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「チッチキチー!!
第1回、女子会……女の子パラダイス。
略して女子パラを開催しまーす」
「元気だな」
「うぜぇ」
「女子二人のテンションの差。
はいはい、わかっておるわかっておる。
これを盛り上げるのが私の仕事だ」
パッパラパー。
やぁやぁ、通行人名前さんだよ。
今日も今日とて、お仕事(本職)がお休みなのでこちら!!高専にお邪魔してます。
「オマエ、毎回毎回よく来れるな」
「悟の顔パスで余裕だよ」
「一般人なのに顔パスって……」
「ぶっちゃけ、最近一般人と名乗っていいのか疑問だよね」
怪しい組織に度々足を運ぶ一般人。
うーん……事案だね。
まぁ、これ3回目なんだけど。
「で、今日は何しに来たんだ?」
「特に用事はない」
「大馬鹿かよ」
「しいて言うなら、悟が家に忘れたという一般授業の座学の用紙をもってきた」
「私らのか」
「はい、真希ちゃん他の子に渡しておいて」
「げっ、雑用かよ」
プリントの束を真希ちゃんへ。
嫌そうな顔しながらも受け取ってくれるあたりいい子だよね。
「面倒くせ」
「悪態つきながらもちゃんと受けとる可愛い真希ちゃんにはこちらをあげよう」
「あ?」
「高野豆腐のラスク」
手作りだよ☆とウインクしたらチョップされた。
痛いよ………。
「しょっぱいのか」
「硝子ちゃんにはこちらをあげよう」
「なんだ?これ」
「五○福さんの詰め合わせセットでございます」
ぬかりはないんだぜ、硝子ちゃぁーん(ルパン風)
袋はちっさいが、味は抜群!!
「ってことで、試食」
「おい」
「いか天か」
「うむ。これなら真希ちゃんもおやつだ」
「おい、大人共」
真希ちゃんの冷たい視線がなんとも言えない。
しかしそんなの関係ぬぇー!!とばかりにもしゃもしゃいか天を食べる無表情の硝子ちゃん。
「おい、教職員」
「うまいな、これ」
「真希ちゃん、この人いつもこーなの?」
「酷いときには呑んでる」
「夜はな。流石に日中は呑まない」
「夜に患者来たときどーすんの」
「酔わないから大丈夫だ」
頷く硝子ちゃん。
私は真希ちゃんを見るが、真希ちゃんは視線を逸らしている。
「嘘だろ、おい」
「何か問題が?」
「呑むなとは言わないが……そんなことあんの?」
「だから夜に怪我したら最悪なんだよ」
「大丈夫だ。失敗しない」
グッ、と親指立ててる硝子ちゃん。
"私、失敗しないんで"のドラマが甦るが……あの人らは呑んでないからな!!
「真希ちゃん、生きて」
「勝手に殺すなアホ」
「ほら、いか天をお食べ」
「いらねーよ」
「あーん」
「オマエが酔っ払いか!!」
怒られたが口の中に放り込んだ。
きちんと吐き出さず食べてくれるあたり、可愛い。
「………うまい」
「当たりだよね、これ」
「どこに売ってる?」
「えっとねー」
硝子ちゃんはかなりお気に召したようだ。
よしよし、全国に五○福を広めようぜ!!
「ところで名前」
「ん?なに?」
「五条とはどうなんだ?」
無表情でいか天食べる保険医ってなんかあれだね。
イヤらしいね。
いや保険医な時点で厭らしい。
「硝子ちゃんのエッチ」
「よくわからないが、殴っていいか?」
「やだ。
悟と?どうって……何が?」
「上手くやってるのか」
「まぁ、やってるとは思うよ」
悟が忙しいので、会えるときにお互いいっぱいくっついてイチャイチャしている自覚はある。
喧嘩は今のところ無いが、これといってお互い不満らしき不満は無い……と思いたい。
「あの馬鹿居ない事多いのは寂しくねーのか?」
「あら、真希ちゃんも心配してくれるの?」
「………普通は一緒に居たいだろ」
「まぁ、普通じゃないよねー。
ほぼいないし、海外いきなり行くし、時差考えてるはずなのに嫌がらせのように夜中に電話きたときは悪意を覚えたが」
「上手くやってんのか?それ」
「寂しくないって言えば嘘になるよ」
悠々としながら、当たり前のように隣に居てくれる悟。
けど、悟にとってはなんて事ない案件の討伐だろうと、他の人にとっては死を連想させる任務ばかりだということ。
「普通の恋人に望むようなことを悟とは出来なくて、一緒に住んでいても一人が多いし」
「だったら」
「寂しいけど、その分ちゃんと悟は満たしてくれるから」
へらへらと笑えば真希ちゃんだけじゃなく、硝子ちゃんも眉をしかめる。
私が寂しいと我が儘言って悟を引き留める理由にはならない。
普通じゃない恋愛だとわかっているからこそ、会えるときに沢山満たしてもらう。
甘やかされれば甘やかされるほど、もっともっとと欲が出てしまう。
もっともっとと欲が出てしまうが、ふと冷静になれば危険なことばかりで、悟が居なくなった時を考えてしまう。
もしも、の可能性を考えた時に無性に悲しくなり涙を流す事もある。
だから……多少の寂しさに慣れておかないと。
私の寂しいって我が儘を押し付けるよりも悟を優先したい。
「いつかいなくなるかもしれない、が身近にあるからこそ……私よりも悟のやりたいことやらなきゃいけないことを優先したい」
「自己満足かよ」
「まぁね。
子供みたいに喚いてどーにかなることじゃないし」
「そーだけど」
「死ってさ、テレビに流れるニュースで身近なものだと思っていても……実際に近しい人が亡くならないと実感が無いでしょ?」
殺人、自殺、事故、災害、病気、寿命。
身近に溢れる"死"は沢山あるのに
タイミング次第では明日は我が身。
なのに、人々は当たり前のように気にせず生きている。
「今までは感じなかったけど
悟と付き合うようになってからは思うよ。
この幸せがいつまで続くんだろう……って」
「………」
「………」
「選んだのは私。
悟よりも弱い私のが先にポックリ逝く可能性もあるんだけどね」
「なら、何であの馬鹿を選んだんだ」
「私が駄目だったから」
「?」
「好きだなって自覚しちゃうと、他の人じゃ代わりになれない。
悟が欲しかったの」
笑えば理解出来ないとばかりに真希ちゃんはへの字口。
「いいな、って思った人と付き合っても悟と比べて。
忘れよう、と夜遊びしても虚しくなって。
挙げ句の果てに幼馴染が浮気相手だと怒鳴りながら殴ろうとした元彼を制裁したり」
「酷いな」
「拗らせてんな」
「お陰様で元彼には暴力男、束縛男、浮気男、ストーカー男……とまぁ最低のラインナップが揃いまして」
「「うわぁ………」」
「あれ?悟ってめちゃくちゃいい男だったんじゃ……?って美化が進められました」
「「うわぁ……」」
やめて。
引かないで。
歴代の彼氏でまともだったの赤葦しかいないんだから。
……あれ?そー考えたら
「………私って男を駄目にする女なのか?」
「唐突にどうした」
「最終的にダメンズが揃ったが、最初はまともだった気がして……」
「その考え方がもう駄目なんだろ。
元々その素質があったからそうなっただけだろ」
「………真希ちゃん」
「そもそもがオマエを扱い切れない時点でそこまでの男達だったんだろ」
「………硝子ちゃん」
やばい。キュンッときた。
まともな恋愛してこなかったせいで、アオハルに飢えておかしな男ホイホイとなっていた私の心に染みる。
「いきなりナンパしてきたり、酢昆布渡してきたり、ポケモン熱中したり、アップルパイ大量買いしたり………思い返せばオマエのようなアホを飼育出来るのは幼馴染か五条くらいだろ」
「いきなりのディスりやめよ?」
「ヤベェ奴じゃねーか」
「五条が手綱引いてないとどこに逃げるかわからないからな」
「猛獣?私猛獣扱い?」
「ほっといたらアマゾンの奥地で暮らせそうだもんな」
「笑いながら削るのやめてよ。美女が虐めるっ」
「そして美化されているところ悪いが、五条も大概クズで性格悪くていい男ではない」
「トドメ!!」
いか天もそもそ食べながら私の心を削るのやめて!!
しくしく泣いていたら、真希ちゃんが可哀想なものを見る目を向けてきた。
やめて!!余計に切なくなるわっ!!
「五条がいい男に見えるなら末期だ」
「だな」
「わぁー。彼氏がディスられても反抗できない」
いい男だよ。
ーーー顔は。
私にとってはいい男なんだよ?
ーーー根は性格悪いが。
希望することを叶えてくれるんだよ?
ーーーお金があるって素晴らしいヨネ。
「………」
「菩薩顔なったな」
「改めて考えていい男じゃなかったんだろ」
「まぁ、あの性格だから否定はしないが
私にとっては最高の人だよ」
にっ、と笑えば
二人はくすり、と表情を緩ませる。
「イカれたか」
「ポンコツ具合に磨きがかかったな」
「辛辣!!!」
もういいもん、といじけてイカ天を食べる。
うん、ウマイ。
「まぁ、たまには高専に来たら相手してやるよ」
「真希ちゃん……デレきたっ!!!抱いてっ」
「うぜぇ。
寂しいくせに強がって我慢するのが大人なら大変だな。私みたいなガキの相手で気が紛れるならいつでも来いよ」
にやり、と笑う真希ちゃんが男前過ぎてもう駄目だった。
真希ちゃんに抱きついて嫌がられてもヨスヨスした。
「抱いてください」
「お断りだね」
「五条がヤキモチ焼くぞ」
「いい。悟より真希ちゃんに抱かれる」
「だーめ。
僕の生徒に手出ししないでくださーい」
ひょいっ、と持ち上げられた。
ん?と見れば包帯で目隠しした怪しい不審者。
「すいません、不審者は未成年に近寄らないでください」
「シバくぞ」
「さーせんっ」
声がまじだった!!!
あと、頭を押さえつけるのよくない!!
アイアンクローは痛い!!
頭を肘おきにされて、地味にぐりぐりされて痛い……。
しかし、黙っておく。
「真希、そのプリント他の連中によろしく」
「へーへー」
「返事ははいでしょー?」
「馬鹿が来たから私は戻るぞ。
寂しがり屋の兎を構ってやれよ」
ひらひらと後ろ手に手を振りながらいなくなった真希ちゃん。
男前すぎて本当惚れちゃう。
まじでかっこいい。
「真希ちゃんが男ならガチで惚れてる」
「僕の生徒格好いいでしょ」
「かっこよすぎて何で悟の生徒なん……
あぁ、悟がこんなだからまともなのか」
「なんて事言うのかな?このお口は」
「ひゅいまへん」
口をみょーんって伸ばされた。
痛い。地味に痛い。
「五条もう終わったのか」
「んー…まだもう少しやることあるから硝子預かってて、これ」
「ひょれっへいふひゃ!!」
「あはは、何言ってるかわかんない」
楽しそうに人で遊ぶ悟。
悟の手をつかんでも離れないから、本当こいつの握力などなどどーなってんの?って思う。
「仕方ないから遊んどいてやる」
「うん。
名前もいい子だからもう少し待っててね。
あ、プリントありがと」
「子供か。どういたしまして」
「いい子いい子」
頭ポンポンしてハグしてまたどこかに居なくなった悟。
忙しいのに何しに来たんだ?と頭を傾げる。
「本当、ポンコツだな」
「なんで!?」
「何しに来たんだ?って思ってるだろ」
「そりゃーまぁ」
「寂しい思いさせてる自覚あるから、様子見に来たんだろ」
あの五条がな……と、笑う硝子ちゃん。
「飼っているのか、飼われているのかわからんな」
「何の話?」
「オマエが大切で可愛くて仕方ないんだな」
「硝子ちゃんが?」
「私もオマエを好ましく思ってるが
五条は特別名前を可愛がってるんだな、と思っただけだ」
一人でも大丈夫だと。
一人の方がいいと。
他人なんて信じられず、唯一信じた親友はいなくなった。
覚悟の無い者は助けられないと"最強"となってから他人と距離を置いていた男が選んだたった一人の宝物。
「五条もオマエのようなアホには本音をさらけ出せるのかもしれないな」
「硝子ちゃん。
私そろそろ傷付く。泣くよ?上げて落とさないで。そのおっぱいで泣くよ?」
「殴っていいなら泣け」
おっぱいか……拳か……と悩んでいれば笑われた。
美女が笑うと本当目の保養……と拝む。
拝むと頭叩かれた。解せぬ。
あとがき
うーん……納得いかないグダグダ感。
第1回、女子会……女の子パラダイス。
略して女子パラを開催しまーす」
「元気だな」
「うぜぇ」
「女子二人のテンションの差。
はいはい、わかっておるわかっておる。
これを盛り上げるのが私の仕事だ」
パッパラパー。
やぁやぁ、通行人名前さんだよ。
今日も今日とて、お仕事(本職)がお休みなのでこちら!!高専にお邪魔してます。
「オマエ、毎回毎回よく来れるな」
「悟の顔パスで余裕だよ」
「一般人なのに顔パスって……」
「ぶっちゃけ、最近一般人と名乗っていいのか疑問だよね」
怪しい組織に度々足を運ぶ一般人。
うーん……事案だね。
まぁ、これ3回目なんだけど。
「で、今日は何しに来たんだ?」
「特に用事はない」
「大馬鹿かよ」
「しいて言うなら、悟が家に忘れたという一般授業の座学の用紙をもってきた」
「私らのか」
「はい、真希ちゃん他の子に渡しておいて」
「げっ、雑用かよ」
プリントの束を真希ちゃんへ。
嫌そうな顔しながらも受け取ってくれるあたりいい子だよね。
「面倒くせ」
「悪態つきながらもちゃんと受けとる可愛い真希ちゃんにはこちらをあげよう」
「あ?」
「高野豆腐のラスク」
手作りだよ☆とウインクしたらチョップされた。
痛いよ………。
「しょっぱいのか」
「硝子ちゃんにはこちらをあげよう」
「なんだ?これ」
「五○福さんの詰め合わせセットでございます」
ぬかりはないんだぜ、硝子ちゃぁーん(ルパン風)
袋はちっさいが、味は抜群!!
「ってことで、試食」
「おい」
「いか天か」
「うむ。これなら真希ちゃんもおやつだ」
「おい、大人共」
真希ちゃんの冷たい視線がなんとも言えない。
しかしそんなの関係ぬぇー!!とばかりにもしゃもしゃいか天を食べる無表情の硝子ちゃん。
「おい、教職員」
「うまいな、これ」
「真希ちゃん、この人いつもこーなの?」
「酷いときには呑んでる」
「夜はな。流石に日中は呑まない」
「夜に患者来たときどーすんの」
「酔わないから大丈夫だ」
頷く硝子ちゃん。
私は真希ちゃんを見るが、真希ちゃんは視線を逸らしている。
「嘘だろ、おい」
「何か問題が?」
「呑むなとは言わないが……そんなことあんの?」
「だから夜に怪我したら最悪なんだよ」
「大丈夫だ。失敗しない」
グッ、と親指立ててる硝子ちゃん。
"私、失敗しないんで"のドラマが甦るが……あの人らは呑んでないからな!!
「真希ちゃん、生きて」
「勝手に殺すなアホ」
「ほら、いか天をお食べ」
「いらねーよ」
「あーん」
「オマエが酔っ払いか!!」
怒られたが口の中に放り込んだ。
きちんと吐き出さず食べてくれるあたり、可愛い。
「………うまい」
「当たりだよね、これ」
「どこに売ってる?」
「えっとねー」
硝子ちゃんはかなりお気に召したようだ。
よしよし、全国に五○福を広めようぜ!!
「ところで名前」
「ん?なに?」
「五条とはどうなんだ?」
無表情でいか天食べる保険医ってなんかあれだね。
イヤらしいね。
いや保険医な時点で厭らしい。
「硝子ちゃんのエッチ」
「よくわからないが、殴っていいか?」
「やだ。
悟と?どうって……何が?」
「上手くやってるのか」
「まぁ、やってるとは思うよ」
悟が忙しいので、会えるときにお互いいっぱいくっついてイチャイチャしている自覚はある。
喧嘩は今のところ無いが、これといってお互い不満らしき不満は無い……と思いたい。
「あの馬鹿居ない事多いのは寂しくねーのか?」
「あら、真希ちゃんも心配してくれるの?」
「………普通は一緒に居たいだろ」
「まぁ、普通じゃないよねー。
ほぼいないし、海外いきなり行くし、時差考えてるはずなのに嫌がらせのように夜中に電話きたときは悪意を覚えたが」
「上手くやってんのか?それ」
「寂しくないって言えば嘘になるよ」
悠々としながら、当たり前のように隣に居てくれる悟。
けど、悟にとってはなんて事ない案件の討伐だろうと、他の人にとっては死を連想させる任務ばかりだということ。
「普通の恋人に望むようなことを悟とは出来なくて、一緒に住んでいても一人が多いし」
「だったら」
「寂しいけど、その分ちゃんと悟は満たしてくれるから」
へらへらと笑えば真希ちゃんだけじゃなく、硝子ちゃんも眉をしかめる。
私が寂しいと我が儘言って悟を引き留める理由にはならない。
普通じゃない恋愛だとわかっているからこそ、会えるときに沢山満たしてもらう。
甘やかされれば甘やかされるほど、もっともっとと欲が出てしまう。
もっともっとと欲が出てしまうが、ふと冷静になれば危険なことばかりで、悟が居なくなった時を考えてしまう。
もしも、の可能性を考えた時に無性に悲しくなり涙を流す事もある。
だから……多少の寂しさに慣れておかないと。
私の寂しいって我が儘を押し付けるよりも悟を優先したい。
「いつかいなくなるかもしれない、が身近にあるからこそ……私よりも悟のやりたいことやらなきゃいけないことを優先したい」
「自己満足かよ」
「まぁね。
子供みたいに喚いてどーにかなることじゃないし」
「そーだけど」
「死ってさ、テレビに流れるニュースで身近なものだと思っていても……実際に近しい人が亡くならないと実感が無いでしょ?」
殺人、自殺、事故、災害、病気、寿命。
身近に溢れる"死"は沢山あるのに
タイミング次第では明日は我が身。
なのに、人々は当たり前のように気にせず生きている。
「今までは感じなかったけど
悟と付き合うようになってからは思うよ。
この幸せがいつまで続くんだろう……って」
「………」
「………」
「選んだのは私。
悟よりも弱い私のが先にポックリ逝く可能性もあるんだけどね」
「なら、何であの馬鹿を選んだんだ」
「私が駄目だったから」
「?」
「好きだなって自覚しちゃうと、他の人じゃ代わりになれない。
悟が欲しかったの」
笑えば理解出来ないとばかりに真希ちゃんはへの字口。
「いいな、って思った人と付き合っても悟と比べて。
忘れよう、と夜遊びしても虚しくなって。
挙げ句の果てに幼馴染が浮気相手だと怒鳴りながら殴ろうとした元彼を制裁したり」
「酷いな」
「拗らせてんな」
「お陰様で元彼には暴力男、束縛男、浮気男、ストーカー男……とまぁ最低のラインナップが揃いまして」
「「うわぁ………」」
「あれ?悟ってめちゃくちゃいい男だったんじゃ……?って美化が進められました」
「「うわぁ……」」
やめて。
引かないで。
歴代の彼氏でまともだったの赤葦しかいないんだから。
……あれ?そー考えたら
「………私って男を駄目にする女なのか?」
「唐突にどうした」
「最終的にダメンズが揃ったが、最初はまともだった気がして……」
「その考え方がもう駄目なんだろ。
元々その素質があったからそうなっただけだろ」
「………真希ちゃん」
「そもそもがオマエを扱い切れない時点でそこまでの男達だったんだろ」
「………硝子ちゃん」
やばい。キュンッときた。
まともな恋愛してこなかったせいで、アオハルに飢えておかしな男ホイホイとなっていた私の心に染みる。
「いきなりナンパしてきたり、酢昆布渡してきたり、ポケモン熱中したり、アップルパイ大量買いしたり………思い返せばオマエのようなアホを飼育出来るのは幼馴染か五条くらいだろ」
「いきなりのディスりやめよ?」
「ヤベェ奴じゃねーか」
「五条が手綱引いてないとどこに逃げるかわからないからな」
「猛獣?私猛獣扱い?」
「ほっといたらアマゾンの奥地で暮らせそうだもんな」
「笑いながら削るのやめてよ。美女が虐めるっ」
「そして美化されているところ悪いが、五条も大概クズで性格悪くていい男ではない」
「トドメ!!」
いか天もそもそ食べながら私の心を削るのやめて!!
しくしく泣いていたら、真希ちゃんが可哀想なものを見る目を向けてきた。
やめて!!余計に切なくなるわっ!!
「五条がいい男に見えるなら末期だ」
「だな」
「わぁー。彼氏がディスられても反抗できない」
いい男だよ。
ーーー顔は。
私にとってはいい男なんだよ?
ーーー根は性格悪いが。
希望することを叶えてくれるんだよ?
ーーーお金があるって素晴らしいヨネ。
「………」
「菩薩顔なったな」
「改めて考えていい男じゃなかったんだろ」
「まぁ、あの性格だから否定はしないが
私にとっては最高の人だよ」
にっ、と笑えば
二人はくすり、と表情を緩ませる。
「イカれたか」
「ポンコツ具合に磨きがかかったな」
「辛辣!!!」
もういいもん、といじけてイカ天を食べる。
うん、ウマイ。
「まぁ、たまには高専に来たら相手してやるよ」
「真希ちゃん……デレきたっ!!!抱いてっ」
「うぜぇ。
寂しいくせに強がって我慢するのが大人なら大変だな。私みたいなガキの相手で気が紛れるならいつでも来いよ」
にやり、と笑う真希ちゃんが男前過ぎてもう駄目だった。
真希ちゃんに抱きついて嫌がられてもヨスヨスした。
「抱いてください」
「お断りだね」
「五条がヤキモチ焼くぞ」
「いい。悟より真希ちゃんに抱かれる」
「だーめ。
僕の生徒に手出ししないでくださーい」
ひょいっ、と持ち上げられた。
ん?と見れば包帯で目隠しした怪しい不審者。
「すいません、不審者は未成年に近寄らないでください」
「シバくぞ」
「さーせんっ」
声がまじだった!!!
あと、頭を押さえつけるのよくない!!
アイアンクローは痛い!!
頭を肘おきにされて、地味にぐりぐりされて痛い……。
しかし、黙っておく。
「真希、そのプリント他の連中によろしく」
「へーへー」
「返事ははいでしょー?」
「馬鹿が来たから私は戻るぞ。
寂しがり屋の兎を構ってやれよ」
ひらひらと後ろ手に手を振りながらいなくなった真希ちゃん。
男前すぎて本当惚れちゃう。
まじでかっこいい。
「真希ちゃんが男ならガチで惚れてる」
「僕の生徒格好いいでしょ」
「かっこよすぎて何で悟の生徒なん……
あぁ、悟がこんなだからまともなのか」
「なんて事言うのかな?このお口は」
「ひゅいまへん」
口をみょーんって伸ばされた。
痛い。地味に痛い。
「五条もう終わったのか」
「んー…まだもう少しやることあるから硝子預かってて、これ」
「ひょれっへいふひゃ!!」
「あはは、何言ってるかわかんない」
楽しそうに人で遊ぶ悟。
悟の手をつかんでも離れないから、本当こいつの握力などなどどーなってんの?って思う。
「仕方ないから遊んどいてやる」
「うん。
名前もいい子だからもう少し待っててね。
あ、プリントありがと」
「子供か。どういたしまして」
「いい子いい子」
頭ポンポンしてハグしてまたどこかに居なくなった悟。
忙しいのに何しに来たんだ?と頭を傾げる。
「本当、ポンコツだな」
「なんで!?」
「何しに来たんだ?って思ってるだろ」
「そりゃーまぁ」
「寂しい思いさせてる自覚あるから、様子見に来たんだろ」
あの五条がな……と、笑う硝子ちゃん。
「飼っているのか、飼われているのかわからんな」
「何の話?」
「オマエが大切で可愛くて仕方ないんだな」
「硝子ちゃんが?」
「私もオマエを好ましく思ってるが
五条は特別名前を可愛がってるんだな、と思っただけだ」
一人でも大丈夫だと。
一人の方がいいと。
他人なんて信じられず、唯一信じた親友はいなくなった。
覚悟の無い者は助けられないと"最強"となってから他人と距離を置いていた男が選んだたった一人の宝物。
「五条もオマエのようなアホには本音をさらけ出せるのかもしれないな」
「硝子ちゃん。
私そろそろ傷付く。泣くよ?上げて落とさないで。そのおっぱいで泣くよ?」
「殴っていいなら泣け」
おっぱいか……拳か……と悩んでいれば笑われた。
美女が笑うと本当目の保養……と拝む。
拝むと頭叩かれた。解せぬ。
あとがき
うーん……納得いかないグダグダ感。