先輩シリーズ (五条)
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星漿体の任務から、悟は"最強"になった。
任務も一人でこなし
特級レベルも難なくこなし
間違いなく、呪術界"最強"の呪術師に。
私は最後の学年になったが
一級止まり。
本家と実家はそろそろだと
楽しそうに準備を始めている。
「………今のうちに止めるべきかな?」
「何が?」
「結婚への流れ」
「名前姉、結婚しねーの?」
「ここから出ていく予定だから」
「は?」「え?」
本家に呼び出され
結納の流れを説明されてきたが
聞き流して、真希と真依のところへ。
真希と組み手をしながら
愚痴を溢していたら
二人は目を見開いて驚いていた。
「…私らを置いていくのか」
「うん」
「名前お姉ちゃん、やだよ!!」
「真希、真依
私はお前達を捨てるんじゃないよ
置いていくの」
「言い方変えただけで変わらねーだろ!!」
「うん
真希も真依も捨てられない。
けど、私じゃ本家の双子を引き取って
この世界から抜け出す力はないんだ」
ごめん、と二人に謝る。
「私も呪術界を抜けて
一般企業に勤めながら
二人を育てるには厳しいものがある」
「だからって自分だけ逃げんのかよ!!」
「うーん……
真希、真依。私ってズルい大人だからさ」
二人を置いていく。
「けど、二人が家を出て
私に助けを求めた時は
私の持てる力で、助けるよ」
それじゃ駄目かな?と聞けば
二人は私を睨み付ける。
「私がナルくんと結婚したところで
真希や真依を庇えることが増えても
二人は私に守られたままでいいの?」
ずっと、弱いまま
この一族に虐められて過ごしたい?
「私は二人をこのまま囲っていても
いいかな……と思っていた時期もありました
けど、その場合
いつまでも二人は成長出来ないよ?」
本当は、守ってやりたい。
けど
いつか、取りこぼしてしまう。
「強くなりな、二人で」
「………バカ野郎」
「うん」
「結局お前だって
私らのこと何とも思ってねーんだろ!!
見せかけの優しさならいらねーんだよ!!」
ダッ、と走って行った真希。
随分と懐かれたみたいだ。
オロオロとする真依は
どちらを追いかけようか迷っているらしい。
けど、私の服の裾を握り
泣きそうな顔をする。
「何で……突き放すように言うの?」
名前お姉ちゃん
いつもいつも守ってくれてるのに。
「いつも、私達のことで
お父様や他の人に怒られてるのに」
怒鳴られ、怒鳴り返し
時には傷つけられているのに
「………真依は知ってるの?」
「いつも、見てたから…」
「真希には、内緒」
しっ、と口に指を当てる。
真依は心配そうに見上げてくる。
「真依。私ね、大好きな人がいるんだ」
「うん…」
「その人となら、幸せになれると思ってる」
「うん…」
「けど、その為には
私は置いていかなきゃいけない」
ごめんね、と真依を撫でる。
「私が最強だったら、良かったのにね」
「名前お姉ちゃんは
その人と一緒にいたら、幸せになれるの?」
「うん」
「……私達のこと
嫌いになったわけじゃないんだよね?」
「大好きだよ」
「たまに、会いに来てくれる?」
「真依と真希が望むなら」
ぎゅっ、と抱きついてくる真衣。
真衣の頭を撫でる。
「……ありがとう、真依」
今年の夏は忙しかった。
昨年の災害で呪霊が大量に湧いた。
悟も傑も特級となり
高専にいる方が珍しくて
会う機会も少なくなった。
討伐任務の帰り
もう一人乗せると補助監督に言われ
乗り込んできたのは傑だった。
「久しぶりだね、傑」
「そうですね」
「特級さんは、やっぱり忙しい?」
「先輩も忙しいでしょう」
「特級の2人に比べたら全然だよ」
他愛ない会話。
けど、傑はこちらを見ようとしていない。
「傑、やつれた?」
「いえ、特に」
「……そっか」
踏み込んで欲しくなさそうな
けど、何か思い悩む傑。
先輩として、手助けはしてあげたいが
去年のあの日、星漿体の一件があって以来
傑は私を避けているように思った。
会えば話すし
ふざけたりもする。
だが、傑は笑わなくなった。
高専に着いて、車から降り
寮へと二人並んで歩く。
しかし、その途中で傑が立ち止まったので
そちらを向くと
傑は真剣な顔でこちらを見ていた。
「傑?」
「先輩は非術師をどう思いますか?」
「………どう、とは?」
「呪術師は非術師のために在るべき存在。
弱きを助け、強きを挫く……
先輩も、そう思いますか」
「いや、まったく」
「………は?」
傑の顔が、きょとんとなった。
いつか、悟にも話したな……と思いながら
傑を見つめる。
「私、呪術師嫌いなんだよね」
「……先輩」
「詳しく言うなら、呪術師の自分が嫌い。
できることなら、術式を持たずに
産まれたかった」
そうすれば、親の愛が
変わることなく
私を見ていてくれたのかと
思っていた時期もあった。
「呪術師だから、非術師のために
命かけなきゃいけない理由あるの?
呪術師だから、非術師より優れた存在?」
私からすれば
どちらも同じ命だ。
「ただ、優先しろって言うなら
私は私の大切な方を選ぶよ」
「……先輩らしいですね」
「私は私情で動くよ」
「お偉い非術師と後輩の呪術師なら」
「後輩かな」
先輩らしいです、と苦笑する傑。
そんな傑に近寄り
背伸びして頭を撫でる。
「傑はさ、真面目すぎるよね」
「そうですかね…」
「傑の考えは、正しいよ。
呪術師として、正しい答えだ」
けど、その正しさが
いつか傑の首を絞める気がする。
「非術師でも最低な奴はいる。
呪術師だから、必ず非術師に勝てるわけじゃない」
「……どういう意味ですか」
「昔ね、任務でいたんだ。
非術師に殺された、小さな呪術師が」
呪霊による異変だったのに
不思議な力を持ち、見えないものが見える子供。
人々はその子供のせいにして
子供を殺してしまいました。
「非術師だから、当たり前に
守ってもらえるなんて
馬鹿な話無いでしょ?」
非術師でも呪術師は殺せる。
なら、どちらかを守るのではなく
私は私の大切なものを守る。
「傑はもう少し、肩の力を抜かないと……
いつか、自分の矛盾に苦しむよ」
「…………」
「真面目な所が傑の
いいとこであり
悪いところだね」
ぽんぽん、と頭を撫でる。
傑は黙っていた。
「………子供扱いしないでください」
「今の傑迷子の子供みたいだよ」
「何ですか、それ」
苦笑する傑に
少しほっとする。
「先輩」
「なーに?」
「先輩は私の心配よりも
ご自身の家のことを心配しては?」
「こないだ帰ったら、色々進んでたから
笑顔で逃げてきたわ」
「それ、解決してませんよね?」
「いいんだ。
私は逃げることを選んだから」
にっ、と笑うと
傑は呆れた顔をしていた。
これが、傑と話した
最後の会話となった。
あとがき
終わりが見えてきたぞ……。
あと少し
頑張ります
任務も一人でこなし
特級レベルも難なくこなし
間違いなく、呪術界"最強"の呪術師に。
私は最後の学年になったが
一級止まり。
本家と実家はそろそろだと
楽しそうに準備を始めている。
「………今のうちに止めるべきかな?」
「何が?」
「結婚への流れ」
「名前姉、結婚しねーの?」
「ここから出ていく予定だから」
「は?」「え?」
本家に呼び出され
結納の流れを説明されてきたが
聞き流して、真希と真依のところへ。
真希と組み手をしながら
愚痴を溢していたら
二人は目を見開いて驚いていた。
「…私らを置いていくのか」
「うん」
「名前お姉ちゃん、やだよ!!」
「真希、真依
私はお前達を捨てるんじゃないよ
置いていくの」
「言い方変えただけで変わらねーだろ!!」
「うん
真希も真依も捨てられない。
けど、私じゃ本家の双子を引き取って
この世界から抜け出す力はないんだ」
ごめん、と二人に謝る。
「私も呪術界を抜けて
一般企業に勤めながら
二人を育てるには厳しいものがある」
「だからって自分だけ逃げんのかよ!!」
「うーん……
真希、真依。私ってズルい大人だからさ」
二人を置いていく。
「けど、二人が家を出て
私に助けを求めた時は
私の持てる力で、助けるよ」
それじゃ駄目かな?と聞けば
二人は私を睨み付ける。
「私がナルくんと結婚したところで
真希や真依を庇えることが増えても
二人は私に守られたままでいいの?」
ずっと、弱いまま
この一族に虐められて過ごしたい?
「私は二人をこのまま囲っていても
いいかな……と思っていた時期もありました
けど、その場合
いつまでも二人は成長出来ないよ?」
本当は、守ってやりたい。
けど
いつか、取りこぼしてしまう。
「強くなりな、二人で」
「………バカ野郎」
「うん」
「結局お前だって
私らのこと何とも思ってねーんだろ!!
見せかけの優しさならいらねーんだよ!!」
ダッ、と走って行った真希。
随分と懐かれたみたいだ。
オロオロとする真依は
どちらを追いかけようか迷っているらしい。
けど、私の服の裾を握り
泣きそうな顔をする。
「何で……突き放すように言うの?」
名前お姉ちゃん
いつもいつも守ってくれてるのに。
「いつも、私達のことで
お父様や他の人に怒られてるのに」
怒鳴られ、怒鳴り返し
時には傷つけられているのに
「………真依は知ってるの?」
「いつも、見てたから…」
「真希には、内緒」
しっ、と口に指を当てる。
真依は心配そうに見上げてくる。
「真依。私ね、大好きな人がいるんだ」
「うん…」
「その人となら、幸せになれると思ってる」
「うん…」
「けど、その為には
私は置いていかなきゃいけない」
ごめんね、と真依を撫でる。
「私が最強だったら、良かったのにね」
「名前お姉ちゃんは
その人と一緒にいたら、幸せになれるの?」
「うん」
「……私達のこと
嫌いになったわけじゃないんだよね?」
「大好きだよ」
「たまに、会いに来てくれる?」
「真依と真希が望むなら」
ぎゅっ、と抱きついてくる真衣。
真衣の頭を撫でる。
「……ありがとう、真依」
今年の夏は忙しかった。
昨年の災害で呪霊が大量に湧いた。
悟も傑も特級となり
高専にいる方が珍しくて
会う機会も少なくなった。
討伐任務の帰り
もう一人乗せると補助監督に言われ
乗り込んできたのは傑だった。
「久しぶりだね、傑」
「そうですね」
「特級さんは、やっぱり忙しい?」
「先輩も忙しいでしょう」
「特級の2人に比べたら全然だよ」
他愛ない会話。
けど、傑はこちらを見ようとしていない。
「傑、やつれた?」
「いえ、特に」
「……そっか」
踏み込んで欲しくなさそうな
けど、何か思い悩む傑。
先輩として、手助けはしてあげたいが
去年のあの日、星漿体の一件があって以来
傑は私を避けているように思った。
会えば話すし
ふざけたりもする。
だが、傑は笑わなくなった。
高専に着いて、車から降り
寮へと二人並んで歩く。
しかし、その途中で傑が立ち止まったので
そちらを向くと
傑は真剣な顔でこちらを見ていた。
「傑?」
「先輩は非術師をどう思いますか?」
「………どう、とは?」
「呪術師は非術師のために在るべき存在。
弱きを助け、強きを挫く……
先輩も、そう思いますか」
「いや、まったく」
「………は?」
傑の顔が、きょとんとなった。
いつか、悟にも話したな……と思いながら
傑を見つめる。
「私、呪術師嫌いなんだよね」
「……先輩」
「詳しく言うなら、呪術師の自分が嫌い。
できることなら、術式を持たずに
産まれたかった」
そうすれば、親の愛が
変わることなく
私を見ていてくれたのかと
思っていた時期もあった。
「呪術師だから、非術師のために
命かけなきゃいけない理由あるの?
呪術師だから、非術師より優れた存在?」
私からすれば
どちらも同じ命だ。
「ただ、優先しろって言うなら
私は私の大切な方を選ぶよ」
「……先輩らしいですね」
「私は私情で動くよ」
「お偉い非術師と後輩の呪術師なら」
「後輩かな」
先輩らしいです、と苦笑する傑。
そんな傑に近寄り
背伸びして頭を撫でる。
「傑はさ、真面目すぎるよね」
「そうですかね…」
「傑の考えは、正しいよ。
呪術師として、正しい答えだ」
けど、その正しさが
いつか傑の首を絞める気がする。
「非術師でも最低な奴はいる。
呪術師だから、必ず非術師に勝てるわけじゃない」
「……どういう意味ですか」
「昔ね、任務でいたんだ。
非術師に殺された、小さな呪術師が」
呪霊による異変だったのに
不思議な力を持ち、見えないものが見える子供。
人々はその子供のせいにして
子供を殺してしまいました。
「非術師だから、当たり前に
守ってもらえるなんて
馬鹿な話無いでしょ?」
非術師でも呪術師は殺せる。
なら、どちらかを守るのではなく
私は私の大切なものを守る。
「傑はもう少し、肩の力を抜かないと……
いつか、自分の矛盾に苦しむよ」
「…………」
「真面目な所が傑の
いいとこであり
悪いところだね」
ぽんぽん、と頭を撫でる。
傑は黙っていた。
「………子供扱いしないでください」
「今の傑迷子の子供みたいだよ」
「何ですか、それ」
苦笑する傑に
少しほっとする。
「先輩」
「なーに?」
「先輩は私の心配よりも
ご自身の家のことを心配しては?」
「こないだ帰ったら、色々進んでたから
笑顔で逃げてきたわ」
「それ、解決してませんよね?」
「いいんだ。
私は逃げることを選んだから」
にっ、と笑うと
傑は呆れた顔をしていた。
これが、傑と話した
最後の会話となった。
あとがき
終わりが見えてきたぞ……。
あと少し
頑張ります