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さあ、覚悟は決まった。
「全方」
スッ、と前に手を出す。
そう、今の私の気分は某お国の殿下であり王女なり!!
「焼き払え!!」
ビシッ、と手を横に。
すると前から飛びかかってきた改造呪霊が業火に焼かれた。
「よし、ありがとう」
ゲゲゲゲッ、と鳴き声なのか笑い声なのかわからない声で鳴く呪い。
どもども☆みんなの通行人名前だぉ!!
私は今何をしているのかというと……寄ってくる呪いをティムして、職業:一般人からレベルアップして、職業:蟲使いならぬ呪い使いというおかしな事になっちまったよ……なんということでしょう!!
寄ってくるわ寄ってくるわ……蟲も集るいい女ってことね。
「………って、嫌だわそんな女ァァアアアアア!!!!!」
ナウシカ様?いやいや、あれは物語の中で蟲と共に生きるから感動と素晴らしさと可憐さで美化されてるだけでね?
おま……考えてみろよ。
自分よりデケェ蟲に囲まれて、わぁ(ハート)って、なるやついる?
中にはいるかもしれないね!!!!
けど!!私は!!好き好んで!!蟲に!!囲まれたく!!ぬぇぇえええええええっ!!!!
って、やってるうちに、改造呪霊ィィイイイイっ!!!多すぎだぞ!!
「HEY!!呪い1号!!キミに決めたっ!!」
ギャグやってないと私の心は限界よ!!
呪い使い改め、じゅじゅモン使い通行人が始まるぜ!!
さあ、みんな相棒と共に旅に出て笑いあり、感動あり、試練あり、友情・努力・成長の主人公要素をかき集め、富・名声・力の全ての力……ひとつなぎの大秘宝(悟)を手にする為に大冒険に出発だ!!
漏瑚さんも私の妄想で言ってた。
「儂の財宝か? 欲しけりゃくれてやる… 探してみろ この世のすべてをそこに置いてきた」って。
ラフテル目指して愛と勇気で立ち向かうの!!
それが私、じゅじゅモン使いの定め!!
目指せ!!じゅじゅモンマスター!!
世界は君を待っている!!
って、五秒ほど前まで思っていた事もありました。
が……
「あの……ちょっ……」
"ガァァアアアアッ"
「いや、あの……」
"グルァァアアアアッ"
私の呪い達、火力高めでヤバい。
あれ……私墓地に何捨てた?
一般人というカードを墓地に捨てたら永遠のドロータイム始まったの?
片っ端から焼き尽くす呪いくん達。
全方位に向かって火力高めに改造呪霊フルボッコでどーしろと?
「もうやめて!!改造呪霊のHPはとっくに0よ!!」
元人間だから!!お願い!!
命令した私が悪かったから……!!
30円あげるから!!
気が済んだらしい呪い達はこぞってこちらを見る。
あ、うん……
「偉い偉い。ありがとう。良くやってくれたね」
だからお願い
「落ち着こうね?一旦落ち着こう。ステイ」
ちょっとドン引くレベルの勢いでメッタメタにするのやめよ?
ギャグどころじゃなくなるから。
こちとらギャグしたくて面白おかしくしてるわけじゃないのよ?真面目な脱出なのよ?
「じゃあ、次行こうか」
これだけの強さあったら怖いものないわ。
まさかの永遠に俺のターンだと思ってなかったから……。
あまりの勢いに心が折れそうになったが、そんな暇ない。
まずはどうにか地上に出て誰かと合流すべきか……
「つっても、誰か顔見知りの知り合いじゃないとこの状況………」
大量の呪いを引き連れ、命令する女。
………なるほど、事案だ。
意義あり!!されても弁護できねぇ。
わかっているが、説明どころじゃなさそうだ。
「だけど、呑気にもしてられないからな……」
すり寄る呪い2号くんの頭を撫でる。
蛇っぽいけど気にしちゃ負けだ。
これはアーボ。またはハブネーク。
蟲使いにはなれなくても、ポケモンならぬじゅじゅモンマスターにはなれる!
「よし、行こうか」
まずは目指せ!!地上!!
「ッシャアオラァア!!!
ゆけ!!2号!!破壊光線んんんんんっ!!」
"ンギャーーーッス"
「わーっしゃっしゃっしゃっしゃ!!
よくやったああああ!!!!やっっっっと地上だああああああ!!!」
クッソ変なテンションでごめんね!!!
まじで襲いかかってくる改造呪霊どころか、呪詛師かな?なんか変な格好してるから、多分呪詛師っぽい野郎共蹴散らしてなんっっっとか地上に着たよ!!!
それもこれも2号、キミのおかげだ!!!
「ありがとう2号!!!キミのお陰でやっっと出られたよ!!」
いい子だ!いい子だよ!!ありったけのジャーキーでよろしいかな?って、めちゃめちゃわしわし撫でた。
そして他に協力してくれた子達もめちゃめちゃ撫で回した。
地上に出たら出たで、呪いがわんさかいるよ!!
もうこれ地獄絵図もいいとこだわ……
「とにかく、誰かに会わないと……」
悟がオイルによって囚われている。
せめてその事を誰かに……
地上を走ってもハロウィンの仮装をした人々が逃げ回っている。
ならば、と上から見た方が早いと判断して手短に高い位置にありそうな歩道橋の上へ。
「!!」
バッチリと視線があった。
驚きに満ち溢れている顔。
「な、七海くーーーんっ!!!!」
「名前、さん?」
「ちょっ、伊地知くん!?大丈夫なの?それ大丈夫!!?」
走って行ったら伊地知くんは血を流して意識が朦朧としている。
「どうして貴女が……」
「七海くん、説明は後!!伊地知くんどうしたら助かる!?」
「家入さんがいます」
「OK!!硝子ちゃんの居場所は七海くんわかる!?」
「はい」
傷口をガッチリ縛る七海くん。
なら、私のやることは一つ。
「3号!!」
"ヤダ……ニンゲン……クウ"
「呪霊っ!?」
翼の生えた大型の呪い。
伊地知くんの血の臭いで興奮し、目の色を変える。
だが、そんな呪いと視線を合わせる。
「私の願いだ!!!」
"………"
「今すぐ私達を乗せて!!」
じっとみつめあう時間は僅かだったと思う。
興奮していた瞳は徐々に落ち着き、頭を垂れる呪いの頭を抱く。
「ありがと」
「名前さん……」
「移動しながら話す」
他の呪い達に待機を言い渡し、呪いへと乗る。
伊地知くんを抱き、私と呪いを交互に見て迷う七海くんへと手を伸ばす。
「私を信じて……七海くん」
「………他の誰でもない、貴女の言葉なら信じるしかないですね」
「ありがとう、七海くん」
私の手を迷うことなくつかんでくれた。
呪いに乗れば、ふわりと浮く。
「全力前進!!」
「ちょっ、名前さん待っ」
バビューンッと勢いがありそうなレベルで飛んだ。
いや、私もノリとテンションと緊急だからと速くって思ったが……
「あ、ちょっっっ!!!
3号まじ、ちょっ!?はええええええっ」
ふわっと浮いた!!身体が浮いたよ!!
メーヴェだよ!!
ガシッと七海くんが腰を掴んでくれた。
「貴女まで何やってるんですか」
「七海くんいなかったら私落ちてた」
ガッチリ呪いの毛?らしきものを片手で掴む七海くん。
そして私を抱き、私は伊地知くんを抱いている。
じゃないと風圧で飛ばされそう。
「ここです」
「3号!!降りて!!」
仮設テントの周りには学長の呪骸達が。
3号のせいで臨戦体制になったが、七海くんが私と伊地知くんを抱いて飛び降りた。
「ああああああっ!!!」
「………名前、か?」
「………ドモ」
「家入さん、彼をお願いします」
「伊地知!?」
ドッキドキな心臓は止まらない。
七海くんが伊地知くんと硝子ちゃんとテントの中へ。
「あの呪霊は?」
「一時的に私に力を貸してくれている子です。
色々あって、私の加護無くなって」
「……大丈夫なのか」
学長のサングラスで見えない瞳に射ぬかれる。
敵か、味方かーーー
「"私"は変わりませんよ。
例え呪いの主になろうと」
「……無理はするな」
「生きて帰りますから……皆も、生きてください」
きっと、沢山の犠牲が出ている。
私の知らない人。
私の知っている人。
沢山の命が消えていく。
「名前さん」
「七海くん、戻れる?」
「ええ」
「じゃあまた全速力で戻ろうか」
3号が降り立ち、その頭を撫でる。
その背に二人で乗り込めば、硝子ちゃんが出てきた。
「名前」
「……硝子ちゃん」
「生きろ。怪我なんてしても治さないからな」
「硝子ちゃんも怪我しないでね。
学長……硝子ちゃんをお願いします」
「あぁ」
3号に合図を送るとまた超特急で飛び上がる。
「残っても良かったんですよ」
「やだなー、七海くん。
そんな優しくしなくていいよ。私はもう……人には戻れない」
加護が無くなってしまったのなら、私は人と同じ社会では生きられない。
私がいるだけで周りに迷惑がかかってしまう。
「人ですよ」
「七海くん……」
「どんな力があろうと、誰かを思いやり、他者を傷付けずに真っ直ぐ人として生きようとしている貴女が人でなければこの世はクソばかりです」
「大袈裟な」
「大袈裟ではありませんよ。
貴女ほど優しく明るくて生命力に溢れた人が人間ではないと言うのなら、見る目がありませんね」
真っ直ぐに来た道を戻る。
3号にしがみつくがやはり風圧が凄いので七海くんが後ろから支えてくれている。
その私を支える手に、少しだけ力が入った。
「もし、世界が貴女を悪だというのなら
その時は私が相手をフルスイングで殴り飛ばしますから」
「………それ、生きていないんじゃ?」
「半殺しにはします」
ふっ、と笑みを溢す。
唇を噛み、七海くんの手を握り返す。
「………ありがとう」
「気を引き締めてください」
ここまでの道のり、幾度となく人が死ぬのを見た。
そして、私と目があった人は恐怖に顔を歪めて叫んだ。
ーーー化け物
ーーー人殺し!!
その言葉に胸が痛まないわけじゃなかった。
覚悟を決めても……傷付かないわけじゃない。
自分でも思ってしまう"化け物"
そんな私を……人だと告げ、終いには暴言吐く人間を半殺しだなんて……。
あぁ、私は幸せだ。
「五条さんが封印されたことは?」
「……本当、だと思う」
「一緒に居たのでは?」
「夏油傑の姿をしたナニカとは居たよ。
けど、悟が変なのに拘束されちゃった間に逃げてきた」
「よく逃げられましたね」
「悟が作ってくれたチャンスだったし……多分、あの場にいた方が私にとって良くないと思った」
実際悟が封印されたかどうかは見ていない。
漏瑚さんや他の呪い達が動けないあの瞬間しか逃げる機会は無かった。
「私自身、どこまでこの呪いを扱いきれるのかわからないから手探り状態なんだよね」
「充分使役してるかと」
「だからね、七海くん」
「はい」
「………このまま突っ込んでいいかな?」
止まり方、わからなーい。
もう、目の前が東急の建物なのですが……3号の勢いは止まらなさそう。
「そのまま突っ込んでください」
許可も出たので派手にいくぜ!!
カシャアッと、突っ込んだら私の事抱えて華麗にふわっと着地。
ヤバい……出来る男やで、七海くんは。
そのままスタスタ歩く七海くん。
「いいんだっけ。黒じゃないスーツも殺して」
「七海さん……?」
「あ、野薔薇ちゃん!」
「えっ……なんで、アンタここに……」
原始人スタイルのサイドテールがいた。
野薔薇ちゃんは顎を怪我しているし、サイドテールの足元には……補助監督の新田ちゃん。
怪我をしているらしく血の痕が。
「七海くん、あのサイドテールにぶっぱなしていい?」
「私がやります」
ニヤニヤ笑う少年……だが、アイツは敵だ。
2号を召還しようとしたが、言うが早いかスタスタと拳に巻きながら歩きだす七海くん。
「いやいや状況見てよ。何勝手に動いてんの?
女の子が人質…アレ?」
必死にエスカレーターを這いつくばり逃げる新田ちゃん。
七海くんがブチギレなのであのサイドテール終わったな、と怪我の酷そうな新田ちゃんの方へ走って向かう。
なんかめちゃくちゃ人殴ったとは思えないような音が後ろから聞こえた。
「新田ちゃん、大丈夫?」
「苗字……さん?」
「七海くんが頑張ってくれているからもう大丈夫だよ」
新田ちゃんの身体を支え、近くの椅子に座らせる。
「ごめん、チビちゃん達……どっかからタオル取ってきて」
「なっ!?呪霊がっ」
「お願い」
沸いて出てくる虫のような呪いに頼めば、何体かがそれぞれ四方八方に飛んでいった。
信じられないものを見る新田ちゃんに笑いかける。
「大丈夫。絶対傷付けさせないから」
タオルを大量に持ってきた呪い達を褒めると、それぞれ四散していく。
弱い呪いほど、簡単なお願いで消えてしまうらしい。
新田ちゃんの傷口をタオルで圧迫し、縛り付ける。
「名前さん、新田さんは大丈夫ですか?」
「私じゃ軽い応急処置しか無理」
「新田ちゃん、名前さん……っ!!」
抱き付いてきた野薔薇ちゃんを受け止める。
微かに震える野薔薇ちゃん。
生きて……誰かに会える喜びに、私は力強く野薔薇ちゃんを抱き締めた。
「捕まってんじゃないわよ馬鹿」
「ごめんね……野薔薇ちゃん」
「皆心配してた」
「うん。ちゃんと皆から怒られるから……今、生きていてくれてありがとう」
「………バカッ」
顎を殴られたらしい野薔薇ちゃんを新田ちゃんの横に座らせる。
新田ちゃんと野薔薇ちゃんと情報の交換をすれば、どうやら悠仁くんが悟封印を皆に広めていたが、野薔薇ちゃん達は知らなかったらしい。
「じゃあ伊地知さんは無事なんスね!!」
「出来る限りのことはしましたし、彼も元々は呪術師を志していましたから」
「硝子ちゃんに任せてきたよ」
「でも、やはり五条さんのことはそちらに伝わっていなかったのですね」
「私達はすぐに室内に入ったのでそのせいっスね」
「封印されてもねばるあたり五条っぽいわね」
「2人はここで救護を待って下さい。
私達は禪院さん達とB5Fに向かいます」
「名前さんも?」
野薔薇ちゃんが信じられないようなものを見る目で見る。
苦笑して手招きすると、どこからともなく2号が現れたことに警戒する野薔薇ちゃん。
「加護、無くなっちゃったからさ……
下手に歩き回ると呪詛師認定免れないし
救護班の人達を襲わないって断言出来ないから」
「………私も」「駄目です」
野薔薇ちゃんの言葉を書き消すように七海くんが止める。
「これからの戦いは1級で最低レベルです。
足手纏い。邪魔です。ここで待機を」
悔しそうな野薔薇ちゃん。
七海くんが歩きだしたので、私も一緒に行く。
くんっ、と引かれた腕。
「野薔薇ちゃん……」
「次は……勝手に!!勝手に消えたらっ!!絶対に許さない!!」
堪えたような顔に……私は野薔薇ちゃんの手を包むように握った。
次……が、あるかすらわからない。
「野薔薇ちゃん。
帰ったら……また、いっぱい遊ぼうね」
笑顔で野薔薇ちゃんの手を服から離す私はなんて酷いのだろう。
帰れるかすらわからないのに……約束を口にする。
「行けますか?」
「行くよ」
「死ぬかもしれませんよ」
「ハハッ!!上等。
どこぞの見知らぬ奴の為より、私の命でいいならいくらでも盾に使ってよ」
「貴女は……その男らしさどこからくるんですか」
「七海くんが私を受け入れてくれたからかな。
一人じゃないから、頑張れるよ」
怖い。
嫌だ。
元の日常に戻りたい。
だから
「皆で帰ろう」
あとがき
うわああああああっ!!!!
さて、まじでどうしようったらどーしよう……
救済ルートを導いてください。
ちなみに帳に関してですが……白い少女ちゃんの覚醒により、存在が人間と呪霊のハーフ的なふわっとした存在に。
人間ではあるけど、中途半端な存在のためご都合よろしく一般人を閉じ込める帳、術師を通さない帳は関係無い!(って事にしよう)って感じで通ってます。ふわふわした設定多くてごめんね!作者が馬鹿だから!!
呪い触っても平気って事はそーゆー事やで、工藤。
身体は人間!能力チート!!その名は呪い使い名前!!次回からシクヨロな!キラッ
東京土地勘がないのでザッとわっと書いてます。突っ込まないで……突っ込んだらこの作品終わる(笑)私の地元は海を越えた北の大地っ!!(笑)
東京は一回しか行ったことないから許して!!!
七海は伊地知を救護に任せて東急に乗り込んだの……?それとも自分で運んだ?
16分で行って戻って来れる距離かわからないので、3号に飛んでもらいました。
1号、蟲(火炎放射、虫・炎タイプ)
2号、蛇(破壊光線、悪タイプ)
3号、恐竜(空を飛ぶ、飛行・ドラゴンタイプ)
って覚えててもらえたらいいかな(笑)
2020年、コロナで自粛から始まった通行人シリーズ……まさかここまで続くとは思っていませんでした。
応援してくださり、続編を望まれ調子にのったのについてきてくださる皆様。ありがとうございます。
今は色々大変な世の中となっておりますが……これから年越し、そして新たに迎える新しい年ですがこれからもめげずに元気に頑張りましょう!!
まだまだコロナの驚異は消えませんが、少しでも皆様と楽しんで小説をお届け出来たらいいな、と思っております。
次回「あら、私が嘘ついたことあった?」
姫姉様頑張るわ。
闇を祓って 闇を祓って
夜の帳が……上がるといいなぁ。
「全方」
スッ、と前に手を出す。
そう、今の私の気分は某お国の殿下であり王女なり!!
「焼き払え!!」
ビシッ、と手を横に。
すると前から飛びかかってきた改造呪霊が業火に焼かれた。
「よし、ありがとう」
ゲゲゲゲッ、と鳴き声なのか笑い声なのかわからない声で鳴く呪い。
どもども☆みんなの通行人名前だぉ!!
私は今何をしているのかというと……寄ってくる呪いをティムして、職業:一般人からレベルアップして、職業:蟲使いならぬ呪い使いというおかしな事になっちまったよ……なんということでしょう!!
寄ってくるわ寄ってくるわ……蟲も集るいい女ってことね。
「………って、嫌だわそんな女ァァアアアアア!!!!!」
ナウシカ様?いやいや、あれは物語の中で蟲と共に生きるから感動と素晴らしさと可憐さで美化されてるだけでね?
おま……考えてみろよ。
自分よりデケェ蟲に囲まれて、わぁ(ハート)って、なるやついる?
中にはいるかもしれないね!!!!
けど!!私は!!好き好んで!!蟲に!!囲まれたく!!ぬぇぇえええええええっ!!!!
って、やってるうちに、改造呪霊ィィイイイイっ!!!多すぎだぞ!!
「HEY!!呪い1号!!キミに決めたっ!!」
ギャグやってないと私の心は限界よ!!
呪い使い改め、じゅじゅモン使い通行人が始まるぜ!!
さあ、みんな相棒と共に旅に出て笑いあり、感動あり、試練あり、友情・努力・成長の主人公要素をかき集め、富・名声・力の全ての力……ひとつなぎの大秘宝(悟)を手にする為に大冒険に出発だ!!
漏瑚さんも私の妄想で言ってた。
「儂の財宝か? 欲しけりゃくれてやる… 探してみろ この世のすべてをそこに置いてきた」って。
ラフテル目指して愛と勇気で立ち向かうの!!
それが私、じゅじゅモン使いの定め!!
目指せ!!じゅじゅモンマスター!!
世界は君を待っている!!
って、五秒ほど前まで思っていた事もありました。
が……
「あの……ちょっ……」
"ガァァアアアアッ"
「いや、あの……」
"グルァァアアアアッ"
私の呪い達、火力高めでヤバい。
あれ……私墓地に何捨てた?
一般人というカードを墓地に捨てたら永遠のドロータイム始まったの?
片っ端から焼き尽くす呪いくん達。
全方位に向かって火力高めに改造呪霊フルボッコでどーしろと?
「もうやめて!!改造呪霊のHPはとっくに0よ!!」
元人間だから!!お願い!!
命令した私が悪かったから……!!
30円あげるから!!
気が済んだらしい呪い達はこぞってこちらを見る。
あ、うん……
「偉い偉い。ありがとう。良くやってくれたね」
だからお願い
「落ち着こうね?一旦落ち着こう。ステイ」
ちょっとドン引くレベルの勢いでメッタメタにするのやめよ?
ギャグどころじゃなくなるから。
こちとらギャグしたくて面白おかしくしてるわけじゃないのよ?真面目な脱出なのよ?
「じゃあ、次行こうか」
これだけの強さあったら怖いものないわ。
まさかの永遠に俺のターンだと思ってなかったから……。
あまりの勢いに心が折れそうになったが、そんな暇ない。
まずはどうにか地上に出て誰かと合流すべきか……
「つっても、誰か顔見知りの知り合いじゃないとこの状況………」
大量の呪いを引き連れ、命令する女。
………なるほど、事案だ。
意義あり!!されても弁護できねぇ。
わかっているが、説明どころじゃなさそうだ。
「だけど、呑気にもしてられないからな……」
すり寄る呪い2号くんの頭を撫でる。
蛇っぽいけど気にしちゃ負けだ。
これはアーボ。またはハブネーク。
蟲使いにはなれなくても、ポケモンならぬじゅじゅモンマスターにはなれる!
「よし、行こうか」
まずは目指せ!!地上!!
「ッシャアオラァア!!!
ゆけ!!2号!!破壊光線んんんんんっ!!」
"ンギャーーーッス"
「わーっしゃっしゃっしゃっしゃ!!
よくやったああああ!!!!やっっっっと地上だああああああ!!!」
クッソ変なテンションでごめんね!!!
まじで襲いかかってくる改造呪霊どころか、呪詛師かな?なんか変な格好してるから、多分呪詛師っぽい野郎共蹴散らしてなんっっっとか地上に着たよ!!!
それもこれも2号、キミのおかげだ!!!
「ありがとう2号!!!キミのお陰でやっっと出られたよ!!」
いい子だ!いい子だよ!!ありったけのジャーキーでよろしいかな?って、めちゃめちゃわしわし撫でた。
そして他に協力してくれた子達もめちゃめちゃ撫で回した。
地上に出たら出たで、呪いがわんさかいるよ!!
もうこれ地獄絵図もいいとこだわ……
「とにかく、誰かに会わないと……」
悟がオイルによって囚われている。
せめてその事を誰かに……
地上を走ってもハロウィンの仮装をした人々が逃げ回っている。
ならば、と上から見た方が早いと判断して手短に高い位置にありそうな歩道橋の上へ。
「!!」
バッチリと視線があった。
驚きに満ち溢れている顔。
「な、七海くーーーんっ!!!!」
「名前、さん?」
「ちょっ、伊地知くん!?大丈夫なの?それ大丈夫!!?」
走って行ったら伊地知くんは血を流して意識が朦朧としている。
「どうして貴女が……」
「七海くん、説明は後!!伊地知くんどうしたら助かる!?」
「家入さんがいます」
「OK!!硝子ちゃんの居場所は七海くんわかる!?」
「はい」
傷口をガッチリ縛る七海くん。
なら、私のやることは一つ。
「3号!!」
"ヤダ……ニンゲン……クウ"
「呪霊っ!?」
翼の生えた大型の呪い。
伊地知くんの血の臭いで興奮し、目の色を変える。
だが、そんな呪いと視線を合わせる。
「私の願いだ!!!」
"………"
「今すぐ私達を乗せて!!」
じっとみつめあう時間は僅かだったと思う。
興奮していた瞳は徐々に落ち着き、頭を垂れる呪いの頭を抱く。
「ありがと」
「名前さん……」
「移動しながら話す」
他の呪い達に待機を言い渡し、呪いへと乗る。
伊地知くんを抱き、私と呪いを交互に見て迷う七海くんへと手を伸ばす。
「私を信じて……七海くん」
「………他の誰でもない、貴女の言葉なら信じるしかないですね」
「ありがとう、七海くん」
私の手を迷うことなくつかんでくれた。
呪いに乗れば、ふわりと浮く。
「全力前進!!」
「ちょっ、名前さん待っ」
バビューンッと勢いがありそうなレベルで飛んだ。
いや、私もノリとテンションと緊急だからと速くって思ったが……
「あ、ちょっっっ!!!
3号まじ、ちょっ!?はええええええっ」
ふわっと浮いた!!身体が浮いたよ!!
メーヴェだよ!!
ガシッと七海くんが腰を掴んでくれた。
「貴女まで何やってるんですか」
「七海くんいなかったら私落ちてた」
ガッチリ呪いの毛?らしきものを片手で掴む七海くん。
そして私を抱き、私は伊地知くんを抱いている。
じゃないと風圧で飛ばされそう。
「ここです」
「3号!!降りて!!」
仮設テントの周りには学長の呪骸達が。
3号のせいで臨戦体制になったが、七海くんが私と伊地知くんを抱いて飛び降りた。
「ああああああっ!!!」
「………名前、か?」
「………ドモ」
「家入さん、彼をお願いします」
「伊地知!?」
ドッキドキな心臓は止まらない。
七海くんが伊地知くんと硝子ちゃんとテントの中へ。
「あの呪霊は?」
「一時的に私に力を貸してくれている子です。
色々あって、私の加護無くなって」
「……大丈夫なのか」
学長のサングラスで見えない瞳に射ぬかれる。
敵か、味方かーーー
「"私"は変わりませんよ。
例え呪いの主になろうと」
「……無理はするな」
「生きて帰りますから……皆も、生きてください」
きっと、沢山の犠牲が出ている。
私の知らない人。
私の知っている人。
沢山の命が消えていく。
「名前さん」
「七海くん、戻れる?」
「ええ」
「じゃあまた全速力で戻ろうか」
3号が降り立ち、その頭を撫でる。
その背に二人で乗り込めば、硝子ちゃんが出てきた。
「名前」
「……硝子ちゃん」
「生きろ。怪我なんてしても治さないからな」
「硝子ちゃんも怪我しないでね。
学長……硝子ちゃんをお願いします」
「あぁ」
3号に合図を送るとまた超特急で飛び上がる。
「残っても良かったんですよ」
「やだなー、七海くん。
そんな優しくしなくていいよ。私はもう……人には戻れない」
加護が無くなってしまったのなら、私は人と同じ社会では生きられない。
私がいるだけで周りに迷惑がかかってしまう。
「人ですよ」
「七海くん……」
「どんな力があろうと、誰かを思いやり、他者を傷付けずに真っ直ぐ人として生きようとしている貴女が人でなければこの世はクソばかりです」
「大袈裟な」
「大袈裟ではありませんよ。
貴女ほど優しく明るくて生命力に溢れた人が人間ではないと言うのなら、見る目がありませんね」
真っ直ぐに来た道を戻る。
3号にしがみつくがやはり風圧が凄いので七海くんが後ろから支えてくれている。
その私を支える手に、少しだけ力が入った。
「もし、世界が貴女を悪だというのなら
その時は私が相手をフルスイングで殴り飛ばしますから」
「………それ、生きていないんじゃ?」
「半殺しにはします」
ふっ、と笑みを溢す。
唇を噛み、七海くんの手を握り返す。
「………ありがとう」
「気を引き締めてください」
ここまでの道のり、幾度となく人が死ぬのを見た。
そして、私と目があった人は恐怖に顔を歪めて叫んだ。
ーーー化け物
ーーー人殺し!!
その言葉に胸が痛まないわけじゃなかった。
覚悟を決めても……傷付かないわけじゃない。
自分でも思ってしまう"化け物"
そんな私を……人だと告げ、終いには暴言吐く人間を半殺しだなんて……。
あぁ、私は幸せだ。
「五条さんが封印されたことは?」
「……本当、だと思う」
「一緒に居たのでは?」
「夏油傑の姿をしたナニカとは居たよ。
けど、悟が変なのに拘束されちゃった間に逃げてきた」
「よく逃げられましたね」
「悟が作ってくれたチャンスだったし……多分、あの場にいた方が私にとって良くないと思った」
実際悟が封印されたかどうかは見ていない。
漏瑚さんや他の呪い達が動けないあの瞬間しか逃げる機会は無かった。
「私自身、どこまでこの呪いを扱いきれるのかわからないから手探り状態なんだよね」
「充分使役してるかと」
「だからね、七海くん」
「はい」
「………このまま突っ込んでいいかな?」
止まり方、わからなーい。
もう、目の前が東急の建物なのですが……3号の勢いは止まらなさそう。
「そのまま突っ込んでください」
許可も出たので派手にいくぜ!!
カシャアッと、突っ込んだら私の事抱えて華麗にふわっと着地。
ヤバい……出来る男やで、七海くんは。
そのままスタスタ歩く七海くん。
「いいんだっけ。黒じゃないスーツも殺して」
「七海さん……?」
「あ、野薔薇ちゃん!」
「えっ……なんで、アンタここに……」
原始人スタイルのサイドテールがいた。
野薔薇ちゃんは顎を怪我しているし、サイドテールの足元には……補助監督の新田ちゃん。
怪我をしているらしく血の痕が。
「七海くん、あのサイドテールにぶっぱなしていい?」
「私がやります」
ニヤニヤ笑う少年……だが、アイツは敵だ。
2号を召還しようとしたが、言うが早いかスタスタと拳に巻きながら歩きだす七海くん。
「いやいや状況見てよ。何勝手に動いてんの?
女の子が人質…アレ?」
必死にエスカレーターを這いつくばり逃げる新田ちゃん。
七海くんがブチギレなのであのサイドテール終わったな、と怪我の酷そうな新田ちゃんの方へ走って向かう。
なんかめちゃくちゃ人殴ったとは思えないような音が後ろから聞こえた。
「新田ちゃん、大丈夫?」
「苗字……さん?」
「七海くんが頑張ってくれているからもう大丈夫だよ」
新田ちゃんの身体を支え、近くの椅子に座らせる。
「ごめん、チビちゃん達……どっかからタオル取ってきて」
「なっ!?呪霊がっ」
「お願い」
沸いて出てくる虫のような呪いに頼めば、何体かがそれぞれ四方八方に飛んでいった。
信じられないものを見る新田ちゃんに笑いかける。
「大丈夫。絶対傷付けさせないから」
タオルを大量に持ってきた呪い達を褒めると、それぞれ四散していく。
弱い呪いほど、簡単なお願いで消えてしまうらしい。
新田ちゃんの傷口をタオルで圧迫し、縛り付ける。
「名前さん、新田さんは大丈夫ですか?」
「私じゃ軽い応急処置しか無理」
「新田ちゃん、名前さん……っ!!」
抱き付いてきた野薔薇ちゃんを受け止める。
微かに震える野薔薇ちゃん。
生きて……誰かに会える喜びに、私は力強く野薔薇ちゃんを抱き締めた。
「捕まってんじゃないわよ馬鹿」
「ごめんね……野薔薇ちゃん」
「皆心配してた」
「うん。ちゃんと皆から怒られるから……今、生きていてくれてありがとう」
「………バカッ」
顎を殴られたらしい野薔薇ちゃんを新田ちゃんの横に座らせる。
新田ちゃんと野薔薇ちゃんと情報の交換をすれば、どうやら悠仁くんが悟封印を皆に広めていたが、野薔薇ちゃん達は知らなかったらしい。
「じゃあ伊地知さんは無事なんスね!!」
「出来る限りのことはしましたし、彼も元々は呪術師を志していましたから」
「硝子ちゃんに任せてきたよ」
「でも、やはり五条さんのことはそちらに伝わっていなかったのですね」
「私達はすぐに室内に入ったのでそのせいっスね」
「封印されてもねばるあたり五条っぽいわね」
「2人はここで救護を待って下さい。
私達は禪院さん達とB5Fに向かいます」
「名前さんも?」
野薔薇ちゃんが信じられないようなものを見る目で見る。
苦笑して手招きすると、どこからともなく2号が現れたことに警戒する野薔薇ちゃん。
「加護、無くなっちゃったからさ……
下手に歩き回ると呪詛師認定免れないし
救護班の人達を襲わないって断言出来ないから」
「………私も」「駄目です」
野薔薇ちゃんの言葉を書き消すように七海くんが止める。
「これからの戦いは1級で最低レベルです。
足手纏い。邪魔です。ここで待機を」
悔しそうな野薔薇ちゃん。
七海くんが歩きだしたので、私も一緒に行く。
くんっ、と引かれた腕。
「野薔薇ちゃん……」
「次は……勝手に!!勝手に消えたらっ!!絶対に許さない!!」
堪えたような顔に……私は野薔薇ちゃんの手を包むように握った。
次……が、あるかすらわからない。
「野薔薇ちゃん。
帰ったら……また、いっぱい遊ぼうね」
笑顔で野薔薇ちゃんの手を服から離す私はなんて酷いのだろう。
帰れるかすらわからないのに……約束を口にする。
「行けますか?」
「行くよ」
「死ぬかもしれませんよ」
「ハハッ!!上等。
どこぞの見知らぬ奴の為より、私の命でいいならいくらでも盾に使ってよ」
「貴女は……その男らしさどこからくるんですか」
「七海くんが私を受け入れてくれたからかな。
一人じゃないから、頑張れるよ」
怖い。
嫌だ。
元の日常に戻りたい。
だから
「皆で帰ろう」
あとがき
うわああああああっ!!!!
さて、まじでどうしようったらどーしよう……
救済ルートを導いてください。
ちなみに帳に関してですが……白い少女ちゃんの覚醒により、存在が人間と呪霊のハーフ的なふわっとした存在に。
人間ではあるけど、中途半端な存在のためご都合よろしく一般人を閉じ込める帳、術師を通さない帳は関係無い!(って事にしよう)って感じで通ってます。ふわふわした設定多くてごめんね!作者が馬鹿だから!!
呪い触っても平気って事はそーゆー事やで、工藤。
身体は人間!能力チート!!その名は呪い使い名前!!次回からシクヨロな!キラッ
東京土地勘がないのでザッとわっと書いてます。突っ込まないで……突っ込んだらこの作品終わる(笑)私の地元は海を越えた北の大地っ!!(笑)
東京は一回しか行ったことないから許して!!!
七海は伊地知を救護に任せて東急に乗り込んだの……?それとも自分で運んだ?
16分で行って戻って来れる距離かわからないので、3号に飛んでもらいました。
1号、蟲(火炎放射、虫・炎タイプ)
2号、蛇(破壊光線、悪タイプ)
3号、恐竜(空を飛ぶ、飛行・ドラゴンタイプ)
って覚えててもらえたらいいかな(笑)
2020年、コロナで自粛から始まった通行人シリーズ……まさかここまで続くとは思っていませんでした。
応援してくださり、続編を望まれ調子にのったのについてきてくださる皆様。ありがとうございます。
今は色々大変な世の中となっておりますが……これから年越し、そして新たに迎える新しい年ですがこれからもめげずに元気に頑張りましょう!!
まだまだコロナの驚異は消えませんが、少しでも皆様と楽しんで小説をお届け出来たらいいな、と思っております。
次回「あら、私が嘘ついたことあった?」
姫姉様頑張るわ。
闇を祓って 闇を祓って
夜の帳が……上がるといいなぁ。