最期まであなたと
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※2年の秋くらい
傑くんと行動する事が増えた。
眠れない傑くんと寝たり、時間が合うなら側に居ることを心がけた。
そうしないと傑くんが離れてしまうような
壊れてしまうような気がして怖かった。
「名前、最近傑の所通ってる?」
「うん」
「ふーん……」
自販機のところに行くと、五条くんと出会った。
飲み物を奢ってくれた五条くんにお礼を言う。
今までと変わらないのに、力強さの増した五条くんが少しだけ怖い。
2人で何を言うわけでもなく、飲み物に口を付けていた。
「ちゃんと避妊はしろよ」
「ぶふっ!?」
「汚ねぇな!!」
「えっ!?待って……いや、そんなことしてないよ!!」
「まじかよ」
「適当なこと言うの止めてくださいませ!!」
焦りすぎて、変な口調になる私を五条くんは笑う。
真剣な顔で友人のそういう事情まで心配しないでほしいし、出来ればそれは男同士傑くんと話すべきだ。
恋愛初心者の私には刺激が強すぎた……と顔を覆う。
「なに?まだなの?」
「………同級生の事情を嬉々として聞いて来ないでくださいよ」
「同級生だからだろ」
「せめて男同士でお願いします」
「硝子には話すの?」
「硝子ちゃんは興味持ってくれ無いよ。
むしろ、顔を歪める」
「言ってるのかよ」
「言ってないよ」
久々の会話がこんなんとか……。
そこでふと、まともに五条くんと二人きりで話すのはほとんど無かったな、と思う。
いつもは傑くんや硝子ちゃんが必ず一緒にいる。
だから、五条くんと二人きりでこんなに長く話す事は初めてかもしれないと五条くんを見た。
「なに?」
「五条くんと二人きりで話すの新鮮だなぁと思って」
「そうか?」
「私が思い出せる限りでは、必ず傑くんや硝子ちゃんがいたから」
「………かもしんねーな」
一年以上一緒に居たのに、二人きりで話すことが無かった事に驚いた。
「傑と硝子のセコムが厳しいんだよ」
「私、五条くん苦手だったからかな」
「まじかよ……」
「今は平気だよ」
「今も苦手だと言われたらショックでけーよ」
拗ねたように唇を尖らせる五条くんに笑ってしまう。
あぁ、怖いと思っていたくせに、案外話せていると思えば……五条くんは変わっていないのだ。
子供っぽくて、我が儘で、強くて、厳しくて、意地悪で、自由な五条くん。
変わったのは……五条くんを見る周りなのかもしれない。
「名前は何で傑なの?」
「?」
「何で傑が好きになったの?」
「……傑くんだったからかな」
「は?」
「辛かった時に声を掛けてくれて、手を伸ばしてくれたから……とか単純な思いからだけど
あのタイミングでは傑くん以外の人に声を掛けられていても好きにはならなかったな」
「……俺でも?」
「五条くん、あの当時めちゃくちゃ私を呪術師から追い出そうとしてたよ?」
「あー……」
「まぁ、今も向いてないとは思うけどね」
五条くんの言葉通り、私は入学してからずっと呪術師には向いてない。
素直に聞き入れて辞めればいいのに、私は自分の意地を貫いている。
「恋も、愛も知らなかったから。
それらを教えてくれたのが傑くんなら
私は傑くんから離れたら二度と他の人に拾ってもらえない気がするよ」
「そんな一世一代の恋愛なんて、何時代の人間だよお前」
「私は不器用だから、そういう恋愛しか出来ないのかも」
「不器用にも程があるだろ」
「五条くんは無いの?そんな恋愛」
私ばかり話すのもなので、モテモテそうな五条くんに聞いてみたら、渋い顔をされる。
「誰か一人に盲目になるほどの恋なんて怖いだろ」
「重たい?」
「俺達は呪術師だからな。
そんな盲目の一筋の恋なんて呪いだろ」
「ロマンが無いなぁ」
「愛ほど歪んだ呪いはねーよ」
「………まぁ、確かに」
テレビで、ネットで、都市伝説で、昔話で
盲目に一人を愛した人の結末は
一緒に添い遂げられるハッピーエンドは一握りだけ。
愛すれば愛するほど、憎しみも増えていく。
心に傷を負い、二度と他の人を愛せない人。
裏切られてしまう人。
愛故に手を出してしまう人。
愛故に奪ってしまう人。
愛するということは、綺麗なだけじゃない……
哀しい恋だって沢山ある。
「………名前」
「なぁに?五条くん」
五条くんの長い手がこちらに伸びる。
けど、私に届く前に下ろされてしまった。
「死んでも傑を呪うなよ」
「私が死ぬこと前提?酷いなぁ」
「傑よりは可能性高いだろ」
「五条くん、君の残念なとこそーゆー所だよ」
「事実だろ」
さきほど伸ばした手で、ぐしゃぐしゃと私を撫でる五条くん。
そのまま廊下を歩いていく。
「名前、お前はそのままで居ろよ」
「?」
「傑のこと、よろしくな」
ひらひらと手をふり見えなくなった五条くん。
「…歪んだ呪い、か」
傑くんが居なくなってしまった時。
傑くんと別れてしまった時。
私はどうなってしまうのか……今はわからなかった。
ただ、奥底に潜む黒い感情を私は見ないふりをしている。
この感情は、表に出してはいけない。
それこそ、五条くんの言うような"呪い"に生りうるものだから。
「名前?そこで何しているんだ?」
「傑くん…帰って来てたの?」
「うん。今帰って来たよ」
キョトンとした表情の傑くん。
私は飲み物を握ったまま自販機の前でどれだけ立ち尽くしていたのか……。
「おかえりなさい、傑くん」
「ただいま」
今はまだ、大丈夫。
この黒いものに蓋をして
心の奥底に沈めておける。
まだ、自分の知らない、黒いもの。
この蓋を開けるのは
まだ今じゃないと、沈めていく。
あとがき
五条さんとのお話。
憂太への言葉が、この話から来るものだと
勝手な妄想してる。
ちょっと自覚してるけど
傑の彼女だからと
気付かないフリをする五条さん。
黒いもの=嫉妬とか負の感情。
傑くんと行動する事が増えた。
眠れない傑くんと寝たり、時間が合うなら側に居ることを心がけた。
そうしないと傑くんが離れてしまうような
壊れてしまうような気がして怖かった。
「名前、最近傑の所通ってる?」
「うん」
「ふーん……」
自販機のところに行くと、五条くんと出会った。
飲み物を奢ってくれた五条くんにお礼を言う。
今までと変わらないのに、力強さの増した五条くんが少しだけ怖い。
2人で何を言うわけでもなく、飲み物に口を付けていた。
「ちゃんと避妊はしろよ」
「ぶふっ!?」
「汚ねぇな!!」
「えっ!?待って……いや、そんなことしてないよ!!」
「まじかよ」
「適当なこと言うの止めてくださいませ!!」
焦りすぎて、変な口調になる私を五条くんは笑う。
真剣な顔で友人のそういう事情まで心配しないでほしいし、出来ればそれは男同士傑くんと話すべきだ。
恋愛初心者の私には刺激が強すぎた……と顔を覆う。
「なに?まだなの?」
「………同級生の事情を嬉々として聞いて来ないでくださいよ」
「同級生だからだろ」
「せめて男同士でお願いします」
「硝子には話すの?」
「硝子ちゃんは興味持ってくれ無いよ。
むしろ、顔を歪める」
「言ってるのかよ」
「言ってないよ」
久々の会話がこんなんとか……。
そこでふと、まともに五条くんと二人きりで話すのはほとんど無かったな、と思う。
いつもは傑くんや硝子ちゃんが必ず一緒にいる。
だから、五条くんと二人きりでこんなに長く話す事は初めてかもしれないと五条くんを見た。
「なに?」
「五条くんと二人きりで話すの新鮮だなぁと思って」
「そうか?」
「私が思い出せる限りでは、必ず傑くんや硝子ちゃんがいたから」
「………かもしんねーな」
一年以上一緒に居たのに、二人きりで話すことが無かった事に驚いた。
「傑と硝子のセコムが厳しいんだよ」
「私、五条くん苦手だったからかな」
「まじかよ……」
「今は平気だよ」
「今も苦手だと言われたらショックでけーよ」
拗ねたように唇を尖らせる五条くんに笑ってしまう。
あぁ、怖いと思っていたくせに、案外話せていると思えば……五条くんは変わっていないのだ。
子供っぽくて、我が儘で、強くて、厳しくて、意地悪で、自由な五条くん。
変わったのは……五条くんを見る周りなのかもしれない。
「名前は何で傑なの?」
「?」
「何で傑が好きになったの?」
「……傑くんだったからかな」
「は?」
「辛かった時に声を掛けてくれて、手を伸ばしてくれたから……とか単純な思いからだけど
あのタイミングでは傑くん以外の人に声を掛けられていても好きにはならなかったな」
「……俺でも?」
「五条くん、あの当時めちゃくちゃ私を呪術師から追い出そうとしてたよ?」
「あー……」
「まぁ、今も向いてないとは思うけどね」
五条くんの言葉通り、私は入学してからずっと呪術師には向いてない。
素直に聞き入れて辞めればいいのに、私は自分の意地を貫いている。
「恋も、愛も知らなかったから。
それらを教えてくれたのが傑くんなら
私は傑くんから離れたら二度と他の人に拾ってもらえない気がするよ」
「そんな一世一代の恋愛なんて、何時代の人間だよお前」
「私は不器用だから、そういう恋愛しか出来ないのかも」
「不器用にも程があるだろ」
「五条くんは無いの?そんな恋愛」
私ばかり話すのもなので、モテモテそうな五条くんに聞いてみたら、渋い顔をされる。
「誰か一人に盲目になるほどの恋なんて怖いだろ」
「重たい?」
「俺達は呪術師だからな。
そんな盲目の一筋の恋なんて呪いだろ」
「ロマンが無いなぁ」
「愛ほど歪んだ呪いはねーよ」
「………まぁ、確かに」
テレビで、ネットで、都市伝説で、昔話で
盲目に一人を愛した人の結末は
一緒に添い遂げられるハッピーエンドは一握りだけ。
愛すれば愛するほど、憎しみも増えていく。
心に傷を負い、二度と他の人を愛せない人。
裏切られてしまう人。
愛故に手を出してしまう人。
愛故に奪ってしまう人。
愛するということは、綺麗なだけじゃない……
哀しい恋だって沢山ある。
「………名前」
「なぁに?五条くん」
五条くんの長い手がこちらに伸びる。
けど、私に届く前に下ろされてしまった。
「死んでも傑を呪うなよ」
「私が死ぬこと前提?酷いなぁ」
「傑よりは可能性高いだろ」
「五条くん、君の残念なとこそーゆー所だよ」
「事実だろ」
さきほど伸ばした手で、ぐしゃぐしゃと私を撫でる五条くん。
そのまま廊下を歩いていく。
「名前、お前はそのままで居ろよ」
「?」
「傑のこと、よろしくな」
ひらひらと手をふり見えなくなった五条くん。
「…歪んだ呪い、か」
傑くんが居なくなってしまった時。
傑くんと別れてしまった時。
私はどうなってしまうのか……今はわからなかった。
ただ、奥底に潜む黒い感情を私は見ないふりをしている。
この感情は、表に出してはいけない。
それこそ、五条くんの言うような"呪い"に生りうるものだから。
「名前?そこで何しているんだ?」
「傑くん…帰って来てたの?」
「うん。今帰って来たよ」
キョトンとした表情の傑くん。
私は飲み物を握ったまま自販機の前でどれだけ立ち尽くしていたのか……。
「おかえりなさい、傑くん」
「ただいま」
今はまだ、大丈夫。
この黒いものに蓋をして
心の奥底に沈めておける。
まだ、自分の知らない、黒いもの。
この蓋を開けるのは
まだ今じゃないと、沈めていく。
あとがき
五条さんとのお話。
憂太への言葉が、この話から来るものだと
勝手な妄想してる。
ちょっと自覚してるけど
傑の彼女だからと
気付かないフリをする五条さん。
黒いもの=嫉妬とか負の感情。