呪縛
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「名前ちゃん、おいで」
「はい、直哉様」
直哉様は私をペットのように愛でるのが好き。
気が向いた時に呼ばれ、抱っこしながら撫でて離したいことを話す。
内容は大概悪口とか自慢話や禪院の誰かの話。話している途中で時々機嫌が悪くなる時もあり、そのまま床に叩きつけられたり、髪を引っ張られる。
普段は膝に乗せられ、髪を整えてくれる。
直哉様が選んだ香りの良い香油を使うと髪がとてもサラサラになるし、匂いがいい。
直哉様に髪を触られている時は気持ちよくなって眠ってしまう事もある。
そうするとクスクス笑いながら抱き締めて一緒に寝ることもあれば、忙しい直哉様はお仕事に行ってしまうので寝台に寝かせられている。
私が間違えなければ直哉様は優しい。
直哉様が正しいから、私は怒られる。
口を出さず、直哉様の好きなようにさせておけばあまり酷くならない事がわかった。
勝手な事はせず、全て直哉様の確認を取ってから。
誰かに話しかけられても口を閉じ、直哉様の許可を貰う。
私が考える事は良くない事。
私がやる事は悪い事。
直哉様の許可を取り、直哉様の言葉通りに動けばいい。
私の意思など必要無い。
胎に意思など必要無い。
せいぜい飽きられないよう、直哉様の気持ちを繋ぎ止めておかなければいけない。
胎になる前に飽きられてしまえば……私という存在に意味は無い。
「名前ちゃんは何しとったん?」
「いつものようにお庭のお手入れです」
「飽きんなぁ」
「はい。私に出来るのはそのくらいなので」
「名前ちゃんが楽しいならええけど」
「……暖かくなったら直哉様とお花見したいです」
「あそこで?虫居るやろ」
「駄目ですか?」
「気が向いたらな」
多分直哉様はこの約束を忘れる。
……それでもいい。
直哉様に言っておくのがポイント。
あの庭の手入れをする理由の為に。
記憶力は曖昧だけど、ふとしたときに思い出して気紛れに構ってくださるから。
あの庭があるから、今もまだ心を保っていられる。
あの空色の方にまた来て貰えるように。
今度はもう少し、話せたらいいなと願いを込めて。
あの庭は私の希望だから……。
空色の方と別れてまた季節が一巡り。
「居た」
「空色の……」
「は?空色?」
スタッ、と軽々塀から飛び降りる空色の方。
この方は一体どこから来るのだろう?
今日も直哉様は何かの会合らしい。
私も参加予定だったものの……
「またかよ」
「転んだんです」
「嘘言うな」
優しく私の額に触れる手。
私の額には大きめのガーゼ。
昨日、直哉様が御兄弟と言い争った際、直哉様に飛んで来た物から庇うため前に出たら額に当たった。
傷口の割には思っていたよりも出血が多く大変な思いをした。
直哉様は御兄弟に大変怒っており、事態はより悪化。
傷口は残らないものの……会合には出られなくなり大人しくしているように言われた。
なので、最近置いて頂いたベンチで池の鯉を眺めていたら……空色の方がいらした。
自分の傷じゃないのに、痛々しげに見つめる空色の方。
ゆっくりと触れるか触れないかの位置を手が彷徨う。
「オマエの主人?」
「いいえ。自業自得です」
「……顔は気をつけろ。下手すりゃ失明だろ」
「気をつけます」
回避訓練させてもらえるかな?
どんくさいからって頼めば……。
今なら直哉様の説得も難しくないかもしれない、と頭で考える。
「今日は普通に話すんだな」
「………」
「いきなり黙りかよ」
指摘されて初めて油断していたと口を閉じる。
そんな私の行動にクスリ、と笑って隣に腰を下ろした空色の方。
以前の変顔を此処で何度も思い出しては次会えたら何を話そうかと考えていた。
歳は?名前は?好きなものは?好きなことは?
聞きたいことは沢山ある。
「人来たらまた教えるから話せよ」
「……内緒にして下さいますか?」
「この密会が内緒だろ」
お互いにくすり、と笑った。
……綺麗。
今年はお花を植えて良かった。
一人で植えていた時はあまり綺麗には見えなかったのに。
この方と居たら、世界がキラキラして見える。
キラキラの中に少しでも私が居られるなんて……頑張って良かった、と思えた。
「嬉しい?」
「え……」
「笑った顔初めて見た」
目を細めて頬に触れる手。
私よりも白くて大きくてすべすべしている。
すりすり、と頬を撫でられるのが気持ちよくて思わず自分からすり寄ってしまった。
「猫かよ」
「ペットみたいなものですから」
「女中じゃねぇの?」
「とある御方の婚約者ですが……名ばかりのものです。
健康に気を付けて、主人に飽きられないよう寵愛を受けなければ……」
芸も無く、役立つ術式も無く、頭も弱く、特技も無い。
何も無い私は直哉様の寵愛を打ち切られた瞬間終わってしまう。精一杯飽きられぬ努力を続けるには……ペットのように甘えて直哉様の気を引くしかない。
「私の価値など胎としての能しか無いのですから」
「……名前ってソイツの事好きなの?」
「はい。好きです」
「扱い雑なのに?」
「私が駄目なんです。私が悪い子だから……怒られて当然、なんです」
「……止め!今日はそんな話しに来たんじゃねーの!!」
しんみりとした空気を払うように、声を上げる。
「オマエ甘いの好き?」
「…はい?」
「ほら。手」
手を出せ、と言われて出せば懐から小さな巾着を取り出して私の手のひらへ。
何事かと頭を傾げればわざわざ巾着を開いてくれる。
ぱらぱら……と手のひらに広がる小さな飴達。
「わあっ!!」
「好きだろ?女ってこんなキラキラしたやつ」
金太郎飴、手鞠飴、金平糖。
手のひらに広がる小さな宝物のような世界。
「ほら、口開けろ」
「え?」
「早く早く、あーん」
急がされ……あ、と口を開けば中に入れられる。
コロコロと舌で転がすと口の中に広がる甘さ。
「美味しい……」
「だろ?やるよそれ」
「でもっ」
「チビ。栄養足りてねーんじゃねぇの?
飴じゃ栄養にはならねぇけど、ちゃんと食え」
「……えっと」
「は?食わせて貰ってねーの?」
「そんなことっ!!」
「好きな物何?」
コロコロ話題が変わるな……。
好きな物……好きな物?なんだろう……。
パッ、と出てこない。
けど、綺麗なものは好き……だが、それは好きな物に入るのだろうか?
具体的な綺麗なものが何か、と聞かれるとわからないが……。
「綺麗な、もの……」
「どんなの?宝石とか?」
「いえ……それも、綺麗ですが……」
宝石は綺麗。
だけど私の手の上では輝いてくれない。
綺麗なもの……。
ふと、空を見て思ったのは
空だけはいつも色褪せず綺麗のまま。
「空……」
「空ぁ?」
「私の手が届かないから……ずっと、綺麗」
手のひらを上に伸ばす。
遠くて、全然掴めない。
「いいなぁ……」
「空、行きてーの?」
「……行って、みたい」
どれだけ広いんだろう。
どれだけ高いんだろう。
どれだけ自由なんだろう。
あの空色に包まれれば……私は少しでも色付けるのかな?
「今は無理だけどさ」
「?」
「連れてってやるよ。空」
にっ、と笑う空色の方。
あぁ、そういえばこの人の瞳も空だったな、と思えばそっと瞳の横に手を伸ばす。
「貴方も、綺麗」
「何それ?告白?」
「?」
「………嘘だろ。今好きな物聞いたのに」
「告白?」
「綺麗なものが好きで、空が好きで、俺も綺麗で……そういや空色って言ってたよな?」
ぐっ、と近寄ってきた顔。
間近で見る瞳は空と星を宝石に閉じ込めてしまったみたい。
「俺の事好きって事かと思ったのに」
「………〜〜〜〜っ!!」
「顔真っ赤」
ケラケラ笑う姿にからかわれたのかと思う。
言われて気付けば、大胆な事を言ってしまっている。
好き、好きだけど違う。
「甘いものは好き?」
「は、はい!」
「俺も好き。しょっぱいのは?」
「好き、です」
「まぁまぁ。辛いの」
「あまり得意では…」
「普通。苦いの」
「……苦手、です」
「普通。好きな動物は?」
「……」
「いねーの?」
「……引かない、ですか?」
「引くような動物って何だよ」
「……ハダカデバネズミ」
「は?」
「ハダカデバネズミ、です」
「わかんね」
ハダカデバネズミ……?ネズミが裸なのかよ?と頭を傾げている。
どこが好きかと聞かれると悩ましいところだが……愛着を持ってしまうのだ。
「今度までに調べとく」
「あまり画像はオススメしません」
「……まじでどんな生き物だよ」
「あ、あの!」
「何?質問?」
「お、お名前!お名前をっ」
「……言わなかったっけ?」
「……言って無い、です」
名前を聞かれはしたが、言われていない。
お互いじっと顔を見つめあう。
「……チッ、もう来た」
「あの……」
「悟。俺の名前覚えてろよ」
「……悟、様」
「様はいらない。またな、名前」
頭を一撫でして塀を越えていく。
ふと、誰かが此方に来る足音に手に持っていた飴を巾着にしまって胸元へ押し込む。
「名前」
「直哉様」
「ここに居ったんか」
「大人しくしていました」
「部屋に居ると思っとったんに」
「此処なら、直哉様と早く会えると思って」
「……俺の事待っとったんか」
「はい」
「ええ子やね。可愛え」
ぎゅっ、と抱き締められて撫でられる。
どうやら今日は大丈夫そう。
「戻るで」
「はい」
もう一度庭を見れば少しだけ色褪せてしまった。
残念……もう少し綺麗な世界を見たかったのに。
また、会いたいな。
また、会えるといいな。
庭先に願いを込めて。
次は何を埋めようか……と考える。
一巡り。
また一巡り。
一年に一度に会えるかどうかの密会。
雨の日で会えない時もあった。
寒い冬の時期に会えた事もあった。
僅かな時間しか会えなくても、それが私にとっての楽しみであり、支えでもあった。
「よっ」
「悟様」
あれから何度目だろう。
幼かった私達は年を越せば高専生となる。
今じゃ見上げても遠い程伸びた身長の悟様。
子供の時は無かった丸いサングラスをするようになり、スラリと伸びた手足はとにかく長い。
直哉様も大きいが、それ以上で首が痛くなる。
悟様が座って私が立つと丁度よく話せる。
「元気そうだな」
「悟様もお変わり無さそうで安心しました」
悟様は多分……偉い方らしい。
本人の口から身分の話をされた事は無いものの、私が会ったことが無いような上層部の方々の名前を上げては文句を言っている。
直哉様も悟様もまだ高専入学前だというのに、呪霊討伐に駆り出されていて忙しいらしい。
私のお菓子で申し訳ないが、不機嫌な悟様にお菓子を渡せば嬉しそうに飛び付く姿が面白くて笑ってしまう。
そんな小さな幸せももうすぐ終わりが来る。
高専に入学すれば寮暮らし。
悟様がこの庭に来ることも無くなるし、私もこの庭に行けなくなる。
悟様は東京の高専へ。
私は京都の高専へ。
年に一度……姉妹高の交流会、というものもあるらしいが2年以上の選抜メンバーのみらしい。
これが、悟様との最後の密会。
思い返せば……不思議な縁だった。
「名前」
「はい?」
「来年高専だろ?東京来いよ」
真剣な眼差し。
悟様のお誘いはとても嬉しい。
出来ることなら、私も悟様と行ってみたい。
自由に……。
でも、そんな上手くいくわけがない。
直哉様が許してくれるわけがない。
「……無理、だよ」
「俺も東京行くし。あと、反転術式の使い手も来るんだってさ」
「……反転、術式の?」
「名前練習してたろ?京都には反転術式の使い手いねーしそれなら東京の方が名前の勉強にもなるだろ」
ここ数年で怪我をどうにか出来ないものかと勉強した反転術式。
何とか成功するようになり、直哉様からとても褒められた。
未熟な反転術式は自分にも他人にも扱える事は出来そうだが、身近に指導者がいない。
手探りで自分の身体で負った傷を治しながらの勉強。自分の身体ならまだいいが、他人に扱うリスクを考えるとなかなか難しく難航していた。
悟様の言葉に気持ちが揺れる。
役立たずの私が出来る事。
「許可……出るかな?」
「例の婚約者には直接言わず親に言えよ。
で、親説得してから名前の婚約者に婚約者の為に反転術式を覚えたいって親から言って貰え。
それで……」
悟様の言葉を信じ、駄目もとで親にお願いしてみた。
直哉様と同じ京都高への入学は決まっていたものの、今さら東京高へ行きたいと我が儘を告げる。
「お願いします、お父さん……っ!!
私、どうしても直哉様の為に東京に来る反転術式の子から勉強したいの。
屋敷の方々にも、その……私が直哉様に甘え過ぎているから、もっとちゃんとしてほしいって言われてしまってるし……
ちゃんと出来るようになったら、京都高に転入するからっ」
「……直哉様には?言ったのかい?」
「……まだ」
「名前は直哉様から離れて本当に平気なのかい?」
「……心細いし寂しいけど、直哉様の役に立ちたいの」
最初は渋られたものの、貴重な反転術式を習得すれば禪院の、直哉様の為にもなると判断してくれた。
「あの、お父さん……お父さんから直哉様に言って貰える?」
「どうした?」
「私からだと……いつまでも直哉様に言えなさそうだから。
決心が鈍っちゃいそうで」
「名前は本当に直哉様に惚れているんだな。わかった、伝えるよ」
親からのお願いとして直哉様に申告すればいい顔はされなかったものの、両親の前では比較的良心的な直哉様は許可をくれた。
「なんで名前ちゃん京都やないの?」
ムスッとして私の膝に寝そべる直哉様。
許可はくれたものの、思い出しては不機嫌そうにしている。
「ごめんなさい……私一人では勉強がはかどらなくて」
「名前ちゃんが反転術式使えるんなら俺にとってもええことやけども」
「……離れるのはとっても寂しいし、辛いです。けど、いつまでも直哉様に甘えていてはいけないと言われ……直哉様の為に頑張ります」
「ふぅーん。甘えててええのに。
どこの誰が言ったんかなぁ」
髪をすく直哉様の手に力が入る。
少し引かれた髪の毛が痛い。
「浮気はあかんよ?」
「私には直哉様だけです」
「しゃーないなぁ。ちょくちょく帰って来てな?」
「はい」
まさか。
まさかまさかまさか。
こんなにも上手くいくとは思わなかった。
何度か直哉様にやっぱり東京行き無しにしたい、と言われヒヤヒヤしたものの、ゆっくりゆっくり用意をして、荷物だけは寮宛に送った。
ギリギリまで東京には行かず、どこに行くにも直哉様の後ろをついて回り、ところ構わず引っ付いた。
「なん?随分可愛え事して」
「……寂しいんです」
「なら止め。東京はしんどいやろ」
「……ここで止めたら、私ずっと直哉様のお荷物です」
「気にせんよ」
「私のせいで直哉様の評価を下げてしまうのはもう嫌なんです」
事実、庭ばかり弄る女中のような婚約者。
それが私の禪院家の評価だった。
まともな術式でもなく、呪術師の才能があるわけでもない。
胎として優秀なわけでもない。
直哉様に甘やかされ、囲われている何も出来ない甘える事しか能の無い女。
直哉様から嫌われるよりは、禪院家から嫌われている方がいい。
何も出来ない女で跡継ぎを作っているわけでもない脅威にすらならない女は殺す価値など無いのだから。
直哉様の気紛れで生かされている胎。
「お側を離れてしまう代わりに、必ず直哉様の為に勉強して来ます」
「……健気やね」
「直哉様の為に」
ベタベタし過ぎて鬱陶しいと言われても引っ付いて回った。
入学式の日になっても行かない私に痺れを切らし、そろそろ入学に遅れるから、と送り出してくれた時は泣いてしまった。
入学式には間に合わず、1日遅れての入学となったものの……
東京の高専に行けば、待って居てくれる人がいた。
「よぉ、1日遅れの大遅刻した問題児」
にやり、と笑った悟様は
私の両手サイズのハダカデバネズミの人形を手渡しながら私の頭を撫で回した。
あとがき
悟くんの小動物保護活動が始まりました。
まずは基本の餌付けから。
震えて人見知りっぽいので距離を縮めましょう。
餌付けが成功したら少し近寄ってみましょう。
すり寄って……あ、案外人懐っこいようです。
では次は好きなものを……え?ハダカデバネズミ?
【検索】
……何これ?裸だし出っ歯だし……え?なんでこれ好きなの?
悟 は 宇宙 を 背負った !!!
……意味わかんねぇwww爆笑した。
とにかくヤベェ婚約者から引き剥がしたくて東京の高専へ誘う計画を立てた。
東京来たら絶対囲うマン。
ハダカデバネズミは特注した。
直哉くん
俺のモノに何手ェ出しとんねん!!!ってお兄ちゃんとマジ喧嘩した。
ちなみに煽ったのはこの子が先。
被害者の夢主にこの後暫くベッタリくっついて甘やかしまくった。
俺の子最近懐っこくて可愛え、とうっとり。
わりとデロッデロに甘やかしているので禪院本家から夢主の事使えねぇ庭いじりの嫁とか言われても無視。可愛えが正義や!俺と夢主は純愛なんや!!と間違った純愛を進行中。
人はそれを洗脳と暴行って言うんやで?
間違った溺愛で結果的に禪院本家内の暗殺対象にならなかったから結果オーライっ!
けど絶対駄目暴行!!
自分からベタベタはいいが、気分乗らないときに相手にベタベタされるの嫌いそう。
名前ちゃん
ハダカデバネズミをテレビで見て一目惚れ。
どこがいい?うーん……あの、生々しい肌?
出っ歯も愛嬌があって素敵だと思うの!!
基本この子どこかズレてる=呪術師だからね!!
直哉様の洗脳により基本的話さない。
屋敷内で話しかけられても困った顔で頭を下げて逃げる。直哉様の所に行きわざわざ確認。
これを繰り返す内に禪院本家内で嫌われちゃった子。
直哉推しの女中に嫌がらせもされていたが、直哉様に嫌われる方が怖くて耐えきった。
ちなみにこの女中らはバレて直哉様の怒りに触れた。
長女だから耐えられた。次女だったら耐えられなかった。
直哉様は怖いけど、自分が悪い事しなければとても優しいいい人だとまじで思っている(洗脳)
怖いけど優しいから離れられない、逃げたら家族……闇。
悟様が予想外の事ばかりしてくるので反応してしまう。気配読むの上手過ぎてバレた事が無いので気兼ね無くお話出来るのが嬉しい。
たとえ年一回の逢瀬でもそれを心の拠り所に耐えられる辛抱強い子。
「はい、直哉様」
直哉様は私をペットのように愛でるのが好き。
気が向いた時に呼ばれ、抱っこしながら撫でて離したいことを話す。
内容は大概悪口とか自慢話や禪院の誰かの話。話している途中で時々機嫌が悪くなる時もあり、そのまま床に叩きつけられたり、髪を引っ張られる。
普段は膝に乗せられ、髪を整えてくれる。
直哉様が選んだ香りの良い香油を使うと髪がとてもサラサラになるし、匂いがいい。
直哉様に髪を触られている時は気持ちよくなって眠ってしまう事もある。
そうするとクスクス笑いながら抱き締めて一緒に寝ることもあれば、忙しい直哉様はお仕事に行ってしまうので寝台に寝かせられている。
私が間違えなければ直哉様は優しい。
直哉様が正しいから、私は怒られる。
口を出さず、直哉様の好きなようにさせておけばあまり酷くならない事がわかった。
勝手な事はせず、全て直哉様の確認を取ってから。
誰かに話しかけられても口を閉じ、直哉様の許可を貰う。
私が考える事は良くない事。
私がやる事は悪い事。
直哉様の許可を取り、直哉様の言葉通りに動けばいい。
私の意思など必要無い。
胎に意思など必要無い。
せいぜい飽きられないよう、直哉様の気持ちを繋ぎ止めておかなければいけない。
胎になる前に飽きられてしまえば……私という存在に意味は無い。
「名前ちゃんは何しとったん?」
「いつものようにお庭のお手入れです」
「飽きんなぁ」
「はい。私に出来るのはそのくらいなので」
「名前ちゃんが楽しいならええけど」
「……暖かくなったら直哉様とお花見したいです」
「あそこで?虫居るやろ」
「駄目ですか?」
「気が向いたらな」
多分直哉様はこの約束を忘れる。
……それでもいい。
直哉様に言っておくのがポイント。
あの庭の手入れをする理由の為に。
記憶力は曖昧だけど、ふとしたときに思い出して気紛れに構ってくださるから。
あの庭があるから、今もまだ心を保っていられる。
あの空色の方にまた来て貰えるように。
今度はもう少し、話せたらいいなと願いを込めて。
あの庭は私の希望だから……。
空色の方と別れてまた季節が一巡り。
「居た」
「空色の……」
「は?空色?」
スタッ、と軽々塀から飛び降りる空色の方。
この方は一体どこから来るのだろう?
今日も直哉様は何かの会合らしい。
私も参加予定だったものの……
「またかよ」
「転んだんです」
「嘘言うな」
優しく私の額に触れる手。
私の額には大きめのガーゼ。
昨日、直哉様が御兄弟と言い争った際、直哉様に飛んで来た物から庇うため前に出たら額に当たった。
傷口の割には思っていたよりも出血が多く大変な思いをした。
直哉様は御兄弟に大変怒っており、事態はより悪化。
傷口は残らないものの……会合には出られなくなり大人しくしているように言われた。
なので、最近置いて頂いたベンチで池の鯉を眺めていたら……空色の方がいらした。
自分の傷じゃないのに、痛々しげに見つめる空色の方。
ゆっくりと触れるか触れないかの位置を手が彷徨う。
「オマエの主人?」
「いいえ。自業自得です」
「……顔は気をつけろ。下手すりゃ失明だろ」
「気をつけます」
回避訓練させてもらえるかな?
どんくさいからって頼めば……。
今なら直哉様の説得も難しくないかもしれない、と頭で考える。
「今日は普通に話すんだな」
「………」
「いきなり黙りかよ」
指摘されて初めて油断していたと口を閉じる。
そんな私の行動にクスリ、と笑って隣に腰を下ろした空色の方。
以前の変顔を此処で何度も思い出しては次会えたら何を話そうかと考えていた。
歳は?名前は?好きなものは?好きなことは?
聞きたいことは沢山ある。
「人来たらまた教えるから話せよ」
「……内緒にして下さいますか?」
「この密会が内緒だろ」
お互いにくすり、と笑った。
……綺麗。
今年はお花を植えて良かった。
一人で植えていた時はあまり綺麗には見えなかったのに。
この方と居たら、世界がキラキラして見える。
キラキラの中に少しでも私が居られるなんて……頑張って良かった、と思えた。
「嬉しい?」
「え……」
「笑った顔初めて見た」
目を細めて頬に触れる手。
私よりも白くて大きくてすべすべしている。
すりすり、と頬を撫でられるのが気持ちよくて思わず自分からすり寄ってしまった。
「猫かよ」
「ペットみたいなものですから」
「女中じゃねぇの?」
「とある御方の婚約者ですが……名ばかりのものです。
健康に気を付けて、主人に飽きられないよう寵愛を受けなければ……」
芸も無く、役立つ術式も無く、頭も弱く、特技も無い。
何も無い私は直哉様の寵愛を打ち切られた瞬間終わってしまう。精一杯飽きられぬ努力を続けるには……ペットのように甘えて直哉様の気を引くしかない。
「私の価値など胎としての能しか無いのですから」
「……名前ってソイツの事好きなの?」
「はい。好きです」
「扱い雑なのに?」
「私が駄目なんです。私が悪い子だから……怒られて当然、なんです」
「……止め!今日はそんな話しに来たんじゃねーの!!」
しんみりとした空気を払うように、声を上げる。
「オマエ甘いの好き?」
「…はい?」
「ほら。手」
手を出せ、と言われて出せば懐から小さな巾着を取り出して私の手のひらへ。
何事かと頭を傾げればわざわざ巾着を開いてくれる。
ぱらぱら……と手のひらに広がる小さな飴達。
「わあっ!!」
「好きだろ?女ってこんなキラキラしたやつ」
金太郎飴、手鞠飴、金平糖。
手のひらに広がる小さな宝物のような世界。
「ほら、口開けろ」
「え?」
「早く早く、あーん」
急がされ……あ、と口を開けば中に入れられる。
コロコロと舌で転がすと口の中に広がる甘さ。
「美味しい……」
「だろ?やるよそれ」
「でもっ」
「チビ。栄養足りてねーんじゃねぇの?
飴じゃ栄養にはならねぇけど、ちゃんと食え」
「……えっと」
「は?食わせて貰ってねーの?」
「そんなことっ!!」
「好きな物何?」
コロコロ話題が変わるな……。
好きな物……好きな物?なんだろう……。
パッ、と出てこない。
けど、綺麗なものは好き……だが、それは好きな物に入るのだろうか?
具体的な綺麗なものが何か、と聞かれるとわからないが……。
「綺麗な、もの……」
「どんなの?宝石とか?」
「いえ……それも、綺麗ですが……」
宝石は綺麗。
だけど私の手の上では輝いてくれない。
綺麗なもの……。
ふと、空を見て思ったのは
空だけはいつも色褪せず綺麗のまま。
「空……」
「空ぁ?」
「私の手が届かないから……ずっと、綺麗」
手のひらを上に伸ばす。
遠くて、全然掴めない。
「いいなぁ……」
「空、行きてーの?」
「……行って、みたい」
どれだけ広いんだろう。
どれだけ高いんだろう。
どれだけ自由なんだろう。
あの空色に包まれれば……私は少しでも色付けるのかな?
「今は無理だけどさ」
「?」
「連れてってやるよ。空」
にっ、と笑う空色の方。
あぁ、そういえばこの人の瞳も空だったな、と思えばそっと瞳の横に手を伸ばす。
「貴方も、綺麗」
「何それ?告白?」
「?」
「………嘘だろ。今好きな物聞いたのに」
「告白?」
「綺麗なものが好きで、空が好きで、俺も綺麗で……そういや空色って言ってたよな?」
ぐっ、と近寄ってきた顔。
間近で見る瞳は空と星を宝石に閉じ込めてしまったみたい。
「俺の事好きって事かと思ったのに」
「………〜〜〜〜っ!!」
「顔真っ赤」
ケラケラ笑う姿にからかわれたのかと思う。
言われて気付けば、大胆な事を言ってしまっている。
好き、好きだけど違う。
「甘いものは好き?」
「は、はい!」
「俺も好き。しょっぱいのは?」
「好き、です」
「まぁまぁ。辛いの」
「あまり得意では…」
「普通。苦いの」
「……苦手、です」
「普通。好きな動物は?」
「……」
「いねーの?」
「……引かない、ですか?」
「引くような動物って何だよ」
「……ハダカデバネズミ」
「は?」
「ハダカデバネズミ、です」
「わかんね」
ハダカデバネズミ……?ネズミが裸なのかよ?と頭を傾げている。
どこが好きかと聞かれると悩ましいところだが……愛着を持ってしまうのだ。
「今度までに調べとく」
「あまり画像はオススメしません」
「……まじでどんな生き物だよ」
「あ、あの!」
「何?質問?」
「お、お名前!お名前をっ」
「……言わなかったっけ?」
「……言って無い、です」
名前を聞かれはしたが、言われていない。
お互いじっと顔を見つめあう。
「……チッ、もう来た」
「あの……」
「悟。俺の名前覚えてろよ」
「……悟、様」
「様はいらない。またな、名前」
頭を一撫でして塀を越えていく。
ふと、誰かが此方に来る足音に手に持っていた飴を巾着にしまって胸元へ押し込む。
「名前」
「直哉様」
「ここに居ったんか」
「大人しくしていました」
「部屋に居ると思っとったんに」
「此処なら、直哉様と早く会えると思って」
「……俺の事待っとったんか」
「はい」
「ええ子やね。可愛え」
ぎゅっ、と抱き締められて撫でられる。
どうやら今日は大丈夫そう。
「戻るで」
「はい」
もう一度庭を見れば少しだけ色褪せてしまった。
残念……もう少し綺麗な世界を見たかったのに。
また、会いたいな。
また、会えるといいな。
庭先に願いを込めて。
次は何を埋めようか……と考える。
一巡り。
また一巡り。
一年に一度に会えるかどうかの密会。
雨の日で会えない時もあった。
寒い冬の時期に会えた事もあった。
僅かな時間しか会えなくても、それが私にとっての楽しみであり、支えでもあった。
「よっ」
「悟様」
あれから何度目だろう。
幼かった私達は年を越せば高専生となる。
今じゃ見上げても遠い程伸びた身長の悟様。
子供の時は無かった丸いサングラスをするようになり、スラリと伸びた手足はとにかく長い。
直哉様も大きいが、それ以上で首が痛くなる。
悟様が座って私が立つと丁度よく話せる。
「元気そうだな」
「悟様もお変わり無さそうで安心しました」
悟様は多分……偉い方らしい。
本人の口から身分の話をされた事は無いものの、私が会ったことが無いような上層部の方々の名前を上げては文句を言っている。
直哉様も悟様もまだ高専入学前だというのに、呪霊討伐に駆り出されていて忙しいらしい。
私のお菓子で申し訳ないが、不機嫌な悟様にお菓子を渡せば嬉しそうに飛び付く姿が面白くて笑ってしまう。
そんな小さな幸せももうすぐ終わりが来る。
高専に入学すれば寮暮らし。
悟様がこの庭に来ることも無くなるし、私もこの庭に行けなくなる。
悟様は東京の高専へ。
私は京都の高専へ。
年に一度……姉妹高の交流会、というものもあるらしいが2年以上の選抜メンバーのみらしい。
これが、悟様との最後の密会。
思い返せば……不思議な縁だった。
「名前」
「はい?」
「来年高専だろ?東京来いよ」
真剣な眼差し。
悟様のお誘いはとても嬉しい。
出来ることなら、私も悟様と行ってみたい。
自由に……。
でも、そんな上手くいくわけがない。
直哉様が許してくれるわけがない。
「……無理、だよ」
「俺も東京行くし。あと、反転術式の使い手も来るんだってさ」
「……反転、術式の?」
「名前練習してたろ?京都には反転術式の使い手いねーしそれなら東京の方が名前の勉強にもなるだろ」
ここ数年で怪我をどうにか出来ないものかと勉強した反転術式。
何とか成功するようになり、直哉様からとても褒められた。
未熟な反転術式は自分にも他人にも扱える事は出来そうだが、身近に指導者がいない。
手探りで自分の身体で負った傷を治しながらの勉強。自分の身体ならまだいいが、他人に扱うリスクを考えるとなかなか難しく難航していた。
悟様の言葉に気持ちが揺れる。
役立たずの私が出来る事。
「許可……出るかな?」
「例の婚約者には直接言わず親に言えよ。
で、親説得してから名前の婚約者に婚約者の為に反転術式を覚えたいって親から言って貰え。
それで……」
悟様の言葉を信じ、駄目もとで親にお願いしてみた。
直哉様と同じ京都高への入学は決まっていたものの、今さら東京高へ行きたいと我が儘を告げる。
「お願いします、お父さん……っ!!
私、どうしても直哉様の為に東京に来る反転術式の子から勉強したいの。
屋敷の方々にも、その……私が直哉様に甘え過ぎているから、もっとちゃんとしてほしいって言われてしまってるし……
ちゃんと出来るようになったら、京都高に転入するからっ」
「……直哉様には?言ったのかい?」
「……まだ」
「名前は直哉様から離れて本当に平気なのかい?」
「……心細いし寂しいけど、直哉様の役に立ちたいの」
最初は渋られたものの、貴重な反転術式を習得すれば禪院の、直哉様の為にもなると判断してくれた。
「あの、お父さん……お父さんから直哉様に言って貰える?」
「どうした?」
「私からだと……いつまでも直哉様に言えなさそうだから。
決心が鈍っちゃいそうで」
「名前は本当に直哉様に惚れているんだな。わかった、伝えるよ」
親からのお願いとして直哉様に申告すればいい顔はされなかったものの、両親の前では比較的良心的な直哉様は許可をくれた。
「なんで名前ちゃん京都やないの?」
ムスッとして私の膝に寝そべる直哉様。
許可はくれたものの、思い出しては不機嫌そうにしている。
「ごめんなさい……私一人では勉強がはかどらなくて」
「名前ちゃんが反転術式使えるんなら俺にとってもええことやけども」
「……離れるのはとっても寂しいし、辛いです。けど、いつまでも直哉様に甘えていてはいけないと言われ……直哉様の為に頑張ります」
「ふぅーん。甘えててええのに。
どこの誰が言ったんかなぁ」
髪をすく直哉様の手に力が入る。
少し引かれた髪の毛が痛い。
「浮気はあかんよ?」
「私には直哉様だけです」
「しゃーないなぁ。ちょくちょく帰って来てな?」
「はい」
まさか。
まさかまさかまさか。
こんなにも上手くいくとは思わなかった。
何度か直哉様にやっぱり東京行き無しにしたい、と言われヒヤヒヤしたものの、ゆっくりゆっくり用意をして、荷物だけは寮宛に送った。
ギリギリまで東京には行かず、どこに行くにも直哉様の後ろをついて回り、ところ構わず引っ付いた。
「なん?随分可愛え事して」
「……寂しいんです」
「なら止め。東京はしんどいやろ」
「……ここで止めたら、私ずっと直哉様のお荷物です」
「気にせんよ」
「私のせいで直哉様の評価を下げてしまうのはもう嫌なんです」
事実、庭ばかり弄る女中のような婚約者。
それが私の禪院家の評価だった。
まともな術式でもなく、呪術師の才能があるわけでもない。
胎として優秀なわけでもない。
直哉様に甘やかされ、囲われている何も出来ない甘える事しか能の無い女。
直哉様から嫌われるよりは、禪院家から嫌われている方がいい。
何も出来ない女で跡継ぎを作っているわけでもない脅威にすらならない女は殺す価値など無いのだから。
直哉様の気紛れで生かされている胎。
「お側を離れてしまう代わりに、必ず直哉様の為に勉強して来ます」
「……健気やね」
「直哉様の為に」
ベタベタし過ぎて鬱陶しいと言われても引っ付いて回った。
入学式の日になっても行かない私に痺れを切らし、そろそろ入学に遅れるから、と送り出してくれた時は泣いてしまった。
入学式には間に合わず、1日遅れての入学となったものの……
東京の高専に行けば、待って居てくれる人がいた。
「よぉ、1日遅れの大遅刻した問題児」
にやり、と笑った悟様は
私の両手サイズのハダカデバネズミの人形を手渡しながら私の頭を撫で回した。
あとがき
悟くんの小動物保護活動が始まりました。
まずは基本の餌付けから。
震えて人見知りっぽいので距離を縮めましょう。
餌付けが成功したら少し近寄ってみましょう。
すり寄って……あ、案外人懐っこいようです。
では次は好きなものを……え?ハダカデバネズミ?
【検索】
……何これ?裸だし出っ歯だし……え?なんでこれ好きなの?
悟 は 宇宙 を 背負った !!!
……意味わかんねぇwww爆笑した。
とにかくヤベェ婚約者から引き剥がしたくて東京の高専へ誘う計画を立てた。
東京来たら絶対囲うマン。
ハダカデバネズミは特注した。
直哉くん
俺のモノに何手ェ出しとんねん!!!ってお兄ちゃんとマジ喧嘩した。
ちなみに煽ったのはこの子が先。
被害者の夢主にこの後暫くベッタリくっついて甘やかしまくった。
俺の子最近懐っこくて可愛え、とうっとり。
わりとデロッデロに甘やかしているので禪院本家から夢主の事使えねぇ庭いじりの嫁とか言われても無視。可愛えが正義や!俺と夢主は純愛なんや!!と間違った純愛を進行中。
人はそれを洗脳と暴行って言うんやで?
間違った溺愛で結果的に禪院本家内の暗殺対象にならなかったから結果オーライっ!
けど絶対駄目暴行!!
自分からベタベタはいいが、気分乗らないときに相手にベタベタされるの嫌いそう。
名前ちゃん
ハダカデバネズミをテレビで見て一目惚れ。
どこがいい?うーん……あの、生々しい肌?
出っ歯も愛嬌があって素敵だと思うの!!
基本この子どこかズレてる=呪術師だからね!!
直哉様の洗脳により基本的話さない。
屋敷内で話しかけられても困った顔で頭を下げて逃げる。直哉様の所に行きわざわざ確認。
これを繰り返す内に禪院本家内で嫌われちゃった子。
直哉推しの女中に嫌がらせもされていたが、直哉様に嫌われる方が怖くて耐えきった。
ちなみにこの女中らはバレて直哉様の怒りに触れた。
長女だから耐えられた。次女だったら耐えられなかった。
直哉様は怖いけど、自分が悪い事しなければとても優しいいい人だとまじで思っている(洗脳)
怖いけど優しいから離れられない、逃げたら家族……闇。
悟様が予想外の事ばかりしてくるので反応してしまう。気配読むの上手過ぎてバレた事が無いので気兼ね無くお話出来るのが嬉しい。
たとえ年一回の逢瀬でもそれを心の拠り所に耐えられる辛抱強い子。