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※ご都合年齢操作あり
※なんとなくで書いてるので
あれ?もしかして……って思っても
生暖かい目で見れる方のみお願いします
「名前、コイツらを頼む」
「は?」
夜蛾に頼まれたのは三人の少年少女。
すぐに夜蛾の手を引いて内緒話をするようにコソコソ話す。
「ちょっとどーゆー事!?
いきなり頼むって言われても意味わからない!!」
「ちょっと事情があってな」
「だから詳しく話してって言ってるんですが?」
胸ぐらを掴みながら夜蛾へと問う。
ちなみにこんなことしているが、夜蛾は私の先輩だ。
長い艶のある髪に泣き黒子の幼いながらに顔立ちの整った子供。
表情が変わらず整っている分どこか人形のようだ。
「家入硝子。
幼いながらに他人に反転術式を扱えつつある」
男の子にしてはやや長めの髪。こちらも見る人が見れば整っている顔立ちをしている将来有望な男の子。
ニコリと笑っているが目が笑っていない。
「夏油傑。
呪霊操術の使い手で、既に一級レベルを使役できる。
そして……」
全体的に色白で、この場にいる誰よりも顔が整っている。
ジロリと睨みつけてきて自分以外は全て敵だと殺気立っている少年。
「五条悟。
無下限呪術と六眼を持つ五条家の倅だ」
「………嘘でしょ」
「学校でも浮いていて、呪詛師からも狙われている。一時的だがコイツらの面倒を頼む」
「は?待って。私一人でどうにかしろと?」
「どうにかしろ」
「先輩は?」
「討伐任務だ」
「待って待って待って」
「どうにかできるだろ」
じゃあ、よろしくとさっさといなくなった夜蛾に頭を抱える。
取り残された子供三人と自分。
「あー……」
「すいません。ご迷惑なら僕ら帰りますので」
「えーっと、傑くんだったかな?
今帰って君やご家族に何かあっても私一人じゃ対応しきれないから」
「役立たずじゃん」
「………悟くん?」
「俺より弱ェくせに守る?それなら自分でどうにかするっつの」
「僕も自分の身は自分でどうにか出来るので」
「帰っていいなら帰る」
「あのね、君らは保護されていて」
「さっさと帰せよババア」
興味の無い子供。
人当たり良さそうだが拒絶する子供。
完全拒否の子供。
問題しかない三人に、大きな溜め息をつく。
これは子供だ。
子供の悪意のない言葉に翻弄されてはいけない。
落ち着け、私はこの子達より大人だ……と言い聞かせる。
「耳まで遠いのかよババア」
落ち着け。
これは子供。
「雑魚が無視してんじゃねーよ」
白髪頭を片手で押さえ付け、出来る限り指に力を込める。
「いっっっ!!!
いってーよ!!離せババア!!」
「ごめんねぇ?おばーちゃんだからちょっとお口の悪いクソガキの言葉おばーちゃんには通じないんだぁ」
「はっなっせっよ!!」
脛に向かって蹴りを入れようとする白髪頭。
しかし、子供の蹴りなど簡単に見切れてしまうので避けて再び頭に力を入れる。
「くっっそババア!!」
「あ?」
「オマエ!!俺にこんなことしていいと思ってんのかよ!!」
「あらま、お坊ちゃんは自分でどうにかならないと直ぐにお家頼みでしゅか?」
「テッメェ…!!」
「はっ!!睨んだって怖くないわ」
「大人気ない……」
「帰っていい?」
痛みに悶える五条を放置し、三人の方を向く。
「君達よりも数年私のが呪術師としても人としても先輩だからね。
年上のお姉さんへの口の聞き方には注意しなさい」
そんな初対面から始まった私達。
懐いて貰おうとは思っていなかったが、いかんせん問題児過ぎた。
一緒に行こうと誘えば
「行かない」
「いい子で待っているので大丈夫ですよ」
「近寄んな、指図すんな、声掛けんな」
ご飯を作れば
「食べれるの?コレ」
「もう少し盛り付け方とかどうにかならなかったんですか?」
「ゴミ食わせようとすんな」
仲良くなろうとすれば
「「「間に合ってるんで」」」
手のかかる生意気な子供らに頭を抱えるしかなかった。
そんな生活を送っていたのだが、元々は命を狙われているのを保護しているので子供らの世話だけじゃなく別の仕事もしなくてはいけない。
子供が眠った後は無法者の片付けだ。
「毎回毎回子供相手にわさわさと……」
刺客が送られるのは預かった日から間もなくだった。
子供相手に溜まったストレスを八つ当たりのように発散出来るから苦ではないが、送られてくる刺客の人数が酷い。
個人ではそんなに気にならなくても団体で来た場合話は変わってくる。
「くそ……っ!!
アイツらをまとめて殺せば一生遊んで暮らせんだぞ!!」
「だからって金欲しさに子供殺めるクズの仲間入りはしません」
「アイツらがいるからここ最近オレ達の仕事が上手くいかねーんだよ!!」
「はぁ?」
「呪霊だって今まで成りを潜ませていたような大物も出てくるようになった!!
何人も仲間が殺された!!」
「それはあんたらの実力の問題でしょ」
「それもこれも、アイツらが産まれてきてからなんだよ!!」
確かにここ数年、呪霊のレベルも上がっていれば、死者の数も増えている。
聞いていたものと、資料で見たものより実際呪霊と対峙した時には話が違った事が増えている。
「偶々でしょ」
「あの化物達がいるからっ!!」
あの子達がどんな人生を過ごして来て今、私のところにいるのかはわからない。
見える者が周りにいない世界。
他人とは違う自分。
周りの期待を押し付けられ力の差に畏怖される存在。
悪意と殺意が渦巻く環境。
「テメェの弱さや実力の無さを他人のせいにしてんじゃねーよ」
「うぐっ」
「あの子らは化物じゃない。
ただの生意気なクソガキだよ」
あの子達が化物だと言うのなら
「人を殺して人生謳歌しようとしてるお前らのが化物だと思うけど」
意識を刈り取り、高専へと連絡してあとを任せる。
「本当の化物は傷付ける事を何とも思わない」
あの子達は他者を傷付け、傷付く事に心を痛める心がある。
「あの子達は人間だよ。
クッッッッソ生意気だけど」
一仕事終えて今日はもう来るなよ、と念を飛ばす。
最初の頃は2度も3度も襲来してきたのに比べれば回数も落ち着いた方だ。
大元をどうにか出来れば子供達を返してやれるのだが、雲隠れが上手いのか複数の依頼をしているのか闇サイトがあるのか……。
どちらにせよ夜蛾がそちらの対応をしているので来たアホ共をどうにかするのが私の仕事だ。
寝不足はあれど寝れていないわけじゃないので問題ない。
昔徹夜で連続任務に行った頃よりはましだと思っている。
常に人手の少ない界隈なのでサポートをしてくれる呪術師にも限りがある。
そんな生活が数週間も過ぎた頃、そろそろ体がダルいなと思って来た時だった。
「やめれよ」
五条が一言私に告げた。
「何が?」
「毎晩毎晩雑魚の相手しながら俺らの警護すんのも、日中監視しながら相手すんのもやめちまえ」
「え…」
「悟、何を言って」
「オマエが体張るほど俺らと関わりなんかねーだろ!!
金で雇われたんなら今すぐ五条に金頼んで出してやるよ。今すぐ護衛なんかやめて俺らを手離せよ!!」
吼えるように叫ぶ五条。
「いつ知ったの?」
「ここに来てからすぐ」
「良い子は早く寝なきゃ駄目でしょ」
「生憎小さい頃から賞金掛けられて育ったから呪力と殺意には敏感なんだよ」
五条の眼は術式を視認できる。
数百年ぶりの六眼と無下限呪術をあわせ持つ彼だから幼い頃から数えきれないほどの相手に狙われて来たのだろう。
「化物の俺達なんか守って何になんだよ!!」
「そうやって言われてきたの?」
「いい人ぶって最後は裏切るなら最初っから関わってくんな!!」
ギラギラと目を吊り上げて吼えるように叫ぶ五条。
夏油も家入も視線を反らして表情を固くしてる。
この子達は一体どれほどの人間に手を離されて来たのだろう。
救いを求めても払い除けられ
手を伸ばされても裏があり
最後に傷付くのはこの子達。
人々の悪意が意思を持った化物が目の前にいるのに、力があるが故に化物と呼ばれるなんて……。
だから
無関心なのも
笑顔を張り付けるのも
威嚇するのも
全ては幼いながらに身に付けた自分を守る為の鎧だ。
「はぁ……」
溜め息一つで肩を震わすくせに
諦めているような態度のくせに
こちらを恐る恐る見上げる瞳の奥では物言いたげに揺れている。
そんな彼らの目の前でしゃがみこみ、視線を合わせる。
「クッソだるい。クッソ眠い。
もっと呪術師増やすべき任務なのに私一人とか頭おかしい」
「ならっ!!」
「あの人が私なら出来るって任せたんだ」
真面目で、頭固くて、可愛いモノ好きで、人形のセンス微妙で、見た目完全ヤバい人だが
強くて尊敬出来る先輩。
「私を信頼しなくていい。
関わりたくないなら関わろうとしなくていい。
私は私の為にこの任務を投げ出す気はないよ」
「任務だから僕らを守るんですか?」
「そうだね。
クソガキのお守りと護衛がまともに出来ない大人にはなりたくないから全身全霊で挑んでるんだ」
「く、クソガキ……」
「反発する、言うこと聞かない、駄々こねる、文句しか言わない……ハッ!!クソガキで充分でしょ」
「そんなご迷惑おかけしてないと思いますが……悟以外」
「はぁぁあああ!?
傑だって気持ち悪い笑顔張り付けて断ってんだろ!!」
「僕は悟みたいに暴言なんか吐かない」
「硝子だって無視してるし!!」
「答えたくないだけ」
それぞれがそれぞれ、けなし合い始めた子供ら。
子供同士の仲はそれなりにいいらしいので安心した。
くすり、と笑って騒ぐ三人の頭を乱暴に撫でる。
「クソガキは元気に騒いで、我が儘言って、沢山食べて沢山寝て、毎日楽しく過ごすのが仕事だよ」
「クソガキって言うなババア!!」
「変態の相手はお姉さんに任せてノビノビと育ちなさい」
「年寄りみたいですね」
「お前らは特別じゃない。
どこにでもいる反抗期のクソガキ共だよ」
少し人より優れていただけ。
誰にでも他者に負けない才能が必ずある。
「お前らが化物なら、私も同じ化物さ」
産まれて数年の子供より
さらに数十年年上の私は子供達より強い。
「お前達の知ってる大人と一緒にすんな。
化物の先輩である私が弱いお前達を仕方ないから守ってやるから」
「誰も頼んでねぇ!!」
「仕方ないなら別に守ってくれなくてもいいです」
「生意気。ほら、クソガキじゃん」
「頭悪そうな煽り方だね」
「雑な煽り方でも簡単乗っちゃうクソガキ共には丁度いいでしょ」
少しずつ素顔を見せてくれる彼ら。
懐いた、というよりは取り繕う必要が無くなったのでお互いに気を使わず話せるようになった。
「名前さん、料理雑」
「食べれればいいんだよ」
「もっと綺麗に盛り付けろよ」
「じゃあ悟は食べるな」
「見た目はともかく美味しいよ」
「硝子、一言多い」
少しずつ会話が増えた。
少しずつ笑顔が増えた。
少しずつ我が儘が増えた。
子供らしく過ごす三人がこのまま育っていき
いつか高専に入ってくる未来を思い浮かべてしまう。
私と肩を並べて任務に行ったり
私よりも強くなって上にいったり
後の呪術界を背負っていくのだろうか……なんて。
「なぁ、何で名前はサングラスかけてんだよ」
「格好いいだろ」
「似合わねぇ」
「丸いサングラスなんて人を選ぶかと」
「普通にダサイ」
「お前ら……
呪霊と目が合わないようにするためにもサングラスや眼鏡が役立つんだよ」
「ふーん。似合ってねーから俺によこせよ」
「悟が長身イケメン美男子になったらあげるよ」
「言ったな。よこせよ」
「思春期に不細工になる呪いかけてやる」
「ふざけんな」
この任務は永遠じゃない。
私はこの子達の親や保護者じゃないから、必ずこの生活にも終わりがくる。
「大元を見付けた」
「私が潰す」
「子供達を見ておけ」
「……死なないでよ先輩」
「そっちも気を抜くな」
夜蛾と数人の呪術師が組んで大元の所へ。
私の所にもサポート的に幾人か置かれている。
「今夜でこの生活も終わりだと思うと寂しいな」
「精々する」
「強がるなよ悟」
「照れ隠しか」
「ちっげーし!!」
いつも通りだけどいつもと違う。
それぞれが別々の元の生活に戻ることを理解しているからこそ、微妙な空気となる。
「湿気た面と空気やめやめ。
今は三人バラバラになってもどーせあと数年後には高専で三人同級生になるんだから」
「うっせーよ!!湿気た顔なんかしてねーし!!」
「あと数年後って……まだまだ先じゃないですか」
「生きてりゃどっかですれ違うし、会えるんだから」
「「「雑」」」
「人生そんなもんだ。
ひょんなことからあれ?昔会ったことあるよね?って出会うよ」
これは、最後の別れじゃない。
「また会えるんだから」
パリンッと割れる窓と、血走った目をした男。
鋭い武器を手に真っ直ぐ子供達の所へ向かう姿が視界に入り身体を動かす。
「「「!!」」」
「悟!!傑!!硝子!!動くな!!」
子供らを背に、男と対峙する。
「そいつらさえ……!!そいつらさえいなけりゃ!!」
「わけわかんないこと言ってないで……
土足で入ってくんじゃねーよ不審者がっ!!」
武器をいなし、体に一撃入れる。
あまり効いていない様子に舌打ちが出る。
「もう終わりならいっそのこと全員まとめて吹き飛べ!!」
「危ねぇ、名前!!」
「ばっ!!悟っ!!」
無数の虫のようなものが現れて膨らんでいく。
男の発言から爆発系かと、爆発する前に何とかしようと思ったが悟が私の目の前に飛び出して来た。
「死ねェ!!!」
部屋が消し飛ぶほどの大爆発。
ただ、呪詛師の男は一人無事に残っていて笑っている。
そこに応援の呪術師達が駆け付けた。
「名前!!」
「はははっ!!全て消し飛んだ!!
あのガキ共もろとも女も消し飛んだ!!」
「なっ!!」
「賞金は俺のモンだ!!口ほどにとねぇ!!
あんな女一人に手こずってあっはっはっはっ!!」
「うるせーよ。勝手に殺すんじゃねぇ三流が」
「がっ!!」
「あぁ、クソッ。
耳潰れたし身体痛いし髪燃えたし仕事着ボロボロなんだけどお前どう責任とってくれんだよ」
「なっ、何で無事に…!?ガキ共は!?」
「残念ながら子供らは傷一つなく無事」
「!?」
「覚悟は出来てるよな?クソ三流以下が」
不審者をフルボッコに気絶させて、応援の人に任せる。
外に連れ出した子供らは遅れてきた夜蛾に頼んで来たので、そこまで戻る。
「終わったか」
「終了。
敵さん逃がすとかどんな盆ミスだよ。
依頼金倍にしても許さんぞ」
「すまない」
「……真面目に謝られると怒れないじゃん」
ドクドクと頭や耳や腕から血が流れる。
今にも倒れそうなくらい重症なのはわかっているが、変なテンションに入っていてあまり痛みを感じない。
「な、んで……!!何で庇った!!」
「無事か?悟も傑も硝子も」
「名前さんが庇ってくれたから…」
「平気だけど、名前さんが」
「俺の術式ならあんな攻撃食らわなかった!!」
「悟はね。
けど、傑や硝子は違うでしょ」
「!!」
「いくら悟の術式が凄いものでもまだまだひよっこのあんたは使いこなせてないでしょ」
「だけどっ!!」
「自惚れんな」
ビシッと、五条のデコを叩く。
夏油も家入も五条も泣きそうな顔をして、表情を歪めている。
「言ったろ。
お前らより私は化物の先輩なんだから守ってやるって」
「それでそんな大怪我してたら意味ねーだろっ!!」
「アナタが死んだら僕らは…っ」
「私一人の犠牲で未来ある若者が生き残るならそーゆー結末だっただけさ」
「犠牲なんて言わないで」
家入が触れたところが温かい。
全身をゆっくりと塞いでいく傷。
しかし、まだ体力も知識も乏しい家入では私の怪我を治すには力が足りない。
「っ!!」
「硝子、頑張れよ!!」
「もう少し頑張ってくれ、硝子!!」
「無理しなくていい。こんなん寝れば治る」
明らかに無理をしそうな硝子の手を離す。
絶望に染まる顔。
涙を浮かべる三人に、私は笑う。
「こんくらいじゃ死なない。だから泣くな」
「だって……血がっ」
「止まってない!!」
「周りの奴らもボサッとしてねーでコイツを……名前をどーにかしろよ!!」
夜蛾の指示で慌ただしく動いているのがわかる。
だが、血の流し過ぎで視点が霞み、耳が遠くなる。
五条が周りに噛みつくように吼えている。
「喚くなクソガキ」
「オマエっ!!」
「悔しかったら私を越えてみな」
長年愛用してきたサングラスを五条へ。
まだまだ五条には大きかったらしく、ズルリと落ちていた。
「ソレ、貸しね。
あんたが強くなったら返しにおいで」
「……死ぬようなフラグ立ててんじゃねーよっ」
「死なないよ。
化物は最強だから化物なんだ」
その後、意識を飛ばした私は子供らとまともなお別れすら出来ずに離れてしまった。
「随分懐かれていたな」
「そう?子供は苦手だよ」
「オマエに任せて良かった」
「重症になったけどね」
無事……とは言い切れないが、なんとか命を繋いだ私は生きている。
爆発の影響で焼けた肌は完全に戻る事が出来ず、一部は深い傷として残る。
回復までまだ少し時間がかかるため、元の動きをするにはリハビリが必要だしベッドで寝ている分体力も落ちるだろう。
「……また鬼のような連続任務はこりごりだ」
「慣らしとして詰め込まれるかもな」
「うへぇ」
五条にも夏油にも家入にも、しばらくは定期的に監視の者が着いて何かあれば動けるよう対応することに。
たった一つのグループを潰したところで、数えきれぬほど潜む呪詛師達は何度でも賞金を掛けられれば動くであろう。
「寝不足続きだから今回はゆっくり寝かせてもらうかな」
「あぁ、今はゆっくり休め」
「先輩」
「なんだ」
「あの子達は強くなるよ」
「……オマエが見込んだならそうだろうな」
「生意気なクソガキだろうけど」
「………オマエよりはマシだと思いたい」
「おや?私は可愛い後輩ですよ」
「口が悪くて態度も悪くて手足が出る生意気で優秀な後輩だ」
「ははっ!!
よーくわかってんじゃん」
あれから数年後
夜蛾の受け持った一年が問題児だと聞かされ見に行ったそこには
「ちょーっと術式ぶっぱなしただけで拳固とかあのオッサン…」
「あの建物はなるべく破壊するなと言われていただろう?」
「木っ端微塵にする馬鹿どこにいんだよ」
「チマチマチマチマやってられるか」
「悟、何でもかんでも壊していいわけじゃないんだぞ」
「うっせーな。傑だって破壊してたくせに俺だけに擦り付けんな」
「壊したのは悟だ」
「あ?やるか?」
「向こうでやれよ。私まで巻き込むな」
見覚えのある子供達は成長してここに来た。
「あははっ!!確かにこいつらは問題児だ」
「あ?オバサン誰だよ」
「悟、妙齢の女性に向かってソノ発言は駄目だろ」
「夏油も言い方変わってねーよ」
生意気で自信満々のクソガキ共。
「生意気なクソガキ共は夜蛾の手には余るね」
「さっきから何だよオバサン」
「先生のお知り合いのようですが私らに何か?」
「夜蛾の担当した今年の一年が
クッソ生意気な悪ガキ共と聞いてね。
どんな顔しているのか拝みに来たんだ」
私の腰くらいしか無かった身長は伸び、見上げなきゃいけないほど育った二人。
その二人から巻き込まれたくないと距離を置く一人。
「吼えるだけじゃなく己の牙を磨いで強くなれたのかい?クソガキ」
「今すぐ噛み付いて潰してやろうか?オバサン」
「胡散臭い笑顔張り付けていい子ちゃんしてても滲み出るクソガキさは隠せないぞ」
「年寄りを虐める趣味は無いんだが」
「数年経っても見た目ばかり成長して中身はクソガキのままだと思わないか?」
「怪我しても治さないからな」
数年ぶりの再会は
「化物の先輩としてまた守ってやろうか?」
「「「!!」」」
派手に祝おうじゃないか。
あとがき
続きませんwww
懐かしい曲聞いていたら、なんとなく書きたくなった幸福理論。
しかし私、カゲロウ知らない。
ただ、連れてこられた三人の子供……さしすじゃんってなったらお姉ちゃん役……なぜか強くなってしまった。
理想の女神じゃない、私が書いたら破壊神www
さしすが幼い頃に命を狙われて保護され、呪術師はヒーロー……って感じじゃないから化物でも最強なら凄いんだぞって事に。
夢主死ネタにするよりは死んだかもって思わせておいてウロ覚えの高専入学後に思い出してほしいなって。
五条さんにサングラス形見として持っててほしいと無理矢理設定ねじ込んだ。
ちなみに三人とも五歳とかそんくらいだといいな。
夜蛾さんの年齢……47だから2〜3歳年下ですんごい口悪い後輩夢主。
さしす五歳くらいの時には先生やっていたと信じてる。
ちなみにその時夢主は学生ではないという雑な設定。
五条さんや夏油なら記憶力いいから覚えていそうだが、死んだと思ってるしサングラスしてないし火傷の痕あるから面影あるかなー?程度には変わってたってことにしておいてくれないかな?(ごめんなさい)
どう頑張っても切ない女神より
帽子渡したシャンクスになってしまった……。
※なんとなくで書いてるので
あれ?もしかして……って思っても
生暖かい目で見れる方のみお願いします
「名前、コイツらを頼む」
「は?」
夜蛾に頼まれたのは三人の少年少女。
すぐに夜蛾の手を引いて内緒話をするようにコソコソ話す。
「ちょっとどーゆー事!?
いきなり頼むって言われても意味わからない!!」
「ちょっと事情があってな」
「だから詳しく話してって言ってるんですが?」
胸ぐらを掴みながら夜蛾へと問う。
ちなみにこんなことしているが、夜蛾は私の先輩だ。
長い艶のある髪に泣き黒子の幼いながらに顔立ちの整った子供。
表情が変わらず整っている分どこか人形のようだ。
「家入硝子。
幼いながらに他人に反転術式を扱えつつある」
男の子にしてはやや長めの髪。こちらも見る人が見れば整っている顔立ちをしている将来有望な男の子。
ニコリと笑っているが目が笑っていない。
「夏油傑。
呪霊操術の使い手で、既に一級レベルを使役できる。
そして……」
全体的に色白で、この場にいる誰よりも顔が整っている。
ジロリと睨みつけてきて自分以外は全て敵だと殺気立っている少年。
「五条悟。
無下限呪術と六眼を持つ五条家の倅だ」
「………嘘でしょ」
「学校でも浮いていて、呪詛師からも狙われている。一時的だがコイツらの面倒を頼む」
「は?待って。私一人でどうにかしろと?」
「どうにかしろ」
「先輩は?」
「討伐任務だ」
「待って待って待って」
「どうにかできるだろ」
じゃあ、よろしくとさっさといなくなった夜蛾に頭を抱える。
取り残された子供三人と自分。
「あー……」
「すいません。ご迷惑なら僕ら帰りますので」
「えーっと、傑くんだったかな?
今帰って君やご家族に何かあっても私一人じゃ対応しきれないから」
「役立たずじゃん」
「………悟くん?」
「俺より弱ェくせに守る?それなら自分でどうにかするっつの」
「僕も自分の身は自分でどうにか出来るので」
「帰っていいなら帰る」
「あのね、君らは保護されていて」
「さっさと帰せよババア」
興味の無い子供。
人当たり良さそうだが拒絶する子供。
完全拒否の子供。
問題しかない三人に、大きな溜め息をつく。
これは子供だ。
子供の悪意のない言葉に翻弄されてはいけない。
落ち着け、私はこの子達より大人だ……と言い聞かせる。
「耳まで遠いのかよババア」
落ち着け。
これは子供。
「雑魚が無視してんじゃねーよ」
白髪頭を片手で押さえ付け、出来る限り指に力を込める。
「いっっっ!!!
いってーよ!!離せババア!!」
「ごめんねぇ?おばーちゃんだからちょっとお口の悪いクソガキの言葉おばーちゃんには通じないんだぁ」
「はっなっせっよ!!」
脛に向かって蹴りを入れようとする白髪頭。
しかし、子供の蹴りなど簡単に見切れてしまうので避けて再び頭に力を入れる。
「くっっそババア!!」
「あ?」
「オマエ!!俺にこんなことしていいと思ってんのかよ!!」
「あらま、お坊ちゃんは自分でどうにかならないと直ぐにお家頼みでしゅか?」
「テッメェ…!!」
「はっ!!睨んだって怖くないわ」
「大人気ない……」
「帰っていい?」
痛みに悶える五条を放置し、三人の方を向く。
「君達よりも数年私のが呪術師としても人としても先輩だからね。
年上のお姉さんへの口の聞き方には注意しなさい」
そんな初対面から始まった私達。
懐いて貰おうとは思っていなかったが、いかんせん問題児過ぎた。
一緒に行こうと誘えば
「行かない」
「いい子で待っているので大丈夫ですよ」
「近寄んな、指図すんな、声掛けんな」
ご飯を作れば
「食べれるの?コレ」
「もう少し盛り付け方とかどうにかならなかったんですか?」
「ゴミ食わせようとすんな」
仲良くなろうとすれば
「「「間に合ってるんで」」」
手のかかる生意気な子供らに頭を抱えるしかなかった。
そんな生活を送っていたのだが、元々は命を狙われているのを保護しているので子供らの世話だけじゃなく別の仕事もしなくてはいけない。
子供が眠った後は無法者の片付けだ。
「毎回毎回子供相手にわさわさと……」
刺客が送られるのは預かった日から間もなくだった。
子供相手に溜まったストレスを八つ当たりのように発散出来るから苦ではないが、送られてくる刺客の人数が酷い。
個人ではそんなに気にならなくても団体で来た場合話は変わってくる。
「くそ……っ!!
アイツらをまとめて殺せば一生遊んで暮らせんだぞ!!」
「だからって金欲しさに子供殺めるクズの仲間入りはしません」
「アイツらがいるからここ最近オレ達の仕事が上手くいかねーんだよ!!」
「はぁ?」
「呪霊だって今まで成りを潜ませていたような大物も出てくるようになった!!
何人も仲間が殺された!!」
「それはあんたらの実力の問題でしょ」
「それもこれも、アイツらが産まれてきてからなんだよ!!」
確かにここ数年、呪霊のレベルも上がっていれば、死者の数も増えている。
聞いていたものと、資料で見たものより実際呪霊と対峙した時には話が違った事が増えている。
「偶々でしょ」
「あの化物達がいるからっ!!」
あの子達がどんな人生を過ごして来て今、私のところにいるのかはわからない。
見える者が周りにいない世界。
他人とは違う自分。
周りの期待を押し付けられ力の差に畏怖される存在。
悪意と殺意が渦巻く環境。
「テメェの弱さや実力の無さを他人のせいにしてんじゃねーよ」
「うぐっ」
「あの子らは化物じゃない。
ただの生意気なクソガキだよ」
あの子達が化物だと言うのなら
「人を殺して人生謳歌しようとしてるお前らのが化物だと思うけど」
意識を刈り取り、高専へと連絡してあとを任せる。
「本当の化物は傷付ける事を何とも思わない」
あの子達は他者を傷付け、傷付く事に心を痛める心がある。
「あの子達は人間だよ。
クッッッッソ生意気だけど」
一仕事終えて今日はもう来るなよ、と念を飛ばす。
最初の頃は2度も3度も襲来してきたのに比べれば回数も落ち着いた方だ。
大元をどうにか出来れば子供達を返してやれるのだが、雲隠れが上手いのか複数の依頼をしているのか闇サイトがあるのか……。
どちらにせよ夜蛾がそちらの対応をしているので来たアホ共をどうにかするのが私の仕事だ。
寝不足はあれど寝れていないわけじゃないので問題ない。
昔徹夜で連続任務に行った頃よりはましだと思っている。
常に人手の少ない界隈なのでサポートをしてくれる呪術師にも限りがある。
そんな生活が数週間も過ぎた頃、そろそろ体がダルいなと思って来た時だった。
「やめれよ」
五条が一言私に告げた。
「何が?」
「毎晩毎晩雑魚の相手しながら俺らの警護すんのも、日中監視しながら相手すんのもやめちまえ」
「え…」
「悟、何を言って」
「オマエが体張るほど俺らと関わりなんかねーだろ!!
金で雇われたんなら今すぐ五条に金頼んで出してやるよ。今すぐ護衛なんかやめて俺らを手離せよ!!」
吼えるように叫ぶ五条。
「いつ知ったの?」
「ここに来てからすぐ」
「良い子は早く寝なきゃ駄目でしょ」
「生憎小さい頃から賞金掛けられて育ったから呪力と殺意には敏感なんだよ」
五条の眼は術式を視認できる。
数百年ぶりの六眼と無下限呪術をあわせ持つ彼だから幼い頃から数えきれないほどの相手に狙われて来たのだろう。
「化物の俺達なんか守って何になんだよ!!」
「そうやって言われてきたの?」
「いい人ぶって最後は裏切るなら最初っから関わってくんな!!」
ギラギラと目を吊り上げて吼えるように叫ぶ五条。
夏油も家入も視線を反らして表情を固くしてる。
この子達は一体どれほどの人間に手を離されて来たのだろう。
救いを求めても払い除けられ
手を伸ばされても裏があり
最後に傷付くのはこの子達。
人々の悪意が意思を持った化物が目の前にいるのに、力があるが故に化物と呼ばれるなんて……。
だから
無関心なのも
笑顔を張り付けるのも
威嚇するのも
全ては幼いながらに身に付けた自分を守る為の鎧だ。
「はぁ……」
溜め息一つで肩を震わすくせに
諦めているような態度のくせに
こちらを恐る恐る見上げる瞳の奥では物言いたげに揺れている。
そんな彼らの目の前でしゃがみこみ、視線を合わせる。
「クッソだるい。クッソ眠い。
もっと呪術師増やすべき任務なのに私一人とか頭おかしい」
「ならっ!!」
「あの人が私なら出来るって任せたんだ」
真面目で、頭固くて、可愛いモノ好きで、人形のセンス微妙で、見た目完全ヤバい人だが
強くて尊敬出来る先輩。
「私を信頼しなくていい。
関わりたくないなら関わろうとしなくていい。
私は私の為にこの任務を投げ出す気はないよ」
「任務だから僕らを守るんですか?」
「そうだね。
クソガキのお守りと護衛がまともに出来ない大人にはなりたくないから全身全霊で挑んでるんだ」
「く、クソガキ……」
「反発する、言うこと聞かない、駄々こねる、文句しか言わない……ハッ!!クソガキで充分でしょ」
「そんなご迷惑おかけしてないと思いますが……悟以外」
「はぁぁあああ!?
傑だって気持ち悪い笑顔張り付けて断ってんだろ!!」
「僕は悟みたいに暴言なんか吐かない」
「硝子だって無視してるし!!」
「答えたくないだけ」
それぞれがそれぞれ、けなし合い始めた子供ら。
子供同士の仲はそれなりにいいらしいので安心した。
くすり、と笑って騒ぐ三人の頭を乱暴に撫でる。
「クソガキは元気に騒いで、我が儘言って、沢山食べて沢山寝て、毎日楽しく過ごすのが仕事だよ」
「クソガキって言うなババア!!」
「変態の相手はお姉さんに任せてノビノビと育ちなさい」
「年寄りみたいですね」
「お前らは特別じゃない。
どこにでもいる反抗期のクソガキ共だよ」
少し人より優れていただけ。
誰にでも他者に負けない才能が必ずある。
「お前らが化物なら、私も同じ化物さ」
産まれて数年の子供より
さらに数十年年上の私は子供達より強い。
「お前達の知ってる大人と一緒にすんな。
化物の先輩である私が弱いお前達を仕方ないから守ってやるから」
「誰も頼んでねぇ!!」
「仕方ないなら別に守ってくれなくてもいいです」
「生意気。ほら、クソガキじゃん」
「頭悪そうな煽り方だね」
「雑な煽り方でも簡単乗っちゃうクソガキ共には丁度いいでしょ」
少しずつ素顔を見せてくれる彼ら。
懐いた、というよりは取り繕う必要が無くなったのでお互いに気を使わず話せるようになった。
「名前さん、料理雑」
「食べれればいいんだよ」
「もっと綺麗に盛り付けろよ」
「じゃあ悟は食べるな」
「見た目はともかく美味しいよ」
「硝子、一言多い」
少しずつ会話が増えた。
少しずつ笑顔が増えた。
少しずつ我が儘が増えた。
子供らしく過ごす三人がこのまま育っていき
いつか高専に入ってくる未来を思い浮かべてしまう。
私と肩を並べて任務に行ったり
私よりも強くなって上にいったり
後の呪術界を背負っていくのだろうか……なんて。
「なぁ、何で名前はサングラスかけてんだよ」
「格好いいだろ」
「似合わねぇ」
「丸いサングラスなんて人を選ぶかと」
「普通にダサイ」
「お前ら……
呪霊と目が合わないようにするためにもサングラスや眼鏡が役立つんだよ」
「ふーん。似合ってねーから俺によこせよ」
「悟が長身イケメン美男子になったらあげるよ」
「言ったな。よこせよ」
「思春期に不細工になる呪いかけてやる」
「ふざけんな」
この任務は永遠じゃない。
私はこの子達の親や保護者じゃないから、必ずこの生活にも終わりがくる。
「大元を見付けた」
「私が潰す」
「子供達を見ておけ」
「……死なないでよ先輩」
「そっちも気を抜くな」
夜蛾と数人の呪術師が組んで大元の所へ。
私の所にもサポート的に幾人か置かれている。
「今夜でこの生活も終わりだと思うと寂しいな」
「精々する」
「強がるなよ悟」
「照れ隠しか」
「ちっげーし!!」
いつも通りだけどいつもと違う。
それぞれが別々の元の生活に戻ることを理解しているからこそ、微妙な空気となる。
「湿気た面と空気やめやめ。
今は三人バラバラになってもどーせあと数年後には高専で三人同級生になるんだから」
「うっせーよ!!湿気た顔なんかしてねーし!!」
「あと数年後って……まだまだ先じゃないですか」
「生きてりゃどっかですれ違うし、会えるんだから」
「「「雑」」」
「人生そんなもんだ。
ひょんなことからあれ?昔会ったことあるよね?って出会うよ」
これは、最後の別れじゃない。
「また会えるんだから」
パリンッと割れる窓と、血走った目をした男。
鋭い武器を手に真っ直ぐ子供達の所へ向かう姿が視界に入り身体を動かす。
「「「!!」」」
「悟!!傑!!硝子!!動くな!!」
子供らを背に、男と対峙する。
「そいつらさえ……!!そいつらさえいなけりゃ!!」
「わけわかんないこと言ってないで……
土足で入ってくんじゃねーよ不審者がっ!!」
武器をいなし、体に一撃入れる。
あまり効いていない様子に舌打ちが出る。
「もう終わりならいっそのこと全員まとめて吹き飛べ!!」
「危ねぇ、名前!!」
「ばっ!!悟っ!!」
無数の虫のようなものが現れて膨らんでいく。
男の発言から爆発系かと、爆発する前に何とかしようと思ったが悟が私の目の前に飛び出して来た。
「死ねェ!!!」
部屋が消し飛ぶほどの大爆発。
ただ、呪詛師の男は一人無事に残っていて笑っている。
そこに応援の呪術師達が駆け付けた。
「名前!!」
「はははっ!!全て消し飛んだ!!
あのガキ共もろとも女も消し飛んだ!!」
「なっ!!」
「賞金は俺のモンだ!!口ほどにとねぇ!!
あんな女一人に手こずってあっはっはっはっ!!」
「うるせーよ。勝手に殺すんじゃねぇ三流が」
「がっ!!」
「あぁ、クソッ。
耳潰れたし身体痛いし髪燃えたし仕事着ボロボロなんだけどお前どう責任とってくれんだよ」
「なっ、何で無事に…!?ガキ共は!?」
「残念ながら子供らは傷一つなく無事」
「!?」
「覚悟は出来てるよな?クソ三流以下が」
不審者をフルボッコに気絶させて、応援の人に任せる。
外に連れ出した子供らは遅れてきた夜蛾に頼んで来たので、そこまで戻る。
「終わったか」
「終了。
敵さん逃がすとかどんな盆ミスだよ。
依頼金倍にしても許さんぞ」
「すまない」
「……真面目に謝られると怒れないじゃん」
ドクドクと頭や耳や腕から血が流れる。
今にも倒れそうなくらい重症なのはわかっているが、変なテンションに入っていてあまり痛みを感じない。
「な、んで……!!何で庇った!!」
「無事か?悟も傑も硝子も」
「名前さんが庇ってくれたから…」
「平気だけど、名前さんが」
「俺の術式ならあんな攻撃食らわなかった!!」
「悟はね。
けど、傑や硝子は違うでしょ」
「!!」
「いくら悟の術式が凄いものでもまだまだひよっこのあんたは使いこなせてないでしょ」
「だけどっ!!」
「自惚れんな」
ビシッと、五条のデコを叩く。
夏油も家入も五条も泣きそうな顔をして、表情を歪めている。
「言ったろ。
お前らより私は化物の先輩なんだから守ってやるって」
「それでそんな大怪我してたら意味ねーだろっ!!」
「アナタが死んだら僕らは…っ」
「私一人の犠牲で未来ある若者が生き残るならそーゆー結末だっただけさ」
「犠牲なんて言わないで」
家入が触れたところが温かい。
全身をゆっくりと塞いでいく傷。
しかし、まだ体力も知識も乏しい家入では私の怪我を治すには力が足りない。
「っ!!」
「硝子、頑張れよ!!」
「もう少し頑張ってくれ、硝子!!」
「無理しなくていい。こんなん寝れば治る」
明らかに無理をしそうな硝子の手を離す。
絶望に染まる顔。
涙を浮かべる三人に、私は笑う。
「こんくらいじゃ死なない。だから泣くな」
「だって……血がっ」
「止まってない!!」
「周りの奴らもボサッとしてねーでコイツを……名前をどーにかしろよ!!」
夜蛾の指示で慌ただしく動いているのがわかる。
だが、血の流し過ぎで視点が霞み、耳が遠くなる。
五条が周りに噛みつくように吼えている。
「喚くなクソガキ」
「オマエっ!!」
「悔しかったら私を越えてみな」
長年愛用してきたサングラスを五条へ。
まだまだ五条には大きかったらしく、ズルリと落ちていた。
「ソレ、貸しね。
あんたが強くなったら返しにおいで」
「……死ぬようなフラグ立ててんじゃねーよっ」
「死なないよ。
化物は最強だから化物なんだ」
その後、意識を飛ばした私は子供らとまともなお別れすら出来ずに離れてしまった。
「随分懐かれていたな」
「そう?子供は苦手だよ」
「オマエに任せて良かった」
「重症になったけどね」
無事……とは言い切れないが、なんとか命を繋いだ私は生きている。
爆発の影響で焼けた肌は完全に戻る事が出来ず、一部は深い傷として残る。
回復までまだ少し時間がかかるため、元の動きをするにはリハビリが必要だしベッドで寝ている分体力も落ちるだろう。
「……また鬼のような連続任務はこりごりだ」
「慣らしとして詰め込まれるかもな」
「うへぇ」
五条にも夏油にも家入にも、しばらくは定期的に監視の者が着いて何かあれば動けるよう対応することに。
たった一つのグループを潰したところで、数えきれぬほど潜む呪詛師達は何度でも賞金を掛けられれば動くであろう。
「寝不足続きだから今回はゆっくり寝かせてもらうかな」
「あぁ、今はゆっくり休め」
「先輩」
「なんだ」
「あの子達は強くなるよ」
「……オマエが見込んだならそうだろうな」
「生意気なクソガキだろうけど」
「………オマエよりはマシだと思いたい」
「おや?私は可愛い後輩ですよ」
「口が悪くて態度も悪くて手足が出る生意気で優秀な後輩だ」
「ははっ!!
よーくわかってんじゃん」
あれから数年後
夜蛾の受け持った一年が問題児だと聞かされ見に行ったそこには
「ちょーっと術式ぶっぱなしただけで拳固とかあのオッサン…」
「あの建物はなるべく破壊するなと言われていただろう?」
「木っ端微塵にする馬鹿どこにいんだよ」
「チマチマチマチマやってられるか」
「悟、何でもかんでも壊していいわけじゃないんだぞ」
「うっせーな。傑だって破壊してたくせに俺だけに擦り付けんな」
「壊したのは悟だ」
「あ?やるか?」
「向こうでやれよ。私まで巻き込むな」
見覚えのある子供達は成長してここに来た。
「あははっ!!確かにこいつらは問題児だ」
「あ?オバサン誰だよ」
「悟、妙齢の女性に向かってソノ発言は駄目だろ」
「夏油も言い方変わってねーよ」
生意気で自信満々のクソガキ共。
「生意気なクソガキ共は夜蛾の手には余るね」
「さっきから何だよオバサン」
「先生のお知り合いのようですが私らに何か?」
「夜蛾の担当した今年の一年が
クッソ生意気な悪ガキ共と聞いてね。
どんな顔しているのか拝みに来たんだ」
私の腰くらいしか無かった身長は伸び、見上げなきゃいけないほど育った二人。
その二人から巻き込まれたくないと距離を置く一人。
「吼えるだけじゃなく己の牙を磨いで強くなれたのかい?クソガキ」
「今すぐ噛み付いて潰してやろうか?オバサン」
「胡散臭い笑顔張り付けていい子ちゃんしてても滲み出るクソガキさは隠せないぞ」
「年寄りを虐める趣味は無いんだが」
「数年経っても見た目ばかり成長して中身はクソガキのままだと思わないか?」
「怪我しても治さないからな」
数年ぶりの再会は
「化物の先輩としてまた守ってやろうか?」
「「「!!」」」
派手に祝おうじゃないか。
あとがき
続きませんwww
懐かしい曲聞いていたら、なんとなく書きたくなった幸福理論。
しかし私、カゲロウ知らない。
ただ、連れてこられた三人の子供……さしすじゃんってなったらお姉ちゃん役……なぜか強くなってしまった。
理想の女神じゃない、私が書いたら破壊神www
さしすが幼い頃に命を狙われて保護され、呪術師はヒーロー……って感じじゃないから化物でも最強なら凄いんだぞって事に。
夢主死ネタにするよりは死んだかもって思わせておいてウロ覚えの高専入学後に思い出してほしいなって。
五条さんにサングラス形見として持っててほしいと無理矢理設定ねじ込んだ。
ちなみに三人とも五歳とかそんくらいだといいな。
夜蛾さんの年齢……47だから2〜3歳年下ですんごい口悪い後輩夢主。
さしす五歳くらいの時には先生やっていたと信じてる。
ちなみにその時夢主は学生ではないという雑な設定。
五条さんや夏油なら記憶力いいから覚えていそうだが、死んだと思ってるしサングラスしてないし火傷の痕あるから面影あるかなー?程度には変わってたってことにしておいてくれないかな?(ごめんなさい)
どう頑張っても切ない女神より
帽子渡したシャンクスになってしまった……。