最期まであなたと 2
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名前は、私の光だ。
誰かを愛するということが
こんなにも苦しくて
こんなにも哀しいとは思わなかった。
私以外の誰かと話す事も
私以外の誰かが触れる事も
私以外の誰かに取られる事も
私以外の誰かを見る事も
胸にどす黒い感情が溜まり
苦しくて、息の仕方を忘れてしまうほど辛くなる。
そんな私に気付いて欲しくはないのに、気付いて欲しいと願う反対の感情。
恋は人を狂わせる。
全くその通りだと、笑ってしまう。
今持てる、全てを乙骨にぶつける。
「乙骨、君が折本里香を使いこなす前に、殺しにきて本当に良かった」
「里香」
"なぁに"
目の前で呪霊を抱き締める乙骨。
「いつも守ってくれてありがとう。
僕を好きになってくれてありがとう。
最期にもう一度力を貸して
コイツを止めたいんだ。
その後はもう何もいらないから。
僕の未来も心も体も全部里香にあげる。
これからは本当にずっと一緒だよ」
この狂った狂気の感情を、名前は笑って受け入れてくれる。
それがどんなに、救われる事か……。
名前は私を"優しい"といつも言うが、そんな事はない。
余裕など、無いのだから。
いつか自分が見限られ、逃げられないように優しく優しく囲っているだけ。
追いかけて来てくれたとき、どれほど嬉しかった事か。
二度と手離さないと、心に誓った。
それと同時に……本当に名前を引き入れていいのか不安が襲った。
「愛してるよ、里香。
一緒に逝こう?」
乙骨が少しだけ羨ましく感じた。
私は、名前と共に戦うことを望まなかった。
乙骨は、折本里香と共に戦うことを選んだ。
自分で決めたことなのに、羨ましいだなんて……私はどれほど、欲張りなのか。
「そうくるか!!女誑しめ!!」
「失礼だな。純愛だよ」
そう、言い切れてしまうのは若さ故か……。
「ならばこちらは大義だ」
私も、純愛だと言えたなら良かった。
しかし、この狂った感情を"純愛"に例えるには程遠いような気もした。
大きな爆発と共に、右腕への痛みと目の前が真っ白になった。
太陽のような名前。
汚れのない、真っ白な子。
非日常を過ごす私達の中、日常を過ごす"普通"の子。
私達にとって、眩しい存在。
染み付いた汚れを全身に浴びて、闇を進む私達を照らす光に、私達は躊躇してしまう。
汚れてしまった時に、汚されてしまった時に
名前は果たして笑っていてくれるのか?
私達と同じ位置まで堕ちてしまえば、名前は壊れてしまうのではないのか……?
それは、嫌だった。
自分勝手な理由で、名前が何度懇願しても頑なに拒否した。
汚れてしまうのは、私だけでいい。
そんな私を受け入れてくれるのだから、名前まで堕ちる必要は無い。
だから私は名前に手を出させなかった。
勿論いい顔をしない者達はいたが、それは名前と関わる事で納得していった。
その反面、名前の光に手を伸ばす愚か者共が出てきたが、その者達を潰すのは問題無い。
「素晴らしい」
「本当に素晴らしいよ。
正に世界を変える力だ」
「里香さえあれば
せこせこ呪いを集める必要もない」
「次だ。次こそ手に入れる!!」
右側の肩から下は無くなった。
こんな姿を見たら、名前は泣いてしまうだろうな……などと、折本里香を手に入れると口では言いながら、名前のことを思う。
こんな時まで、名前のことを一番に考えてしまうなんて……と考えていたら、目の前に現れた人物にこれから、が無いことを受け止める。
「遅かったじゃないか、悟」
流した血の量はわからない。
ズルズルと身体を引きずってきたが、ここまでかとその場に座り込む。
「君で詰むとはな。
家族達は無事かい?」
「揃いも揃って逃げ果たしたよ。
京都の方もオマエの指示だろ」
「まぁね。君と違って私は優しいんだ。
あの二人を私にやられる前提で、
乙骨の起爆剤として送りこんだな」
「そこは信用した。
オマエの様な主義の人間は、若い術師を理由もなく殺さないと」
「クックックッ、信用か。
まだ私にそんなもの残していたのか」
思い出すのは、高専時代のかつての自分。
ふざけ合い、騒ぎ、叱られ、背中を預けた親友。
「コレ返しといてくれ」
「小学校もオマエの仕業だったのか!!」
「まぁね」
「呆れた奴だ」
「何か言い残すことはあるか」
「…………
誰がなんと言おうと非術師は嫌いだ。
でも別に高専の連中まで憎かったわけじゃない。
ただ、この世界では
私は心の底から笑えなかった」
そうーーー。
この世界は残酷で、救いがない。
だから、私は……名前を手離せなかった。
「悟」
私は、幸せだ。
この広い世界中の中からたった一人。
唯一無二の存在を見つけ、側に居られたのだから。
心残りは沢山あるが、私は幸せだと、断言できる。
私が消えるその時に
彼女と離れてしまう時に
彼女は泣いてしまうだろう。
泣き虫だから。
共に消える運命を望む名前だが、私はその瞬間を迎えた時に、彼女を手離してしまう。
彼女は私の光だから。
闇は似合わない。
どんなに泣いても
どんなに嫌がっても
どんなに寂しがっても
私は彼女の背を押して、光の中に戻してあげよう。
「名前を待たせているから、頼んだよ」
「………オマエさぁ」
はぁ、と大きなため息をつく悟。
私は君に、最高な嫌がらせをしておくよ。
「名前は」
「私の活動に一切手を染めていないよ」
「だろうな。
あんな幸せそうな顔されてたら疑わない」
「綺麗になったろ?」
「傑」
スッと、目の前に差し出されたのは何やら禍々しそうな呪具。
「コレ、めちゃくちゃ探して手に入れた凄い貴重な封印具」
「見逃してくれるとでも?」
「………泣くだろ、アイツ」
「だから悟、君に伝えたんだ」
「オマエしか見てない自殺志願者の面倒押し付けんな。
アイツのこと連れて行ったなら最後まで面倒見ろよ」
ポイッと、投げられた封印具にあっという間に封印される。
ほら、と悟に手を出される。
「オマエの為じゃない。
アイツのーー名前の為だからな」
「悟、本当に拗らせてるな」
「うるさい。さっさと送るから早く」
笑ってしまうほど、お人好しな親友。
帰ってみれば、名前はやはり泣いてしまった。
手離そうと思った。
けど、一度目が無理だったのだから、二度目なんて無理に決まってる。
共に生きて
最期まで傍に居てくれる事を望んでくれた。
好きで、好きで、愛してて……
狂おしい程、恋をした。
名前と笑い合った時間
名前と触れ合った時間
名前と重なりあった時間
名前と過ごした時間
沢山の思い出と沢山の愛情。
名前と出会って後悔などしない。
こんな私でも、誰かを愛せる資格があると知ったのだから。
こんな私でも、誰かに愛される資格があるのだと。
「名前」
誰よりも、愛してる。
あとがき
夏油目線でいかがでしょうか?
優等生で真っ直ぐな夏油だからこそ
純愛似合いそう。
夏油……ほんっと、幸せになって。
幸せでいて。
本誌が辛いから、ここでは幸せになって。
誰かを愛するということが
こんなにも苦しくて
こんなにも哀しいとは思わなかった。
私以外の誰かと話す事も
私以外の誰かが触れる事も
私以外の誰かに取られる事も
私以外の誰かを見る事も
胸にどす黒い感情が溜まり
苦しくて、息の仕方を忘れてしまうほど辛くなる。
そんな私に気付いて欲しくはないのに、気付いて欲しいと願う反対の感情。
恋は人を狂わせる。
全くその通りだと、笑ってしまう。
今持てる、全てを乙骨にぶつける。
「乙骨、君が折本里香を使いこなす前に、殺しにきて本当に良かった」
「里香」
"なぁに"
目の前で呪霊を抱き締める乙骨。
「いつも守ってくれてありがとう。
僕を好きになってくれてありがとう。
最期にもう一度力を貸して
コイツを止めたいんだ。
その後はもう何もいらないから。
僕の未来も心も体も全部里香にあげる。
これからは本当にずっと一緒だよ」
この狂った狂気の感情を、名前は笑って受け入れてくれる。
それがどんなに、救われる事か……。
名前は私を"優しい"といつも言うが、そんな事はない。
余裕など、無いのだから。
いつか自分が見限られ、逃げられないように優しく優しく囲っているだけ。
追いかけて来てくれたとき、どれほど嬉しかった事か。
二度と手離さないと、心に誓った。
それと同時に……本当に名前を引き入れていいのか不安が襲った。
「愛してるよ、里香。
一緒に逝こう?」
乙骨が少しだけ羨ましく感じた。
私は、名前と共に戦うことを望まなかった。
乙骨は、折本里香と共に戦うことを選んだ。
自分で決めたことなのに、羨ましいだなんて……私はどれほど、欲張りなのか。
「そうくるか!!女誑しめ!!」
「失礼だな。純愛だよ」
そう、言い切れてしまうのは若さ故か……。
「ならばこちらは大義だ」
私も、純愛だと言えたなら良かった。
しかし、この狂った感情を"純愛"に例えるには程遠いような気もした。
大きな爆発と共に、右腕への痛みと目の前が真っ白になった。
太陽のような名前。
汚れのない、真っ白な子。
非日常を過ごす私達の中、日常を過ごす"普通"の子。
私達にとって、眩しい存在。
染み付いた汚れを全身に浴びて、闇を進む私達を照らす光に、私達は躊躇してしまう。
汚れてしまった時に、汚されてしまった時に
名前は果たして笑っていてくれるのか?
私達と同じ位置まで堕ちてしまえば、名前は壊れてしまうのではないのか……?
それは、嫌だった。
自分勝手な理由で、名前が何度懇願しても頑なに拒否した。
汚れてしまうのは、私だけでいい。
そんな私を受け入れてくれるのだから、名前まで堕ちる必要は無い。
だから私は名前に手を出させなかった。
勿論いい顔をしない者達はいたが、それは名前と関わる事で納得していった。
その反面、名前の光に手を伸ばす愚か者共が出てきたが、その者達を潰すのは問題無い。
「素晴らしい」
「本当に素晴らしいよ。
正に世界を変える力だ」
「里香さえあれば
せこせこ呪いを集める必要もない」
「次だ。次こそ手に入れる!!」
右側の肩から下は無くなった。
こんな姿を見たら、名前は泣いてしまうだろうな……などと、折本里香を手に入れると口では言いながら、名前のことを思う。
こんな時まで、名前のことを一番に考えてしまうなんて……と考えていたら、目の前に現れた人物にこれから、が無いことを受け止める。
「遅かったじゃないか、悟」
流した血の量はわからない。
ズルズルと身体を引きずってきたが、ここまでかとその場に座り込む。
「君で詰むとはな。
家族達は無事かい?」
「揃いも揃って逃げ果たしたよ。
京都の方もオマエの指示だろ」
「まぁね。君と違って私は優しいんだ。
あの二人を私にやられる前提で、
乙骨の起爆剤として送りこんだな」
「そこは信用した。
オマエの様な主義の人間は、若い術師を理由もなく殺さないと」
「クックックッ、信用か。
まだ私にそんなもの残していたのか」
思い出すのは、高専時代のかつての自分。
ふざけ合い、騒ぎ、叱られ、背中を預けた親友。
「コレ返しといてくれ」
「小学校もオマエの仕業だったのか!!」
「まぁね」
「呆れた奴だ」
「何か言い残すことはあるか」
「…………
誰がなんと言おうと非術師は嫌いだ。
でも別に高専の連中まで憎かったわけじゃない。
ただ、この世界では
私は心の底から笑えなかった」
そうーーー。
この世界は残酷で、救いがない。
だから、私は……名前を手離せなかった。
「悟」
私は、幸せだ。
この広い世界中の中からたった一人。
唯一無二の存在を見つけ、側に居られたのだから。
心残りは沢山あるが、私は幸せだと、断言できる。
私が消えるその時に
彼女と離れてしまう時に
彼女は泣いてしまうだろう。
泣き虫だから。
共に消える運命を望む名前だが、私はその瞬間を迎えた時に、彼女を手離してしまう。
彼女は私の光だから。
闇は似合わない。
どんなに泣いても
どんなに嫌がっても
どんなに寂しがっても
私は彼女の背を押して、光の中に戻してあげよう。
「名前を待たせているから、頼んだよ」
「………オマエさぁ」
はぁ、と大きなため息をつく悟。
私は君に、最高な嫌がらせをしておくよ。
「名前は」
「私の活動に一切手を染めていないよ」
「だろうな。
あんな幸せそうな顔されてたら疑わない」
「綺麗になったろ?」
「傑」
スッと、目の前に差し出されたのは何やら禍々しそうな呪具。
「コレ、めちゃくちゃ探して手に入れた凄い貴重な封印具」
「見逃してくれるとでも?」
「………泣くだろ、アイツ」
「だから悟、君に伝えたんだ」
「オマエしか見てない自殺志願者の面倒押し付けんな。
アイツのこと連れて行ったなら最後まで面倒見ろよ」
ポイッと、投げられた封印具にあっという間に封印される。
ほら、と悟に手を出される。
「オマエの為じゃない。
アイツのーー名前の為だからな」
「悟、本当に拗らせてるな」
「うるさい。さっさと送るから早く」
笑ってしまうほど、お人好しな親友。
帰ってみれば、名前はやはり泣いてしまった。
手離そうと思った。
けど、一度目が無理だったのだから、二度目なんて無理に決まってる。
共に生きて
最期まで傍に居てくれる事を望んでくれた。
好きで、好きで、愛してて……
狂おしい程、恋をした。
名前と笑い合った時間
名前と触れ合った時間
名前と重なりあった時間
名前と過ごした時間
沢山の思い出と沢山の愛情。
名前と出会って後悔などしない。
こんな私でも、誰かを愛せる資格があると知ったのだから。
こんな私でも、誰かに愛される資格があるのだと。
「名前」
誰よりも、愛してる。
あとがき
夏油目線でいかがでしょうか?
優等生で真っ直ぐな夏油だからこそ
純愛似合いそう。
夏油……ほんっと、幸せになって。
幸せでいて。
本誌が辛いから、ここでは幸せになって。