまった。
「そうだね。
出来ることと出来ないことはあるけれど、私に出来ることならお金さえ払ってくれれば」
「お買い物とか、お出掛けでおいくらでしょう?」
「私とお金を払ってまで出掛けたいと思ってくれているのかな?」
「冥さん美人さんなので……お洋服とかのセンスが良さそうで」
「嬉しいね。可愛い子だ」
冥さんの顔が近付いてきて思わず固まってしまう。
耳元に吐息が感じられ、耳を押さえたくなるがそうしてしまうと冥さんの声を感じられなくなる。
「キミが望むならキスも、ハグも、なんならその身体の隅々まで甘やかしてあげるよ」
「〜〜〜っ!!」
「ふふっ」
「め、冥さんっ!!」
「可愛いね。彼らが夢中になるのもわかる気がするよ」
するすると、背中、腰、太腿、へ冥さんの手が滑る。
どうしたら良いのかわからず固まり、困った顔をして冥さんを見つめるが冥さんはますます嬉しそうに笑いながら顔が近付いてくる。
「可愛いね。私色に染めたくなる」
「冥さん……」
「駄目だよ。そんな顔をしていたら」
ーーー悪い烏に狙われてしまうよ?
あれからどうやって高専に戻って来たのかわからない。
「どうかしたか?」
硝子ちゃんに声を掛けられ、やっと我に返った気がする。
そして思い出すのは……。
「……名前、その顔エロ」
「硝子ちゃん……どーしましょう」
「何?」
「……大事なもの奪われてしまった気がします」
「は?」
両手で顔を覆う。
思い出すたび顔がどんどん熱を持って熱い。
「誰に何をされた」
「……硝子ちゃん、ハグっていくらだろう?」
「は?」
「いい匂いだったなぁ……」
「名前、誰だ。なんの話だ」
はぁ、と思わず出てしまうため息。
細身の身体のどこに人一人持ち上げられる筋肉があるのか……。
まだ耳に冥さんの吐息が残っている気がして耳を押さえて頭を抱えてしまう。
「……硝子ちゃん」
「誰だ。どこのどいつだ?
相手によってちょっと話し合いに行く必要がある」
「どうしたら冥さんみたいになれますかね?」
「冥さん?」
「硝子ちゃんも冥さんみたいにしっかりしていて、格好いいから羨ましいです」
じっと硝子ちゃんを見つめる。
悟くんや傑くんに負けず劣らず格好いい硝子ちゃん。
私がノロマなタイプだから正反対の人に惹かれてしまうし、そうなりたいと願っても無謀だとわかっている。
が、どうしても一度理想の女性をピッタリ当てはめたような冥さんのような言葉に出来ないミステリアスで色気に溢れ、強さもあり、自信に溢れる女性になりたい。
「いいなぁ」
「私からすれば名前みたいに可愛らしいタイプの方が可愛がられていいと思うよ。
……てか、冥さんに会ったの?」
「今日昇級任務で担当が冥さんだったんです」
「なるほどね。
それで?冥さんに助けて貰ったとか?
だとしたら金請求された?」
「いえ、そんな!
むしろ頂いたというか……」
「え?」
唇に触れるが指先とは違った感触だったな、と思い出す。
「キスされたの?冥さんから?」
「へっ!?」
「まじかよ……名前凄いな」
あの冥さんが?と驚く硝子ちゃん。
「どうだった?」
「え?柔らかかったです」
「ははっ!!冥さんかー。
冥さんに誘われたら敵わないわ」
「……女性同士でもちゅう、するんですね」
「海外とかでは普通だと思うよ。
男同士や女同士で付き合う人もいるわけだし」
「変、じゃないです?」
「好きになったのが同姓だっただけの話。
魅力溢れる人間なら男からも女からも好かれるだろうし」
「なるほど……」
「……名前」
硝子ちゃんに呼ばれて振り向けば、チュッ、とリップ音と共に柔らかい感触が唇に。
「嫌だった?」
「……嫌、じゃないです」
「うっわ。そんな顔してたらそりゃ冥さんもしたくなるわ」
「?」
「構って欲しいけど、困った顔。
めちゃくちゃ物欲しそうな顔に見える」
再び硝子ちゃんが唇を重ねる。
今度はすぐ離れずゆっくりゆっくり重ね合わせる。硝子ちゃんの柔らかな唇が気持ちよくて、何度も角度を変えて柔らかさを堪能する。
「名前、口開けて」
「んっ」
ペロリ、と硝子ちゃんの舌が入ってきた。
小さくて、柔らかくて、暖かい舌が私の舌と合わさる。
「んっ、んんっ」
あ、やばい。
これ気持ちいい。
硝子ちゃんの舌を追いかけて擦り合わせて。
溢れてくる唾液で溺れそうになるから飲み込めばクスリ、と硝子ちゃんが笑う。
「エッチな顔してる」
「……見ちゃ、駄目です」
「冥さんにもこうやって食べられちゃった?」
「……唇合わせただけです」
「そっか。まぁ、冥さんならお金払えば色々してくれそうだけど……
口寂しいならいつでも私がこうしてやる」
「……硝子ちゃんのエッチ」
「クズ共には内緒な」
しー、と唇に指を当てる硝子ちゃん。
冥さんに負けず劣らずエッチで格好良くて顔の熱が冷めない。
二級に上がると任務の幅も広がって少し忙しくなる。
一級に上がる為には推薦を貰わないといけないので、周りから認められる必要がある。
なので、例え嫌がらせや確認ミスでたまに一級相当の任務が混ざっていても祓えなければ推薦なんて夢の話だ。
「頑張っているね」
「冥さん!!冥さん、お怪我は無いですか?」
「私は平気だよ」
二級に上がってから冥さんとの任務も増えた。
最初こそ緊張して話せなかったものの、回数が増えていけば落ち着いて話す事ができるように。
「名前こそ怪我は無いかい?」
「ありません」
「良い子だね」
頭を撫でられ、褒められる。
冥さんの手に身をまかせていると、撫でていた手が止まる。
「冥さん……?」
「良い子にはどんなご褒美がいいかな?」
「!!」
「今ならサービスするよ」
「抱き付いてもいいですか?」
「勿論」
ぎゅー、と冥さんに抱き付くと再び頭を撫でられる。
「好きです、冥さん」
「私も好きだよ」
「また私と任務してくれますか?」
「勿論。名前こそ私の為に働いてくれるかい?」
「冥さんが望むなら」
頬を撫でる手にすり寄る。
そんな私を見て、冥さんは嬉しそうに微笑んだ。
「「…………」」
「何見てるんだクズ共」
「いや、あれ何?」
「この短期間で何がどうしたらあぁなるんだい?」
「見ての通りだ」
保護者達は何を見せつけられているのかと固まる。
可愛いらしい無垢な子が、少し見ぬ間に違う人間に手懐けられている。
「名前、こっちこーい!」
「名前、キミにはまだ早いよ」
「おや?呼ばれているよ」
「悟くん、傑くんどうしましたか?」
冥さんに抱き付いたまま二人を見れば、二人は私を何だと思っているのだろう。
何やら必死にチッチッチッチッと呼んでいる。
「寂しいけど保護者が呼んでいるね」
「……離れたくない、です」
「嬉しいね。私もだよ」
「冥さんっ!!」
「「!!」」
再び冥さんを抱き締めると冥さんが撫でてくれる。
嬉しくて幸せな気持ちになる。
「名前、また力を貸しておくれ」
「冥さんの為なら喜んで」
「良い子だね。私以外に傷をつけられてはいけないよ?」
「はいっ!これからも強くなれるよう冥さんの為に頑張ります!」
「またね、名前」
「また……連絡してもいいですか?」
「勿論。いつでも待っているよ」
額にキスをして先に行く冥さん。
今日の冥さんも格好良くて素敵でいい匂いだったな……と、冥さんの残り香と感触と温もりを堪能していたら両肩を悟くんと傑くんに捕まれた。
「何で!?何があって冥さん!!?」
「落ち着くんだ名前。まだ引き返せる」
「どうしました?」
「冥さんに懐きすぎだろ!?」
「冥さん格好いいですから」
「いくらだい?いくら貢いだんだ?」
「?冥さんにお金を支払っても受け取ってくれないです」
「「はぁ!?」」
そんなに驚く事だろうか?
周りから聞く冥さんのイメージとは遠く、冥さんはとても優しくて素敵な大人な女性だ。
「……レズ?」
「れず?悟くん、れずって何ですか?」
「悟、名前に変な言葉教えるんじゃない」
「嘘だろ?アイツと引き剥がしたから?」
「……冥さんの包容力に負けた、と?」
「あの人何考えてんだ?名前囲って……え?そっち系?」
「あの守銭奴の冥さんが気に入ったからという理由だけで囲うか?何か裏が……」
「俺の名前が……冥さんに」
「ヤバイね。冥さん相手となると厄介だ」
真剣な表情で語り出す悟くんと傑くん。
硝子ちゃんに腕を引かれて先に行く。
「硝子ちゃん。あの二人どうしたんですかね?」
「ほっとけ」
「硝子ちゃん、今日一緒に寝てもいいですか?」
「いいよ」
「やった!」
硝子ちゃんの腕に抱き付いて、今夜は硝子ちゃんと何をしようかと考える。
こないだは冥さんに教えて貰ったボディークリームを二人で試した。
あぁ、そういえばペディキュアの色を変えたいと思っていたんだった。
「硝子ちゃん、何色が好きですか?」
「んー?」
「そろそろ色変えたくて」
「あー……新しいの見に行く?」
「はい!春色っぽくしたいです」
「いいね。似合いそうだ」
「どこか行くの?俺も行く」
「女の子だけだと危ないだろう?」
いつの間にか悟くんと傑くんも追い付いてきた。
このまま街に出てお買い物だ。
「女子の買い物について来んなよ」
「最近二人で仲良しだね。私達も仲間に居れてくれないのかい?」
「そーだそーだ!硝子とばっかずりーぞ」
「悟くんと傑くんもクリーム塗りあいっこしたり、ペディキュア塗ったりしたいんですか?」
「「……ぬりあいっこ?」」
「冥さんが教えてくれる化粧品とても良くて。硝子ちゃんは女の子だから一緒に試したりしていますが……悟くんや傑くんも興味が?」
男の子ってあまり興味が無いものだと思っていたけれど……違うのかな?
「「………」」
「名前、コイツら興味無いって。
私と二人で行って、二人で部屋で楽しもう」
「あ、私ジェルネイルも気になっているのでお店見ても?」
「いいね。ジェルなら長持ちしそうだ」
「硝子ちゃんのやらせてくださいね」
「いいよ。その代わり名前の時動くなよ」
「……硝子ちゃんが悪戯しなければ動きません」
「我慢しなよ」
「悪戯禁止です」
いつもいつも足だけじゃなく指のコーティングまでして手足を動かせず、乾くのを待つ私を見てにやにやしながら脇腹をくすぐったり、膝枕で寝てお腹のお肉をつついたり、マッサージを始めてみたり。
動けない事を良いことに硝子ちゃんの好き勝手遊ばれる。
嫌ではないが、折角硝子ちゃんが綺麗にしてくれた作品を駄目にしたくないのに毎回楽しそうに遊ばれるので困ってしまう。
「え?硝子何してんの?」
「まさか、硝子まで……?」
「変な視線向けてくんな。
名前が自分磨きにハマってるだけだよ」
お洒落、というものに興味が無かったわけじゃない。
ただ、何をどうしたら良いかわからなかった私に冥さんが直々に指導してくれた。
女でもしなやかな筋肉の付け方。
女であることを捨てることなく美を追及する方法。
呪術師は女、というだけで不利になる。
男から比べたら力も、強さも劣るから。
そんな壁を冥さんは諦めず乗り越えようとしている。
己の術式を見極め、他を高める努力を怠らない。
女でも戦える。
女である事を喜び、楽しむ。
「私、いつか必ず悟くんと傑くんにも負けないくらいの呪術師になりますから」
「「………」」
「いつまでも甘えていられませんからね」
「って事だからオマエ達の出番は無い」
「あっ!たまには4人で遊んでください。
今日は硝子ちゃんとお買い物行ってきます!」
4人で遊ぶことも楽しい。
だが、今は自分の可能性を高めてみたい。
その一歩が自分磨きであり、冥さんから指導を受ける事。
悟くんや傑くんに守られてばかりの女の子ではいつまで経っても強くはなれない。
「名前」
「はい?」
硝子ちゃんを見れば、頬に唇を押しあてられる。
「「硝子!?」」
「ほら、行こ」
「硝子ちゃんお部屋じゃないと駄目です」
「ごめん。可愛い顔していたから」
「「え?」」
「待って?硝子、今聞き捨てならない発言が……」
「オマエら……デキてんの?」
驚く悟くんと傑くん。
硝子ちゃんを見れば楽しそうに笑っているので、多分二人をからかって遊びたいのだろう。
冥さんに憧れていて冥さん自身がかっこ良くて好き。
硝子ちゃんもかっこ良くて素敵で大好き。
男の人よりは近寄りやすいし、私が望むように甘やかせてくれるからとても心地がいい。
この気持ちがどんな好きなのかまだわからないが……
「秘密、です」
「「はっ!?」」
「ははっ!!名前、最高!!」
「内緒ですから」
「「えっ!?」」
まだ、私に恋愛は早い。
もっと自分に自信を持って、素敵な女性になれた時……私の強さも弱さも甘さも全て受け止めてくれる人がいたら……。
「初めまして」
「初めまして、先輩方!!」
今度は幸せになりたい。
自分の弱さのせいで駄目にしたくない。
その為に私自身が成長していかなければ。
守ってもらってばかりじゃない。
私の好きになった人達を守れるくらい強くならなくては。
誰かを好きになること。
誰かに好きになってもらうこと。
色んな好きがあり、大きく育って愛となるというのなら……まずは好きになって貰えるように、私自身が私を好きになれる努力から始めよう。
私が私を信じてあげられないのに、他の人が私を信じて好きで居てもらえるなんて傲慢な考えだ。
誰かを愛すること。
誰かに愛されること。
幸せな事ばかりじゃない。
苦しい事もある。
それでもきっと……人である限り誰かを愛し、愛される。
次は自信を持ってたった一人を大切にしたい。
その為にこれからも私は己を磨き、強くなる。
あとがき
どこを目指してもバッド√しか見当たらない。
百合を書こうとしたけれど、誰の需要だろう?私だけかな?と思って憧れに留めました。
冥さんなら誰でも落とせそう。
ひとまず呪縛、各√終了!!
書きたいところ書けて自己満足です。
色々考えて直哉くん連載もうちょっと波乱万丈にしたかったのですが、直哉くん情報少なすぎるのと、関西弁?京都弁?が勉強不足過ぎてインスピレーションで書くのにも限界が……!!
なんかもう申し訳なさの極みで限界でした(笑)
方言機能変換に助けてもらっても限界でした(笑)
石投げないで……苦情はお受けつけしておりませんっっっ
そして各地の方言を大切になさっている方々、申し訳ございませんでしたっ!!!
自己満足作品なのでインスピレーションでこう……感じ取ってください。
ここまでお付き合いくださり、毎回コメントと素敵な感想をありがとうございました!
・女子って素敵だよね名前ちゃん
落ちは未定。
可能性のある常識的な後輩二人に心が惹かれる可能性は大。
しかし、どちらを選んでも地獄が待っている可能性しかない。
冥さんとはお姉様ぁ!!な関係になりつつある。
事変ではお姉様の為に死ねる。
硝子ちゃん?お友達だよ!
・女子もありだぞ硝子ちゃん
可愛い子を甘やかすなら同姓同士のがわかる。
キス友達。苦いと言われて禁煙するか考え始めている。
けど、苦いってとろんとした顔のまま顔を歪める姿がキュンッとするからわざと吸って止められない。
クズ共には渡したくない。
冥さんなら仕方ない。
・クズ二人
え?まじ?
仲間入りしちゃ……あ、駄目?
・京都のクズ
仲間入りさーせて(はぁと)
……え?駄目?
えぇやん……あ、駄目?そない怒らんで?
・お姉様優勝冥さん
面白い術式じゃないか。欲しいね。
お金?いいよ。将来返してくれるだろ?身体で(ニッコリ)
・後輩二人
愛し合う可能性を秘めし猛者
愛とは何か
「恋?愛?
んなもん夢物語だろ」
ベー、と舌を出しながら笑う友人。
「そうだなぁ……
名前が欲しいと思ったその人への思いが強ければ恋にも愛にもなると思うよ」
にこり、と笑いながら頭を撫でた友人。
「男だけとは限んないよ。
世の中には同姓同士、恋に落ちる事もあるから」
くすり、と笑いながら紫煙を吐き出す友人。
私にはまだまだよくわからない感情だった。
「そうね〜……
恋や愛は頭で感じるものじゃないのよ。
心……そう、心なの!!
運命の相手は心をまさに弾丸で撃ち抜かれてしまう衝撃なのよ!!
その感覚を知ってしまうとその人の事が知りたいしその人の事しか見えなくなってしまうの!!!」
鼻息荒く話す母に大袈裟だなぁ、と思い笑っていた。
あの日、直哉様と婚約破棄をしてから私は少しだけ変わった。
世界が狭かった。
視野が狭かった。
踏み出した一歩はとても広くて困惑したが……自分で選ぶ道はどれもこれも自由ばかりなんだと思うと、何でも出来る気がした。
「名前変わったな」
「え?本当?」
「前より明るくなった」
「嬉しいです」
「小動物みてーだったのに」
うりうりと、頭を雑に撫でる悟くん。
髪の毛がぐしゃぐしゃになるからと、その手を止める。
「人間らしくなっていーじゃん」
「元々人間ですよ」
悟くんや傑くんのお陰で今じゃ一級相当の呪霊とも戦える。
もうすぐ二級昇格の審査をお願いするつもりでいる。
「昇格試験誰担当だろうな」
「知り合いだと甘えてしまいそうなので、あまり顔見知りではない方だと嬉しいのですが」
「まぁ、名前なら平気だろ」
悟くんからのお墨付きを貰えるのはとても嬉しい。
強い自慢の同級生から認められているのは私の自信に繋がる。
「昇給した時には悟くんからのお祝いお待ちしております」
「俺に集ろうなんざ生意気になったな」
「今度動物園でハダカデバネズミ見に行きたいです」
「連れてってやるからちゃんと合格してこいよ」
「はい!」
悟くんから応援を受けて、それから間も無くして私は二級昇格任務を受けた。
「やぁ、初めまして。
キミが噂のお姫様かな?」
光を受けて煌めく艶やかな一纏めにされ動くたびに揺れる銀色の髪。
真っ白な雪の肌。
「私は冥冥。
今回キミの昇格任務を監査する担当になったんだ」
「………」
「おや?聞いているかな?」
「は、はいっ」
「いい返事だね。緊張しているのかい?」
「あ、えっと……苗字 名前です!!
その、あのっ」
「ふふっ、落ち着いて?」
さらり、と細長く綺麗な指先が頬に触れる。
心臓が飛び出してしまいそうな程、ドキドキしている。
近すぎて心臓の音が聞こえていないか落ち着かない。
何これ?
何これ何これ何これ。
冥冥さんを見た瞬間……心臓が大きく高鳴った。
側に居るだけで苦しい。
だけど、離れるのはもっと苦しい。
触れられている手が気持ちいい。
ほんのりと香るのは香水だろうか?冥さん自身の香りだろうか?とてもいい匂いがする。
つい癖で冥さんの手にすり寄るように頬を擦り付けた。
「おや?可愛らしい事をしてくれるね」
「………っ!!
ご、ごめんなさいっ!!つい、癖でっ」
「いやいいよ。可愛い」
くすり、と笑われて頬が暑くなる。
駄目だ、と思う自分ともっと、と思う自分。
「まずは任務を終わらせてしまおうか」
「は、はい!」
結果として言えば、任務は無事に終わった。
緊張はしたものの、任務となればこの感情は別。
何事もなく任務を終えて一息つくと思っていたより緊張をしていたのか肩の力が抜けていく。
あ、ヤバイ。
そう思った時には足に力が入らずガクンと体が落ちていく感覚。
これは膝が痛そうだ、と頭の隅で思いながら痛みに身構えた。
「大丈夫かい?」
「ひゃあっ!?」
耳元で聞こえた声。
どこにそんな力があるのかと言いたくなる程になぜか抱えられた体。
どういう事だと自分の状況を理解しようとしているのに、抱き抱えられたまま歩きだされたらますますわからない。
「あ、あのっ!!」
「気にしなくて大丈夫だよ。
本当ならお金を取るところだが今回は取らないでおくよ」
「え?」
お金を取る?
なんの事だと頭を傾げればクスクスと静かに笑う冥さん。
そんな横顔も綺麗で見惚れてしまう、というのはこういう事かな?と思う。
「私はお金が大好きでね。お金を支払って貰えるならその分働くのさ」
「……えーっと?」
「今回は可愛い後輩へのサービスだよ」
「支払えば、何でもしてくれるんですか?」
興味本位で聞いてしまった。
冥さんが何を目的として、お金さえ支払えばどんなことをしてくれるのか純粋な興味だった。
こんなこと、傑くんがいたら「何興味を持つ事は良いことだけど、何でも聞くのは辞めようね」なんて言われてしまうかもしれない。
けど、私は冥さんに聞いてしまった。
「そうだね。
出来ることと出来ないことはあるけれど、私に出来ることならお金さえ払ってくれれば」
「お買い物とか、お出掛けでおいくらでしょう?」
「私とお金を払ってまで出掛けたいと思ってくれているのかな?」
「冥さん美人さんなので……お洋服とかのセンスが良さそうで」
「嬉しいね。可愛い子だ」
冥さんの顔が近付いてきて思わず固まってしまう。
耳元に吐息が感じられ、耳を押さえたくなるがそうしてしまうと冥さんの声を感じられなくなる。
「キミが望むならキスも、ハグも、なんならその身体の隅々まで甘やかしてあげるよ」
「〜〜〜っ!!」
「ふふっ」
「め、冥さんっ!!」
「可愛いね。彼らが夢中になるのもわかる気がするよ」
するすると、背中、腰、太腿、へ冥さんの手が滑る。
どうしたら良いのかわからず固まり、困った顔をして冥さんを見つめるが冥さんはますます嬉しそうに笑いながら顔が近付いてくる。
「可愛いね。私色に染めたくなる」
「冥さん……」
「駄目だよ。そんな顔をしていたら」
ーーー悪い烏に狙われてしまうよ?
あれからどうやって高専に戻って来たのかわからない。
「どうかしたか?」
硝子ちゃんに声を掛けられ、やっと我に返った気がする。
そして思い出すのは……。
「……名前、その顔エロ」
「硝子ちゃん……どーしましょう」
「何?」
「……大事なもの奪われてしまった気がします」
「は?」
両手で顔を覆う。
思い出すたび顔がどんどん熱を持って熱い。
「誰に何をされた」
「……硝子ちゃん、ハグっていくらだろう?」
「は?」
「いい匂いだったなぁ……」
「名前、誰だ。なんの話だ」
はぁ、と思わず出てしまうため息。
細身の身体のどこに人一人持ち上げられる筋肉があるのか……。
まだ耳に冥さんの吐息が残っている気がして耳を押さえて頭を抱えてしまう。
「……硝子ちゃん」
「誰だ。どこのどいつだ?
相手によってちょっと話し合いに行く必要がある」
「どうしたら冥さんみたいになれますかね?」
「冥さん?」
「硝子ちゃんも冥さんみたいにしっかりしていて、格好いいから羨ましいです」
じっと硝子ちゃんを見つめる。
悟くんや傑くんに負けず劣らず格好いい硝子ちゃん。
私がノロマなタイプだから正反対の人に惹かれてしまうし、そうなりたいと願っても無謀だとわかっている。
が、どうしても一度理想の女性をピッタリ当てはめたような冥さんのような言葉に出来ないミステリアスで色気に溢れ、強さもあり、自信に溢れる女性になりたい。
「いいなぁ」
「私からすれば名前みたいに可愛らしいタイプの方が可愛がられていいと思うよ。
……てか、冥さんに会ったの?」
「今日昇級任務で担当が冥さんだったんです」
「なるほどね。
それで?冥さんに助けて貰ったとか?
だとしたら金請求された?」
「いえ、そんな!
むしろ頂いたというか……」
「え?」
唇に触れるが指先とは違った感触だったな、と思い出す。
「キスされたの?冥さんから?」
「へっ!?」
「まじかよ……名前凄いな」
あの冥さんが?と驚く硝子ちゃん。
「どうだった?」
「え?柔らかかったです」
「ははっ!!冥さんかー。
冥さんに誘われたら敵わないわ」
「……女性同士でもちゅう、するんですね」
「海外とかでは普通だと思うよ。
男同士や女同士で付き合う人もいるわけだし」
「変、じゃないです?」
「好きになったのが同姓だっただけの話。
魅力溢れる人間なら男からも女からも好かれるだろうし」
「なるほど……」
「……名前」
硝子ちゃんに呼ばれて振り向けば、チュッ、とリップ音と共に柔らかい感触が唇に。
「嫌だった?」
「……嫌、じゃないです」
「うっわ。そんな顔してたらそりゃ冥さんもしたくなるわ」
「?」
「構って欲しいけど、困った顔。
めちゃくちゃ物欲しそうな顔に見える」
再び硝子ちゃんが唇を重ねる。
今度はすぐ離れずゆっくりゆっくり重ね合わせる。硝子ちゃんの柔らかな唇が気持ちよくて、何度も角度を変えて柔らかさを堪能する。
「名前、口開けて」
「んっ」
ペロリ、と硝子ちゃんの舌が入ってきた。
小さくて、柔らかくて、暖かい舌が私の舌と合わさる。
「んっ、んんっ」
あ、やばい。
これ気持ちいい。
硝子ちゃんの舌を追いかけて擦り合わせて。
溢れてくる唾液で溺れそうになるから飲み込めばクスリ、と硝子ちゃんが笑う。
「エッチな顔してる」
「……見ちゃ、駄目です」
「冥さんにもこうやって食べられちゃった?」
「……唇合わせただけです」
「そっか。まぁ、冥さんならお金払えば色々してくれそうだけど……
口寂しいならいつでも私がこうしてやる」
「……硝子ちゃんのエッチ」
「クズ共には内緒な」
しー、と唇に指を当てる硝子ちゃん。
冥さんに負けず劣らずエッチで格好良くて顔の熱が冷めない。
二級に上がると任務の幅も広がって少し忙しくなる。
一級に上がる為には推薦を貰わないといけないので、周りから認められる必要がある。
なので、例え嫌がらせや確認ミスでたまに一級相当の任務が混ざっていても祓えなければ推薦なんて夢の話だ。
「頑張っているね」
「冥さん!!冥さん、お怪我は無いですか?」
「私は平気だよ」
二級に上がってから冥さんとの任務も増えた。
最初こそ緊張して話せなかったものの、回数が増えていけば落ち着いて話す事ができるように。
「名前こそ怪我は無いかい?」
「ありません」
「良い子だね」
頭を撫でられ、褒められる。
冥さんの手に身をまかせていると、撫でていた手が止まる。
「冥さん……?」
「良い子にはどんなご褒美がいいかな?」
「!!」
「今ならサービスするよ」
「抱き付いてもいいですか?」
「勿論」
ぎゅー、と冥さんに抱き付くと再び頭を撫でられる。
「好きです、冥さん」
「私も好きだよ」
「また私と任務してくれますか?」
「勿論。名前こそ私の為に働いてくれるかい?」
「冥さんが望むなら」
頬を撫でる手にすり寄る。
そんな私を見て、冥さんは嬉しそうに微笑んだ。
「「…………」」
「何見てるんだクズ共」
「いや、あれ何?」
「この短期間で何がどうしたらあぁなるんだい?」
「見ての通りだ」
保護者達は何を見せつけられているのかと固まる。
可愛いらしい無垢な子が、少し見ぬ間に違う人間に手懐けられている。
「名前、こっちこーい!」
「名前、キミにはまだ早いよ」
「おや?呼ばれているよ」
「悟くん、傑くんどうしましたか?」
冥さんに抱き付いたまま二人を見れば、二人は私を何だと思っているのだろう。
何やら必死にチッチッチッチッと呼んでいる。
「寂しいけど保護者が呼んでいるね」
「……離れたくない、です」
「嬉しいね。私もだよ」
「冥さんっ!!」
「「!!」」
再び冥さんを抱き締めると冥さんが撫でてくれる。
嬉しくて幸せな気持ちになる。
「名前、また力を貸しておくれ」
「冥さんの為なら喜んで」
「良い子だね。私以外に傷をつけられてはいけないよ?」
「はいっ!これからも強くなれるよう冥さんの為に頑張ります!」
「またね、名前」
「また……連絡してもいいですか?」
「勿論。いつでも待っているよ」
額にキスをして先に行く冥さん。
今日の冥さんも格好良くて素敵でいい匂いだったな……と、冥さんの残り香と感触と温もりを堪能していたら両肩を悟くんと傑くんに捕まれた。
「何で!?何があって冥さん!!?」
「落ち着くんだ名前。まだ引き返せる」
「どうしました?」
「冥さんに懐きすぎだろ!?」
「冥さん格好いいですから」
「いくらだい?いくら貢いだんだ?」
「?冥さんにお金を支払っても受け取ってくれないです」
「「はぁ!?」」
そんなに驚く事だろうか?
周りから聞く冥さんのイメージとは遠く、冥さんはとても優しくて素敵な大人な女性だ。
「……レズ?」
「れず?悟くん、れずって何ですか?」
「悟、名前に変な言葉教えるんじゃない」
「嘘だろ?アイツと引き剥がしたから?」
「……冥さんの包容力に負けた、と?」
「あの人何考えてんだ?名前囲って……え?そっち系?」
「あの守銭奴の冥さんが気に入ったからという理由だけで囲うか?何か裏が……」
「俺の名前が……冥さんに」
「ヤバイね。冥さん相手となると厄介だ」
真剣な表情で語り出す悟くんと傑くん。
硝子ちゃんに腕を引かれて先に行く。
「硝子ちゃん。あの二人どうしたんですかね?」
「ほっとけ」
「硝子ちゃん、今日一緒に寝てもいいですか?」
「いいよ」
「やった!」
硝子ちゃんの腕に抱き付いて、今夜は硝子ちゃんと何をしようかと考える。
こないだは冥さんに教えて貰ったボディークリームを二人で試した。
あぁ、そういえばペディキュアの色を変えたいと思っていたんだった。
「硝子ちゃん、何色が好きですか?」
「んー?」
「そろそろ色変えたくて」
「あー……新しいの見に行く?」
「はい!春色っぽくしたいです」
「いいね。似合いそうだ」
「どこか行くの?俺も行く」
「女の子だけだと危ないだろう?」
いつの間にか悟くんと傑くんも追い付いてきた。
このまま街に出てお買い物だ。
「女子の買い物について来んなよ」
「最近二人で仲良しだね。私達も仲間に居れてくれないのかい?」
「そーだそーだ!硝子とばっかずりーぞ」
「悟くんと傑くんもクリーム塗りあいっこしたり、ペディキュア塗ったりしたいんですか?」
「「……ぬりあいっこ?」」
「冥さんが教えてくれる化粧品とても良くて。硝子ちゃんは女の子だから一緒に試したりしていますが……悟くんや傑くんも興味が?」
男の子ってあまり興味が無いものだと思っていたけれど……違うのかな?
「「………」」
「名前、コイツら興味無いって。
私と二人で行って、二人で部屋で楽しもう」
「あ、私ジェルネイルも気になっているのでお店見ても?」
「いいね。ジェルなら長持ちしそうだ」
「硝子ちゃんのやらせてくださいね」
「いいよ。その代わり名前の時動くなよ」
「……硝子ちゃんが悪戯しなければ動きません」
「我慢しなよ」
「悪戯禁止です」
いつもいつも足だけじゃなく指のコーティングまでして手足を動かせず、乾くのを待つ私を見てにやにやしながら脇腹をくすぐったり、膝枕で寝てお腹のお肉をつついたり、マッサージを始めてみたり。
動けない事を良いことに硝子ちゃんの好き勝手遊ばれる。
嫌ではないが、折角硝子ちゃんが綺麗にしてくれた作品を駄目にしたくないのに毎回楽しそうに遊ばれるので困ってしまう。
「え?硝子何してんの?」
「まさか、硝子まで……?」
「変な視線向けてくんな。
名前が自分磨きにハマってるだけだよ」
お洒落、というものに興味が無かったわけじゃない。
ただ、何をどうしたら良いかわからなかった私に冥さんが直々に指導してくれた。
女でもしなやかな筋肉の付け方。
女であることを捨てることなく美を追及する方法。
呪術師は女、というだけで不利になる。
男から比べたら力も、強さも劣るから。
そんな壁を冥さんは諦めず乗り越えようとしている。
己の術式を見極め、他を高める努力を怠らない。
女でも戦える。
女である事を喜び、楽しむ。
「私、いつか必ず悟くんと傑くんにも負けないくらいの呪術師になりますから」
「「………」」
「いつまでも甘えていられませんからね」
「って事だからオマエ達の出番は無い」
「あっ!たまには4人で遊んでください。
今日は硝子ちゃんとお買い物行ってきます!」
4人で遊ぶことも楽しい。
だが、今は自分の可能性を高めてみたい。
その一歩が自分磨きであり、冥さんから指導を受ける事。
悟くんや傑くんに守られてばかりの女の子ではいつまで経っても強くはなれない。
「名前」
「はい?」
硝子ちゃんを見れば、頬に唇を押しあてられる。
「「硝子!?」」
「ほら、行こ」
「硝子ちゃんお部屋じゃないと駄目です」
「ごめん。可愛い顔していたから」
「「え?」」
「待って?硝子、今聞き捨てならない発言が……」
「オマエら……デキてんの?」
驚く悟くんと傑くん。
硝子ちゃんを見れば楽しそうに笑っているので、多分二人をからかって遊びたいのだろう。
冥さんに憧れていて冥さん自身がかっこ良くて好き。
硝子ちゃんもかっこ良くて素敵で大好き。
男の人よりは近寄りやすいし、私が望むように甘やかせてくれるからとても心地がいい。
この気持ちがどんな好きなのかまだわからないが……
「秘密、です」
「「はっ!?」」
「ははっ!!名前、最高!!」
「内緒ですから」
「「えっ!?」」
まだ、私に恋愛は早い。
もっと自分に自信を持って、素敵な女性になれた時……私の強さも弱さも甘さも全て受け止めてくれる人がいたら……。
「初めまして」
「初めまして、先輩方!!」
今度は幸せになりたい。
自分の弱さのせいで駄目にしたくない。
その為に私自身が成長していかなければ。
守ってもらってばかりじゃない。
私の好きになった人達を守れるくらい強くならなくては。
誰かを好きになること。
誰かに好きになってもらうこと。
色んな好きがあり、大きく育って愛となるというのなら……まずは好きになって貰えるように、私自身が私を好きになれる努力から始めよう。
私が私を信じてあげられないのに、他の人が私を信じて好きで居てもらえるなんて傲慢な考えだ。
誰かを愛すること。
誰かに愛されること。
幸せな事ばかりじゃない。
苦しい事もある。
それでもきっと……人である限り誰かを愛し、愛される。
次は自信を持ってたった一人を大切にしたい。
その為にこれからも私は己を磨き、強くなる。
あとがき
どこを目指してもバッド√しか見当たらない。
百合を書こうとしたけれど、誰の需要だろう?私だけかな?と思って憧れに留めました。
冥さんなら誰でも落とせそう。
ひとまず呪縛、各√終了!!
書きたいところ書けて自己満足です。
色々考えて直哉くん連載もうちょっと波乱万丈にしたかったのですが、直哉くん情報少なすぎるのと、関西弁?京都弁?が勉強不足過ぎてインスピレーションで書くのにも限界が……!!
なんかもう申し訳なさの極みで限界でした(笑)
方言機能変換に助けてもらっても限界でした(笑)
石投げないで……苦情はお受けつけしておりませんっっっ
そして各地の方言を大切になさっている方々、申し訳ございませんでしたっ!!!
自己満足作品なのでインスピレーションでこう……感じ取ってください。
ここまでお付き合いくださり、毎回コメントと素敵な感想をありがとうございました!
・女子って素敵だよね名前ちゃん
落ちは未定。
可能性のある常識的な後輩二人に心が惹かれる可能性は大。
しかし、どちらを選んでも地獄が待っている可能性しかない。
冥さんとはお姉様ぁ!!な関係になりつつある。
事変ではお姉様の為に死ねる。
硝子ちゃん?お友達だよ!
・女子もありだぞ硝子ちゃん
可愛い子を甘やかすなら同姓同士のがわかる。
キス友達。苦いと言われて禁煙するか考え始めている。
けど、苦いってとろんとした顔のまま顔を歪める姿がキュンッとするからわざと吸って止められない。
クズ共には渡したくない。
冥さんなら仕方ない。
・クズ二人
え?まじ?
仲間入りしちゃ……あ、駄目?
・京都のクズ
仲間入りさーせて(はぁと)
……え?駄目?
えぇやん……あ、駄目?そない怒らんで?
・お姉様優勝冥さん
面白い術式じゃないか。欲しいね。
お金?いいよ。将来返してくれるだろ?身体で(ニッコリ)
・後輩二人
愛し合う可能性を秘めし猛者