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「大丈夫ですか?」
ピシッとしたスーツ。
清潔感のある身嗜み。
ふわっと香る香水の匂い。
「今すぐ片付けるので」
「お姉さん大丈夫?怪我は?」
全身真っ黒の人懐っこい表情の青年。
悟が忙しい間、たまたまヤバそうなのと目があって逃げていたら、たまたま会った呪術師の二人。
一瞬で片付けてくれた七三眼鏡のスーツさんと、私を心配してくれる黒い青年。
「お姉さん見えてる人?」
「まぁ……」
「まじで!?七海さーん!!この人見えてるって!!」
「大声出さなくても聞こえていますよ猪野君」
「この人どうします?」
「どうもしません。
お怪我は?」
「無いです」
「あれ?七海さん何か優しくないっスか?
いつもなら終わらせてさっさと後処理頼むのに」
「この方は特殊なので」
「え?え?もしかして、もしかしなくても七海さんの!?」
「違います」
「違うのかー。あ、じゃあ俺と連絡先交換しませんか?お姉さんぶっちゃけ好みです」
「あ、どうも…?」
愉快だな、おい。
めちゃくちゃ喋るな、この青年。
あれか?若さか?
「止めといた方がいいですよ、猪野くん」
「だってこんな世界居たら見える理解者なんていつゲット出来るかわからないじゃないっスか!!」
「この方、五条さんの彼女です」
「え?」
「五条さんの、彼女です」
「えええええええええ!!?」
やかましいな、この子。
あ、遅れましたがども。通行人名前です。
場所を移動し、居酒屋さん。
焼き鳥、揚げ出し豆腐、枝豆、唐揚げ、ポテト、サラダなどなど
「ほんっと、助かりましたよー。
なんかヤバそうだな、と思ったらすぐ襲われたんで」
「その割に全力ダッシュ凄かったっス」
「逃げ慣れた結果だね」
「どんな日々過ごしてるんですか」
生片手に三人で乾杯。
二人は仕事終わりのご飯へ行こうとしていたらしいので、そのまま一緒に。
「呪術師ってまともな奴いないと思ってたから凄い感動してる」
「ちなみにそのまともじゃない奴聞いても?」
「悟は勿論、硝子ちゃんもなかなかイカれてるし、生徒らも可愛いけど過激だし
こないだ会った人はただのセクハラ野郎だった」
「五条さんとお付き合いしてる時点で貴女もなかなかでは?」
「七海くんめちゃくちゃ言うじゃん」
まぁ、まともじゃないのは今さらだよね。
「七海くんがまともに見える」
「五条さんよりはまともかと」
「悟は異常だよ、異常」
「彼女さん強っ」
ケラケラ笑う猪野くん可愛い。
まだまだ若さがあるね、可愛い。
七海くんは年下とは思えない落ち着きだな。
「五条さんってやっぱ彼女の前だと甘いんですか?」
「悟?基本的には甘えん坊だよ。
私のお願い聞いてくれるし」
「それで?それで?」
「こないだは交流戦の勝利祝いでクリームパイぶつけ合った」
「「は?」」
「生徒相手に大人気なく全力で勝ちにいったわ」
「アホですかあの人」
「悟はアホだよ」
うんうん、と七海くんと頷き合う。
「理不尽のくせにたまに正論言うし」
「めちゃくちゃなことしますね」
「悪気無くやらかすし」
「強さと権力あるから質悪いんですよね」
「性格も悪いから敵作るし」
「確かに性格悪いですよね」
「最低なクズだわ」
七海くんと二人でポンポン出てくる。
「何でも出来るくせにやらないし
人に仕事押し付けるし
無理なことするし本当にロクでもないです」
「あっはっは!!悟の部下とかまじブラックそう!!」
「無駄にうざ絡みされる意外は耐えられます」
「悟の絡みうざいもんね」
「うざいです」
「まぁ身の内に入れた人間の面倒見はいいし、なんやかんや権力と財力あるから守ってくれるんだけどね」
「ですね」
「貶すけど五条さんのこと認めてるんですね、二人共」
猪野くんの言葉に頭を傾げる。
「悟の事は認めてるよ。
あんなんでも最強だし」
「そうですね。実力はありますね」
「悟の残念なとこは性格だから」
「自分勝手ですからね」
「ねー」
七海くんと話が合う。
そして七海くんが呪術師だと思えない落ち着きと真面目な感じが凄い新鮮!!
「七海くん、写真とろ」
「なぜですか」
「悟への嫌がらせ」
「喜んで撮ります」
「猪野くんよろしく」
「後で俺ともお願いしまっす!!」
「勿論さ」
七海くんのと2ショ
肩を組んで身を寄せ合う写真を送るとすぐに悟から電話が。
"なんで七海といるの"
「えー、七海くんとはオトモダチだもん」
「仲良くさせていただいています」
"は?"
「まじキレ禁止」
「心の狭い方ですね」
"オマエらのテンションなに?何なの?"
イラついている悟にそろそろヤベーな、とお互いに頷く。
「仕事帰りに七海くんに助けて貰ったからご飯してるだけー
怒っちゃ嫌よ、ダーリン」
"また?最近多いな"
「写真でしか見たこと無かったですが、まさか五条さんの彼女さんだとは思いませんでした」
"随分タイミング良いね"
「偶然ですよ」
"ふーん"
「助かったのに七海くんに当たるの禁止ぃ」
"アリガトナ、七海"
「殺意しか感じられません」
納得はしたが、不機嫌な悟。
これは帰って来た時が怖いな、と思うが考え無いことにする。
「ってゆーか、七海くんに写真見せびらかすとか悟そんなに七海くんと仲良いのか」
"そーだよー。七海は僕の優秀な後輩"
「仲良くはありません」
「どっち?」
「自慢されてたまたま覚えていただけです。
後、学生時代も変なプリクラをいたるところに貼られたから」
「オイ、悟くーん。なにそれ聞いてない」
"やっべー。あれ剥がしてねーや"
「おぃぃぃいいいいいいっ!!!」
「私が卒業する前に剥がしましたよ」
七海くんに土下座した。
ありがとう、七海くん。
どんなプリクラかわからないが、感謝しかない。
「五条さんの完全な片想いに腹のなかで笑っていましたが……いつの間にくっついたんですか?」
"一年以上前かなー。
あと七海、さっきから聞き捨てならないこと言ってんぞ"
「一年以上前ですか……残念です。
もう少し早く貴女と出会いたかった」
「えっ、七海、くん………」
"オイオイオイオーーイ。
何いい雰囲気かもしだしてんの?"
悟の焦る声が聞こえるが
こちら………まったくそんな雰囲気ではありません。
むしゃむしゃご飯食べてます。
猪野くんが声を押し殺して笑うのに必死。
私と七海くん?
真顔で焼き鳥食べてますが?
「あの頃は五条さんが周りを牽制していたと思ったら、いきなり他の女性と遊び歩いて……」
モシャモシャ
「な、七海くん……駄目だよ、そんなっ」
モシャモシャ
「…………っっっ」(腹筋ヤバい)
「この数年間、周りの呪術師から五条さんに大切な方が出来たと聞いた時は驚きました」
ゴクゴク
「手を……手を、離して七海くん」
ポリポリ
「っっっっ」(息出来ない)
「五条さんから貴女の写真を見せられ驚きました。
私の初恋は貴女だったので」
モグモグ
「七海くん……」
真顔でやり取りする私と七海くんに、そろそろ猪野くんの腹筋と呼吸がヤバそうだ。
"オマエら二人して僕を苛めて楽しい?"
「「何のこと?」」
"モグモグゴクゴク聞こえてんだよ"
「七海くんのノリの良さに驚き」
「ありがとうございます」
"帰ったらオマエら覚えて「あ、手が滑った」
悟の怖い呟きは聞かずに切った。
後が怖い?いや、いつものことです。
「いいんですか?」
「うん。こないだ私のプリン食べたから」
「〜〜〜っ!!!
ご、五条悟に……っ、あんな、こと…言えるの、お、お二人くらいっす……ふっ」
「猪野くん大丈夫ですか」
「猪野くん生きてる?息して息」
盛大に笑い出す猪野くん。
七海くんに注意されているが、声を押し殺していた分、我慢が出来ていない。
「学生時代か……まじでどんなプリクラ撮ったか覚えてないから大変助かりました、七海くん」
「色んなやつですよ。
四人のもの、三人のもの、二人のもの。
一番多かったのは三人のやつです」
「………そうか」
この子は知っている子なのだと。
私が悟達と仲良かった事。
「どうして、と初めは思っていました」
「ははっ!!私もあの時はそう思ってた」
「見えるだけなら探せば他にもいる。
あの人達は呪術師としてとても優秀でしたから。
………人間性はクソの塊でしたが」
「わーかーるー。
私じゃなくてもいいはずなのに
行く先々に待ち伏せしているんだよ?
ストーカーかヤクザかと思ったわ」
「タチ悪いですね」
「最悪だったわー。
まぁ、一緒に居て楽しかったから離れた時は寂しかった」
「離れた方が貴女にとっては幸せだったのでは?」
「かもしれない。
けど、諦めて思い出にするには灰汁が強すぎて。
迎えに来てもらったら手を取らずにはいられなかったんだ」
彼らの界隈でどんなに悪名高くても
私にとって永遠に変わらない友人達。
「五条さんは貴女がとても大切なんですね」
「んー?まぁ、自惚れるくらいには愛されているかな」
「そうですね。
今現在、私の携帯に呪詛のラインが大量に届くくらいには」
「うわっ、ヤバ」
ピコンピコンピコンと届くライン。
嫌がらせ以外の何でもない。
「うちのダーリンが申し訳ない」
「よく躾ておいてください」
「無理無理。悟だよ?」
「かろうじて手綱を引けるならお願いしたいです」
「うわっ、私にまで来た」
地獄のようなピコピコ音に、私と七海くんはそっと通知をオフにした。
「お二人共強すぎません?
相手は五条悟ですよ?」
「だからこそ無視しますよ」
「関わるとしつこいから」
のちに猪野は思ったそうだ。
ならなんで写真送ったこの二人、と。
それに対して二人は答える。
嫌がらせ、と。
楽しいお食事会も終わり、支払おうとしたら半分七海くんが支払ってくれた。
「猪野くんの分ですよ。
先輩として後輩の分くらい出させてください」
「イケメンだ……!!」
「七海さん……!!」
しかも二人で送ってくれたので頭が上がらない。
「今日はありがとう。
二人とも気をつけてね」
「名前さんこそお気をつけてください」
「そーそー!!また呪霊に襲われたら大変なんですから!!」
「はーい!気をつけるよ」
「五条さんによろしくお伝えください」
「また今度飯行きましょ!!」
「あぁ、名前さん」
「なーに?七海くん」
「もしも五条さんに絡まれた時は…………」
言われた言葉に私は家の前で盛大に吹き出し笑った。
七海くんはにっ、と微笑み口元に指を一本。
家に帰れば悟がむっすーーとしていた。
「ただいまー」
「お、か、え、り」
「あら?どうかしたの?ムスッとして」
「………オマエ本気で言ってる?」
思ってた以上に怒ってる悟。
やり過ぎたか、と思ったら後ろからのしかかってきた。
「七海の初恋がオマエなんて聞いてない」
「ジョークでしょ」
「まじだよ。アイツ学生時代の時何度かオマエのこと聞いてきたし」
「興味本位でしょ」
「アイツ嘘つかないから」
「………まじ?」
「まじ」
強く抱き締めてくる悟。
「七海に浮気すんなよ」
「………フッ、ふふふっ」
「何笑ってんの」
「ふふっ、あはははっ!!」
ベシベシと悟の腕を叩く。
目尻に涙を浮かべてしまうが、仕方ない。
「七海くんがね、言ってたよ」
初恋は事実だけど
「一目惚れした瞬間、変顔してるプリクラ見て引いたって」
「………は」
「あんな虚しい体験、後にも先にもあれっきりだと」
「どんなやつ貼ったか覚えてない」
「だから安心してください。
初恋の事実は無かったことにしていますってさ」
本人を目の前に言っちゃう七海くんに笑うしかなかった。
普通は傷付くのかもしれないが、知らないところで惚れた瞬間玉砕した恋の責任は取れない。
むしろ、ドン引くレベルの変顔ってどんなのだ?私こそ知りたいわ。
「だから安心してよ。
私は悟くん一筋でーす」
「七海に会ったらデコピンだな」
「やめてあげて」
「僕で遊ぶなんて数十年早い」
「七海くんや硝子ちゃんくらいでしょ。
悟のお馬鹿さんに付き合ってくれるの」
「僕馬鹿じゃないしー」
「はいはい」
呪術師という人間達は一癖も二癖もある。
あとがき
七海との初絡みでしたー。
学生時代に絡ませようと思ってボツにしたんだよな、と思って。
そしたら絡ませる場所がなかなか見付からず……すまぬ、七海。
猪野きゅん空気。
空気を読める男だから空気!!
いつか必ずまた絡ませるから許して!!
次回「もう終わりだ。なにもかも」
死に行く森に絶望する悠仁。
彼の身にいったいなにが……!!
ピシッとしたスーツ。
清潔感のある身嗜み。
ふわっと香る香水の匂い。
「今すぐ片付けるので」
「お姉さん大丈夫?怪我は?」
全身真っ黒の人懐っこい表情の青年。
悟が忙しい間、たまたまヤバそうなのと目があって逃げていたら、たまたま会った呪術師の二人。
一瞬で片付けてくれた七三眼鏡のスーツさんと、私を心配してくれる黒い青年。
「お姉さん見えてる人?」
「まぁ……」
「まじで!?七海さーん!!この人見えてるって!!」
「大声出さなくても聞こえていますよ猪野君」
「この人どうします?」
「どうもしません。
お怪我は?」
「無いです」
「あれ?七海さん何か優しくないっスか?
いつもなら終わらせてさっさと後処理頼むのに」
「この方は特殊なので」
「え?え?もしかして、もしかしなくても七海さんの!?」
「違います」
「違うのかー。あ、じゃあ俺と連絡先交換しませんか?お姉さんぶっちゃけ好みです」
「あ、どうも…?」
愉快だな、おい。
めちゃくちゃ喋るな、この青年。
あれか?若さか?
「止めといた方がいいですよ、猪野くん」
「だってこんな世界居たら見える理解者なんていつゲット出来るかわからないじゃないっスか!!」
「この方、五条さんの彼女です」
「え?」
「五条さんの、彼女です」
「えええええええええ!!?」
やかましいな、この子。
あ、遅れましたがども。通行人名前です。
場所を移動し、居酒屋さん。
焼き鳥、揚げ出し豆腐、枝豆、唐揚げ、ポテト、サラダなどなど
「ほんっと、助かりましたよー。
なんかヤバそうだな、と思ったらすぐ襲われたんで」
「その割に全力ダッシュ凄かったっス」
「逃げ慣れた結果だね」
「どんな日々過ごしてるんですか」
生片手に三人で乾杯。
二人は仕事終わりのご飯へ行こうとしていたらしいので、そのまま一緒に。
「呪術師ってまともな奴いないと思ってたから凄い感動してる」
「ちなみにそのまともじゃない奴聞いても?」
「悟は勿論、硝子ちゃんもなかなかイカれてるし、生徒らも可愛いけど過激だし
こないだ会った人はただのセクハラ野郎だった」
「五条さんとお付き合いしてる時点で貴女もなかなかでは?」
「七海くんめちゃくちゃ言うじゃん」
まぁ、まともじゃないのは今さらだよね。
「七海くんがまともに見える」
「五条さんよりはまともかと」
「悟は異常だよ、異常」
「彼女さん強っ」
ケラケラ笑う猪野くん可愛い。
まだまだ若さがあるね、可愛い。
七海くんは年下とは思えない落ち着きだな。
「五条さんってやっぱ彼女の前だと甘いんですか?」
「悟?基本的には甘えん坊だよ。
私のお願い聞いてくれるし」
「それで?それで?」
「こないだは交流戦の勝利祝いでクリームパイぶつけ合った」
「「は?」」
「生徒相手に大人気なく全力で勝ちにいったわ」
「アホですかあの人」
「悟はアホだよ」
うんうん、と七海くんと頷き合う。
「理不尽のくせにたまに正論言うし」
「めちゃくちゃなことしますね」
「悪気無くやらかすし」
「強さと権力あるから質悪いんですよね」
「性格も悪いから敵作るし」
「確かに性格悪いですよね」
「最低なクズだわ」
七海くんと二人でポンポン出てくる。
「何でも出来るくせにやらないし
人に仕事押し付けるし
無理なことするし本当にロクでもないです」
「あっはっは!!悟の部下とかまじブラックそう!!」
「無駄にうざ絡みされる意外は耐えられます」
「悟の絡みうざいもんね」
「うざいです」
「まぁ身の内に入れた人間の面倒見はいいし、なんやかんや権力と財力あるから守ってくれるんだけどね」
「ですね」
「貶すけど五条さんのこと認めてるんですね、二人共」
猪野くんの言葉に頭を傾げる。
「悟の事は認めてるよ。
あんなんでも最強だし」
「そうですね。実力はありますね」
「悟の残念なとこは性格だから」
「自分勝手ですからね」
「ねー」
七海くんと話が合う。
そして七海くんが呪術師だと思えない落ち着きと真面目な感じが凄い新鮮!!
「七海くん、写真とろ」
「なぜですか」
「悟への嫌がらせ」
「喜んで撮ります」
「猪野くんよろしく」
「後で俺ともお願いしまっす!!」
「勿論さ」
七海くんのと2ショ
肩を組んで身を寄せ合う写真を送るとすぐに悟から電話が。
"なんで七海といるの"
「えー、七海くんとはオトモダチだもん」
「仲良くさせていただいています」
"は?"
「まじキレ禁止」
「心の狭い方ですね」
"オマエらのテンションなに?何なの?"
イラついている悟にそろそろヤベーな、とお互いに頷く。
「仕事帰りに七海くんに助けて貰ったからご飯してるだけー
怒っちゃ嫌よ、ダーリン」
"また?最近多いな"
「写真でしか見たこと無かったですが、まさか五条さんの彼女さんだとは思いませんでした」
"随分タイミング良いね"
「偶然ですよ」
"ふーん"
「助かったのに七海くんに当たるの禁止ぃ」
"アリガトナ、七海"
「殺意しか感じられません」
納得はしたが、不機嫌な悟。
これは帰って来た時が怖いな、と思うが考え無いことにする。
「ってゆーか、七海くんに写真見せびらかすとか悟そんなに七海くんと仲良いのか」
"そーだよー。七海は僕の優秀な後輩"
「仲良くはありません」
「どっち?」
「自慢されてたまたま覚えていただけです。
後、学生時代も変なプリクラをいたるところに貼られたから」
「オイ、悟くーん。なにそれ聞いてない」
"やっべー。あれ剥がしてねーや"
「おぃぃぃいいいいいいっ!!!」
「私が卒業する前に剥がしましたよ」
七海くんに土下座した。
ありがとう、七海くん。
どんなプリクラかわからないが、感謝しかない。
「五条さんの完全な片想いに腹のなかで笑っていましたが……いつの間にくっついたんですか?」
"一年以上前かなー。
あと七海、さっきから聞き捨てならないこと言ってんぞ"
「一年以上前ですか……残念です。
もう少し早く貴女と出会いたかった」
「えっ、七海、くん………」
"オイオイオイオーーイ。
何いい雰囲気かもしだしてんの?"
悟の焦る声が聞こえるが
こちら………まったくそんな雰囲気ではありません。
むしゃむしゃご飯食べてます。
猪野くんが声を押し殺して笑うのに必死。
私と七海くん?
真顔で焼き鳥食べてますが?
「あの頃は五条さんが周りを牽制していたと思ったら、いきなり他の女性と遊び歩いて……」
モシャモシャ
「な、七海くん……駄目だよ、そんなっ」
モシャモシャ
「…………っっっ」(腹筋ヤバい)
「この数年間、周りの呪術師から五条さんに大切な方が出来たと聞いた時は驚きました」
ゴクゴク
「手を……手を、離して七海くん」
ポリポリ
「っっっっ」(息出来ない)
「五条さんから貴女の写真を見せられ驚きました。
私の初恋は貴女だったので」
モグモグ
「七海くん……」
真顔でやり取りする私と七海くんに、そろそろ猪野くんの腹筋と呼吸がヤバそうだ。
"オマエら二人して僕を苛めて楽しい?"
「「何のこと?」」
"モグモグゴクゴク聞こえてんだよ"
「七海くんのノリの良さに驚き」
「ありがとうございます」
"帰ったらオマエら覚えて「あ、手が滑った」
悟の怖い呟きは聞かずに切った。
後が怖い?いや、いつものことです。
「いいんですか?」
「うん。こないだ私のプリン食べたから」
「〜〜〜っ!!!
ご、五条悟に……っ、あんな、こと…言えるの、お、お二人くらいっす……ふっ」
「猪野くん大丈夫ですか」
「猪野くん生きてる?息して息」
盛大に笑い出す猪野くん。
七海くんに注意されているが、声を押し殺していた分、我慢が出来ていない。
「学生時代か……まじでどんなプリクラ撮ったか覚えてないから大変助かりました、七海くん」
「色んなやつですよ。
四人のもの、三人のもの、二人のもの。
一番多かったのは三人のやつです」
「………そうか」
この子は知っている子なのだと。
私が悟達と仲良かった事。
「どうして、と初めは思っていました」
「ははっ!!私もあの時はそう思ってた」
「見えるだけなら探せば他にもいる。
あの人達は呪術師としてとても優秀でしたから。
………人間性はクソの塊でしたが」
「わーかーるー。
私じゃなくてもいいはずなのに
行く先々に待ち伏せしているんだよ?
ストーカーかヤクザかと思ったわ」
「タチ悪いですね」
「最悪だったわー。
まぁ、一緒に居て楽しかったから離れた時は寂しかった」
「離れた方が貴女にとっては幸せだったのでは?」
「かもしれない。
けど、諦めて思い出にするには灰汁が強すぎて。
迎えに来てもらったら手を取らずにはいられなかったんだ」
彼らの界隈でどんなに悪名高くても
私にとって永遠に変わらない友人達。
「五条さんは貴女がとても大切なんですね」
「んー?まぁ、自惚れるくらいには愛されているかな」
「そうですね。
今現在、私の携帯に呪詛のラインが大量に届くくらいには」
「うわっ、ヤバ」
ピコンピコンピコンと届くライン。
嫌がらせ以外の何でもない。
「うちのダーリンが申し訳ない」
「よく躾ておいてください」
「無理無理。悟だよ?」
「かろうじて手綱を引けるならお願いしたいです」
「うわっ、私にまで来た」
地獄のようなピコピコ音に、私と七海くんはそっと通知をオフにした。
「お二人共強すぎません?
相手は五条悟ですよ?」
「だからこそ無視しますよ」
「関わるとしつこいから」
のちに猪野は思ったそうだ。
ならなんで写真送ったこの二人、と。
それに対して二人は答える。
嫌がらせ、と。
楽しいお食事会も終わり、支払おうとしたら半分七海くんが支払ってくれた。
「猪野くんの分ですよ。
先輩として後輩の分くらい出させてください」
「イケメンだ……!!」
「七海さん……!!」
しかも二人で送ってくれたので頭が上がらない。
「今日はありがとう。
二人とも気をつけてね」
「名前さんこそお気をつけてください」
「そーそー!!また呪霊に襲われたら大変なんですから!!」
「はーい!気をつけるよ」
「五条さんによろしくお伝えください」
「また今度飯行きましょ!!」
「あぁ、名前さん」
「なーに?七海くん」
「もしも五条さんに絡まれた時は…………」
言われた言葉に私は家の前で盛大に吹き出し笑った。
七海くんはにっ、と微笑み口元に指を一本。
家に帰れば悟がむっすーーとしていた。
「ただいまー」
「お、か、え、り」
「あら?どうかしたの?ムスッとして」
「………オマエ本気で言ってる?」
思ってた以上に怒ってる悟。
やり過ぎたか、と思ったら後ろからのしかかってきた。
「七海の初恋がオマエなんて聞いてない」
「ジョークでしょ」
「まじだよ。アイツ学生時代の時何度かオマエのこと聞いてきたし」
「興味本位でしょ」
「アイツ嘘つかないから」
「………まじ?」
「まじ」
強く抱き締めてくる悟。
「七海に浮気すんなよ」
「………フッ、ふふふっ」
「何笑ってんの」
「ふふっ、あはははっ!!」
ベシベシと悟の腕を叩く。
目尻に涙を浮かべてしまうが、仕方ない。
「七海くんがね、言ってたよ」
初恋は事実だけど
「一目惚れした瞬間、変顔してるプリクラ見て引いたって」
「………は」
「あんな虚しい体験、後にも先にもあれっきりだと」
「どんなやつ貼ったか覚えてない」
「だから安心してください。
初恋の事実は無かったことにしていますってさ」
本人を目の前に言っちゃう七海くんに笑うしかなかった。
普通は傷付くのかもしれないが、知らないところで惚れた瞬間玉砕した恋の責任は取れない。
むしろ、ドン引くレベルの変顔ってどんなのだ?私こそ知りたいわ。
「だから安心してよ。
私は悟くん一筋でーす」
「七海に会ったらデコピンだな」
「やめてあげて」
「僕で遊ぶなんて数十年早い」
「七海くんや硝子ちゃんくらいでしょ。
悟のお馬鹿さんに付き合ってくれるの」
「僕馬鹿じゃないしー」
「はいはい」
呪術師という人間達は一癖も二癖もある。
あとがき
七海との初絡みでしたー。
学生時代に絡ませようと思ってボツにしたんだよな、と思って。
そしたら絡ませる場所がなかなか見付からず……すまぬ、七海。
猪野きゅん空気。
空気を読める男だから空気!!
いつか必ずまた絡ませるから許して!!
次回「もう終わりだ。なにもかも」
死に行く森に絶望する悠仁。
彼の身にいったいなにが……!!