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※14〜のネタバレあり
※コミック派注意
いや、あの脹相くん?
私が言うのもなんだけど空気読んで?
おにぃちゃんだぞって……。
何があったのかわからないが、脹相くんの敵はオイルらしい。
容赦など無く白髪の女の子へ攻撃していた。
オイルに抱えられながら避けるが、脹相くんの狙いはオイル。
つまり、此方に攻撃が向く。
「ちょぉぉおおおっ!!!!!」
脇に抱えられながらひょいひょい避けられてみろ。
体の諸々に腕が食い込み痛いし、遠心力痛いし、何よりスレスレで当たりそうなのが怖い。
脹相くんが接近に持ち込んで来た時点で、私はオイルに空中に放り投げられた。
「クソオイルっ!!」
「ごめんごめん」
まったく悪気無くへらへらしながら余裕そうに脹相くんの拳を受け流し、蹴りを脹相くんの腹へ。
私は3号を召還し、少し離れた位置に着地。
「無理するなよ。疲れてるだろ」
「だから何だ。
それが弟の前で命を張らない理由になるか?」
まじで脹相くんどうした?
何の記憶改変でそうなった?
彼の中で完結しても周りはまっったくついていけてません。
「脹相くん悠仁くんと何あったの?」
よくわからないが、今この場で皆の敵はオイル。
この機にどうにか悟を、獄門疆を奪い取ろうと学生達が動き出す。
桃ちゃんの合図で走り出した……が
「全員避けて!!」
私から見えたのは、白い髪の女の子の姿。
たった一瞬で氷漬けとなった全員。
生きてはいる。
だが、一瞬で全員の動きが止められた。
「1号!!氷を…」
「動くな」
「……ワォ、速いね」
氷点下の眼差しで喉元に鋭い何かを当てられる。
3号が唸るのを手で制する。
「殺すなよ。伝達役は必要だ」
「チッ」
「名前に手出しも許さない」
「全員生かす理由になるか?」
ボココッと脹相くんに貫かれたはずの手を戻す。
痛みを感じていないのか……それは宿儺さんや呪霊達が自身を治す反転術式の様子にも似ていて術式の扱いの次元が違う。
「この程度の氷…!!」
女の子に腕を引かれ、再びオイルの側へ押される。隙を見て逃げようって思った。
できたらいいな、頑張ろう私。
YDK
やればできる子だから、私。
脹相くんが自分で氷を溶かす中……
「どの程度だ?」
指先が鋭く尖っている。
今の状況でビーム出たら洒落にならんやつ。
そんな中、悠仁くんが脹相くんへ向かって飛び蹴りで氷からの救出。
ついでに私の腕を引いてくれたのはいいけど……いきなりの勢いにぐにんって視界がブレたんだけど。
「誰の肉体だと…!!」
「名前姉無事?」
「一瞬気持ち悪くなったけどありがと、悠仁くん」
「味方でいいんだな!?」
「違う!!」
「あ"!?」
「俺はお兄ちゃんだ」
「「真面目にやってくんねーかなぁ!!」」
「とりあえず1回呼んでみてくれないか?」
ーーーお兄ちゃんと
脹相くん、しつこいぞ。
あと、君……そんなキャラだったか?
あ、お兄ちゃんしてる時はだいたいそんなキャラだったわ。
地面に降りてきた桃ちゃんが敵二人へと鎌鼬のように風の刃を飛ばすも、白髪の女の子が片手で払う。
「クソ!!虎杖君!!今動けるのは私達だけ。
歌姫先生の準備ができるまで時間を稼ぐよ!!」
「桃ちゃん、それあかんやつ!!完全にフラグだって」
「意味わかんないこと言ってないで、アナタが一番避難しなきゃっ」
「伝達役なんて
虎杖悠仁一人で事足りるでしょう!!」
私を除く三人が氷に捕まる。
「1号!!」
炎を吐き出す1号が三人の氷を溶かそうとしても間に合わないほど三人を覆い尽くす。
間に合わない。
また、失うのか……っ
悠仁くんを腕に抱き、4号で脹相くんと桃ちゃんと己に結界を複数重ねる。
せめて、せめて命だけでも……っ
目を瞑り、衝撃に耐える。
が、何も起こらない。
「久しぶりだね、夏油君」
聞いた事の無い声がした。
目を開ければ頭を覆い尽くそうとしていた氷が切断されているように無い。
長い髪が風に揺れている。
引き締まったくびれ、ぷりっと上がったお尻。
「あの時の答えを聞かせてもらおうか」
胸を寄せ、人差し指を口に当てたのをCHUっとリップ音までさせながらオイルへ飛ばす。
「どんな女が好みだい?」
「九十九由基!!」
え?オイルの好みこの人?
「……待って。この台詞どっかでも聞いた…」
「名前姉、しっ。今絶対口挟んじゃいけないやつ」
「……あぁ」
「待って。何で俺見て納得したの?」
「悠仁くんって東堂くんといい脹相くんといい、変なの引き寄せるフェロモンでも出てるの?」
「俺よりも変な人引き寄せてる名前姉に言われたくない!!」
すまん。
けど、どっちもどっちかと。
変なもんホイホイが集まると変なもん寄って来るらしい。
そんな私達を無視して話は進められる。
「覚えているかな?
世界から呪霊をなくす方法。
どんな手段とるにしろ、人類を一つ上の段階へと進めることになる。
人類の未来、それは呪力からの"脱却"だよ」
「違う。呪力の"最適化"だ」
アイツ何言ってんの?
空気読めねーな、わかってねーな。
って感じにこっち見るのやめてくれない?
そもそもお姉さん誰?
「………いや、俺にはどちらもサッパリ」
つーか誰!?って言える悠仁くん勇者かよ。
「脱却プランは12年前禪院甚爾が死んだ時点で捨てたと思っていたよ」
「夏油君に話しかけたんだけどね。まぁいいか。
初心に還ったのさ。
それに"最適化"プランには大きな穴がある。
海外では日本に比べて呪術師や呪霊の発生が極端に少ない。
最適化プランには天元の結界が必要不可欠なハズだ。
天元を利用するということは呪力が最適化され術師と成るのはこの国の人間限定。
呪力というエネルギーをほぼ、日本が独占することになる。
彼の国は勿論、中東諸国が黙っちゃいない。
生身の人間がエネルギー源なんだ。
どんな不幸が生まれるかは想像に易いだろう。
それは私が描く理想とはかけ離れた世界だ」
「ハッハッ、それが何だ。
そもそも目的が違うんだ。
私は呪霊のいない世界も、牧歌的な平和も望んじゃいない。
非術師、術師、呪霊
これらは全て"可能性"なんだ。
"人間"という"呪力"の形のね。
だが、まだまだ。
こんなものではないハズだ。人間の可能性は。
それを自ら生み出そうともした。
だがそれでは駄目なんだ。
私から生まれるモノは私の可能性の域を出ない。
答えはいつだって混沌の中で黒く輝いているものだ。
分かるかい?
私が創るべきは私の手から離れた混沌だったんだ。
既に術式の抽出は済ませてある」
何かをしようとするオイル。
ボインのお姉さんがこちらを向く。
「真人とかいう呪霊がいるだろう!!
魂に干渉できる術式を持った奴!!」
「さっきアイツが取り込んだけど」
「マジんが〜!??」
「ゼット??」
え?なに?
何で今マジンガー?とりあえずゼット言っちゃったが。
わりと歳だな、この人。
地面に向かって無為転変を行うオイル。
「術式の遠隔発動!?」
「礼を言うよ。虎杖悠仁。
呪霊操術で取り込んだ呪霊の術式の精度は取り込んだ時点でその成長を止める。
君との戦いで真人は成長した。
本当は漏瑚も欲しかったけどまぁ仕方ないね」
「何をした」
「マーキング済の2種類の非術師に遠隔で「無為転変」を施した。
虎杖悠仁のように呪物を取り込ませた者。
吉野順平のように術式を所持しているが脳の構造が非術師の者。
それぞれの脳を術師の形に整えたんだ。
前者は器としての強度を。
後者は術式を発揮する仕様を手に入れた。
そして
…今、その呪物達の封印を解いた。
マーキングの際、私の呪力にあてられて寝たきりになった者もいたが、じきに目を覚ますだろう。
彼らにはこれから、呪力への理解を深めるための殺し合いをしてもらう。
私が厳選した子や呪物達だ。
千人の虎杖悠仁が悪意を持って放たれたとでも思ってくれ」
「千人か…控え目だな。
それに人間の理性をナメすぎだ。
力を与えただけで人々が殺し合いを始めるとでも?」
「物事には順序があるのさ。
その程度の仕込みを私が怠るわけないだろう。
質問が軽くなってきているよ」
あ、煽るなぁ……。
「ムカつくから皆でアイツボコろう」
「いや、今動けないんだけど…」
「お姉さん自由だな。あとボコるのは賛成」
凍っていた悠仁くんの身体だけじゃなく、辺りの氷が、突然溶けた。
向こう側の白い女の子が苦しそうだ。
「穿血で俺の血が混じったんだ。当然だ」
「何々?脹相くん何したん?」
「………」
「無視かコラ」
桃ちゃんが京都校の心配をしている。
ボインのお姉さんの仲間が東堂くん達を保護しているらしい。
………東堂くん、すまねぇ。
途中からほっといてた。
「まだ話の途中だよ。
私が配った呪物は千年前から私がコツコツ契約した術師達の成れの果てだ。
だが、私と契約を交わしたのは術師だけじゃない。
まぁ、そっちの契約はこの肉体を手にした時に破棄したけどね」
「まさか」
「これが、これからの世界だよ」
夥しい数の呪霊。
「じゃあね、虎杖悠仁」
獄門疆を手に薄ら笑いをするオイル。
「五条先生!!」
「君には期待しているよ。
聞いてるかい?宿儺、始まるよ。
再び、呪術全盛平安の世が…!!」
「あのさぁ」
すんごい悪役の去るシーンに水差して悪いんだけど。
「コレ、なーんだ」
語尾にハートつけちゃうくらい甘ったるい声で見せるのは箱。
目ん玉いっぱいで気持ち悪いんだけどコレ。
………レモン掛けてもいいかな。
「………は?」
「え?待って、名前姉それ…」
ボインのお姉さんと悠仁くん。
桃ちゃんも脹相くんもポカーン。
ついでにオイルも白い女の子も固まってる。
「いやー、何かさぁ……
少年紙の見せ所、基読者への地獄の幕開けみたいなシーンに水差して悪いけど」
「言っちゃいけないやつ」
「ボインのお姉さんとオイルがすっごい真剣に話し合ってて思ったの……
ギャグ挟む隙も無く、すっごい頭良さげな難しい会話に口挟むの良くないなって」
きょるん(ハート)な勢いでぶりっ子してみる。
「こちとら数話に渡ってまともなギャグ入れられず大変なんだぞ。
約一年この戦い見守って連載の区切りをどう終わらせるべきかモンモンとしていた作者の気持ちに寄り添ってくれよ」
「それ一番言っちゃいけないやつだよ名前姉!!!」
「ギャグのネタ切れなんだよ!!!」
調子のって続けたシリーズだし、楽しく書いているけど本誌に沿わせると地獄なんだ!!
ギャグが見つからないんだ!!
「……そんなこんな裏事情は置いといて」
「この子自由過ぎない?」
「ボインのお姉さんに言われたくないな。
少年紙の見せ所、悪役が立ち去るシーンならさぁ……出すと思ったんだよね。大事な鍵」
手に持つ箱。
これに悟が入っているらしい。
「何の為にわざわざ危険だとわかってアンタの胸の中に飛び込んだと思う?」
「……私がすり替えに気付かないとでも?」
「本物かどうか、開門してみりゃいーじゃん」
「ノらないよ」
「私はね、アンタらに比べりゃそりゃー無力だよ」
力も無い。
人間でも無い。
呪術師でも無い。
「世界とか、可能性とか、脱却とか、最適化とか……私からすりゃどーでもいいんだわ」
パチン、と指を鳴らす。
大量の呪霊達は私を見る。
「今、この場で誰が一番有利だと思う?」
「強がりは止めときなよ」
「取り込まなきゃ使役出来ないアンタとは格が違うんだよ」
"お願い"
私の一言に呪霊達の動きが止まる。
ギリッと歯を食い縛るオイル。
私の"世界"を壊すオイル。
私の"大切なモノ"を奪うオイル。
お前のせいで、沢山の人が傷付いた。
お前のせいで、沢山の人が泣いた。
お前が私の大切な世界を傷付けた。
「何百年だか何千年だか知らないけどさ
古のジジィの我が儘に若人達を巻き込むんじゃねーよ」
中指を立ててから、オイルに指差す。
「お願い……そのオイルにお仕置き☆だ」
一斉に飛びかかる呪霊達。
土煙が酷い。
悠仁くん、脹相くん、桃ちゃん、ボインのお姉さんがポカンとしている中、3号で辺りの土煙を吹き飛ばして貰う。
呪霊達はいなくなり、恨みがましく此方を睨み付けるオイルと白い女の子。
私はにっこり笑う。
「あは!!形勢逆転」
「……君を封じるべきだったかな」
「能力も把握出来ていない非力な小娘だと侮っていたからだよ。
強者に噛みつくのはいつだって弱き者だよ」
そして、強者を倒すのも。
「乙女の幸せぶっ壊すなら全力で叩き潰す」
「乙女って歳でも無いだろ」
「よーし、3号。破壊光線だ☆」
やっちまえ。
容赦なくビームを放つ。
まぁ、当たり前に避けられたが。
「私が解き放った者達はそのままだよ」
「それはその時考えるさ」
「本当、何をしでかすかわからない子だね」
「前髪」
君がまだソイツの中にいるなら。
「いつまでおねんねしてんの?赤ちゃんかよ。
おはようの時間ですよー!」
「夏油君の扱いが赤ちゃん…」
「そんでチョコミント食べながらお散歩するよ」
「どんな状況?それ」
「あ、あと前髪引きちぎらせろ」
「緊張感持て」
ボインのお姉さん、悠仁くん、脹相くんからそれぞれツッコミを入れられる。
私は、
私達は、これでいいんだよ。
「白髪と、美少女と、前髪と、私で
また馬鹿みたいなくだらない話しよ。
同窓会すっぞ」
卒業式も成人式も全部出来なかったから。
お酒片手にボコッて笑う。
私の言葉に反応し、暴れだす右手を左手で抑えるオイル。
「いい大人が一人でアシタカごっこしてんの?
やるなら正々堂々!!周りを巻き込むレベルでやれ!!」
「名前姉いい加減空気読もう?俺でもわかるよ?」
「え?あれって厨二病みたいな「俺の右手が疼く!!」って奴じゃない?」
「だとしたら痛いよー!!あいたたたた!!痛い痛い!
おかーさーん!!あのオイル痛いからちょっと絆創膏持ってきてー!!」
人一人包み込めるくらいのやつー!!
「オイ」
「悪ふざけはこのくらいで……」
「この人フザケ過ぎじゃない?」
「オイルを全員でシバく。
それまでその私の友人の身体、大事に扱っとけ」
ビシッ、と指差して決まった。
オイルからはゴミを見るような絶対零度の視線を向けられる。
「今は見逃してあげるから、巣へお帰り」
「……足掻いてごらん。君を本当の意味で使えるのは私だよ」
「私の生き方を決めるのは私だ。
だから、好きなように私が幸せである為の道を生きるさ」
その為に、今はお前とは戦わない。
今ある命を、私の大切なモノをこれ以上傷付けさせない為に。
「またね、名前」
「次会ったら全力で燃やすから覚悟してろオイル」
いなくなったオイル。
緊張の糸が途切れてその場に座り込んでしまった。
「名前姉!?」
「あー、ごめん。平気だよ悠仁くん」
「ビビった……」
「ははっ、膝が笑ってる」
かくかくしている膝。
手も震えて獄門疆を持っているのが難しい。
けれど、大事な箱をしっかり握り締める。
「それ、どうやってすり替えたの?」
「オイルに捕まって密着してたらそりゃーいくらでもチャンスはあったから」
「いやいや。チャンスじゃないからそれ!!
君、未知の存在なんだから向こう側に居たらそれこそ大ピンチだったんだよ!?」
ボインのお姉さんが顔を近付けてくる。
おぉ、美人半端ねぇ。
「いざとなったら宿儺さん召還してでも逃げたよ。
悟奪還が最優先だったし、ペロペロにナメ腐ってるオイルなら多少の予想外で余裕ぶっこきながら私を簡単に手放すと思ってたし」
「考えが雑!!」
「学生の頃ハンター目指してゾルディックの技練習していた妙技が生かされるとは……」
腕を変形はさせられんが、盗人スキルは上がったよ。
大丈夫!!一般人にはしてない!!
友人の財布抜き取って遊びはしたけど中身は抜いてないから安心したまえ!!
「名前姉って馬鹿だけど凄いよな」
「ただの馬鹿だろ」
「そこの謎兄弟、悪口禁止」
誰もが憧れるだろ?ゾルディック。
古の夢女達ならわかるはずだ。
拷問されたくはないが、妹・姉・嫁みたいな立場で暗殺者として育てられた暗いけど俺TUEEEEEな過去を持つ女なら誰だって………。
「人間極めれば可能性は無限大なんだよ」
「いい話っぽくまとめようとしてない?」
「終わり良ければ全てよし」
「よし!じゃあひとまず状況確認と撤退だね。
立てそうかい?」
「無理かなー」
「俺持つよ!」
悠仁くんにお姫様抱っこで抱えられ、周りを見渡す。
街が壊れている。
沢山の人が亡くなった。
沢山の傷が出来た。
「………」
「名前姉?」
キョトン、と此方を見上げる悠仁くん。
「……頑張ったね、悠仁くん」
よしよし、と頭を撫でる。
一番傷を負ったのは……多分悠仁くん。
宿儺さんに変わった時に宿儺さんが人を殺さないなんて優しさ、彼には無い。
現に、私が起きた時に死体があったくらいだし。
「生きてて良かった」
「……名前姉」
「悠仁くん。生きてくれて、ありがとう」
「でも、俺……っ」
「悠仁くんが見たもの、背負ったもの沢山あったと思う……。
けど、言わせて?」
私の大切な世界の一部。
私の大切な子。
「生きていてくれてありがとう」
「………っ」
泣き出してしまった悠仁くんを抱き締める。
沢山頑張ったから。
沢山傷付いたから。
沢山我慢したから。
今、一休憩出来るこの瞬間くらい。
沢山のモノを背負った負担を分かち合うくらいの時間はある。
吐き出して
泣き出して
すがって
わめいて
どんな弱さも、私は受け止めるから。
「ありがとう、悠仁くん」
君の為に、なんて言わない。
私の為に、言わせて。
あとがき
はーーーーっ、やっと終わりが見えました。
盛大な最新ネタバレで書かせていただき、コミックス派の方々すいません。
自分で書いといてアレですが、伏線とか覚えてないし多分書ききれていないのもある。
それは番外編でリクエスト貰ったときに書こうかなーとかあまっちょろい事考えてます。
次回、最終話。
次回「まだ終わらない。わたしたちが生きているのだから。力をかしておくれ」
もう少しだけ、お付き合いくださいませ!!!
※コミック派注意
いや、あの脹相くん?
私が言うのもなんだけど空気読んで?
おにぃちゃんだぞって……。
何があったのかわからないが、脹相くんの敵はオイルらしい。
容赦など無く白髪の女の子へ攻撃していた。
オイルに抱えられながら避けるが、脹相くんの狙いはオイル。
つまり、此方に攻撃が向く。
「ちょぉぉおおおっ!!!!!」
脇に抱えられながらひょいひょい避けられてみろ。
体の諸々に腕が食い込み痛いし、遠心力痛いし、何よりスレスレで当たりそうなのが怖い。
脹相くんが接近に持ち込んで来た時点で、私はオイルに空中に放り投げられた。
「クソオイルっ!!」
「ごめんごめん」
まったく悪気無くへらへらしながら余裕そうに脹相くんの拳を受け流し、蹴りを脹相くんの腹へ。
私は3号を召還し、少し離れた位置に着地。
「無理するなよ。疲れてるだろ」
「だから何だ。
それが弟の前で命を張らない理由になるか?」
まじで脹相くんどうした?
何の記憶改変でそうなった?
彼の中で完結しても周りはまっったくついていけてません。
「脹相くん悠仁くんと何あったの?」
よくわからないが、今この場で皆の敵はオイル。
この機にどうにか悟を、獄門疆を奪い取ろうと学生達が動き出す。
桃ちゃんの合図で走り出した……が
「全員避けて!!」
私から見えたのは、白い髪の女の子の姿。
たった一瞬で氷漬けとなった全員。
生きてはいる。
だが、一瞬で全員の動きが止められた。
「1号!!氷を…」
「動くな」
「……ワォ、速いね」
氷点下の眼差しで喉元に鋭い何かを当てられる。
3号が唸るのを手で制する。
「殺すなよ。伝達役は必要だ」
「チッ」
「名前に手出しも許さない」
「全員生かす理由になるか?」
ボココッと脹相くんに貫かれたはずの手を戻す。
痛みを感じていないのか……それは宿儺さんや呪霊達が自身を治す反転術式の様子にも似ていて術式の扱いの次元が違う。
「この程度の氷…!!」
女の子に腕を引かれ、再びオイルの側へ押される。隙を見て逃げようって思った。
できたらいいな、頑張ろう私。
YDK
やればできる子だから、私。
脹相くんが自分で氷を溶かす中……
「どの程度だ?」
指先が鋭く尖っている。
今の状況でビーム出たら洒落にならんやつ。
そんな中、悠仁くんが脹相くんへ向かって飛び蹴りで氷からの救出。
ついでに私の腕を引いてくれたのはいいけど……いきなりの勢いにぐにんって視界がブレたんだけど。
「誰の肉体だと…!!」
「名前姉無事?」
「一瞬気持ち悪くなったけどありがと、悠仁くん」
「味方でいいんだな!?」
「違う!!」
「あ"!?」
「俺はお兄ちゃんだ」
「「真面目にやってくんねーかなぁ!!」」
「とりあえず1回呼んでみてくれないか?」
ーーーお兄ちゃんと
脹相くん、しつこいぞ。
あと、君……そんなキャラだったか?
あ、お兄ちゃんしてる時はだいたいそんなキャラだったわ。
地面に降りてきた桃ちゃんが敵二人へと鎌鼬のように風の刃を飛ばすも、白髪の女の子が片手で払う。
「クソ!!虎杖君!!今動けるのは私達だけ。
歌姫先生の準備ができるまで時間を稼ぐよ!!」
「桃ちゃん、それあかんやつ!!完全にフラグだって」
「意味わかんないこと言ってないで、アナタが一番避難しなきゃっ」
「伝達役なんて
虎杖悠仁一人で事足りるでしょう!!」
私を除く三人が氷に捕まる。
「1号!!」
炎を吐き出す1号が三人の氷を溶かそうとしても間に合わないほど三人を覆い尽くす。
間に合わない。
また、失うのか……っ
悠仁くんを腕に抱き、4号で脹相くんと桃ちゃんと己に結界を複数重ねる。
せめて、せめて命だけでも……っ
目を瞑り、衝撃に耐える。
が、何も起こらない。
「久しぶりだね、夏油君」
聞いた事の無い声がした。
目を開ければ頭を覆い尽くそうとしていた氷が切断されているように無い。
長い髪が風に揺れている。
引き締まったくびれ、ぷりっと上がったお尻。
「あの時の答えを聞かせてもらおうか」
胸を寄せ、人差し指を口に当てたのをCHUっとリップ音までさせながらオイルへ飛ばす。
「どんな女が好みだい?」
「九十九由基!!」
え?オイルの好みこの人?
「……待って。この台詞どっかでも聞いた…」
「名前姉、しっ。今絶対口挟んじゃいけないやつ」
「……あぁ」
「待って。何で俺見て納得したの?」
「悠仁くんって東堂くんといい脹相くんといい、変なの引き寄せるフェロモンでも出てるの?」
「俺よりも変な人引き寄せてる名前姉に言われたくない!!」
すまん。
けど、どっちもどっちかと。
変なもんホイホイが集まると変なもん寄って来るらしい。
そんな私達を無視して話は進められる。
「覚えているかな?
世界から呪霊をなくす方法。
どんな手段とるにしろ、人類を一つ上の段階へと進めることになる。
人類の未来、それは呪力からの"脱却"だよ」
「違う。呪力の"最適化"だ」
アイツ何言ってんの?
空気読めねーな、わかってねーな。
って感じにこっち見るのやめてくれない?
そもそもお姉さん誰?
「………いや、俺にはどちらもサッパリ」
つーか誰!?って言える悠仁くん勇者かよ。
「脱却プランは12年前禪院甚爾が死んだ時点で捨てたと思っていたよ」
「夏油君に話しかけたんだけどね。まぁいいか。
初心に還ったのさ。
それに"最適化"プランには大きな穴がある。
海外では日本に比べて呪術師や呪霊の発生が極端に少ない。
最適化プランには天元の結界が必要不可欠なハズだ。
天元を利用するということは呪力が最適化され術師と成るのはこの国の人間限定。
呪力というエネルギーをほぼ、日本が独占することになる。
彼の国は勿論、中東諸国が黙っちゃいない。
生身の人間がエネルギー源なんだ。
どんな不幸が生まれるかは想像に易いだろう。
それは私が描く理想とはかけ離れた世界だ」
「ハッハッ、それが何だ。
そもそも目的が違うんだ。
私は呪霊のいない世界も、牧歌的な平和も望んじゃいない。
非術師、術師、呪霊
これらは全て"可能性"なんだ。
"人間"という"呪力"の形のね。
だが、まだまだ。
こんなものではないハズだ。人間の可能性は。
それを自ら生み出そうともした。
だがそれでは駄目なんだ。
私から生まれるモノは私の可能性の域を出ない。
答えはいつだって混沌の中で黒く輝いているものだ。
分かるかい?
私が創るべきは私の手から離れた混沌だったんだ。
既に術式の抽出は済ませてある」
何かをしようとするオイル。
ボインのお姉さんがこちらを向く。
「真人とかいう呪霊がいるだろう!!
魂に干渉できる術式を持った奴!!」
「さっきアイツが取り込んだけど」
「マジんが〜!??」
「ゼット??」
え?なに?
何で今マジンガー?とりあえずゼット言っちゃったが。
わりと歳だな、この人。
地面に向かって無為転変を行うオイル。
「術式の遠隔発動!?」
「礼を言うよ。虎杖悠仁。
呪霊操術で取り込んだ呪霊の術式の精度は取り込んだ時点でその成長を止める。
君との戦いで真人は成長した。
本当は漏瑚も欲しかったけどまぁ仕方ないね」
「何をした」
「マーキング済の2種類の非術師に遠隔で「無為転変」を施した。
虎杖悠仁のように呪物を取り込ませた者。
吉野順平のように術式を所持しているが脳の構造が非術師の者。
それぞれの脳を術師の形に整えたんだ。
前者は器としての強度を。
後者は術式を発揮する仕様を手に入れた。
そして
…今、その呪物達の封印を解いた。
マーキングの際、私の呪力にあてられて寝たきりになった者もいたが、じきに目を覚ますだろう。
彼らにはこれから、呪力への理解を深めるための殺し合いをしてもらう。
私が厳選した子や呪物達だ。
千人の虎杖悠仁が悪意を持って放たれたとでも思ってくれ」
「千人か…控え目だな。
それに人間の理性をナメすぎだ。
力を与えただけで人々が殺し合いを始めるとでも?」
「物事には順序があるのさ。
その程度の仕込みを私が怠るわけないだろう。
質問が軽くなってきているよ」
あ、煽るなぁ……。
「ムカつくから皆でアイツボコろう」
「いや、今動けないんだけど…」
「お姉さん自由だな。あとボコるのは賛成」
凍っていた悠仁くんの身体だけじゃなく、辺りの氷が、突然溶けた。
向こう側の白い女の子が苦しそうだ。
「穿血で俺の血が混じったんだ。当然だ」
「何々?脹相くん何したん?」
「………」
「無視かコラ」
桃ちゃんが京都校の心配をしている。
ボインのお姉さんの仲間が東堂くん達を保護しているらしい。
………東堂くん、すまねぇ。
途中からほっといてた。
「まだ話の途中だよ。
私が配った呪物は千年前から私がコツコツ契約した術師達の成れの果てだ。
だが、私と契約を交わしたのは術師だけじゃない。
まぁ、そっちの契約はこの肉体を手にした時に破棄したけどね」
「まさか」
「これが、これからの世界だよ」
夥しい数の呪霊。
「じゃあね、虎杖悠仁」
獄門疆を手に薄ら笑いをするオイル。
「五条先生!!」
「君には期待しているよ。
聞いてるかい?宿儺、始まるよ。
再び、呪術全盛平安の世が…!!」
「あのさぁ」
すんごい悪役の去るシーンに水差して悪いんだけど。
「コレ、なーんだ」
語尾にハートつけちゃうくらい甘ったるい声で見せるのは箱。
目ん玉いっぱいで気持ち悪いんだけどコレ。
………レモン掛けてもいいかな。
「………は?」
「え?待って、名前姉それ…」
ボインのお姉さんと悠仁くん。
桃ちゃんも脹相くんもポカーン。
ついでにオイルも白い女の子も固まってる。
「いやー、何かさぁ……
少年紙の見せ所、基読者への地獄の幕開けみたいなシーンに水差して悪いけど」
「言っちゃいけないやつ」
「ボインのお姉さんとオイルがすっごい真剣に話し合ってて思ったの……
ギャグ挟む隙も無く、すっごい頭良さげな難しい会話に口挟むの良くないなって」
きょるん(ハート)な勢いでぶりっ子してみる。
「こちとら数話に渡ってまともなギャグ入れられず大変なんだぞ。
約一年この戦い見守って連載の区切りをどう終わらせるべきかモンモンとしていた作者の気持ちに寄り添ってくれよ」
「それ一番言っちゃいけないやつだよ名前姉!!!」
「ギャグのネタ切れなんだよ!!!」
調子のって続けたシリーズだし、楽しく書いているけど本誌に沿わせると地獄なんだ!!
ギャグが見つからないんだ!!
「……そんなこんな裏事情は置いといて」
「この子自由過ぎない?」
「ボインのお姉さんに言われたくないな。
少年紙の見せ所、悪役が立ち去るシーンならさぁ……出すと思ったんだよね。大事な鍵」
手に持つ箱。
これに悟が入っているらしい。
「何の為にわざわざ危険だとわかってアンタの胸の中に飛び込んだと思う?」
「……私がすり替えに気付かないとでも?」
「本物かどうか、開門してみりゃいーじゃん」
「ノらないよ」
「私はね、アンタらに比べりゃそりゃー無力だよ」
力も無い。
人間でも無い。
呪術師でも無い。
「世界とか、可能性とか、脱却とか、最適化とか……私からすりゃどーでもいいんだわ」
パチン、と指を鳴らす。
大量の呪霊達は私を見る。
「今、この場で誰が一番有利だと思う?」
「強がりは止めときなよ」
「取り込まなきゃ使役出来ないアンタとは格が違うんだよ」
"お願い"
私の一言に呪霊達の動きが止まる。
ギリッと歯を食い縛るオイル。
私の"世界"を壊すオイル。
私の"大切なモノ"を奪うオイル。
お前のせいで、沢山の人が傷付いた。
お前のせいで、沢山の人が泣いた。
お前が私の大切な世界を傷付けた。
「何百年だか何千年だか知らないけどさ
古のジジィの我が儘に若人達を巻き込むんじゃねーよ」
中指を立ててから、オイルに指差す。
「お願い……そのオイルにお仕置き☆だ」
一斉に飛びかかる呪霊達。
土煙が酷い。
悠仁くん、脹相くん、桃ちゃん、ボインのお姉さんがポカンとしている中、3号で辺りの土煙を吹き飛ばして貰う。
呪霊達はいなくなり、恨みがましく此方を睨み付けるオイルと白い女の子。
私はにっこり笑う。
「あは!!形勢逆転」
「……君を封じるべきだったかな」
「能力も把握出来ていない非力な小娘だと侮っていたからだよ。
強者に噛みつくのはいつだって弱き者だよ」
そして、強者を倒すのも。
「乙女の幸せぶっ壊すなら全力で叩き潰す」
「乙女って歳でも無いだろ」
「よーし、3号。破壊光線だ☆」
やっちまえ。
容赦なくビームを放つ。
まぁ、当たり前に避けられたが。
「私が解き放った者達はそのままだよ」
「それはその時考えるさ」
「本当、何をしでかすかわからない子だね」
「前髪」
君がまだソイツの中にいるなら。
「いつまでおねんねしてんの?赤ちゃんかよ。
おはようの時間ですよー!」
「夏油君の扱いが赤ちゃん…」
「そんでチョコミント食べながらお散歩するよ」
「どんな状況?それ」
「あ、あと前髪引きちぎらせろ」
「緊張感持て」
ボインのお姉さん、悠仁くん、脹相くんからそれぞれツッコミを入れられる。
私は、
私達は、これでいいんだよ。
「白髪と、美少女と、前髪と、私で
また馬鹿みたいなくだらない話しよ。
同窓会すっぞ」
卒業式も成人式も全部出来なかったから。
お酒片手にボコッて笑う。
私の言葉に反応し、暴れだす右手を左手で抑えるオイル。
「いい大人が一人でアシタカごっこしてんの?
やるなら正々堂々!!周りを巻き込むレベルでやれ!!」
「名前姉いい加減空気読もう?俺でもわかるよ?」
「え?あれって厨二病みたいな「俺の右手が疼く!!」って奴じゃない?」
「だとしたら痛いよー!!あいたたたた!!痛い痛い!
おかーさーん!!あのオイル痛いからちょっと絆創膏持ってきてー!!」
人一人包み込めるくらいのやつー!!
「オイ」
「悪ふざけはこのくらいで……」
「この人フザケ過ぎじゃない?」
「オイルを全員でシバく。
それまでその私の友人の身体、大事に扱っとけ」
ビシッ、と指差して決まった。
オイルからはゴミを見るような絶対零度の視線を向けられる。
「今は見逃してあげるから、巣へお帰り」
「……足掻いてごらん。君を本当の意味で使えるのは私だよ」
「私の生き方を決めるのは私だ。
だから、好きなように私が幸せである為の道を生きるさ」
その為に、今はお前とは戦わない。
今ある命を、私の大切なモノをこれ以上傷付けさせない為に。
「またね、名前」
「次会ったら全力で燃やすから覚悟してろオイル」
いなくなったオイル。
緊張の糸が途切れてその場に座り込んでしまった。
「名前姉!?」
「あー、ごめん。平気だよ悠仁くん」
「ビビった……」
「ははっ、膝が笑ってる」
かくかくしている膝。
手も震えて獄門疆を持っているのが難しい。
けれど、大事な箱をしっかり握り締める。
「それ、どうやってすり替えたの?」
「オイルに捕まって密着してたらそりゃーいくらでもチャンスはあったから」
「いやいや。チャンスじゃないからそれ!!
君、未知の存在なんだから向こう側に居たらそれこそ大ピンチだったんだよ!?」
ボインのお姉さんが顔を近付けてくる。
おぉ、美人半端ねぇ。
「いざとなったら宿儺さん召還してでも逃げたよ。
悟奪還が最優先だったし、ペロペロにナメ腐ってるオイルなら多少の予想外で余裕ぶっこきながら私を簡単に手放すと思ってたし」
「考えが雑!!」
「学生の頃ハンター目指してゾルディックの技練習していた妙技が生かされるとは……」
腕を変形はさせられんが、盗人スキルは上がったよ。
大丈夫!!一般人にはしてない!!
友人の財布抜き取って遊びはしたけど中身は抜いてないから安心したまえ!!
「名前姉って馬鹿だけど凄いよな」
「ただの馬鹿だろ」
「そこの謎兄弟、悪口禁止」
誰もが憧れるだろ?ゾルディック。
古の夢女達ならわかるはずだ。
拷問されたくはないが、妹・姉・嫁みたいな立場で暗殺者として育てられた暗いけど俺TUEEEEEな過去を持つ女なら誰だって………。
「人間極めれば可能性は無限大なんだよ」
「いい話っぽくまとめようとしてない?」
「終わり良ければ全てよし」
「よし!じゃあひとまず状況確認と撤退だね。
立てそうかい?」
「無理かなー」
「俺持つよ!」
悠仁くんにお姫様抱っこで抱えられ、周りを見渡す。
街が壊れている。
沢山の人が亡くなった。
沢山の傷が出来た。
「………」
「名前姉?」
キョトン、と此方を見上げる悠仁くん。
「……頑張ったね、悠仁くん」
よしよし、と頭を撫でる。
一番傷を負ったのは……多分悠仁くん。
宿儺さんに変わった時に宿儺さんが人を殺さないなんて優しさ、彼には無い。
現に、私が起きた時に死体があったくらいだし。
「生きてて良かった」
「……名前姉」
「悠仁くん。生きてくれて、ありがとう」
「でも、俺……っ」
「悠仁くんが見たもの、背負ったもの沢山あったと思う……。
けど、言わせて?」
私の大切な世界の一部。
私の大切な子。
「生きていてくれてありがとう」
「………っ」
泣き出してしまった悠仁くんを抱き締める。
沢山頑張ったから。
沢山傷付いたから。
沢山我慢したから。
今、一休憩出来るこの瞬間くらい。
沢山のモノを背負った負担を分かち合うくらいの時間はある。
吐き出して
泣き出して
すがって
わめいて
どんな弱さも、私は受け止めるから。
「ありがとう、悠仁くん」
君の為に、なんて言わない。
私の為に、言わせて。
あとがき
はーーーーっ、やっと終わりが見えました。
盛大な最新ネタバレで書かせていただき、コミックス派の方々すいません。
自分で書いといてアレですが、伏線とか覚えてないし多分書ききれていないのもある。
それは番外編でリクエスト貰ったときに書こうかなーとかあまっちょろい事考えてます。
次回、最終話。
次回「まだ終わらない。わたしたちが生きているのだから。力をかしておくれ」
もう少しだけ、お付き合いくださいませ!!!