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「名前、ちょっとの間悠仁のことよろしく」
「………ん?」
「あ、ちなみに悠仁のことは皆に内緒ね」
「へ?」
「僕ちょっと急ぐからあとよろしく。
なんかあったら伊地知頼って」
ごめん、後頼んだ……っていなくなった彼氏さん。
向かい合う悠仁くんと私。
「………何事?」
「えーっと……どこまで話せばいいの?」
訳もわからない困ったさん状態の私らを二人っきりにしないで、ダーリン。
ひとまずお茶会として飲み物とおやつを出して事情を把握することになった通行人名前だよ!!
「………悠仁くんさ、人生ハードモードじゃない?」
「え?そうっすか?」
じいちゃんと暮らしていて、じいちゃん看取って
その直後にめぐみんと共に呪霊とバトル。
そんで呪物飲み込んで、悟に拉致され
悟いわく、腐った蜜柑には死刑言い渡され
指全て集めて食べてから死刑確定で
そいつらの陰謀なのか、一年だけのヤベェ任務で死にかける。
とゆーか、一度死んだらしいが生き返ったらしい。
皆には内緒で、強くなって見返そうぜ!!
なのでお世話してください。←今ここ
「なに?呪術師って死なないの?
宿儺?だかとオーバーソウルしてるから蘇生できちゃうの?」
「おーばーそうる……?」
「チクショウ……今時の子はマンキン知らないのか。
来年4月から新アニメとして入るから要チェックだよ」
「あの、何の話……?」
「ル・ヴォアールやるのかな……プリンセスハオからの蜜柑持ったまま終わらないよな……?いや、一期はアメリカ行く前の開会式で終わりかしら……?」
「帰ってきてよ、名前姉」
はっ!!
すまない、ちょっと来年の4月アニメに興奮したんだ。
マンキンは私の聖書だから。
「つい最近まで呪術やら呪霊やら知らなかったのに凄いセンスだね」
『この小僧のわけなかろう、小娘が』
「オイ」
「…………は?」
え?なにこれ。
悠仁くんの頬から口出たけど?
ペチンッて叩いたら引っ込んだ。
けど、また手の甲から出てきた……!?
「悠仁くん、体内に何飼ってんの?寄生虫?」
『犯して殺すぞ小娘』
「あらやだ。随分と物騒なもう一人の僕という相棒ね」
『そんなわけなかろう。殺すぞ』
「悠仁くんの相棒語尾が"殺すぞ"って固定なの?
物騒すぎない?」
『黙れ。千切って犬の餌にするか?』
「ねーねー。その口からも何か食べれるの?」
『人の食い物なぞ食うわけなかろう』
「………なんか、存在エッチだね?」
『………宇宙人か?話が噛み合わん』
しゅっ、といなくなった第二のお口。
ポケッとしていた悠仁くんがこちらを見てる。
「………名前姉、宿儺のこと知らない?」
「うん?」
「呪いの王様らしいんだけど」
「へー。
あれ?それがなんで悠仁くんとオーバーソウルしてんの?」
「俺が指食ったから」
「あぁ、めぐみんが死にかけた任務の……」
んん?
呪いの呪物食べて、呪いの王様がもう一人の僕として生まれるの?
「………」
「………名前姉?」
「ひとまず宿儺というもう一人の悠仁ボーイが悠仁くんの中にいるってことでOK?」キリッ
「多分違うけどそれでいいや」
悠仁くんが考えることを放棄した表情だった。
「けど宿儺のおかげで今生きてるって感じです」
「悟……急に出張なったとか言ってけど」
「伊地知さんのとこにも居たけど、伊地知さんも忙しいからさ」
「それな」
悟……いくら優秀でも伊地知さんに全て任せるのやめよ?
あの人まじで胃に穴開いて過労死する。
何回も言ってるけど、本当にヤバいから。
「悟自ら悠仁くんと極秘で修行中かぁ……」
「そんな感じ」
「ん?じゃあ私も悠仁くんに鍛練した方がいい?」
「名前姉できるの?」
「あ、けど私相棒と宝剣なきゃ基本的雑魚」
「相棒?宝剣?」
「釘バットとバールの呪具」
「………それ、ただの鈍器じゃ?」
「呪具なんて基本殺傷能力しかなくない?」
戦う道具だもん。
そりゃ物騒にもなるわ。
「俺それで殴られたら今度こそ死ぬよ?」
「殴らないよ」
「怖いからそれ持って鍛練はヤダ」
「OK。じゃあ……とりあえずご飯食べよう」
「OK。そーしよ」
ぐぅ、と二人でお腹が鳴った。
おじいちゃんと暮らしていたが、入院してからはご飯を自分で作っていたという悠仁くんの手際は良くて、私よりレパートリーあるんじゃ……?ってくらい美味しかった。
「あ、悟からだ」
「なんて?」
「えーっと"鍛練はしなくていいから呪力のコントロール身につけるために映画鑑賞"だって」
「なるほど」
「映画鑑賞してコントロールできるの?」
「先生から呪骸借りたよ」
「もしかしなくても、そのくま?」
「そう」
さっきから人形持ってるなーとは思ったけど………それ呪骸なんだ。
ぷぴーって寝息可愛いな。
「一定の呪力流してると寝ててくれんだけど、ちょっとでも乱れると殴られる」
「まじかよ。めっちゃ荒治療」
「顔ばっか狙ってくるから」
「やばいね」
「うん。やばい」
今のところぷぴーって寝てるけど……私まで殴られない?大丈夫?
「映画鑑賞……あぁ、感情が揺さぶられるからか」
「うん。殴られる回数減ったけどね」
「刺激的な事があっても常に一定の呪力でいられるように修行中?」
「そうらしい」
ん?じゃあ、刺激的なことした方がいいのか?
悟に確認の連絡を入れてみた。
「なにしてんの?」
「悠仁くんに刺激的な事してもいいか聞いてる」
「えっ!?」
バキャッ
「………え?」
おい、おいおいおいいいいいいっ!!!!
なんで今殴られたの!?
顔面クリティカルヒットすぎて、鼻血出てるよ!?
何が刺激になったの!?
「………ティッシュ」
「ども」
「うっそ。そんなレベルで殴るの?」
「俺もビックリした」
普通にご飯食べだした!?
ちょっと悠仁くん慣れすぎじゃない!?
「………"オマエと暮らすだけで刺激的だよ"ってオイ」
「先生よくわかってんね」
「え?私刺激物?嘘でしょ?」
その後、ご飯食べ終わって一緒に映画見ることになったんだけど、隣座ったらまた殴られてた。
悟のDVDコレクションを引っ張り出して、観てないというやつを片っ端から見る。
途中お風呂に交代で入って、お風呂から戻るとまた殴られてた。
「悠仁くん、私近寄るたび殴られてるけど大丈夫?
私なんもしてないけど……え?これ生活できる!?」
「……名前姉、距離感おかしいって言われない?」
「よく言われる」
「伏黒と暮らしてた時もこんな感じ?」
「いや、めぐみんはもっと距離感近いかな?」
悠仁くんとは今、ソファーに人一人分開けてる。
「ちなみにどんくらい?」
「んーっと……こんな感じ」
「ふぐっ」
「oh………」
肩がピッタリ触れあって、悠仁くんを見上げたら殴られてた。
「………名前姉、部屋着いつもそれ?」
「うん」
「………先生や伏黒なんも言わないの?」
「なにが?」
「……谷間が…」
谷間くらいで動揺するのか。
確かに少し大きめのロンT……しかもVネックだから谷間強調されてる、かも?
「大丈夫。ナイトブラで寄せて上げてるだけ」
「どこが大丈夫なの!?」
「谷間くらい見慣れときなさい。
むしろ街中出たらおっぱい溢れそうなくらいの谷間の人いるじゃん」
「いないよ!?」
「ノーブラだったらセクハラになるけど、ナイトブラしてるから問題なし!!」
「問題しかないよ!!」
ツッコミ上級者かね?
悠仁くんとポンポン会話続くから面白いぞ。
「めぐみんは平気だったから悠仁くんもいける」
「何の自信!?あだっ!!
先生が言ってた刺激って……嘘だろ?これいつまで続くの?……いってぇ!!」
「あ!刺激といえば明日出かけよ。
刺激しかない町へ」
「どんな町!?俺行っていいとこ?うっ…
未成年だけど大丈夫なとこ?」
「大丈夫大丈夫。
………ちょっと非日常的なおかしな町なだけだから」
「どこ!?俺どこ連れてかれるぐっっ!!」
この短時間で殴られ過ぎじゃ?
あれ?さっき慣れたって言って……。
「………名前姉刺激的すぎ」
「大人の魅力が溢れ出てしまってるのか」
「無防備って言われない?鈍感とか」
「鈍感とは言われるかな」
「男兄弟とかいる?」
「幼馴染が男だよ」
大きなため息をつきながら、悠仁くんはゲンドウポーズをしている。
「俺生きて先生と会えるかな」
「大袈裟じゃない?」
「名前姉と人形に殺されそう」
「はっはっはっ。大袈裟大袈裟。
あ、耳掻きする?」
「ぐはっ!!
え?普通する?まって。伏黒もしたの?」
「めぐみんも膝枕でしたよ?」
「………先生、早く帰って来て」
よくわからないが、悠仁くんが遠い目をしてる。
普通にしてるつもりが……最近のDK扱い方が難しいな。
その後、距離を置いて再び映画鑑賞を始めた。
ピチャン、と水の音。
目を覚ませば骨の上に寝ていた。
「うわ、悪趣味な夢」
「黙れ。殺すぞ小娘」
物騒な言葉に振り替えれば、骨の山の上で着物を着て、足を組ながらこちらを見下ろす刺青をした男。
「おやまぁ」
「黙れと言ったはずだ。許可なく話すな」
「コミュニケーションはお喋りからだぞ」
「………」
めちゃくちゃ嫌な顔された。
っつーか、誰?
「喧しい小娘だ」
「………」
「気紛れで呼んでみたが目障りだな。
さっさと帰れ」
「………」
「ジロジロ見るな。殺してやろうか?」
「すまん。誰?」
「あ?」
こう……もうちょいで思い出せそうなんだけど、見たことない暴君。
向こうは知ってる感じだけど、どこかで会いました?
「………わからぬ、と?」
「会ったことがおありで?」
「………」
「………」
頭を傾げて真面目に聞いたのだが、向こうはゴミを見るように見てくるんだけど?
いやいや、こんな強烈な人一回会ったら忘れないから。
初対面でこんなゴミを見るような……不倫した芸能人が言い訳してるのを軽蔑の眼差しで見つめる冷ややかなリポーターの目だな。
ゴミクズを見るような、潰れた虫を見るような目、やめて。
「稀に見ぬ頭の足りぬ愚図だな。
いや、人間の皮を被った宇宙人か」
「あ、悠仁くんの相棒?」
「誰が小僧の相棒だと?身の程を知れ」
「呪いの王様って悠仁くんそっくりなの?」
「器の姿に寄せているだけだ。
コレが本来の俺ではない」
「仮の姿ってわけか」
なるほど。なるほど。
似てるけど、髪型や刺青で印象ががらっと変わるものだな。スッキリ。
「ん?けどなんで私の夢に王様が?」
「痴呆か。呼んだと言ったろ」
「呼ぶ?」
「………面倒だ」
話すの諦められた感がすごい。
ははは。
慣れてるから問題ないよ。
「宿儺……だったっけ?」
「阿保でも覚えていたのか」
「……なんだろ。悠仁くんのお顔に似てると思うと心が痛い。悠仁くんに蔑まれているみたいだ」
「小僧と一緒にするな」
呆れられてるらしい。
すんごい馬鹿を見る目が向けられてるもの。
けど慣れてるから平気さっ!!
こちとら学生時代、何度そう見られたことか。
「ヤツが気にする小娘がどんなものかと思ったが……ただの頭の足りぬ阿保だったな」
「さっきから酷い」
「しかし、稀に見ぬ逸材ではある」
「うぉっ!?」
いきなり目の前きた!!
背高いな……あと、DKの悠仁くんにはない余裕と年季を感じる……ドキッとするやん。
地味に嫌いじゃない……いやいや、私には悟が……悟がいるからっ!!!
浮気駄目、絶対!!
うわっ、顎クイッとされた!!!!!
「小娘」
「ひゃいっ」
「気をつけろ」
「へ?なにが?」
「足掻いて楽しませろ
俺が表に出る事が出来るようになるまで」
ニタリ、と歪んだ笑みを浮かべる宿儺。
そして意識が真っ暗になる。
「〜〜〜〜〜っ!!!!」
「うわっ!!ビビった……」
「……い、え?」
悠仁くんが映画を観てて、私はソファーから飛び起きる。
「名前姉寝ぼけてる?」
「………悠仁くん。私いつの間に寝てた?」
「んー30分くらいかな?」
ドッドッドッドッ、と心臓が速い。
吹き出る汗に落ち着かない心臓。
深呼吸をして、ここが現実だと言い聞かせる。
「変な夢でも見た?」
「そーっぽい」
「ホラー映画観たからかな?」
そっと、自身の身体を触るが何でもない。
さっきのは夢だと。
私が殺された夢だと。
痛みなどなかったが……切り裂かれた自身の夢、だと。
「大丈夫?」
「………平気。酔っぱらいの爆笑映画見よ」
「今から?」
「それとも年末のお尻叩くシリーズがいい?」
「あんの!?見たい!!」
「OK。
私の秘蔵尻叩きシリーズ見ようか」
「その言い方やば!!」
けらけらと楽しそうに笑う悠仁くん。
まだまだ夜明けまでは長いが、明日が休みでよかった。
「尻に吹き矢!?こんなのもあんの!!」
「うん。鞭と吹き矢と尻バット」
「吹き矢見よう!!吹き矢!!」
「あ、マジ歌も見る?」
「見たい!!」
ノリにノッてしまい、悠仁くんと万全の準備をし、口に牛乳含んで笑ってはいけない緊張感を出したが、何度も人形に殴られるから開始一時間で牛乳を含むのはやめた。
腹筋がつりそうなくらい笑い転がり、二人で寝落ちした結果………牛に尻をビンタされる悪夢を見た。
あとがき
悠仁くんを預かるの巻。
宿儺 に恐怖を持つ前に、尻と牛乳で頭いっぱいになったから殺された恐怖がどっかすっ飛んだ通行人。
起きたら綺麗さっぱり忘れていた。
さーてさて。
今後どこまで面白く書けるかしら……。
「………ん?」
「あ、ちなみに悠仁のことは皆に内緒ね」
「へ?」
「僕ちょっと急ぐからあとよろしく。
なんかあったら伊地知頼って」
ごめん、後頼んだ……っていなくなった彼氏さん。
向かい合う悠仁くんと私。
「………何事?」
「えーっと……どこまで話せばいいの?」
訳もわからない困ったさん状態の私らを二人っきりにしないで、ダーリン。
ひとまずお茶会として飲み物とおやつを出して事情を把握することになった通行人名前だよ!!
「………悠仁くんさ、人生ハードモードじゃない?」
「え?そうっすか?」
じいちゃんと暮らしていて、じいちゃん看取って
その直後にめぐみんと共に呪霊とバトル。
そんで呪物飲み込んで、悟に拉致され
悟いわく、腐った蜜柑には死刑言い渡され
指全て集めて食べてから死刑確定で
そいつらの陰謀なのか、一年だけのヤベェ任務で死にかける。
とゆーか、一度死んだらしいが生き返ったらしい。
皆には内緒で、強くなって見返そうぜ!!
なのでお世話してください。←今ここ
「なに?呪術師って死なないの?
宿儺?だかとオーバーソウルしてるから蘇生できちゃうの?」
「おーばーそうる……?」
「チクショウ……今時の子はマンキン知らないのか。
来年4月から新アニメとして入るから要チェックだよ」
「あの、何の話……?」
「ル・ヴォアールやるのかな……プリンセスハオからの蜜柑持ったまま終わらないよな……?いや、一期はアメリカ行く前の開会式で終わりかしら……?」
「帰ってきてよ、名前姉」
はっ!!
すまない、ちょっと来年の4月アニメに興奮したんだ。
マンキンは私の聖書だから。
「つい最近まで呪術やら呪霊やら知らなかったのに凄いセンスだね」
『この小僧のわけなかろう、小娘が』
「オイ」
「…………は?」
え?なにこれ。
悠仁くんの頬から口出たけど?
ペチンッて叩いたら引っ込んだ。
けど、また手の甲から出てきた……!?
「悠仁くん、体内に何飼ってんの?寄生虫?」
『犯して殺すぞ小娘』
「あらやだ。随分と物騒なもう一人の僕という相棒ね」
『そんなわけなかろう。殺すぞ』
「悠仁くんの相棒語尾が"殺すぞ"って固定なの?
物騒すぎない?」
『黙れ。千切って犬の餌にするか?』
「ねーねー。その口からも何か食べれるの?」
『人の食い物なぞ食うわけなかろう』
「………なんか、存在エッチだね?」
『………宇宙人か?話が噛み合わん』
しゅっ、といなくなった第二のお口。
ポケッとしていた悠仁くんがこちらを見てる。
「………名前姉、宿儺のこと知らない?」
「うん?」
「呪いの王様らしいんだけど」
「へー。
あれ?それがなんで悠仁くんとオーバーソウルしてんの?」
「俺が指食ったから」
「あぁ、めぐみんが死にかけた任務の……」
んん?
呪いの呪物食べて、呪いの王様がもう一人の僕として生まれるの?
「………」
「………名前姉?」
「ひとまず宿儺というもう一人の悠仁ボーイが悠仁くんの中にいるってことでOK?」キリッ
「多分違うけどそれでいいや」
悠仁くんが考えることを放棄した表情だった。
「けど宿儺のおかげで今生きてるって感じです」
「悟……急に出張なったとか言ってけど」
「伊地知さんのとこにも居たけど、伊地知さんも忙しいからさ」
「それな」
悟……いくら優秀でも伊地知さんに全て任せるのやめよ?
あの人まじで胃に穴開いて過労死する。
何回も言ってるけど、本当にヤバいから。
「悟自ら悠仁くんと極秘で修行中かぁ……」
「そんな感じ」
「ん?じゃあ私も悠仁くんに鍛練した方がいい?」
「名前姉できるの?」
「あ、けど私相棒と宝剣なきゃ基本的雑魚」
「相棒?宝剣?」
「釘バットとバールの呪具」
「………それ、ただの鈍器じゃ?」
「呪具なんて基本殺傷能力しかなくない?」
戦う道具だもん。
そりゃ物騒にもなるわ。
「俺それで殴られたら今度こそ死ぬよ?」
「殴らないよ」
「怖いからそれ持って鍛練はヤダ」
「OK。じゃあ……とりあえずご飯食べよう」
「OK。そーしよ」
ぐぅ、と二人でお腹が鳴った。
おじいちゃんと暮らしていたが、入院してからはご飯を自分で作っていたという悠仁くんの手際は良くて、私よりレパートリーあるんじゃ……?ってくらい美味しかった。
「あ、悟からだ」
「なんて?」
「えーっと"鍛練はしなくていいから呪力のコントロール身につけるために映画鑑賞"だって」
「なるほど」
「映画鑑賞してコントロールできるの?」
「先生から呪骸借りたよ」
「もしかしなくても、そのくま?」
「そう」
さっきから人形持ってるなーとは思ったけど………それ呪骸なんだ。
ぷぴーって寝息可愛いな。
「一定の呪力流してると寝ててくれんだけど、ちょっとでも乱れると殴られる」
「まじかよ。めっちゃ荒治療」
「顔ばっか狙ってくるから」
「やばいね」
「うん。やばい」
今のところぷぴーって寝てるけど……私まで殴られない?大丈夫?
「映画鑑賞……あぁ、感情が揺さぶられるからか」
「うん。殴られる回数減ったけどね」
「刺激的な事があっても常に一定の呪力でいられるように修行中?」
「そうらしい」
ん?じゃあ、刺激的なことした方がいいのか?
悟に確認の連絡を入れてみた。
「なにしてんの?」
「悠仁くんに刺激的な事してもいいか聞いてる」
「えっ!?」
バキャッ
「………え?」
おい、おいおいおいいいいいいっ!!!!
なんで今殴られたの!?
顔面クリティカルヒットすぎて、鼻血出てるよ!?
何が刺激になったの!?
「………ティッシュ」
「ども」
「うっそ。そんなレベルで殴るの?」
「俺もビックリした」
普通にご飯食べだした!?
ちょっと悠仁くん慣れすぎじゃない!?
「………"オマエと暮らすだけで刺激的だよ"ってオイ」
「先生よくわかってんね」
「え?私刺激物?嘘でしょ?」
その後、ご飯食べ終わって一緒に映画見ることになったんだけど、隣座ったらまた殴られてた。
悟のDVDコレクションを引っ張り出して、観てないというやつを片っ端から見る。
途中お風呂に交代で入って、お風呂から戻るとまた殴られてた。
「悠仁くん、私近寄るたび殴られてるけど大丈夫?
私なんもしてないけど……え?これ生活できる!?」
「……名前姉、距離感おかしいって言われない?」
「よく言われる」
「伏黒と暮らしてた時もこんな感じ?」
「いや、めぐみんはもっと距離感近いかな?」
悠仁くんとは今、ソファーに人一人分開けてる。
「ちなみにどんくらい?」
「んーっと……こんな感じ」
「ふぐっ」
「oh………」
肩がピッタリ触れあって、悠仁くんを見上げたら殴られてた。
「………名前姉、部屋着いつもそれ?」
「うん」
「………先生や伏黒なんも言わないの?」
「なにが?」
「……谷間が…」
谷間くらいで動揺するのか。
確かに少し大きめのロンT……しかもVネックだから谷間強調されてる、かも?
「大丈夫。ナイトブラで寄せて上げてるだけ」
「どこが大丈夫なの!?」
「谷間くらい見慣れときなさい。
むしろ街中出たらおっぱい溢れそうなくらいの谷間の人いるじゃん」
「いないよ!?」
「ノーブラだったらセクハラになるけど、ナイトブラしてるから問題なし!!」
「問題しかないよ!!」
ツッコミ上級者かね?
悠仁くんとポンポン会話続くから面白いぞ。
「めぐみんは平気だったから悠仁くんもいける」
「何の自信!?あだっ!!
先生が言ってた刺激って……嘘だろ?これいつまで続くの?……いってぇ!!」
「あ!刺激といえば明日出かけよ。
刺激しかない町へ」
「どんな町!?俺行っていいとこ?うっ…
未成年だけど大丈夫なとこ?」
「大丈夫大丈夫。
………ちょっと非日常的なおかしな町なだけだから」
「どこ!?俺どこ連れてかれるぐっっ!!」
この短時間で殴られ過ぎじゃ?
あれ?さっき慣れたって言って……。
「………名前姉刺激的すぎ」
「大人の魅力が溢れ出てしまってるのか」
「無防備って言われない?鈍感とか」
「鈍感とは言われるかな」
「男兄弟とかいる?」
「幼馴染が男だよ」
大きなため息をつきながら、悠仁くんはゲンドウポーズをしている。
「俺生きて先生と会えるかな」
「大袈裟じゃない?」
「名前姉と人形に殺されそう」
「はっはっはっ。大袈裟大袈裟。
あ、耳掻きする?」
「ぐはっ!!
え?普通する?まって。伏黒もしたの?」
「めぐみんも膝枕でしたよ?」
「………先生、早く帰って来て」
よくわからないが、悠仁くんが遠い目をしてる。
普通にしてるつもりが……最近のDK扱い方が難しいな。
その後、距離を置いて再び映画鑑賞を始めた。
ピチャン、と水の音。
目を覚ませば骨の上に寝ていた。
「うわ、悪趣味な夢」
「黙れ。殺すぞ小娘」
物騒な言葉に振り替えれば、骨の山の上で着物を着て、足を組ながらこちらを見下ろす刺青をした男。
「おやまぁ」
「黙れと言ったはずだ。許可なく話すな」
「コミュニケーションはお喋りからだぞ」
「………」
めちゃくちゃ嫌な顔された。
っつーか、誰?
「喧しい小娘だ」
「………」
「気紛れで呼んでみたが目障りだな。
さっさと帰れ」
「………」
「ジロジロ見るな。殺してやろうか?」
「すまん。誰?」
「あ?」
こう……もうちょいで思い出せそうなんだけど、見たことない暴君。
向こうは知ってる感じだけど、どこかで会いました?
「………わからぬ、と?」
「会ったことがおありで?」
「………」
「………」
頭を傾げて真面目に聞いたのだが、向こうはゴミを見るように見てくるんだけど?
いやいや、こんな強烈な人一回会ったら忘れないから。
初対面でこんなゴミを見るような……不倫した芸能人が言い訳してるのを軽蔑の眼差しで見つめる冷ややかなリポーターの目だな。
ゴミクズを見るような、潰れた虫を見るような目、やめて。
「稀に見ぬ頭の足りぬ愚図だな。
いや、人間の皮を被った宇宙人か」
「あ、悠仁くんの相棒?」
「誰が小僧の相棒だと?身の程を知れ」
「呪いの王様って悠仁くんそっくりなの?」
「器の姿に寄せているだけだ。
コレが本来の俺ではない」
「仮の姿ってわけか」
なるほど。なるほど。
似てるけど、髪型や刺青で印象ががらっと変わるものだな。スッキリ。
「ん?けどなんで私の夢に王様が?」
「痴呆か。呼んだと言ったろ」
「呼ぶ?」
「………面倒だ」
話すの諦められた感がすごい。
ははは。
慣れてるから問題ないよ。
「宿儺……だったっけ?」
「阿保でも覚えていたのか」
「……なんだろ。悠仁くんのお顔に似てると思うと心が痛い。悠仁くんに蔑まれているみたいだ」
「小僧と一緒にするな」
呆れられてるらしい。
すんごい馬鹿を見る目が向けられてるもの。
けど慣れてるから平気さっ!!
こちとら学生時代、何度そう見られたことか。
「ヤツが気にする小娘がどんなものかと思ったが……ただの頭の足りぬ阿保だったな」
「さっきから酷い」
「しかし、稀に見ぬ逸材ではある」
「うぉっ!?」
いきなり目の前きた!!
背高いな……あと、DKの悠仁くんにはない余裕と年季を感じる……ドキッとするやん。
地味に嫌いじゃない……いやいや、私には悟が……悟がいるからっ!!!
浮気駄目、絶対!!
うわっ、顎クイッとされた!!!!!
「小娘」
「ひゃいっ」
「気をつけろ」
「へ?なにが?」
「足掻いて楽しませろ
俺が表に出る事が出来るようになるまで」
ニタリ、と歪んだ笑みを浮かべる宿儺。
そして意識が真っ暗になる。
「〜〜〜〜〜っ!!!!」
「うわっ!!ビビった……」
「……い、え?」
悠仁くんが映画を観てて、私はソファーから飛び起きる。
「名前姉寝ぼけてる?」
「………悠仁くん。私いつの間に寝てた?」
「んー30分くらいかな?」
ドッドッドッドッ、と心臓が速い。
吹き出る汗に落ち着かない心臓。
深呼吸をして、ここが現実だと言い聞かせる。
「変な夢でも見た?」
「そーっぽい」
「ホラー映画観たからかな?」
そっと、自身の身体を触るが何でもない。
さっきのは夢だと。
私が殺された夢だと。
痛みなどなかったが……切り裂かれた自身の夢、だと。
「大丈夫?」
「………平気。酔っぱらいの爆笑映画見よ」
「今から?」
「それとも年末のお尻叩くシリーズがいい?」
「あんの!?見たい!!」
「OK。
私の秘蔵尻叩きシリーズ見ようか」
「その言い方やば!!」
けらけらと楽しそうに笑う悠仁くん。
まだまだ夜明けまでは長いが、明日が休みでよかった。
「尻に吹き矢!?こんなのもあんの!!」
「うん。鞭と吹き矢と尻バット」
「吹き矢見よう!!吹き矢!!」
「あ、マジ歌も見る?」
「見たい!!」
ノリにノッてしまい、悠仁くんと万全の準備をし、口に牛乳含んで笑ってはいけない緊張感を出したが、何度も人形に殴られるから開始一時間で牛乳を含むのはやめた。
腹筋がつりそうなくらい笑い転がり、二人で寝落ちした結果………牛に尻をビンタされる悪夢を見た。
あとがき
悠仁くんを預かるの巻。
宿儺 に恐怖を持つ前に、尻と牛乳で頭いっぱいになったから殺された恐怖がどっかすっ飛んだ通行人。
起きたら綺麗さっぱり忘れていた。
さーてさて。
今後どこまで面白く書けるかしら……。