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「五条さんと別れてください」
やぁやぁ。
突然現れて仁王立ちで睨み効かせながら現れたスーツ女から喧嘩売られた通行人名前ちゃんだぉ。
「今ババ抜き中だから後にしてくれない?」
「はぁ!?」
「棘、今だ。右引け右」
「しゃけ!!」
「はい、名前の負けな」
「ちょっ!?ズルくない!?真希ちゃん酷くない!?」
「うだうだ言うな。余所見した奴が悪い。
ほら、罰ゲームのしっぺな」
「待って待って。意義あり!!やり直しを所望す………っったぁぁあああ!!!!」
4人からのしっぺに悶える。
おかしい。絶対しっぺの威力じゃない。
まじで……痛すぎる。
「…………っっっ!!!」
「あーあ、憂太が強くやるからだぞ」
「えっ!?」
「赤くなってんなー。憂太酷いな」
「パンダくんまで!?」
「しゃけ」
「狗巻くんまで!?」
「はい、全員私と憂太くんに謝りやがってくださーい。まじで憂太くん以外全力でしっぺしたな。見てよこれ。真っ赤に指の痕……おい、パンダ。肉球の痕残ってんじゃないか。
棘くんも指くっきりだぞ。真希ちゃん……え、みみず腫やん。真希ちゃんゴリラすぎ」
「よーし、次は顔面ビンタな」
「ごめんなさい」
こんなん顔面ビンタされたら顔腫れちゃう。
腕だけにして。
「ババ抜き盛り上がってんじゃないわよ!!」
「こちとら腕犠牲に頑張ってんだよ。
ババ抜きなめんじゃねぇ」
「知らないわよ」
なんだこのスーツ女。
地面に座ってる私らを上から見下して。
「五条さんと別れなさい」
「次やるよー」
「罰ゲームは?」
「顔面ビンタ」
「真希ちゃん、それは勘弁」
「めんたいこ」
「デコピンだってさ」
「じゃあ、始めようか」
「無視してんじゃないわよ!!!」
何か癇癪起こしてる。
「真希先輩、あの人新人?」
「知らね」
「パンダ先輩、知ってる?」
「見かけない顔だな」
「棘先輩、どうっすか?」
「おかか」
「憂太先輩、やっちまってください」
「えっ!?え?え?」
「まずはババ抜き辞めなさいよ!!あんた失礼ね!!」
「え?失礼?
初対面で喧嘩売るのは高専じゃ挨拶なの?」
………悟といい、前髪といいそーいや失礼だったよな。初対面から。
真希ちゃんらも武器向けてきたり……。
「すまん。高専に一般常識は無かったな。
失礼な集団だったことを思い出したわ」
「オマエも大概だよ、ポンコツ」
「ほんとな」
「しゃけしゃけ」
「いいから話を!!聞きなさいよ!!ブスッ」
暴言きたよー。
誰だよこいつの教育係。
ちゃんと目上の人への教育しろよな。
「スーツってことは補助監督?
責任者伊地知さん?伊地知さんに苦情入れればいい?」
「辞めとけよ。伊地知さんそろそろ胃に穴空くぞ」
「潔高死ぬぞ」
「おかか」
「五条先生に言うとか?」
「結局伊地知さんにいってより酷くなるんじゃ?
むしろ、悟知った方がやばそう」
うんうん、と五人で頷く。
こりゃ自分でどーにかすべき?と五人で目配せすれば、パンダ、真希ちゃん、棘くんから自分でどーにかしろよ、と視線からの圧が凄い。
「だいたい一般人のあなたが五条さんと並んで立とうというのが間違いなのよ」
「何か始まった」
「五条さんはね、御三家のお一方でありなが無下限呪術と数百年ぶりの六眼を持つ凄いお方なの」
「へー」
「五条さんには許嫁もいてあなたみたいな呪力もない見えるだけの一般人なんて今だけの遊びなの」
「ふーん」
「それが理解できる頭をお持ちなら、さっさと五条さんと別れ「あ、上がり」
「ズルすんなよポンコツ」
「運も実力さ」
「ズルした名前、罰ゲームだな」
「おい、パンダ。正統な上がりでしょ」
「しゃけしゃけ」
「やれやれーじゃないから。棘くん」
「みんな、名前さんを虐めちゃだめだよ」
憂太くんいい子っっ!!!
それに比べて他の子は可愛さ余って憎さいっぱいだよ!!
可愛いけどね!!
「優しい憂太くんにはお姉さんからプレゼントだよ」
「なんですか?これ」
「お姉さんチョイス」
「お菓子だな」
「しゃけ」
「きなこねじりとかババ臭いな」
「真希ちゃん、きなこねじりは美味しいんだよ」
「酢昆布……」
「教室で開けちゃダメだよ」
「…こんぶ」
「おしゃぶり昆布をよく噛め、若者」
「「ババァかよ」」「しゃけ」
「んまー!!失礼な少年少女と獣ねっ!!」
憂太くんを見なさい!!
はにかみながらありがとうございますって!!
この子天使!!本当天使!!
変な女の子に騙されないかお姉さん心配。
「話を!!聞けよ!!」
「ぎゃーぎゃーぎゃーぎゃーうっさいな。
発情期ですか?」
「あんたが話聞かないからでしょ!!」
「えー、だって聞いても聞かなくてもいい内容だし」
「はぁ!?
別れろって言ってるのがわかんないわけ!?
あんたなんかが一緒に居ていい相手じゃないの!!」
「それ、お前に言われる筋合いある?」
じっとスーツ女を見れば、睨み付けてくる。
ちなみに、こう言われるのはわりと今回が初めてではない。
まぁ、生徒らの前で喚くのは初めてだが、他の人は誰も居ないときとか、すれ違い様にボソッと。
凹んでいた時期もありました。
そりゃーね。うん。
呪術界の最強である男。
見た目パーフェクト。
特級パーフェクト。
身長パーフェクト。
お給料パーフェクト。
しかも御曹司。お坊っちゃま。後継者。
呪術界では結婚したい男No.1なんだろうね。
人気者だよ、やったね!!
………性格ノーパーフェクトだけどな。
まぁ、そんな男を射止めたのが一般人の呪術と無関係な女なら、そりゃーざわざわさ。
嫉妬の嵐さ。
奴の子種が欲しくてざわめく未婚女とくっつけようとする各所から苦情がね。
「お前は悟の親なの?産んだママなの?
悟の幼馴染でニコイチなの?
悟の監督責任者か何かですかコノヤロー」
「な、なによ!!」
「監督責任者ならちゃんとしろよ。
あの白髪、こないだ旅行のノリでお土産片手に呪霊祓ってたぞ。
あと、伊地知さんに無理押し通して脅してたから止めさせろ。いつか過労で倒れるから」
「わ、私は五条さんの代わりに五条さんを思って言ってるの!!」
「それこそ余計なお節介だコノヤロー。
悟の子種欲しいのなら自分で頼めよコノヤロー。
私にイチイチマウント取ってる暇あるなら今すぐご自慢の身体ですり寄って孕ませて貰えよ」
「未成年いるからなー」
「しゃけ」
「未成年のパンダもいるからなー」
「パンダ、16歳なら人間でいうと80歳なんだよ。やったね!!ご長寿!!」
「パンダくん凄いね!!」
「オレ、ピチピチノ16サイ」
「ふざけてんじゃないわよ!!」
顔を真っ赤にして怒鳴り出すスーツ女。
「ふざけてんのどっち?
硝子ちゃんに言われるならまだしも、見知らぬモブに言われて引き下がるほど大人しくないぞコノヤロー」
よっこらしょ、と立ち上がれば
真希ちゃんとパンダからババァかよ、と言われた。
25越えたらもう体力は低下していくんだよ。
覚えておこうね。
「私に突っかかって騒ぐくらいなら、悟に言ってきなよ」
「あんたが自覚しないから!!」
「何の自覚?
好きな人の隣に居て周りにとやかく言われる筋合い無いよ」
「本当頭足りないわね。流石一般人」
「一般人なめんなコノヤロー」
一般人だってね、必死に毎日を生きてるんです。
「そもそも
呪術界最強で御三家のご子息で無期限だか無加減だかしらんが、凄いもの持ってて厨二みたいな六眼?だか持った五条悟が欲しいならどーぞご自分でアタックして許可出たなら抱いてもらいなさいよ」
「はぁ!?」
「お坊ちゃんなら後継者残さなきゃいけないんでしょーが、そんなに凄い最強(笑)の人の子種欲しくて嫁になりたいならどーぞどーぞ」
「あんた、五条さんのこと馬鹿にしてんの!?」
「だって私そんな五条悟に興味無いし」
「はぁ!?」
いちいちうるさいなぁ。
まじで発情期かコノヤロー。
「私が好きになったのは"五条悟"であって
呪術界最強の"五条悟"ではないからね」
「一緒じゃない」
「違うよ」
例え同じ人だろうと、私は"呪術界最強"だから好きになったんじゃない。
たった一人の"五条悟"という人間を好きになったんだ。
「私にとっての"五条悟"は性格の悪いクソヤロウで我が儘なクソガキだもの」
初めて出会った時からずーっと。
失礼の塊で
煽るのが得意で
同級生と喧嘩して怒られて
くだらないことを全力でして笑って
同級生とエロ話で盛り上がって
冷めた視線を向けられ
頭いいくせに馬鹿みたいに大雑把で
人並みに恋をして
ブラブラ手を繋いで歩いて
意地悪したと思ったら優しくして
蕩けるような甘い顔をして笑い
子供のように拗ねてしまう
「私と変わらない、ちょっと変わった変人だよ」
ヒュー、と真希ちゃんが口笛を鳴らす。
「まぁ、ちょっとどころかかなり変人で見た目はもう通報されてもおかしくない不審者だよね」
「くっくっくっ」
「ぶふっ」
「〜〜〜っ」
「ははは…」
「ちなみにまじで浮気したらぶっ飛ばして実家帰るわ」
「理不尽じゃね」
「真希ちゃんは許せる?」
「死んで詫びてもらう」
「私よりこっわ!!!」
こちらの世界と関わるようになってから、やれ最強の五条さんがどーのこーの。
やれ御三家の五条がどーのこーの。
うん、知るか!!!!っってなったよね。
「ってことで、お前さんが五条悟の代わりにあれこれぎゃーぎゃーぎゃーぎゃー騒ぐなら本人によろしく」
「あんたがまずは自覚しなさいって言ってるのよ!!」
「何の自覚?最強の彼女の自覚?
それとも御三家の未来を背負う自覚?
未来の事なんざわからんのにムリムリ。
明日には別れてるかもしれないんだから」
「なら今すぐに別れろって言ってんのよ!!」
「えー、無理」
「あんたねぇっ!!」
「別れろ別れろってうるさいなぁ。
こっちの恋愛事情に首突っ込んでお前は何の管理局なの?
恋愛の天使なの?
それなら憂太くんと里香ちゃんの未来を輝かせろ」
「えっ?僕!?」
「そーだそーだ。憂太さんの恋愛輝かせろ」
「しゃけしゃけ」
「オレは真希と憂太さんを推したい」
「おいパンダ。お前いい加減にしろ」
真希ちゃんとパンダがお互いにメンチ切ってる。
どうどう、よっちゃんイカやるから落ち着けって。
「話になんないっ!!」
ぷんぷん怒りながらいなくなったスーツ女。
なんだアイツ。
「あの……あーいうのよくあるんですか?」
「たまにね。
変なとこ見せたね」
「格好よかったぞ」
「しゃけ」
「あんな風に言い切れるのはオマエくらいだろうな」
「ありがと、パンダ。棘くん。真希ちゃん」
へらり、と笑えばなぜかパンダに頭を撫でられ、棘くんに撫でられ、真希ちゃんに背中を叩かれた。
「五条先生は幸せですね。
ちゃんと名前さんは五条先生の中身を好きになったんだから」
「そーかな?」
「"最強"の馬鹿じゃなく」
「ちょっと変わった悟が好きなんだもんな」
「しゃけ」
にやにやと笑う学生達に困ってしまう。
「いやーでも、本気で子種撒き散らすならどーしたものか……」
「ヤメロ」
「その場合私愛人?
やだなー。そんなAVで学生の頃盛り上がってたぞあの白髪」
「まじか」
「………こんぶ」
「ちょっと愛人は避けたいからやっぱ実家帰ろうかな」
「僕の生徒の前で卑猥な話辞めてよ」
「あだっ」
後頭部叩かれた。
スパーンッて叩かれた。
「あ、悟」
「オマエさ、学生の頃のネタを今暴露すんの辞めてくれない?
GTGの威厳が損なうから。名誉毀損で訴えるよ」
「威厳?そんなもの無いでしょ」
「「無い無い」」「しゃけ」
「ほら見ろ。今さらだ」
冷めた目を向ければ、拗ねたように人の頭に顎を乗せてぐりぐりしてくる。
地味に頭が痛いので止めてほしい。
そしてそのまま体重をかけてくる。
重たいので止めてほしい。
「僕、許嫁もいないし浮気もしないよ」
「見てたの?」
「ほぼ最初からね」
「伊地知さん虐めちゃだめだよ」
「知らね。監督不届き」
「横暴」
「じゃあ補助監督全員シメる」
「理不尽か」
のし掛かるようにしていた悟がぎゅーっと抱き締めてくる。
甘えるように首筋に顔を擦り寄せる。
「僕、名前の格好いいとこ好き」
「存分に惚れていいよ」
「もう惚れてるよ」
くすくす笑いながらおでこに唇を落とす悟。
包帯で目元は見えていないが、きっと私だけが知ってる蕩けるような甘い瞳をしているのだろう。
愛おしいと、好きだと伝えてくれるその顔が私は好きだ。
「大好きだよ、悟」
「僕も」
抱き締める力が強くなり、二人で笑っていれば冷ややかな視線。
「イチャつくなバカっぷる」
「生徒の目の前だぞ」
「おかか」
「みんな……あの、その…」
「憂太みたいに見ないフリしとこうよ」
悟が先生らしく指示をし始めたので、私は少し離れた場所でそれを見ている。
カラカラと窓が開く音がしてそちらを見れば硝子ちゃんがいた。
「相変わらず面白いな、名前」
「硝子ちゃんも見てたの?」
「五条と伊地知とな」
あらま。
伊地知さんはもう既に………。
今度いい胃薬を贈ろう。
「五条の事をあんな風に言い切れるのはオマエくらいだろうな」
「そう?」
「私達はどう頑張っても"最強"である"五条家"の五条として見てしまうからな」
「そーかな?
私は呪術界の事わかんないし、雑魚だから深入りする気ないし。
だから、変人な悟しか知らない。
だけど、硝子ちゃんも生徒らもそれを含めて悟を見てると思うけど?」
「買いかぶりすぎだ」
「………悟といえば?」
「人でなしのクズで糖尿病予備軍」
くすくす笑えば硝子ちゃんも微笑む。
「そして」
「?」
「アホな彼女を溺愛している男だな」
「アホってひどーい」
「物好き同士お似合いだぞ」
「もっと優しくして」
「調子に乗るから断る」
"最強"である前に
同じ"人"である君を愛してる。
あとがき
メンタル弱くなったけど大切なもののためなら飛び蹴りしながらメンタル回復する通行人ちゃん。
ちなみにババ抜き前はきちんと勉強教えていたけど、座学嫌いが多いので外でババ抜き。
稽古できないからババ抜き。
そこが通行人クオリティー。
そして蘇る酢昆布。
全員が最強と認める呪術師の"五条悟"より
通行人ちゃんにとっては
ちょっとおかしな性格破綻している"五条悟"のがしっくりくる。
やぁやぁ。
突然現れて仁王立ちで睨み効かせながら現れたスーツ女から喧嘩売られた通行人名前ちゃんだぉ。
「今ババ抜き中だから後にしてくれない?」
「はぁ!?」
「棘、今だ。右引け右」
「しゃけ!!」
「はい、名前の負けな」
「ちょっ!?ズルくない!?真希ちゃん酷くない!?」
「うだうだ言うな。余所見した奴が悪い。
ほら、罰ゲームのしっぺな」
「待って待って。意義あり!!やり直しを所望す………っったぁぁあああ!!!!」
4人からのしっぺに悶える。
おかしい。絶対しっぺの威力じゃない。
まじで……痛すぎる。
「…………っっっ!!!」
「あーあ、憂太が強くやるからだぞ」
「えっ!?」
「赤くなってんなー。憂太酷いな」
「パンダくんまで!?」
「しゃけ」
「狗巻くんまで!?」
「はい、全員私と憂太くんに謝りやがってくださーい。まじで憂太くん以外全力でしっぺしたな。見てよこれ。真っ赤に指の痕……おい、パンダ。肉球の痕残ってんじゃないか。
棘くんも指くっきりだぞ。真希ちゃん……え、みみず腫やん。真希ちゃんゴリラすぎ」
「よーし、次は顔面ビンタな」
「ごめんなさい」
こんなん顔面ビンタされたら顔腫れちゃう。
腕だけにして。
「ババ抜き盛り上がってんじゃないわよ!!」
「こちとら腕犠牲に頑張ってんだよ。
ババ抜きなめんじゃねぇ」
「知らないわよ」
なんだこのスーツ女。
地面に座ってる私らを上から見下して。
「五条さんと別れなさい」
「次やるよー」
「罰ゲームは?」
「顔面ビンタ」
「真希ちゃん、それは勘弁」
「めんたいこ」
「デコピンだってさ」
「じゃあ、始めようか」
「無視してんじゃないわよ!!!」
何か癇癪起こしてる。
「真希先輩、あの人新人?」
「知らね」
「パンダ先輩、知ってる?」
「見かけない顔だな」
「棘先輩、どうっすか?」
「おかか」
「憂太先輩、やっちまってください」
「えっ!?え?え?」
「まずはババ抜き辞めなさいよ!!あんた失礼ね!!」
「え?失礼?
初対面で喧嘩売るのは高専じゃ挨拶なの?」
………悟といい、前髪といいそーいや失礼だったよな。初対面から。
真希ちゃんらも武器向けてきたり……。
「すまん。高専に一般常識は無かったな。
失礼な集団だったことを思い出したわ」
「オマエも大概だよ、ポンコツ」
「ほんとな」
「しゃけしゃけ」
「いいから話を!!聞きなさいよ!!ブスッ」
暴言きたよー。
誰だよこいつの教育係。
ちゃんと目上の人への教育しろよな。
「スーツってことは補助監督?
責任者伊地知さん?伊地知さんに苦情入れればいい?」
「辞めとけよ。伊地知さんそろそろ胃に穴空くぞ」
「潔高死ぬぞ」
「おかか」
「五条先生に言うとか?」
「結局伊地知さんにいってより酷くなるんじゃ?
むしろ、悟知った方がやばそう」
うんうん、と五人で頷く。
こりゃ自分でどーにかすべき?と五人で目配せすれば、パンダ、真希ちゃん、棘くんから自分でどーにかしろよ、と視線からの圧が凄い。
「だいたい一般人のあなたが五条さんと並んで立とうというのが間違いなのよ」
「何か始まった」
「五条さんはね、御三家のお一方でありなが無下限呪術と数百年ぶりの六眼を持つ凄いお方なの」
「へー」
「五条さんには許嫁もいてあなたみたいな呪力もない見えるだけの一般人なんて今だけの遊びなの」
「ふーん」
「それが理解できる頭をお持ちなら、さっさと五条さんと別れ「あ、上がり」
「ズルすんなよポンコツ」
「運も実力さ」
「ズルした名前、罰ゲームだな」
「おい、パンダ。正統な上がりでしょ」
「しゃけしゃけ」
「やれやれーじゃないから。棘くん」
「みんな、名前さんを虐めちゃだめだよ」
憂太くんいい子っっ!!!
それに比べて他の子は可愛さ余って憎さいっぱいだよ!!
可愛いけどね!!
「優しい憂太くんにはお姉さんからプレゼントだよ」
「なんですか?これ」
「お姉さんチョイス」
「お菓子だな」
「しゃけ」
「きなこねじりとかババ臭いな」
「真希ちゃん、きなこねじりは美味しいんだよ」
「酢昆布……」
「教室で開けちゃダメだよ」
「…こんぶ」
「おしゃぶり昆布をよく噛め、若者」
「「ババァかよ」」「しゃけ」
「んまー!!失礼な少年少女と獣ねっ!!」
憂太くんを見なさい!!
はにかみながらありがとうございますって!!
この子天使!!本当天使!!
変な女の子に騙されないかお姉さん心配。
「話を!!聞けよ!!」
「ぎゃーぎゃーぎゃーぎゃーうっさいな。
発情期ですか?」
「あんたが話聞かないからでしょ!!」
「えー、だって聞いても聞かなくてもいい内容だし」
「はぁ!?
別れろって言ってるのがわかんないわけ!?
あんたなんかが一緒に居ていい相手じゃないの!!」
「それ、お前に言われる筋合いある?」
じっとスーツ女を見れば、睨み付けてくる。
ちなみに、こう言われるのはわりと今回が初めてではない。
まぁ、生徒らの前で喚くのは初めてだが、他の人は誰も居ないときとか、すれ違い様にボソッと。
凹んでいた時期もありました。
そりゃーね。うん。
呪術界の最強である男。
見た目パーフェクト。
特級パーフェクト。
身長パーフェクト。
お給料パーフェクト。
しかも御曹司。お坊っちゃま。後継者。
呪術界では結婚したい男No.1なんだろうね。
人気者だよ、やったね!!
………性格ノーパーフェクトだけどな。
まぁ、そんな男を射止めたのが一般人の呪術と無関係な女なら、そりゃーざわざわさ。
嫉妬の嵐さ。
奴の子種が欲しくてざわめく未婚女とくっつけようとする各所から苦情がね。
「お前は悟の親なの?産んだママなの?
悟の幼馴染でニコイチなの?
悟の監督責任者か何かですかコノヤロー」
「な、なによ!!」
「監督責任者ならちゃんとしろよ。
あの白髪、こないだ旅行のノリでお土産片手に呪霊祓ってたぞ。
あと、伊地知さんに無理押し通して脅してたから止めさせろ。いつか過労で倒れるから」
「わ、私は五条さんの代わりに五条さんを思って言ってるの!!」
「それこそ余計なお節介だコノヤロー。
悟の子種欲しいのなら自分で頼めよコノヤロー。
私にイチイチマウント取ってる暇あるなら今すぐご自慢の身体ですり寄って孕ませて貰えよ」
「未成年いるからなー」
「しゃけ」
「未成年のパンダもいるからなー」
「パンダ、16歳なら人間でいうと80歳なんだよ。やったね!!ご長寿!!」
「パンダくん凄いね!!」
「オレ、ピチピチノ16サイ」
「ふざけてんじゃないわよ!!」
顔を真っ赤にして怒鳴り出すスーツ女。
「ふざけてんのどっち?
硝子ちゃんに言われるならまだしも、見知らぬモブに言われて引き下がるほど大人しくないぞコノヤロー」
よっこらしょ、と立ち上がれば
真希ちゃんとパンダからババァかよ、と言われた。
25越えたらもう体力は低下していくんだよ。
覚えておこうね。
「私に突っかかって騒ぐくらいなら、悟に言ってきなよ」
「あんたが自覚しないから!!」
「何の自覚?
好きな人の隣に居て周りにとやかく言われる筋合い無いよ」
「本当頭足りないわね。流石一般人」
「一般人なめんなコノヤロー」
一般人だってね、必死に毎日を生きてるんです。
「そもそも
呪術界最強で御三家のご子息で無期限だか無加減だかしらんが、凄いもの持ってて厨二みたいな六眼?だか持った五条悟が欲しいならどーぞご自分でアタックして許可出たなら抱いてもらいなさいよ」
「はぁ!?」
「お坊ちゃんなら後継者残さなきゃいけないんでしょーが、そんなに凄い最強(笑)の人の子種欲しくて嫁になりたいならどーぞどーぞ」
「あんた、五条さんのこと馬鹿にしてんの!?」
「だって私そんな五条悟に興味無いし」
「はぁ!?」
いちいちうるさいなぁ。
まじで発情期かコノヤロー。
「私が好きになったのは"五条悟"であって
呪術界最強の"五条悟"ではないからね」
「一緒じゃない」
「違うよ」
例え同じ人だろうと、私は"呪術界最強"だから好きになったんじゃない。
たった一人の"五条悟"という人間を好きになったんだ。
「私にとっての"五条悟"は性格の悪いクソヤロウで我が儘なクソガキだもの」
初めて出会った時からずーっと。
失礼の塊で
煽るのが得意で
同級生と喧嘩して怒られて
くだらないことを全力でして笑って
同級生とエロ話で盛り上がって
冷めた視線を向けられ
頭いいくせに馬鹿みたいに大雑把で
人並みに恋をして
ブラブラ手を繋いで歩いて
意地悪したと思ったら優しくして
蕩けるような甘い顔をして笑い
子供のように拗ねてしまう
「私と変わらない、ちょっと変わった変人だよ」
ヒュー、と真希ちゃんが口笛を鳴らす。
「まぁ、ちょっとどころかかなり変人で見た目はもう通報されてもおかしくない不審者だよね」
「くっくっくっ」
「ぶふっ」
「〜〜〜っ」
「ははは…」
「ちなみにまじで浮気したらぶっ飛ばして実家帰るわ」
「理不尽じゃね」
「真希ちゃんは許せる?」
「死んで詫びてもらう」
「私よりこっわ!!!」
こちらの世界と関わるようになってから、やれ最強の五条さんがどーのこーの。
やれ御三家の五条がどーのこーの。
うん、知るか!!!!っってなったよね。
「ってことで、お前さんが五条悟の代わりにあれこれぎゃーぎゃーぎゃーぎゃー騒ぐなら本人によろしく」
「あんたがまずは自覚しなさいって言ってるのよ!!」
「何の自覚?最強の彼女の自覚?
それとも御三家の未来を背負う自覚?
未来の事なんざわからんのにムリムリ。
明日には別れてるかもしれないんだから」
「なら今すぐに別れろって言ってんのよ!!」
「えー、無理」
「あんたねぇっ!!」
「別れろ別れろってうるさいなぁ。
こっちの恋愛事情に首突っ込んでお前は何の管理局なの?
恋愛の天使なの?
それなら憂太くんと里香ちゃんの未来を輝かせろ」
「えっ?僕!?」
「そーだそーだ。憂太さんの恋愛輝かせろ」
「しゃけしゃけ」
「オレは真希と憂太さんを推したい」
「おいパンダ。お前いい加減にしろ」
真希ちゃんとパンダがお互いにメンチ切ってる。
どうどう、よっちゃんイカやるから落ち着けって。
「話になんないっ!!」
ぷんぷん怒りながらいなくなったスーツ女。
なんだアイツ。
「あの……あーいうのよくあるんですか?」
「たまにね。
変なとこ見せたね」
「格好よかったぞ」
「しゃけ」
「あんな風に言い切れるのはオマエくらいだろうな」
「ありがと、パンダ。棘くん。真希ちゃん」
へらり、と笑えばなぜかパンダに頭を撫でられ、棘くんに撫でられ、真希ちゃんに背中を叩かれた。
「五条先生は幸せですね。
ちゃんと名前さんは五条先生の中身を好きになったんだから」
「そーかな?」
「"最強"の馬鹿じゃなく」
「ちょっと変わった悟が好きなんだもんな」
「しゃけ」
にやにやと笑う学生達に困ってしまう。
「いやーでも、本気で子種撒き散らすならどーしたものか……」
「ヤメロ」
「その場合私愛人?
やだなー。そんなAVで学生の頃盛り上がってたぞあの白髪」
「まじか」
「………こんぶ」
「ちょっと愛人は避けたいからやっぱ実家帰ろうかな」
「僕の生徒の前で卑猥な話辞めてよ」
「あだっ」
後頭部叩かれた。
スパーンッて叩かれた。
「あ、悟」
「オマエさ、学生の頃のネタを今暴露すんの辞めてくれない?
GTGの威厳が損なうから。名誉毀損で訴えるよ」
「威厳?そんなもの無いでしょ」
「「無い無い」」「しゃけ」
「ほら見ろ。今さらだ」
冷めた目を向ければ、拗ねたように人の頭に顎を乗せてぐりぐりしてくる。
地味に頭が痛いので止めてほしい。
そしてそのまま体重をかけてくる。
重たいので止めてほしい。
「僕、許嫁もいないし浮気もしないよ」
「見てたの?」
「ほぼ最初からね」
「伊地知さん虐めちゃだめだよ」
「知らね。監督不届き」
「横暴」
「じゃあ補助監督全員シメる」
「理不尽か」
のし掛かるようにしていた悟がぎゅーっと抱き締めてくる。
甘えるように首筋に顔を擦り寄せる。
「僕、名前の格好いいとこ好き」
「存分に惚れていいよ」
「もう惚れてるよ」
くすくす笑いながらおでこに唇を落とす悟。
包帯で目元は見えていないが、きっと私だけが知ってる蕩けるような甘い瞳をしているのだろう。
愛おしいと、好きだと伝えてくれるその顔が私は好きだ。
「大好きだよ、悟」
「僕も」
抱き締める力が強くなり、二人で笑っていれば冷ややかな視線。
「イチャつくなバカっぷる」
「生徒の目の前だぞ」
「おかか」
「みんな……あの、その…」
「憂太みたいに見ないフリしとこうよ」
悟が先生らしく指示をし始めたので、私は少し離れた場所でそれを見ている。
カラカラと窓が開く音がしてそちらを見れば硝子ちゃんがいた。
「相変わらず面白いな、名前」
「硝子ちゃんも見てたの?」
「五条と伊地知とな」
あらま。
伊地知さんはもう既に………。
今度いい胃薬を贈ろう。
「五条の事をあんな風に言い切れるのはオマエくらいだろうな」
「そう?」
「私達はどう頑張っても"最強"である"五条家"の五条として見てしまうからな」
「そーかな?
私は呪術界の事わかんないし、雑魚だから深入りする気ないし。
だから、変人な悟しか知らない。
だけど、硝子ちゃんも生徒らもそれを含めて悟を見てると思うけど?」
「買いかぶりすぎだ」
「………悟といえば?」
「人でなしのクズで糖尿病予備軍」
くすくす笑えば硝子ちゃんも微笑む。
「そして」
「?」
「アホな彼女を溺愛している男だな」
「アホってひどーい」
「物好き同士お似合いだぞ」
「もっと優しくして」
「調子に乗るから断る」
"最強"である前に
同じ"人"である君を愛してる。
あとがき
メンタル弱くなったけど大切なもののためなら飛び蹴りしながらメンタル回復する通行人ちゃん。
ちなみにババ抜き前はきちんと勉強教えていたけど、座学嫌いが多いので外でババ抜き。
稽古できないからババ抜き。
そこが通行人クオリティー。
そして蘇る酢昆布。
全員が最強と認める呪術師の"五条悟"より
通行人ちゃんにとっては
ちょっとおかしな性格破綻している"五条悟"のがしっくりくる。