通行人 番外編
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ヤバい。
何がヤバイってとにかくヤバイ。
今日は厄日だ。
朝起きたら目覚ましが止まっていた。
慌てて準備していたから水で頭を濡らし、ドライヤーで渇かしたが、バタバタしていたらドアに足の小指をぶつけた。
痛みに耐えながらパンを一枚咥えて外に出たが、財布を忘れて戻った。
戸締まりをしっかり確認し、今度こそ外に飛び出したらギリギリ間に合うはずの大学までのバスに乗り遅れた。
結果、私は走って大学へ。
大通りなんかじゃ間に合わないから
道という道を無視して頭の中で最短ルートを通り抜ける。
良かった。
かっこよさに憧れてパルクール習得したかいがあったわ。
裏道、建物の間、屋根。
とにかくヤバイ。
どうにかしなきゃと急ぐ。
今なら私の背中には翼が生えていると信じて進む。
「っのやろぉ!!
ブッコロし「邪魔!!!!!」ぐはぁっっ!!」
通り抜けようとした着地ポイントに
禿げたおっさんが飛び出してきたが構わず頭を踏みつけた。
残り5分。
おっさんの顔面を力強く踏み台とし、廃墟の中へ。
このペースなら間に合う!!
廃墟を走り抜けて飛び降り、大通りへ出たら最後のダッシュを決めた。
「……ハハッ!!まじかよ!」
「うわー、コイツ泡吹いてるよ」
他にも人がいたなんて、その時はまだ知らなかった。
ハローハロー☆
私、今話題のジュジュチューバー目指してる女子大生名前☆
大学はギリギリ間に合ったが、汗だくで友人らにドン引きされたよ!!えーん、しくしく。
ファブリーズかけないで。
シーブリーズ使うから許してよーえーん。
そんな私による本日更新のネタはこちら!!
「チッチキチー☆
メントスコーライッキ飲み!!」
え?やったことある人達いるって?
チッチッチー、わかってないなぁ君たち!!
コーラとメントスを用意して
よーーーーーくコーラを振って振って振って
「はい、どーぞ☆」
「あ?何だよ」
「田代くん、そんな美女君には敷居が高すぎるしそもそも相手にされていないからナンパ諦めなよ」
「田代じゃなく田部だ」
「ほらほら、これグイッと飲んで飲んで」
「お、おぅ?」
田代くんはコーラのペットボトルを開けるとあら不思議!!
ぶしゃーーーと顔面コーラを浴びる田代くん。
「あら大変!!なんてこった、こちらをどうぞ!!」
ポトンポトンとメントスを入れて再びコーラを手渡せばシュバババババと顔面コーラを再び受ける田代くん。
鼻から口から酷いことになっている。
「て、めぇっ!!何しやがる!!」
「あ?
普通に迷惑して嫌がってる美女にしつこく肩やら腰やらベタベタ触って何様だよ。
ナンパにしても嫌がってるならセクハラだよ。
え?俺に声掛けて貰えて光栄だろ?え?どの面でそんな事言えんの?
君、自分では小池○平とかほざいてるけど、どちらかと言えば小宮○信だからな。三○郎の」
「…………」
「男に声かけられて喜ぶ権利、女にもあるんだわ。男なら誰でもいいわけじゃないんだよ。
わかる?田宮くん。
イケメンというのは周りからの評価であって自分から俺イケメーンとかほざくのは間違いかと。あと、ジュジュスタとかに半裸載せるのやめてくれない?
お腹引っ込めても腹筋は現れないよ?」
「……うっ、ううう…」
「え?泣いてる?泣いてるの?
コーラ目にはいっちゃった?急いでアイボンしながら眼科行って鏡買って自分と見つめうべきだよ!!
ほら、鏡は正直だから本当の君を映し出してもへこたれちゃいけないよ?」
「う……ううっうぇっ」
「いや、お前止めてやれよ」
「せんせー、名前さんが小宮くん苛めましたー」
両手で顔を覆いながらまじ泣きし始めた田宮くん。
あれ?悪いの私?
美女が田代くんによって迷惑なくらい絡まれていたのでWコーラをぶち当て本当の事告げたら泣かれた名前です。
あれれー?おっかしいなぁ?
田代くん、最近色んな科の女子大生に声掛けて迷惑がられていたけど、根はいい奴だからさ。
ちょっとオラオラ系男子がモテると雑誌で読んだらしく試していたらしい。
うん、間違いだよ田代くん。
君の良いところはめげない!しょげない!所だと思うんだ。
だからメソメソメッソンしてないで、ほら、お顔を上げて?
「追い討ちがひでぇ」
「ウチラでもそこまで酷いこと言わないわ」
「ちょっとぉ、女子ぃ!!そーゆー虐め良くない!!」
悪友らと騒いでいる間に田代くんは消えてしまった。
大丈夫。君なら明日には元気だと信じてるから。
「えーっと、家入さんだっけ?
余計な世話焼いてたらごめんね?」
「……あんた変わってるって言われない?」
「そりゃ毎日」
「助かったよ。ありがと」
にこり、と笑う家入さんは美女だった。
思わず拝んでしまうとクスリ、と笑われる。
「あんた名前は?」
「名前でーっす。家入さんは?」
「硝子でいいよ」
こうして私は田代くんのお陰でマドンナ硝子ちゃんと仲良くなった。
ありがとう、田代。
調子にのっていたから絞めたると思ってやっちまったが、明日感謝の気持ちを込めてチューベットの凍ってない奴あげるから。
え?凍らせたらパッキンアイスだよ?
家入硝子と名を聞けば、誰もが名を知っている。
異例の早さで医学部を飛び級した才女。
見た目は儚く、立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花を表すような女性。
特に仲の良い人間関係は無いものの、お近づきになりたいと思う生徒は多い。
そんな硝子ちゃんをゲットだぜ!した私。
美女だし、立ち姿や座る姿や歩く姿はまさしくエレガンッッッット!!!と評したいが、話してみればサバサバとしていておほほ、うふふとお上品なタイプではないらしい。
気さくに話せる感じが話しやすくて盛り上がったまま連絡先を交換した。
話足りないとの事で、硝子ちゃんに誘われて飲みへ。
「うわっ、硝子ちゃんめっちゃ強いじゃん」
「そう?」
「驚いた」
ぐいぐいと水を飲むように焼酎を飲み干すペースにつられて生ビール飲んでたら危うく潰れそうに。
いかんいかん、と水を挟みながら学校の事や授業の事や最近の流行り、そして酒に合うつまみを語る。
「酢昆布って何でたまーに食べたくなるんだろ……」
「酔ってるのか?」
「酢と酔うって漢字似てるよね。ウケる」
「酔ってるな」
「酔って……きたかなぁ」
ふわふわとしている。
楽しくなってにへらにへらと顔が緩んでしまう。
硝子ちゃんがお勘定を頼むので、金額を見てお財布から半分より多めに出す。
「多いぞ」
「美女に多く出させるのは私のポリシーに反する」
「ははっ!本当面白い奴だ。
私の周りにはいなかったタイプだ」
「硝子ちゃんタクシーは?呼ぶ?」
タクシー会社の番号を出していつでも掛けられるようにしたが、首を振られる。
「いや、私は……」
「おやぁ?硝子さんじゃないですか」
店を出た途端、胸元を広く開けた柄シャツにヨレたスーツ姿の若いのが数人。
にやにや、にやにやと笑って近付いてきた。
「いやー、こんな時間にお友達と?
おやおやお友達も可愛らしいお顔で……」
「誰だ」
「……いやだなぁ!こないだも会ったじゃないですか!!そちらでお世話になっている」
「失せろ。邪魔だ」
冷たい声色で淡々と話す硝子ちゃん。
しかし、柄シャツは諦めず……いや、空気を読めず硝子ちゃんの肩に腕を回す。
いつの間にやら私と硝子ちゃんを囲むように柄シャツ軍団に囲まれた。
「硝子ちゃん知り合い?」
「いや、知らないな。悪い、先に帰って…」
「いやいやいやいや、硝子さーん?
俺達、この間君のとこの奴らに手酷く扱われてさぁ、すっごく腹立ってんだよ!!!」
リーダーらしき柄シャツが硝子ちゃんの髪の毛を掴んだ。
眉間にシワを寄せる硝子ちゃん。
「っ!!」
「おい、コイツら連れて」
「うらぁっ!!酢昆布ぅ!!」
「うぁっ!?くっっさ!!いや、目があああっ!!」
「酢昆布!!酢昆布!!茎ワカメからの酢昆布!!」
「くっさ!!何だこの酢昆布女!!」
鞄から酢昆布ぶん投げて当ててみた。
大丈夫。ちゃんと開封したよ!!
良い子のみんなは食べ物をお大事にね!!
もったいないけど酢昆布も本望な使われ方かと!!
硝子ちゃんの腕を引いて、リーダーらしき柄シャツに向かってスプレーを噴射する。
「膝まづけ!!催涙スプレー!!」
「うぎゃぁぁあああああっ!!」
「逃げるよ、硝子ちゃん」
「は?」
「退け柄シャツ3号!!」
目の前を塞ぐ柄シャツ2号と3号。
しかし鞄で2号の頭を殴り、3号の顔面へ回し蹴りをして開いた隙間を硝子ちゃんの手を引いて走り出す。
リーダー柄シャツの指示でバタバタと追いかけてきた柄シャツ軍団。
「硝子ちゃん、大丈夫!?」
「名前、オマエまで巻き込むつもりはない。置いていけっ!!」
「ばっか!!友達置いて助かるなんてダッサイ事無理!!」
しつこいくらいに追い掛けてくる柄シャツ軍団。
大通りを走っていたが、周りの迷惑考えずに暴れるくそやろう共。
「邪魔だ!!」
「!?」
どんっ、と仕事帰りだったのか赤ん坊を抱いて荷物を持つ女性を突き飛ばす柄シャツ4号。
突き飛ばされた先は……
「ごめん、硝子ちゃん!!」
「待て!!」
体勢を崩し、横断歩道に立ち尽くす女性。
チカチカと信号が点滅している。
ガードレールを飛び越して、呆然としている女性へと手を伸ばす。
掴んだ手を引いて荷物も回収して歩道へと戻れば車は動き出した。
「お母さんとお子さん大丈夫?」
「え?あ、あの……」
「この、クソ女ぁっ!!」
髪の毛を引かれて後ろへ放り投げられる。
地面へと打ち付け、擦った腕と足。
痛みに怯んだ瞬間、髪の毛を持ち上げられる。
「テメェ俺らを誰だと思ってんだ!!」
「……うっせーよ、クソダセェ柄シャツ集団が」
「舐めた口聞いてっとどうなるかわかってんだよなぁ!?」
「へぇ?どーなるか教えてよ」
「私達も聞きたいな」
バキッ、と真後ろで聞こえた鈍い音。
離された髪の毛のせいでまた地面と膝がこんにちはの痛みに耐えるよう覚悟したが、腰を何かに支えられた。
「遅いぞ、オマエら」
「ごめんごめん。まさか一般人突き飛ばすと思って無くて」
「しかも助けに行くとかもっと想定外」
「役立たずが」
「手厳しいなぁ」
クスクスと笑いながら柄シャツの胸元を掴んで拳を握っているハーフアップのお団子に大きめの黒いピアスをした細目の胡散臭い男。
私の腰を掴んで支えてくれているのはとにかくでかくて頭が白くてサングラスを掛けた男。
「ご、五条と夏油だっ!!」
「硝子、コイツらの処分は?」
「任せる。が、一般人に迷惑掛けてるんだ……わかるだろ?」
「おー、怖っ!!うちのお嬢怒らせるなんてオマエら終わったな」
ゾロゾロとどこから出てきたのかわからないが、黒いビシッとしたスーツ姿の人達が柄シャツ集団を捕らえていく。
そのまま黒い車に詰め込まれていく姿にポカンとしていたが、ハッと我に返り先程のお母さんと子供を見れば……そちらもポカンとしてこっちを見ていた。
白い男の腕から抜け出してお母さんの所へ。
「大丈夫でしたか?」
「え?あの、あなたの方が……」
「あ、お母さん膝擦りむいてる。救急車?携帯……あ"ぁ"っ!!あの柄シャツ!!携帯バッキバキじゃないか!!」
「いえ、あのあなたの方が……」
「硝子ちゃん、無事!?無事ならちょっとこのお母さんの事救急車に……」
「名前、落ち着け」
呆れた顔で私を見る硝子ちゃん。
「伊地知、この人の手当てと送りをしてやれ」
「は、はい!硝子さんやそちらの方は……」
「私が運転するよ」
「だとさ。伊地知、頼んだぞ」
「はい」
眼鏡の気弱そうな黒服の人にお母さんを任せると腕を引かれる私。
「名前、オマエ自分の状況わかっているのか?」
「硝子ちゃんは怪我無いかい?」
「無い。自分の怪我の心配しろ」
「怪我?」
言われてそーいや腕地面とこんにちはぁぁ!!と激しく擦りむいたんだっけ……と見ればあらいやだ。
ドクドクと血が滴っているじゃありませんか!!
「わぉ!!出血大サービス」
「夏油、病院へ」
「わかったよ」
「五条、名前を持て」
「えー。僕汚れんじゃん」
「硝子ちゃん大げさだなぁ。
こんなん舐めてツバつけときゃ治るって」
「膝ヤバイぞ」
「膝?」
お酒で気が大きくなっていた。
お酒で感覚が麻痺していた。
なので、大暴れからの下を見た瞬間……目の前がぐるんっとして私は意識を無くした。
朝起きると見慣れない天井でした、ってあるんだね。
二日酔いは無いものの、ジンジンと腕と膝が痛い。
漫画のような包帯ぐるぐるに厨二的なアレそれをする元気が出ないくらい痛い。
見知らぬ屋敷なのかな?
畳の上のお布団で一人ぬおおおおおっと痛みに悶えているとガラッと襖が開いた。
「あ、起きてる」
「何だこの白い頭」
「僕に向かってそんな事言うのお嬢と傑くらいだぜ?」
「知るかよぉ……誰だよお嬢とすぐるぅぅう……」
痛みでそれどころじゃないんだ、こっちは!!
ジンジンイライラ!!
痛みに腹立ってきたが、八つ当たりは良くないので耐える。
まじで昨日の私何した!?と思い出そうとするが、柄シャツに追い掛けられた記憶までしかない。
「あれ?お嬢の友達じゃねーの?」
「誰だよお嬢……むしろここどこだよ」
「あ、そーだ!僕聞きたいことあったんだけどさー」
「後にしてくんない!?むしろ言葉のキャッチボールしろよ!!」
何一つ受け答え返って来ないんだけど!?
何なのこの白髪!!
目の前でふわふわしやがって……撫でくりまわすぞ!!
そんな気持ちはあるが、とにかくジンジンイライラ。いてぇ。
動いても黙っていても痛いって何事?と思っていたら、また誰か入って来た。
「起きたんだね」
「誰だよ!!」
「おや?覚えていないのかい?」
「どちら様!?」
「元気だね。腕や足の痛みはどうだい?」
「最悪だよコンチクショォ!!」
「悟、痛み止め渡したんじゃないのかい?」
「あ、忘れてた」
「何しに来たんだ白髪ぁっ!!」
思わず叫んだ私、悪くないよね?
「僕の優しさを白髪呼びするなんてひっどーい。痛み止めあげないよ?」
「悟」
「欲しかったら三回回ってワンってしてごらん?」
にやにやと口元に笑みを浮かべる白髪。
え?何なの?
くれないの?
三回回ってワンって何だよ?
呆れはするものの、止めないハーフアップのお団子頭。
おい、その変な前髪引きちぎるぞ?
そこ引っ張って三つ編みするぞ?
「ほら、おねだりは?」
サングラスの隙間から空色の瞳がにたにたと笑っている。
何だかそのニヤケ面が腹立ったのでそっぽを向く。
「あれ?いらないのかい?」
「いらないの?」
何だか頭がぼーっとしてきたし、痛いし、腹立つしで涙が出てくる。
泣いてる、なんて知られたくなくて布団を被るが白髪がグイグイと引っ張ってくる。
「ねーねー?こっち向いてよ」
「悟、薬置いて置きなよ。私達も仕事に行かなきゃ」
「だって僕聞きたいことあるし」
「困ったね」
「あ、そーだ」
布団が剥ぎ取られたかと思ったら、首を変な方向へ無理矢理向けられる。
文句を言おうと口を開けばぬるりとした何かと共に口を塞がれた。
目の前には空色の瞳。
生温い水と共に口の中に錠剤を流し込まれ、抵抗しようとしたが鼻を摘ままれて思わず飲み込む。
飲み込んだ瞬間離された唇と鼻に、空気を吸い込み過ぎて噎せこんだ。
「あのさー、君さ」
「あ……悟、ヤバイ」
「何?傑」
「何してんだクズ共」
ブリザードを背負った硝子ちゃんの登場に、場の空気が凍った。
硝子ちゃんは目の前の大男二人組に拳骨を落とし、正座させた。
今は私の横になっているお布団の目の前で煙管を堪能しながら胡座で座っている美女……あれ?こちら私の硝子ちゃんだよね?
「私の硝子ちゃんが美人過ぎて似合う……」
「ははっ、頭大丈夫か?」
「ポヤポヤぼーっとする」
「……熱、出てきてるな」
額に手を当てられると、硝子ちゃんの手が冷たくて気持ちがいい。
ぼーっとしていると、タオルと水桶を持ってきた……眼鏡の冴えない人から受け取り、硝子ちゃんが額にタオルを乗せてくれる。
「きもちぃ……」
「悪かった」
「んー?」
「巻き込んで悪かったよ」
「何が?」
硝子ちゃん曰く、硝子ちゃんはここら辺一帯を取り仕切る夜蛾組の後継者らしい。
血の繋がりは無いものの、昔色々あって組長に恩義があるらしい。
現組長は硝子ちゃんを後継者として継がせるつもりは無いものの、周りが勝手に盛り上がってしまい後継者候補としてその筋の人達には名を知られていると。
硝子ちゃん本人としては医者の免許を取り、組の主治医として役に立ちたいと大学に通っているのだが……
「すまない。信じられないよな」
「………」
「今回、名前と居て気が抜けていた。
本来ならば私が関わるべきじゃなかったのに……本当にすまない。
治療費は全て此方で受け持つ。迷惑をかけた礼もする。
巻き込んで怪我までさせて……本当に」
深々と頭を下げる硝子ちゃん。
頭がポヤポヤするし、まだジンジン痛むから頭の処理に時間がかかる。
えーっと、つまり……
「硝子ちゃんは極道の女だった?」
「……今そこの話じゃない」
「つまり硝子ちゃんは赤いジャージでツインテール?」
「何の話だ」
「髪ゴム外したら真の力を発揮出来たから私……余計なお世話だった?」
「一度変な方向から戻って来い」
私の脳裏に拳を避けて柄シャツ集団をばったばったとなぎ倒す硝子ちゃんがいる。
ヤバイ。格好いいじゃないか!!
「好きです」
「伊地知、熱冷ましも持ってこい」
「はいっ!!」
「硝子ちゃん煙管似合うねぇ」
「煙草の方がいい」
「今度着物姿で煙管咥えた写真送ってよ」
「……いや、もう連絡はしない」
「何で?」
「住む世界が違う人間を巻き込む事は出来ない」
硝子ちゃんからの拒絶。
何かを耐えるようにうつ向く硝子ちゃん。
「すまない。
名前と居るのが楽しくて……けど、もう関わらないから」
「やだよ」
「名前」
「私は硝子ちゃんと友達になりたい。
家が〜とか、組が〜とか関係無いよ」
「だがっ」
「そっちの世界のルールはよくわからないけど……昨日硝子ちゃんと話しててもっと知りたくなった。
私は硝子ちゃんを嫌いにならないし、今も私を心配してくれている硝子ちゃんから離れたいなんて思えないんだ」
よしよし、と指通りのいい滑らかな髪をすく。
「どんな硝子ちゃんでも私は知りたいし、一緒に居たいし、もっと話したいよ」
「……名前」
「だから、遠ざけないで?」
薬が効いてきたのか痛みが減っていく。
起き上がって硝子ちゃんを抱き締めた。
「……後悔するぞ」
「美人の為の後悔なんて役得だね!」
クスリ、と静かに笑う硝子ちゃん。
やったね、美女の友人枠ゲットだぜ!!
「お嬢と仲良くなってるとこ悪いけど僕ともお話してよ」
「うごあっ!?」
グギィッ、って曲がっちゃいけない方向に首曲げられたんだけど!?
目の前には白髪と空色の瞳。
思わず右指二本が唸ったのは仕方がない。
「んニャロォッ!!」
「うわ、女の子が目潰し良くないよ」
「止めるな!受け止めろ!!」
「やだよ。受け止めるならそのおっぱいがいい」
「悟、獣の胸をまさぐっても猿の胸は猿だよ?」
「人の事猿呼ばわりしてんじゃねーよ前髪!!!デコに黒マジックででけぇ黒子描いてやろうか!!」
「口汚い猿だねぇ」
「キミさぁ、こないだ空飛んでたよね」
アタマダイジョウブカナ?
何なんだこの失礼な白黒は。
いくら硝子ちゃんの知り合いでも許せん。
「弱い奴がナイフ持っても弱いままで後片付け面倒だなーって思ってたらキミが空から降ってきて踏み台にしたから助かったんだよね!」
「あぁ、あの時の猿か」
「まさかお嬢と知り合いだったなんて!!
ねぇねぇ、あれってパルクールってやつ?何で出来るの?」
「悟だってあれくらい軽々出来るだろ?」
「出来るけどたかが一般人があの状況で人踏み潰して平気な顔していられるって相当イカレてるよ!」
ケタケタ笑いながら距離を詰めてくる白髪。
やめろ、近寄るな。
「ねぇ、僕キミに興味持っちゃった」
「お断りします」
「僕のになってよ」
「お断りします」
「僕上手いよ?一度知ったら離れられなくなるからさ」
「飽きたら風俗行きだけどね」
「傑、しー」
硝子ちゃんを見る。
ゴミを見る目をしていた。
しかし助けてくれる気はないらしい。なんでや。
「悟のゲテモノ好きには困ったね」
「おい、ちょいちょいお前さっきから腹立つ前髪だな。剃るぞ」
「すまない。懐に入れた人間以外猿にしか見えなくて。
硝子を守ってくれたのには感謝しているけど、まだ耳と口元の猿さが抜けていないキミを信用するにはちょっと……」
「アンタの世界どんな風に見えてんの?眼科と精神科行けよ」
「傑とばっかじゃなく僕と話せよ」
「ヤンデレ予備軍かよ。寂しん坊はおしゃぶりでもしてな」
頭がハイになっていた。
だって熱あったし、色々あったし。
こう……気分がリンボーダンスからのカーニバルだったんだ。
「ねーねーねーねー」
「っせーわ、白髪ぁぁあああっ!!!
何でもかんでもお前の思うように人生進むと思うな!!女はいつでもお前の使い捨てティッシュじゃねーんだよ!!出したいもん出してスッキリしたいならお得意の風俗なり右手左手と仲良ししながら楽しんでろ!!
私は硝子ちゃんをよしよしペロペロしながらハスハス匂いを嗅いでお泊まりしながら友情を深め合いたいんだ!!硝子ちゃんが美女だからもっとお近づきになりたいんだっ!!お前のようなクソニート侍みたいな甘党代表の主人公みたいな奴じゃなく!!私は!!エキゾチックなつり目の筋肉がある細マッチョのお兄さんとイチャイチャしたいんだ!!髪が長かったら尚良し!!」
「すまない、私は猿とどうこうする気はない」
「は?勘違いはよしこちゃん。
誰がお前を選ぶと言った?確かにお前の方が私の好みのタイプではあるが、そもそも性格がクソな時点で無しだよ無し。なんで全国の女性がお前を選ぶと思うんだ?おモテ自慢か?だが残念だったな……解釈違いでーーーっす!!」
ベロベロバァ、と舌を出してやる。
ポカーンとすり二人に鼻で笑ってやるオプション付きだ。
「………ははっ!!
凄いな、名前。
このクズ共相手にそんな啖呵切れるなんて」
「いやん、こんな私は嫌い?」
「好き。面白い」
「私も硝子ちゃん好き。いっぱいしゅきぴ」
投げキッスを何度もしていると、首に腕が回る。
「退け、白髪」
「僕こんな扱い初めて」
「良かったな、退け」
「余計興味出ちゃった」
「お断り申し上げます」
ケタケタ笑う声が頭に響く。
「……驚いたよ。私達相手にそんな事言う奴がいるなんて」
「ね!
普通なら海に沈めるところだけどお嬢の友達だからな」
「硝子ちゃんの為なら例え下半身が魚となっても愛を囁きに行くよ」
「馬鹿じゃん」「馬鹿なんだね」
何度も言おう。
この時の私はハイになっていた。
そしてアホだった。
「馬鹿で結構。
硝子ちゃんの隣に居るためなら例えどんな野郎が相手でも怯まない」
「……本物の馬鹿だな」
「好きになった友達がたまたま漫画みたいなお家だっただけ。
お家事情ごときでヘタレる私じゃないわ!」
えっへん、と胸を張ってドヤ顔かましたあと……私は気を失った。
熱が限界突破したらしい。
そして再び目を覚ますと
「おはよ」
白髪が半裸で添い寝していた。
なんだこの状況。
そっと目を閉じたが、再び目を開けても悪夢は変わらない。
「僕、あんなこと言われたの初めてだったから……僕の初めて奪った記念に責任取ってよ」
「お断り申し上げます」
「遠慮しないで?あぁ、浮気はしないよ?」
「お断り申し上げます」
「性欲吐き出すための行為は浮気じゃないよね?」
「お断り、申し上げ、ますっ!!」
布団を蹴り飛ばし、襖を開けて走り出す。
出口はどこだ!!?
ここはどこだ!?
なにが起こっているんだ!!?
老化を猛ダッシュするが、後ろから同じように笑顔で追いかけてくる白髪。
「ついてくんなっ!!」
「病み上がりで元気いいね。……あまり元気が良すぎると絞めたくなる」
「怖っ!!怖いわっ!!」
捕まったらヤバい。
本能が告げている。
コーナーを柱を蹴りつけながら曲がった先に……前髪が。
笑顔で捕獲される私。
「朝から元気だね」
「は、離せっ!!」
「傑ちょーだい?」
「私が捕まえた猿だから私が躾るよ」
「は?」「あ?」
頭の上でバチバチと不穏な空気を醸し出す二人。
周りに助けを!!と視線を配るが……厳つい兄ちゃん達が慌てた様子で
五条さんと夏油さんがヤバい!!
お嬢呼んでこい!
全員待避!!巻き込まれるぞ!!
などと叫んでいる。
助けて!私、一般人よぉっ!!!
………シカトされた。
「オマエら何してる」
「やぁ、硝子」「おはよ、お嬢」
「硝子ちゃぁぁああああんっっ!!」
救世主!!!神は私を見捨てなかった!!
硝子ちゃんの後ろにササッと避難するものの……なぜかガシッと腕を捕まれる。
「………硝子さん?」
「さっさと逃げればかったのに……馬鹿だな、
名前」
「えーっと……?」
怪しく笑う硝子ちゃん。
その後ろの白黒も同じように笑っている。
「「「逃がさない」」」
拝啓、昨日や一昨日の私へ。
パルクールで近道するな。
美女を口説くな。
そもそも寝坊するな。
判断が遅い!!と脳内の鱗滝さんが往復ビンタしているが、それでも脳が回らない。
〜美女を口説いたらヤベェのに執着された〜
次回 通行人、一般人から遠ざかるの巻
あとがき
続く予定はありませんwww
最近ヤパロを見てやりたくなってしまった。
通行人のテンションでヤパロってヤバい方向にしかいかない気がする。
一発アウトだよ!!!
しかしこれはパロディ!!!妄想は自由だぁっ!!
設定がいかしきれていなくても許して貰おう。
うむ、私にヤパロは厳しかった!!(笑)
ヤベェ三人組から逃げられない通行人。
何がヤバイってとにかくヤバイ。
今日は厄日だ。
朝起きたら目覚ましが止まっていた。
慌てて準備していたから水で頭を濡らし、ドライヤーで渇かしたが、バタバタしていたらドアに足の小指をぶつけた。
痛みに耐えながらパンを一枚咥えて外に出たが、財布を忘れて戻った。
戸締まりをしっかり確認し、今度こそ外に飛び出したらギリギリ間に合うはずの大学までのバスに乗り遅れた。
結果、私は走って大学へ。
大通りなんかじゃ間に合わないから
道という道を無視して頭の中で最短ルートを通り抜ける。
良かった。
かっこよさに憧れてパルクール習得したかいがあったわ。
裏道、建物の間、屋根。
とにかくヤバイ。
どうにかしなきゃと急ぐ。
今なら私の背中には翼が生えていると信じて進む。
「っのやろぉ!!
ブッコロし「邪魔!!!!!」ぐはぁっっ!!」
通り抜けようとした着地ポイントに
禿げたおっさんが飛び出してきたが構わず頭を踏みつけた。
残り5分。
おっさんの顔面を力強く踏み台とし、廃墟の中へ。
このペースなら間に合う!!
廃墟を走り抜けて飛び降り、大通りへ出たら最後のダッシュを決めた。
「……ハハッ!!まじかよ!」
「うわー、コイツ泡吹いてるよ」
他にも人がいたなんて、その時はまだ知らなかった。
ハローハロー☆
私、今話題のジュジュチューバー目指してる女子大生名前☆
大学はギリギリ間に合ったが、汗だくで友人らにドン引きされたよ!!えーん、しくしく。
ファブリーズかけないで。
シーブリーズ使うから許してよーえーん。
そんな私による本日更新のネタはこちら!!
「チッチキチー☆
メントスコーライッキ飲み!!」
え?やったことある人達いるって?
チッチッチー、わかってないなぁ君たち!!
コーラとメントスを用意して
よーーーーーくコーラを振って振って振って
「はい、どーぞ☆」
「あ?何だよ」
「田代くん、そんな美女君には敷居が高すぎるしそもそも相手にされていないからナンパ諦めなよ」
「田代じゃなく田部だ」
「ほらほら、これグイッと飲んで飲んで」
「お、おぅ?」
田代くんはコーラのペットボトルを開けるとあら不思議!!
ぶしゃーーーと顔面コーラを浴びる田代くん。
「あら大変!!なんてこった、こちらをどうぞ!!」
ポトンポトンとメントスを入れて再びコーラを手渡せばシュバババババと顔面コーラを再び受ける田代くん。
鼻から口から酷いことになっている。
「て、めぇっ!!何しやがる!!」
「あ?
普通に迷惑して嫌がってる美女にしつこく肩やら腰やらベタベタ触って何様だよ。
ナンパにしても嫌がってるならセクハラだよ。
え?俺に声掛けて貰えて光栄だろ?え?どの面でそんな事言えんの?
君、自分では小池○平とかほざいてるけど、どちらかと言えば小宮○信だからな。三○郎の」
「…………」
「男に声かけられて喜ぶ権利、女にもあるんだわ。男なら誰でもいいわけじゃないんだよ。
わかる?田宮くん。
イケメンというのは周りからの評価であって自分から俺イケメーンとかほざくのは間違いかと。あと、ジュジュスタとかに半裸載せるのやめてくれない?
お腹引っ込めても腹筋は現れないよ?」
「……うっ、ううう…」
「え?泣いてる?泣いてるの?
コーラ目にはいっちゃった?急いでアイボンしながら眼科行って鏡買って自分と見つめうべきだよ!!
ほら、鏡は正直だから本当の君を映し出してもへこたれちゃいけないよ?」
「う……ううっうぇっ」
「いや、お前止めてやれよ」
「せんせー、名前さんが小宮くん苛めましたー」
両手で顔を覆いながらまじ泣きし始めた田宮くん。
あれ?悪いの私?
美女が田代くんによって迷惑なくらい絡まれていたのでWコーラをぶち当て本当の事告げたら泣かれた名前です。
あれれー?おっかしいなぁ?
田代くん、最近色んな科の女子大生に声掛けて迷惑がられていたけど、根はいい奴だからさ。
ちょっとオラオラ系男子がモテると雑誌で読んだらしく試していたらしい。
うん、間違いだよ田代くん。
君の良いところはめげない!しょげない!所だと思うんだ。
だからメソメソメッソンしてないで、ほら、お顔を上げて?
「追い討ちがひでぇ」
「ウチラでもそこまで酷いこと言わないわ」
「ちょっとぉ、女子ぃ!!そーゆー虐め良くない!!」
悪友らと騒いでいる間に田代くんは消えてしまった。
大丈夫。君なら明日には元気だと信じてるから。
「えーっと、家入さんだっけ?
余計な世話焼いてたらごめんね?」
「……あんた変わってるって言われない?」
「そりゃ毎日」
「助かったよ。ありがと」
にこり、と笑う家入さんは美女だった。
思わず拝んでしまうとクスリ、と笑われる。
「あんた名前は?」
「名前でーっす。家入さんは?」
「硝子でいいよ」
こうして私は田代くんのお陰でマドンナ硝子ちゃんと仲良くなった。
ありがとう、田代。
調子にのっていたから絞めたると思ってやっちまったが、明日感謝の気持ちを込めてチューベットの凍ってない奴あげるから。
え?凍らせたらパッキンアイスだよ?
家入硝子と名を聞けば、誰もが名を知っている。
異例の早さで医学部を飛び級した才女。
見た目は儚く、立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花を表すような女性。
特に仲の良い人間関係は無いものの、お近づきになりたいと思う生徒は多い。
そんな硝子ちゃんをゲットだぜ!した私。
美女だし、立ち姿や座る姿や歩く姿はまさしくエレガンッッッット!!!と評したいが、話してみればサバサバとしていておほほ、うふふとお上品なタイプではないらしい。
気さくに話せる感じが話しやすくて盛り上がったまま連絡先を交換した。
話足りないとの事で、硝子ちゃんに誘われて飲みへ。
「うわっ、硝子ちゃんめっちゃ強いじゃん」
「そう?」
「驚いた」
ぐいぐいと水を飲むように焼酎を飲み干すペースにつられて生ビール飲んでたら危うく潰れそうに。
いかんいかん、と水を挟みながら学校の事や授業の事や最近の流行り、そして酒に合うつまみを語る。
「酢昆布って何でたまーに食べたくなるんだろ……」
「酔ってるのか?」
「酢と酔うって漢字似てるよね。ウケる」
「酔ってるな」
「酔って……きたかなぁ」
ふわふわとしている。
楽しくなってにへらにへらと顔が緩んでしまう。
硝子ちゃんがお勘定を頼むので、金額を見てお財布から半分より多めに出す。
「多いぞ」
「美女に多く出させるのは私のポリシーに反する」
「ははっ!本当面白い奴だ。
私の周りにはいなかったタイプだ」
「硝子ちゃんタクシーは?呼ぶ?」
タクシー会社の番号を出していつでも掛けられるようにしたが、首を振られる。
「いや、私は……」
「おやぁ?硝子さんじゃないですか」
店を出た途端、胸元を広く開けた柄シャツにヨレたスーツ姿の若いのが数人。
にやにや、にやにやと笑って近付いてきた。
「いやー、こんな時間にお友達と?
おやおやお友達も可愛らしいお顔で……」
「誰だ」
「……いやだなぁ!こないだも会ったじゃないですか!!そちらでお世話になっている」
「失せろ。邪魔だ」
冷たい声色で淡々と話す硝子ちゃん。
しかし、柄シャツは諦めず……いや、空気を読めず硝子ちゃんの肩に腕を回す。
いつの間にやら私と硝子ちゃんを囲むように柄シャツ軍団に囲まれた。
「硝子ちゃん知り合い?」
「いや、知らないな。悪い、先に帰って…」
「いやいやいやいや、硝子さーん?
俺達、この間君のとこの奴らに手酷く扱われてさぁ、すっごく腹立ってんだよ!!!」
リーダーらしき柄シャツが硝子ちゃんの髪の毛を掴んだ。
眉間にシワを寄せる硝子ちゃん。
「っ!!」
「おい、コイツら連れて」
「うらぁっ!!酢昆布ぅ!!」
「うぁっ!?くっっさ!!いや、目があああっ!!」
「酢昆布!!酢昆布!!茎ワカメからの酢昆布!!」
「くっさ!!何だこの酢昆布女!!」
鞄から酢昆布ぶん投げて当ててみた。
大丈夫。ちゃんと開封したよ!!
良い子のみんなは食べ物をお大事にね!!
もったいないけど酢昆布も本望な使われ方かと!!
硝子ちゃんの腕を引いて、リーダーらしき柄シャツに向かってスプレーを噴射する。
「膝まづけ!!催涙スプレー!!」
「うぎゃぁぁあああああっ!!」
「逃げるよ、硝子ちゃん」
「は?」
「退け柄シャツ3号!!」
目の前を塞ぐ柄シャツ2号と3号。
しかし鞄で2号の頭を殴り、3号の顔面へ回し蹴りをして開いた隙間を硝子ちゃんの手を引いて走り出す。
リーダー柄シャツの指示でバタバタと追いかけてきた柄シャツ軍団。
「硝子ちゃん、大丈夫!?」
「名前、オマエまで巻き込むつもりはない。置いていけっ!!」
「ばっか!!友達置いて助かるなんてダッサイ事無理!!」
しつこいくらいに追い掛けてくる柄シャツ軍団。
大通りを走っていたが、周りの迷惑考えずに暴れるくそやろう共。
「邪魔だ!!」
「!?」
どんっ、と仕事帰りだったのか赤ん坊を抱いて荷物を持つ女性を突き飛ばす柄シャツ4号。
突き飛ばされた先は……
「ごめん、硝子ちゃん!!」
「待て!!」
体勢を崩し、横断歩道に立ち尽くす女性。
チカチカと信号が点滅している。
ガードレールを飛び越して、呆然としている女性へと手を伸ばす。
掴んだ手を引いて荷物も回収して歩道へと戻れば車は動き出した。
「お母さんとお子さん大丈夫?」
「え?あ、あの……」
「この、クソ女ぁっ!!」
髪の毛を引かれて後ろへ放り投げられる。
地面へと打ち付け、擦った腕と足。
痛みに怯んだ瞬間、髪の毛を持ち上げられる。
「テメェ俺らを誰だと思ってんだ!!」
「……うっせーよ、クソダセェ柄シャツ集団が」
「舐めた口聞いてっとどうなるかわかってんだよなぁ!?」
「へぇ?どーなるか教えてよ」
「私達も聞きたいな」
バキッ、と真後ろで聞こえた鈍い音。
離された髪の毛のせいでまた地面と膝がこんにちはの痛みに耐えるよう覚悟したが、腰を何かに支えられた。
「遅いぞ、オマエら」
「ごめんごめん。まさか一般人突き飛ばすと思って無くて」
「しかも助けに行くとかもっと想定外」
「役立たずが」
「手厳しいなぁ」
クスクスと笑いながら柄シャツの胸元を掴んで拳を握っているハーフアップのお団子に大きめの黒いピアスをした細目の胡散臭い男。
私の腰を掴んで支えてくれているのはとにかくでかくて頭が白くてサングラスを掛けた男。
「ご、五条と夏油だっ!!」
「硝子、コイツらの処分は?」
「任せる。が、一般人に迷惑掛けてるんだ……わかるだろ?」
「おー、怖っ!!うちのお嬢怒らせるなんてオマエら終わったな」
ゾロゾロとどこから出てきたのかわからないが、黒いビシッとしたスーツ姿の人達が柄シャツ集団を捕らえていく。
そのまま黒い車に詰め込まれていく姿にポカンとしていたが、ハッと我に返り先程のお母さんと子供を見れば……そちらもポカンとしてこっちを見ていた。
白い男の腕から抜け出してお母さんの所へ。
「大丈夫でしたか?」
「え?あの、あなたの方が……」
「あ、お母さん膝擦りむいてる。救急車?携帯……あ"ぁ"っ!!あの柄シャツ!!携帯バッキバキじゃないか!!」
「いえ、あのあなたの方が……」
「硝子ちゃん、無事!?無事ならちょっとこのお母さんの事救急車に……」
「名前、落ち着け」
呆れた顔で私を見る硝子ちゃん。
「伊地知、この人の手当てと送りをしてやれ」
「は、はい!硝子さんやそちらの方は……」
「私が運転するよ」
「だとさ。伊地知、頼んだぞ」
「はい」
眼鏡の気弱そうな黒服の人にお母さんを任せると腕を引かれる私。
「名前、オマエ自分の状況わかっているのか?」
「硝子ちゃんは怪我無いかい?」
「無い。自分の怪我の心配しろ」
「怪我?」
言われてそーいや腕地面とこんにちはぁぁ!!と激しく擦りむいたんだっけ……と見ればあらいやだ。
ドクドクと血が滴っているじゃありませんか!!
「わぉ!!出血大サービス」
「夏油、病院へ」
「わかったよ」
「五条、名前を持て」
「えー。僕汚れんじゃん」
「硝子ちゃん大げさだなぁ。
こんなん舐めてツバつけときゃ治るって」
「膝ヤバイぞ」
「膝?」
お酒で気が大きくなっていた。
お酒で感覚が麻痺していた。
なので、大暴れからの下を見た瞬間……目の前がぐるんっとして私は意識を無くした。
朝起きると見慣れない天井でした、ってあるんだね。
二日酔いは無いものの、ジンジンと腕と膝が痛い。
漫画のような包帯ぐるぐるに厨二的なアレそれをする元気が出ないくらい痛い。
見知らぬ屋敷なのかな?
畳の上のお布団で一人ぬおおおおおっと痛みに悶えているとガラッと襖が開いた。
「あ、起きてる」
「何だこの白い頭」
「僕に向かってそんな事言うのお嬢と傑くらいだぜ?」
「知るかよぉ……誰だよお嬢とすぐるぅぅう……」
痛みでそれどころじゃないんだ、こっちは!!
ジンジンイライラ!!
痛みに腹立ってきたが、八つ当たりは良くないので耐える。
まじで昨日の私何した!?と思い出そうとするが、柄シャツに追い掛けられた記憶までしかない。
「あれ?お嬢の友達じゃねーの?」
「誰だよお嬢……むしろここどこだよ」
「あ、そーだ!僕聞きたいことあったんだけどさー」
「後にしてくんない!?むしろ言葉のキャッチボールしろよ!!」
何一つ受け答え返って来ないんだけど!?
何なのこの白髪!!
目の前でふわふわしやがって……撫でくりまわすぞ!!
そんな気持ちはあるが、とにかくジンジンイライラ。いてぇ。
動いても黙っていても痛いって何事?と思っていたら、また誰か入って来た。
「起きたんだね」
「誰だよ!!」
「おや?覚えていないのかい?」
「どちら様!?」
「元気だね。腕や足の痛みはどうだい?」
「最悪だよコンチクショォ!!」
「悟、痛み止め渡したんじゃないのかい?」
「あ、忘れてた」
「何しに来たんだ白髪ぁっ!!」
思わず叫んだ私、悪くないよね?
「僕の優しさを白髪呼びするなんてひっどーい。痛み止めあげないよ?」
「悟」
「欲しかったら三回回ってワンってしてごらん?」
にやにやと口元に笑みを浮かべる白髪。
え?何なの?
くれないの?
三回回ってワンって何だよ?
呆れはするものの、止めないハーフアップのお団子頭。
おい、その変な前髪引きちぎるぞ?
そこ引っ張って三つ編みするぞ?
「ほら、おねだりは?」
サングラスの隙間から空色の瞳がにたにたと笑っている。
何だかそのニヤケ面が腹立ったのでそっぽを向く。
「あれ?いらないのかい?」
「いらないの?」
何だか頭がぼーっとしてきたし、痛いし、腹立つしで涙が出てくる。
泣いてる、なんて知られたくなくて布団を被るが白髪がグイグイと引っ張ってくる。
「ねーねー?こっち向いてよ」
「悟、薬置いて置きなよ。私達も仕事に行かなきゃ」
「だって僕聞きたいことあるし」
「困ったね」
「あ、そーだ」
布団が剥ぎ取られたかと思ったら、首を変な方向へ無理矢理向けられる。
文句を言おうと口を開けばぬるりとした何かと共に口を塞がれた。
目の前には空色の瞳。
生温い水と共に口の中に錠剤を流し込まれ、抵抗しようとしたが鼻を摘ままれて思わず飲み込む。
飲み込んだ瞬間離された唇と鼻に、空気を吸い込み過ぎて噎せこんだ。
「あのさー、君さ」
「あ……悟、ヤバイ」
「何?傑」
「何してんだクズ共」
ブリザードを背負った硝子ちゃんの登場に、場の空気が凍った。
硝子ちゃんは目の前の大男二人組に拳骨を落とし、正座させた。
今は私の横になっているお布団の目の前で煙管を堪能しながら胡座で座っている美女……あれ?こちら私の硝子ちゃんだよね?
「私の硝子ちゃんが美人過ぎて似合う……」
「ははっ、頭大丈夫か?」
「ポヤポヤぼーっとする」
「……熱、出てきてるな」
額に手を当てられると、硝子ちゃんの手が冷たくて気持ちがいい。
ぼーっとしていると、タオルと水桶を持ってきた……眼鏡の冴えない人から受け取り、硝子ちゃんが額にタオルを乗せてくれる。
「きもちぃ……」
「悪かった」
「んー?」
「巻き込んで悪かったよ」
「何が?」
硝子ちゃん曰く、硝子ちゃんはここら辺一帯を取り仕切る夜蛾組の後継者らしい。
血の繋がりは無いものの、昔色々あって組長に恩義があるらしい。
現組長は硝子ちゃんを後継者として継がせるつもりは無いものの、周りが勝手に盛り上がってしまい後継者候補としてその筋の人達には名を知られていると。
硝子ちゃん本人としては医者の免許を取り、組の主治医として役に立ちたいと大学に通っているのだが……
「すまない。信じられないよな」
「………」
「今回、名前と居て気が抜けていた。
本来ならば私が関わるべきじゃなかったのに……本当にすまない。
治療費は全て此方で受け持つ。迷惑をかけた礼もする。
巻き込んで怪我までさせて……本当に」
深々と頭を下げる硝子ちゃん。
頭がポヤポヤするし、まだジンジン痛むから頭の処理に時間がかかる。
えーっと、つまり……
「硝子ちゃんは極道の女だった?」
「……今そこの話じゃない」
「つまり硝子ちゃんは赤いジャージでツインテール?」
「何の話だ」
「髪ゴム外したら真の力を発揮出来たから私……余計なお世話だった?」
「一度変な方向から戻って来い」
私の脳裏に拳を避けて柄シャツ集団をばったばったとなぎ倒す硝子ちゃんがいる。
ヤバイ。格好いいじゃないか!!
「好きです」
「伊地知、熱冷ましも持ってこい」
「はいっ!!」
「硝子ちゃん煙管似合うねぇ」
「煙草の方がいい」
「今度着物姿で煙管咥えた写真送ってよ」
「……いや、もう連絡はしない」
「何で?」
「住む世界が違う人間を巻き込む事は出来ない」
硝子ちゃんからの拒絶。
何かを耐えるようにうつ向く硝子ちゃん。
「すまない。
名前と居るのが楽しくて……けど、もう関わらないから」
「やだよ」
「名前」
「私は硝子ちゃんと友達になりたい。
家が〜とか、組が〜とか関係無いよ」
「だがっ」
「そっちの世界のルールはよくわからないけど……昨日硝子ちゃんと話しててもっと知りたくなった。
私は硝子ちゃんを嫌いにならないし、今も私を心配してくれている硝子ちゃんから離れたいなんて思えないんだ」
よしよし、と指通りのいい滑らかな髪をすく。
「どんな硝子ちゃんでも私は知りたいし、一緒に居たいし、もっと話したいよ」
「……名前」
「だから、遠ざけないで?」
薬が効いてきたのか痛みが減っていく。
起き上がって硝子ちゃんを抱き締めた。
「……後悔するぞ」
「美人の為の後悔なんて役得だね!」
クスリ、と静かに笑う硝子ちゃん。
やったね、美女の友人枠ゲットだぜ!!
「お嬢と仲良くなってるとこ悪いけど僕ともお話してよ」
「うごあっ!?」
グギィッ、って曲がっちゃいけない方向に首曲げられたんだけど!?
目の前には白髪と空色の瞳。
思わず右指二本が唸ったのは仕方がない。
「んニャロォッ!!」
「うわ、女の子が目潰し良くないよ」
「止めるな!受け止めろ!!」
「やだよ。受け止めるならそのおっぱいがいい」
「悟、獣の胸をまさぐっても猿の胸は猿だよ?」
「人の事猿呼ばわりしてんじゃねーよ前髪!!!デコに黒マジックででけぇ黒子描いてやろうか!!」
「口汚い猿だねぇ」
「キミさぁ、こないだ空飛んでたよね」
アタマダイジョウブカナ?
何なんだこの失礼な白黒は。
いくら硝子ちゃんの知り合いでも許せん。
「弱い奴がナイフ持っても弱いままで後片付け面倒だなーって思ってたらキミが空から降ってきて踏み台にしたから助かったんだよね!」
「あぁ、あの時の猿か」
「まさかお嬢と知り合いだったなんて!!
ねぇねぇ、あれってパルクールってやつ?何で出来るの?」
「悟だってあれくらい軽々出来るだろ?」
「出来るけどたかが一般人があの状況で人踏み潰して平気な顔していられるって相当イカレてるよ!」
ケタケタ笑いながら距離を詰めてくる白髪。
やめろ、近寄るな。
「ねぇ、僕キミに興味持っちゃった」
「お断りします」
「僕のになってよ」
「お断りします」
「僕上手いよ?一度知ったら離れられなくなるからさ」
「飽きたら風俗行きだけどね」
「傑、しー」
硝子ちゃんを見る。
ゴミを見る目をしていた。
しかし助けてくれる気はないらしい。なんでや。
「悟のゲテモノ好きには困ったね」
「おい、ちょいちょいお前さっきから腹立つ前髪だな。剃るぞ」
「すまない。懐に入れた人間以外猿にしか見えなくて。
硝子を守ってくれたのには感謝しているけど、まだ耳と口元の猿さが抜けていないキミを信用するにはちょっと……」
「アンタの世界どんな風に見えてんの?眼科と精神科行けよ」
「傑とばっかじゃなく僕と話せよ」
「ヤンデレ予備軍かよ。寂しん坊はおしゃぶりでもしてな」
頭がハイになっていた。
だって熱あったし、色々あったし。
こう……気分がリンボーダンスからのカーニバルだったんだ。
「ねーねーねーねー」
「っせーわ、白髪ぁぁあああっ!!!
何でもかんでもお前の思うように人生進むと思うな!!女はいつでもお前の使い捨てティッシュじゃねーんだよ!!出したいもん出してスッキリしたいならお得意の風俗なり右手左手と仲良ししながら楽しんでろ!!
私は硝子ちゃんをよしよしペロペロしながらハスハス匂いを嗅いでお泊まりしながら友情を深め合いたいんだ!!硝子ちゃんが美女だからもっとお近づきになりたいんだっ!!お前のようなクソニート侍みたいな甘党代表の主人公みたいな奴じゃなく!!私は!!エキゾチックなつり目の筋肉がある細マッチョのお兄さんとイチャイチャしたいんだ!!髪が長かったら尚良し!!」
「すまない、私は猿とどうこうする気はない」
「は?勘違いはよしこちゃん。
誰がお前を選ぶと言った?確かにお前の方が私の好みのタイプではあるが、そもそも性格がクソな時点で無しだよ無し。なんで全国の女性がお前を選ぶと思うんだ?おモテ自慢か?だが残念だったな……解釈違いでーーーっす!!」
ベロベロバァ、と舌を出してやる。
ポカーンとすり二人に鼻で笑ってやるオプション付きだ。
「………ははっ!!
凄いな、名前。
このクズ共相手にそんな啖呵切れるなんて」
「いやん、こんな私は嫌い?」
「好き。面白い」
「私も硝子ちゃん好き。いっぱいしゅきぴ」
投げキッスを何度もしていると、首に腕が回る。
「退け、白髪」
「僕こんな扱い初めて」
「良かったな、退け」
「余計興味出ちゃった」
「お断り申し上げます」
ケタケタ笑う声が頭に響く。
「……驚いたよ。私達相手にそんな事言う奴がいるなんて」
「ね!
普通なら海に沈めるところだけどお嬢の友達だからな」
「硝子ちゃんの為なら例え下半身が魚となっても愛を囁きに行くよ」
「馬鹿じゃん」「馬鹿なんだね」
何度も言おう。
この時の私はハイになっていた。
そしてアホだった。
「馬鹿で結構。
硝子ちゃんの隣に居るためなら例えどんな野郎が相手でも怯まない」
「……本物の馬鹿だな」
「好きになった友達がたまたま漫画みたいなお家だっただけ。
お家事情ごときでヘタレる私じゃないわ!」
えっへん、と胸を張ってドヤ顔かましたあと……私は気を失った。
熱が限界突破したらしい。
そして再び目を覚ますと
「おはよ」
白髪が半裸で添い寝していた。
なんだこの状況。
そっと目を閉じたが、再び目を開けても悪夢は変わらない。
「僕、あんなこと言われたの初めてだったから……僕の初めて奪った記念に責任取ってよ」
「お断り申し上げます」
「遠慮しないで?あぁ、浮気はしないよ?」
「お断り申し上げます」
「性欲吐き出すための行為は浮気じゃないよね?」
「お断り、申し上げ、ますっ!!」
布団を蹴り飛ばし、襖を開けて走り出す。
出口はどこだ!!?
ここはどこだ!?
なにが起こっているんだ!!?
老化を猛ダッシュするが、後ろから同じように笑顔で追いかけてくる白髪。
「ついてくんなっ!!」
「病み上がりで元気いいね。……あまり元気が良すぎると絞めたくなる」
「怖っ!!怖いわっ!!」
捕まったらヤバい。
本能が告げている。
コーナーを柱を蹴りつけながら曲がった先に……前髪が。
笑顔で捕獲される私。
「朝から元気だね」
「は、離せっ!!」
「傑ちょーだい?」
「私が捕まえた猿だから私が躾るよ」
「は?」「あ?」
頭の上でバチバチと不穏な空気を醸し出す二人。
周りに助けを!!と視線を配るが……厳つい兄ちゃん達が慌てた様子で
五条さんと夏油さんがヤバい!!
お嬢呼んでこい!
全員待避!!巻き込まれるぞ!!
などと叫んでいる。
助けて!私、一般人よぉっ!!!
………シカトされた。
「オマエら何してる」
「やぁ、硝子」「おはよ、お嬢」
「硝子ちゃぁぁああああんっっ!!」
救世主!!!神は私を見捨てなかった!!
硝子ちゃんの後ろにササッと避難するものの……なぜかガシッと腕を捕まれる。
「………硝子さん?」
「さっさと逃げればかったのに……馬鹿だな、
名前」
「えーっと……?」
怪しく笑う硝子ちゃん。
その後ろの白黒も同じように笑っている。
「「「逃がさない」」」
拝啓、昨日や一昨日の私へ。
パルクールで近道するな。
美女を口説くな。
そもそも寝坊するな。
判断が遅い!!と脳内の鱗滝さんが往復ビンタしているが、それでも脳が回らない。
〜美女を口説いたらヤベェのに執着された〜
次回 通行人、一般人から遠ざかるの巻
あとがき
続く予定はありませんwww
最近ヤパロを見てやりたくなってしまった。
通行人のテンションでヤパロってヤバい方向にしかいかない気がする。
一発アウトだよ!!!
しかしこれはパロディ!!!妄想は自由だぁっ!!
設定がいかしきれていなくても許して貰おう。
うむ、私にヤパロは厳しかった!!(笑)
ヤベェ三人組から逃げられない通行人。