幼馴染は生き残りたい
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私には幼馴染がいる。
人当たりの良さそうな穏やかな見た目と反して、中身はわりとクズ。
常識あるし、優しいし、物腰も柔らかなのだが……笑顔で悪気ありのまま人を煽ったり毒を吐く。
女子にモテる。
身長が高い。
塩顔。
イケメン。
筋肉ある細マッチョ。
そんな幼馴染は見た目通り胡散臭い霊能力者である。
………失礼。
胡散臭い霊能力者といっても、本物だ。
物心ついた時に、何も無いところを見てビクビクしていた。
「うそじゃないのに……」
親や子供達は嘘つきやら頭のおかしい子だと疑ってから幼馴染は視える事を口にすることは無くなった。
だけど、私はその時の幼馴染に純粋な気持ちでどんなものが視えているのか聞いた。
キョドキョドと怯えながらポツリポツリと溢す内容に素直だった私は恐ろしくなって幼馴染と震えた。
「どうしよう……アイツら、どこにいってもいる。いつか、たべられちゃう……」
勝手に頭の中で想像する化物はとても怖い。
私の目には視えていないが、幼馴染の視線の先にはいるのだ。
怖い。嘘じゃないとベソベソ泣く幼馴染。
あまりに幼馴染が泣いて目を真っ赤にしているから……この時、私は視えていないからこそこの幼馴染を守らなきゃ!と思った。
だって私はセーラー○ーンに変身出来る女の子だから。
「むーんくりすたるぱわー!!めーいくあっぷ!!」
「!?」
「つきにかわってオシオキよ!!」
幼馴染を守るため、いっぱい変身した。
視えて怖がる幼馴染の前に立ち、魔法のロッドを構える。
「むーんぷりんせすはれーしょん!!」
魔法を唱えながら敵を倒し、ドヤ顔とポーズを決めた。
その度に、幼馴染はバカを見る目を向けてきた。
なんて奴だ……。
泣きながら怖がる幼馴染の手を取り、視えていない私は笑いながら彼の手を引いた。
「私と居れば怖くないでしょ?」
だって私はセーラー○ーンだもん!!とお決まりのセリフを言えば幼馴染は泣き顔のままくしゃりと顔を歪ませて笑った。
幼少期
怖いもの知らずで私最強!!と思っていた私は泣き虫の幼馴染の手を引いて幼馴染の前を歩いていた。だって私は正義のヒーローでヒロインだから!弱いものを助けるのは当たり前!!な精神だった。乙。
小学校に上がりますます怖がる幼馴染。
けれど、学校という場所では怪談の噂話が大好きな子供が沢山いる。
おませな女の子達はどの子がかっこよいやら、あの子が好きやら。
素直になれない男の子は虐めて後悔してしまうやら。
「……学校、行きたくない」
人々の負の感情が渦巻く学校は幼馴染にとって怖がりをますます酷くさせた。
これはいけない、幼馴染がこのままだと引きこもってしまう!!
私は幼馴染の手を取り毎日学校へ引きずった。
「やだ!!」
「ポケモンゲットしに行こう」
「いないってば!!」
「だってこないだポケモンゲット出来たんでしょ?」
「違う!!あれは化物が、たまたま黒いボールになって……」
「ポケモンゲットだぜ!!」
「やめろって!!」
「私サトシ。お前ボールな!!」
強制的に引きずり回り、ポケモンならぬ化物集めをしに街や草原や海や川や森の中などに幼馴染を引きずり怖がりを直す為に協力した。
勿論視えていない私は幼馴染が発狂しながら逃げ回る姿を横目に共に逃げたり石をぶつけたりした。
そんなこんなで化物をリアルポケモンごっこと称し、沢山集めた。
沢山集め過ぎたらしい私には見えない化物入りのまさにモンスターボールをどうしようかと頭を悩ませ……
「飲み込む?」
「やだよ」
「ちょっとデカイラムネだって」
「おまっ、……うぐっ、ふざけんな!!」
「うわ……飲んだ」
「引くくらいなら飲ませ………オロロロロ」
「洗面器!!!!」
私の部屋は吐瀉物まみれに。
あの日、私は幼馴染を恨んだ。
しかし、幼馴染からも恨まれた。
おあいこで仲直りにラムネを飲みながら駄菓子を食べた。
「あ、何か使えるようになった」
「……ポケモンboxかよ!!」(ベチンッ)
「ふざけるな!!」
ボールだと思っていた幼馴染の方が実はポケモントレーナーだったことに実はショックを受けた。私のが絶対主人公っぽいのに。
ムカついたのでビンタした事はいい思い出だ。
ちなみにこの時、あまりに理不尽な理由でビンタされた幼馴染は私へのヘイトと意味わからない化物に襲われ続ける環境にガチギレして殴り返してきた。
「へへっ、かかってきな!!」
「何キャラだよ!!」
「男は黙って殴り合って言葉を交わします!!」
「オマエ女じゃん!!」
結果、お互いボッコボコになり倒れ込んだ。
友情が芽生えた。
「化物怖がってびくびくしてるなよ。
見なければ視えて無いのと一緒でしょ」
「……オマエは、見えないからそう言えるんだよ」
「新種のポケモンみたいなもんでしょ?」
「違う!!」
「じゃあデジモンでいいよ」
「そういう問題じゃない!」
「難しく考えるな!」
「オマエは短絡的過ぎるよ!!」
この後また喧嘩した。
喧嘩後からはびくびくして怯える事も少なくなっていった気がする。
まぁ、嫌がっても廃墟とか連れて冒険しまくったから慣れたのかもしれない。
だってほら、学校の怪談が流行っていたから口裂け女とか人面犬とか花子さんとかいるかもしれないじゃん?
ぬーべーもいるよ。雪女になりたいんだ、私!
しかし、悲しき事に私には何も見えず……第六感も働かず幼馴染が必死に小躍りして死にそうな顔をしているのを指差して笑うしか出来ない。
だって見えないから幼馴染が一人で話ながらぴょんぴょん飛びはねると地面抉れるんだぜ?
日曜日の◯◯レンジャーより生々しいヒーロー物を見れて興奮しない奴いる?
そんな私のお陰だろうか……
学年が上がる事に泣く事は少なくなっていき、恐怖耐性も付き、普通に友達と騒ぎ、遊び、意地悪をするような悪ガキへと変貌。
どこで選択肢間違えたろ?
周りにとけ込むことを覚えた幼馴染はそれはそれはズル賢く生きるようになった。
小学
いつの間にか隣を一緒に走り回れるようになった幼馴染とじゃれ合い、泥だらけになるまで遊んでいた。
私と同じくらい最強のポジションに上がってきた幼馴染は、きっと私のライバルなんだと信じていた。お前……シゲルだったんか。ボンジュール。
男女を意識してしまう難しいお年頃、思春期。
早い子だとお付き合いを始めたり、中には興味が先走り大人の階段を登ってしまう人も。
勉強に恋に部活。
幼馴染はグングン身長が伸びていき、あっという間に背丈を抜かされた。
いつの間にやら筋肉もついてガッチリした体型に。
爽やかな笑顔で友達と接し、いつでも優しい幼馴染はそりゃあモテた。
小学校の悪ガキ具合は潜ませ、上手い具合に影で悪してる。
そこに痺れるぅ!!憧れるぅ!!ちょっとした悪さに胸がキュンキュンッ………とまぁ、女子は弱いわけですよ。
結果、幼馴染とベッタリしていたわけではないのに、一緒に居るだけで妬まれる。
付き合っているのかと囃し立てられ、睨まれ、恨まれ、僻まれ……。
「ダルい……」
「すまないね。私がモテるばかりに」
「冗談は前髪だけにしてよ」
小学校までは私が最強だと思っていたが、男女の差にどうしても勝てない時が出てきた。
力、筋肉、体力。
どう頑張っても幼馴染と同じように出来ないことが増えた。同い年の男の子にも負ける事が増えていった。
「あれ?また身長伸びた?」
「だね」
「……筋肉がまた」
「少し鍛え始めたんだ」
「声」
「声変わりだよ」
私と同じ目線だったはずなのに、いつの間にか見上げる高さに。
私の身体は柔く丸いのに、幼馴染は硬くゴツくなっていく。
声が低くなり……幼馴染はどんどんと男の子から男へ。
私も女の子から、女へ。
幼馴染や男子達とサッカーやバスケやかけっこで遊ぶよりも、女の子達と秘密の会話をすることが増えた。
今まで通り同じように接していても、やはり男女の違いが出てくるほど距離が出来た。
幼馴染も何やら視える関係者と知り合い、そちらの人と修行らしきもので忙しくもなり、少しだけ一緒に居る時間は減った。
少しの距離は出来たが、皆に見られない所では仲良くしていた。
「お疲れ」
「お疲れ様」
「また筋肉増えた?」
「そうかな?」
「うわっ、固い」
「キミは柔らかくなっていくね」
「デブって言いたいの?」
「触っていて気持ちいいんだよ」
最初はお互いの身体の変化をつんつんする程度だった。
「見よ、この寄せ集めた肉の努力!」
「キミは恥じらいとかどこに捨ててきたんだい?」
「ほーらほら、男は好きだろ?谷間」
「しまえ」
「クラスの女子でわりとでかめだったんだぞ私」
「詳しく聞こうか」
馬鹿やってる、と笑い合う程度だった。
「うわっ、腹筋バキバキ」
「触るなスケベ」
「いいじゃん。男って乳首感じんの?」
「うっ!?な、にしてっ!!」
「……すまん。そんな気は無かった」
「セクハラだよ。どうしてくれる」
「私のおっぱい触らせてやるから筋肉触らせろ」
お互いに無いものが魅力的に見えた。
幼馴染は柔らかな身体を。
私は硬い筋肉を。
「はぁ、んっ……その、触り方っ」
「痛い?」
「いた、く…ない、けど」
「膝モジモジしてる」
「だって……何か、身体変」
感触を確かめていたのから快楽を拾い。
その時の雰囲気と精への興味がどんどん強くなるにつれて、行為もエスカレート。
触って、キスして、指を入れて、擦って。
「嫌なら、逃げて」
「……今さら?チキンかよ」
「人の優しさを無下にするのはどこの馬鹿かな?」
「こんな身体にしたのアンタじゃん」
「いいんだね?」
「……嫌なら、許してない」
彼氏彼女なんて関係より不純で、幼馴染としては近すぎて、友人とは離れた関係を言葉に当てはめるには何と現せば良いかわからないが…。
距離感がバグって近しい関係だった。
中学
性春。
私は最強になれない普通の一般的な女の子で、特別な力など無いヒーローにもヒロインにもなれない存在だと気付いてしまった。
その一方、幼馴染は主人公になれるような特別な存在であり、私はこの人に守られるその他大勢の一人だと思うといつの間にか開いた距離が遠すぎて悲しくなった。
その差を身体で埋めよう、だなんてズルい女だ。
繋げている時は幼馴染も同じ人間だと思って安心出来た。
幼馴染は東京の高校へ。
私は地元の公立へ。
お互い内定は決まっていて、新学期までの残った春休みは幼馴染の引っ越し作業の手伝い。
まぁ、手伝いと称してヤることヤっているだけ。
気持ちいい事には勝てない。だって性春は今しかないから!!
いつも通りの日々。
いつも通りの幼馴染。
いつも通りの………。
「んっ、やだぁっ」
「駄目」
「そこっ!」
「ここがいいの?」
「あっ!!やんっ、ンンッああああッ!!」
気持ちよさにイッた瞬間脳裏を過る記憶に無い記憶の数々。
「………っ!!?」
「締め、すぎっ!……クッ」
情報量の多さと気持ちよさに色々トんだ。
初めての経験に幼馴染は焦って私を往復ビンタ。
一時は記憶を取り戻したものの
「……な、で」
「ちょっと、大丈夫かい?」
「この、タイミング……」
膨大な量の記憶と情報。
それを処理しながら今の状況と照らし合わせていく脳内。
前世の記憶やら、支部やら、原作やら諸々……
「……グッナイ」
「待って。寝ないで。まだ足りない」
「クズがッ」
「やだ。足りない」
幼馴染の心配より、己の精力を優先させようとした幼馴染が公式のクズだったと理解して、記憶を飛ばした。
あとがき
名前変換どこ消えた?(笑)
人当たりの良さそうな穏やかな見た目と反して、中身はわりとクズ。
常識あるし、優しいし、物腰も柔らかなのだが……笑顔で悪気ありのまま人を煽ったり毒を吐く。
女子にモテる。
身長が高い。
塩顔。
イケメン。
筋肉ある細マッチョ。
そんな幼馴染は見た目通り胡散臭い霊能力者である。
………失礼。
胡散臭い霊能力者といっても、本物だ。
物心ついた時に、何も無いところを見てビクビクしていた。
「うそじゃないのに……」
親や子供達は嘘つきやら頭のおかしい子だと疑ってから幼馴染は視える事を口にすることは無くなった。
だけど、私はその時の幼馴染に純粋な気持ちでどんなものが視えているのか聞いた。
キョドキョドと怯えながらポツリポツリと溢す内容に素直だった私は恐ろしくなって幼馴染と震えた。
「どうしよう……アイツら、どこにいってもいる。いつか、たべられちゃう……」
勝手に頭の中で想像する化物はとても怖い。
私の目には視えていないが、幼馴染の視線の先にはいるのだ。
怖い。嘘じゃないとベソベソ泣く幼馴染。
あまりに幼馴染が泣いて目を真っ赤にしているから……この時、私は視えていないからこそこの幼馴染を守らなきゃ!と思った。
だって私はセーラー○ーンに変身出来る女の子だから。
「むーんくりすたるぱわー!!めーいくあっぷ!!」
「!?」
「つきにかわってオシオキよ!!」
幼馴染を守るため、いっぱい変身した。
視えて怖がる幼馴染の前に立ち、魔法のロッドを構える。
「むーんぷりんせすはれーしょん!!」
魔法を唱えながら敵を倒し、ドヤ顔とポーズを決めた。
その度に、幼馴染はバカを見る目を向けてきた。
なんて奴だ……。
泣きながら怖がる幼馴染の手を取り、視えていない私は笑いながら彼の手を引いた。
「私と居れば怖くないでしょ?」
だって私はセーラー○ーンだもん!!とお決まりのセリフを言えば幼馴染は泣き顔のままくしゃりと顔を歪ませて笑った。
幼少期
怖いもの知らずで私最強!!と思っていた私は泣き虫の幼馴染の手を引いて幼馴染の前を歩いていた。だって私は正義のヒーローでヒロインだから!弱いものを助けるのは当たり前!!な精神だった。乙。
小学校に上がりますます怖がる幼馴染。
けれど、学校という場所では怪談の噂話が大好きな子供が沢山いる。
おませな女の子達はどの子がかっこよいやら、あの子が好きやら。
素直になれない男の子は虐めて後悔してしまうやら。
「……学校、行きたくない」
人々の負の感情が渦巻く学校は幼馴染にとって怖がりをますます酷くさせた。
これはいけない、幼馴染がこのままだと引きこもってしまう!!
私は幼馴染の手を取り毎日学校へ引きずった。
「やだ!!」
「ポケモンゲットしに行こう」
「いないってば!!」
「だってこないだポケモンゲット出来たんでしょ?」
「違う!!あれは化物が、たまたま黒いボールになって……」
「ポケモンゲットだぜ!!」
「やめろって!!」
「私サトシ。お前ボールな!!」
強制的に引きずり回り、ポケモンならぬ化物集めをしに街や草原や海や川や森の中などに幼馴染を引きずり怖がりを直す為に協力した。
勿論視えていない私は幼馴染が発狂しながら逃げ回る姿を横目に共に逃げたり石をぶつけたりした。
そんなこんなで化物をリアルポケモンごっこと称し、沢山集めた。
沢山集め過ぎたらしい私には見えない化物入りのまさにモンスターボールをどうしようかと頭を悩ませ……
「飲み込む?」
「やだよ」
「ちょっとデカイラムネだって」
「おまっ、……うぐっ、ふざけんな!!」
「うわ……飲んだ」
「引くくらいなら飲ませ………オロロロロ」
「洗面器!!!!」
私の部屋は吐瀉物まみれに。
あの日、私は幼馴染を恨んだ。
しかし、幼馴染からも恨まれた。
おあいこで仲直りにラムネを飲みながら駄菓子を食べた。
「あ、何か使えるようになった」
「……ポケモンboxかよ!!」(ベチンッ)
「ふざけるな!!」
ボールだと思っていた幼馴染の方が実はポケモントレーナーだったことに実はショックを受けた。私のが絶対主人公っぽいのに。
ムカついたのでビンタした事はいい思い出だ。
ちなみにこの時、あまりに理不尽な理由でビンタされた幼馴染は私へのヘイトと意味わからない化物に襲われ続ける環境にガチギレして殴り返してきた。
「へへっ、かかってきな!!」
「何キャラだよ!!」
「男は黙って殴り合って言葉を交わします!!」
「オマエ女じゃん!!」
結果、お互いボッコボコになり倒れ込んだ。
友情が芽生えた。
「化物怖がってびくびくしてるなよ。
見なければ視えて無いのと一緒でしょ」
「……オマエは、見えないからそう言えるんだよ」
「新種のポケモンみたいなもんでしょ?」
「違う!!」
「じゃあデジモンでいいよ」
「そういう問題じゃない!」
「難しく考えるな!」
「オマエは短絡的過ぎるよ!!」
この後また喧嘩した。
喧嘩後からはびくびくして怯える事も少なくなっていった気がする。
まぁ、嫌がっても廃墟とか連れて冒険しまくったから慣れたのかもしれない。
だってほら、学校の怪談が流行っていたから口裂け女とか人面犬とか花子さんとかいるかもしれないじゃん?
ぬーべーもいるよ。雪女になりたいんだ、私!
しかし、悲しき事に私には何も見えず……第六感も働かず幼馴染が必死に小躍りして死にそうな顔をしているのを指差して笑うしか出来ない。
だって見えないから幼馴染が一人で話ながらぴょんぴょん飛びはねると地面抉れるんだぜ?
日曜日の◯◯レンジャーより生々しいヒーロー物を見れて興奮しない奴いる?
そんな私のお陰だろうか……
学年が上がる事に泣く事は少なくなっていき、恐怖耐性も付き、普通に友達と騒ぎ、遊び、意地悪をするような悪ガキへと変貌。
どこで選択肢間違えたろ?
周りにとけ込むことを覚えた幼馴染はそれはそれはズル賢く生きるようになった。
小学
いつの間にか隣を一緒に走り回れるようになった幼馴染とじゃれ合い、泥だらけになるまで遊んでいた。
私と同じくらい最強のポジションに上がってきた幼馴染は、きっと私のライバルなんだと信じていた。お前……シゲルだったんか。ボンジュール。
男女を意識してしまう難しいお年頃、思春期。
早い子だとお付き合いを始めたり、中には興味が先走り大人の階段を登ってしまう人も。
勉強に恋に部活。
幼馴染はグングン身長が伸びていき、あっという間に背丈を抜かされた。
いつの間にやら筋肉もついてガッチリした体型に。
爽やかな笑顔で友達と接し、いつでも優しい幼馴染はそりゃあモテた。
小学校の悪ガキ具合は潜ませ、上手い具合に影で悪してる。
そこに痺れるぅ!!憧れるぅ!!ちょっとした悪さに胸がキュンキュンッ………とまぁ、女子は弱いわけですよ。
結果、幼馴染とベッタリしていたわけではないのに、一緒に居るだけで妬まれる。
付き合っているのかと囃し立てられ、睨まれ、恨まれ、僻まれ……。
「ダルい……」
「すまないね。私がモテるばかりに」
「冗談は前髪だけにしてよ」
小学校までは私が最強だと思っていたが、男女の差にどうしても勝てない時が出てきた。
力、筋肉、体力。
どう頑張っても幼馴染と同じように出来ないことが増えた。同い年の男の子にも負ける事が増えていった。
「あれ?また身長伸びた?」
「だね」
「……筋肉がまた」
「少し鍛え始めたんだ」
「声」
「声変わりだよ」
私と同じ目線だったはずなのに、いつの間にか見上げる高さに。
私の身体は柔く丸いのに、幼馴染は硬くゴツくなっていく。
声が低くなり……幼馴染はどんどんと男の子から男へ。
私も女の子から、女へ。
幼馴染や男子達とサッカーやバスケやかけっこで遊ぶよりも、女の子達と秘密の会話をすることが増えた。
今まで通り同じように接していても、やはり男女の違いが出てくるほど距離が出来た。
幼馴染も何やら視える関係者と知り合い、そちらの人と修行らしきもので忙しくもなり、少しだけ一緒に居る時間は減った。
少しの距離は出来たが、皆に見られない所では仲良くしていた。
「お疲れ」
「お疲れ様」
「また筋肉増えた?」
「そうかな?」
「うわっ、固い」
「キミは柔らかくなっていくね」
「デブって言いたいの?」
「触っていて気持ちいいんだよ」
最初はお互いの身体の変化をつんつんする程度だった。
「見よ、この寄せ集めた肉の努力!」
「キミは恥じらいとかどこに捨ててきたんだい?」
「ほーらほら、男は好きだろ?谷間」
「しまえ」
「クラスの女子でわりとでかめだったんだぞ私」
「詳しく聞こうか」
馬鹿やってる、と笑い合う程度だった。
「うわっ、腹筋バキバキ」
「触るなスケベ」
「いいじゃん。男って乳首感じんの?」
「うっ!?な、にしてっ!!」
「……すまん。そんな気は無かった」
「セクハラだよ。どうしてくれる」
「私のおっぱい触らせてやるから筋肉触らせろ」
お互いに無いものが魅力的に見えた。
幼馴染は柔らかな身体を。
私は硬い筋肉を。
「はぁ、んっ……その、触り方っ」
「痛い?」
「いた、く…ない、けど」
「膝モジモジしてる」
「だって……何か、身体変」
感触を確かめていたのから快楽を拾い。
その時の雰囲気と精への興味がどんどん強くなるにつれて、行為もエスカレート。
触って、キスして、指を入れて、擦って。
「嫌なら、逃げて」
「……今さら?チキンかよ」
「人の優しさを無下にするのはどこの馬鹿かな?」
「こんな身体にしたのアンタじゃん」
「いいんだね?」
「……嫌なら、許してない」
彼氏彼女なんて関係より不純で、幼馴染としては近すぎて、友人とは離れた関係を言葉に当てはめるには何と現せば良いかわからないが…。
距離感がバグって近しい関係だった。
中学
性春。
私は最強になれない普通の一般的な女の子で、特別な力など無いヒーローにもヒロインにもなれない存在だと気付いてしまった。
その一方、幼馴染は主人公になれるような特別な存在であり、私はこの人に守られるその他大勢の一人だと思うといつの間にか開いた距離が遠すぎて悲しくなった。
その差を身体で埋めよう、だなんてズルい女だ。
繋げている時は幼馴染も同じ人間だと思って安心出来た。
幼馴染は東京の高校へ。
私は地元の公立へ。
お互い内定は決まっていて、新学期までの残った春休みは幼馴染の引っ越し作業の手伝い。
まぁ、手伝いと称してヤることヤっているだけ。
気持ちいい事には勝てない。だって性春は今しかないから!!
いつも通りの日々。
いつも通りの幼馴染。
いつも通りの………。
「んっ、やだぁっ」
「駄目」
「そこっ!」
「ここがいいの?」
「あっ!!やんっ、ンンッああああッ!!」
気持ちよさにイッた瞬間脳裏を過る記憶に無い記憶の数々。
「………っ!!?」
「締め、すぎっ!……クッ」
情報量の多さと気持ちよさに色々トんだ。
初めての経験に幼馴染は焦って私を往復ビンタ。
一時は記憶を取り戻したものの
「……な、で」
「ちょっと、大丈夫かい?」
「この、タイミング……」
膨大な量の記憶と情報。
それを処理しながら今の状況と照らし合わせていく脳内。
前世の記憶やら、支部やら、原作やら諸々……
「……グッナイ」
「待って。寝ないで。まだ足りない」
「クズがッ」
「やだ。足りない」
幼馴染の心配より、己の精力を優先させようとした幼馴染が公式のクズだったと理解して、記憶を飛ばした。
あとがき
名前変換どこ消えた?(笑)