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12月24日
クリスマス・イブ
恋人達の聖夜なる夜
そして
唯一の親友が亡くなった日。
この日の悟はどこか遠くを見つめている。
あの人を思い
あの人を偲び
あの人を憂い
あの人の幸せを願って
後悔をして
立ち止まれず進み
振り返って思い出す青春のメモリー
たった一人
悟の心に居続ける唯一無二の存在。
「ハッピーメリークリスマァッス!!!」
「「イェェエエエエイッ!!」」
パァンっと一年の教室にクラッカーが弾ける。
ひらひらと頭に降ってくる装飾にポカンとする悟。
「何してんの?」
「クリスマスといえばクリパじゃん!!」
「喜べ。野薔薇様プロデュースよ」
「原作とは別次元なので」
「めぐみんしっ!!そこはしーよ!!」
きゃっきゃっと楽しそうにはしゃぐ生徒と私。
状況に着いていけずポカンとする悟。
「プレゼントの準備はいいかな!?」
「「イェェエエエエイッ!!」」
「僕用意してないよ?」
「現生でいいわよ」
「まじ?」
「釘崎やめろ。その人金銭バグってんぞ」
「ATMならとりあえず30万くらい?
足りないなら銀行行って100万くらい引き出すけど」
「「まじかよ」」
「今更だな」
「悟に金銭の話しちゃだめだよ」
驚く野薔薇ちゃんと悠仁くん。
本当金銭感覚おかしいからなー。
「今すぐ出せないけど……これなら」
「なになに?」
「何よこれ」
「好きな金額書いてくれたら振り込む魔法の用紙」
「「「「待て」」」」
クリパのプレゼントってレベルじゃねぇだろ、と却下。
口を尖らせる悟。
「だって僕今日クリパするって聞いてないもん」
「じゃあ今日の諸々の請求全部アンタ持ちね」
「なるほど!五条先生これ領収書!」
「後から請求します」
「君らわりと強かだね」
それぞれが領収書を手渡す一年生達。
悟がじっとこちらを見てくるが、わざと言わなかったわけじゃないし、ちゃんと割り勘して私が多めに払うつもりだった。
なので!!私は!!悪くぬぇ!!
「……とは言いきれないので、後で割り勘しよ?」
「これくらいの金額くらい払うよ」
「驚いた?」
「驚いたけどプレゼント用意させてよ」
コツン、と悟に額に拳を当てられる。
いつもの調子に子供達の輪の中へ。
「恵、その格好なに?」
「俺に言わないでください」
「ほら!伏黒の誕生日22日だったからさ!」
「まとめてお祝いよ」
「似合ってんね(笑)」
「笑ってんじゃねーよクソ教師」
青筋を浮かべためぐみん。
彼は今、真っ白なジャケットに両肩から「birthday boy」と「あんたが主役!!」という2つを垂れ下げており、鼻眼鏡に頭にはケーキの帽子。
「先生プレゼント!」
「私からよ」
「俺からもどうぞ」
「私からもあるよー」
それぞれのプレゼントを渡せば、再びポカンとする悟。
「僕の生徒と彼女が可愛い……開けてもいい?」
がさがさと、開ける悟。
取り出した袋からは……2021年の眼鏡とピロピロ笛と梅ミンツ。
「俺のだ!!五条先生顔綺麗だから眼鏡かけても決まるだろうし、ピロピロ笛は懐かしくてつい。あ、梅ミンツは先生甘いの好きでしょ?」
「………悠仁」
「どう?」
「………アリガト」
固まる悟に笑いを堪える私達。
説明しながら目隠し取って眼鏡つけさせ、ピロピロ笛を咥えさせる悠仁くん強い。
もう笑うに笑えず顔をそっと反らす。
「野薔薇?恵?名前?」
「や、やめて……ちょっとこっち見ないで」
「………似合って……ま、す……よ」
「あはははは!悟、普通にヤベェ奴!!」
「よーし、名前アイアンクローな」
ミシミシ頭がっっ!!!
眼鏡などを一度袋にしまい、次へ。
ミルクセーキ(普通)、ミルクセーキ(いちご)、ミルクセーキ(チョコ)、ミルクセーキ(抹茶)。
「私ね」
「野薔薇?」
「喜べ。色んな味を揃えてやったんだから」
「アリガト」
バリバリ食べてうま……と呟く28歳。
良かったね。おやつに困らないよ!!
続いて少し大きめの袋……中身はうまい棒とチュッパチャプス。
「俺ですね」
「恵……」
「ちゃんとうまい棒はシュガーラスク味です」
「ちゃんとの意味とは?」
そして残るは私のプレゼント。
ここまできたならわかるね?みんな。
「………酢昆布、よっちゃんいか、ココアシガレット(抹茶)、ブタメン、ビッグカツ、タラタラしてんじゃねーよ」
「甘いのばかりじゃ飽きるでしょ?」
「何これ?」
「駄菓子」
グッ、と親指を立てるがチョップされた。
「何で駄菓子オンリー?」
「プレゼントを駄菓子縛りにしたから」
「その心は?」
「ケーキとチキンに力を入れたかった」
生徒らと頷く。
だってめぐみんのプレゼントもあったし。
「プレゼント交換する?」
「ねぇ、僕個人には駄菓子だったのにキミらは交換なの?」
「気に入らなかった?先生……ごめん」
「アンタこれから名前さんと過ごすんだろ?
………足の小指ぶつけろ」
「リア充滅べ。外で転べ」
「地味な呪いかけないでくれる?
悠仁、僕気に入ってるからありがと」
まぁ、私らのプレゼントの中身も駄菓子縛りなんだけど。
なぜって?買い出しの時にノリで駄菓子屋入ったら楽しくなってしまったから。
「能天気だな」
「出てくんなって」
悠仁くんのほっぺから宿儺さんが。
ペチリと頬を叩くが手の甲から口が。
「えいっ」
「ぐっ」
「ちょっと何してんの名前姉!?」
「メリクリ宿儺さん!!一緒にクリパ参加したくなったの?」
「殺すゾ」
「あ、酢昆布より塩昆布が良かった?」
「殺す」
「物騒だなぁ」
「アンタのが物騒じゃない」
「宿儺にそんな事出来るの名前さんくらいですよ」
「ゴマ昆布のお握りのが良かった?」
「………」
ひゅんっ、といなくなった宿儺さん。
クリぼっちが嫌だったのかな?
「名前姉……凄すぎ」
「茎ワカメ派だったのかな?」
「そこから離れなさいよ」
「馬鹿なの?オマエ」
「いひゃい」
悟によるおしおきが執行された。
頬がびよんびよん伸ばされる。
なんでだ!?宿儺さんもクリパ参加したそうだったから、駄菓子分けて気分だけでもって思ったのに!!
そんなこんなで、途中参加した2年や硝子ちゃんも巻き込んでクリパとめぐみんの誕生会をした。
今回は2年も任務だったし、明日は1年生達も任務が入るってことなので盛大にすることは出来なかったが皆でご飯を食べて楽しめた。
家に帰って駄菓子を見つめる悟。
「はい、メリークリスマス悟」
「何これ?」
「クリスマスプレゼント」
「貰ったよ?」
「あれはアレ。これはコレ」
小さな可愛らしい小袋を渡せば何だと開く悟。
中から出てきたのは……小さな編みぐるみが3つ。
「……コレ」
「大変だったんだよ?学長先生の空いてる時間にちょこちょこ教えて貰ったの」
「………なんで」
「可愛く出来たでしょ?高専時代のトリオ人形」
悟に、硝子ちゃんに、前髪。
小さな小さな編みぐるみ。
自分でもなかなか上手く作れたと思っている。
「1年か……あっという間だったね」
去年はこんなお祝いをしている感じではなかった。
結果的、子供達は元気に生きているが……
大切なものを亡くした。
「悟」
ボーッと人形を見つめる悟。
「いい出来でしょ?頑張ったんだから」
「………」
「ちなみに硝子ちゃんにも作ったんだー。
馬鹿じゃんって笑われたけどね」
「………」
「そんなに前髪のことばかり考えてたら
名前さんヤキモチ妬いちゃうぞ」
「……ふっ、何だよそれ」
「昨日からずーっとぼーっとしてるから」
「そんなに?」
「前髪に妬いちゃうくらいには」
「……別に、後悔してるわけじゃないけどさぁ」
あの時楽しかった
あの時あぁしていたら
あの時どうしたら
答えの見つからない問いを何度も繰り返し
思い出すのは親友の最期
「笑ってる顔ばっか思い出すんだよ」
大口を開けて笑う姿。
口元に手をやり笑う姿。
困ったように眉を下げて笑う姿。
口角を上げ、悪い顔で笑う姿。
「胡散臭い顔でひょっこり出てきそうだもんね」
「確かに」
「『やあ、悟……久しいね?元気かい?』
ってさ……普通にね」
「僕のこと子供扱いするみたいにな」
「実際子供っぽいじゃん。前髪に比べたら」
大人はね?後輩にちんこって書いた紙押し付けないよ。前髪はまず、後輩にそんなこと絶対しないって。どちらかといえば面倒見いいからガチの正論ぶつけて叱ってくるぞ?
「今頃呆れてるよ。
『悟は私がいないと駄目だね、寂しん坊かい?』なーんて言ってね」
「違うし」
「思い出す顔が笑ってんならそれでいいじゃん」
「そんなもん?」
「そんなもんでしょ」
2度と帰って来ない存在だからこそ、思い出すなら楽しかった記憶の方がいい。
「しんみり相手を思うのも一つの弔いだろうけど、前髪相手にしんみりしてるよりは
馬鹿だなぁ、オマエもこーゆー風に生きれば良かったのに、羨ましいだろざまぁ!!僕は可愛らしい彼女も可愛らしい生徒もいて幸せだよざまぁ!!くらいの気持ちでいればいいかと」
「雑」
「前髪だぞ?悟にしんみり思って欲しいと思う?絶対気持ち悪がるよ」
「酷くない?」
「親友なんだからお互いの事くらいそれなりにわかるでしょ」
「まぁ、確かに………アイツならうざがりそう」
困った顔をしながら、少し寂しそうな顔をして笑う悟。
悟がどんな幼少期を過ごし、友人らしい友人もおらず……初めて出会えた本当の友が前髪だったとしたら……。
その喪失感は私じゃ補えないし、他の誰も代わりになどなれない。
「1日遅れたけど明日お墓参り行こうか?」
「そこにいないのに?」
「千の風となった前髪にチョコミント供えに行きたい」
「なにそれ」
「奴の好物」
「絶対違うし」
くすり、と笑った悟は手の中で人形を転がす。
「ねぇ、名前」
「んー?」
「お風呂一緒に入ろう」
「やだ」
「ぎゅっとして寝たい」
「聞いてる?」
「明日、指輪買おうか」
「おーい?」
「そのまま役所行く?」
「聞いてないな……」
「……ってくらい、名前が好きだなぁって思った」
体重をかけてこちらに寄りかかる悟。
オマエデカイんだからな?
190オーバー……つまり、筋肉な男は痛いんだぞ?重いんだぞ?
「名前好き」
「私も大好き」
オマエで良かった、と呟かれた言葉に返事はしなかった。
ただ、子供みたいな悟の頭を撫でて同じソファーの隣に座る。
「仕方ないから悟くんのお願いを聞いてあげよう」
「手、握って」
「ほい」
「一緒にお風呂」
「悪戯しないなら」
「えー、そこはさせてよ」
「しつこそうだもん。我、明日仕事だぞ」
「僕も仕事」
「私の体力考えろ」
「平気平気。それでねー、僕に抱き締められながら寝て」
「ん」
「朝起きたらちゅーしながら起こして」
「そしたら最強さんはいつも通り?」
「うん。今日だけはさ、許して」
ーーー強いままの自分だけじゃなく
弱い僕も受け入れて
甘え方を知らない
寂しさの伝え方も
悲しさの伝え方も
ただ一人で全てを乗り越えるものだと思っていたから……
「私が駄目な時に悟が守ってね」
「うん」
「悟が駄目な時は私が守るから」
「名前強そうだ」
「任せろ。笑いと奇行と幸せをお届けしたる」
「充分貰ってる」
「悟くん限定で無償の愛もお付けしておりまーす」
「ははっ。じゃあ、愛情一つ速達で」
「毎度あり」
悟の額に、瞼に、頬に、鼻に、顎に、耳に
キスを落としていく。
いつの間にやらやりやすいように、と悟の膝の上に乗せられてゆるく腰を抱かれている。
「口は?」
「別料金でーす」
「は?」
「口をご所望の方は前払いでお願いしまーす」
「いくら?」
「目がガチかよ。財布に手を伸ばすな」
「前払いっつったじゃん」
ムスッとする悟が可愛くて髪の毛をわしゃわしゃ撫でる。
「前払いは悟からのちゅーでお願いしまーす」
「……僕に身体で支払わせるなんて
名前のエッチ」
「女も男もドスケベだっつの」
「開き直り酷っ」
二人で面白くなってきてクスクス笑う。
お互いの額をくっつけ合い、綺麗な蒼い瞳を見つめる。
「前払いしてくれないの?」
「する」
悟からの深いキスに目を閉じた。
「やっほー!!
皆メリクリぃ!!昨日は僕からプレゼント出来なかったから五条サンタさんからプレゼントだよ!!!」
「先生メリクリ!!何々!?」
「まず悠仁にはこれ!!!」
「うわっ!!スパイダーマンの全身スーツとパーカーだ!!」
「これでキミもピーター・パーカーだね」
ゴソゴソと着替えてる虎杖。
「野薔薇はこれね」
「普通のパーカーに、小物じゃない。
あんまり私の好みじゃないわね」
「釘崎ってバッサリ言うよな…」
「何よ」
「……釘崎、釘崎」
「何?伏黒」
タグを見て検索した値段を見せる伏黒。
その値段に表情を無くす釘崎。
「………ありがたく使わせて頂きます」
「女って……」
「恵、そーゆーのモテないよ?」
「金銭感覚バグッてる人からの貰い物なんて着れません」
「いい男もいい女もいい物を身に付けなきゃ」
「名前さんにもこんなの贈ってんの?」
「名前はねー、嫌な顔するからさ
こっそり入れ替えてる」
「「「うわぁ」」」
「で、恵はこれね」
「………どうも」
マフラーにパーカーに手袋。
ちなみに三人共に高級パーカーは色違いだ。
「これから2年にも渡してくるねー」
「五条先生ありがとー!!名前姉には何あげたの?」
「リッチにセレブなものかしら?」
「………」
「ひーみーつ!!」
唇に人差し指を当てて笑う五条。
そして何と無く察する三人。
「五条先生のえっち」
「えっちだったのは名前だよ」
「変態」
「殴っていいですか?」
「君ら何想像してんの?スッケベー」
「「………」」
「伏黒、殺るわよ」
「天逆鉾借りてくる」
「伏黒、釘崎待てって!!ストップストップ!!」
傑………
僕は、今幸せだよ
あとがき
ハッピーメリークリスマァッス!!!
間に合ってないけど、間に合ったことにして。
傑の命日……絶対悟しんみりしそう。
原作無視した謎時空間だが、許して!!
地獄の原作より幸せなメリクリを過ごさせて!!
珍しく通行人とあっまーーーいよ。
このあと美味しく頂かれた(笑)
人形に通行人がいないのは、通行人にとってさしすトリオで一組だから。
硝子と悟にそんな事言ったらオマエのも作れと催促されそうだし、されたが……
どう考えても美化して作っちゃうか、不細工に出来上がるかの極端な通行人。
一応作ってはあるが……二人に見せて笑われる未来しかない。
つまり、出来上がりはそーゆー事だ。
面白がって受けとる二人……って後日談書こうと思って入れなかった。
あとは妄想で各々補正してくれ!!私の通行人を読んでくれてる読者ならいける!!(笑)
クリスマス・イブ
恋人達の聖夜なる夜
そして
唯一の親友が亡くなった日。
この日の悟はどこか遠くを見つめている。
あの人を思い
あの人を偲び
あの人を憂い
あの人の幸せを願って
後悔をして
立ち止まれず進み
振り返って思い出す青春のメモリー
たった一人
悟の心に居続ける唯一無二の存在。
「ハッピーメリークリスマァッス!!!」
「「イェェエエエエイッ!!」」
パァンっと一年の教室にクラッカーが弾ける。
ひらひらと頭に降ってくる装飾にポカンとする悟。
「何してんの?」
「クリスマスといえばクリパじゃん!!」
「喜べ。野薔薇様プロデュースよ」
「原作とは別次元なので」
「めぐみんしっ!!そこはしーよ!!」
きゃっきゃっと楽しそうにはしゃぐ生徒と私。
状況に着いていけずポカンとする悟。
「プレゼントの準備はいいかな!?」
「「イェェエエエエイッ!!」」
「僕用意してないよ?」
「現生でいいわよ」
「まじ?」
「釘崎やめろ。その人金銭バグってんぞ」
「ATMならとりあえず30万くらい?
足りないなら銀行行って100万くらい引き出すけど」
「「まじかよ」」
「今更だな」
「悟に金銭の話しちゃだめだよ」
驚く野薔薇ちゃんと悠仁くん。
本当金銭感覚おかしいからなー。
「今すぐ出せないけど……これなら」
「なになに?」
「何よこれ」
「好きな金額書いてくれたら振り込む魔法の用紙」
「「「「待て」」」」
クリパのプレゼントってレベルじゃねぇだろ、と却下。
口を尖らせる悟。
「だって僕今日クリパするって聞いてないもん」
「じゃあ今日の諸々の請求全部アンタ持ちね」
「なるほど!五条先生これ領収書!」
「後から請求します」
「君らわりと強かだね」
それぞれが領収書を手渡す一年生達。
悟がじっとこちらを見てくるが、わざと言わなかったわけじゃないし、ちゃんと割り勘して私が多めに払うつもりだった。
なので!!私は!!悪くぬぇ!!
「……とは言いきれないので、後で割り勘しよ?」
「これくらいの金額くらい払うよ」
「驚いた?」
「驚いたけどプレゼント用意させてよ」
コツン、と悟に額に拳を当てられる。
いつもの調子に子供達の輪の中へ。
「恵、その格好なに?」
「俺に言わないでください」
「ほら!伏黒の誕生日22日だったからさ!」
「まとめてお祝いよ」
「似合ってんね(笑)」
「笑ってんじゃねーよクソ教師」
青筋を浮かべためぐみん。
彼は今、真っ白なジャケットに両肩から「birthday boy」と「あんたが主役!!」という2つを垂れ下げており、鼻眼鏡に頭にはケーキの帽子。
「先生プレゼント!」
「私からよ」
「俺からもどうぞ」
「私からもあるよー」
それぞれのプレゼントを渡せば、再びポカンとする悟。
「僕の生徒と彼女が可愛い……開けてもいい?」
がさがさと、開ける悟。
取り出した袋からは……2021年の眼鏡とピロピロ笛と梅ミンツ。
「俺のだ!!五条先生顔綺麗だから眼鏡かけても決まるだろうし、ピロピロ笛は懐かしくてつい。あ、梅ミンツは先生甘いの好きでしょ?」
「………悠仁」
「どう?」
「………アリガト」
固まる悟に笑いを堪える私達。
説明しながら目隠し取って眼鏡つけさせ、ピロピロ笛を咥えさせる悠仁くん強い。
もう笑うに笑えず顔をそっと反らす。
「野薔薇?恵?名前?」
「や、やめて……ちょっとこっち見ないで」
「………似合って……ま、す……よ」
「あはははは!悟、普通にヤベェ奴!!」
「よーし、名前アイアンクローな」
ミシミシ頭がっっ!!!
眼鏡などを一度袋にしまい、次へ。
ミルクセーキ(普通)、ミルクセーキ(いちご)、ミルクセーキ(チョコ)、ミルクセーキ(抹茶)。
「私ね」
「野薔薇?」
「喜べ。色んな味を揃えてやったんだから」
「アリガト」
バリバリ食べてうま……と呟く28歳。
良かったね。おやつに困らないよ!!
続いて少し大きめの袋……中身はうまい棒とチュッパチャプス。
「俺ですね」
「恵……」
「ちゃんとうまい棒はシュガーラスク味です」
「ちゃんとの意味とは?」
そして残るは私のプレゼント。
ここまできたならわかるね?みんな。
「………酢昆布、よっちゃんいか、ココアシガレット(抹茶)、ブタメン、ビッグカツ、タラタラしてんじゃねーよ」
「甘いのばかりじゃ飽きるでしょ?」
「何これ?」
「駄菓子」
グッ、と親指を立てるがチョップされた。
「何で駄菓子オンリー?」
「プレゼントを駄菓子縛りにしたから」
「その心は?」
「ケーキとチキンに力を入れたかった」
生徒らと頷く。
だってめぐみんのプレゼントもあったし。
「プレゼント交換する?」
「ねぇ、僕個人には駄菓子だったのにキミらは交換なの?」
「気に入らなかった?先生……ごめん」
「アンタこれから名前さんと過ごすんだろ?
………足の小指ぶつけろ」
「リア充滅べ。外で転べ」
「地味な呪いかけないでくれる?
悠仁、僕気に入ってるからありがと」
まぁ、私らのプレゼントの中身も駄菓子縛りなんだけど。
なぜって?買い出しの時にノリで駄菓子屋入ったら楽しくなってしまったから。
「能天気だな」
「出てくんなって」
悠仁くんのほっぺから宿儺さんが。
ペチリと頬を叩くが手の甲から口が。
「えいっ」
「ぐっ」
「ちょっと何してんの名前姉!?」
「メリクリ宿儺さん!!一緒にクリパ参加したくなったの?」
「殺すゾ」
「あ、酢昆布より塩昆布が良かった?」
「殺す」
「物騒だなぁ」
「アンタのが物騒じゃない」
「宿儺にそんな事出来るの名前さんくらいですよ」
「ゴマ昆布のお握りのが良かった?」
「………」
ひゅんっ、といなくなった宿儺さん。
クリぼっちが嫌だったのかな?
「名前姉……凄すぎ」
「茎ワカメ派だったのかな?」
「そこから離れなさいよ」
「馬鹿なの?オマエ」
「いひゃい」
悟によるおしおきが執行された。
頬がびよんびよん伸ばされる。
なんでだ!?宿儺さんもクリパ参加したそうだったから、駄菓子分けて気分だけでもって思ったのに!!
そんなこんなで、途中参加した2年や硝子ちゃんも巻き込んでクリパとめぐみんの誕生会をした。
今回は2年も任務だったし、明日は1年生達も任務が入るってことなので盛大にすることは出来なかったが皆でご飯を食べて楽しめた。
家に帰って駄菓子を見つめる悟。
「はい、メリークリスマス悟」
「何これ?」
「クリスマスプレゼント」
「貰ったよ?」
「あれはアレ。これはコレ」
小さな可愛らしい小袋を渡せば何だと開く悟。
中から出てきたのは……小さな編みぐるみが3つ。
「……コレ」
「大変だったんだよ?学長先生の空いてる時間にちょこちょこ教えて貰ったの」
「………なんで」
「可愛く出来たでしょ?高専時代のトリオ人形」
悟に、硝子ちゃんに、前髪。
小さな小さな編みぐるみ。
自分でもなかなか上手く作れたと思っている。
「1年か……あっという間だったね」
去年はこんなお祝いをしている感じではなかった。
結果的、子供達は元気に生きているが……
大切なものを亡くした。
「悟」
ボーッと人形を見つめる悟。
「いい出来でしょ?頑張ったんだから」
「………」
「ちなみに硝子ちゃんにも作ったんだー。
馬鹿じゃんって笑われたけどね」
「………」
「そんなに前髪のことばかり考えてたら
名前さんヤキモチ妬いちゃうぞ」
「……ふっ、何だよそれ」
「昨日からずーっとぼーっとしてるから」
「そんなに?」
「前髪に妬いちゃうくらいには」
「……別に、後悔してるわけじゃないけどさぁ」
あの時楽しかった
あの時あぁしていたら
あの時どうしたら
答えの見つからない問いを何度も繰り返し
思い出すのは親友の最期
「笑ってる顔ばっか思い出すんだよ」
大口を開けて笑う姿。
口元に手をやり笑う姿。
困ったように眉を下げて笑う姿。
口角を上げ、悪い顔で笑う姿。
「胡散臭い顔でひょっこり出てきそうだもんね」
「確かに」
「『やあ、悟……久しいね?元気かい?』
ってさ……普通にね」
「僕のこと子供扱いするみたいにな」
「実際子供っぽいじゃん。前髪に比べたら」
大人はね?後輩にちんこって書いた紙押し付けないよ。前髪はまず、後輩にそんなこと絶対しないって。どちらかといえば面倒見いいからガチの正論ぶつけて叱ってくるぞ?
「今頃呆れてるよ。
『悟は私がいないと駄目だね、寂しん坊かい?』なーんて言ってね」
「違うし」
「思い出す顔が笑ってんならそれでいいじゃん」
「そんなもん?」
「そんなもんでしょ」
2度と帰って来ない存在だからこそ、思い出すなら楽しかった記憶の方がいい。
「しんみり相手を思うのも一つの弔いだろうけど、前髪相手にしんみりしてるよりは
馬鹿だなぁ、オマエもこーゆー風に生きれば良かったのに、羨ましいだろざまぁ!!僕は可愛らしい彼女も可愛らしい生徒もいて幸せだよざまぁ!!くらいの気持ちでいればいいかと」
「雑」
「前髪だぞ?悟にしんみり思って欲しいと思う?絶対気持ち悪がるよ」
「酷くない?」
「親友なんだからお互いの事くらいそれなりにわかるでしょ」
「まぁ、確かに………アイツならうざがりそう」
困った顔をしながら、少し寂しそうな顔をして笑う悟。
悟がどんな幼少期を過ごし、友人らしい友人もおらず……初めて出会えた本当の友が前髪だったとしたら……。
その喪失感は私じゃ補えないし、他の誰も代わりになどなれない。
「1日遅れたけど明日お墓参り行こうか?」
「そこにいないのに?」
「千の風となった前髪にチョコミント供えに行きたい」
「なにそれ」
「奴の好物」
「絶対違うし」
くすり、と笑った悟は手の中で人形を転がす。
「ねぇ、名前」
「んー?」
「お風呂一緒に入ろう」
「やだ」
「ぎゅっとして寝たい」
「聞いてる?」
「明日、指輪買おうか」
「おーい?」
「そのまま役所行く?」
「聞いてないな……」
「……ってくらい、名前が好きだなぁって思った」
体重をかけてこちらに寄りかかる悟。
オマエデカイんだからな?
190オーバー……つまり、筋肉な男は痛いんだぞ?重いんだぞ?
「名前好き」
「私も大好き」
オマエで良かった、と呟かれた言葉に返事はしなかった。
ただ、子供みたいな悟の頭を撫でて同じソファーの隣に座る。
「仕方ないから悟くんのお願いを聞いてあげよう」
「手、握って」
「ほい」
「一緒にお風呂」
「悪戯しないなら」
「えー、そこはさせてよ」
「しつこそうだもん。我、明日仕事だぞ」
「僕も仕事」
「私の体力考えろ」
「平気平気。それでねー、僕に抱き締められながら寝て」
「ん」
「朝起きたらちゅーしながら起こして」
「そしたら最強さんはいつも通り?」
「うん。今日だけはさ、許して」
ーーー強いままの自分だけじゃなく
弱い僕も受け入れて
甘え方を知らない
寂しさの伝え方も
悲しさの伝え方も
ただ一人で全てを乗り越えるものだと思っていたから……
「私が駄目な時に悟が守ってね」
「うん」
「悟が駄目な時は私が守るから」
「名前強そうだ」
「任せろ。笑いと奇行と幸せをお届けしたる」
「充分貰ってる」
「悟くん限定で無償の愛もお付けしておりまーす」
「ははっ。じゃあ、愛情一つ速達で」
「毎度あり」
悟の額に、瞼に、頬に、鼻に、顎に、耳に
キスを落としていく。
いつの間にやらやりやすいように、と悟の膝の上に乗せられてゆるく腰を抱かれている。
「口は?」
「別料金でーす」
「は?」
「口をご所望の方は前払いでお願いしまーす」
「いくら?」
「目がガチかよ。財布に手を伸ばすな」
「前払いっつったじゃん」
ムスッとする悟が可愛くて髪の毛をわしゃわしゃ撫でる。
「前払いは悟からのちゅーでお願いしまーす」
「……僕に身体で支払わせるなんて
名前のエッチ」
「女も男もドスケベだっつの」
「開き直り酷っ」
二人で面白くなってきてクスクス笑う。
お互いの額をくっつけ合い、綺麗な蒼い瞳を見つめる。
「前払いしてくれないの?」
「する」
悟からの深いキスに目を閉じた。
「やっほー!!
皆メリクリぃ!!昨日は僕からプレゼント出来なかったから五条サンタさんからプレゼントだよ!!!」
「先生メリクリ!!何々!?」
「まず悠仁にはこれ!!!」
「うわっ!!スパイダーマンの全身スーツとパーカーだ!!」
「これでキミもピーター・パーカーだね」
ゴソゴソと着替えてる虎杖。
「野薔薇はこれね」
「普通のパーカーに、小物じゃない。
あんまり私の好みじゃないわね」
「釘崎ってバッサリ言うよな…」
「何よ」
「……釘崎、釘崎」
「何?伏黒」
タグを見て検索した値段を見せる伏黒。
その値段に表情を無くす釘崎。
「………ありがたく使わせて頂きます」
「女って……」
「恵、そーゆーのモテないよ?」
「金銭感覚バグッてる人からの貰い物なんて着れません」
「いい男もいい女もいい物を身に付けなきゃ」
「名前さんにもこんなの贈ってんの?」
「名前はねー、嫌な顔するからさ
こっそり入れ替えてる」
「「「うわぁ」」」
「で、恵はこれね」
「………どうも」
マフラーにパーカーに手袋。
ちなみに三人共に高級パーカーは色違いだ。
「これから2年にも渡してくるねー」
「五条先生ありがとー!!名前姉には何あげたの?」
「リッチにセレブなものかしら?」
「………」
「ひーみーつ!!」
唇に人差し指を当てて笑う五条。
そして何と無く察する三人。
「五条先生のえっち」
「えっちだったのは名前だよ」
「変態」
「殴っていいですか?」
「君ら何想像してんの?スッケベー」
「「………」」
「伏黒、殺るわよ」
「天逆鉾借りてくる」
「伏黒、釘崎待てって!!ストップストップ!!」
傑………
僕は、今幸せだよ
あとがき
ハッピーメリークリスマァッス!!!
間に合ってないけど、間に合ったことにして。
傑の命日……絶対悟しんみりしそう。
原作無視した謎時空間だが、許して!!
地獄の原作より幸せなメリクリを過ごさせて!!
珍しく通行人とあっまーーーいよ。
このあと美味しく頂かれた(笑)
人形に通行人がいないのは、通行人にとってさしすトリオで一組だから。
硝子と悟にそんな事言ったらオマエのも作れと催促されそうだし、されたが……
どう考えても美化して作っちゃうか、不細工に出来上がるかの極端な通行人。
一応作ってはあるが……二人に見せて笑われる未来しかない。
つまり、出来上がりはそーゆー事だ。
面白がって受けとる二人……って後日談書こうと思って入れなかった。
あとは妄想で各々補正してくれ!!私の通行人を読んでくれてる読者ならいける!!(笑)