先輩シリーズ (五条)
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その日は、珍しく合同任務だった。
1年三人と、一緒……というよりも
2年の実習の見学に1年がくる、というもの。
廃鉱跡地にて
行方不明者が出ていると。
興味本位の肝試しなどできた人が
帰って来ないらしい。
現時点で5人、行方がわかっていない。
帳を下ろし、中に入るが
何かを引きずった跡が奥まで続いている。
奥までは深く、途中で別れ道に。
「大和、そっちね」
「よし、五条か夏油を貸してください」
「むしろ、どっちも貸そうか?」
「大和先輩より私達の方が強いからね」
「こいつ接近戦まじでやばいもんな」
「後輩が辛辣……」
崩れる大和。
構っていられないので
先に進もうとしたのだが
何故か五条がついてくる。
「大和の方じゃなくていいの?」
「傑と2人でいたら楽勝じゃん」
「なら硝子、大和の方行く?」
「あー、そうですね」
「え?何で?
俺、硝子ちゃん守れる気しないけど?」
「だからでしょ。
万が一、怪我したら硝子いるし
呪霊は夏油君でどーにかなるっしょ」
「俺の実習なのに?」
「大和、夏油君より弱いからね」
「辛辣!!」
そんなこんなで
二組に別れたのだが
道なりに歩いていると
壁に叩き付けられたような
ヒトガタの血の跡が二人分。
「あらまぁ」
「……生きてそうな奴いねーな」
「向こう、大丈夫かな?」
「傑いるから平気だろ」
そのまま先へと進んでいくと
少し開けた場所につく。
「五条君は見学なので
大人しくお願いしまーす」
「…………」
「そうじゃなくても、ここ廃鉱だからね?
君の術式だと生き埋めだからね?」
「吹き飛ばせばよくね?」
「馬鹿じゃん。
山一個吹き飛ばすとか馬鹿じゃん」
ピキリ、と見える青筋は気にせず
制服に装備している銃を取り出す。
「銃?」
「弾はないよ」
「は?意味なくね?」
「私の術式って不便なこと多いんだよ」
ゾロゾロと、出てきたのは
四級レベルの雑魚な呪霊。
思ったよりも数が多いので
少し多めに呪力を解放すれば
名前を中心に円が出来る。
その範囲に入っていた呪霊
そして、入って来た呪霊は
たちまち叫びながら消えていく。
「あのレベルの雑魚は
簡易領域で全自動浄化されます」
「チートじゃね?」
「五条君の無下限のがチートじゃん」
そのまま歩き出せば
領域に入った呪霊から、どんどん消えていく。五条は便利だな、と笑っている。
「これ、だいたい半径4mくらい?」
「そんくらいかな?
もーちょい範囲広げられる分
精度も威力も落ちるから
雑魚はこれで事足りるんだよ」
「へー」
「二級くらいになら余裕で祓える
けど、人には効果無い」
「は?まじで?」
「まじまじ」
「じゃあ呪詛師は?」
「肉弾戦だよ」
ぽかん、とした五条に
だからチートじゃないんだよーと
軽く言う。
「現に、範囲内の五条君は
何とも感じないっしょ?」
「確かに」
「破魔の力は
元々人に害する能力じゃないからね」
読んで字のごとく
魔を破る術式。
「領域狭めたら?」
「半径1mくらいにするより
銃とか矢とかに呪力込めて
ぶっぱなす方がコスパいーんだよ」
領域外にいる呪霊へと呪力を込めて撃てば
当たった呪霊がはじけとぶ。
「ハ○ターと犬○叉と復活かよ」
「五条君、そこは触れちゃいけないやつ」
「簡易領域ね……」
「本家のやつは
もっと縛りとかあるんだろうけど、
私の術式自体が呪霊には
簡易領域みたいなもんだからね」
「けど、呪術師には効果無し」
「まじフザケタもんだよ」
ケラケラ笑う五条に
名前は遠い眼差しとなる。
「"結界"とか、"構築術式"のが
もしかしたら相性良かったのかもしれんが
どちらにせよ、前戦向きではないわ」
「ほんとね」
「まぁ、それでも前に立って
戦うことを選んだのは私だからね」
「ふーん
ちなみに、その銃で撃ったのが
呪術師に当たると?」
「試したことはないけど
夏油君みたいな呪霊操術の使い手になら
多少効果はあるのかもね」
「他は?」
「輪ゴムパッチンレベルじゃない?」
「最弱かよ」
だから使えない術式なんだよ、と
舌打ちする。
なるほどねー、と笑う五条に
チートもクソもない……と
出てくる呪霊を片っ端から撃ち抜く。
弾の補充もいらないので
低燃費で威力増し増しの呪霊専用弾が
無限に打ち出せるのが楽なくらいだ。
「まぁ、呪霊には効果絶大って縛りがある分
人間にはちっとも効果無いってことさ」
「つまり、基本的な力はか○めで
ノブ○ガの円で呪霊を滅し
ザン○スの憤怒の炎を撃てるが
人に効果なしと」
「あ、うん……そんな認識でいいよ」
君、漫画読むんだなと言えば
ふつーに読むだろと、返ってきた。
ある程度片付き
行き止まりに。
どうやら、こちらは外れだったみたいだ。
「……すぐ戻ろ」
「大丈夫だろ」
「夏油君いるし、硝子もいるから
予想外のレベルがいなければ
簡単な二級レベルの任務なんだけどね」
嫌な予感に、なるべく早足で別れ道まで戻る。
「五条君や、気付いてた?」
「あ?」
「こっち、途中から引きずった跡も無くなってたし、4級と3級しかいなかった」
その言葉に、五条も顔が険しくなる。
血の跡があった場所は
別れ道からそう離れていない。
「何とも無ければいーけど……」
別れ道まで戻り、大和達の方へ急げば
先ほどと同じような血の跡が。
舌打ちと共に、奥へと急げば
争っている音が聞こえる。
「大和!!」
「……!!先輩っ、悟!!」
危ない、と夏油君が叫ぶが
すぐに簡易領域を発動させ
こちらに来た何個もの顔のついたカエルのようなものに銃を向けて撃ち抜く。
叫び声と共に浄化された呪霊。
領域を解いてから
硝子に抱えられている大和へと近寄れば
浅い呼吸を繰り返し、血塗れの大和の姿。
「硝子、大和は?」
「大丈夫です。これくらいならいけます」
「夏油君に怪我は?」
「大丈夫です」
「五条君と夏油君でここに待機ね
大和と硝子を守ってて」
「名前先輩は……?」
「君ら派手に暴れて崩れたらどーすんの」
グチャリ、ズルズル……と
奥から聞こえてくる何かの音。
暗闇の中、出てきたのは
ボロボロの長いワンピース姿で
ボサボサの髪の毛に
顔の部分には大きな瞳が1つ。
人らしきものを引きずっている呪霊。
それはこちらを見ると
瞳の部分がガパリと開き、口となり
ケラケラと笑い、持っていたものを落とした。
その瞬間、すごい速さで距離を詰めてくるが、
名前へと手が届く前に
ピタリ、と動きが止まり、地面へ倒れ込む。
「どんなに素早くても
届かなきゃ意味無いんだよね」
カチリ、と銃を向け、何度か撃ち抜く。
呪霊は叫び声を上げながら消え去る。
「………なんか」
見た目だけの、呆気なさに
何とも言えない不気味さがある。
しかし、他に気配は感じられず頭を傾げる。
とりあえず終わったので
振り返ってみんなのとこに戻ると
大和の呼吸は安定していて
硝子の反転術式の凄さに拍手を送る。
「何かしょぼくね?」
「………うん」
「傑の呪霊で大和運ぼうぜ」
五条が歩きだす。
「先輩」
「何?夏油君」
「私が倒した呪霊も
先輩が倒した呪霊も
似たような気配でした」
「?」
「私が二体、似たような呪霊を祓い
先輩が駆けつけた時に一体
先ほどの呪霊が一体です」
「!!
夏油君、この近くに死体はあった?」
「無かったです」
ばっ、と先ほどの呪霊が引きずっていた死体らしきものへ目を向けるが、それはどこにも見当たらない。
早くしろよ、と話す五条へと走る。
「五条君!!」
「は?」
五条の手を引き
いきなりのことに体勢を崩した五条。
その勢いのまま、五条の前へ飛び出せば
先ほどの死体のようなものが
地面から這い出てきて、名前の身体を掴む。
「禪院先輩!!」
「おい!!」
夏油と五条の声が聞こえたが
蛇のように絡み付く呪霊が身体を締め付け
その部分が火傷したように熱くなる。
身体を覆い、首へと絡み付いていくと
口らしき部分には鋭い歯が並び
名前の首に噛み付く。
「にゃ、ろっ!!」
食い込む歯と張り付いた身体に
手に呪力を込めて殴り付ければ
小さな悲鳴と共に身体から離れる。
流れ出る血を気にせず
離れた呪霊へと銃で撃ち込めば
チリとなって消えていく。
呪霊の呪いに、フラりと倒れそうになれば
五条が支えてくれる。
「何してんだよ!!」
「五条君、怪我…は…?」
「ねぇよ!!」
噛まれた場所が、ジクジクと痛み
火傷したように熱い。
反転術式を行うには
全身が痛み集中が足りない。
呪いのせいで、身体から出る血が止まらず
目の前がチカチカとする。
「名前先輩!!」
「硝子、ごめ………」
ふっ、と痛みと出血で意識が遠退く。
硝子が焦っていた声が聞こえたが
そのまま意識が無くなった。
目が覚めて、見えたのは
真っ白な天井。
次に見えたのは、お腹辺りに乗る
フワフワの白い頭。
記憶を巡らせると
思い出すのは呪いを受けて
出血と痛みで気絶したこと。
起き上がろうとしたが
身体の節々が痛むし
腹に乗せられてる頭が邪魔だ。
自由な腕を上げ、フワフワの白い頭へ乗せ
サラサラ流れる髪を堪能する。
「…………何してんだよ」
ボソリ、と呟かれた言葉。
「おはよ、五条君」
「何呑気に挨拶してんだ」
「挨拶は大事だろ?」
「フザけんな」
「五条君、今何日?」
こちらを見ない五条は
腹に頭を乗せたまま
3日寝てた、と溢した。
なるほど、身体が痛いわけだ。
サラサラと、五条の頭を堪能しつつ
改めて身体に目を向ければ
ほとんどが包帯で巻かれている。
「呪いのせいで、皮膚焼けてた」
「熱かったもんなぁ」
「硝子がある程度治した」
「流石だね」
「でも、跡残るかもしんねって」
ちらり、とこちらを見る五条は
いつものサングラスはつけておらず
じっと見てくる。
そんな五条の頭を撫でてやれば
また顔を埋めてしまう。
「身代わりになんなくても
俺には当たらねーよ」
「身体が動いたんだから仕方ない」
「寝過ぎ」
「寝過ぎで身体が痛いわ」
「……止めろよ」
次は絶対庇うな。
五条の声が響く。
「勝ち逃げとか許さない」
「負けず嫌いか」
「あんたに負けっぱなしとか腹立つ」
「五条も夏油もすぐ私なんて追い抜くよ」
「名前がいなくなったら
俺らずっと勝てねーだろ」
勝ち逃げすんな、と呟く。
そんな五条をクスクスと笑えば
笑うな、とベシベシ足を叩かれる。
「五条」
「んだよ」
「こっち、見なよ」
「やだね」
「あんたのせいじゃなく
私のミスなんだから、気にしないの」
「……気にしてねーし」
「五条」
心配してくれてありがと、と
頭を撫でれば
そっぽ向いて心配してねーし、と返ってくる。
しかし、耳が赤くなってきてるので
意外と可愛いとこあんだなーと思う。
耳が赤いことは指摘せず
フワフワでサラサラの髪の毛を
堪能させてもらうことにした。
あとがき
長いっっ
1話完結にしたいが
携帯でやると長い!!
頑張るか……
1年三人と、一緒……というよりも
2年の実習の見学に1年がくる、というもの。
廃鉱跡地にて
行方不明者が出ていると。
興味本位の肝試しなどできた人が
帰って来ないらしい。
現時点で5人、行方がわかっていない。
帳を下ろし、中に入るが
何かを引きずった跡が奥まで続いている。
奥までは深く、途中で別れ道に。
「大和、そっちね」
「よし、五条か夏油を貸してください」
「むしろ、どっちも貸そうか?」
「大和先輩より私達の方が強いからね」
「こいつ接近戦まじでやばいもんな」
「後輩が辛辣……」
崩れる大和。
構っていられないので
先に進もうとしたのだが
何故か五条がついてくる。
「大和の方じゃなくていいの?」
「傑と2人でいたら楽勝じゃん」
「なら硝子、大和の方行く?」
「あー、そうですね」
「え?何で?
俺、硝子ちゃん守れる気しないけど?」
「だからでしょ。
万が一、怪我したら硝子いるし
呪霊は夏油君でどーにかなるっしょ」
「俺の実習なのに?」
「大和、夏油君より弱いからね」
「辛辣!!」
そんなこんなで
二組に別れたのだが
道なりに歩いていると
壁に叩き付けられたような
ヒトガタの血の跡が二人分。
「あらまぁ」
「……生きてそうな奴いねーな」
「向こう、大丈夫かな?」
「傑いるから平気だろ」
そのまま先へと進んでいくと
少し開けた場所につく。
「五条君は見学なので
大人しくお願いしまーす」
「…………」
「そうじゃなくても、ここ廃鉱だからね?
君の術式だと生き埋めだからね?」
「吹き飛ばせばよくね?」
「馬鹿じゃん。
山一個吹き飛ばすとか馬鹿じゃん」
ピキリ、と見える青筋は気にせず
制服に装備している銃を取り出す。
「銃?」
「弾はないよ」
「は?意味なくね?」
「私の術式って不便なこと多いんだよ」
ゾロゾロと、出てきたのは
四級レベルの雑魚な呪霊。
思ったよりも数が多いので
少し多めに呪力を解放すれば
名前を中心に円が出来る。
その範囲に入っていた呪霊
そして、入って来た呪霊は
たちまち叫びながら消えていく。
「あのレベルの雑魚は
簡易領域で全自動浄化されます」
「チートじゃね?」
「五条君の無下限のがチートじゃん」
そのまま歩き出せば
領域に入った呪霊から、どんどん消えていく。五条は便利だな、と笑っている。
「これ、だいたい半径4mくらい?」
「そんくらいかな?
もーちょい範囲広げられる分
精度も威力も落ちるから
雑魚はこれで事足りるんだよ」
「へー」
「二級くらいになら余裕で祓える
けど、人には効果無い」
「は?まじで?」
「まじまじ」
「じゃあ呪詛師は?」
「肉弾戦だよ」
ぽかん、とした五条に
だからチートじゃないんだよーと
軽く言う。
「現に、範囲内の五条君は
何とも感じないっしょ?」
「確かに」
「破魔の力は
元々人に害する能力じゃないからね」
読んで字のごとく
魔を破る術式。
「領域狭めたら?」
「半径1mくらいにするより
銃とか矢とかに呪力込めて
ぶっぱなす方がコスパいーんだよ」
領域外にいる呪霊へと呪力を込めて撃てば
当たった呪霊がはじけとぶ。
「ハ○ターと犬○叉と復活かよ」
「五条君、そこは触れちゃいけないやつ」
「簡易領域ね……」
「本家のやつは
もっと縛りとかあるんだろうけど、
私の術式自体が呪霊には
簡易領域みたいなもんだからね」
「けど、呪術師には効果無し」
「まじフザケタもんだよ」
ケラケラ笑う五条に
名前は遠い眼差しとなる。
「"結界"とか、"構築術式"のが
もしかしたら相性良かったのかもしれんが
どちらにせよ、前戦向きではないわ」
「ほんとね」
「まぁ、それでも前に立って
戦うことを選んだのは私だからね」
「ふーん
ちなみに、その銃で撃ったのが
呪術師に当たると?」
「試したことはないけど
夏油君みたいな呪霊操術の使い手になら
多少効果はあるのかもね」
「他は?」
「輪ゴムパッチンレベルじゃない?」
「最弱かよ」
だから使えない術式なんだよ、と
舌打ちする。
なるほどねー、と笑う五条に
チートもクソもない……と
出てくる呪霊を片っ端から撃ち抜く。
弾の補充もいらないので
低燃費で威力増し増しの呪霊専用弾が
無限に打ち出せるのが楽なくらいだ。
「まぁ、呪霊には効果絶大って縛りがある分
人間にはちっとも効果無いってことさ」
「つまり、基本的な力はか○めで
ノブ○ガの円で呪霊を滅し
ザン○スの憤怒の炎を撃てるが
人に効果なしと」
「あ、うん……そんな認識でいいよ」
君、漫画読むんだなと言えば
ふつーに読むだろと、返ってきた。
ある程度片付き
行き止まりに。
どうやら、こちらは外れだったみたいだ。
「……すぐ戻ろ」
「大丈夫だろ」
「夏油君いるし、硝子もいるから
予想外のレベルがいなければ
簡単な二級レベルの任務なんだけどね」
嫌な予感に、なるべく早足で別れ道まで戻る。
「五条君や、気付いてた?」
「あ?」
「こっち、途中から引きずった跡も無くなってたし、4級と3級しかいなかった」
その言葉に、五条も顔が険しくなる。
血の跡があった場所は
別れ道からそう離れていない。
「何とも無ければいーけど……」
別れ道まで戻り、大和達の方へ急げば
先ほどと同じような血の跡が。
舌打ちと共に、奥へと急げば
争っている音が聞こえる。
「大和!!」
「……!!先輩っ、悟!!」
危ない、と夏油君が叫ぶが
すぐに簡易領域を発動させ
こちらに来た何個もの顔のついたカエルのようなものに銃を向けて撃ち抜く。
叫び声と共に浄化された呪霊。
領域を解いてから
硝子に抱えられている大和へと近寄れば
浅い呼吸を繰り返し、血塗れの大和の姿。
「硝子、大和は?」
「大丈夫です。これくらいならいけます」
「夏油君に怪我は?」
「大丈夫です」
「五条君と夏油君でここに待機ね
大和と硝子を守ってて」
「名前先輩は……?」
「君ら派手に暴れて崩れたらどーすんの」
グチャリ、ズルズル……と
奥から聞こえてくる何かの音。
暗闇の中、出てきたのは
ボロボロの長いワンピース姿で
ボサボサの髪の毛に
顔の部分には大きな瞳が1つ。
人らしきものを引きずっている呪霊。
それはこちらを見ると
瞳の部分がガパリと開き、口となり
ケラケラと笑い、持っていたものを落とした。
その瞬間、すごい速さで距離を詰めてくるが、
名前へと手が届く前に
ピタリ、と動きが止まり、地面へ倒れ込む。
「どんなに素早くても
届かなきゃ意味無いんだよね」
カチリ、と銃を向け、何度か撃ち抜く。
呪霊は叫び声を上げながら消え去る。
「………なんか」
見た目だけの、呆気なさに
何とも言えない不気味さがある。
しかし、他に気配は感じられず頭を傾げる。
とりあえず終わったので
振り返ってみんなのとこに戻ると
大和の呼吸は安定していて
硝子の反転術式の凄さに拍手を送る。
「何かしょぼくね?」
「………うん」
「傑の呪霊で大和運ぼうぜ」
五条が歩きだす。
「先輩」
「何?夏油君」
「私が倒した呪霊も
先輩が倒した呪霊も
似たような気配でした」
「?」
「私が二体、似たような呪霊を祓い
先輩が駆けつけた時に一体
先ほどの呪霊が一体です」
「!!
夏油君、この近くに死体はあった?」
「無かったです」
ばっ、と先ほどの呪霊が引きずっていた死体らしきものへ目を向けるが、それはどこにも見当たらない。
早くしろよ、と話す五条へと走る。
「五条君!!」
「は?」
五条の手を引き
いきなりのことに体勢を崩した五条。
その勢いのまま、五条の前へ飛び出せば
先ほどの死体のようなものが
地面から這い出てきて、名前の身体を掴む。
「禪院先輩!!」
「おい!!」
夏油と五条の声が聞こえたが
蛇のように絡み付く呪霊が身体を締め付け
その部分が火傷したように熱くなる。
身体を覆い、首へと絡み付いていくと
口らしき部分には鋭い歯が並び
名前の首に噛み付く。
「にゃ、ろっ!!」
食い込む歯と張り付いた身体に
手に呪力を込めて殴り付ければ
小さな悲鳴と共に身体から離れる。
流れ出る血を気にせず
離れた呪霊へと銃で撃ち込めば
チリとなって消えていく。
呪霊の呪いに、フラりと倒れそうになれば
五条が支えてくれる。
「何してんだよ!!」
「五条君、怪我…は…?」
「ねぇよ!!」
噛まれた場所が、ジクジクと痛み
火傷したように熱い。
反転術式を行うには
全身が痛み集中が足りない。
呪いのせいで、身体から出る血が止まらず
目の前がチカチカとする。
「名前先輩!!」
「硝子、ごめ………」
ふっ、と痛みと出血で意識が遠退く。
硝子が焦っていた声が聞こえたが
そのまま意識が無くなった。
目が覚めて、見えたのは
真っ白な天井。
次に見えたのは、お腹辺りに乗る
フワフワの白い頭。
記憶を巡らせると
思い出すのは呪いを受けて
出血と痛みで気絶したこと。
起き上がろうとしたが
身体の節々が痛むし
腹に乗せられてる頭が邪魔だ。
自由な腕を上げ、フワフワの白い頭へ乗せ
サラサラ流れる髪を堪能する。
「…………何してんだよ」
ボソリ、と呟かれた言葉。
「おはよ、五条君」
「何呑気に挨拶してんだ」
「挨拶は大事だろ?」
「フザけんな」
「五条君、今何日?」
こちらを見ない五条は
腹に頭を乗せたまま
3日寝てた、と溢した。
なるほど、身体が痛いわけだ。
サラサラと、五条の頭を堪能しつつ
改めて身体に目を向ければ
ほとんどが包帯で巻かれている。
「呪いのせいで、皮膚焼けてた」
「熱かったもんなぁ」
「硝子がある程度治した」
「流石だね」
「でも、跡残るかもしんねって」
ちらり、とこちらを見る五条は
いつものサングラスはつけておらず
じっと見てくる。
そんな五条の頭を撫でてやれば
また顔を埋めてしまう。
「身代わりになんなくても
俺には当たらねーよ」
「身体が動いたんだから仕方ない」
「寝過ぎ」
「寝過ぎで身体が痛いわ」
「……止めろよ」
次は絶対庇うな。
五条の声が響く。
「勝ち逃げとか許さない」
「負けず嫌いか」
「あんたに負けっぱなしとか腹立つ」
「五条も夏油もすぐ私なんて追い抜くよ」
「名前がいなくなったら
俺らずっと勝てねーだろ」
勝ち逃げすんな、と呟く。
そんな五条をクスクスと笑えば
笑うな、とベシベシ足を叩かれる。
「五条」
「んだよ」
「こっち、見なよ」
「やだね」
「あんたのせいじゃなく
私のミスなんだから、気にしないの」
「……気にしてねーし」
「五条」
心配してくれてありがと、と
頭を撫でれば
そっぽ向いて心配してねーし、と返ってくる。
しかし、耳が赤くなってきてるので
意外と可愛いとこあんだなーと思う。
耳が赤いことは指摘せず
フワフワでサラサラの髪の毛を
堪能させてもらうことにした。
あとがき
長いっっ
1話完結にしたいが
携帯でやると長い!!
頑張るか……