通行人A
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ちょりーっす☆
みんな、元気に夏を感じてるかい?
イェイイェイ。
通行人名前が行くぅー、はじめてのぉおつかい☆
涙あり、感動あり、達成感ありの
はじめてのぉおつかいだよ☆
「たのもーーーー!!!」
可愛らしいオフショルダーのキャミワンピース。デコルテ周りはすっきりしたちょっぴり甘めなコーディネートで、麦わら帽子にカゴバッグという夏全開のアイテムで、涼しげで清潔感ある印象………なのに、なのにスッパーン!!と体育館のドアを開けて大声で叫ぶ女。
ソレは誰だぁい?
私だよ!!!
「悪ィな」
「受け取れゴラァ!!」
スパーンッと、今日も素晴らしいトサカ具合な幼馴染の顔面にサポーターを叩き付ける。
見事に顔面に叩き付けられて、ちょっと満足した。
もう一人の幼馴染は引いていた。
そして、体育館の皆が引いていた。
ドン引きされても私の怒りはおさまらない。
しかし、顔面に綺麗に叩き付けれたので、満足した。
後悔はしていない。
夏休みだひゃっふー!!と、クーラーの効いた部屋でゴロゴロしていたのに……悪魔の電話。
忘れ物したから届けに来てくれ……と、同じ東京の某猛禽類の学校に来た。
灼熱の暑さに脳ミソがわっしょいしている。
飲み物を飲んだ瞬間から汗が吹き出る。
そして飲み物も生ぬるくなる。
身体にはいいかもしれないが、飲み込む時の不愉快な気分がまた腹が立つ。
「熱中症気を付けな!!
あと、いい年して忘れ物すんじゃない!!」
「………スミマセン」
「きちんと水分取れよ!!私は帰る!!」
「おー、気を付けな。ありがとさん」
「お騒がせしました」
ペコリと頭を下げて、猛禽類の巣から帰る。
折角お洒落して外出たから、どっか寄ろう……とルンルンしながら歩きだす。
「………エッ、あの子ナニ!?」
「うちのアホの子」
「あー、よく話してるアホの子?あの子が?
ってか、お前顔大丈夫?
見ていた俺の顔が痛くなってきた……」
「可愛らしいのに凄いギャップですね」
「………可愛い?アレが?」
「そんな顔すんなって。
うちの子見た目は可愛いのにその他諸々が残念過ぎて見た目を駄目にしてんダヨネ」
「名前が可愛いのは寝顔だけだよ」
「話したらあぁだからな」
幼馴染二人は遠い目をする。
猛禽類二人は興味を持つ。
そんな話が交わされているとは知らず、本人は通行中にした盛大なくしゃみを誤魔化そうとしていた。
店内で今時の可愛い服を選んだり
ネイル、化粧品、小物、靴など
次のお小遣いの使い道を考えながら
楽しく買い物をしていた。
友達とアレコレ見ながら騒ぐのも好きだが、一人で見て回るのも好きでちょくちょく帰宅部の活動を行っている。
しかし、今は夏休み。
制服も今の三年間しか着れない貴重な時期だが、可愛い服を着て、可愛いく化粧をした姿で出歩くのも好きだ。
彼氏のいない私は可愛いく着飾った姿を見せる人がいない。
なので、誰の目に止まらなくてもダッサイ格好で出歩くよりは……少しでも自分の可愛いと思った服を着て、可愛いく綺麗になった自分で出歩きたいじゃないか………。
例え、誰も、見て、なくても………!!!!!
やべ、泣きそう…。
忘れ物届けるのに、友人らを誘ったがみんなデートだったからその腹いせとかじゃないよ?
八つ当たりで幼馴染の顔面にサポーター投げつけたわけじゃない。
………チガウカラ!!グスッ。
寂しくも切ない気持ちになりながら、涙を拭っておつかいが出来ても、帰るまでがおつかいだ。
そう………帰るまでが。
「どうしてこうなった!!!!」
ガーッテム!!!と、頭を抱えたくなった。
だって……あ、そーいやここらへんの路地通った先に隠れ家的な喫茶店あったよなー。行ってみたかったんだよー、と路地入ったら異世界ってどーゆー事?
なに?ジブリなの?
猫男爵に会えるならまだしも、私がいるのは天空の城の中みたいだぞ。
なんだよ、オイ。飛行石探せばいいの?
意味わかんない場所とか辞めてほしい。
感覚的には中学校ぶりの、七不思議で閉じ込められたような感じだが……外で閉じ込められたのは初めてだ。
さーて、どうしたらいいのか……
入って来た出口すらないので引き返せない。
迷子の鉄則としては、動かないのが一番なのだが………
"カタ……カタヅケマ、ス"
「バルスッ!!!」
化物に見つかって秘奥義:スルーが出来ないのなら、もはや迷子の鉄則なんてゴミ箱に蹴り飛ばすよね。
全力で逃げた。
スカートに厚底のサンダル。
可愛いとか形振りかまわず、サンダル脱ぎ捨てて走ったわ。
パズーもビックリなくらい、シタタタタって。
今なら私、風になれる………そう、王蟲よ
「しずまれぇぇええええ!!!
神々の王蟲よぉぉおおおお!!
鎮まりたまえぇぇえええええ!!!!」
天空を羽ばたきビームする兵器が出てきそうなのに、なぜか谷に出てきそうな蟲達がわっさわさ出てきてる。
まじヤメテ。
私飛行石探すよりも、グライダー探さなきゃいけなくなるじゃん!!
蟲笛もなけりゃ、メーヴェも無いんだ!!
「唸れ!!私の足よ!!
風と共に生き、風となりて逃げる!!」
うぉぉおおおお!!と、逃げた。
ジブリは好きだが、お呼びじゃない。
本物は感動するが、偽物は命の危機しかない。
秘奥義すら効かないここから出るには、何らかの条件を満たさなきゃいけないはずだが、学校と違ってよくわからない。
「何探せばいいの!?
飛行石なの?青き衣の人なの!?
どっちだよ!!!
せめて世界観統一しろよ!!!」
なんとか逃げ切れているが、あちこちから出てくるので、フィギュアスケートの方々もビックリな程必死にキレッキレのターンで交わしながら逃げる。
「せめて……せめて!!相棒がいれば…!!!」
懐かしき、中学の相棒。
クギバットさん。
しかし、彼は封印されて私の部屋の片隅に埃を被っていらっしゃる。
ごめん……今度手入れするから!!だから今だけは召還されてくれないかな!!?
相棒がいれば、私は無敵になれるのに!!
その願いが通じたのか
飛行石ではないが、輝くモノを見つけた。
「天は我の味方為りぃぃいいいい!!!」
雑に置いてあったお札の貼られた茶色の錆びがご愛敬のそれ。
願ったら出てきたラッキーアイテム。
「お前が私の次なる相棒だ!!!
君を信じる……我に力を与えよ!!!
エクスカリバァァアアアアア!!!!!」
「ここ?」
「普通の路地だね」
「ここから先は未知の領域となっておりますので、お気をつけて」
とある路地を立ち入り禁止に封鎖して、その場に立っているのは高専から派遣された五条、夏油、硝子、補助監督。
行方不明が立て続けに増えていて、窓がこの路地を通った人が消えるところを見た事から早急な対応が行われた。
帳を降ろし、何の変哲も無い路地に一歩踏み入れるとそこはあべこべの異世界。
「……領域、か?」
「雑魚がいっぱい集まってきたぜ」
「うへぇ……虫ばっか」
「傑、こいつらいる?」
「まずは行方不明者の捜索かな」
取り込むのは後だ、と気を引き締める三人。
あっという間に雑魚は一掃され、あべこべの世界を歩き出す。
「生きてる奴いんの?」
「領域内だから気を抜くなよ」
「どうせ雑魚だろ」
「領域を作り出せるくらいのレベルだぞ」
「うりゃっ!!うっわ!!おまっ……ふざけんなよ!!
これ……白……いや、もう諦めるさ。
けどこれ…血?体液?
青い衣ならテンション暴上げで成りきったけど6割赤い衣って中途半端だな……
金色の野に降り立てねーよ。中途半端で。
失われし大地との絆も結べないわ……むしろ決別だわ。
森の王と共に生きたいが、呪いの蟲とは共に生きられんわ」
「「「何してんのオマエ」」」
「………うわっ!!」
ビックリしたぁーと、間抜け面でいる彼女。
気を引き締めたはずなのに、一気に脱力した。
「え……オマエマジ何やってんの?」
「はじめてのぉおつかいした帰りに寄り道したら、飛行石ありそうな蟲の世界に閉じ込められた」
「ソレ何持ってるんだい……?バール?
いや、呪力ある……え?何それ?」
「知らん。
蟲達から逃げてたらエクスカリパー之助と出会って、私達は共に友情を深めあいながらこの地獄を生き抜いたパートナーさ」
「ねぇ、かっこよく言ってるけどアンタ殺人鬼にしか見えねーよ。
血塗れでバール持ったヤベェ奴だよ」
「私の宝剣だよ」
唸れ!!エクスカリバー之助!!と
飛び掛かってきた蟲を蹴散らす。
ただのバールフルスイングなり。
蟲ほ見事に飛び散った。
「よしっ!!」
「「「よしっ、じゃないわ」」」
「君らこそ何でいんの?むしろ、ここ何?」
「え……まさかと思うけど、オマエも行方不明者の一人?」
「行方不明者?」
「キミ、路地通ったかい?」
「うん。路地の奥にお洒落なカフェあったはずだから……って通ったらここにいた」
「ちなみに他の人は?見かけたかい?」
「いや。蟲以外見てないわ」
どおりでここ数日連絡着かないはずだ、と五条が溢せば何の事かと頭を傾げる。
「オマエいつ路地通った?」
「○月✕日」
「………2日前だよ」
「嘘だろ!?私まだここにいて、一時間くらいなんだけど!?」
「ズレてんだね」
「不味いな。早く根本を叩かないと」
「根本?なに?王蟲?」
「いい加減ジブリから離れろ、白滝女」
「いや、だって私とエクスカリバー之助でも
流石にアレは倒せないから逃げてきたんだもん」
アレ、と指さす先………。
天井にわしゃわしゃと何十匹もいる大きな王蟲みたいな呪霊。
赤い目じゃなく、人間の目なのがより気持ち悪い。
「「「キッッッモ!!!!」」」
「だろ?」
なんやかんやあり(雑)
白髪と前髪が原因である呪霊を祓った。
行方不明者は王蟲により、蚕となっていたがひとまず数人は無事に助け出せた。
血塗れ……いや、体液で濡れて真っ赤に染まり、バール片手にピンピンしている私に、三人は飽きれている。
「オマエ………それで帰んの?」
「うわぁ……着歴ヤバい。どーしよ」
「見た目からしてヤバいよ」
「お母さんにぶっとばされる」
「キミ、それよりも見た目と物騒なモノの言い訳どうするんだい?」
「コスプレで押し通す」
「馬鹿か」
「馬鹿だな」
「馬鹿だね」
「中学の時も釘バット持って歩いてたから平気」
「どこの世界にそれで平気だと通じる世界があんだよ」
「日本のハロウィン」
「通じ……うん、通じるかもしれないが、今は夏休みだからね?ハロウィンではないよ」
「あ、やべ。お母様から電話が………」
出たらめちゃくちゃ泣かれた。
どう言い訳しようか悩んでいたら、黒スーツの人がそっと電話代わってくれて質の悪い人に会って監禁されていたところを保護したと出鱈目言っていた。
「まずはその格好どうにかしましょう」
「とりあえず靴くれ。砂利が痛い」
「靴どこ置いてきたんだよ」
「ぶん投げたからわからん。私の厚底……」
「ひとまず抱こうか?足切れてしまうからね」
「わお、前髪紳士」
「それでどーするの?今後」
「ん?着替えて帰るんじゃないの?」
「一応呪具?で呪霊と戦えてんのに
見えてません、は厳しいと思うぞ」
美少女の言葉に私は色々上がっていたテンションが一気に下がる。
「ハッ!!」
「馬鹿かよ」
「馬鹿だね」
「馬鹿だな」
「………バルスッ!!って言ったら皆忘れないかな?」
「「「無理あるだろ」」」
なんやかんや(雑)でお家に帰った。
両親に泣かれた。
幼馴染に泣かれた。
寄り道すんなと怒られた。
はじめてのぉおつかいの教訓
寄り道、駄目。
「………ねぇ、その物騒なバールなに?」
「私の風の民としてのパートナーだよ」
「意味わかんねーよ。ただの鈍器だろ」
「違うよ。エクスカリバー之助だよ」
「摩訶不思議な事に巻き込まれて無事なのはいいけど……せめて人として生きてね」
「侵害!!私、人!!いつだって人!!
山犬の姫には憧れるけど、私、人!!!」
「………山犬の姫より逞しいだろ、お前」
幼馴染に可哀想なモノを見る目を向けられた。
私の命を救う確率が上がる相棒に続き、宝剣を手にしたというのに、理解されなかった。
あとがき
ジブリいいよね。
もののけ姫が好きです( ・`д・´)キリッ
ちなみに今さらですが、通行人は一年です。
五条らも一年です。
幼馴染もまだ髪の毛真っ黒です。
幼馴染のトサカは2年です。
なので合宿地も適当です。
だいぶ雑に書いてますが
楽しかったのでまぁいいか、と……
決して面倒だったとかじゃない。
色々ぶっ飛んでるが、それでも彼女は通行人Aだとモブキャラを主張します。
みんな、元気に夏を感じてるかい?
イェイイェイ。
通行人名前が行くぅー、はじめてのぉおつかい☆
涙あり、感動あり、達成感ありの
はじめてのぉおつかいだよ☆
「たのもーーーー!!!」
可愛らしいオフショルダーのキャミワンピース。デコルテ周りはすっきりしたちょっぴり甘めなコーディネートで、麦わら帽子にカゴバッグという夏全開のアイテムで、涼しげで清潔感ある印象………なのに、なのにスッパーン!!と体育館のドアを開けて大声で叫ぶ女。
ソレは誰だぁい?
私だよ!!!
「悪ィな」
「受け取れゴラァ!!」
スパーンッと、今日も素晴らしいトサカ具合な幼馴染の顔面にサポーターを叩き付ける。
見事に顔面に叩き付けられて、ちょっと満足した。
もう一人の幼馴染は引いていた。
そして、体育館の皆が引いていた。
ドン引きされても私の怒りはおさまらない。
しかし、顔面に綺麗に叩き付けれたので、満足した。
後悔はしていない。
夏休みだひゃっふー!!と、クーラーの効いた部屋でゴロゴロしていたのに……悪魔の電話。
忘れ物したから届けに来てくれ……と、同じ東京の某猛禽類の学校に来た。
灼熱の暑さに脳ミソがわっしょいしている。
飲み物を飲んだ瞬間から汗が吹き出る。
そして飲み物も生ぬるくなる。
身体にはいいかもしれないが、飲み込む時の不愉快な気分がまた腹が立つ。
「熱中症気を付けな!!
あと、いい年して忘れ物すんじゃない!!」
「………スミマセン」
「きちんと水分取れよ!!私は帰る!!」
「おー、気を付けな。ありがとさん」
「お騒がせしました」
ペコリと頭を下げて、猛禽類の巣から帰る。
折角お洒落して外出たから、どっか寄ろう……とルンルンしながら歩きだす。
「………エッ、あの子ナニ!?」
「うちのアホの子」
「あー、よく話してるアホの子?あの子が?
ってか、お前顔大丈夫?
見ていた俺の顔が痛くなってきた……」
「可愛らしいのに凄いギャップですね」
「………可愛い?アレが?」
「そんな顔すんなって。
うちの子見た目は可愛いのにその他諸々が残念過ぎて見た目を駄目にしてんダヨネ」
「名前が可愛いのは寝顔だけだよ」
「話したらあぁだからな」
幼馴染二人は遠い目をする。
猛禽類二人は興味を持つ。
そんな話が交わされているとは知らず、本人は通行中にした盛大なくしゃみを誤魔化そうとしていた。
店内で今時の可愛い服を選んだり
ネイル、化粧品、小物、靴など
次のお小遣いの使い道を考えながら
楽しく買い物をしていた。
友達とアレコレ見ながら騒ぐのも好きだが、一人で見て回るのも好きでちょくちょく帰宅部の活動を行っている。
しかし、今は夏休み。
制服も今の三年間しか着れない貴重な時期だが、可愛い服を着て、可愛いく化粧をした姿で出歩くのも好きだ。
彼氏のいない私は可愛いく着飾った姿を見せる人がいない。
なので、誰の目に止まらなくてもダッサイ格好で出歩くよりは……少しでも自分の可愛いと思った服を着て、可愛いく綺麗になった自分で出歩きたいじゃないか………。
例え、誰も、見て、なくても………!!!!!
やべ、泣きそう…。
忘れ物届けるのに、友人らを誘ったがみんなデートだったからその腹いせとかじゃないよ?
八つ当たりで幼馴染の顔面にサポーター投げつけたわけじゃない。
………チガウカラ!!グスッ。
寂しくも切ない気持ちになりながら、涙を拭っておつかいが出来ても、帰るまでがおつかいだ。
そう………帰るまでが。
「どうしてこうなった!!!!」
ガーッテム!!!と、頭を抱えたくなった。
だって……あ、そーいやここらへんの路地通った先に隠れ家的な喫茶店あったよなー。行ってみたかったんだよー、と路地入ったら異世界ってどーゆー事?
なに?ジブリなの?
猫男爵に会えるならまだしも、私がいるのは天空の城の中みたいだぞ。
なんだよ、オイ。飛行石探せばいいの?
意味わかんない場所とか辞めてほしい。
感覚的には中学校ぶりの、七不思議で閉じ込められたような感じだが……外で閉じ込められたのは初めてだ。
さーて、どうしたらいいのか……
入って来た出口すらないので引き返せない。
迷子の鉄則としては、動かないのが一番なのだが………
"カタ……カタヅケマ、ス"
「バルスッ!!!」
化物に見つかって秘奥義:スルーが出来ないのなら、もはや迷子の鉄則なんてゴミ箱に蹴り飛ばすよね。
全力で逃げた。
スカートに厚底のサンダル。
可愛いとか形振りかまわず、サンダル脱ぎ捨てて走ったわ。
パズーもビックリなくらい、シタタタタって。
今なら私、風になれる………そう、王蟲よ
「しずまれぇぇええええ!!!
神々の王蟲よぉぉおおおお!!
鎮まりたまえぇぇえええええ!!!!」
天空を羽ばたきビームする兵器が出てきそうなのに、なぜか谷に出てきそうな蟲達がわっさわさ出てきてる。
まじヤメテ。
私飛行石探すよりも、グライダー探さなきゃいけなくなるじゃん!!
蟲笛もなけりゃ、メーヴェも無いんだ!!
「唸れ!!私の足よ!!
風と共に生き、風となりて逃げる!!」
うぉぉおおおお!!と、逃げた。
ジブリは好きだが、お呼びじゃない。
本物は感動するが、偽物は命の危機しかない。
秘奥義すら効かないここから出るには、何らかの条件を満たさなきゃいけないはずだが、学校と違ってよくわからない。
「何探せばいいの!?
飛行石なの?青き衣の人なの!?
どっちだよ!!!
せめて世界観統一しろよ!!!」
なんとか逃げ切れているが、あちこちから出てくるので、フィギュアスケートの方々もビックリな程必死にキレッキレのターンで交わしながら逃げる。
「せめて……せめて!!相棒がいれば…!!!」
懐かしき、中学の相棒。
クギバットさん。
しかし、彼は封印されて私の部屋の片隅に埃を被っていらっしゃる。
ごめん……今度手入れするから!!だから今だけは召還されてくれないかな!!?
相棒がいれば、私は無敵になれるのに!!
その願いが通じたのか
飛行石ではないが、輝くモノを見つけた。
「天は我の味方為りぃぃいいいい!!!」
雑に置いてあったお札の貼られた茶色の錆びがご愛敬のそれ。
願ったら出てきたラッキーアイテム。
「お前が私の次なる相棒だ!!!
君を信じる……我に力を与えよ!!!
エクスカリバァァアアアアア!!!!!」
「ここ?」
「普通の路地だね」
「ここから先は未知の領域となっておりますので、お気をつけて」
とある路地を立ち入り禁止に封鎖して、その場に立っているのは高専から派遣された五条、夏油、硝子、補助監督。
行方不明が立て続けに増えていて、窓がこの路地を通った人が消えるところを見た事から早急な対応が行われた。
帳を降ろし、何の変哲も無い路地に一歩踏み入れるとそこはあべこべの異世界。
「……領域、か?」
「雑魚がいっぱい集まってきたぜ」
「うへぇ……虫ばっか」
「傑、こいつらいる?」
「まずは行方不明者の捜索かな」
取り込むのは後だ、と気を引き締める三人。
あっという間に雑魚は一掃され、あべこべの世界を歩き出す。
「生きてる奴いんの?」
「領域内だから気を抜くなよ」
「どうせ雑魚だろ」
「領域を作り出せるくらいのレベルだぞ」
「うりゃっ!!うっわ!!おまっ……ふざけんなよ!!
これ……白……いや、もう諦めるさ。
けどこれ…血?体液?
青い衣ならテンション暴上げで成りきったけど6割赤い衣って中途半端だな……
金色の野に降り立てねーよ。中途半端で。
失われし大地との絆も結べないわ……むしろ決別だわ。
森の王と共に生きたいが、呪いの蟲とは共に生きられんわ」
「「「何してんのオマエ」」」
「………うわっ!!」
ビックリしたぁーと、間抜け面でいる彼女。
気を引き締めたはずなのに、一気に脱力した。
「え……オマエマジ何やってんの?」
「はじめてのぉおつかいした帰りに寄り道したら、飛行石ありそうな蟲の世界に閉じ込められた」
「ソレ何持ってるんだい……?バール?
いや、呪力ある……え?何それ?」
「知らん。
蟲達から逃げてたらエクスカリパー之助と出会って、私達は共に友情を深めあいながらこの地獄を生き抜いたパートナーさ」
「ねぇ、かっこよく言ってるけどアンタ殺人鬼にしか見えねーよ。
血塗れでバール持ったヤベェ奴だよ」
「私の宝剣だよ」
唸れ!!エクスカリバー之助!!と
飛び掛かってきた蟲を蹴散らす。
ただのバールフルスイングなり。
蟲ほ見事に飛び散った。
「よしっ!!」
「「「よしっ、じゃないわ」」」
「君らこそ何でいんの?むしろ、ここ何?」
「え……まさかと思うけど、オマエも行方不明者の一人?」
「行方不明者?」
「キミ、路地通ったかい?」
「うん。路地の奥にお洒落なカフェあったはずだから……って通ったらここにいた」
「ちなみに他の人は?見かけたかい?」
「いや。蟲以外見てないわ」
どおりでここ数日連絡着かないはずだ、と五条が溢せば何の事かと頭を傾げる。
「オマエいつ路地通った?」
「○月✕日」
「………2日前だよ」
「嘘だろ!?私まだここにいて、一時間くらいなんだけど!?」
「ズレてんだね」
「不味いな。早く根本を叩かないと」
「根本?なに?王蟲?」
「いい加減ジブリから離れろ、白滝女」
「いや、だって私とエクスカリバー之助でも
流石にアレは倒せないから逃げてきたんだもん」
アレ、と指さす先………。
天井にわしゃわしゃと何十匹もいる大きな王蟲みたいな呪霊。
赤い目じゃなく、人間の目なのがより気持ち悪い。
「「「キッッッモ!!!!」」」
「だろ?」
なんやかんやあり(雑)
白髪と前髪が原因である呪霊を祓った。
行方不明者は王蟲により、蚕となっていたがひとまず数人は無事に助け出せた。
血塗れ……いや、体液で濡れて真っ赤に染まり、バール片手にピンピンしている私に、三人は飽きれている。
「オマエ………それで帰んの?」
「うわぁ……着歴ヤバい。どーしよ」
「見た目からしてヤバいよ」
「お母さんにぶっとばされる」
「キミ、それよりも見た目と物騒なモノの言い訳どうするんだい?」
「コスプレで押し通す」
「馬鹿か」
「馬鹿だな」
「馬鹿だね」
「中学の時も釘バット持って歩いてたから平気」
「どこの世界にそれで平気だと通じる世界があんだよ」
「日本のハロウィン」
「通じ……うん、通じるかもしれないが、今は夏休みだからね?ハロウィンではないよ」
「あ、やべ。お母様から電話が………」
出たらめちゃくちゃ泣かれた。
どう言い訳しようか悩んでいたら、黒スーツの人がそっと電話代わってくれて質の悪い人に会って監禁されていたところを保護したと出鱈目言っていた。
「まずはその格好どうにかしましょう」
「とりあえず靴くれ。砂利が痛い」
「靴どこ置いてきたんだよ」
「ぶん投げたからわからん。私の厚底……」
「ひとまず抱こうか?足切れてしまうからね」
「わお、前髪紳士」
「それでどーするの?今後」
「ん?着替えて帰るんじゃないの?」
「一応呪具?で呪霊と戦えてんのに
見えてません、は厳しいと思うぞ」
美少女の言葉に私は色々上がっていたテンションが一気に下がる。
「ハッ!!」
「馬鹿かよ」
「馬鹿だね」
「馬鹿だな」
「………バルスッ!!って言ったら皆忘れないかな?」
「「「無理あるだろ」」」
なんやかんや(雑)でお家に帰った。
両親に泣かれた。
幼馴染に泣かれた。
寄り道すんなと怒られた。
はじめてのぉおつかいの教訓
寄り道、駄目。
「………ねぇ、その物騒なバールなに?」
「私の風の民としてのパートナーだよ」
「意味わかんねーよ。ただの鈍器だろ」
「違うよ。エクスカリバー之助だよ」
「摩訶不思議な事に巻き込まれて無事なのはいいけど……せめて人として生きてね」
「侵害!!私、人!!いつだって人!!
山犬の姫には憧れるけど、私、人!!!」
「………山犬の姫より逞しいだろ、お前」
幼馴染に可哀想なモノを見る目を向けられた。
私の命を救う確率が上がる相棒に続き、宝剣を手にしたというのに、理解されなかった。
あとがき
ジブリいいよね。
もののけ姫が好きです( ・`д・´)キリッ
ちなみに今さらですが、通行人は一年です。
五条らも一年です。
幼馴染もまだ髪の毛真っ黒です。
幼馴染のトサカは2年です。
なので合宿地も適当です。
だいぶ雑に書いてますが
楽しかったのでまぁいいか、と……
決して面倒だったとかじゃない。
色々ぶっ飛んでるが、それでも彼女は通行人Aだとモブキャラを主張します。