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ゆーきやこんこん
あーられーやこんこん
「降っても降っても人ゴミ増える」
いーぬは喜び庭駆け回る
「吹雪いてカップル別れろや」
「替え歌怖ぇよ」
やぁ、ちょっとスレてた通行人名前だよ。
そう、今日はクリスマスイブ!!
そして私は今日も!!彼氏が!!いない!!
「お疲れお疲れ」
「じゃあ私ら予定あるから」
「コンニャロッ!!リア充爆発しろ!!」
雪玉ぶんなげたらわりと本気で怒られた。
ごめんなさい。
この子も反省してますから……と雪だるまと共に頭を下げた。
雪だるまの頭が転がった。
すまねぇ、雪だるま。
友人らは気合いと根性で短くしたスカートのまま、彼ピッピに会いに行った。
なんであいつらに出来るのに私駄目なの?
おかしくなぁーい?と思うが、現実出来ていない負け組。
一人寂しく寒い道のりを歩く。
そしていつもの私のファーストフード店へ。
「店長……アップルパイと珈琲を」
「アップルちゃん、寂しく一人身かい?」
「私には店長とスタッフがいるもん。
寂しくないもん」
「嬉しいことを言ってくれるぜ。
おじちゃん娘にこないだパンツ一緒に洗わないでって頼まれてな…」
「娘さん五歳じゃなかったです?
今時の子マセてますね」
「おじちゃん、まだ臭ってないもん」
「店長、もんはキツイよ」
「アップルちゃんまで……ほら
これで温まりな」
店長とスタッフさんとの仲は世間話するレベルさ。
カップルの多い店内……チキショー。
まじ爆発しろ。店内爆発しろ。
一人個人席で携帯弄りながらサクサクアップルパイ食べる。うん、安定のウマさ。
珈琲で一息ついていれば、イルミネーションの話題が某ネットを賑やかす。
カップルの巣窟だろ、爆発しろと心がスレていく。
「チッ」
「ガラ悪すぎ」
「顔も凶悪だ」
「よっ」
「出たな、黒服三兄弟」
だんご三兄弟みたく言うなと言われた。
当たり前のように、横にくる三人。
「一人かい?」
「一人じゃなかったらもっと輝くわ」
「ははっ!!相変わらず彼氏いないんだ?」
「美少女、笑いながら追い討ちやめて」
「寂しい子だね」
「うるせー、前髪!!」
人の彼氏いない弄りやめろ。
今日ほど悲しいものはない。
「あ、そろそろ私行くわ」
「?美少女どっか用事?」
「か・れ・し」
じゃーねー、といなくなる美少女。
あれ?おかしいな。
「初めて美少女にイラッと芽生えた」
「ははは、私もそろそろ行くよ」
「なんだ。お前もデートかコンニャロッ」
「ご想像に任せるよ」
にこりと笑って手を振っていなくなった前髪。
チキショー。リア充め!!
残った白髪もどうせ女の子といなくなるんだろ、と思っていたのに何故か隣に座ってくる。
「白髪?」
「………そろそろその白髪ヤメロよ」
「やだ。で、あんたも予定あるんでしょ?」
「ねーよ」
「嘘だぁ。お前もリア充なんだろ?爆発しろ」
「ねーって」
「まじか。寂しい奴」
「オマエにだけは言われたくない」
友人二人はデートなのに。
憐れんだらデコピンされた。酷い。
「可哀想だからオマエと居てやろーか?」
「いえ、結構です」
「は?」
「えっ、こわっ」
まじ怖い。
私は珈琲飲んだら帰るんだ。
「イルミネーションとか興味ねーの?」
「興味はあるけど、寒いしカップル多いのに一人で行けと?」
「俺が一緒に行ってやろうか?」
「結構です」
「だから何でだよ」
むしろ、何でだよ。
何で一緒に行きたいんだよ。
寂しん坊かよ。
「あぁ、寂しん坊か」
「減らず口」
「寂しん坊に付き合ってあげよーか?
同級生はデートだもんなー。
寮帰ってもぼっちだもんな」
「そっくりそのままオマエに返すわ」
「ぐぅの根もでねぇ」
くすり、と笑えば白髪も笑う。
二人でイルミネーションの場所と時間確認してだらだらくだらないことを話す。
「最近学校でやらかしたこと?
おい、やらかしたこと前提かよ」
「オマエのことだからやらかしてるだろ」
「まぁね。
ペットボトルでいかだ作ったり」
「は?」
「ほら、これ」
「うわっ、暇人かよ」
画像を見せると立派なペットボトルのいかだ。
に、乗るガンダム。
「このガンダムも段ボールで作った」
「リアリティーやばい」
「教室にいるよ」
担任はガンダムファンで、残すことを許してくれた。
私の馬鹿画像を見ながら笑って盛り上がっていたら、あっという間に真っ暗に。
そろそろ行くか、と外に出たのだが寒すぎて震えた。
「「寒い」」
とにかく寒い。
ふと、視界に入ったコンビニの中華まん。
白髪の上着を引っ張ってコンビニを指差す。
「中華まん食べたい」
「さっきアップルパイ食べたろ」
「寒いから餡まん食べたくなった」
「………俺も食べたい」
わかる。
温かいの見てたら食べたくなるよね?
白髪が餡まん奢ってくれた。
二人で餡まん食べながらイルミネーションのところへ。
「わー、綺麗」
「餡まん食べながら雑な感想だな」
カップルが湧いていて、写真を撮ろうにも上手くいかない。
何度も撮り直していたら、白髪が綺麗に撮ってくれた。
「一緒に撮るか?」
「結構です」
「遠慮すんな」
顔を近付け、イルミネーションまで入れて自撮りする白髪。
え、なんなのその自撮りの上手さ。
自撮りマスターなの?
ノリノリでキメ顔するから
私もノリノリでキメ顔しながら何枚か撮った。
後から二人で見たら、二人とも口元にあんこつけたままキメ顔してて笑った。
帰りの駅はクリスマスのせいか混雑していた。
電車に乗ってもぎゅーぎゅーで、久しぶりに満員電車に乗るハメに。
「こっち」
「うん?」
白髪が私を出入り口の横に。
白髪が目の前にいてスペース作ってくれるから、圧迫感があまりない。
痴漢もされず、圧迫感もなく降りる駅まで守られてる感になんだか照れた。
降りる駅について降りれば、冷たい風に身を縮ませる。
「さむっ」
「鼻垂らすなよ」
「垂らさないわ」
上着を上に引き上げて鼻を隠そうとしても無理だった。
首も、鼻も、耳も寒くて痛い。
「ほら」
「うぐっ!!」
首に食い込むように巻かれたマフラー。
白髪がしていたものだ。
白髪の男物の香水らしき匂いと共にじんわりと暖かさが冷たい肌を温めてくれてほっとする。
「白髪、寒くないの?」
「お前と違って脂肪無いから寒い」
「どーゆーことだゴラァ」
「ほら、鼻垂らす前に帰るぞ」
手を引かれて歩き出す。
寒い寒いと言いながら、私と繋いだ手を自分の上着のポケットに入れてる。
白髪の体温で左手があったかい。
漫画で見るようなシチュエーションに、なんだかムズムズして、照れてしまう。
「なに?」
「べっ、べつにぃ!!」
「顔赤いぞ」
「鼻垂らすくらい寒いからだよ!!」
「鼻水つけんなよ」
ない。
やっぱこいつムカつく。
一瞬でもアオハルっぽいとか思った私が馬鹿だった。
家についた。
が、お互い立ち止まってしまう。
「今日はありがと。楽しかった」
「素直じゃん」
「餡まん奢ってもらったから」
「単純か」
「マフラー返す。ありがと」
「やる」
「は?いや、返すわ」
「彼氏のいないぼっちに
優しい俺からのクリスマスプレゼント」
「喧嘩なら買うぞゴラァ」
クツクツと笑う白髪の足元を蹴る。
しかし、避けられた。
繋いでる手をちねると、痛いと笑われた。
「お返し…ない」
「いらねーし」
「飴とガムしかないわ」
「ぶふっ!!なんで黒飴と鼈甲飴なんだよ」
おばーちゃんか!!と噴き出す白髪。
おまっ、黒飴うまいだろ!!
中の黒糖がウマイんだからな!!
鼈甲飴だってうまいだろ!!
なかなか無いんだからな!!
「飴貰ってやる」
「いらないなら返せ」
「やだね。
俺のマフラーやったんだから、ちゃんと毎日つけろよ」
「使ってやる。光栄に思え」
「何様だよ、ばーか」
頭をぐしゃぐしゃにされる。
マフラー……お返しどーしよ、と考えるが
今すぐ渡せるのはまじで飴とガムしかない。
とりあえず飴をわさっと、渡せば笑われた。
「何かお返し考えとく」
「いーよ、マフラーぐらい」
「アップルパイ30個買えばいい?」
「お前アップルパイ最強だと思ってね?」
最強だろ。
うちの子のオススメだぞ。
「どーしてもって言うなら」
「?」
「名前」
「名前?」
「白髪じゃなく、名前で呼べよ」
名前。名前ねぇ……
「何て言ったっけ?」
「あ"?」
「まっ!!まてまてまて!!思い出す!!思い出すから!!」
「まじのやつかよ」
わりと本気で聞いたら、頭を掴まれた。
ゴリラパワーなんだから私割れちゃう。
思いだせー。思いだせー。
「さーん」
「ちょっ、待てよ!!」
「キムタクか。にー」
「出てきてる!!そこまできてんだ!!」
「いーち」
降臨せよ!!前髪の神!!
「さとる」
「………っ」
「さとる、だよね?」
電話でするホラーのおまじないの子と一緒の名前だもんな。
あースッキリした。
頭の手は動かない。
これ、正解だろ?とドヤ顔したら
頭を叩かれた。
「帰る」
「気を付けて」
「おう。またな名前」
スタスタと暗闇に消えた白髪。
なんだ……なんか、照れるぞ。
私も家に入ろうとしたら
隣の家を見てぎょっとした。
トサカと可愛い幼馴染が
顔だけ出してこちらを見ている。
「………な、なに?こわっ」
「付き合っているんデスカ?」
「誰が?」
「今の人と」
「ないわー。ないない。
彼氏いたらもっと毎日輝いてるわ」
じとっとした目を向けてくる二人。
まじ怖いからやめて。
「同級生二人がデートでぼっちの寂しん坊だったから付き合ってたんだよ」
「どっか行ってたのか」
「イルミネーション見に」
「「は?」」
「餡まん食べながらイルミネーション見て写真撮って帰ってきた」
「それを人はデートと呼ぶのデハ?」
「まさか。デートはもっとウキウキになるだろ」
「デートのハードル高くない?」
寒いから中入れて、と入る。
はぁ、と二人からため息が聞こえた。
「お前のそーゆーとこが男突き放すんだよ」
「残念」
「何なの?酷くない?」
「まぁ、そーゆーとこが可愛いんだけどネ」
「馬鹿な子ほど可愛いよね」
「誉められてる?いや、貶されてるよね?」
生暖かい眼差しで慰められた。
意味わからないけど、幼馴染と家族でクリパして盛り上がった。
ツイスターゲームして、トサカが軟体でキモかった。
あとがき
皆さん薄々気付かれているだろうが
この子、鈍感です。
好意を蹴り飛ばしてシュートして踏みつけて跳び跳ねちゃうから、男の心が折れます。
今回ちょっとアオハルっぽく書けたかなー?
しかしこちら
お馬鹿な高校生の日常を書いた
ギャグなので。
お忘れずに(笑)
あーられーやこんこん
「降っても降っても人ゴミ増える」
いーぬは喜び庭駆け回る
「吹雪いてカップル別れろや」
「替え歌怖ぇよ」
やぁ、ちょっとスレてた通行人名前だよ。
そう、今日はクリスマスイブ!!
そして私は今日も!!彼氏が!!いない!!
「お疲れお疲れ」
「じゃあ私ら予定あるから」
「コンニャロッ!!リア充爆発しろ!!」
雪玉ぶんなげたらわりと本気で怒られた。
ごめんなさい。
この子も反省してますから……と雪だるまと共に頭を下げた。
雪だるまの頭が転がった。
すまねぇ、雪だるま。
友人らは気合いと根性で短くしたスカートのまま、彼ピッピに会いに行った。
なんであいつらに出来るのに私駄目なの?
おかしくなぁーい?と思うが、現実出来ていない負け組。
一人寂しく寒い道のりを歩く。
そしていつもの私のファーストフード店へ。
「店長……アップルパイと珈琲を」
「アップルちゃん、寂しく一人身かい?」
「私には店長とスタッフがいるもん。
寂しくないもん」
「嬉しいことを言ってくれるぜ。
おじちゃん娘にこないだパンツ一緒に洗わないでって頼まれてな…」
「娘さん五歳じゃなかったです?
今時の子マセてますね」
「おじちゃん、まだ臭ってないもん」
「店長、もんはキツイよ」
「アップルちゃんまで……ほら
これで温まりな」
店長とスタッフさんとの仲は世間話するレベルさ。
カップルの多い店内……チキショー。
まじ爆発しろ。店内爆発しろ。
一人個人席で携帯弄りながらサクサクアップルパイ食べる。うん、安定のウマさ。
珈琲で一息ついていれば、イルミネーションの話題が某ネットを賑やかす。
カップルの巣窟だろ、爆発しろと心がスレていく。
「チッ」
「ガラ悪すぎ」
「顔も凶悪だ」
「よっ」
「出たな、黒服三兄弟」
だんご三兄弟みたく言うなと言われた。
当たり前のように、横にくる三人。
「一人かい?」
「一人じゃなかったらもっと輝くわ」
「ははっ!!相変わらず彼氏いないんだ?」
「美少女、笑いながら追い討ちやめて」
「寂しい子だね」
「うるせー、前髪!!」
人の彼氏いない弄りやめろ。
今日ほど悲しいものはない。
「あ、そろそろ私行くわ」
「?美少女どっか用事?」
「か・れ・し」
じゃーねー、といなくなる美少女。
あれ?おかしいな。
「初めて美少女にイラッと芽生えた」
「ははは、私もそろそろ行くよ」
「なんだ。お前もデートかコンニャロッ」
「ご想像に任せるよ」
にこりと笑って手を振っていなくなった前髪。
チキショー。リア充め!!
残った白髪もどうせ女の子といなくなるんだろ、と思っていたのに何故か隣に座ってくる。
「白髪?」
「………そろそろその白髪ヤメロよ」
「やだ。で、あんたも予定あるんでしょ?」
「ねーよ」
「嘘だぁ。お前もリア充なんだろ?爆発しろ」
「ねーって」
「まじか。寂しい奴」
「オマエにだけは言われたくない」
友人二人はデートなのに。
憐れんだらデコピンされた。酷い。
「可哀想だからオマエと居てやろーか?」
「いえ、結構です」
「は?」
「えっ、こわっ」
まじ怖い。
私は珈琲飲んだら帰るんだ。
「イルミネーションとか興味ねーの?」
「興味はあるけど、寒いしカップル多いのに一人で行けと?」
「俺が一緒に行ってやろうか?」
「結構です」
「だから何でだよ」
むしろ、何でだよ。
何で一緒に行きたいんだよ。
寂しん坊かよ。
「あぁ、寂しん坊か」
「減らず口」
「寂しん坊に付き合ってあげよーか?
同級生はデートだもんなー。
寮帰ってもぼっちだもんな」
「そっくりそのままオマエに返すわ」
「ぐぅの根もでねぇ」
くすり、と笑えば白髪も笑う。
二人でイルミネーションの場所と時間確認してだらだらくだらないことを話す。
「最近学校でやらかしたこと?
おい、やらかしたこと前提かよ」
「オマエのことだからやらかしてるだろ」
「まぁね。
ペットボトルでいかだ作ったり」
「は?」
「ほら、これ」
「うわっ、暇人かよ」
画像を見せると立派なペットボトルのいかだ。
に、乗るガンダム。
「このガンダムも段ボールで作った」
「リアリティーやばい」
「教室にいるよ」
担任はガンダムファンで、残すことを許してくれた。
私の馬鹿画像を見ながら笑って盛り上がっていたら、あっという間に真っ暗に。
そろそろ行くか、と外に出たのだが寒すぎて震えた。
「「寒い」」
とにかく寒い。
ふと、視界に入ったコンビニの中華まん。
白髪の上着を引っ張ってコンビニを指差す。
「中華まん食べたい」
「さっきアップルパイ食べたろ」
「寒いから餡まん食べたくなった」
「………俺も食べたい」
わかる。
温かいの見てたら食べたくなるよね?
白髪が餡まん奢ってくれた。
二人で餡まん食べながらイルミネーションのところへ。
「わー、綺麗」
「餡まん食べながら雑な感想だな」
カップルが湧いていて、写真を撮ろうにも上手くいかない。
何度も撮り直していたら、白髪が綺麗に撮ってくれた。
「一緒に撮るか?」
「結構です」
「遠慮すんな」
顔を近付け、イルミネーションまで入れて自撮りする白髪。
え、なんなのその自撮りの上手さ。
自撮りマスターなの?
ノリノリでキメ顔するから
私もノリノリでキメ顔しながら何枚か撮った。
後から二人で見たら、二人とも口元にあんこつけたままキメ顔してて笑った。
帰りの駅はクリスマスのせいか混雑していた。
電車に乗ってもぎゅーぎゅーで、久しぶりに満員電車に乗るハメに。
「こっち」
「うん?」
白髪が私を出入り口の横に。
白髪が目の前にいてスペース作ってくれるから、圧迫感があまりない。
痴漢もされず、圧迫感もなく降りる駅まで守られてる感になんだか照れた。
降りる駅について降りれば、冷たい風に身を縮ませる。
「さむっ」
「鼻垂らすなよ」
「垂らさないわ」
上着を上に引き上げて鼻を隠そうとしても無理だった。
首も、鼻も、耳も寒くて痛い。
「ほら」
「うぐっ!!」
首に食い込むように巻かれたマフラー。
白髪がしていたものだ。
白髪の男物の香水らしき匂いと共にじんわりと暖かさが冷たい肌を温めてくれてほっとする。
「白髪、寒くないの?」
「お前と違って脂肪無いから寒い」
「どーゆーことだゴラァ」
「ほら、鼻垂らす前に帰るぞ」
手を引かれて歩き出す。
寒い寒いと言いながら、私と繋いだ手を自分の上着のポケットに入れてる。
白髪の体温で左手があったかい。
漫画で見るようなシチュエーションに、なんだかムズムズして、照れてしまう。
「なに?」
「べっ、べつにぃ!!」
「顔赤いぞ」
「鼻垂らすくらい寒いからだよ!!」
「鼻水つけんなよ」
ない。
やっぱこいつムカつく。
一瞬でもアオハルっぽいとか思った私が馬鹿だった。
家についた。
が、お互い立ち止まってしまう。
「今日はありがと。楽しかった」
「素直じゃん」
「餡まん奢ってもらったから」
「単純か」
「マフラー返す。ありがと」
「やる」
「は?いや、返すわ」
「彼氏のいないぼっちに
優しい俺からのクリスマスプレゼント」
「喧嘩なら買うぞゴラァ」
クツクツと笑う白髪の足元を蹴る。
しかし、避けられた。
繋いでる手をちねると、痛いと笑われた。
「お返し…ない」
「いらねーし」
「飴とガムしかないわ」
「ぶふっ!!なんで黒飴と鼈甲飴なんだよ」
おばーちゃんか!!と噴き出す白髪。
おまっ、黒飴うまいだろ!!
中の黒糖がウマイんだからな!!
鼈甲飴だってうまいだろ!!
なかなか無いんだからな!!
「飴貰ってやる」
「いらないなら返せ」
「やだね。
俺のマフラーやったんだから、ちゃんと毎日つけろよ」
「使ってやる。光栄に思え」
「何様だよ、ばーか」
頭をぐしゃぐしゃにされる。
マフラー……お返しどーしよ、と考えるが
今すぐ渡せるのはまじで飴とガムしかない。
とりあえず飴をわさっと、渡せば笑われた。
「何かお返し考えとく」
「いーよ、マフラーぐらい」
「アップルパイ30個買えばいい?」
「お前アップルパイ最強だと思ってね?」
最強だろ。
うちの子のオススメだぞ。
「どーしてもって言うなら」
「?」
「名前」
「名前?」
「白髪じゃなく、名前で呼べよ」
名前。名前ねぇ……
「何て言ったっけ?」
「あ"?」
「まっ!!まてまてまて!!思い出す!!思い出すから!!」
「まじのやつかよ」
わりと本気で聞いたら、頭を掴まれた。
ゴリラパワーなんだから私割れちゃう。
思いだせー。思いだせー。
「さーん」
「ちょっ、待てよ!!」
「キムタクか。にー」
「出てきてる!!そこまできてんだ!!」
「いーち」
降臨せよ!!前髪の神!!
「さとる」
「………っ」
「さとる、だよね?」
電話でするホラーのおまじないの子と一緒の名前だもんな。
あースッキリした。
頭の手は動かない。
これ、正解だろ?とドヤ顔したら
頭を叩かれた。
「帰る」
「気を付けて」
「おう。またな名前」
スタスタと暗闇に消えた白髪。
なんだ……なんか、照れるぞ。
私も家に入ろうとしたら
隣の家を見てぎょっとした。
トサカと可愛い幼馴染が
顔だけ出してこちらを見ている。
「………な、なに?こわっ」
「付き合っているんデスカ?」
「誰が?」
「今の人と」
「ないわー。ないない。
彼氏いたらもっと毎日輝いてるわ」
じとっとした目を向けてくる二人。
まじ怖いからやめて。
「同級生二人がデートでぼっちの寂しん坊だったから付き合ってたんだよ」
「どっか行ってたのか」
「イルミネーション見に」
「「は?」」
「餡まん食べながらイルミネーション見て写真撮って帰ってきた」
「それを人はデートと呼ぶのデハ?」
「まさか。デートはもっとウキウキになるだろ」
「デートのハードル高くない?」
寒いから中入れて、と入る。
はぁ、と二人からため息が聞こえた。
「お前のそーゆーとこが男突き放すんだよ」
「残念」
「何なの?酷くない?」
「まぁ、そーゆーとこが可愛いんだけどネ」
「馬鹿な子ほど可愛いよね」
「誉められてる?いや、貶されてるよね?」
生暖かい眼差しで慰められた。
意味わからないけど、幼馴染と家族でクリパして盛り上がった。
ツイスターゲームして、トサカが軟体でキモかった。
あとがき
皆さん薄々気付かれているだろうが
この子、鈍感です。
好意を蹴り飛ばしてシュートして踏みつけて跳び跳ねちゃうから、男の心が折れます。
今回ちょっとアオハルっぽく書けたかなー?
しかしこちら
お馬鹿な高校生の日常を書いた
ギャグなので。
お忘れずに(笑)