呪縛
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※男尊女卑表現があります。
※女性の尊厳を下に見下す表現があります。
これはあくまでも妄想と二次創作とご理解を頂ける方のみどうぞ
「…………チィッ」
入学から三月は経つというのに婚約者から、1度も連絡が無い。
禪院直哉は苛つきを抑えきれず舌打ちをした。
禪院直哉には幼い頃から婚約者がいる。
己の血を絶やさず、己の家の相伝を受け継がせていく義務がある。
御三家の一つとあればその古き風習は今も色濃く受け継がれていて禪院直哉にとって"女"とは禪院家の血を術式を遺す為の胎でしかない。
どんなに強くても男に敵わないのが女。
男より上に立とうとする意味なんて無い。
御三家の血を引く女なら相伝の子を産む価値の素晴らしさをわかっているはず。ならば、強さよりも呪霊を祓うよりも己の立場と価値を見違えてはならない。
愛や恋で相伝が受け継ぐわけじゃない。
そんなもので受け継がれているのなら苦労などしないのだから。
だから、婚約者に愛などない。
子を産めなければより多くの妾を取り、好きでもない色々な女を抱かねばならない……出来るまで抱かなければいけないなんて男の方が地獄なのに。
禪院直哉は幼き頃からそう考えていた。
数多くの見合い写真を並べられ、まだ精通も出来ていない年頃から教え込まれた禪院家の常識。
自分もまた、子を作る為の道具でしかない。
数ある種の一人。そしてこれから種を撒く一人。
恋など、愛などなく勝手に決められる婚約者など直哉にとっては玩具の一つでしかない。
ならば、楽しめる玩具くらい自分好みのものがいい……そう思って選んだ一人。
……だった、はずだった。
実際目の当たりにした時……直哉は衝撃を受けた。
たいしてまともに見ず、その時気に入った顔で選んだ女が謁見に来たときわざわざご苦労だな、と馬鹿にしていた。
白い肌、うっすら色付いたピンクの頬、情けない垂れた瞳、さらりとした髪。
好みか好みじゃないか、で言われたらめちゃくちゃ好みだった。
何だか小動物のようにキョロキョロしていて此方を見てはうつ向く。
ーーー虐めたい……いや、可愛がりたい。
直哉の中で今までにないよくわからない感情が芽を出した。
分家にもならない一度禪院と交わっただけの家。血が濃すぎれば可能性は高まるものの、異形を産み出す可能性を考え、遠縁だった者の娘を呼び出した。格上の存在である禪院に不安そうな彼女の両親らを笑顔と口で丸め込み、彼女を手元に置く理由を付けた。
何もわかっていない無垢な名前。
最初は何も伝える気など無かった。
直哉様、直哉様と嬉しそうな顔で近寄り、自分だけがこの家での頼り。
人懐っこくて、笑顔の可愛い名前。
直哉にとって名前の存在はかけがえのないものになっていた。
兄弟すら呪い、蹴落とし、虎視眈々と当主の座を狙う誰も信用などならないこの家の中……唯一、心を許せるような存在だった。
そんな汚い部分など名前には見せたく無かったし、知って抜け出せず汚れてしまうのは嫌だった。
自分の見目の良さを自覚していたので、婚約者を大事に囲うのを良しとしない飢えた女達が名前に何かしようと企むのであれば、事前に潰した。
ーーあの子を汚してええのは俺だけや。
無垢に笑い、醜い心を隠す自分を知らず、一心に信じて近寄ってくれる名前がただ愛おしかった。
なのにっ!!!!
「随分と毛色の違うのを囲ってんのか。
お嬢ちゃん、せいぜい気をつけろよ。
この家は腐ってるからオマエみてーな純情の塊には毒だ」
「何しとんの」
なぜ、その手で俺のに触る?
なぜ、その子にいらぬ事を刷り込む?
なぜ、その子を逃がそうとする?
術式も無い、術力も無い、呪霊も見えない。
何も手にしていない禪院家の落ちこぼれがなぜ俺のに触れている?
抑えきれない怒りの中、恐る恐る袖を引く婚約者。
見せたことの無い自分の姿に戸惑っているのがわかるが、それどころではない。
「何話したん」
「え…っと」
「俺には話せんの?」
普段は可愛らしい姿も今は汚れをつけられたせいか忌々しい。
口ごもる姿に自分に言えないような話でもしているのか?と疑う。
自分に言えない話?
……この子は俺以外の所へ行くのか?
そう思うと怒りで頭が真っ白になった。
「お手手繋いで仲良しか?」
「手……?」
「名前ちゃん、誰の婚約者か自覚あるん?」
彼女の手を掴み、爪を立てる。
痛みに手を引こうとして必死に振り払おうとする姿すらカチンときた。
こんなに大事にしているのに、キミは離れようとしているのか?
「浮気はアカンよ」
「違っ、違います!」
「なら何話とったん?」
「直哉様の……こと、をっ」
「俺?」
「……私が、直哉様に合わないと」
「ふーん」
あぁ、腹が立つ。
周りにの意見など聞かず、自分の言葉だけを信じれば良いのに。
あぁ、腹が立つ。
こんなにも大切にしているのに、自信が無いなんて。
腹が立つ。腹が立つ。
「あの方の手が、努力家の…手をしていた事を」
「は?努力家?」
「は、はい」
「そんなわけないやろ。甚爾くんは禪院なのに呪力も術式も無いどころか見る事すらできん猿や」
「……え?」
「努力したとこで認められん」
人にすら慣れなかった出来損ないを庇うなんて腹が立ち過ぎて笑ってしまう。
自分の婚約者はなんって優しいのだろう?
人ではない奴を人と扱うなんて……
「なーんも無い奴は人ですら無い。
努力したって無駄や」
「直哉様……?」
「名前ちゃんは甚爾くんを笑ったん?」
「そんな!!
あの方の努力はあの方のものです。
笑う必要がどこにありますか?」
「………あ?」
「直哉様……どうして笑うのですか?
人の努力を笑えるなんて……どうして、そんな」
人の顔を見て怯える名前に、プツンと何かが切れた。
ーーーバシッ
手を出して、しまった……と思った。
謝らなければ、と考えたのも束の間。
怯えた目をして小さくなっている姿に……ゾクゾクとしてしまった。
「名前ちゃん、それ面白ないで」
「直哉、さま……?」
優しく、優しく腐った世界から囲っても限界はくる。
自分の見ていない場所で自分の知らぬ所で腐ってしまうのは嫌だ。
なら
「あーぁ、赤なったなぁ。可哀想に。
けど名前ちゃんが悪いんやで?」
「……私、が?」
自分で壊してしまおうか。
他の誰かを必要としないように。
他の誰かを見ていられないように。
他の所へ行かぬように。
大事にしまって他人に壊されるくらいなら、自分で壊してまた組み立てればいい。
……そうしたら、自分のもの。
「俺が居んのに甚爾くん褒めるなんてアカンやろ?」
「でもっ」
「アカンよ」
痛みに顔をしかめる顔は初めて見る。
泣きそうな顔がこの子はとても可愛らしいから。
「名前ちゃんは俺のお嫁さんやろ?
ならしっかり俺の事だけ見なアカン」
「直哉様……」
「可愛え名前ちゃん。
名前ちゃんは録な術式でも無いし、ウチにはいらん術式やから期待しとらんよ。
名前ちゃんが俺のお嫁さんになるのは胎としてしか脳がないからや。
まぁ、術式ある分マシやと思うで?
俺の子を産むからにはちゃぁんと継いでくれんとな」
一度壊してしまえば後は優しく、優しく。
ゆっくりと作ればいい。
2度と逆らわないように。
2度と離れないように。
例え……2度と輝くような無垢な笑顔を見られなくなったとしても、彼女には俺しかいないのだと分からせる。
「今さら逃がさんよ。
何人か候補は居ったけど同い年の子らの中でも一番マシな面やったから選んだだけ。
代わりなんかまだ居るよ」
俺が見つけた俺だけのもん。
「大丈夫。
ちゃぁんと愛したる。大事にしたるよ。
名前ちゃんが俺の言うこと聞いてくれるなら」
それからの名前は虚ろな顔をしていた。
けど、自分だけを見て頼って離さないでと必死な姿に胸が熱くなる。
他の者が彼女を傷付ければ、必死に耐えていて自分に弱々しく助けを求める姿は気分が良かった。
優しくすればうっとりとした顔で安心する姿が可愛らしくてつい意地悪をしてしまう時もあった。
他の者とは違う、愛していて愛されている関係は気持ち良かった。
気持ちの無い結婚ではなく、自分達は確かにお互いを思いあっていた。
術式は大切だが、今の兄弟の中では自分が一番次期当主として可能性が高い。
ならば、自分の好きな相手と恋愛結婚する事くらい許されるであろうと思っている。
相伝の子を産めなくても、他の女に産ませれば良い。
胎など関係無いくらい、名前を手放す事など考えられない。大切に大事にした。
「名前ちゃん」
「んっ……」
まだ、キスだけ。それほどまでに清い関係。
初めは触れるだけだったのから、今はたまに舌を入れるくらい。
スキンシップに抵抗が無いのか、元々引っ付くのが好きな名前は抱き締めていれば猫のようにすり寄って安心するかのように膝の中に納まり身体の力を抜く。
どこまで嫌がらないのかと嫌がらない範囲で試したが、下着や部屋着をエロい物にしても動きやすい、肌触りがいいという理由で嫌がらなかったから自分と居る時は露出が多い格好に。
スキンシップも多めで肌に触れる事やキスや一緒の布団に寝るまでは許されても、いざ生の胸や下着越しに下を触ろうとすると目尻に涙を溜めながら震えてしがみついてしまうので、可愛いが怖がらせたいわけじゃない。
好きな奴に怯えられながらレイプみたいな事をしたいわけじゃない。
そこはしっかり時間を掛けて触れ合おうと決めたので、未だにキス止まり。
とろんとした顔をしながら必死にしがみついて舌を絡める姿。
唇を離した時に漏れる吐息と、物足りなそうにまた唇を重ねようと背を伸ばす姿。
頬を赤く染め、恥ずかしさに俺の胸元に顔を押し付けてくる姿。
股関に熱が溜まっていくものの、甘やかせてそろそろと顔を上げ、ふにゃふにゃに顔を緩ませて笑う顔を見るのが好き。
早く一つになりたい気持ちはあるものの、義務で抱くのではなく愛されて抱かれるのだとわかって欲しい。
……最初に脅してしまった手前、なかなか前に進めないのも事実。
「直哉様……」
「ん?気持ちええの?」
「……恥ずかしい、です」
「キスくらいで恥ずかしがってたら先に進まんよ?」
「でも、キスだけで……心臓がギュゥッってなるのに」
「………」
ーーーアカン。婚約者が可愛すぎる。
決してヘタレなどではなく、知識が幼い婚約者にこのままでいて欲しくもあり、乱したい気持ちもあり、進めずにいる。
……ヘタレではない。
ーーー今日も俺の婚約者が可愛い。
俺の心もギュゥッってなった。
直哉の為に、と東京に行きたいと言い出した時には驚いたものの、今後の事を考えてくれている名前の気持ちは嬉しかった。
離れたくないと入学式までサボるくらいなら、ちょっと離れて泣きながら帰りたいと言ってくるだろうと思っていた……のに。
いつまで待っても名前から連絡が無い。
本家に定期的に手紙は届いているらしいが、頑張っている報告書のようなもの。
帰りたいと一言あればさっさと転校させるのに、名前は頑張っていた。
……違う!!!
そうじゃない。
いくら直哉の為とはいえ、望んでいたのは自分にすがり付く名前の姿。
まともに話せず孤立して泣いて心の折れた名前を優しく囲うのが直哉の考えていた結果だったのに……それがどうした?
我慢強く、地道な性格なのは知っていたが、まさか名前の真面目さがこんなところで発揮されるのは予想外だった。
しかも、手紙!!!!
わざわざ携帯を持たせたはずなのに、一向に携帯が鳴らない。
同じ機種を持たせ、着信音の設定までして自分の音だけ変えたのに。
何度着信しても、何度メールを送っても返事がない。
「腹立つわぁ」
ガンッ、と教室の壁を蹴る。
イライラする。
携帯を何のために携帯させたかわからない。
「……ん?」
……いや、待て。
名前が東京に行く日、駄々をこねて1日ズラした。
新幹線の時間が迫っても嫌だ嫌だとごねていて、自分も始業式が迫っていた。
面倒な引っ付きに慌ただしく送り出し、自分も高専へ。
……名前に携帯を持たせたか?
あの日を思い出すが、携帯を持たせた記憶が無い。
いやいや、そんな、まさか。
3ヶ月も経って?今さら?
「なぁ、確認して欲しいことあるんやけど」
家に電話をし、女中へと直哉と名前の部屋の中を探させる。
すると直哉の部屋の机から出てきた携帯。
……嘘やん。
そりゃ3ヶ月も連絡が手紙報告になるわけだ。
浮かれていた自分が言えた事ではないが、あまりにも酷い失態。
「……連絡出来ない時点で気付けや、阿保」
もう少し待てば交流戦がある。
去年は京都が勝ったので、開催地は京都だ。
普通ならば、一年などお呼びではない。
2年3年がメインで行われる。
だが、東京の2年や3年は京都に比べて人数が少ないので数合わせに1年が入ってくる可能性が高い。
噂だと、なかなか癖のある1年が揃っているのだとか。
反転術式の使い手が本当にいるのならば、その子が呼ばれて名前が呼ばれないとは限らない。
「楽しみやなぁ」
会ったらどうしようか。
ハグする?キスする?
上手くやっているのをぶち壊すのもいいかもしれない。
お人好しなクラスメートにもわからせなきゃいけない。
「名前……好きや」
俺の大事な子。
俺の大切な子。
「他の奴に尻尾振るんなら躾、必要やろ」
裏切るのは許さない。
「は?名前携帯持ってねぇの?」
「嘘だろ……」
「……いえ、直哉様から頂いたのですが、その…」
「何?変なアプリ入れられてるから使いたくないとか?」
「いえ……使い方教えてくださると約束したまま、どうせ家にいるなら今は使わないってご自分の机にしまわれてしまってそのままなんです」
「「「うわぁ」」」
「バタバタして東京に来てしまったので、そのまま直哉様の机の中かと」
「「「(婚約者)馬鹿じゃん」」」
「……そうですね。気付かなかった私が馬鹿でした」
落ち込む名前を慰めながら、連絡手段が無いのは不便だと頭を悩ませる。
そこで名前の親へと手紙を送り、東京まで足を運んでもらいなんとか携帯の契約を済ませた。
「俺000番ね"悟"で登録完了。ほら」
「じゃあ私001で"硝子"。はい」
「私は002で"傑"だね。親とは交換したのかい?」
「これから…」
一緒に来て選んでくれた三人はすぐに連絡先を登録してくれた。
わざわざ来てくれた父にもそれぞれお礼を言ってくれた。
「いい同級生に恵まれたな」
「……うん。自慢の同級生なの」
照れながらも、同級生を誉められて嬉しくなった名前はへにゃりと顔を緩ませて笑う。
その笑顔に三人それぞれが無言で頭を撫で回した。
娘が気に入られ、仲の良さそうな様子に東京でも上手くやっている姿を見れた父も不安が少し解消された。
「しっかりやるんだぞ。
……皆さん、娘の事をよろしくお願いいたします」
携帯に不慣れな名前に三人は付きっきりで教えた。
「名前の婚約者って馬鹿なのかな?」
「「馬鹿だろ」」
「変態で馬鹿な奴の顔見たいわ」
「そうだね。可愛い子を地獄に叩き落とすようなクズは一度痛い目合えばいいと思うんだ」
「傑ノリノリじゃん」
「そもそも女に手を上げるようなクズは同じ男としてありえない」
「オマエらクズだけど言葉で泣かすもんな」
「やだなー。そんな事無いさ」
「そうそう。俺らは健全だって」
硝子、悟、傑が話す。
今この場に名前はいない。
父親と久々の親子での会話をしているのを三人は少し離れた場所で見守っていた。
「やっと笑うようになったな…」
「まだまだぎこちないけどね」
硝子と傑は控え目に笑う名前を見ていた。3ヶ月程前は笑顔どころかいつも泣き出してしまいそうだったから。
「名前さ、笑ってんのが一番可愛いんだよね」
「どうしたんだい?」
「当たり前の事だろ」
「その当たり前を許されず、泣きそうな顔も可愛いけど……死にそうなレベルで震えながら怯えられる顔より幸せそうに笑った顔がいいと思うわけ」
「「………」」
「何だよその顔」
婚約者よりマシ……。
そう思うものの、悟もなかなかヤバイと引く二人。
「俺、名前の婚約者見たら止めらんねーかも」
「……その時は私も呼んでくれ。喜んで助太刀するよ」
「ボコボコにしても命あるなら治してやるさ」
「ははっ!硝子がいるなら安心して殴れるな」
「そうだね。手加減は必要なさそうだ」
「あの子からまた笑った顔奪うなら容赦なんかいらねーだろ」
やっと、笑ってくれるようになった。
やっと、話してくれるようになった。
まだまだ不安定な部分はあるものの、安心した顔をされながら笑ってくれる姿を奪われたくない。
「まっ!何時会えるかわかんねーけど」
ケラケラ笑っていれば、父親と別れて駆け足で戻ってくる名前。
「転ばないかな?」
「夏油の心配性は何なの?」
「名前って目を離せないから」
「ガキじゃねーんだぞ」
「……あれ?誰かに捕まって…」
見知らぬ男と話していたと思えば、何やら腰に手を回されあらぬ方向へ。
それを見た悟と傑はダッシュで走っていく。
反対側で父親らしき人もダッシュで来ている。
「うわぁ」
男三人に圧力かけられながらすごすご退散した見知らぬ男。
父親が悟と傑へ頭を下げているのに、当の本人はキョトンとしている。
「大変だな」
同級生らの元へ足早に近付く硝子。
保護者2名から危機感を持てと言われているのに頭を傾げる名前へ抱き付いた。
「ほら、帰ろ」
「硝子様」
「硝子、だろ?あ、帰りにコンビニ」
「DVD借りて帰ろうぜ」
「悟、こないだも借りて返して無いんじゃないか?」
「あー、そうだっけ?」
4人で邪魔にならないように歩き出す。
「あの、私こないだの続き観たいです」
「どれだっけ?」
「えーっと……口から蛾がいっぱい出てくるあの…」
「名前って意外とグロいの平気だよね」
「作り物ですから……結局は一番怖いのは人かな?と思ってます」
「ポテチとコーラ買って観るか」
「貝紐とお茶がいいです」
「「「ぶはっ!!」」」
学校に戻ってとある報告を聞くまであと……
あとがき
男尊女卑表現すいません。
ご気分を害された方々、まことに申し訳ございません!!
直哉くん視点にしようかと思ったが、方言わからず作文みたいな内容に。
交流戦でボロクソやられて欲しいなー直哉くん。
・携帯渡し忘れたのに八当たってた直哉くん
ただのお茶目さん☆
きっと直哉くんはそんなとこある。
嫉妬から好きな子虐めてゾクゾクしちゃった人。そのまま趣味押し付けてしまったクズ。
相思相愛だと思ってる頭お花畑。
心の中ではいつも呼び捨て。
・お家映画のお供は貝紐とお茶派名前ちゃん
本家だと携帯なんていらなかったからそもそも携帯を携帯しようとか思っていない。
この度、三人から無いの!?となり、購入へ。
久々にお父さんと会ってニッコニコ。
同級生の番号交換と扱い方を教えられニッコニコ。
グロや恐怖映像よりリアルの人間のが怖い。
・お家映画のお供はポテチとコーラ悟くん
000は譲らない。執着心を察して欲しい。
泣かせるならベッドの上で。
やっと普通に笑ってくれる姿にほっとしてる。
守りたい、この笑顔。
保護者(のつもり)。
・お家映画のお供は煙草と酒
仲良くなった順なら001は譲らない。
やっと普通になりつつある癒しを奪われるなら容赦など無い。死なないなら許す、ヤれ。
弱った子犬が懐いてきてニッコリ。
守りたい、この笑顔。
保護者(母)。
・お家映画のお供は友人の反応と酒
私だってもっと早く……っ!!婚約者より上ならいいか、と002。
心配過ぎて目が離せない。ちょっと離れたら連れ去られる現場目撃者1位。
そろそろ首輪必要かな……?わりと真面目に考えている。
やっと笑って話しかけてくれる様子に目頭抑えたくなる。成長して……っ!!
守りたい、この笑顔。
保護者(父)
※女性の尊厳を下に見下す表現があります。
これはあくまでも妄想と二次創作とご理解を頂ける方のみどうぞ
「…………チィッ」
入学から三月は経つというのに婚約者から、1度も連絡が無い。
禪院直哉は苛つきを抑えきれず舌打ちをした。
禪院直哉には幼い頃から婚約者がいる。
己の血を絶やさず、己の家の相伝を受け継がせていく義務がある。
御三家の一つとあればその古き風習は今も色濃く受け継がれていて禪院直哉にとって"女"とは禪院家の血を術式を遺す為の胎でしかない。
どんなに強くても男に敵わないのが女。
男より上に立とうとする意味なんて無い。
御三家の血を引く女なら相伝の子を産む価値の素晴らしさをわかっているはず。ならば、強さよりも呪霊を祓うよりも己の立場と価値を見違えてはならない。
愛や恋で相伝が受け継ぐわけじゃない。
そんなもので受け継がれているのなら苦労などしないのだから。
だから、婚約者に愛などない。
子を産めなければより多くの妾を取り、好きでもない色々な女を抱かねばならない……出来るまで抱かなければいけないなんて男の方が地獄なのに。
禪院直哉は幼き頃からそう考えていた。
数多くの見合い写真を並べられ、まだ精通も出来ていない年頃から教え込まれた禪院家の常識。
自分もまた、子を作る為の道具でしかない。
数ある種の一人。そしてこれから種を撒く一人。
恋など、愛などなく勝手に決められる婚約者など直哉にとっては玩具の一つでしかない。
ならば、楽しめる玩具くらい自分好みのものがいい……そう思って選んだ一人。
……だった、はずだった。
実際目の当たりにした時……直哉は衝撃を受けた。
たいしてまともに見ず、その時気に入った顔で選んだ女が謁見に来たときわざわざご苦労だな、と馬鹿にしていた。
白い肌、うっすら色付いたピンクの頬、情けない垂れた瞳、さらりとした髪。
好みか好みじゃないか、で言われたらめちゃくちゃ好みだった。
何だか小動物のようにキョロキョロしていて此方を見てはうつ向く。
ーーー虐めたい……いや、可愛がりたい。
直哉の中で今までにないよくわからない感情が芽を出した。
分家にもならない一度禪院と交わっただけの家。血が濃すぎれば可能性は高まるものの、異形を産み出す可能性を考え、遠縁だった者の娘を呼び出した。格上の存在である禪院に不安そうな彼女の両親らを笑顔と口で丸め込み、彼女を手元に置く理由を付けた。
何もわかっていない無垢な名前。
最初は何も伝える気など無かった。
直哉様、直哉様と嬉しそうな顔で近寄り、自分だけがこの家での頼り。
人懐っこくて、笑顔の可愛い名前。
直哉にとって名前の存在はかけがえのないものになっていた。
兄弟すら呪い、蹴落とし、虎視眈々と当主の座を狙う誰も信用などならないこの家の中……唯一、心を許せるような存在だった。
そんな汚い部分など名前には見せたく無かったし、知って抜け出せず汚れてしまうのは嫌だった。
自分の見目の良さを自覚していたので、婚約者を大事に囲うのを良しとしない飢えた女達が名前に何かしようと企むのであれば、事前に潰した。
ーーあの子を汚してええのは俺だけや。
無垢に笑い、醜い心を隠す自分を知らず、一心に信じて近寄ってくれる名前がただ愛おしかった。
なのにっ!!!!
「随分と毛色の違うのを囲ってんのか。
お嬢ちゃん、せいぜい気をつけろよ。
この家は腐ってるからオマエみてーな純情の塊には毒だ」
「何しとんの」
なぜ、その手で俺のに触る?
なぜ、その子にいらぬ事を刷り込む?
なぜ、その子を逃がそうとする?
術式も無い、術力も無い、呪霊も見えない。
何も手にしていない禪院家の落ちこぼれがなぜ俺のに触れている?
抑えきれない怒りの中、恐る恐る袖を引く婚約者。
見せたことの無い自分の姿に戸惑っているのがわかるが、それどころではない。
「何話したん」
「え…っと」
「俺には話せんの?」
普段は可愛らしい姿も今は汚れをつけられたせいか忌々しい。
口ごもる姿に自分に言えないような話でもしているのか?と疑う。
自分に言えない話?
……この子は俺以外の所へ行くのか?
そう思うと怒りで頭が真っ白になった。
「お手手繋いで仲良しか?」
「手……?」
「名前ちゃん、誰の婚約者か自覚あるん?」
彼女の手を掴み、爪を立てる。
痛みに手を引こうとして必死に振り払おうとする姿すらカチンときた。
こんなに大事にしているのに、キミは離れようとしているのか?
「浮気はアカンよ」
「違っ、違います!」
「なら何話とったん?」
「直哉様の……こと、をっ」
「俺?」
「……私が、直哉様に合わないと」
「ふーん」
あぁ、腹が立つ。
周りにの意見など聞かず、自分の言葉だけを信じれば良いのに。
あぁ、腹が立つ。
こんなにも大切にしているのに、自信が無いなんて。
腹が立つ。腹が立つ。
「あの方の手が、努力家の…手をしていた事を」
「は?努力家?」
「は、はい」
「そんなわけないやろ。甚爾くんは禪院なのに呪力も術式も無いどころか見る事すらできん猿や」
「……え?」
「努力したとこで認められん」
人にすら慣れなかった出来損ないを庇うなんて腹が立ち過ぎて笑ってしまう。
自分の婚約者はなんって優しいのだろう?
人ではない奴を人と扱うなんて……
「なーんも無い奴は人ですら無い。
努力したって無駄や」
「直哉様……?」
「名前ちゃんは甚爾くんを笑ったん?」
「そんな!!
あの方の努力はあの方のものです。
笑う必要がどこにありますか?」
「………あ?」
「直哉様……どうして笑うのですか?
人の努力を笑えるなんて……どうして、そんな」
人の顔を見て怯える名前に、プツンと何かが切れた。
ーーーバシッ
手を出して、しまった……と思った。
謝らなければ、と考えたのも束の間。
怯えた目をして小さくなっている姿に……ゾクゾクとしてしまった。
「名前ちゃん、それ面白ないで」
「直哉、さま……?」
優しく、優しく腐った世界から囲っても限界はくる。
自分の見ていない場所で自分の知らぬ所で腐ってしまうのは嫌だ。
なら
「あーぁ、赤なったなぁ。可哀想に。
けど名前ちゃんが悪いんやで?」
「……私、が?」
自分で壊してしまおうか。
他の誰かを必要としないように。
他の誰かを見ていられないように。
他の所へ行かぬように。
大事にしまって他人に壊されるくらいなら、自分で壊してまた組み立てればいい。
……そうしたら、自分のもの。
「俺が居んのに甚爾くん褒めるなんてアカンやろ?」
「でもっ」
「アカンよ」
痛みに顔をしかめる顔は初めて見る。
泣きそうな顔がこの子はとても可愛らしいから。
「名前ちゃんは俺のお嫁さんやろ?
ならしっかり俺の事だけ見なアカン」
「直哉様……」
「可愛え名前ちゃん。
名前ちゃんは録な術式でも無いし、ウチにはいらん術式やから期待しとらんよ。
名前ちゃんが俺のお嫁さんになるのは胎としてしか脳がないからや。
まぁ、術式ある分マシやと思うで?
俺の子を産むからにはちゃぁんと継いでくれんとな」
一度壊してしまえば後は優しく、優しく。
ゆっくりと作ればいい。
2度と逆らわないように。
2度と離れないように。
例え……2度と輝くような無垢な笑顔を見られなくなったとしても、彼女には俺しかいないのだと分からせる。
「今さら逃がさんよ。
何人か候補は居ったけど同い年の子らの中でも一番マシな面やったから選んだだけ。
代わりなんかまだ居るよ」
俺が見つけた俺だけのもん。
「大丈夫。
ちゃぁんと愛したる。大事にしたるよ。
名前ちゃんが俺の言うこと聞いてくれるなら」
それからの名前は虚ろな顔をしていた。
けど、自分だけを見て頼って離さないでと必死な姿に胸が熱くなる。
他の者が彼女を傷付ければ、必死に耐えていて自分に弱々しく助けを求める姿は気分が良かった。
優しくすればうっとりとした顔で安心する姿が可愛らしくてつい意地悪をしてしまう時もあった。
他の者とは違う、愛していて愛されている関係は気持ち良かった。
気持ちの無い結婚ではなく、自分達は確かにお互いを思いあっていた。
術式は大切だが、今の兄弟の中では自分が一番次期当主として可能性が高い。
ならば、自分の好きな相手と恋愛結婚する事くらい許されるであろうと思っている。
相伝の子を産めなくても、他の女に産ませれば良い。
胎など関係無いくらい、名前を手放す事など考えられない。大切に大事にした。
「名前ちゃん」
「んっ……」
まだ、キスだけ。それほどまでに清い関係。
初めは触れるだけだったのから、今はたまに舌を入れるくらい。
スキンシップに抵抗が無いのか、元々引っ付くのが好きな名前は抱き締めていれば猫のようにすり寄って安心するかのように膝の中に納まり身体の力を抜く。
どこまで嫌がらないのかと嫌がらない範囲で試したが、下着や部屋着をエロい物にしても動きやすい、肌触りがいいという理由で嫌がらなかったから自分と居る時は露出が多い格好に。
スキンシップも多めで肌に触れる事やキスや一緒の布団に寝るまでは許されても、いざ生の胸や下着越しに下を触ろうとすると目尻に涙を溜めながら震えてしがみついてしまうので、可愛いが怖がらせたいわけじゃない。
好きな奴に怯えられながらレイプみたいな事をしたいわけじゃない。
そこはしっかり時間を掛けて触れ合おうと決めたので、未だにキス止まり。
とろんとした顔をしながら必死にしがみついて舌を絡める姿。
唇を離した時に漏れる吐息と、物足りなそうにまた唇を重ねようと背を伸ばす姿。
頬を赤く染め、恥ずかしさに俺の胸元に顔を押し付けてくる姿。
股関に熱が溜まっていくものの、甘やかせてそろそろと顔を上げ、ふにゃふにゃに顔を緩ませて笑う顔を見るのが好き。
早く一つになりたい気持ちはあるものの、義務で抱くのではなく愛されて抱かれるのだとわかって欲しい。
……最初に脅してしまった手前、なかなか前に進めないのも事実。
「直哉様……」
「ん?気持ちええの?」
「……恥ずかしい、です」
「キスくらいで恥ずかしがってたら先に進まんよ?」
「でも、キスだけで……心臓がギュゥッってなるのに」
「………」
ーーーアカン。婚約者が可愛すぎる。
決してヘタレなどではなく、知識が幼い婚約者にこのままでいて欲しくもあり、乱したい気持ちもあり、進めずにいる。
……ヘタレではない。
ーーー今日も俺の婚約者が可愛い。
俺の心もギュゥッってなった。
直哉の為に、と東京に行きたいと言い出した時には驚いたものの、今後の事を考えてくれている名前の気持ちは嬉しかった。
離れたくないと入学式までサボるくらいなら、ちょっと離れて泣きながら帰りたいと言ってくるだろうと思っていた……のに。
いつまで待っても名前から連絡が無い。
本家に定期的に手紙は届いているらしいが、頑張っている報告書のようなもの。
帰りたいと一言あればさっさと転校させるのに、名前は頑張っていた。
……違う!!!
そうじゃない。
いくら直哉の為とはいえ、望んでいたのは自分にすがり付く名前の姿。
まともに話せず孤立して泣いて心の折れた名前を優しく囲うのが直哉の考えていた結果だったのに……それがどうした?
我慢強く、地道な性格なのは知っていたが、まさか名前の真面目さがこんなところで発揮されるのは予想外だった。
しかも、手紙!!!!
わざわざ携帯を持たせたはずなのに、一向に携帯が鳴らない。
同じ機種を持たせ、着信音の設定までして自分の音だけ変えたのに。
何度着信しても、何度メールを送っても返事がない。
「腹立つわぁ」
ガンッ、と教室の壁を蹴る。
イライラする。
携帯を何のために携帯させたかわからない。
「……ん?」
……いや、待て。
名前が東京に行く日、駄々をこねて1日ズラした。
新幹線の時間が迫っても嫌だ嫌だとごねていて、自分も始業式が迫っていた。
面倒な引っ付きに慌ただしく送り出し、自分も高専へ。
……名前に携帯を持たせたか?
あの日を思い出すが、携帯を持たせた記憶が無い。
いやいや、そんな、まさか。
3ヶ月も経って?今さら?
「なぁ、確認して欲しいことあるんやけど」
家に電話をし、女中へと直哉と名前の部屋の中を探させる。
すると直哉の部屋の机から出てきた携帯。
……嘘やん。
そりゃ3ヶ月も連絡が手紙報告になるわけだ。
浮かれていた自分が言えた事ではないが、あまりにも酷い失態。
「……連絡出来ない時点で気付けや、阿保」
もう少し待てば交流戦がある。
去年は京都が勝ったので、開催地は京都だ。
普通ならば、一年などお呼びではない。
2年3年がメインで行われる。
だが、東京の2年や3年は京都に比べて人数が少ないので数合わせに1年が入ってくる可能性が高い。
噂だと、なかなか癖のある1年が揃っているのだとか。
反転術式の使い手が本当にいるのならば、その子が呼ばれて名前が呼ばれないとは限らない。
「楽しみやなぁ」
会ったらどうしようか。
ハグする?キスする?
上手くやっているのをぶち壊すのもいいかもしれない。
お人好しなクラスメートにもわからせなきゃいけない。
「名前……好きや」
俺の大事な子。
俺の大切な子。
「他の奴に尻尾振るんなら躾、必要やろ」
裏切るのは許さない。
「は?名前携帯持ってねぇの?」
「嘘だろ……」
「……いえ、直哉様から頂いたのですが、その…」
「何?変なアプリ入れられてるから使いたくないとか?」
「いえ……使い方教えてくださると約束したまま、どうせ家にいるなら今は使わないってご自分の机にしまわれてしまってそのままなんです」
「「「うわぁ」」」
「バタバタして東京に来てしまったので、そのまま直哉様の机の中かと」
「「「(婚約者)馬鹿じゃん」」」
「……そうですね。気付かなかった私が馬鹿でした」
落ち込む名前を慰めながら、連絡手段が無いのは不便だと頭を悩ませる。
そこで名前の親へと手紙を送り、東京まで足を運んでもらいなんとか携帯の契約を済ませた。
「俺000番ね"悟"で登録完了。ほら」
「じゃあ私001で"硝子"。はい」
「私は002で"傑"だね。親とは交換したのかい?」
「これから…」
一緒に来て選んでくれた三人はすぐに連絡先を登録してくれた。
わざわざ来てくれた父にもそれぞれお礼を言ってくれた。
「いい同級生に恵まれたな」
「……うん。自慢の同級生なの」
照れながらも、同級生を誉められて嬉しくなった名前はへにゃりと顔を緩ませて笑う。
その笑顔に三人それぞれが無言で頭を撫で回した。
娘が気に入られ、仲の良さそうな様子に東京でも上手くやっている姿を見れた父も不安が少し解消された。
「しっかりやるんだぞ。
……皆さん、娘の事をよろしくお願いいたします」
携帯に不慣れな名前に三人は付きっきりで教えた。
「名前の婚約者って馬鹿なのかな?」
「「馬鹿だろ」」
「変態で馬鹿な奴の顔見たいわ」
「そうだね。可愛い子を地獄に叩き落とすようなクズは一度痛い目合えばいいと思うんだ」
「傑ノリノリじゃん」
「そもそも女に手を上げるようなクズは同じ男としてありえない」
「オマエらクズだけど言葉で泣かすもんな」
「やだなー。そんな事無いさ」
「そうそう。俺らは健全だって」
硝子、悟、傑が話す。
今この場に名前はいない。
父親と久々の親子での会話をしているのを三人は少し離れた場所で見守っていた。
「やっと笑うようになったな…」
「まだまだぎこちないけどね」
硝子と傑は控え目に笑う名前を見ていた。3ヶ月程前は笑顔どころかいつも泣き出してしまいそうだったから。
「名前さ、笑ってんのが一番可愛いんだよね」
「どうしたんだい?」
「当たり前の事だろ」
「その当たり前を許されず、泣きそうな顔も可愛いけど……死にそうなレベルで震えながら怯えられる顔より幸せそうに笑った顔がいいと思うわけ」
「「………」」
「何だよその顔」
婚約者よりマシ……。
そう思うものの、悟もなかなかヤバイと引く二人。
「俺、名前の婚約者見たら止めらんねーかも」
「……その時は私も呼んでくれ。喜んで助太刀するよ」
「ボコボコにしても命あるなら治してやるさ」
「ははっ!硝子がいるなら安心して殴れるな」
「そうだね。手加減は必要なさそうだ」
「あの子からまた笑った顔奪うなら容赦なんかいらねーだろ」
やっと、笑ってくれるようになった。
やっと、話してくれるようになった。
まだまだ不安定な部分はあるものの、安心した顔をされながら笑ってくれる姿を奪われたくない。
「まっ!何時会えるかわかんねーけど」
ケラケラ笑っていれば、父親と別れて駆け足で戻ってくる名前。
「転ばないかな?」
「夏油の心配性は何なの?」
「名前って目を離せないから」
「ガキじゃねーんだぞ」
「……あれ?誰かに捕まって…」
見知らぬ男と話していたと思えば、何やら腰に手を回されあらぬ方向へ。
それを見た悟と傑はダッシュで走っていく。
反対側で父親らしき人もダッシュで来ている。
「うわぁ」
男三人に圧力かけられながらすごすご退散した見知らぬ男。
父親が悟と傑へ頭を下げているのに、当の本人はキョトンとしている。
「大変だな」
同級生らの元へ足早に近付く硝子。
保護者2名から危機感を持てと言われているのに頭を傾げる名前へ抱き付いた。
「ほら、帰ろ」
「硝子様」
「硝子、だろ?あ、帰りにコンビニ」
「DVD借りて帰ろうぜ」
「悟、こないだも借りて返して無いんじゃないか?」
「あー、そうだっけ?」
4人で邪魔にならないように歩き出す。
「あの、私こないだの続き観たいです」
「どれだっけ?」
「えーっと……口から蛾がいっぱい出てくるあの…」
「名前って意外とグロいの平気だよね」
「作り物ですから……結局は一番怖いのは人かな?と思ってます」
「ポテチとコーラ買って観るか」
「貝紐とお茶がいいです」
「「「ぶはっ!!」」」
学校に戻ってとある報告を聞くまであと……
あとがき
男尊女卑表現すいません。
ご気分を害された方々、まことに申し訳ございません!!
直哉くん視点にしようかと思ったが、方言わからず作文みたいな内容に。
交流戦でボロクソやられて欲しいなー直哉くん。
・携帯渡し忘れたのに八当たってた直哉くん
ただのお茶目さん☆
きっと直哉くんはそんなとこある。
嫉妬から好きな子虐めてゾクゾクしちゃった人。そのまま趣味押し付けてしまったクズ。
相思相愛だと思ってる頭お花畑。
心の中ではいつも呼び捨て。
・お家映画のお供は貝紐とお茶派名前ちゃん
本家だと携帯なんていらなかったからそもそも携帯を携帯しようとか思っていない。
この度、三人から無いの!?となり、購入へ。
久々にお父さんと会ってニッコニコ。
同級生の番号交換と扱い方を教えられニッコニコ。
グロや恐怖映像よりリアルの人間のが怖い。
・お家映画のお供はポテチとコーラ悟くん
000は譲らない。執着心を察して欲しい。
泣かせるならベッドの上で。
やっと普通に笑ってくれる姿にほっとしてる。
守りたい、この笑顔。
保護者(のつもり)。
・お家映画のお供は煙草と酒
仲良くなった順なら001は譲らない。
やっと普通になりつつある癒しを奪われるなら容赦など無い。死なないなら許す、ヤれ。
弱った子犬が懐いてきてニッコリ。
守りたい、この笑顔。
保護者(母)。
・お家映画のお供は友人の反応と酒
私だってもっと早く……っ!!婚約者より上ならいいか、と002。
心配過ぎて目が離せない。ちょっと離れたら連れ去られる現場目撃者1位。
そろそろ首輪必要かな……?わりと真面目に考えている。
やっと笑って話しかけてくれる様子に目頭抑えたくなる。成長して……っ!!
守りたい、この笑顔。
保護者(父)