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「ってわけで、私加護持ちなんだって」
「は?」
「そーいや宿儺も何か稀に見ぬ逸材って言ってたけど悟知ってた?」
「あ"?」
やべ、しくじった。
やっほー!!
やほやほ、みんな雨にも負けず元気にしてる?
私?私はねー今ねー
全力の鬼ごっこなう☆な通行人名前だぉ!!
「ねーねーそろそろ諦めたら?」
「うっせぇぇええええ!!
諦めたらそこで終了って監督も言ってたんだよ!!」
「どこの監督だよ」
「諦めないことが勝利に繋がる時もあるんだ!!」
「僕相手には諦めなよ」
「余裕ぶっかまして来るんじゃねぇ!!
お前はどこぞの奇術師だよ!!」
「やだなー。僕あそこまでイカれてないよ」
ニコニコしてるが、皆の諸君。
コイツ………怒ってます。
わりとガチオコ。
人間の呪いさんによる、加護持ちだってよーから宿儺さんが稀に見ぬ逸材って……と思い出して言ったら真顔になった悟を見た瞬間の私の気持ちを察して欲しい。
ちょっと前までイチャイチャチュッチュしてたのが、あら不思議!!
腕の中から逃げ出して鬼ごっこ開始だよ!!!
「ちょっと僕と真剣なお話しよーよ」
「じゃあまずあんた止まれ。
ステイ。ハウス!!」
「犬じゃねーよ」
「ちょっといい先生の仮面崩れてますけど!!」
「今生徒いねーし」
「普段の積み重ね大事!!」
「そんなヘマしないよ」
こんなことやってるけど、私爆走。
悟はポッケに手突っ込みながら爆走。
端からみたらヤベーよね。
今ならオリンピックの記録塗り替える自信しかない。
「くっ!!」
「はい、残念でした。
そっちは行き止まり。そろそろ観念しな」
「ふっ……私がなにも考えず逃げ回ったとでも?」
「……!!」
「オマエらまた何やってんだよ」
「明太子」
「喧嘩か?」
「は?コイツら喧嘩することなんてあるの?」
「見たことない」
ボロボロのめぐみんと野薔薇ちゃん。
そして2年三人組。
私はそんな彼らの後ろに隠れる。
「棘くん!!君に決めた!!」
「しゃけっ!!」
「悟にダイレクトアタックだ!!」
「おかか」
「混じってねェか?」
「アイツ何ふざけてんだよ」
「真希さん、ほっときましょ」
野薔薇ちゃんと真希ちゃんが離れていこうとする。
「野薔薇ちゃん、真希ちゃんステイ!!」
「は?なんだよ」
「くだらないことなら打ち抜くわよ」
「こっっわ!!!
くだらなくない!!私の危険回避のために壁となって!!」
「それが大人のすることなの?」
「野薔薇、コイツが大人なわけねーだろ」
「そうでしたね」
「女子が強すぎてつらっっ!!!」
ほんっと、そーゆーとこだよ呪術界女子!!!
言葉の棘が!!鋭すぎるっ!!
「はいはい、おふざけはいいから
恵。その馬鹿ちょーだい」
「何やらかしたんすか?」
「悟笑ってるのに笑ってねーゾ」
「昆布」
「いや、やらか………したかもしれないが、不可抗力!!!」
私、悪くないっ!!………と、思いたい。
「で、何したんすか?」
「………呪いと遭遇した?」
「マーキングのやつだよな?」
「それは怒られたダロ?」
「昆布」
「……宿儺と話した事を黙ってました」
「「「「「は?」」」」」
はい、学生も敵に回った瞬間がコチラ。
真希ちゃんが棍で私の足を絡ませて転びかけたところをパンダがキャッチ。
トドメに野薔薇ちゃんが目の前……鼻の先にトンカチを向けている。
その後ろではめぐみんが手を影の形作ってるし、棘くんが口元のチャックを下ろしている。
「名前さん」
「は、はい……」
「正直に話せよ」
「しゃけ」
「じゃないと」
「私が打ち抜くわよ」
遠くで悟が吹き出してる。
いや、ごめんなさい。
悟より学生のが怖かった。
その場で正座させられ、学生に囲まれる私。
かごめかごめ状態に、心が折れそう。
いや、むしろ折れかけてる。
「いつ話したんすか?」
「悠仁くんが(今も生きてるけど)生きてる時にちょろっと」
「宿儺が反応するってオマエそんな貴重な存在だったか?」
「しゃけ」
「パンダ、言い方!!!
こないだ会った呪いには加護持ちって言われたけどそれ関係ある?」
「は?アンタ加護持ちなの?厨二設定モリモリかよ」
「それは私も思ったけど、どーなの?
神様信仰してるわけでも、神様と会った記憶も無いんだけど」
チラッと悟を見る。
今こそその六眼の見せ所だろ。
「名前は加護持ちだよ。
僕と出会った時からね」
「まじかよ」
「僕も気付いたのはしばらく経ってからだけどね」
どう思い出しても、加護受けた記憶無い。
むしろ、過去を振り返っても神様に暴言吐きまくってた記憶しかないぞ。
「見えてもスルーして生きて来れたのは加護のおかげだろうね。
ある程度"見えている"って認識しづらい効果があるみたいだし」
「へー。
けど、こないだ会った奴には効果無いらしいよ」
「名前より強い呪霊には効果無いんだよ」
「つまり、強い呪霊に出会うと?」
「認識した瞬間バトル開始だね」
「目があった瞬間じゃないのかよ」
強制バトルに逃げる暇無いじゃん。
相手が気付くの早かったら私逃げ遅れるじゃん。
「加護持ちの人間は貴重なんだよ」
「なんで?」
「加護を受けるくらい神のお気に入りなんだ。
気紛れに加護を与えられることはあるけど、それは一過性のものがほとんど」
「神社で祈った帰りに宝くじ当たったとか?」
「まぁね。
けど、名前の場合は神へ対価を払わずに加護を与えられている。
そーゆー人間は何かしら抜きでた能力を持ってんだけど………」
全員がこちらを見る。
が、私にそんな能力無いのは皆さんご理解していらっしゃる。
宝くじなんか当たったことないし。
「普通だな」
「普通っすね」
「普通よね」
「普通ダワ」
「しゃけ」
「そう、普通過ぎんの。
加護がどのくらいのレベルなのか微妙なとこだけど……認識しづらいってことは加護が無くなれば下手すりゃホイホイになる可能性があるってことだよね」
「悲惨ね」
「予想でしかないけど」
悟のが言い方優しいけど、呪いさんもそんなこと言ってたな……。
「宿儺が興味を引くレベルってことは
もっと他に何かしらあるんだろうけど……」
「稀に見ぬ頭の足りない愚図って言われたのは?」
「普通にディスられてんじゃん」
稀に見ぬの使い方酷くね?
宿儺の中で余程の馬鹿ってことになるじゃん。
んー、あと他……他に何かしらいい忘れてたこと……
「加護切れたら呪い寄って来て引きちぎられるって話と」
「グロッ!!そんな話したの!?」
「手足引きちぎられて〜って丁寧に説明されたわ」
「うわぁ……」
「おかか」
ないわーって反応やめて。
私も思い出したくないんだから。
「呪いに好かれやすい魂の形」
「は?」
「なんだ?ソレ」
「って言われた。
引き寄せたり、引っ張られたり、閉じ込められたり」
悟が大きな溜め息をつく。
「なるほどね……それで神様からの"認識しづらい加護"か」
「?」
「多分、多分だけど名前。
加護無くなったら生きていけない」
「そりゃーホイホイになればねぇ?」
「違う。
食い殺される危険性もあるけど、生き残っても社会的に殺される」
「は?」
「多分オマエは呪霊を無条件で使うことができる。
もしそうなった場合……オマエは呪詛師として危険因子認定されるよ」
呪霊操術なんかよりもっと厄介な
ただ、"お願い"するだけで呪霊共は動く。
「それは"加護"じゃなく"封印"なのかもしれない」
その瞬間、生徒らが離れた。
え?嘘やん?
「待て待て待て!!!!」
「うっわ……オマエ、うっわぁ……」
「いや、まだ予想じゃん!?私普通!!普通の人間!!」
「笑えないわ」
「私が笑えないわ!!!
社会的に抹殺ってなに!?加護無くなったらもう全体的に抹殺されてんじゃん!?」
「お疲れ様」
「しゃけ」
「やめて!?
パンダと棘くん、それ追い討ち!!!」
「どうにかならないんすか?」
「無理だね。
加護がある限りどーにかなってるけど、その加護もいつ切れるかわからないし……下手に加護解かれたら、ね」
予想外に大変なことになってた。
知りたくなかった。
百鬼夜行とかガチの話になってきたじゃん。
ガチの妖怪の主になっちゃうじゃん!!
格好いいけど、社会的に抹殺されたら闇の世界でしか生きていけねぇ!!
「ん?私が呪霊に人襲うなーとかお願いするのは?そしたら解決しないの?」
「人襲うのが呪霊のあるべき姿なんだから無理。
むしろ嫉妬して人襲うんじゃないかな」
「ジーザスッ」
「そりゃ呪いの王も興味持つはずだ」
頭を抱える私に対し、呆れてるみんな。
普通だと思って生きてきた28年ですが
まさかの人類を敵に回す存在だったことに衝撃しかない。
私人類を憎んでないよー。
人類とお友達だよー。
「………」
「どうしたんですか?急に真面目な顔して」
「呪霊連れて
焼き払えーーってやれるのかな、と」
「馬鹿なこと考えてんじゃねぇよ」
真希ちゃんに頭殴られた。
「バルスと焼き払えを言ったら
地獄絵図になることは理解した」
「馬鹿すぎて引くわ」
「ほんっと馬鹿ダヨナ…」
「しゃけ」
すいません。
ちょっと言ってみたかっただけ。
そんなこと考えてないから……ないから!!!
「今解っただけよしとするか……」
「ご迷惑おかけします」
「オマエがオマエらしく居てくれる限り
僕が守ってやれるから」
「悟…」
めちゃくちゃかっこよく聞こえるじゃん?
いい雰囲気だと思ったじゃん?
残念
「けど、僕に言わず逃げてたのは許さない」
「ひっっど!!
おまっ!!彼女が正座してるとこに足を乗せる男がどこにいんの!?
ここにいたわ!!!」
「ホウレンソウくらいきちんとしなよ」
「悟にだけは言われたくぬぇぇええええええ」
「逃げるの良くないよ」
「ちょっ!!やめっ!!頭グリグリすんな!!」
「あははは。
ついでに米神の横も押しとこ」
「いだだだだだだだっ!!!!」
膝の上に足を乗せて体重かけつつ、頭にグリグリ拳押し付けて米神グリグリ押してくる悟。
皆さんおわかりだね?
コイツ、まだ怒ってたわ。
「ところかまわずイチャイチャして……胸くそ悪いわね」
「殴るか」
「野薔薇ちゃんも真希ちゃんもどこ見たらそう言えるん!?あだだだだっ!!!」
「オマエら行くぞー」
「しゃけ」
「行かないでっ!!パンダカムバック!!!」
「名前さん」
「めぐみんっ!!」
「反省してください」
ぞろぞろ帰って行く学生達。
やっと足を退かしてくれたので立ち上がって埃を落とす。
「散々な目にあった」
「僕が居ないときに宿儺と話したの?」
「うん。悪趣味な夢の世界に呼ばれた」
「領域か」
「殺されて戻ってきたらしいけど」
「は?」
あ、またヤバかった?
悟に頬を引き伸ばされる。
「なんでそう大事なことを言わないかな?」
「ひゅひまひぇん」
「一歩間違えたら殺されてんだぞ」
「ひょこはわらひのうんのよひゃへ」
「何言ってるかわかんない」
ギリギリと引き伸ばされた頬。
離されてヒリヒリと痛む頬に優しく添えられる大きな手。
「今言った事は他の奴には絶対言うなよ」
「うん」
「チッ、出張無ければなぁ」
「無ければ…?」
「抱き潰して僕に隠し事しないように調教したのに」
ヒュッとなった。
出張ありがとう。
そして私の強運ありがとう。
「僕のいない間に問題起こすなよ」
「それフラグ?」
「………」
「………」
お互いに見つめ合う。
うん、なんかのフラグ立った気がする。
「オマエはほんっと……お約束かよ」
「まだ!!まだ、何もしてないし、起こってない!!!」
「事件は?」
「現場で起こりますね」
「「……………」」
はぁ、と溜め息を吐き出す。
どうやらまだ一波乱ありそうです。
あとがき
お約束は回収するものですよね?
「は?」
「そーいや宿儺も何か稀に見ぬ逸材って言ってたけど悟知ってた?」
「あ"?」
やべ、しくじった。
やっほー!!
やほやほ、みんな雨にも負けず元気にしてる?
私?私はねー今ねー
全力の鬼ごっこなう☆な通行人名前だぉ!!
「ねーねーそろそろ諦めたら?」
「うっせぇぇええええ!!
諦めたらそこで終了って監督も言ってたんだよ!!」
「どこの監督だよ」
「諦めないことが勝利に繋がる時もあるんだ!!」
「僕相手には諦めなよ」
「余裕ぶっかまして来るんじゃねぇ!!
お前はどこぞの奇術師だよ!!」
「やだなー。僕あそこまでイカれてないよ」
ニコニコしてるが、皆の諸君。
コイツ………怒ってます。
わりとガチオコ。
人間の呪いさんによる、加護持ちだってよーから宿儺さんが稀に見ぬ逸材って……と思い出して言ったら真顔になった悟を見た瞬間の私の気持ちを察して欲しい。
ちょっと前までイチャイチャチュッチュしてたのが、あら不思議!!
腕の中から逃げ出して鬼ごっこ開始だよ!!!
「ちょっと僕と真剣なお話しよーよ」
「じゃあまずあんた止まれ。
ステイ。ハウス!!」
「犬じゃねーよ」
「ちょっといい先生の仮面崩れてますけど!!」
「今生徒いねーし」
「普段の積み重ね大事!!」
「そんなヘマしないよ」
こんなことやってるけど、私爆走。
悟はポッケに手突っ込みながら爆走。
端からみたらヤベーよね。
今ならオリンピックの記録塗り替える自信しかない。
「くっ!!」
「はい、残念でした。
そっちは行き止まり。そろそろ観念しな」
「ふっ……私がなにも考えず逃げ回ったとでも?」
「……!!」
「オマエらまた何やってんだよ」
「明太子」
「喧嘩か?」
「は?コイツら喧嘩することなんてあるの?」
「見たことない」
ボロボロのめぐみんと野薔薇ちゃん。
そして2年三人組。
私はそんな彼らの後ろに隠れる。
「棘くん!!君に決めた!!」
「しゃけっ!!」
「悟にダイレクトアタックだ!!」
「おかか」
「混じってねェか?」
「アイツ何ふざけてんだよ」
「真希さん、ほっときましょ」
野薔薇ちゃんと真希ちゃんが離れていこうとする。
「野薔薇ちゃん、真希ちゃんステイ!!」
「は?なんだよ」
「くだらないことなら打ち抜くわよ」
「こっっわ!!!
くだらなくない!!私の危険回避のために壁となって!!」
「それが大人のすることなの?」
「野薔薇、コイツが大人なわけねーだろ」
「そうでしたね」
「女子が強すぎてつらっっ!!!」
ほんっと、そーゆーとこだよ呪術界女子!!!
言葉の棘が!!鋭すぎるっ!!
「はいはい、おふざけはいいから
恵。その馬鹿ちょーだい」
「何やらかしたんすか?」
「悟笑ってるのに笑ってねーゾ」
「昆布」
「いや、やらか………したかもしれないが、不可抗力!!!」
私、悪くないっ!!………と、思いたい。
「で、何したんすか?」
「………呪いと遭遇した?」
「マーキングのやつだよな?」
「それは怒られたダロ?」
「昆布」
「……宿儺と話した事を黙ってました」
「「「「「は?」」」」」
はい、学生も敵に回った瞬間がコチラ。
真希ちゃんが棍で私の足を絡ませて転びかけたところをパンダがキャッチ。
トドメに野薔薇ちゃんが目の前……鼻の先にトンカチを向けている。
その後ろではめぐみんが手を影の形作ってるし、棘くんが口元のチャックを下ろしている。
「名前さん」
「は、はい……」
「正直に話せよ」
「しゃけ」
「じゃないと」
「私が打ち抜くわよ」
遠くで悟が吹き出してる。
いや、ごめんなさい。
悟より学生のが怖かった。
その場で正座させられ、学生に囲まれる私。
かごめかごめ状態に、心が折れそう。
いや、むしろ折れかけてる。
「いつ話したんすか?」
「悠仁くんが(今も生きてるけど)生きてる時にちょろっと」
「宿儺が反応するってオマエそんな貴重な存在だったか?」
「しゃけ」
「パンダ、言い方!!!
こないだ会った呪いには加護持ちって言われたけどそれ関係ある?」
「は?アンタ加護持ちなの?厨二設定モリモリかよ」
「それは私も思ったけど、どーなの?
神様信仰してるわけでも、神様と会った記憶も無いんだけど」
チラッと悟を見る。
今こそその六眼の見せ所だろ。
「名前は加護持ちだよ。
僕と出会った時からね」
「まじかよ」
「僕も気付いたのはしばらく経ってからだけどね」
どう思い出しても、加護受けた記憶無い。
むしろ、過去を振り返っても神様に暴言吐きまくってた記憶しかないぞ。
「見えてもスルーして生きて来れたのは加護のおかげだろうね。
ある程度"見えている"って認識しづらい効果があるみたいだし」
「へー。
けど、こないだ会った奴には効果無いらしいよ」
「名前より強い呪霊には効果無いんだよ」
「つまり、強い呪霊に出会うと?」
「認識した瞬間バトル開始だね」
「目があった瞬間じゃないのかよ」
強制バトルに逃げる暇無いじゃん。
相手が気付くの早かったら私逃げ遅れるじゃん。
「加護持ちの人間は貴重なんだよ」
「なんで?」
「加護を受けるくらい神のお気に入りなんだ。
気紛れに加護を与えられることはあるけど、それは一過性のものがほとんど」
「神社で祈った帰りに宝くじ当たったとか?」
「まぁね。
けど、名前の場合は神へ対価を払わずに加護を与えられている。
そーゆー人間は何かしら抜きでた能力を持ってんだけど………」
全員がこちらを見る。
が、私にそんな能力無いのは皆さんご理解していらっしゃる。
宝くじなんか当たったことないし。
「普通だな」
「普通っすね」
「普通よね」
「普通ダワ」
「しゃけ」
「そう、普通過ぎんの。
加護がどのくらいのレベルなのか微妙なとこだけど……認識しづらいってことは加護が無くなれば下手すりゃホイホイになる可能性があるってことだよね」
「悲惨ね」
「予想でしかないけど」
悟のが言い方優しいけど、呪いさんもそんなこと言ってたな……。
「宿儺が興味を引くレベルってことは
もっと他に何かしらあるんだろうけど……」
「稀に見ぬ頭の足りない愚図って言われたのは?」
「普通にディスられてんじゃん」
稀に見ぬの使い方酷くね?
宿儺の中で余程の馬鹿ってことになるじゃん。
んー、あと他……他に何かしらいい忘れてたこと……
「加護切れたら呪い寄って来て引きちぎられるって話と」
「グロッ!!そんな話したの!?」
「手足引きちぎられて〜って丁寧に説明されたわ」
「うわぁ……」
「おかか」
ないわーって反応やめて。
私も思い出したくないんだから。
「呪いに好かれやすい魂の形」
「は?」
「なんだ?ソレ」
「って言われた。
引き寄せたり、引っ張られたり、閉じ込められたり」
悟が大きな溜め息をつく。
「なるほどね……それで神様からの"認識しづらい加護"か」
「?」
「多分、多分だけど名前。
加護無くなったら生きていけない」
「そりゃーホイホイになればねぇ?」
「違う。
食い殺される危険性もあるけど、生き残っても社会的に殺される」
「は?」
「多分オマエは呪霊を無条件で使うことができる。
もしそうなった場合……オマエは呪詛師として危険因子認定されるよ」
呪霊操術なんかよりもっと厄介な
ただ、"お願い"するだけで呪霊共は動く。
「それは"加護"じゃなく"封印"なのかもしれない」
その瞬間、生徒らが離れた。
え?嘘やん?
「待て待て待て!!!!」
「うっわ……オマエ、うっわぁ……」
「いや、まだ予想じゃん!?私普通!!普通の人間!!」
「笑えないわ」
「私が笑えないわ!!!
社会的に抹殺ってなに!?加護無くなったらもう全体的に抹殺されてんじゃん!?」
「お疲れ様」
「しゃけ」
「やめて!?
パンダと棘くん、それ追い討ち!!!」
「どうにかならないんすか?」
「無理だね。
加護がある限りどーにかなってるけど、その加護もいつ切れるかわからないし……下手に加護解かれたら、ね」
予想外に大変なことになってた。
知りたくなかった。
百鬼夜行とかガチの話になってきたじゃん。
ガチの妖怪の主になっちゃうじゃん!!
格好いいけど、社会的に抹殺されたら闇の世界でしか生きていけねぇ!!
「ん?私が呪霊に人襲うなーとかお願いするのは?そしたら解決しないの?」
「人襲うのが呪霊のあるべき姿なんだから無理。
むしろ嫉妬して人襲うんじゃないかな」
「ジーザスッ」
「そりゃ呪いの王も興味持つはずだ」
頭を抱える私に対し、呆れてるみんな。
普通だと思って生きてきた28年ですが
まさかの人類を敵に回す存在だったことに衝撃しかない。
私人類を憎んでないよー。
人類とお友達だよー。
「………」
「どうしたんですか?急に真面目な顔して」
「呪霊連れて
焼き払えーーってやれるのかな、と」
「馬鹿なこと考えてんじゃねぇよ」
真希ちゃんに頭殴られた。
「バルスと焼き払えを言ったら
地獄絵図になることは理解した」
「馬鹿すぎて引くわ」
「ほんっと馬鹿ダヨナ…」
「しゃけ」
すいません。
ちょっと言ってみたかっただけ。
そんなこと考えてないから……ないから!!!
「今解っただけよしとするか……」
「ご迷惑おかけします」
「オマエがオマエらしく居てくれる限り
僕が守ってやれるから」
「悟…」
めちゃくちゃかっこよく聞こえるじゃん?
いい雰囲気だと思ったじゃん?
残念
「けど、僕に言わず逃げてたのは許さない」
「ひっっど!!
おまっ!!彼女が正座してるとこに足を乗せる男がどこにいんの!?
ここにいたわ!!!」
「ホウレンソウくらいきちんとしなよ」
「悟にだけは言われたくぬぇぇええええええ」
「逃げるの良くないよ」
「ちょっ!!やめっ!!頭グリグリすんな!!」
「あははは。
ついでに米神の横も押しとこ」
「いだだだだだだだっ!!!!」
膝の上に足を乗せて体重かけつつ、頭にグリグリ拳押し付けて米神グリグリ押してくる悟。
皆さんおわかりだね?
コイツ、まだ怒ってたわ。
「ところかまわずイチャイチャして……胸くそ悪いわね」
「殴るか」
「野薔薇ちゃんも真希ちゃんもどこ見たらそう言えるん!?あだだだだっ!!!」
「オマエら行くぞー」
「しゃけ」
「行かないでっ!!パンダカムバック!!!」
「名前さん」
「めぐみんっ!!」
「反省してください」
ぞろぞろ帰って行く学生達。
やっと足を退かしてくれたので立ち上がって埃を落とす。
「散々な目にあった」
「僕が居ないときに宿儺と話したの?」
「うん。悪趣味な夢の世界に呼ばれた」
「領域か」
「殺されて戻ってきたらしいけど」
「は?」
あ、またヤバかった?
悟に頬を引き伸ばされる。
「なんでそう大事なことを言わないかな?」
「ひゅひまひぇん」
「一歩間違えたら殺されてんだぞ」
「ひょこはわらひのうんのよひゃへ」
「何言ってるかわかんない」
ギリギリと引き伸ばされた頬。
離されてヒリヒリと痛む頬に優しく添えられる大きな手。
「今言った事は他の奴には絶対言うなよ」
「うん」
「チッ、出張無ければなぁ」
「無ければ…?」
「抱き潰して僕に隠し事しないように調教したのに」
ヒュッとなった。
出張ありがとう。
そして私の強運ありがとう。
「僕のいない間に問題起こすなよ」
「それフラグ?」
「………」
「………」
お互いに見つめ合う。
うん、なんかのフラグ立った気がする。
「オマエはほんっと……お約束かよ」
「まだ!!まだ、何もしてないし、起こってない!!!」
「事件は?」
「現場で起こりますね」
「「……………」」
はぁ、と溜め息を吐き出す。
どうやらまだ一波乱ありそうです。
あとがき
お約束は回収するものですよね?