先輩シリーズ (五条)
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季節は冬になった。
傑が呪詛師になってから
傑に動きはなかった。
今までと同じように
呪霊の討伐に明け暮れる日々。
「……眠い」
12月6日
今日は軽い任務が午前中にあったくらいで
午後からは暇をもて余していた。
部屋に籠って
ぬくぬくとしながら
DVDを見たり、掃除したりなど
普段出来ないことをし
部屋でゴロゴロと気を抜いていた。
夜も遅くなってきて
暖かい部屋に、うとうとと睡魔に襲われ
布団の上で意識を手放そうとしていた。
「名前ー!!!」
バンっ、と勢いよく部屋に飛び込んできた悟。
何事かと飛び起きれば
悟がズカズカ部屋に入ってきた。
「ほら、着替えて」
「は?」
「暖かくしてよ、ほら早く」
勝手に服を脱がしにかかる悟を止めて
自分で着替える。
悟はそわそわとしていて
しきりに時間を気にしている。
「終わったけど」
「行くよ」
「は?え?ちょっと悟?」
待ちきれないと、無下限で抱えられ
走り出す悟に
何が何だかわからない。
寮の外に出たかと思えば
なぜか待機している補助監督の車。
理由も言われず乗せられ
出して、と悟の言葉に
車は出発する。
「………任務?」
「終わったけど」
「どこ行くの?」
「着いてからのお楽しみ」
「私用で車使っていいの?」
「へーきへーき」
特級様になると
補助監督すら自由に使えるの……?と
多分悟の我が儘に振り回されたんだろうな、と
どこに行くかわからないまま
車は走っていく。
「今日暇だったの?」
「午前中だけだったから」
「僕、朝からずーっと働き通し」
「お疲れ」
他愛ない会話をしていたら
着きましたよ、なんて都心で降ろされる。
そのまま悟が手を引いて歩きだすので
着いていく。
「悟、わりと眠いんだけど?」
「気合いで頑張って」
「しかも寒い」
「後で暖めてあげるから我慢」
「何言ってんの?」
「いいから黙って歩く」
よくわからない建物に入り
明らかに立ち入り禁止と書かれているのを
無視して屋上へ向かっている。
「名前に、クーイズ」
「は?」
「さっきから感じ悪いんだけど?
は?とか止めて」
「寝てるの起こされて
寒空の下歩かされ
私にどーしろと」
「今日は何日?」
「6日」
「今何時?」
「23時過ぎ」
「明日は?」
「明日?任務入ってるけど」
「………まじか。嘘だろ」
屋上へ続く階段を登ってる最中
ポカンとした顔で見てくる悟。
頭を傾げると、ムスッとしながら
こちらを睨み付けてくる。
「何?」
「ばーか。名前のばーか」
「いきなり怒られた…」
「そこは気付けよ。ばーか」
ぷんぷん怒りながらも
また階段を登りだす。
明日…明日は何かあったか?と
思い出す。
12月7日……
あ、と思い出した時
時計を見れば
日付が変わる10分前。
そんな間に
屋上について、悟は慣れたように開ける。
人工の光が夜の町を明るくし
奥には東京タワーが見える。
「豪華な花束も無いし
綺麗な夜景も無いし
憧れるようなシチュエーションは
用意出来ないけどさ」
それなりに綺麗な夜景と
イケメンの俺で許してよ、なんて
笑いながら言う悟。
「少し早いけど、誕生日おめでとう、悟」
「俺、誕生日だよ」
「そーだね」
「だから、俺に名前の全てを頂戴」
「………重いなぁ」
クスクス笑いながら言えば
やはりムッとしてる悟。
「俺だって、色んなシチュ考えたんだけど
俺が一番欲しいのは名前だし
乙女の夢見るシチュにしたとこで
名前が喜ぶとは思わなかったし」
「憧れるけどね」
「だから、俺の重たーーーーい愛を
こちらに詰め込みました」
手渡されたのは一枚の紙。
広げてみればそこには
悟の名前がかかれ、もうひとつは空欄の
人生を左右する紙。
「………婚姻届?」
まさか本当に持ってくるとは…
「悟、未成年で保証人って親じゃない?」
「書いてもらってきた」
「は?」
「俺の親にも、名前の親にも」
ちゃんと見なよ、と悟に言われ
保証人の欄を見れば
確かに父親の名前が書いてある。
「少し前から挨拶行って
強引だけどサイン貰ってきた」
「………よく、貰えたね」
「まぁね」
にやりと笑う悟に
驚いていいのか
喜んでいいのか
感情が迷子になる。
「俺五条 悟は、名前を妻とし
今日より良い時も悪い時も
富める時も貧しい時も
病める時も健やかなる時も
愛し慈しみ
死が二人を分かつまで
名前を愛し、守り抜くことを誓います」
にっ、と笑いながら
私の冷たくなっている頬に
手を添える。
「ほら、名前は?」
「悟、本当に本当に、いいの…?」
「言ったろ?
俺は名前がほしい。
本気じゃなきゃ名前の親にサインもらいに行かないよ」
大変だったんだからね、と
気楽に言うものだから
笑ってしまった。
「ふふっ、悟………ありがとう」
「名前こそいーの?
今ならまだ逃げれるけど」
「神に誓ったのに?
逃がす気もないくせに」
「まぁね
逃げたら拉致・監禁かな」
「こわ」
「名前が好きだよ。
俺の全てをあげるから
名前の人生を俺に頂戴」
ぎゅっ、と抱き締める悟の腕の中が暖かい。
「悟、約束して」
「先に死なないってこと?」
「少しでも長く、生きてよ」
「死なないよ」
「私と、未来ある術師なら、術師を優先して」
「………名前」
「私を庇って死んだら許さないから」
「……酷い女だね。
俺に奥さんよりも他者を選んで
奥さんを優先するなってこと?」
「もしもの時はね」
「やだよ」
「私は庇って死なれても嬉しくないし
生きるつもりもないよ」
「あのさぁ、名前
俺が名前を守れず死ぬと思ってんの?」
「今時点では思わないけど
これから先の出来事だよ」
「卑屈だねぇ…却下しまーす」
ぎゅーーっと、力一杯抱き締める悟の腕が色々食い込んで痛い。
バシバシと胸を叩いて、解放される。
「悟のばか!!痛い」
「仮に、名前を庇って重症になった場合
敵に名前が人質に取られて不利な場合
俺が名前の息の根を止めてあげる」
「………うわぁ」
「引くなよ」
「ビックリだよ」
「当たり前だろ?
俺の名前が他者に汚されるくらいなら
俺の手で終わらすよ」
「……後輩の愛が重い」
「ずーっと待ったし
ずーっと言ってるだろ。逃がさないって」
抱き締めてくる悟の背中に腕を回し
私も力一杯抱き着く。
「はははっ!!
私、禪院 名前は
病める時も健やかなる時も
五条 悟を愛し慈しむことを悟に誓うよ」
「……適当すぎじゃない?」
「居もしない神に誓うより
悟に誓った方が確実でしょ?」
「………名前好き」
「私は悟を愛してるよ」
「名前が愛しすぎて辛い」
「出しに行くの?」
「行く」
日付も変わり、二人で笑いながら
役所行って、足りない場所を埋めて
馬鹿みたいに婚姻届を二人で持って
写真を撮った。
受理されました、と言われ
また二人で笑う。
諸々の手続きは
また明日でいいやと
二人で手を繋ぎながら高専に帰った。
あれから約10年
悟は高専の先生として、特級として
相変わらず忙しい日々だ。
私は一級術師としてそれなりに働き
暇なときは高専の手伝いをしてる。
事務作業がほとんどだが
学生の指導をしたりもしてる。
「名前さん」
名前を呼ばれ、振り向けば恵が近寄ってきた。
私服姿なところと
他の一年も一緒なとこを見るに
これから一年だけでお出掛けなのかな?
「恵、こんにちは」
「戻ってたんですね」
「さっき帰ってきたよ。お土産、いる?」
「後で貰います」
「「………誰?」」
背が伸びた恵の頭撫でていると
少し後ろにいた虎杖君と釘崎さんが
何とも言えぬ顔で見てくる。
「恵の母です」
「えっ!?」
「伏黒のお母さんめっっちゃ美人!!」
「間違いではないけど止めて下さい」
「間違いではないなら、いいんだよ」
「あれが父親になるのが嫌です」
「はっはっはっは」
「んで、お姉様はどちら様?」
虎杖君が小首を傾げて聞いてくる。
この子が特級呪物の指を飲み込んだのか…と
まじまじ見てしまう。
少し近かったのか、恵が引き離していた。
「ごめんね
私は名前だよ」
「伏黒のお姉さん?」
「育ての親かな?」
「そーですね」
あえて苗字は言わずにいると
やはり恵の関係者だと思われている。
虎杖君と釘崎さんも名乗ってくれた。
「一応、一級呪術師だけど
基本的には高専で生徒に指導もしてる
事務員かな?」
「で、お姉さんの旦那ってどなた?」
「おや?そこつついちゃう?」
「そいつも知っていて
あえて苗字を言わなかったってことは
私達の知っているやつなんじゃないかしら?」
「まじか!!
名前さんの旦那って俺らの知ってる人!?」
虎杖君のテンションが高くなる。
恵と視線が合うが
ここで暴露しても面白そうだが
あえて隠すのも面白そうだ。
「当ててごらん?」
にっこりと言えば
二人は真面目な顔で悩みだす。
「すぐバレると思うんですが」
「恵がそんなこと言うと出てくるじゃん」
「誰が?」
後ろから声がして
お腹周りに手が回る。
「五条先生だ!!」
「……いつの間にいたのよ」
虎杖君と釘崎さんの温暖差が
大変面白い。
「いつ戻って来たの?」
「ついさっきだよ」
ふーん、と言いながら
引っ付いている悟。
釘崎さんと恵のうわぁ、という表情。
「生徒の前ですよー」
「戻って来ない名前が悪い」
「可愛い恵に呼び止められたから、つい」
「俺に責任押し付けるの止めて下さい」
「……名前さん、まさかとは思うけれど
旦那……それじゃないわよね?」
釘崎さんが悟を指差す。
何かを察した悟が
にやりと意地悪く笑う気配がした。
「野薔薇、それって酷くなーい?
こーんなイケメンな先生に
そんな扱い僕悲しいよ」
「うっっっざ
指輪見せつけてくるのもうっっっざ!!!」
「たかが数日で、ここまで扱われる悟が
いかに信用ないかわかるわ」
「先生の奥さん?」
「悠二正解」
「名前さん、趣味悪いわよ」
「私もそう思ってるよ、釘崎さん」
「酷くない?恵、奥さんが僕を苛める」
「知りません」
みんな酷い…と
抱き着いてくる悟。
よしよし、と頭を撫でれば
すり寄ってくる。
「さて、悟が来ちゃったことだし私行くね
恵、部屋にお土産置いておくから
みんなで食べてね」
「わかりました」
「三人で楽しんできて」
悟のお腹に回っている腕を
ポンポンと叩くと
すぐに解放されて、片手を繋がれる。
一年三人に手を振れば
三人とも振り返してくれた。
「いい子達ばかりね」
「僕の生徒だから」
楽しそうな悟。
いつか訪れる
別れの日まで
「名前」
「なぁに?悟」
「夜、名前の作ったご飯食べたい」
「家何も無くない?」
「買い物付き合うから」
「簡単なのでいい?」
「何でもいい。名前不足」
「いなかったのたかが数日じゃない」
「無理無理
だから呪術師辞めて」
「嫌だよ」
「ばーか。名前のばーか。
愛してるのにばーか」
「本当、相変わらず重いねぇ」
笑って
ふざけて
そんな日々が続けばいいと願う。
死が 二人を 別つまで。
あとがき
やっっと書き終えた!!
最後、ありきたりな終わり方ですが
初シリーズとして
達成感でいっぱいです。
ちょくちょく番外編いれたい。
そして短編で
呪霊側書きたい(笑)
やりたいこといっぱいなのに
進まないです。
これからも、よろしくお願いいたします。
お読みいただき
ありがとうございました!!
傑が呪詛師になってから
傑に動きはなかった。
今までと同じように
呪霊の討伐に明け暮れる日々。
「……眠い」
12月6日
今日は軽い任務が午前中にあったくらいで
午後からは暇をもて余していた。
部屋に籠って
ぬくぬくとしながら
DVDを見たり、掃除したりなど
普段出来ないことをし
部屋でゴロゴロと気を抜いていた。
夜も遅くなってきて
暖かい部屋に、うとうとと睡魔に襲われ
布団の上で意識を手放そうとしていた。
「名前ー!!!」
バンっ、と勢いよく部屋に飛び込んできた悟。
何事かと飛び起きれば
悟がズカズカ部屋に入ってきた。
「ほら、着替えて」
「は?」
「暖かくしてよ、ほら早く」
勝手に服を脱がしにかかる悟を止めて
自分で着替える。
悟はそわそわとしていて
しきりに時間を気にしている。
「終わったけど」
「行くよ」
「は?え?ちょっと悟?」
待ちきれないと、無下限で抱えられ
走り出す悟に
何が何だかわからない。
寮の外に出たかと思えば
なぜか待機している補助監督の車。
理由も言われず乗せられ
出して、と悟の言葉に
車は出発する。
「………任務?」
「終わったけど」
「どこ行くの?」
「着いてからのお楽しみ」
「私用で車使っていいの?」
「へーきへーき」
特級様になると
補助監督すら自由に使えるの……?と
多分悟の我が儘に振り回されたんだろうな、と
どこに行くかわからないまま
車は走っていく。
「今日暇だったの?」
「午前中だけだったから」
「僕、朝からずーっと働き通し」
「お疲れ」
他愛ない会話をしていたら
着きましたよ、なんて都心で降ろされる。
そのまま悟が手を引いて歩きだすので
着いていく。
「悟、わりと眠いんだけど?」
「気合いで頑張って」
「しかも寒い」
「後で暖めてあげるから我慢」
「何言ってんの?」
「いいから黙って歩く」
よくわからない建物に入り
明らかに立ち入り禁止と書かれているのを
無視して屋上へ向かっている。
「名前に、クーイズ」
「は?」
「さっきから感じ悪いんだけど?
は?とか止めて」
「寝てるの起こされて
寒空の下歩かされ
私にどーしろと」
「今日は何日?」
「6日」
「今何時?」
「23時過ぎ」
「明日は?」
「明日?任務入ってるけど」
「………まじか。嘘だろ」
屋上へ続く階段を登ってる最中
ポカンとした顔で見てくる悟。
頭を傾げると、ムスッとしながら
こちらを睨み付けてくる。
「何?」
「ばーか。名前のばーか」
「いきなり怒られた…」
「そこは気付けよ。ばーか」
ぷんぷん怒りながらも
また階段を登りだす。
明日…明日は何かあったか?と
思い出す。
12月7日……
あ、と思い出した時
時計を見れば
日付が変わる10分前。
そんな間に
屋上について、悟は慣れたように開ける。
人工の光が夜の町を明るくし
奥には東京タワーが見える。
「豪華な花束も無いし
綺麗な夜景も無いし
憧れるようなシチュエーションは
用意出来ないけどさ」
それなりに綺麗な夜景と
イケメンの俺で許してよ、なんて
笑いながら言う悟。
「少し早いけど、誕生日おめでとう、悟」
「俺、誕生日だよ」
「そーだね」
「だから、俺に名前の全てを頂戴」
「………重いなぁ」
クスクス笑いながら言えば
やはりムッとしてる悟。
「俺だって、色んなシチュ考えたんだけど
俺が一番欲しいのは名前だし
乙女の夢見るシチュにしたとこで
名前が喜ぶとは思わなかったし」
「憧れるけどね」
「だから、俺の重たーーーーい愛を
こちらに詰め込みました」
手渡されたのは一枚の紙。
広げてみればそこには
悟の名前がかかれ、もうひとつは空欄の
人生を左右する紙。
「………婚姻届?」
まさか本当に持ってくるとは…
「悟、未成年で保証人って親じゃない?」
「書いてもらってきた」
「は?」
「俺の親にも、名前の親にも」
ちゃんと見なよ、と悟に言われ
保証人の欄を見れば
確かに父親の名前が書いてある。
「少し前から挨拶行って
強引だけどサイン貰ってきた」
「………よく、貰えたね」
「まぁね」
にやりと笑う悟に
驚いていいのか
喜んでいいのか
感情が迷子になる。
「俺五条 悟は、名前を妻とし
今日より良い時も悪い時も
富める時も貧しい時も
病める時も健やかなる時も
愛し慈しみ
死が二人を分かつまで
名前を愛し、守り抜くことを誓います」
にっ、と笑いながら
私の冷たくなっている頬に
手を添える。
「ほら、名前は?」
「悟、本当に本当に、いいの…?」
「言ったろ?
俺は名前がほしい。
本気じゃなきゃ名前の親にサインもらいに行かないよ」
大変だったんだからね、と
気楽に言うものだから
笑ってしまった。
「ふふっ、悟………ありがとう」
「名前こそいーの?
今ならまだ逃げれるけど」
「神に誓ったのに?
逃がす気もないくせに」
「まぁね
逃げたら拉致・監禁かな」
「こわ」
「名前が好きだよ。
俺の全てをあげるから
名前の人生を俺に頂戴」
ぎゅっ、と抱き締める悟の腕の中が暖かい。
「悟、約束して」
「先に死なないってこと?」
「少しでも長く、生きてよ」
「死なないよ」
「私と、未来ある術師なら、術師を優先して」
「………名前」
「私を庇って死んだら許さないから」
「……酷い女だね。
俺に奥さんよりも他者を選んで
奥さんを優先するなってこと?」
「もしもの時はね」
「やだよ」
「私は庇って死なれても嬉しくないし
生きるつもりもないよ」
「あのさぁ、名前
俺が名前を守れず死ぬと思ってんの?」
「今時点では思わないけど
これから先の出来事だよ」
「卑屈だねぇ…却下しまーす」
ぎゅーーっと、力一杯抱き締める悟の腕が色々食い込んで痛い。
バシバシと胸を叩いて、解放される。
「悟のばか!!痛い」
「仮に、名前を庇って重症になった場合
敵に名前が人質に取られて不利な場合
俺が名前の息の根を止めてあげる」
「………うわぁ」
「引くなよ」
「ビックリだよ」
「当たり前だろ?
俺の名前が他者に汚されるくらいなら
俺の手で終わらすよ」
「……後輩の愛が重い」
「ずーっと待ったし
ずーっと言ってるだろ。逃がさないって」
抱き締めてくる悟の背中に腕を回し
私も力一杯抱き着く。
「はははっ!!
私、禪院 名前は
病める時も健やかなる時も
五条 悟を愛し慈しむことを悟に誓うよ」
「……適当すぎじゃない?」
「居もしない神に誓うより
悟に誓った方が確実でしょ?」
「………名前好き」
「私は悟を愛してるよ」
「名前が愛しすぎて辛い」
「出しに行くの?」
「行く」
日付も変わり、二人で笑いながら
役所行って、足りない場所を埋めて
馬鹿みたいに婚姻届を二人で持って
写真を撮った。
受理されました、と言われ
また二人で笑う。
諸々の手続きは
また明日でいいやと
二人で手を繋ぎながら高専に帰った。
あれから約10年
悟は高専の先生として、特級として
相変わらず忙しい日々だ。
私は一級術師としてそれなりに働き
暇なときは高専の手伝いをしてる。
事務作業がほとんどだが
学生の指導をしたりもしてる。
「名前さん」
名前を呼ばれ、振り向けば恵が近寄ってきた。
私服姿なところと
他の一年も一緒なとこを見るに
これから一年だけでお出掛けなのかな?
「恵、こんにちは」
「戻ってたんですね」
「さっき帰ってきたよ。お土産、いる?」
「後で貰います」
「「………誰?」」
背が伸びた恵の頭撫でていると
少し後ろにいた虎杖君と釘崎さんが
何とも言えぬ顔で見てくる。
「恵の母です」
「えっ!?」
「伏黒のお母さんめっっちゃ美人!!」
「間違いではないけど止めて下さい」
「間違いではないなら、いいんだよ」
「あれが父親になるのが嫌です」
「はっはっはっは」
「んで、お姉様はどちら様?」
虎杖君が小首を傾げて聞いてくる。
この子が特級呪物の指を飲み込んだのか…と
まじまじ見てしまう。
少し近かったのか、恵が引き離していた。
「ごめんね
私は名前だよ」
「伏黒のお姉さん?」
「育ての親かな?」
「そーですね」
あえて苗字は言わずにいると
やはり恵の関係者だと思われている。
虎杖君と釘崎さんも名乗ってくれた。
「一応、一級呪術師だけど
基本的には高専で生徒に指導もしてる
事務員かな?」
「で、お姉さんの旦那ってどなた?」
「おや?そこつついちゃう?」
「そいつも知っていて
あえて苗字を言わなかったってことは
私達の知っているやつなんじゃないかしら?」
「まじか!!
名前さんの旦那って俺らの知ってる人!?」
虎杖君のテンションが高くなる。
恵と視線が合うが
ここで暴露しても面白そうだが
あえて隠すのも面白そうだ。
「当ててごらん?」
にっこりと言えば
二人は真面目な顔で悩みだす。
「すぐバレると思うんですが」
「恵がそんなこと言うと出てくるじゃん」
「誰が?」
後ろから声がして
お腹周りに手が回る。
「五条先生だ!!」
「……いつの間にいたのよ」
虎杖君と釘崎さんの温暖差が
大変面白い。
「いつ戻って来たの?」
「ついさっきだよ」
ふーん、と言いながら
引っ付いている悟。
釘崎さんと恵のうわぁ、という表情。
「生徒の前ですよー」
「戻って来ない名前が悪い」
「可愛い恵に呼び止められたから、つい」
「俺に責任押し付けるの止めて下さい」
「……名前さん、まさかとは思うけれど
旦那……それじゃないわよね?」
釘崎さんが悟を指差す。
何かを察した悟が
にやりと意地悪く笑う気配がした。
「野薔薇、それって酷くなーい?
こーんなイケメンな先生に
そんな扱い僕悲しいよ」
「うっっっざ
指輪見せつけてくるのもうっっっざ!!!」
「たかが数日で、ここまで扱われる悟が
いかに信用ないかわかるわ」
「先生の奥さん?」
「悠二正解」
「名前さん、趣味悪いわよ」
「私もそう思ってるよ、釘崎さん」
「酷くない?恵、奥さんが僕を苛める」
「知りません」
みんな酷い…と
抱き着いてくる悟。
よしよし、と頭を撫でれば
すり寄ってくる。
「さて、悟が来ちゃったことだし私行くね
恵、部屋にお土産置いておくから
みんなで食べてね」
「わかりました」
「三人で楽しんできて」
悟のお腹に回っている腕を
ポンポンと叩くと
すぐに解放されて、片手を繋がれる。
一年三人に手を振れば
三人とも振り返してくれた。
「いい子達ばかりね」
「僕の生徒だから」
楽しそうな悟。
いつか訪れる
別れの日まで
「名前」
「なぁに?悟」
「夜、名前の作ったご飯食べたい」
「家何も無くない?」
「買い物付き合うから」
「簡単なのでいい?」
「何でもいい。名前不足」
「いなかったのたかが数日じゃない」
「無理無理
だから呪術師辞めて」
「嫌だよ」
「ばーか。名前のばーか。
愛してるのにばーか」
「本当、相変わらず重いねぇ」
笑って
ふざけて
そんな日々が続けばいいと願う。
死が 二人を 別つまで。
あとがき
やっっと書き終えた!!
最後、ありきたりな終わり方ですが
初シリーズとして
達成感でいっぱいです。
ちょくちょく番外編いれたい。
そして短編で
呪霊側書きたい(笑)
やりたいこといっぱいなのに
進まないです。
これからも、よろしくお願いいたします。
お読みいただき
ありがとうございました!!