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「浮気か」
「突然何をおっしゃるの、真希ちゃん」
「おかか」
「やめて。棘くんにそんな冷たい目をされたら私生きていけない」
「………名前さん」
「恵くんまで汚物を見る目やめてよ!!
みんなして酷くない!?
私が何をしたって言うんだ!!」
「えーっと………名前の知り合い?」
「うん。彼氏の教え子」
「へぇ」
ちょっとちょっと。
うちの可愛い学生(違う)達が揃って赤葦にガンつけてんだけど。
なしたの君ら?任務は?
「うちの大馬鹿に何か?」
「真希ちゃん、それ彼氏とかのセリフ。
けど大馬鹿じゃなくて、愛情を込めて名前って呼んでおくれよ」
「明太子」
「何者?じゃなくてね、棘くん。
赤葦は私の学生の頃からの友達だから。
ガンつけるのおよし」
「名前さん、堂々と浮気っすか?」
「話聞いていたかな、恵くん。
赤葦は友達。アーユーオッケー?」
「「発音悪っ」」「おかか」
「君たちステイ」
とりあえず相席で座らせた。
赤葦の隣に移動しようかと思ったら、なぜか真希ちゃんと棘くんが詰めて座り、恵くんが赤葦の隣へ。
「相変わらず名前の周りは愉快だね」
「ねぇ赤葦、それ君が言う?」
「ははは、それもそうだな」
「イチャイチャしてんじゃねーよ大馬鹿」
「痛っ、真希ちゃん踏んでる!!踏んでるよ!!」
ぐりぐりやめて!!
何で今日そんな当たりきついの!?
「うまくやってんだ」
「ご覧の通り、教え子にも好かれてるんだ」
赤葦、にこにこすんのやめよ。
私なんかいたたまれない。
「あの、すいません」
「なに?」
「名前さんの元彼ですよね?」
「は?」「おかか?」
「恵くんシャラーーーーッップ!!!!」
「うん。よく知ってるね」
「あかーーーーしっ!!!」
「こないだプリクラ見ました」
「どこで!?」
「俺に貸してくれてる部屋からプリ帳というのが出てきて」
「ジーザスッ!!」
なんてこった!!!
ってゆーか、見ちゃダメだよめぐみん!!
「元彼とイチャイチャ浮気か」
「違う!!違うんだ真希ちゃん!!」
「おかか」
「最低って言わないで、棘くん!!」
「ふふ……名前のこと、そんなイジメないでやって」
「元彼の余裕かよ」
「ちょいと真希ちゃーーんっ!!」
「確かに俺は名前と付き合っていたけど、すぐ別れちゃったから」
「やめて。あかーし本当お口チャック!!」
「そうだなぁ、あれは大学に入学してからの話なんだけどさ」
「あああああっ」
春、俺の入った大学に居た名前。
顔見知りなこともあり、ちょくちょく一緒に行動をしていたのだが……
「苗字、今夜どうだ?」
「んー、予定ある」
「あ、もしかして彼氏出来た?」
「いや」
「じゃあいいじゃん。暇なら連絡待ってる」
見知らぬ誠実そうだが遊んでそうな男。
「苗字、今夜暇ぁ?」
「予定あるー」
「また今度連絡するわ」
チャラそうな男。
「苗字」
怖そうな男。
「………名前、聞いてもいい?」
「んー、出来れば聞かないで欲しい」
「あの男達なに?」
「聞いちゃう?あえて聞いちゃう?」
冷や汗を流しながら視線を逸らす名前。
「名前」
「クロみたいだよ、赤葦」
「黒尾さんに怒られるようなことしてるってこと?」
「やべっ」
「何やってんの」
このままほっといたら誤魔化そうとするとわかっていたので、根掘り葉掘り聞いてみたら頭を抱えた。
「好きだと気付いた男に未練タラタラで、他の人を好きになれば何か変わると思って?
サークルで遊び歩いた結果が?
男達がヤれると思って声を掛けてくると?」
「赤葦怖い」
「馬鹿なの?」
「さーせんっ」
何かと理由つけて逃げ歩いてるらしいが、夜遊びは止められず色んな男からの連絡がひっきりなしだとか……。
「本当馬鹿なの?」
「おっしゃる通りでございます」
「避妊は?」
「えっ、赤葦興味がおありで?」
「ふざけんな」
「さーせんっ!!ちゃんと避妊してますっ!!」
「してなかったら黒尾さんのとこ首輪着けて引っ張って行ってたよ」
「止めておくれよ……今クロにそれで怒られすぎて顔合わせづらいんだから」
「黒尾さん心配してたよ」
「………わかってる」
思っている以上に精神的にやられていたらしい名前は大きなため息をつく。
「私もね、こんな引きずるタイプだと思ってなかった」
「会えないの?」
「………うん」
「恋したいの?」
「うん。そしたら、何か変われるかもしれないから」
弱っているところを狙ったわけじゃないが、それなりに顔見知りで親しいと思っているからこそ提案した。
「俺と付き合う?」
「………は?」
「俺もまともな恋愛してないから上手くやれるかわかんないけど」
「えーっと……赤葦さん?」
「どう?嫌?」
かなり無理矢理だった気もしたが、なんとかうんと言わせて付き合うことに。
ひとまず夜遊びを辞めさせ、夜出歩きたいなら一人暮らしだし、とウチに来るようにさせた。
最初は気まずそうだったが慣れていくうちにゴロゴロと好き勝手にくつろぎ、勉強をするのに一緒に出掛けたり、ブラブラ遊びに行ったり、それなりに普通のカップルらしいことをした。
「まぁ、数ヶ月経ってやっぱり友達に戻ろうって言われちゃったんだけどね」
「最低」
「おかか」
「最低ですね」
「待って待って。みんなの視線が痛いっっ!!」
「友達に戻っても問題無く一緒に居たし、面倒な時はカップルのフリしたし、お互い恋人できたら離れたりしてたんだよね」
「赤葦さんそれで良かったんスか?」
「んー。
俺は自由な名前が好きだったからね。
友達としては最高に楽しいけど
恋人としては俺には手が余る」
「大馬鹿」
「こんぶ」
「身の程を知ってください」
「少年少女の刃が辛いっ」
責められてイジられている名前を見て笑う。
この子達に言う必要は無いだろうが……あの頃の名前は見ていられなかった。
いつもフラフラとしていて、誘われたらついていく。
気丈に明るく騒いでいても、ふとした時に寂しそうな顔をして後悔しているかのように泣きそうになる。
だから、捕まえておかなきゃいけないと思った。
人の中心にいる……木兎さんのような人なのに、この時ばかりは自分を見失って自分でも止まらないところにいるんじゃないかと思った。
幼馴染でも止められない。
そんな中、俺が止められると思っていなかったが………
「俺にとっての名前は木兎さんみたいに輝いていて欲しかったのかも」
「ムリムリ。
ぼっくんレベルとか鬼畜。なにそれ?話聞かないで暴走しろと?」
「それは俺もムリ」
確かに好きだった。
けど、幼馴染の孤爪にも黒尾さんにも止められないなら俺に出来ることなんて微々たるもの。そうわかっていても、放っておくことは出来なかった。
「ほんっとう、赤葦には様々なご迷惑をおかけし、面倒見てもらった記憶しかない」
「うん、本当にね」
「赤葦いなかったら私どーなってたんだか」
「どーでもいい奴の子供妊娠して苦労してたかもね」
「つらっ」
学生達の名前を見る目が冷めている。
けど、名前のこと心配して俺に威嚇しに来たからこそわかる。
この学生達が名前に懐いてることを。
「手は焼いたけど、苦じゃなかったよ」
「赤葦……っ!!本当いい男過ぎてもったいない!!私なんかにはもったいなさすぎるっ!!」
「だな」
「しゃけ」
「五条さんぐらいのクズが丁度いいっすね」
別れるとき、何度も泣きながら謝っていた。
自分なんかが赤葦を拘束してちゃいけない、と。
自分なんかといると赤葦が不幸になると。
そんなことない、と強く言えたら良かったが
"私、やっぱりあの馬鹿が好きだ……っ!!"
わんわん泣いて、俺じゃ代わりにはなれないんだと知ってしまった。
けど、やっぱり好きだったし心配だったから面倒は見させてもらった。
「…………赤葦、楽しんでない?」
「楽しいよ」
「ううううっ」
「名前、今幸せ?」
聞かなくてもわかるけど
本人の口から聞きたかった。
「幸せだよ」
「なら良かった」
名前のこの笑顔は、たった一人の男のもの。
俺じゃ出すことは出来なかったもの。
「………おら、このあと何も無いなら帰るぞ」
「えっ!?君ら任務は?」
「終わった帰りです」
「しゃけ」
「けど赤葦……」
「俺、このあと一回会社行かなきゃいけないから名前帰りな」
「………赤葦、今度呑みね」
「うん」
「今日会えて良かった」
「俺も」
学生らに押されながら帰る名前は当たり前だけど昔よりも大人びていた。
「何であのまともそうな人と別れたんですか」
「なになに?めぐみん気になる?
お姉さんのこと気になっちゃう?」
「ドつきますよ」
「こいつがまともじゃないから別れたんじゃね?」
「真希ちゃんそれ酷い」
「おかか?」
「違うの?って可愛く言っても駄目だからね棘くん。
………いやー、赤葦もなかなかブッ飛んでるよ」
「「ダウト」」「おかか」
「ちょくちょく赤葦の先輩から電話かかってきててね……内容が……うん」
"もしもし木兎さん?え?今?
下着の場所?箪笥の二段目じゃ?
あぁ、ありましたか"
"電子レンジが爆発した?
何入れて……ゆで卵作ろうと?アホですかあんた!!"
"は?木兎さんの家の鍵?
失くして家から出られない?
尻ポケットとか……あとはテーブルの上、じゃなかったら財布には?
あぁ、ありました?良かったですね、いってらっしゃい"
"はいはい、木兎さんは凄いですよ。
ヒーローですよ。
本当ですって。木兎さんを見ている子供達が木兎さんみたいになるために期待してますから"
「って感じでさ……
この人ぼっくんの彼女かママか?って思って」
「「「…………」」」
「既に大変な子守してるとこに私の子守って……赤葦の人生ママ一択なのかな?って思うと……!!申し訳なくて……っ」
「「確かに」」「しゃけ」
「赤葦を幸せにしてやれるのは、ぼっくんかな、と思うと……友達で居た方が、ね?」
「人は見かけに寄らないっすね」
「だな」
「しゃけ」
「………訂正するけど、赤葦はホモじゃないからね?」
ちょーーーっとぼっくんのお世話係が身に染み着いて、ぼっくんの予想外な行動を予想してるうちに凄い予想スキル手に入れてただけ。ってゆーか色々なパターン考えつく男だから、対処方法が手慣れてるのかもしれんが……。
「その後の元カレはクソ続きで
私赤葦と付き合って運使い果たしたと思った」
「あんた面倒見良すぎるから人を駄目にしそうですもんね」
「なんだ?恵も駄目になりそうなのか?」
「その顔やめてください」
「昆布?」
「違います」
「めぐみん、私みたいな女は苦労するからやめとけ」
「自分で言うなよ」
「………五条先生がそんなにいいって理解出来ないです」
「確かに」
「しゃけ」
悟、あんた生徒にこんなこと言われてるけど本当信用無いよね。
「性格悪いし、クズだし、自分勝手だし、我が儘だし、適当だし人間としてちょっとヤバいもんね」
「ボロクソだな」
「しゃけ」
「俺でもそこまで言いませんよ」
「生徒思いで、甘えん坊で、私を好きで居てくれる悟がいい」
ーーーこの恋が終わるその時まで
「理由なんて後からいくらでも探せるよ。
ただ、私の本能が悟を欲しがっていただけ」
「ご馳走さま。胸くそ悪いからクレープ奢れよ」
「ツナマヨ」
「俺サラダで」
「………全員生クリーム増し増しのキャラメルイチゴチョコね」
「「くどい」」「おかか」
「はーはっはっはっ!!!
私と悟の甘さ増し増しに口の中と胃をベッタベタにしてやる!!」
「いらね」
「いらないです」
「おかか」
「なんだよー。
赤葦との関係疑って悟推してたくせにー」
「「「……………」」」
「君達も悟が好きなんだねぇ」
「「違う」」「おかか」
くすくす笑う私をどついてくる三人。
照れ隠しだとわかっておる、わかっておる。
けど真希ちゃんはガチで痛い。
ゴリパワー炸裂しないで。
「ほら、クレープ食べる?」
「食う」
「食います」
「しゃけ」
ーーー君を愛してる。
あとがき
悟と居る通行人ちゃんが好きな生徒達。
悟以外の男と居るなんて……なんか違うとセコム発動。
真希ちゃんは変な男が寄り付きやすいと知ってるから尚更。
赤葦はぼっくんの彼女兼お母さんだよね。
だから付き合ってても彼女は大事にするけど、ぼっくんの壁は超えられないwww
むしろ、この人にもっと迷惑かけちゃ駄目なんじゃ……!?となりそう。
あと、絶対赤葦は「私と木兎さんどっちが大事なの!?」って言われてフられてそう(笑)
「突然何をおっしゃるの、真希ちゃん」
「おかか」
「やめて。棘くんにそんな冷たい目をされたら私生きていけない」
「………名前さん」
「恵くんまで汚物を見る目やめてよ!!
みんなして酷くない!?
私が何をしたって言うんだ!!」
「えーっと………名前の知り合い?」
「うん。彼氏の教え子」
「へぇ」
ちょっとちょっと。
うちの可愛い学生(違う)達が揃って赤葦にガンつけてんだけど。
なしたの君ら?任務は?
「うちの大馬鹿に何か?」
「真希ちゃん、それ彼氏とかのセリフ。
けど大馬鹿じゃなくて、愛情を込めて名前って呼んでおくれよ」
「明太子」
「何者?じゃなくてね、棘くん。
赤葦は私の学生の頃からの友達だから。
ガンつけるのおよし」
「名前さん、堂々と浮気っすか?」
「話聞いていたかな、恵くん。
赤葦は友達。アーユーオッケー?」
「「発音悪っ」」「おかか」
「君たちステイ」
とりあえず相席で座らせた。
赤葦の隣に移動しようかと思ったら、なぜか真希ちゃんと棘くんが詰めて座り、恵くんが赤葦の隣へ。
「相変わらず名前の周りは愉快だね」
「ねぇ赤葦、それ君が言う?」
「ははは、それもそうだな」
「イチャイチャしてんじゃねーよ大馬鹿」
「痛っ、真希ちゃん踏んでる!!踏んでるよ!!」
ぐりぐりやめて!!
何で今日そんな当たりきついの!?
「うまくやってんだ」
「ご覧の通り、教え子にも好かれてるんだ」
赤葦、にこにこすんのやめよ。
私なんかいたたまれない。
「あの、すいません」
「なに?」
「名前さんの元彼ですよね?」
「は?」「おかか?」
「恵くんシャラーーーーッップ!!!!」
「うん。よく知ってるね」
「あかーーーーしっ!!!」
「こないだプリクラ見ました」
「どこで!?」
「俺に貸してくれてる部屋からプリ帳というのが出てきて」
「ジーザスッ!!」
なんてこった!!!
ってゆーか、見ちゃダメだよめぐみん!!
「元彼とイチャイチャ浮気か」
「違う!!違うんだ真希ちゃん!!」
「おかか」
「最低って言わないで、棘くん!!」
「ふふ……名前のこと、そんなイジメないでやって」
「元彼の余裕かよ」
「ちょいと真希ちゃーーんっ!!」
「確かに俺は名前と付き合っていたけど、すぐ別れちゃったから」
「やめて。あかーし本当お口チャック!!」
「そうだなぁ、あれは大学に入学してからの話なんだけどさ」
「あああああっ」
春、俺の入った大学に居た名前。
顔見知りなこともあり、ちょくちょく一緒に行動をしていたのだが……
「苗字、今夜どうだ?」
「んー、予定ある」
「あ、もしかして彼氏出来た?」
「いや」
「じゃあいいじゃん。暇なら連絡待ってる」
見知らぬ誠実そうだが遊んでそうな男。
「苗字、今夜暇ぁ?」
「予定あるー」
「また今度連絡するわ」
チャラそうな男。
「苗字」
怖そうな男。
「………名前、聞いてもいい?」
「んー、出来れば聞かないで欲しい」
「あの男達なに?」
「聞いちゃう?あえて聞いちゃう?」
冷や汗を流しながら視線を逸らす名前。
「名前」
「クロみたいだよ、赤葦」
「黒尾さんに怒られるようなことしてるってこと?」
「やべっ」
「何やってんの」
このままほっといたら誤魔化そうとするとわかっていたので、根掘り葉掘り聞いてみたら頭を抱えた。
「好きだと気付いた男に未練タラタラで、他の人を好きになれば何か変わると思って?
サークルで遊び歩いた結果が?
男達がヤれると思って声を掛けてくると?」
「赤葦怖い」
「馬鹿なの?」
「さーせんっ」
何かと理由つけて逃げ歩いてるらしいが、夜遊びは止められず色んな男からの連絡がひっきりなしだとか……。
「本当馬鹿なの?」
「おっしゃる通りでございます」
「避妊は?」
「えっ、赤葦興味がおありで?」
「ふざけんな」
「さーせんっ!!ちゃんと避妊してますっ!!」
「してなかったら黒尾さんのとこ首輪着けて引っ張って行ってたよ」
「止めておくれよ……今クロにそれで怒られすぎて顔合わせづらいんだから」
「黒尾さん心配してたよ」
「………わかってる」
思っている以上に精神的にやられていたらしい名前は大きなため息をつく。
「私もね、こんな引きずるタイプだと思ってなかった」
「会えないの?」
「………うん」
「恋したいの?」
「うん。そしたら、何か変われるかもしれないから」
弱っているところを狙ったわけじゃないが、それなりに顔見知りで親しいと思っているからこそ提案した。
「俺と付き合う?」
「………は?」
「俺もまともな恋愛してないから上手くやれるかわかんないけど」
「えーっと……赤葦さん?」
「どう?嫌?」
かなり無理矢理だった気もしたが、なんとかうんと言わせて付き合うことに。
ひとまず夜遊びを辞めさせ、夜出歩きたいなら一人暮らしだし、とウチに来るようにさせた。
最初は気まずそうだったが慣れていくうちにゴロゴロと好き勝手にくつろぎ、勉強をするのに一緒に出掛けたり、ブラブラ遊びに行ったり、それなりに普通のカップルらしいことをした。
「まぁ、数ヶ月経ってやっぱり友達に戻ろうって言われちゃったんだけどね」
「最低」
「おかか」
「最低ですね」
「待って待って。みんなの視線が痛いっっ!!」
「友達に戻っても問題無く一緒に居たし、面倒な時はカップルのフリしたし、お互い恋人できたら離れたりしてたんだよね」
「赤葦さんそれで良かったんスか?」
「んー。
俺は自由な名前が好きだったからね。
友達としては最高に楽しいけど
恋人としては俺には手が余る」
「大馬鹿」
「こんぶ」
「身の程を知ってください」
「少年少女の刃が辛いっ」
責められてイジられている名前を見て笑う。
この子達に言う必要は無いだろうが……あの頃の名前は見ていられなかった。
いつもフラフラとしていて、誘われたらついていく。
気丈に明るく騒いでいても、ふとした時に寂しそうな顔をして後悔しているかのように泣きそうになる。
だから、捕まえておかなきゃいけないと思った。
人の中心にいる……木兎さんのような人なのに、この時ばかりは自分を見失って自分でも止まらないところにいるんじゃないかと思った。
幼馴染でも止められない。
そんな中、俺が止められると思っていなかったが………
「俺にとっての名前は木兎さんみたいに輝いていて欲しかったのかも」
「ムリムリ。
ぼっくんレベルとか鬼畜。なにそれ?話聞かないで暴走しろと?」
「それは俺もムリ」
確かに好きだった。
けど、幼馴染の孤爪にも黒尾さんにも止められないなら俺に出来ることなんて微々たるもの。そうわかっていても、放っておくことは出来なかった。
「ほんっとう、赤葦には様々なご迷惑をおかけし、面倒見てもらった記憶しかない」
「うん、本当にね」
「赤葦いなかったら私どーなってたんだか」
「どーでもいい奴の子供妊娠して苦労してたかもね」
「つらっ」
学生達の名前を見る目が冷めている。
けど、名前のこと心配して俺に威嚇しに来たからこそわかる。
この学生達が名前に懐いてることを。
「手は焼いたけど、苦じゃなかったよ」
「赤葦……っ!!本当いい男過ぎてもったいない!!私なんかにはもったいなさすぎるっ!!」
「だな」
「しゃけ」
「五条さんぐらいのクズが丁度いいっすね」
別れるとき、何度も泣きながら謝っていた。
自分なんかが赤葦を拘束してちゃいけない、と。
自分なんかといると赤葦が不幸になると。
そんなことない、と強く言えたら良かったが
"私、やっぱりあの馬鹿が好きだ……っ!!"
わんわん泣いて、俺じゃ代わりにはなれないんだと知ってしまった。
けど、やっぱり好きだったし心配だったから面倒は見させてもらった。
「…………赤葦、楽しんでない?」
「楽しいよ」
「ううううっ」
「名前、今幸せ?」
聞かなくてもわかるけど
本人の口から聞きたかった。
「幸せだよ」
「なら良かった」
名前のこの笑顔は、たった一人の男のもの。
俺じゃ出すことは出来なかったもの。
「………おら、このあと何も無いなら帰るぞ」
「えっ!?君ら任務は?」
「終わった帰りです」
「しゃけ」
「けど赤葦……」
「俺、このあと一回会社行かなきゃいけないから名前帰りな」
「………赤葦、今度呑みね」
「うん」
「今日会えて良かった」
「俺も」
学生らに押されながら帰る名前は当たり前だけど昔よりも大人びていた。
「何であのまともそうな人と別れたんですか」
「なになに?めぐみん気になる?
お姉さんのこと気になっちゃう?」
「ドつきますよ」
「こいつがまともじゃないから別れたんじゃね?」
「真希ちゃんそれ酷い」
「おかか?」
「違うの?って可愛く言っても駄目だからね棘くん。
………いやー、赤葦もなかなかブッ飛んでるよ」
「「ダウト」」「おかか」
「ちょくちょく赤葦の先輩から電話かかってきててね……内容が……うん」
"もしもし木兎さん?え?今?
下着の場所?箪笥の二段目じゃ?
あぁ、ありましたか"
"電子レンジが爆発した?
何入れて……ゆで卵作ろうと?アホですかあんた!!"
"は?木兎さんの家の鍵?
失くして家から出られない?
尻ポケットとか……あとはテーブルの上、じゃなかったら財布には?
あぁ、ありました?良かったですね、いってらっしゃい"
"はいはい、木兎さんは凄いですよ。
ヒーローですよ。
本当ですって。木兎さんを見ている子供達が木兎さんみたいになるために期待してますから"
「って感じでさ……
この人ぼっくんの彼女かママか?って思って」
「「「…………」」」
「既に大変な子守してるとこに私の子守って……赤葦の人生ママ一択なのかな?って思うと……!!申し訳なくて……っ」
「「確かに」」「しゃけ」
「赤葦を幸せにしてやれるのは、ぼっくんかな、と思うと……友達で居た方が、ね?」
「人は見かけに寄らないっすね」
「だな」
「しゃけ」
「………訂正するけど、赤葦はホモじゃないからね?」
ちょーーーっとぼっくんのお世話係が身に染み着いて、ぼっくんの予想外な行動を予想してるうちに凄い予想スキル手に入れてただけ。ってゆーか色々なパターン考えつく男だから、対処方法が手慣れてるのかもしれんが……。
「その後の元カレはクソ続きで
私赤葦と付き合って運使い果たしたと思った」
「あんた面倒見良すぎるから人を駄目にしそうですもんね」
「なんだ?恵も駄目になりそうなのか?」
「その顔やめてください」
「昆布?」
「違います」
「めぐみん、私みたいな女は苦労するからやめとけ」
「自分で言うなよ」
「………五条先生がそんなにいいって理解出来ないです」
「確かに」
「しゃけ」
悟、あんた生徒にこんなこと言われてるけど本当信用無いよね。
「性格悪いし、クズだし、自分勝手だし、我が儘だし、適当だし人間としてちょっとヤバいもんね」
「ボロクソだな」
「しゃけ」
「俺でもそこまで言いませんよ」
「生徒思いで、甘えん坊で、私を好きで居てくれる悟がいい」
ーーーこの恋が終わるその時まで
「理由なんて後からいくらでも探せるよ。
ただ、私の本能が悟を欲しがっていただけ」
「ご馳走さま。胸くそ悪いからクレープ奢れよ」
「ツナマヨ」
「俺サラダで」
「………全員生クリーム増し増しのキャラメルイチゴチョコね」
「「くどい」」「おかか」
「はーはっはっはっ!!!
私と悟の甘さ増し増しに口の中と胃をベッタベタにしてやる!!」
「いらね」
「いらないです」
「おかか」
「なんだよー。
赤葦との関係疑って悟推してたくせにー」
「「「……………」」」
「君達も悟が好きなんだねぇ」
「「違う」」「おかか」
くすくす笑う私をどついてくる三人。
照れ隠しだとわかっておる、わかっておる。
けど真希ちゃんはガチで痛い。
ゴリパワー炸裂しないで。
「ほら、クレープ食べる?」
「食う」
「食います」
「しゃけ」
ーーー君を愛してる。
あとがき
悟と居る通行人ちゃんが好きな生徒達。
悟以外の男と居るなんて……なんか違うとセコム発動。
真希ちゃんは変な男が寄り付きやすいと知ってるから尚更。
赤葦はぼっくんの彼女兼お母さんだよね。
だから付き合ってても彼女は大事にするけど、ぼっくんの壁は超えられないwww
むしろ、この人にもっと迷惑かけちゃ駄目なんじゃ……!?となりそう。
あと、絶対赤葦は「私と木兎さんどっちが大事なの!?」って言われてフられてそう(笑)